IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特許-制御装置および制御方法 図1
  • 特許-制御装置および制御方法 図2
  • 特許-制御装置および制御方法 図3
  • 特許-制御装置および制御方法 図4
  • 特許-制御装置および制御方法 図5
  • 特許-制御装置および制御方法 図6
  • 特許-制御装置および制御方法 図7
  • 特許-制御装置および制御方法 図8
  • 特許-制御装置および制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018101836
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019206822
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 了
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 祥人
(72)【発明者】
【氏名】有松 大毅
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-001613(JP,A)
【文献】特開2017-150134(JP,A)
【文献】特開2017-159748(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0074557(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アタッチメントを有する作業機械を制御する制御装置であって、
前記アタッチメントを識別するための種類情報の入力を受け付ける種類情報入力部と、
作業機械の仕様に関連付けて前記種類情報と前記アタッチメントの重量の区分との関係を記憶し、さらに当該制御装置を搭載する作業機械の仕様を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する仕様と前記種類情報入力部に入力される前記種類情報に基づいて、重量の区分を特定する特定部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記作業機械に取り付けられていた他のアタッチメントと形状が異なる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記特定部により特定された前記重量の区分を、前記作業機械の制御を行う制御部に送信する送信部と、
を更に備える請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記記憶部は、重量の区分と、前記作業機械の制御に関するパラメータとの対応を記憶し、
前記送信部は、前記特定部により特定された前記重量の区分に対応する前記作業機械の制御に関するパラメータを、前記作業機械の制御を行う制御部に送信する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記パラメータは、前記作業機械を作動させるためのアクチュエータに供給する作動油の量を制御するバルブの開度に関するパラメータであって、
前記制御部は、前記種類情報に関連付けられた前記パラメータに基づいて、前記バルブの制御量を決定する
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
入力された前記種類情報に対応するアタッチメントの重量の区分の入力を受け付け、前記記憶部に、前記入力された種類情報と対応するアタッチメントの重量の区分を書き込む重量入力部
を更に備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
作業機械が備えるアタッチメントの種類情報の入力を受け付けるステップと、
作業機械の仕様に関連付けて前記種類情報と前記アタッチメントの重量の区分との関係を記憶し、さらに当該作業機械の仕様を記憶する記憶部から、前記記憶部が記憶する仕様と入力された前記種類情報に基づいて、重量の区分を特定するステップと
を備える制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バケットの重さの違いによって、作業機を駆動する油圧シリンダに作用する負荷が変化し、掘削精度が低下することを防止する技術が開示されている。具体的には特許文献1によれば、制御装置は、バケットの重量の区分(大、中、または小)の入力を受け付け、シリンダ速度と操作指令値との関係を示す複数の相関データのうち、入力された区分に関連付けられた相関データに基づいて操作指令値を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/129930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、バケットの重量の区分を示す大、中、または小の区分を制御装置に入力するが、この区分は、バケットの種類によって異なる。そのため、バケットの付け替えを行う際に、オペレータは、バケットの重量を把握し、当該バケットに対応する区分を特定したうえで、入力を行う必要がある。また、法面バケットや、狭幅バケットなど形状が異なるバケットも存在するため、熟練のオペレータであっても、様々存在するバケットの重量の区分を特定することは困難である。
また、誤った区分が設定される可能性があり、この場合には作業機の介入制御においてハンチングが生じる可能性がある。
本発明の目的は、バケットの交換に伴う作業機の設定を容易に実施することができる制御装置および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、制御装置は、アタッチメントを有する作業機械を制御する制御装置であって、前記アタッチメントを識別するための種類情報の入力を受け付ける種類情報入力部と、作業機械の仕様に関連付けて前記種類情報と前記アタッチメントの重量の区分との関係を記憶し、さらに当該制御装置を搭載する作業機械の仕様を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する仕様と前記種類情報入力部に入力される前記種類情報に基づいて、重量の区分を特定する特定部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様に係る制御装置によれば、オペレータは、アタッチメントの交換に伴う作業機の設定を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】作業機の姿勢の例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
図3】第1の実施形態に係る作業機制御装置および入出力装置の構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る制御装置による制御に用いられる情報の一例である。
図5】第1の実施形態に係る作業機械のバケットの第1の設定方法を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る作業機械のバケットの第2の設定方法を示すフローチャートである。
図7】バケット情報入力画面の一例である。
図8】第1の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係る入出力装置による表示動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
〈座標系〉
図1は、作業機の姿勢の例を示す図である。
以下の説明においては、三次元の現場座標系(Xg、Yg、Zg)および三次元の車体座標系(Xm、Ym、Zm)を規定して、これらに基づいて位置関係を説明する。
【0009】
現場座標系は、施工現場に設けられたGNSS基準局の位置を基準点として南北に伸びるXg軸、東西に伸びるYg軸、鉛直方向に伸びるZg軸から構成される座標系である。GNSSの例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。
【0010】
車体座標系は、後述する作業機械100の旋回体120に規定された代表点Oを基準として前後に伸びるXm軸、左右に伸びるYm軸、上下に伸びるZm軸から構成される座標系である。旋回体120の代表点Oを基準として前方を+Xm方向、後方を-Xm方向、左方を+Ym方向、右方を-Ym方向、上方向を+Zm方向、下方向を-Zm方向とよぶ。
【0011】
後述する作業機械100の作業機制御装置150は、演算により、ある座標系における位置を、他の座標系における位置に変換することができる。例えば、作業機制御装置150は、車体座標系における位置を現場座標系における位置に変換することができ、その逆の座標系にも変換することができる。
【0012】
〈第1の実施形態〉
《作業機械》
図2は、第1の実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
作業機械100は、走行体110と、走行体110に支持される旋回体120と、油圧により作動し旋回体120に支持される作業機130とを備える。旋回体120は、旋回中心を中心として走行体110に旋回自在に支持される。
【0013】
走行体110は、左右に設けられた2つの無限軌道111と、各無限軌道111を駆動するための2つの走行モータ112を備える。
【0014】
作業機130は、ブーム131と、アーム132と、バケット133と、ブームシリンダ134と、アームシリンダ135と、バケットシリンダ136とを備える。
【0015】
ブーム131の基端部は、旋回体120にブームピンP1を介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にアームピンP2を介して取り付けられる。
バケット133は、土砂などを掘削するための刃先と掘削した土砂を収容するための収容部とを備える。バケット133の基端部は、アーム132の先端部にバケットピンP3を介して取り付けられる。なお、バケット133は、例えば法面バケットのように整地を目的としたバケットでもよいし、収容部を備えないバケットでもよい。また、他の実施形態においては、作業機130は、バケット133に代えて、打突によって岩石を粉砕するブレーカなどの他のアタッチメントを備えてもよい。
【0016】
ブームシリンダ134は、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ134の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ134の先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ135は、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ135の基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ135の先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ136は、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ136の基端部は、アーム132に取り付けられる。バケットシリンダ136の先端部は、バケット133に取り付けられる。
【0017】
旋回体120には、オペレータが搭乗する運転室121が備えられる。運転室121は、旋回体120の前方かつ作業機130の左側に備えられる。
旋回体120は、エンジン122、油圧ポンプ123、コントロールバルブ124、旋回モータ125、操作装置126、作業機制御装置150、入出力装置160を備える。
【0018】
エンジン122は、油圧ポンプ123を駆動する原動機である。
油圧ポンプ123は、エンジン122により駆動され、コントロールバルブ124を介して各アクチュエータ(ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、走行モータ112、および旋回モータ125)に作動油を供給する。
コントロールバルブ124は、油圧ポンプ123から作業機130を作動させるための各アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する。
旋回モータ125は、コントロールバルブ124を介して油圧ポンプ123から供給される作動油によって駆動し、旋回体120を旋回させる。
【0019】
操作装置126は、運転室121の内部に設けられる2つのレバーである。操作装置126は、オペレータから、ブーム131の上げ操作および下げ操作、アーム132の押し操作および引き操作、バケット133の掘削操作およびダンプ操作、ならびに旋回体120の右旋回操作および左旋回操作を受け付ける。操作装置126の傾きに応じて、コントロールバルブ124の各アクチュエータへつながる流路の開度が制御される。例えば、操作装置126は、傾きに応じてパイロット作動油の流量を変化させるバルブを有し、パイロット作動油の流量に応じてコントロールバルブ124のスプールを変位させることで、コントロールバルブ124の開度を制御する。また例えば、操作装置126は、その傾きを検出する傾斜センサを備え、傾斜センサの出力信号の大きさに応じてコントロールバルブ124のスプールを変位させることで、コントロールバルブ124の開度を制御してもよい。なお、走行体110は、図示されていないレバーによって前進操作および後退操作を受け付ける。
【0020】
作業機制御装置150は、作業機械100に設けられた後述する複数の計測装置の計測値に基づいて、現場座標系におけるバケット133の位置および姿勢を特定する。また、作業機制御装置150は、コントロールバルブ124にブームシリンダ134の制御指令、アームシリンダ135の制御指令、およびバケットシリンダ136の制御指令を出力する。
【0021】
入出力装置160は、作業機械100のバケット133と施工現場の設計面との関係を示す画面を表示する。また入出力装置160は、利用者の操作に従って入力信号を生成し、作業機制御装置150に出力する。入出力装置160は、作業機械100の運転室に設けられる。
【0022】
作業機械100は、複数の計測装置を備える。各計測装置は、計測値を作業機制御装置150に出力する。具体的には、作業機械100は、ブームストロークセンサ141、アームストロークセンサ142、バケットストロークセンサ143、位置方位演算器144、傾斜検出器145を備える。
【0023】
ブームストロークセンサ141は、ブームシリンダ134のストローク量を計測する。
アームストロークセンサ142は、アームシリンダ135のストローク量を計測する。
バケットストロークセンサ143は、バケットシリンダ136のストローク量を計測する。
これにより、作業機制御装置150は、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136のそれぞれのストローク長に基づいて、バケット133を含む作業機130の車体座標系における位置および姿勢角を検出することができる。なお、他の実施形態においては、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に代えて、作業機130に取り付けられた傾斜計、IMU等の角度センサや他のセンサによって作業機130の車体座標系における位置および姿勢角が検出されてもよい。
【0024】
位置方位演算器144は、旋回体120の現場座標系における位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器144は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する第1受信器1441および第2受信器1442を備える。第1受信器1441および第2受信器1442は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器144は、第1受信器1441が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点O(車体座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器144は、第1受信器1441が受信した測位信号と、第2受信器1442が受信した測位信号とを用いて、旋回体120の現場座標系における方位を演算する。
【0025】
傾斜検出器145は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、Xm軸に対する回転を表すロール、Ym軸に対する回転を表すピッチ、およびZm軸に対する回転を表すヨー)を検出する。傾斜検出器145は、例えば運転室121の下面に設置される。傾斜検出器145の例としては、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)が挙げられる。
【0026】
《作業機の姿勢》
ここで、図1を参照しながら作業機130の位置及び姿勢について説明する。作業機制御装置150は、作業機130の位置及び姿勢を算出し、その位置及び姿勢に基づいて作業機130の制御指令を生成する。作業機制御装置150は、ブームピンP1を基準としたブーム131の姿勢角であるブーム相対角α、アームピンP2を基準としたアーム132の姿勢角であるアーム相対角β、バケットピンP3を基準としたバケット133の姿勢角であるバケット相対角γ、および車体座標系におけるバケット133の刃先の位置を算出する。
【0027】
ブーム相対角αは、ブームピンP1から旋回体120の上方向(+Zm方向)に伸びる半直線と、ブームピンP1からアームピンP2へ伸びる半直線とがなす角によって表される。なお、旋回体120の姿勢(ピッチ角)θによって、旋回体120の上方向(+Zm方向)と鉛直上方向(+Zg方向)は必ずしも一致しない。
アーム相対角βは、ブームピンP1からアームピンP2へ伸びる半直線と、アームピンP2からバケットピンP3へ伸びる半直線とがなす角によって表される。
バケット相対角γは、アームピンP2からバケットピンP3へ伸びる半直線と、バケットピンP3からバケット133の刃先へ伸びる半直線とがなす角によって表される。
ここで、車体座標系のZm軸に対するバケット133の姿勢角であるバケット絶対角ηは、ブーム相対角α、アーム相対角β、バケット相対角γの和と等しい。バケット絶対角ηは、バケットピンP3から旋回体120の上方向(+Zm方向)に伸びる半直線と、バケットピンP3からバケット133の刃先へ伸びる半直線とがなす角に等しい。
【0028】
バケット133の刃先の位置は、ブーム131の寸法であるブーム長L1、アーム132の寸法であるアーム長L2、バケット133の寸法であるバケット長L3、ブーム相対角α、アーム相対角β、バケット相対角γ、バケット133の形状情報、旋回体120の代表点Oの現場座標系における位置、および代表点OとブームピンP1との位置関係から求められる。ブーム長L1は、ブームピンP1からアームピンP2までの距離である。アーム長L2は、アームピンP2からバケットピンP3までの距離である。バケット長L3は、バケットピンP3からバケット133の刃先までの距離である。代表点OとブームピンP1との位置関係は、例えば、車体座標系におけるブームピンP1の位置によって表される。
【0029】
《介入制御》
作業機制御装置150は、施工現場において設定された設計面にバケット133が侵入しないようにバケット133が施工対象に接近する方向の速度を制限する。以下、作業機制御装置150がバケット133の速度を制限することを介入制御ともいう。
【0030】
介入制御において作業機制御装置150は、バケット133と設計面との距離が所定距離未満になった場合に、設計面にバケット133が侵入しないように、ブームシリンダ134の制御指令を生成してコントロールバルブ124に当該制御指令を出力する。これにより、バケット133の速度がバケット133と設計面との距離に応じた速度となるように、ブーム131が駆動する。つまり作業機制御装置150は、ブームシリンダ134の制御指令によってブーム131を上昇させることでバケット133の速度を制限する。
なお、他の実施形態においては、介入制御においてアームシリンダ135の制御指令またはバケットシリンダ136の制御指令を出力しても良い。つまり、他の実施形態においては、介入制御においてアーム132を上昇させることでバケット133の速度を制限してもよいし、バケット133の速度を直接制限してもよい。
【0031】
《作業機制御装置》
図3は、第1の実施形態に係る作業機制御装置および入出力装置の構成を示すブロック図である。作業機制御装置150および入出力装置160は、作業機械100の制御装置の一例である。
作業機制御装置150は、プロセッサ151、メインメモリ153、ストレージ155、インタフェース157を備える。
【0032】
ストレージ155には、作業機130を制御するためのプログラムが記憶されている。ストレージ155の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリ等が挙げられる。ストレージ155は、作業機制御装置150のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース157または通信回線を介して作業機制御装置150に接続される外部メディアであってもよい。
【0033】
プロセッサ151は、ストレージ155からプログラムを読み出してメインメモリ153に展開し、プログラムに従って処理を実行する。またプロセッサ151は、プログラムに従ってメインメモリ153に記憶領域を確保する。インタフェース157は、コントロールバルブ124、操作装置126、入出力装置160、ブームストロークセンサ141、アームストロークセンサ142、バケットストロークセンサ143、位置方位演算器144、傾斜検出器145、およびその他の周辺機器と接続され、信号の入出力を行う。
【0034】
プログラムは、作業機制御装置150に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ155に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、作業機制御装置150は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0035】
プロセッサ151は、プログラムの実行により、操作量取得部1511、検出情報取得部1512、バケット位置特定部1513、バケット位置通知部1514、距離特定部1515、制御線決定部1516、目標速度演算部1517、重量区分取得部1518、パラメータ特定部1519、制御指令生成部1520、制御指令出力部1521として機能する。
また、ストレージ155には、作業機械情報記憶部1551、目標施工データ記憶部1552、パラメータ記憶部1553の記憶領域を確保されている。
【0036】
作業機械情報記憶部1551は、ブーム長L1、アーム長L2、バケット長L3、および旋回体120の代表点Oの位置とブームピンP1との位置関係を記憶する。
【0037】
目標施工データ記憶部1552は、施工現場の設計面を表す目標施工データを記憶する。目標施工データは、現場座標系で表される三次元データであって、設計面を表す複数の三角形ポリゴンからなる立体地形データ等である。目標施工データを構成する三角形ポリゴンは、それぞれ隣接する他の三角形ポリゴンと共通の辺を有する。つまり、目標施工データは、複数の平面から構成される連続した平面を表す。目標施工データは、外部記憶媒体から読み込まれることで、またはネットワークNを介して外部サーバから受信されることで、目標施工データ記憶部1552に記憶される。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係る制御装置による制御に用いられる情報の一例である。
図4に示すように、パラメータ記憶部1553は、バケット133の重量の区分ごとに、コントロールバルブ124の開度とブームシリンダ134の速度との関係を示す相関データを記憶する。なお、重量の区分の数は、一例であって3つの区分に限られない。また、パラメータ記憶部1553は、重量ごとに相関データを記憶してもよい。バケット133の重量の区分は、バケット133の重量と作業機械100の仕様との関係によって定まる大、中、または小の区分である。相関データは、コントロールバルブ124の開度に関するパラメータの一例である。なお、他の実施形態においては、パラメータ特定部1519は、相関データに代えて、基準の開度に掛ける係数や、コントロールバルブ124の開度を決定するプログラムを記憶してもよい。なお、バケット133の重量の区分、相関データ、基準の開度に掛ける係数、およびコントロールバルブ124の開度を決定するプログラムは、制御に関するパラメータの一例である。パラメータ記憶部1553は、記憶部の一例である。
【0039】
操作量取得部1511は、操作装置126から操作量を示す操作信号を取得する。操作量取得部1511は、少なくともブーム131に係る操作量、アーム132に係る操作量、およびバケット133に係る操作量を取得する。
【0040】
検出情報取得部1512は、ブームストロークセンサ141、アームストロークセンサ142、バケットストロークセンサ143、位置方位演算器144、および傾斜検出器145のそれぞれが検出した情報を取得する。つまり、検出情報取得部1512は、旋回体120の現場座標系における位置情報、旋回体120が向く方位、旋回体120の姿勢、ブームシリンダ134のストローク長、アームシリンダ135のストローク長、およびバケットシリンダ136のストローク長を取得する。
【0041】
バケット位置特定部1513は、検出情報取得部1512が取得した情報に基づいて、バケット133の位置および姿勢を特定する。このときバケット位置特定部1513は、バケット絶対角ηを特定する。バケット位置特定部1513は、以下の手順でバケット絶対角ηを特定する。バケット位置特定部1513は、ブームシリンダ134のストローク長から、ブーム相対角αを算出する。バケット位置特定部1513は、アームシリンダ135のストローク長から、アーム相対角βを算出する。バケット位置特定部1513は、バケットシリンダ136のストローク長から、バケット相対角γを算出する。そして、バケット位置特定部1513は、ブーム相対角α、アーム相対角β、およびバケット相対角γを加算することで、バケット絶対角ηを算出する。
【0042】
また、バケット位置特定部1513は、検出情報取得部1512が取得した情報と作業機械情報記憶部1551が記憶する情報とに基づいて、バケット133の刃先の現場座標系における位置を特定する。バケット位置特定部1513は、以下の手順で作業機130の刃先の現場座標系における位置を特定する。バケット位置特定部1513は、検出情報取得部1512が取得したブーム相対角αと作業機械情報記憶部1551が記憶するブーム長L1とに基づいて、車体座標系におけるアームピンP2の位置を特定する。バケット位置特定部1513は、アームピンP2の位置と、検出情報取得部1512が取得したアーム相対角βと作業機械情報記憶部1551が記憶するアーム長L2とに基づいて、車体座標系におけるバケットピンP3の位置を特定する。バケット位置特定部1513は、バケットピンP3の位置と、検出情報取得部1512が取得したバケット相対角γと、作業機械情報記憶部1551が記憶するバケット長L3とに基づいて、バケット133の刃先の位置および姿勢を特定する。そして、バケット位置特定部1513は、検出情報取得部1512が取得した旋回体120の現場座標系における位置情報、旋回体120が向く方位、および旋回体120の姿勢に基づいて、車体座標系におけるバケット133の刃先の位置を、現場座標系における位置に変換する。
【0043】
距離特定部1515は、バケット133の刃先と設計面との距離を特定する。例えば、距離特定部1515は、以下の方法で刃先と設計面との距離を特定する。
距離特定部1515は、バケット133を縦断する複数の縦断面と設計面との交線をそれぞれ特定する。バケット133の複数の縦断面は、バケット133の両側面と、両側面に平行な面であって両側面の間を分割する面とからなる。距離特定部1515は、各縦断面について、当該縦断面上におけるバケット133の刃先と特定した交線との距離をそれぞれ求める。
【0044】
制御線決定部1516は、バケット133の介入制御に用いられる制御線を決定する。制御線決定部1516は、例えば、距離特定部1515が特定した最も短い距離に係る刃先を含むバケット133の縦断面と設計面との交線を制御線に決定する。なお、他の実施形態において制御線を決定するための縦断面は、最も短い距離に係る刃先を含むものに限られず、バケット133の中央を通る縦断面など予め定められた面や手動で選択された面であってもよい。
【0045】
バケット位置通知部1514は、バケット位置特定部1513が特定したバケット133の現場座標系における位置を、入出力装置160に通知する。
【0046】
目標速度演算部1517は、操作量取得部1511が取得した操作装置126の操作量に基づいて、ブームピンP1を基準としたブーム131の速度(ブーム相対速度)の目標値である目標ブーム相対速度、アームピンP2を基準としたアーム132の速度(アーム相対速度)の目標値である目標アーム相対速度、およびバケットピンP3を基準としたバケット133の速度(バケット相対速度)の目標値である目標バケット相対速度を決定する。
なお、以下、ブーム相対速度、アーム相対速度およびバケット相対速度の垂直方向成分の和によって表される、旋回体120を基準としたバケット133の垂直方向の速度をバケット絶対速度といい、バケット絶対速度の目標値を目標バケット絶対速度という。目標バケット絶対速度は、目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度および目標バケット相対速度の垂直方向成分の和によって表される。
以下、垂直方向下向きの速度を正数で表し、垂直方向上向きの速度を負数で表す。
【0047】
重量区分取得部1518は、入出力装置160から、バケット133の大、中、または小の区分を取得する。
【0048】
パラメータ特定部1519は、パラメータ記憶部1553から重量区分取得部1518が取得した区分に関連付けられた相関データを特定する。
【0049】
制御指令生成部1520は、距離特定部1515が特定した距離に基づいて、バケット133が制御線より下方に侵入しないように作業機130を制御する介入制御を行う。制御指令生成部1520は、バケット133の刃先と制御線との距離とバケット133が制御線に接近するバケット絶対速度の許容上限値との関係を示す速度テーブルを満たすよう、ブーム131の垂直方向の制限速度を決定する。速度テーブルの例としては、バケット133の刃先と制御線との距離が0に近づくほどバケット絶対速度の許容上限値が0に近づくテーブルが挙げられる。なお、本実施形態においては、制御指令生成部1520が、ブーム131の垂直方向の制限速度を決定するが、これに限られず、例えば法線方向の制限速度を決定してもよい。
例えば、制御指令生成部1520は、速度テーブルにおけるバケット絶対速度の許容上限値より目標バケット絶対速度が大きい場合、介入制御を行う。制御指令生成部1520は、介入制御を行う場合、バケット絶対速度の上限値から目標アーム相対速度および目標バケット相対速度の垂直方向成分の和を減算することで、ブーム131の垂直方向の制限速度を算出する。制御指令生成部1520は、ブーム131の垂直方向の制限速度から、ブーム相対速度を決定する。
他方、制御指令生成部1520は、目標バケット絶対速度が、速度テーブルにおけるバケット絶対速度の許容上限値以下である場合、介入制御を行わない。介入制御を行わない場合、制御指令生成部1520は、目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度および目標バケット相対速度に基づいて、ブーム131、アーム132およびバケット133の制御指令を生成する。
このとき、制御指令生成部1520は、パラメータ特定部1519が特定した相関データと目標ブーム相対速度とに基づいて、ブームシリンダ134に作動油を流すコントロールバルブ124の開度を制御する制御指令を生成する。制御指令生成部1520は、コントロールバルブ124の制御量を決定する制御部の一例である。
【0050】
制御指令出力部1521は、制御指令生成部1520が生成したブーム131の制御指令、アーム132の制御指令、およびバケット133の制御指令をコントロールバルブ124に出力する。
【0051】
《入出力装置》
入出力装置160は、プロセッサ161、メインメモリ163、ストレージ165、インタフェース167、タッチパネル169を備える。
【0052】
ストレージ165には、作業機130と設計面との関係を表示するためのプログラムが記憶されている。ストレージ165の例としては、HDD、SSD、不揮発性メモリ等が挙げられる。ストレージ165は、入出力装置160のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース167または通信回線を介して入出力装置160に接続される外部メディアであってもよい。
【0053】
プロセッサ161は、ストレージ165からプログラムを読み出してメインメモリ163に展開し、プログラムに従って処理を実行する。またプロセッサ161は、プログラムに従ってメインメモリ163に記憶領域を確保する。インタフェース167は、作業機制御装置150およびタッチパネル169と、およびその他の周辺機器と接続され、信号の入出力を行う。
【0054】
プログラムは、入出力装置160に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ165に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
なお、他の実施形態においては、入出力装置160は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0055】
プロセッサ161は、プログラムの実行により、バケット情報入力部1611、バケット選択部1612、区分特定部1613、区分通知部1614、バケット位置取得部1615、バケット位置表示部1616として機能する。また、ストレージ165には、バケット情報記憶部1651、区分情報記憶部1652、仕様記憶部1653の記憶領域が確保されている。
【0056】
バケット情報記憶部1651は、バケット133の種類情報に関連付けて、当該バケットの寸法、および重量または重量の区分を記憶する。バケット133の種類情報の例としては、バケット133の型番、名称、およびIDなどが挙げられる。バケット情報記憶部1651は、記憶部の一例である。
区分情報記憶部1652は、図4に示すように、バケット133の重量の区分と、その区分に属するバケット133の重量の範囲とのセットを作業機械100の仕様毎に記憶する。作業機械100の仕様の例としては、作業機械100の型番、名称、およびIDなどが挙げられる。区分情報記憶部1652は、記憶部の一例である。
仕様記憶部1653は、当該入出力装置160を搭載する作業機械100の仕様を記憶する。仕様記憶部1653は、記憶部の一例である。
【0057】
バケット情報入力部1611は、利用者から、バケット133の種類情報、寸法、および重量、または重量の区分の入力を受け付ける。バケット情報入力部1611は、入力された情報をバケット情報記憶部に記憶させる。バケット情報入力部1611は、種類情報入力部および重量入力部の一例である。なお、他の実施形態に係るバケット情報入力部1611は、バケット133に埋め込まれたRFID(Radio Frequency Identifier)タグからバケット133の種類情報、寸法および重量を読み取ってもよい。
【0058】
バケット選択部1612は、タッチパネル169にバケット情報記憶部1651が記憶するバケット133の種類情報の一覧を表示させる。バケット選択部1612は、利用者から、作業機130に取り付けられているものの種類情報の選択を受け付ける。バケット選択部1612は、種類情報入力部の一例である。
【0059】
区分特定部1613は、区分情報記憶部1652が記憶する情報と、仕様記憶部1653が記憶する情報とに基づいて、バケット選択部1612によって選択されたバケット133の重量の区分を特定する。区分特定部1613は、特定部の一例である。
【0060】
区分通知部1614は、区分特定部1613が特定した重量の区分、またはバケット情報記憶部1651が記憶する重量の区分もしくは重量を作業機制御装置150に通知する。区分通知部1614は、送信部の一例である。
【0061】
バケット位置取得部1615は、作業機制御装置150から、バケット絶対角η、バケット133の現場座標系における位置、および制御線を取得する。
【0062】
バケット位置表示部1616は、バケット位置取得部1615が取得したバケット133の情報と、バケット情報記憶部1651が記憶するバケット133の寸法とに基づいて、バケット133と施工現場の設計面との関係を示す画面を表示する。
【0063】
《バケット設定方法》
以下、第1の実施形態に係る作業機械100の制御方法について説明する。
まず作業機械100のオペレータは、入出力装置160により、作業機械100が備えるバケット133の情報を設定する。ここでは、入出力装置160によるバケット133の情報の設定方法として2種類の方法について説明する。
【0064】
《第1の設定方法》
図5は、第1の実施形態に係る作業機械のバケットの第1の設定方法を示すフローチャートである。なお、第1の設定方法に係る重量の区分は、バケット133の重量のみによって一意に決まる区分である。
入出力装置160のバケット選択部1612は、バケット情報記憶部1651が記憶するバケット133の種類情報を読み出す(ステップS01)。バケット選択部1612は、読み出したバケット133の種類情報と、新規のバケット133の登録ボタンとを含む選択画面を表示するための表示信号を、タッチパネル169に出力する(ステップS02)。これにより、タッチパネルには、バケット133の選択画面が表示される。
利用者は、タッチパネル169に表示される選択画面の中から作業機械100に取り付けられたバケット133を探す。選択画面の中に取り付けられたバケット133がある場合、利用者は、選択画面のうち当該バケット133を表す種類情報を選択する。他方、選択画面の中に取り付けられたバケット133がない場合、利用者は、登録ボタンを押下する。
【0065】
バケット選択部1612は、選択画面に含まれる種類情報が選択されたか、登録ボタンが押下されたかを判定する(ステップS03)。選択画面に含まれる種類情報が選択された場合(ステップS03:種類情報)、バケット選択部1612は、選択された種類情報に関連付けられたバケット133の寸法、および重量または重量の区分を特定する(ステップS04)。
他方、ステップS03において登録ボタンが押下された場合(ステップS03:ボタン)、バケット情報入力部1611は、図7に示すようなバケット情報入力画面を表示させる(ステップS05)。図7は、バケット情報入力画面の一例である。バケット情報入力画面には、バケット133の種類情報、寸法、および重量または重量の区分の入力欄が表示される。バケット133の寸法は、バケットピンP3から刃先までの長さ、バケットピンP3からバケット133の複数の輪郭点までの長さおよび角度、バケット133の幅、バケット133の刃の長さを含む。
【0066】
バケット情報入力部1611は、利用者からバケット133の種類情報、寸法、および重量または重量の区分の入力を受け付ける(ステップS06)。バケット情報入力部1611は、入力された種類情報、寸法、および重量または重量の区分を関連付けてバケット情報記憶部1651に記憶させる。これにより、次回以降、バケット選択部1612が生成する選択画面に、当該バケット133の種類情報が含まれる。
ステップS04またはステップS06で重量または重量の区分が特定されると、区分通知部1614は、特定された重量または重量の区分を作業機制御装置150に通知する(ステップS07)。これにより、作業機制御装置150の重量区分取得部1518は、入出力装置160から重量の区分を取得し、メインメモリ153に記憶させる。なお、重量区分取得部1518は、種類情報に関連付けられたバケット133の重量を特定し、特定された重量を作業機制御装置150に通知してもよい。この場合、作業機制御装置150が、重量に対応する重量の区分を特定する。
【0067】
《第2の設定方法》
重量の区分は、重量によって一意に決まるものではなく、作業機械100の仕様に対する相対的な重量を表す場合がある。具体的には、この区分は、作業機械100が備える作業機130全体の重量におけるバケット133の重量の割合や、作業機械100の油圧ポンプの容量とバケット133の重量等との関係等によって定まる場合がある。その場合であっても、以下の第2の設定方法によって、区分を特定することができる。
【0068】
図6は、第1の実施形態に係る作業機械のバケットの第2の設定方法を示すフローチャートである。
入出力装置160のバケット選択部1612は、バケット情報記憶部1651が記憶するバケット133の種類情報を読み出す(ステップS11)。バケット選択部1612は、読み出したバケット133の種類情報と、新規のバケット133の登録ボタンとを含む選択画面を表示するための表示信号を、タッチパネル169に出力する(ステップS12)。これにより、タッチパネルには、バケット133の選択画面が表示される。
【0069】
利用者は、タッチパネル169に表示される選択画面の中から作業機械100に取り付けられたバケット133を探す。選択画面の中に取り付けられたバケット133がある場合、利用者は、選択画面のうち当該バケット133を表す種類情報を選択する。他方、選択画面の中に取り付けられたバケット133がない場合、利用者は、登録ボタンを押下する。
【0070】
バケット選択部1612は、選択画面に含まれる種類情報が選択されたか、登録ボタンが押下されたかを判定する(ステップS13)。選択画面に含まれる種類情報が選択された場合(ステップS13:種類情報)、バケット選択部1612は、選択された種類情報に関連付けられたバケット133の寸法および重量を特定する(ステップS14)。区分特定部1613は、区分情報記憶部1652が作業機械100の仕様毎に記憶するバケット133の重量の区分と、その区分に属するバケット133の重量の範囲とのセットの中から、仕様記憶部1653が記憶する作業機械100の仕様に対応するセットを特定する。そして、バケット選択部1612によって特定された重量を含む重量の範囲に関連付けられた区分を特定する(ステップS15)。
【0071】
他方、ステップS13において登録ボタンが押下された場合(ステップS13:ボタン)、バケット情報入力部1611は、図7に示すようなバケット情報入力画面を表示させる(ステップS16)。図7は、バケット情報入力画面の一例である。バケット情報入力画面には、バケット133の種類情報、寸法および重量の入力欄が表示される。バケット133の寸法は、バケットピンP3から刃先までの長さ、バケットピンP3からバケット133の複数の輪郭点までの長さおよび角度、バケット133の幅、バケット133の刃の長さを含む。
バケット情報入力部1611は、利用者からバケット133の種類情報、寸法および重量の入力を受け付ける(ステップS17)。バケット情報入力部1611は、入力された種類情報、寸法および重量を関連付けてバケット情報記憶部1651に記憶させる。これにより、次回以降、バケット選択部1612が生成する選択画面に、当該バケット133の種類情報が含まれる。
区分特定部1613は、ステップS15と同様の手法により、区分情報記憶部1652が、入力された重量が属する重量の範囲と、仕様記憶部1653が記憶する作業機械100の仕様とに関連付けて記憶する重量の区分を特定する(ステップS08)。
【0072】
ステップS5またはステップS8で重量の区分が特定されると、区分通知部1614は、特定された重量の区分を作業機制御装置150に通知する(ステップS09)。これにより、作業機制御装置150の重量区分取得部1518は、入出力装置160から重量の区分を取得し、メインメモリ153に記憶させる。
【0073】
《作業機制御方法》
図8は、第1の実施形態において設定された重量の区分を用いた介入制御処理を示すフローチャートである。作業機械100のオペレータが作業機械100の操作を開始すると、作業機制御装置150は、所定の制御周期ごとに以下に示す制御を実行する。
【0074】
操作量取得部1511は、操作装置126からブーム131に係る操作量、アーム132に係る操作量、バケット133に係る操作量、および旋回に係る操作量を取得する(ステップS31)。検出情報取得部1512は、位置方位演算器144、傾斜検出器145、ストローク検出器137のそれぞれが検出した情報を取得する(ステップS32)。
【0075】
バケット位置特定部1513は、各油圧シリンダのストローク長からブーム相対角α、アーム相対角β、およびバケット相対角γを算出する(ステップS33)。またバケット位置特定部1513は、算出した相対角α、β、γと、作業機械情報記憶部1551が記憶するブーム長L1、アーム長L2、バケット長L3およびバケット133の形状情報と、検出情報取得部1512が取得した旋回体120の位置、方位および姿勢とに基づいて、バケット絶対角ηおよび現場座標系におけるバケット133の刃先の位置を算出する(ステップS34)。
【0076】
距離特定部1515は、バケット133の刃先と目標施工データ記憶部1552が記憶する目標施工データが表す設計面との距離を特定する(ステップS35)。制御線決定部1516は、距離特定部1515が特定した距離に基づいて制御線を決定する(ステップS36)。
【0077】
バケット位置通知部1514は、バケット位置特定部1513が特定したバケット絶対角ηおよび刃先の位置、ならびに制御線決定部1516が決定した制御線を、入出力装置160に通知する(ステップS37)。
【0078】
目標速度演算部1517は、ステップS31で操作量取得部1511が取得した操作量に基づいて、目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度および目標バケット相対速度を算出する(ステップS38)。
【0079】
制御指令生成部1520は、距離特定部1515が特定した距離が所定距離未満であるか否かを判定する(ステップS39)。制御線とバケット133の刃先との距離が所定距離以上である場合(ステップS39:NO)、制御指令生成部1520は、介入制御を行わない。介入制御を行わない場合、制御指令生成部1520は、目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度および目標バケット相対速度に基づいて、ブーム131、アーム132およびバケット133の制御指令を生成する(ステップS40)。
【0080】
他方、制御線とバケット133の刃先との距離が所定距離未満である場合(ステップS39:YES)、制御指令生成部1520は、介入制御を行う。介入制御を行う場合、制御指令生成部1520は、距離特定部1515が特定した距離と作業機械情報記憶部1551に記憶されている上述の速度テーブルとに基づいてバケット絶対速度の許容上限値を特定する(ステップS41)。次に、制御指令生成部1520は、ステップS38で算出した目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度、および目標バケット相対速度の垂直方向成分に基づいて、目標バケット絶対速度を算出する(ステップS42)。次に、制御指令生成部1520は、ステップS13で算出した目標バケット絶対速度が、ステップS41で特定したバケット絶対速度の許容上限値未満であるか否かを判定する(ステップS43)。
【0081】
目標バケット絶対速度がバケット絶対速度の許容上限値未満である場合(ステップS43:YES)、制御指令生成部1520は、目標ブーム相対速度、目標アーム相対速度および目標バケット相対速度に基づいて、ブーム131、アーム132およびバケット133の制御指令を生成する(ステップS40)。他方、目標バケット絶対速度がバケット絶対速度の許容上限値以上である場合(ステップS43:NO)、パラメータ特定部1519は、パラメータ記憶部1553から、メインメモリ153が記憶する重量の区分に関連付けられた相関データを特定する(ステップS44)。そして、制御指令生成部1520は、特定した相関データ、および目標バケット絶対速度とバケット絶対速度との差分に基づいてブーム131、アーム132およびバケット133の制御指令を生成する(ステップS45)。
【0082】
制御指令生成部1520がブーム131、アーム132およびバケット133の制御指令を生成すると、制御指令出力部1521は、当該制御指令をコントロールバルブ124に出力する(ステップS46)。これにより、コントロールバルブ124は、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136を駆動させる。
【0083】
《バケットの表示方法》
図9は、第1の実施形態において特定されまたは入力されたバケットの寸法を用いた入出力装置による表示動作を示すフローチャートである。作業機械100のオペレータが作業機械100の操作を開始すると、入出力装置160は、所定の制御周期ごとに以下に示す制御を実行する。
【0084】
入出力装置160のバケット位置取得部1615は、作業機制御装置150からバケット絶対角η、バケット133の刃先の現場座標系における位置、および制御線を取得する(ステップS61)。バケット位置表示部1616は、バケット選択部1612に特定され、またはバケット情報入力部1611によって入力されたバケット133の寸法に基づいて、バケット133の画像を生成する(ステップS62)。バケット位置表示部1616は、生成した画像を、バケット絶対角ηに基づいて回転させる(ステップS63)。バケット位置表示部1616は、取得した刃先の位置および制御線を画像座標系に変換し、制御線を表す線分とバケット133の画像とを描画した画面データを生成する(ステップS64)。バケット位置表示部1616は、生成した画面データをタッチパネル169に出力する(ステップS65)。これにより、タッチパネル169には、バケット133と設計面の位置関係を表す画面が表示される。
【0085】
《作用・効果》
第1の実施形態の第1の設定方法によれば、制御装置(作業機制御装置150および入出力装置160)は、バケット133の種類情報の入力を受け付け、バケット情報記憶部1651によって、バケット133の重量の区分、またはバケット133の重量を特定することができる。そのため、オペレータは、バケット133を交換したときに、バケット133の重量の区分、またはバケット133の重量を特定する必要がない。これにより、オペレータは、バケット133の交換に伴う作業機130の設定を容易に実施することができる。
第1の実施形態の第2の設定方法によれば、制御装置(作業機制御装置150および入出力装置160)は、バケット133の種類情報の入力を受け付け、区分特定部1613、区分情報記憶部1652、仕様記憶部1653によって、バケット133の重量を特定することができる。そのため、作業機械の仕様によって、重量の区分が重量によって一意に決まらない場合であっても、オペレータは、バケット133の交換に伴う作業機130の設定を容易に実施することができる。
なお、第1の実施形態に係る制御装置においては、バケット133の種類情報をリストから選択するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置においては、バケット133の種類情報がテキスト入力されてもよい。
【0086】
また、第1の実施形態に係る制御装置は、バケット情報記憶部1651が記憶する情報において、入力された種類情報に関連付けられた重量を特定し、特定した重量に関連付けられた相関データに基づいてコントロールバルブ124の制御量を決定する。つまり、第1の実施形態に係る制御装置は、作業機械100の機種ごとに重量と相関データとの関係を記憶しておくことで、バケット133の設定を行うことができる。なお、他の実施形態においては、制御装置は、バケット133の種類情報と直接相関データとを直接関連付けたテーブルを記憶していてもよい。この場合、制御装置は、種類情報からバケット133の重量を特定する必要がない。また、他の実施形態の制御装置は、バケット133の種類情報と大、中、または小の重量の区分とを関連付けたテーブルを記憶していてもよい。また、他の実施形態において、制御装置は、バケット133の重量と制御量とを変数に持つ関数を用いることで、重量の区分を特定することなくバケット133を制御してもよい。
【0087】
また、第1の実施形態に係る制御装置においては、入出力装置160が、重量に基づいて大、中および小に係る重量の区分を特定し、作業機制御装置150が、当該区分に関連付けられた相関データに基づいてコントロールバルブ124の制御量を決定する。つまり、第1の実施形態に係る制御装置は、小、中および大の区分と相関データが関連付けられた従来の作業機制御装置150を変更することなく、バケット133の種類情報による設定を行うことができる。
【0088】
また、第1の実施形態に係る制御装置は、入力された種類情報に係るバケットの重量の入力を受け付け、バケット情報記憶部に、その種類情報と重量を関連付けて書き込む。これにより、制御装置は、バケットの種類情報および重量の入力を受け付けた以降、そのバケットの種類情報をリストに含めることができる。これにより、オペレータは、同じバケット133の2回目以降の交換時に、容易にバケット133の設定を行うことができる。なお、他の実施形態に係る制御装置は、予めバケット情報記憶部1651に複数のバケット133の情報を記憶させておき、新たなバケット133の情報の入力を受け付けないものであってもよい。
【0089】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る制御装置は、作業機制御装置150と入出力装置160の組み合わせによって実現されるが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置は、1つの装置によって実現されてもよいし、3つ以上の装置の組み合わせによって実現されてもよい。また、作業機制御装置150の機能と入出力装置160の機能の組み合わせも、第1の実施形態の例に限られない。例えば、第1の実施形態に係る制御装置においては、入出力装置160がバケット情報記憶部1651、区分情報記憶部1652、および仕様記憶部1653を備えるが、他の実施形態に係る制御装置においては、バケット情報記憶部1651、区分情報記憶部1652、仕様記憶部1653のいずれか、または全部を作業機制御装置150が備えてもよい。また、作業機制御装置150が作業機械情報記憶部1551、目標施工データ記憶部1552、パラメータ記憶部1553を備えるが、他の実施形態に係る制御装置においては、作業機械情報記憶部1551、目標施工データ記憶部1552、パラメータ記憶部1553のいずれか、または全部を入出力装置160が備えてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態に係る制御装置は、図8に示す介入制御と図9に示すバケットの表示制御とを行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置は、介入制御またはバケットの表示制御を行わないものであってもよい。制御装置が介入制御を行わない場合、作業機械100は、位置方位演算器144、傾斜検出器145、作業機制御装置150を備えなくてもよい。制御装置がバケットの表示制御を行わない場合、作業機械100は、入出力装置160を備えなくてもよい。
【0091】
また、他の実施形態に係る制御装置は、バケット133と設計面との関係を表示するものでなくてもよい。
【0092】
また、上述の実施形態に係るコントロールバルブ124は、制御線とアーム132とを描画した画像データの表示のために、アーム132の位置を車体座標系から現場座標系に変換するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、コントロールバルブ124は、目標施工データが示す設計面の位置を現場座標系から車体座標系に変換してもよい。また、他の実施形態においては、コントロールバルブ124は、制御線およびアーム132の位置を、他の座標系に変換してもよい。
【符号の説明】
【0093】
100…作業機械 110…走行体 120…旋回体 130…作業機 131…ブーム 132…アーム 133…バケット 134…ブームシリンダ 135…アームシリンダ 136…バケットシリンダ 124…コントロールバルブ 150…作業機制御装置 1511…操作量取得部 1512…検出情報取得部 1513…バケット位置特定部 1514…バケット位置通知部 1515…距離特定部 1516…制御線決定部 1517…目標速度演算部 1518…重量区分取得部 1519…パラメータ特定部 1520…制御指令生成部 1521…制御指令出力部 1551…作業機械情報記憶部 1552…目標施工データ記憶部 1553…パラメータ記憶部 160…入出力装置 1611…バケット情報入力部 1612…バケット選択部 1613…区分特定部 1614…区分通知部 1615…バケット位置取得部 1616…バケット位置表示部 1651…バケット情報記憶部 1652…区分情報記憶部 1653…仕様記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9