(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ガスバルブ装置
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20220602BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20220602BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F24C3/12 V
F24C15/00 S
F24C3/12 U
F23N5/26 U
(21)【出願番号】P 2018114718
(22)【出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 勇貴
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-60898(JP,A)
【文献】特開2017-15281(JP,A)
【文献】特開2012-42157(JP,A)
【文献】特開2016-38138(JP,A)
【文献】特開平10-111726(JP,A)
【文献】特開2004-85085(JP,A)
【文献】特開平6-50554(JP,A)
【文献】実開昭59-139996(JP,U)
【文献】国際公開第2014/155269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00 - 3/14
F24C 9/00 - 15/14
F23N 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスコンロのコンロ本体内に組み込まれ、内部にガス通路を有するバルブ装置本体と、
バルブ装置本体に回動可能に連結支持され、回動操作により火力を調節する火力調節レバーと、
火力調節レバーの前端部に設けられ、コンロ本体の前面に開設されたレバー挿通孔からコンロ本体の前方に突出する操作つまみと、を備えるガスバルブ装置において、
操作つまみは、レバー挿通孔よりも前方の上面部に、凸状の第1の堰部を有し、
操作つまみの第1の堰部よりも後方の上面部は、操作つまみの左右側縁の少なくともいずれか一方に向かって下方に傾斜する傾斜面を有するガスバルブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスバルブ装置において、
傾斜面は、操作つまみの上面部の左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜するガスバルブ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスバルブ装置において、
操作つまみは、第1の堰部よりも後方であって、レバー挿通孔よりも後方の上面部に、凸状の第2の堰部を有し、
傾斜面は、少なくとも第1の堰部と第2の堰部との間の上面部に形成されているガスバルブ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のガスバルブ装置において、
操作つまみは、第1の堰部と第2の堰部との間の上面部に、操作つまみの左右側縁間に亘って形成された溝部を有し、
溝部は、操作つまみの左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する底面を有するガスバルブ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバルブ装置において、
第1の堰部は、レバー挿通孔の上開口縁部と略一致する突出高さを少なくとも有するガスバルブ装置。
【請求項6】
ガスコンロのコンロ本体内に組み込まれ、内部にガス通路を有するバルブ装置本体と、
バルブ装置本体に回動可能に連結支持され、回動操作により火力を調節する火力調節レバーと、
火力調節レバーの前端部に設けられ、コンロ本体の前面に開設されたレバー挿通孔からコンロ本体の前方に突出する操作つまみと、を備えるガスバルブ装置において、
操作つまみは、レバー挿通孔よりも前方の上下面部の少なくともいずれか一方に、凸状の堰部を有し、
堰部は、レバー挿通孔の開口縁部と略一致する突出高さを少なくとも有するガスバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに組み込まれ、バーナへの燃料ガスの供給量を調節するガスバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブ装置本体に回動可能に連結支持された火力調節レバーを手動で回動させることで、バルブ装置本体内に組み込まれた弁体の開度が調節され、バーナへの燃料ガスの供給量が増減されるガスバルブ装置が知られている。この種のガスバルブ装置において、火力調節レバーの前端部に設けられる操作つまみは、コンロ本体の前面に開設されたレバー挿通孔からコンロ本体の前方に突出する。それゆえ、ガスコンロの天板上の調理具からの煮こぼれがコンロ本体の前面へ流下した場合、煮こぼれが操作つまみを伝ってレバー挿通孔からコンロ本体内の奥部まで侵入し、バルブ装置本体や電装部に付着してガスコンロの動作不良を招く虞がある。
【0003】
上記観点から、操作つまみや火力調節レバーの上面部に凸状の堰部を設け、操作つまみに煮こぼれや油などの液状物が流下しても、堰部により液状物を堰き止めるガスバルブ装置が提案されている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-060898号公報
【文献】特開2013-155920号公報
【文献】特開2017-215107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のガスバルブ装置のように、操作つまみや火力調節レバーの上面部に堰部が設けられていても、一度に大量の液状物が操作つまみに流下したり、液状物が角度をもって操作つまみに流下したりすると、液状物は堰部を越えてコンロ本体内の奥部まで侵入する虞がある。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ガスコンロに組み込まれるガスバルブ装置において、操作つまみへの液状物の流下に起因するガスコンロの動作不良を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
ガスコンロのコンロ本体内に組み込まれ、内部にガス通路を有するバルブ装置本体と、
バルブ装置本体に回動可能に連結支持され、回動操作により火力を調節する火力調節レバーと、
火力調節レバーの前端部に設けられ、コンロ本体の前面に開設されたレバー挿通孔からコンロ本体の前方に突出する操作つまみと、を備えるガスバルブ装置において、
操作つまみは、レバー挿通孔よりも前方の上面部に、凸状の第1の堰部を有し、
操作つまみの第1の堰部よりも後方の上面部は、操作つまみの左右側縁の少なくともいずれか一方に向かって下方に傾斜する傾斜面を有するガスバルブ装置が提供される。
【0008】
上記ガスバルブ装置によれば、操作つまみの上面部に設けられた第1の堰部は、レバー挿通孔よりも前方に設けられており、第1の堰部よりも後方には、操作つまみの左右側縁の少なくともいずれか一方に向かって下方に傾斜する傾斜面が形成されているから、操作つまみに流下した液状物が第1の堰部を越えても、液状物は傾斜面を伝って操作つまみの左右少なくともいずれか一方の側縁に導かれ、コンロ本体内に流下する。そのため、傾斜面よりも後方のコンロ本体内への液状物の侵入を防止することができるとともに、コンロ本体内の特定位置に液状物を流下させることができる。
【0009】
好ましくは、上記ガスバルブ装置において、
傾斜面は、操作つまみの上面部の左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する。
【0010】
上記ガスバルブ装置によれば、傾斜面は操作つまみの上面部の左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜するから、操作つまみに流下した液状物が第1の堰部を越えても、液状物は上面部の左右に傾斜する傾斜面に導かれて、コンロ本体内に分散して流下する。そのため、傾斜面よりも後方のコンロ本体内への液状物の侵入を防止することができるとともに、コンロ本体内への特定位置に液状物を分散させて流下させることができる。
【0011】
好ましくは、上記ガスバルブ装置において、
操作つまみは、第1の堰部よりも後方であって、レバー挿通孔よりも後方の上面部に、凸状の第2の堰部を有し、
傾斜面は、少なくとも第1の堰部と第2の堰部との間の上面部に形成される。
【0012】
上記ガスバルブ装置によれば、第1の堰部よりも後方であって、レバー挿通孔よりも後方の上面部に第2の堰部が設けられているから、操作つまみに流下した液状物が第1の堰部を越えても、第2の堰部で堰き止められる。また、少なくとも第1の堰部と第2の堰部との間の上面部は傾斜面に形成されているから、第2の堰部によって堰き止められた液状物を第1の堰部と第2の堰部との間の上面部からコンロ本体内の特定位置に流下させることができる。
【0013】
好ましくは、上記ガスバルブ装置において、
操作つまみは、第1の堰部と第2の堰部との間の上面部に、操作つまみの左右側縁間に亘って形成された溝部を有し、
溝部は、操作つまみの左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する底面を有する。
【0014】
上記ガスバルブ装置によれば、第1の堰部と第2の堰部との間には、操作つまみの左右側縁間に亘って溝部が形成され、溝部は左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する底面を有するから、液状物が第1の堰部を越えても、液状物は溝部に集められ、溝部に沿ってコンロ本体内の特定位置に流下する。そのため、第2の堰部よりも後方への液状物の侵入を防止することができるとともに、コンロ本体内への特定位置に液状物を流下させることができる。
【0015】
好ましくは、上記ガスバルブ装置において、
第1の堰部は、レバー挿通孔の上開口縁部と略一致する突出高さを少なくとも有する。
【0016】
上記ガスバルブ装置によれば、第1の堰部とレバー挿通孔の上開口縁部との隙間からコンロ本体内に侵入する液状物を確実に防ぐことができる。
【0017】
本発明の他の局面によれば、
ガスコンロのコンロ本体内に組み込まれ、内部にガス通路を有するバルブ装置本体と、
バルブ装置本体に回動可能に連結支持され、回動操作により火力を調節する火力調節レバーと、
火力調節レバーの前端部に設けられ、コンロ本体の前面に開設されたレバー挿通孔からコンロ本体の前方に突出する操作つまみと、を備えるガスバルブ装置において、
操作つまみは、レバー挿通孔よりも前方の上下面部の少なくともいずれか一方に、凸状の堰部を有し、
堰部は、レバー挿通孔の開口縁部と略一致する突出高さを少なくとも有するガスバルブ装置が提供される。
【0018】
上記ガスバルブ装置によれば、操作つまみの上下面部の少なくともいずれか一方に、レバー挿通孔の開口縁部と略一致する突出高さを少なくとも有する凸状の堰部が形成されているから、操作つまみとレバー挿通孔の開口縁部との隙間からコンロ本体内に侵入する液状物を確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、操作つまみに大量の液状物が流下したり、液状物が角度をもって操作つまみに流下したりした場合でも、液状物がコンロ本体内の奥部まで侵入することを防止できる。従って、本発明によれば、液状物がバルブ装置本体や電装部に付着することによるガスコンロの動作不良を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置が組み込まれたガスコンロの概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の側方視概略縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の操作つまみを示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の操作つまみを示す側方視概略縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の操作つまみの変形例1を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の操作つまみの変形例1を示す側方視概略縦断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態1に係るガスバルブ装置の操作つまみの変形例2を示す側方視概略縦断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態2に係るガスバルブ装置の操作つまみを示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態2に係るガスバルブ装置の操作つまみを示す側方視概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るガスバルブ装置を説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るガスバルブ装置1は、例えば、キッチンのテーブル等に載置して使用される所謂据置式のガスコンロ4のコンロ本体40内に組み込まれる。ガスバルブ装置1は、図示しないガス配管からコンロ本体40の天板41に配されたバーナ5への燃料ガスの供給量を調節する。
【0022】
コンロ前面42には、バーナ5の点火や消火を行うための点消火操作子44が設けられている。なお、本明細書では、コンロ前面42をガスコンロ4の正面とし、コンロ本体40を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0023】
天板41の上面におけるバーナ5の配設位置には、鍋やフライパン等の調理具を支持する五徳51が載置されており、バーナ5は、ガスバルブ装置1を介して供給される燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼させて、五徳51上に載置された調理具を下方から加熱する。
【0024】
図2及び
図3に示すように、ガスバルブ装置1は、内部にガス通路100を有するバルブ装置本体10と、バルブ装置本体10に対して左右方向に回動可能に連結支持される火力調節レバー11と、火力調節レバー11のアーム部110のレバー前端部112に装着される樹脂製の操作つまみ12と、バルブ装置本体10に対して前後方向に摺動可能に支持される開閉ボタン13とを備える。ガスバルブ装置1は、操作つまみ12がコンロ前面42に開設されたレバー挿通孔43を介してコンロ本体40内から前方に突出し、開閉ボタン13がコンロ前面42に設けられた点消火操作子44の後方に位置する状態で、コンロ本体40に支持固定されている。
【0025】
図3に示すように、バルブ装置本体10内には、火力調節レバー11の回動操作に連動してガス通路100の通路面積を大小変更させる弁体としてのニードル弁14と、ガス通路100内の圧力変動を減衰させるガバナ弁15と、開閉ボタン13の前後の移動に連動して開閉する主弁16と、開閉ボタン13が後方へ押されることで開き、対応するバーナ5で炎が検出されなくなれば閉じる電磁弁17とが組み込まれている。
【0026】
火力調節レバー11は、バルブ装置本体10の上部から前方へ延出する長尺平板形状のアーム部110を有する。アーム部110の後端部111は、左右水平方向に所定の範囲内で回動可能にバルブ装置本体10の上部に連結支持されており、アーム部110の前端部であるレバー前端部112に操作つまみ12が装着されている。また、ニードル弁14は、アーム部110の略中央にリンクピン113を介して連結されている。
【0027】
図2から
図5に示すように、操作つまみ12は、後端にレバー前端部112が差し込まれる差込口120が開口する中空の長尺平板形状を有する。操作つまみ12内に形成された中空部20の下部構成壁には、レバー前端部112の下面に形成された係合突起115を嵌入させる係合孔125が形成されている。従って、レバー前端部112が差込口120から中空部20の所定位置まで差し込まれると、係合突起115が係合孔125に嵌まり込み、操作つまみ12が火力調節レバー11に対して抜け止め状態で固定される。
【0028】
操作つまみ12の前方部12Aは、後方部12Bより幅狭に形成されている。操作つまみ12のつまみ上面部121には、操作つまみ12に流下した煮こぼれや油などの液状物がつまみ上面部121を伝ってレバー挿通孔43からコンロ本体40内の奥部に侵入するのを堰き止めるための上方に凸の第1の堰部21及び第2の堰部22が形成されている。なお、図示しないが、コンロ本体40内における操作つまみ12の下方には、操作つまみ12を伝ってコンロ本体40内に侵入し、操作つまみ12から流下する液状物を受けるための皿状のカバー部材が設けられている。
【0029】
第1の堰部21及び第2の堰部22はいずれも、操作つまみ12の左右側縁間全体に亘ってリブ状に形成されている。
図2及び
図3に示すように、第1の堰部21は、つまみ上面部121におけるレバー挿通孔43よりも前方に位置するように設けられ、第2の堰部22は、コンロ本体40内であって、差込口120よりも前方に位置するように設けられている。
【0030】
第2の堰部22の突出高さは、第1の堰部21よりも低く設定されている。また、第1の堰部21の突出高さH1は、つまみ上面部121からレバー挿通孔43の上開口縁部431までの上下方向の離間距離H2と略同一に設定されている。すなわち、コンロ本体40を正面側から見たときに、第1の堰部21は、上開口縁部431と略一致する突出高さを有するように形成されている。なお、第1の堰部21は、レバー挿通孔43よりも前方に位置するため、天板41の前端下面より下方であれば、上開口縁部431よりも上方に突出する高さを有してもいてもよい。
【0031】
第1の堰部21よりも後方のつまみ上面部121は、操作つまみ12の左右中央部から左右両側縁に向かって所定の角度(例えば、5~10度)、下方に傾斜するように前方視断面略逆V字状の傾斜面24で形成されている。なお、傾斜面24は、第1の堰部21と第2の堰部22との間のつまみ上面部121のみに形成されてもよいし、操作つまみ12の左右側縁のいずれか一方から他方の側縁に向かって下方に傾斜するように形成されてもよい。
【0032】
図5に示すように、操作つまみ12の前方部12Aの下面には、周縁部を除く略全域に亘って所定深さの凹部25が形成されている。操作つまみ12のつまみ下面部122の前方側に凹部25を設けることにより、液状物が操作つまみ12の前方部12Aのつまみ上面部121からつまみ下面部122に流下しても、つまみ下面部122を伝って後方に流れるのを防止することができる。
【0033】
上記ガスバルブ装置1によれば、レバー挿通孔43よりも前方のつまみ上面部121に上開口縁部431と略一致する突出高さを有する第1の堰部21が形成されているから、天板41上から操作つまみ12に大量の液状物が流下してきたり、液状物が角度をもって操作つまみ12に流下してきたりしても、液状物が操作つまみ12とレバー挿通孔43の上開口縁部431との隙間からコンロ本体40内に侵入することを防止できる。
【0034】
また、上記ガスバルブ装置1によれば、レバー挿通孔43よりも前方のつまみ上面部121に第1の堰部21が設けられ、第1の堰部21よりも後方には、左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する傾斜面24が形成されているから、つまみ上面部121上に流下した液状物が第1の堰部21を越えてコンロ本体40内に侵入しても、液状物は傾斜面24を伝って操作つまみ12の左右両側縁からコンロ本体40内に流下する。従って、傾斜面24よりも後方のコンロ本体40内への液状物の侵入を防止することができる。また、コンロ本体40内の特定位置に液状物を流下させることができるから、コンロ本体40内における操作つまみ12の下方に上記カバー部材を設けることにより、液状物を回収することができ、バルブ装置本体10への液状物の飛散を防止できる。また、傾斜面24はつまみ上面部121の左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜するから、液状物が第1の堰部21を越えても、液状物はつまみ上面部121に形成された左右の傾斜面24に導かれて、コンロ本体40内に分散して流下する。そのため、カバー部材で回収される液状物の部分的な堆積も防止できる。
【0035】
また、上記ガスバルブ装置1では、つまみ上面部121における第1の堰部21よりも後方のコンロ本体40内に第2の堰部22が設けられているから、つまみ上面部121上に流下した液状物が第1の堰部21を越えてコンロ本体40内に侵入しても、液状物は第2の堰部22によって堰き止められる。そして、第1の堰部21と第2の堰部22との間のつまみ上面部121には左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する傾斜面24が形成されているから、第2の堰部22で堰き止められた液状物がコンロ本体40の奥部に侵入する前につまみ上面部121から下方のカバー部材上に流下させることができる。
【0036】
図6及び
図7は、本実施の形態の変形例1を示す説明図である。この操作つまみ12は、つまみ上面部121であって、第2の堰部22の前方下縁部に、操作つまみ12の左右側縁間全体に亘って凹状の溝部26を有する。図示しないが、この溝部26の底面は、左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜するように形成されている。
【0037】
このガスバルブ装置1によれば、第1の堰部21と第2の堰部22との間に操作つまみ12の左右側縁間全体に亘って溝部26が形成され、溝部26は左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する底面を有するから、第1の堰部21を越えた液状物の一部が第1の堰部21と第2の堰部22との間に形成された傾斜面24から流下しきらず、第2の堰部22まで到達しても、液状物は溝部26に集められ、溝部26に沿ってコンロ本体40内のカバー部材上に流下する。そのため、第2の堰部22よりも後方のコンロ本体40内への液状物の侵入をより確実に防止することができる。また、溝部26からコンロ本体40内の特定位置に液状物を流下させることができるから、溝部26を含む操作つまみ12の下方にカバー部材を設けることにより、バルブ装置本体10への液状物の飛散を確実に防止することができる。なお、溝部26は、第1の堰部21と第2の堰部22との間であれば、第1の堰部21近傍に形成されてもよい。
【0038】
図8は、本実施の形態の変形例2を示す説明図である。この操作つまみ12は、第1の堰部21より後方のつまみ上面部121が後方から前方に向かって下方に傾斜する傾斜面27を有する。
【0039】
このガスバルブ装置1によれば、第1の堰部21よりも後方のつまみ上面部121が後方から前方に向かって下方に傾斜しているから、傾斜面27により第1の堰部21を越えた液状物の勢いが減衰され、液状物は第1の堰部21と第2の堰部22との間の左右両側縁からコンロ本体40内に流下する。そのため、第2の堰部22よりも後方のコンロ本体40内への液状物の侵入をより確実に防止することができる。
【0040】
従って、本実施の形態のガスバルブ装置1によれば、液状物がコンロ本体40内の奥部まで侵入し難く、液状物がバルブ装置本体10や電装部に付着することに起因するガスコンロ4の動作不良をより確実に防止できる。
【0041】
(実施の形態2)
図9及び
図10は、本実施の形態のガスバルブ装置1の一部を示す概略説明図である。このガスバルブ装置1は、操作つまみ12の構成が相違する以外は、実施の形態1と同一の構成を有する。
【0042】
この操作つまみ12は、操作つまみ12の前方部12Aの下面に凹部25が形成されておらず、つまみ下面部122における第1の堰部21の上下対称位置に下方に凸の第3の堰部23を有する。第3の堰部23は、操作つまみ12の左右側縁間全体に亘ってリブ状に形成されている。また、第1の堰部21よりも後方のつまみ上面部121は、平面状に形成されている。
【0043】
また、第1の堰部21の突出高さH1は、つまみ上面部121からレバー挿通孔43の上開口縁部431までの上下方向の離間距離H2と略同一に設定されており、第3の堰部23の突出高さH3は、つまみ下面部122からレバー挿通孔43の下開口縁部432までの上下方向の離間距離H4と略同一に設定されている。すなわち、コンロ本体40を正面側から見たときに、第1の堰部21及び第3の堰部23はそれぞれ、上開口縁部431及び下開口縁部432と略一致する突出高さを有するように形成されている。なお、第1の堰部21及び第3の堰部23はいずれも、レバー挿通孔43よりも前方に位置するため、上開口縁部431及び下開口縁部432よりも上下方向に突出する突出高さを有していてもよい。
【0044】
上記ガスバルブ装置1によれば、レバー挿通孔43よりも前方のつまみ上面部121に上開口縁部431と略一致する突出高さを有する第1の堰部21が形成され、レバー挿通孔43よりも前方のつまみ下面部122に下開口縁部432と略一致する突出高さを有する第3の堰部23が形成されているから、天板41上から操作つまみ12に大量の液状物が流下したり、液状物が角度をもって操作つまみ12に流下したりしても、液状物が操作つまみ12とレバー挿通孔43の上開口縁部431及び下開口縁部432との隙間からコンロ本体40内に侵入することを確実に防ぐことができる。
【0045】
従って、本実施の形態のガスバルブ装置1によれば、液状物がコンロ本体40内の奥部まで侵入し難く、液状物がバルブ装置本体10や電装部に付着することに起因するガスコンロ4の動作不良をより確実に防止できる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、レバー挿通孔43よりも前方に第1の堰部21及び第3の堰部23の両方が形成されているが、レバー挿通孔43の大きさに応じて、第1の堰部21または第3の堰部23のいずれか一方の堰部のみが形成されてもよい。また、第1の堰部21及び第3の堰部23は、レバー挿通孔43よりも前方であれば、上下非対称の位置に形成されてもよい。また、操作つまみ12の左右側面にも堰部を形成し、第1の堰部21と第3の堰部23とが繋がった鍔状の堰部が形成されてもよい。
【0047】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態1では、第1の堰部21及び第2の堰部22が形成されているが、実施の形態2と同様に、第3の堰部23が形成されてもよい。
(2)上記実施の形態2では、第1の堰部21よりも後方のつまみ上面部121は平面状に形成されているが、実施の形態1と同様に、第1の堰部21よりも後方のつまみ上面部121は左右中央部から左右両側縁に向かって下方に傾斜する傾斜面に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ガスバルブ装置
10 バルブ装置本体
11 火力調節レバー
112 レバー前端部
12 操作つまみ
121 つまみ上面部
21 第1の堰部
22 第2の堰部
23 第3の堰部
24 傾斜面
4 ガスコンロ
40 コンロ本体
42 コンロ前面
43 レバー挿通孔