(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】賞品払出機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
A63F7/02 354
(21)【出願番号】P 2018153667
(22)【出願日】2018-08-17
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 浩章
(72)【発明者】
【氏名】喜多村 雅志
(72)【発明者】
【氏名】村山 慶恵
(72)【発明者】
【氏名】上原 信哉
【審査官】島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-143004(JP,A)
【文献】特開2008-079791(JP,A)
【文献】特開2003-058137(JP,A)
【文献】特開2001-195049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を有し、賞品を収納する本体と、
前記天板の上面に設けられ、前記本体内の賞品を払い出すための払出口と、
前記天板の上面に設けられて賞品の情報を表示する表示部と、
前記払出口に払い出された賞品を当該払出口から取り出す取出し操作を、前記本体の一方側か
ら行う第一運用と、
前記払出口に払い出された賞品を当該払出口から取り出す取出し操作を、前記本体の他方側か
ら行う第二運用とについて選択を受け付ける受付部と、
前記受付部が選択を受け付けた場合に、前記第一運用および前記第二運用のうち選択された運用に応じて前記表示部における表示態様を変更する制御部とを含む、賞品払出機。
【請求項2】
前記制御部が、前記第二運用が選択されている場合に前記表示部に表示する情報を、前記表示部において反転表示する、請求項1に記載の賞品払出機。
【請求項3】
前記第二運用が選択されている場合に、前記制御部が、前記第一運用の選択時に前記表示部に表示される所定の情報を前記表示部に表示しない、請求項1または2に記載の賞品払出機。
【請求項4】
前記賞品払出機における異常を検出する異常検出部と、
前記第二運用が選択されている場合に前記異常検出部が異常を検出すると、異常発生を報知する報知部とをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の賞品払出機。
【請求項5】
前記第二運用が選択されている場合に前記異常検出部が異常を検出すると、前記制御部が、異常に関する情報を、前記第一運用が選択されている場合の表示態様に切り換えて前記表示部に表示する、請求項4に記載の賞品払出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、賞品払出機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パチンコ店等の遊技施設に設置される物品払出装置が開示されている。この物品払出装置は、遊技客向けの賞品を収納する収納ユニットと、収納ユニットから賞品を繰り出して機外へ払い出す繰出払出ユニットとを含む。繰出払出ユニットは、その外殻をなすユニット本体を含み、ユニット本体の上面には、収納ユニット内の賞品が払い出される複数の払出口と、各払出口を開閉する複数のシャッターとが設けられている。各シャッターの上面には、液晶画面等によって構成された表示部が設けられ、表示部には、これから払い出される賞品の色および枚数といった払出情報が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品払出装置のような賞品払出機では、遊技施設の店員が払出口から払い出された賞品を一旦受け取ってから遊技客に手渡しする運用だけでなく、遊技客自身が払出口から賞品を受け取る等の別の運用が想定される。この場合において、賞品払出機では、複数の運用のそれぞれに適した情報を表示部に表示できることが望まれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、複数の運用のそれぞれに適した情報を表示部に表示できる賞品払出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、天板を有し、賞品を収納する本体と、前記天板の上面に設けられ、前記本体内の賞品を払い出すための払出口と、前記天板の上面に設けられて賞品の情報を表示する表示部と、前記本体の一方側から操作を行う第一運用と、前記本体の他方側から操作を行う第二運用とについて選択を受け付ける受付部と、前記受付部が選択を受け付けた場合に、前記第一運用および前記第二運用のうち選択された運用に応じて前記表示部における表示態様を変更する制御部とを含む、賞品払出機である。前記第一運用が、前記払出口に払い出された賞品を当該払出口から取り出す取出し操作を、前記本体の一方側から行う運用であってもよい。前記第二運用が、前記払出口に払い出された賞品を当該払出口から取り出す取出し操作を、前記本体の他方側から行う運用であってもよい。
【0007】
また、本発明は、前記制御部が、前記第二運用が選択されている場合に前記表示部に表示する情報を、前記表示部において反転表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記第二運用が選択されている場合に、前記制御部が、前記第一運用の選択時に前記表示部に表示される所定の情報を前記表示部に表示しないことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記賞品払出機が、前記賞品払出機における異常を検出する異常検出部と、前記第二運用が選択されている場合に前記異常検出部が異常を検出すると、異常発生を報知する報知部とをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第二運用が選択されている場合に前記異常検出部が異常を検出すると、前記制御部が、異常に関する情報を、前記第一運用が選択されている場合の表示態様に切り換えて前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本体の天板の上面に設けられた払出口から本体内の賞品を払い出す賞品払出機の運用には、本体の一方側から操作を行う第一運用と、前記一方側とは反対の他方側から操作を行う第二運用とがある。賞品払出機では、天板の上面に設けられた表示部における表示態様が、第一運用および第二運用のうち選択された運用に応じて変更される。そのため、賞品払出機の表示部には、第一運用および第二運用という複数の運用のそれぞれに適した情報を表示できる。
【0012】
また、本発明によれば、第二運用が選択されている場合には、情報が表示部において反転表示される。そのため、使用者が表示部に臨む向きが互いに逆になる第一運用および第二運用のそれぞれにおいて、表示部では、使用者が見やすい向きにて情報を表示できる。
【0013】
また、本発明によれば、第二運用が選択されている場合には、第一運用の選択時に表示部に表示される情報のうち、第二運用では使用者(例えば遊技客)に見せなくてもよい所定の情報が、表示部に表示されない。そのため、賞品払出機の表示部には、第一運用および第二運用という複数の運用のそれぞれに適した情報を表示できる。
【0014】
また、本発明によれば、賞品払出機では、第二運用が選択されている場合に異常が検出されると、異常発生が報知される。そのため、第二運用において遊技店の店員が賞品払出機の周辺に常駐しない場合であっても、店員は、異常発生の報知に応じて賞品払出機まで駆け付けて、賞品払出機の異常を速やかに解消することができる。
【0015】
また、本発明によれば、賞品払出機では、第二運用が選択されている場合に異常が検出されると、異常に関する情報が、第一運用が選択されている場合(店員が賞品払出機の周辺に常駐して一方側から操作する場合)の表示態様に切り換えて表示部に表示される。そのため、異常発生の報知に応じて賞品払出機の一方側に駆け付けた店員は、表示部において店員へ向けて表示された異常に関する情報に基いて、賞品払出機の異常を速やかに解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出システムの模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、賞品払出システムに用いられる通い箱の斜視図である。
【
図3】
図3は、賞品払出システムを構成する賞品払出機における収納部の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、賞品の識別計数処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。
【
図5】
図5は、収納部の内部の模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、収納部における繰出払出部の模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、賞品払出機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、賞品の補充処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。
【
図9】
図9は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、賞品払出機の天板のシャッターの開閉に関して賞品払出機において実施される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、賞品払出機の店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、賞品の繰出払出処理が可能な状態における賞品払出機の内部の模式的な右側面図である。
【
図13】
図13は、賞品払出機において実施される払出処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、賞品払出機の天板の一部を示す模式的な平面図である。
【
図15】
図15は、天板に設けられた表示部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、表示部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、表示部の表示内容の一例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図19】
図19は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図21】
図21は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図22】
図22は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【
図23】
図23は、店側表示部における表示内容の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出システム1の模式的な斜視図である。賞品払出システム1は、例えばパチンコ店等の遊技店に設置され、賞品管理機2と賞品払出機3とを含む。賞品管理機2は、特殊賞品と呼ばれる賞品Pや、菓子等の一般賞品の在庫等を管理するPOS端末であって、遊技店における受付カウンターC上に設置される。
【0018】
賞品Pの一例は、例えば数ミリ程度の厚さを有するカードである。この実施形態では、大賞品、中賞品および小賞品といった、金銭価値に応じた3種類の賞品Pが登場するが、大賞品よりも金銭価値の高い特大賞品が存在してもよい。賞品Pの表面の色は、賞品Pの種類毎に異なっている。一例として、大賞品の表面は赤色であり、中賞品の表面は青色であり、小賞品の表面は黄色である。賞品Pは、通い箱4に収容された状態にて市場に流通する。
【0019】
賞品払出機3は、賞品Pを払い出す装置であり、受付カウンターCのフロアにおいて賞品管理機2に隣接して配置されている。なお、賞品払出機3は、受付カウンターC上に設置される卓上タイプであってもよい。賞品払出機3は、賞品Pを保管する機能を有する賞品保管機でもあり、LAN(図示せず)等を介して賞品管理機2に対して通信可能に接続されている。なお、
図1では、1台の賞品管理機2と1台の賞品払出機3が接続されることによって賞品払出システム1を構成しているが、賞品払出システム1では、複数台の賞品管理機2が1台の賞品払出機3に接続されてもよいし、逆に、複数台の賞品払出機3が1台の賞品管理機2に接続されてもよい。複数台の賞品払出機3が存在する場合には、1台の賞品払出機3が親機となり、残りの賞品払出機3が子機として親機に対して通信可能に接続されてもよい。
【0020】
賞品払出機3から賞品Pを払い出す際には、遊技店において受付カウンターCを担当する店員が、賞品管理機2に設けられたキーボードやタッチパネル等の操作部2Aを操作する。すると、賞品管理機2が賞品払出機3に対して賞品Pを払い出すよう指示(以下では「払出指示」という。)を送るので、賞品払出機3は、遊技店と遊技客との間における賞品払出についての1回の取引として、払出指示に応じた種類および個数の賞品Pを払い出す。これに応じて、賞品管理機2は、賞品Pの在庫を更新する。一方、遊技客によってパチンコ玉等の遊技媒体と一般賞品との交換を依頼された店員は、指定された一般賞品を操作部2Aの操作によって選択してから、この一般賞品を遊技客に手渡す。賞品管理機2は、操作部2Aの操作に応じて、この一般賞品の在庫を更新する。以下では、店員および遊技客を「使用者」と総称することがある。
【0021】
賞品払出機3は、その外殻をなすボックス状に形成された本体11と、本体11内に設けられた複数(ここでは3つ)の収納部12とを含む。なお、
図1の紙面の左右方向は、賞品払出機3の左右方向Xと一致し、
図1の紙面に略直交する方向は、賞品払出機3の前後方向Yと一致し、
図1の紙面の上下方向は、賞品払出機3の上下方向Zと一致している。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含み、前後方向Yは、
図1の紙面の手前側に一致した前側Y1と、
図1の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含み、上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。前側Y1は、本体11の一方側であり、後側Y2は、本体11の他方側である。店員は、本体11の前側Y1に位置して接客を行い、遊技客は、本体11の後側Y2に位置して賞品Pの払い出しを受ける。そのため、取引時における賞品払出機3は、店員と遊技客との間に配置される。
【0022】
本体11は、天板13と、この天板13を支持する左右一対の側板14とを有している。天板13の下面には、前後方向Yにスライド可能な複数(例えば収納部12と同数)の補助テーブル15が、左右方向Xに並んで設けられている。前側Y1へ引き出された補助テーブル15は、天板13を拡張するために機能するので、店員は、天板13を広く使用することができる。これらの補助テーブル15の下面には、前後方向Yにスライド可能な1つの引出し16が設けられている。引出し16には、事務用品等の備品や、遊技店内の機器についての取扱説明書等の書類が収納される。本体11には、その前面11Aのほぼ全域に亘る開口11Bが形成されている。開口11Bの上縁は、引出し16によって仕切られている。開口11Bは、本体11の内部空間に連通している。
【0023】
天板13は、透明な板であり、より具体的にはアクリル板である。天板13の上面は、本体11の天面を構成している。天板13の上面は、その略前半分を占める水平面である払出面13Aと、払出面13Aの後側Y2において左右方向Xに延び、払出面13Aよりも一段高い段部13Bとを含む。払出面13Aにおける後寄りの領域には、左右方向Xに長手の払出領域13Cが複数設けられている。払出領域13Cは、天板13を上下に貫通した開口であって収納部12と同数(ここでは3つ)存在し、左右方向Xに並んで配置されている。
【0024】
賞品払出機3は、払出領域13Cを開閉する開閉部材の一例としてのシャッター17と、受付部の一例としての店側表示部18と、客側表示部19とをさらに含む。シャッター17は、複数、具体的には払出領域13Cと同数存在し、天板13に設けられている。各シャッター17は、シャッター17は、左右方向Xに長手の板状に形成されている。各シャッター17は、対応する払出領域13Cを閉じた閉位置(
図1参照)と、段部13B内に後退して払出領域13Cを開いた開位置(後述する
図12参照)との間で前後方向Yにスライド可能である。各シャッター17は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力によって開閉される。なお、例えば回転動作によって払出領域13Cを開閉する例えば円筒状の開閉部材を、板状のシャッター17の代わりに用いてもよい。
【0025】
店側表示部18は、例えば液晶のタッチパネルによって構成され、段部13Bに固定されて受付カウンターCの店員側(前側Y1)に臨んでいる。店側表示部18には、店員向けの情報や様々なタッチキー(後述する)が表示される。客側表示部19は、店側表示部18と同様のタッチパネルによって構成され、段部13Bに固定されている。客側表示部19は、パチンコ玉等の遊技媒体と賞品Pとの交換のために受付カウンターCに来る遊技客側(後側Y2)に臨んでいる。なお、店側表示部18および客側表示部19は、本体11に対して着脱可能である。
【0026】
収納部12は、賞品Pを通い箱4ごと収納するものである。この実施形態では、3つの収納部12が左右方向Xに並んでいる。
図1に示すように本体11内に目一杯収容された状態における収納部12は、前後方向Yにおける収容位置にある。
図1に示すように全ての収納部12が収容位置にある場合には、これらの収納部12の前面が、面一となって開口11Bを塞いだ状態にて、本体11から前側Y1に露出されている。収容位置にある各収納部12の真上には、本体11の払出面13Aにおけるいずれか1つの払出領域13Cが位置している。
【0027】
各収納部12は、前述した収容位置から、前側Y1の引出位置へ前後方向Yに引き出し可能である。店員は、各収納部12の前面に設けられた取っ手12Aを操作することによって、収納部12を引出位置まで引き出したり、収容位置まで押し込んだりすることができる。なお、収納部12の移動は、店員の手動によって行われてもよいし、本体11内に設けられたDCモータやステッピングモータ等を含む搬送機構30(後述する
図7を参照)が収納部12を自動搬送してもよい。その場合、例えば店員が取っ手12Aを手前に引くと搬送機構30が収納部12を前側Y1へ自動搬送し、店員が取っ手12Aを後側Y2に押すと搬送機構30が収納部12を後側Y2へ自動搬送する。収納部12は、収容位置から引出待機位置(図示せず)まで一旦前進してから引出位置まで引き出されてもよい。本体11には、各収納部12を収容位置においてロックしたり、そのロックを解除したりするロック機構20(
図7を参照)が設けられている。ロック機構20として、公知の構成を用いることができる。
【0028】
収納部12について詳しく説明するのに先立って、通い箱4について説明する。
図2は、通い箱4の斜視図である。通い箱4は、所定方向(
図2では左右方向)に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱4は、対向配置された一対の側壁21と、一対の側壁21間に架設された少なくとも2つ(
図2では6つ)の区画壁22と、通い箱4の底をなす1つの閉塞壁23とを一体的に含む。
【0029】
一対の側壁21は、通い箱4の長手方向Lに長手となった略長方形の板状に形成されていて、それぞれの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁21の対向方向は、通い箱4において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱4の深さ方向Dは、長手方向Lおよび短手方向Sの両方に直交している。
【0030】
各区画壁22は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。2つの区画壁22が、一対の側壁21において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残り4つの区画壁22が、長手方向Lに等間隔にて並んだ状態で一対の側壁21の途中部間に架設されている。そのため、通い箱4には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間24が、長手方向Lに等間隔にて並んで形成されている。
【0031】
閉塞壁23は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。閉塞壁23は、深さ方向Dにおける一方側(
図2では下側)から各側壁21および各区画壁22に対して接続されていて、各収容空間24を当該一方側から塞いでいる。各収容空間24において深さ方向Dにおける他方側(
図2では上側)の端部は、略矩形状の出入口25として、当該他方側へ開放されている。
【0032】
通い箱4は、出入口25とは別に設けられた開口部26を含む。開口部26は、長手方向Lにおいて各収容空間24と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部26は、短手方向Sにおける通い箱4の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部26は、長手方向Lで同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱4の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部26は、収容空間24を外部に露出させるスリット状であり、短手方向Sにおける閉塞壁23の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁21を深さ方向Dに沿って切り欠いて、出入口25の手前まで直線状に延びている。なお、開口部26の形状は、任意に変更できる。
【0033】
賞品Pを収容して流通しているときの通い箱4の姿勢は、
図2に示すように各出入口25が上を向いた基本姿勢である。賞品Pは、出入口25を介して各収容空間24に収容される。各収容空間24の大きさが等しいので、賞品Pは、所定数ずつ(この実施形態では20枚ずつであり、通い箱4全体では合計100枚)、各収容空間24に収容される。複数の賞品Pは、それぞれの板厚方向が短手方向Sと一致して閉塞壁23から起立した姿勢をとり、各収容空間24に積層状態にて収容され、その状態の各賞品Pでは、出入口25側の部分が出入口25からはみ出ている。また、前述した所定数の賞品Pが収容された収容空間24(
図2における右端の収容空間24を参照)では、短手方向Sの両端に位置する賞品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部26から露出されている。この実施形態では、1つの通い箱4に収容される複数の賞品Pの種類は、大賞品、中賞品および小賞品のいずれか一種類である。変形例として、複数種類の賞品Pが1つの通い箱4に収容されてもよく、その場合の各収容空間24には賞品Pが一種類ずつ収容される。
【0034】
次に、収納部12について詳しく説明する。
図3は、収納部12の模式的な斜視図である。各収納部12は、前後方向Yに並ぶ2つの収納本体部31と、これらの収納本体部31の間に配置された繰出払出部32とを含む。2つの収納本体部31のうち、前側Y1のものを前収納本体部31Aといい、後側Y2のものを後収納本体部31Bというがある。
図3では、各収納本体部31と繰出払出部32との境界が1点鎖線で図示されている。収納本体部31と繰出払出部32とは一体化されていてもよいし、別々に存在して組み合わされることによって収納部12を構成してもよい。
【0035】
各収納本体部31は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体33を含む。収納部12の上面を構成する筐体33の上面には、略矩形状の装填口33Aと、装填口33Aを開閉する略矩形板状の扉33Bとが設けられている。扉33Bは、前後方向Yにおいて繰出払出部32に最も近い端部に設けられたヒンジ33Cを介して筐体33に連結されていて、ヒンジ33Cまわりに回動することによって開閉される。前収納本体部31Aの筐体33の前面は、取っ手12Aが設けられた収納部12の前面を構成している。
【0036】
図4は、賞品払出機3の内部の模式的な右側面図である。各収納部12における各収納本体部31の筐体33の内部には、左右一対の搬送体34と、複数(ここでは6つ)の装填部35とが設けられている。各搬送体34は、無端状のチェーンまたはベルト(ここではチェーン)によって構成されており、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。搬送体34は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回りおよび反時計回りのそれぞれの方向へ向けて周回移動する。この駆動部と搬送体34とは、移動機構50を構成する。
【0037】
各装填部35は、左右方向Xに長手のトレイ状に形成されている。各装填部35の内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱4をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢の装填部35(例えば
図4における上端の装填部35を参照)には、その上面を全域に亘って開放した出入口35Aと、前後の両側壁のそれぞれを切り欠いたスリット状の開口部(図示せず)とが形成されている。この開口部は、装填部35の前壁および後壁において、通い箱4の開口部26(
図2参照)に合致する位置に同数形成され、左右方向Xに並んで配置されている。
【0038】
各装填部35には、通い箱4が1つずつ装填される。これにより、通い箱4内の賞品Pは、通い箱4および装填部35を介して、本体11内の収納部12に収納される。通い箱4が装填された装填部35では、前述した開口部と通い箱4の開口部26とが1つずつ整合している。また、この実施形態では、同じ種類の賞品Pが1つの通い箱4内に収納されるので、1つの装填部35には、同じ種類の賞品Pが装填される。しかし、各収納部12内の前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれにおいて、装填部35毎に、賞品Pの種類が異なってもよい。つまり、各収納部12は、複数種類の賞品P(ここでは、大賞品、中賞品および小賞品)をまとめて収納している。
【0039】
これらの装填部35は、左右一対の搬送体34の周回方向Rに沿って環状に並んで配置された状態で、これらの搬送体34の間に架設されている。そのため、移動機構50が作動することによって左右の搬送体34が周回移動すると、これらの装填部35は、搬送体34とともに周回移動する。また、各装填部35は、搬送体34との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線(図示せず)まわりに回動自在である。そのため、各装填部35は、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
【0040】
図4を参照するとともに、収納部12の内部の模式的な平面図である
図5も参照して、各収納本体部31の内部において前後方向Yにおける外側の端部(前収納本体部31Aの場合は前端部であり、後収納本体部31Bの場合は後端部)には、識別計数部36が配置されている。識別計数部36は、左右方向Xに延びるホルダ37と、ホルダ37において繰出払出部32を臨む側面(前収納本体部31Aの場合は後面であり、後収納本体部31Bの場合は前面)に設けられた識別部38および計数部39とを含む。左右方向Xに隣り合った識別部38および計数部39が1つの組を構成し、各識別計数部36では、この組が、左右方向Xに等間隔で5組並んでいる。識別計数部36は、収納本体部31の筐体33によって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。
【0041】
識別部38の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだカラーセンサである。この場合、発光部が、被検知物である賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。識別部38は、この反射光をRGB値に変換して分析することによって賞品Pの表面の色を検知し、この検知結果に基づいて賞品Pの真偽や種類を識別する。なお、識別情報を記憶したICチップが賞品Pに内蔵されていて、識別部38は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、賞品Pの真偽や種類を識別してもよい。
【0042】
計数部39の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだ光学式の反射型センサである。この場合、発光部が、賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。計数部39は、識別計数部36の昇降に伴い、通い箱4において上下方向Zに積層された賞品Pの端部の凸形状を、発光部からの光によってなぞる。これによって、連続する複数の凸形状の輪郭にほぼ一致する波形データが得られるので、計数部39は、この波形データにおける凸形状の数を数えることによって、賞品Pを計数することができる。
【0043】
図6を参照して、繰出払出部32は、その外殻をなす枠状に形成された筐体40を含む。筐体40の上面40Aには、左右方向Xに長手の出口40Bが1つ形成されている(
図3も参照)。出口40Bは、筐体40の内部空間40Cを上側Z1に露出させている。内部空間40Cは、前後に開放されており、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれの筐体33の内部空間に連通している。収納部12が収容位置にある状態では、この収納部12の出口40Bが、左右方向Xにおいて同じ位置ある1つの払出領域13Cの真下に配置される。繰出払出部32は、繰出ユニット41および払出ユニット42を含む。繰出ユニット41は、左右一対設けられている。左右2つの繰出ユニット41のうち、左側X1のものは、前収納本体部31A用の前繰出ユニット41Aであり、右側X2のものは、後収納本体部31B用の後繰出ユニット41Bである。各繰出ユニット41は、筐体40の内部空間40Cにおける略下半分の領域に配置されて、筐体40によって直接的または間接的に支持されている。各繰出ユニット41は、筐体40に連結された支持部29と、支持部29によって支持された単数または複数(
図6では2つ)の繰出部43とを含む。
【0044】
繰出部43は、左右方向Xから見て略三角形の環状をなす無端状の繰出ベルト44と、繰出ベルト44の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されたローラ45と、例えばウレタンで構成された外周面を有する繰出ローラ46と、繰出ベルト44の外周面に設けられた繰出部材47とを含む。繰出ベルト44は、少なくもいずれかのローラ45がモータ等の駆動部(図示せず)により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出ローラ46は、繰出ベルト44を挟んでいずれかのローラ45と対向しており、駆動回転される。繰出部材47は、繰出ベルト44の外周面から突出した爪状に形成され、各繰出ベルト44において、複数の繰出部材47が繰出ベルト44の周回方向に沿って等間隔で設けられている。各ローラ45および繰出ローラ46は、繰出部43に設けられたフレーム(図示せず)によって支持されている。
【0045】
各繰出ユニット41は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて支持部29の上端部まわりに回動することによって、待機姿勢と繰出姿勢との間で姿勢変更可能である。待機姿勢にあるときの各繰出ユニット41は、
図4および
図6に示すように筐体40の内部空間40Cに収まっていて、各繰出部43における繰出ベルト44の平坦部分44Aが上下方向Zに沿っている。なお、共に待機姿勢にある前繰出ユニット41Aおよび後繰出ユニット41Bは、実際には、左右方向Xから見て重なるように配置されている。繰出姿勢にあるときの前繰出ユニット41A(後述する
図12を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから前側Y1へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの後繰出ユニット41B(
図12を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから後側Y2へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの各繰出ユニット41では、繰出部43が、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって左右方向Xにスライド可能である。
【0046】
払出ユニット42は、筐体40の内部空間40Cにおける略上半分の領域に配置されていて、枠部28と、複数の払出部49とを含む。枠部28は、左右方向Xに延びるベース部28Aと、ベース部28Aから立ち上がった複数の板状の仕切部28Bとを含む。この実施形態では、仕切部28Bは、6つ存在し、左右方向Xに等間隔にて並んでいる。内部空間40Cにおいて隣り合う仕切部28Bの間の領域は、ベース部28Aの上面によって下側Z2から塞がれた縦長の繰出空間40Dである。繰出空間40Dは、通い箱4の収容空間24と同数(ここでは5つ)存在し、筐体40の出口40Bの真下において、左右方向Xに等間隔にて並んでいる。
【0047】
枠部28は、筐体40によって支持されていて、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、筐体40の内部空間40Cにおいて、実線で示す待機位置と、破線で示す上限位置との間で昇降する。上限位置の枠部28は、待機位置にあるときよりも上側Z1に位置し、上限位置の枠部28では、各仕切部28Bの上端が、筐体40の上面40Aの出口40Bよりも下側Z2に位置している。枠部28は、バネ等の弾性部材(図示せず)によって筐体40につながれていて、この弾性部材を伸ばしながら待機位置から上限位置まで上昇する。枠部28が上限位置に到達すると、この弾性部材が伸びきっているので、枠部28は、上限位置よりも上側Z1へ移動できない。
【0048】
払出部49は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する略矩形の板状であり、各繰出空間40Dに1つずつ配置されており、合計で5つ存在する。各払出部49における左右の両端縁には、左右方向Xにおける内側へ窪んだ窪み49Aが1つずつ形成されている(右端の払出部49等を参照)。払出ユニット42は、全ての払出部49を一括して保持する保持部(図示せず)を含む。全ての払出部49は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出空間40Dにおいて、実線で示す待機位置と、破線で示す払出位置との間で、保持部と一体となって昇降する。待機位置の払出部49は、繰出空間40Dの下端に位置してベース部28Aの上面に載っている。払出位置の払出部49は、繰出空間40Dの上端に位置している。点線で示すように、枠部28が上限位置にあり、かつ、払出部49が払出位置にあるときの払出部49の上面は、筐体40の出口40Bおよび天板13において対応する払出領域13Cから上側Z1へ露出され、天板13の上面とほぼ同じ高さ位置に配置される(後述する
図12参照)。なお、枠部28は筐体40に固定されてもよく、その場合には、枠部28の位置が固定されていて、払出部49および保持部だけが昇降する。
【0049】
各払出部49の上面には、板厚方向が上下方向Zに一致した水平の姿勢の賞品Pを載せることができる。各払出部49には、各払出部49上の賞品Pの残留を検出するための残留検出部27が設けられている(待機位置の各払出部49を参照)。そのため、残留検出部27は、複数存在する。残留検出部27として、払出部49の上面から露出されて上下に移動可能なプッシャ(図示せず)と、プッシャの上下の動きを検出するフォトインタラプタ(図示せず)とを含むセンサを用いてもよい。この場合、賞品Pが払出部49上に載せられると、賞品Pの重さによってプッシャが下がるので、残留検出部27は、フォトインタラプタによりプッシャの下降を検出することによってONになり、払出部49上の賞品Pの残留を検出する。図示しないバネ等の付勢力によってプッシャが元の位置まで上昇すると、残留検出部27は、OFFになって、払出部49上に賞品Pが残留していないことを検出する。
【0050】
図7は、賞品払出機3の電気的構成を示すブロック図である。賞品払出機3は、受付部の一例としての制御部51を含む。制御部51は、CPUやROMやRAM等によって構成され、タイマ等を内蔵し、本体11に設けられている。制御部51には、シャッター17、店側表示部18、客側表示部19、搬送機構30およびロック機構20のそれぞれに関連した電気部品(例えば、前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。制御部51は、シャッター17の開閉動作を制御したり、店側表示部18および客側表示部19の表示を制御したり、店員等による店側表示部18や客側表示部19の操作を受け付けたり、搬送機構30およびロック機構20の動作を制御したりする。また、制御部51には、各収納部12が電気的に接続されている。具体的には、収納部12の各収納本体部31において搬送体34を周回移動させる移動機構50が電気的に接続されている。また、制御部51には、各収納部12の繰出払出部32および各収納本体部31の識別計数部36に関連した電気部品が電気的に接続されている。制御部51は、移動機構50や繰出払出部32の動作を制御する。識別計数部36による識別結果や計数結果が制御部51に入力される。
【0051】
制御部51は、これらの電気部品の動作を制御することによって、賞品Pを補充する補充処理と、賞品払出機3の各収納部12内の賞品Pを識別および計数する識別計数処理と、各収納部12内の賞品Pを繰り出して機外(本体11の外)に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、制御部51は、店側表示部18や客側表示部19に必要な情報を表示したり、店員による店側表示部18の操作に応じた指示や、賞品管理機2からの払出指示を受け付けたりする。なお、制御部51は、賞品管理機2からの払出指示だけでなく、店員による店側表示部18の操作に基いた払出指示を受け付けてもよい。
【0052】
賞品払出機3は、記憶部52をさらに備えている。記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。記憶部52は、制御部51に電気的に接続されている。記憶部52は、各装填部35に装填された通い箱4内の賞品Pの種類および収納数(在庫数ともいう)等を装填部35毎に記憶している。また、記憶部52は、過去の異常履歴や賞品Pの払出履歴等の様々な情報も記憶している。
【0053】
以下では、補充処理、識別計数処理および繰出払出処理について、この順番に説明する。補充処理の場合には、店員が、店側表示部18を操作することによって、補充処理の対象となる収納部12を1つ選択する。すると、制御部51は、選択された収納部12についてのロック機構20によるロックを解除することによって、この収納部12の引出位置までの引き出しを許可する。次に、店員が、ロックが解除された収納部12の取っ手12Aを掴んで前側Y1に引くと、搬送機構30が、この収納部12を、
図8に示す引出位置まで引き出す。一度に引き出させる収納部12は、1つだけである。
【0054】
引出位置まで引き出された収納部12では、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bの両方が本体11よりも前側Y1に位置しており、これらの収納本体部31の上面の装填口33Aが本体11の外に配置されている。この状態において、店員が収納本体部31(
図8では前収納本体部31Aを参照)の扉33Bを開いて装填口33Aを上側Z1に開放する。扉33Bが開くのに先立って制御部51が搬送体34を周回移動させ、これにより、空の2つの装填部35が、装填口33Aの真下において前後に並んで配置される。空の装填部35とは、通い箱4が装填されていない装填部35、または、エンプティもしくはニアエンプティの状態の通い箱4が装填された装填部35を指す。装填口33Aの前側領域および後側領域のそれぞれに、空の装填部35が1つずつ配置される。
【0055】
店員は、賞品Pを収容した基本姿勢の状態の通い箱4を、白抜き矢印で示すように下降させて装填口33Aを通過させ、装填位置にある上向き姿勢の装填部35の出入口35Aに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱4が、装填位置の装填部35に装填され、通い箱4内の賞品Pは、収納部12内に装填される。なお、通い箱4および装填部35の一方に設けられた位置決めリブ(図示せず)が、他方に設けられた位置決め溝(図示せず)に嵌まり込むことによって、通い箱4と、この通い箱4が装填された装填部35とが互いに位置決めされる。装填位置の装填部35に通い箱4が装填されてから扉33Bが閉じられると、他の空の装填部35が装填位置に配置されるように、制御部51が搬送体34を周回移動させる。
【0056】
他の空の装填部35にも通い箱4が装填された後に、店員が、扉33Bを閉じて、引出位置の収納部12の取っ手12Aを掴んで後側Y2に押すと、制御部51は、この収納部12を搬送機構30によって収容位置まで戻し、ロック機構20によって収容位置にてロックする。これにより、この収納部12についての補充処理が終了する。なお、この引出位置とは別の引出途中位置が設定され、引出途中位置まで引き出された収納部12では、前収納本体部31Aだけが本体11よりも前側Y1に位置し、前収納本体部31Aだけに賞品Pが装填できてもよい。
【0057】
補充処理中において、店員が引出位置の収納部12の上面に賞品Pをうっかり載せた状態で当該収納部12を収容位置に戻したり、賞品Pが閉位置のシャッター17にひっかかったまま収納部12が引き出されて当該賞品Pが本体11内において当該収納部12の奥(後側Y2)に落下したりする等のトラブルがある。これらの場合には、使用者が、店側表示部18を操作することによって、
図9に示すヘルプ画面53を店側表示部18に表示させる。ヘルプ画面53には、「該当するシャッターを開いてください。」といった案内文の他に、本体11の正面を模式的に示すイラストが表示されている。このイラストには、3つの開閉キー54が左右に並んで表示されている。左端の開閉キー54Lは、左端の左シャッター17Lを開くためのタッチキーであり、右端の開閉キー54Rは、右端の右シャッター17Rを開くためのタッチキーであり、真ん中の開閉キー54Cは、真ん中の中シャッター17Cを開くためのタッチキーである(
図1も参照)。なお、収納部12が識別計数処理中であったり休止中であったりする場合には、この収納部12に対応するシャッター17は開閉できないので、当該シャッター17に対応する開閉キー54はヘルプ画面53に表示されない。
【0058】
例えば、前述したトラブルが左端の収納部12Lにおいて発生した場合には、店員は、必要に応じて収納部12Lを引出位置まで引き出してから、左端の開閉キー54Lにタッチする。すると、制御部51は、左シャッター17Lを開く。これにより、本体11の天板13において収納部12Lに対応する左端の払出領域13Cが開放される。そのため、店員は、この払出領域13Cから本体11内に手を差し込んで、収納部12L上または本体11内において収納部12Lよりも奥に位置する賞品Pを取り出すことができる。賞品Pを取り出した店員が開閉キー54Lに再びタッチすると、制御部51は、左シャッター17Lを閉じる。そのため、遊技店では、外部のサービスマンを呼んで対応してもらわなくても、店員だけでトラブルを解決できる。
【0059】
以上のように、開閉キー54によって各シャッター17を個別に開閉することができる。
図10に示すフローチャートを参照して、シャッター17が開いていない場合において(ステップS1にてNO)、このシャッター17に対応する収納部12の取っ手12Aの操作があれば(ステップS2にてYES)、制御部51は、この収納部12についての搬送機構10による自動搬送を許容する(ステップS3)。
【0060】
しかし、前述したように開閉キー54の操作に応じてシャッター17が開いている状態では(ステップS1にてYES)、このシャッター17に対応する収納部12の取っ手12Aの操作があっても(ステップS4にてYES)、制御部51は、この操作を無効にし、この収納部12についての自動搬送を抑制(厳密には禁止)する(ステップS5)。つまり、シャッター17が開いている状態では、このシャッター17に対応する収納部12が勝手に移動することが禁止される。そのため、収納部12が引出位置にあってシャッター17が開いている場合には、収納部12が収容位置へ向けて勝手に戻ることを防止できる。一方、賞品Pがうっかり載せられた収納部12が収容位置にあってシャッター17が開いている場合には、この収納部12が収容位置にて維持されるので、当該賞品Pは、開放状態の払出領域13Cの近くに位置したままになる。そのため、使用者は、当該払出領域13Cから当該賞品Pを容易に取り出すことができる。
【0061】
識別計数処理の場合、
図4および
図5を参照して、制御部51は、搬送体34を、前収納本体部31Aでは右側面視において反時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは右側面視において時計回りに周回移動させる。そして、各収納本体部31では、識別計数処理の対象となる装填部35が、識別計数部36の上方に配置された所定位置に上側Z1から接近すると、第1の姿勢変更機構(図示せず)により、
図4に示すように、出入口35Aが横を向いた横向き姿勢に傾倒する。なお、横向き姿勢の装填部35では、セットされた通い箱4の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口35Aが真横でなく、僅かに斜め上側へ向いている。
【0062】
前収納本体部31Aでは、前側下端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態にて、出入口25から前側Y1へはみ出しており、当該賞品Pの前端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、後側下端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態にて、出入口25から後側Y2へはみ出しており、当該賞品Pの後端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0063】
図4に示すように、装填部35が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって識別計数部36に上側Z1から接近すると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。このとき、各収納本体部31では、識別計数部36における識別部38および計数部39の組(
図5参照)が、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の各収容空間24に対して1組ずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある。この状態において、制御部51は、識別計数部36を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各組における識別部38および計数部39が、当該通い箱4において左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に前後方向Yから対向しながら上昇する。識別部38は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pの種類を下側Z2から順に1つずつ非接触で識別し、計数部39は、当該収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触で計数する。横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の各収容空間24における全ての賞品Pについての識別および計数が完了して識別計数部36が待機位置まで下降すると、識別計数処理が終了する。
【0064】
識別計数処理は、全ての収納部12において一度に実行されてもよいし、店員による店側表示部18での操作によって選択された所定の収納部12において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納部12では、前後の両方の収納本体部31において一度に実行されてもよいし、前後のどちらかの収納本体部31において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納本体部31において、全ての装填部35に装填された通い箱4について実行されてもよいし、店員によって指定された装填部35に装填された通い箱4のみについて実行されてもよい。いずれにせよ、制御部51は、識別計数処理の度に、賞品払出機3内の各装填部35における賞品Pの在庫数を更新する。
【0065】
各装填部35における賞品Pの種類および在庫数は、装填部35毎に割り当てられた識別情報(後述する
図19における識別番号01~12を参照)と関連付けてテーブル(図示せず)にまとめられ、記憶部52に記憶されている。制御部51は、このテーブルの内容を、
図11に示す在庫画面55として店側表示部18に表示することができる。在庫画面55は、店側表示部18における待機画面であってもよい。
図11では、説明の便宜上、黒く塗り潰された部分を、大賞品の種類を示す赤色の部分とし、右下へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、中賞品の種類を示す青色の部分とし、右上へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、小賞品の種類を示す黄色の部分としている。
【0066】
一例として、店側表示部18の上端部には、賞品払出機3における様々な処理(メニュー)を選択等するためのタッチキーであるメニューキー56が表示され、在庫画面55は、店側表示部18においてメニューキー56よりも下側の領域に表示される。在庫画面55には、タッチキーである見出しキー57と、各装填部35における賞品Pの種類および在庫数が示された個別表示欄58とが表示されている。見出しキー57は、左右方向Xに並ぶ3つの収納部12と同数存在し、例えば在庫画面55の下端部において左右に並んで表示されている。左端の見出しキー57Lは、左端の収納部12L(
図1参照)に対応しており、収納部12Lを指す<左レーン>という文字が見出しキー57Lに表示されている。真ん中の見出しキー57Cは、真ん中の収納部12C(
図1参照)に対応しており、収納部12Cを指す<中レーン>という文字が見出しキー57Cに表示されている。右端の見出しキー57Rは、右端の収納部12R(
図1参照)に対応しており、収納部12Rを指す<右レーン>という文字が見出しキー57Rに表示されている。
【0067】
個別表示欄58は、賞品払出機3内における装填部35と同数(1つの収納部12につき12個)存在し、在庫画面55において各見出しキー57の真上の領域に12個ずつ表示されている。各見出しキー57の真上の12個の個別表示欄58は、各収納部12における前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bに応じて、6個ずつにまとまって表示されている。これら12個の個別表示欄58において、在庫画面55における下側Z2の6個の個別表示欄58は、前収納本体部31Aにおける6個の装填部35に1つずつ対応し、上側Z1の6個の個別表示欄58は、後収納本体部31Bにおける6個の装填部35に1つずつ対応している。各個別表示欄58は、対応する1つの装填部35に割り当てられた賞品Pの種類についての情報が示される種類表示欄58Aと、この装填部35における現在の在庫数が示される在庫数表示欄58Bとを含む。種類表示欄58Aには、対応する賞品Pの種類についての情報として、この賞品Pの色および種類名の少なくともいずれか(
図11では両方)が表示されている。
【0068】
図12を参照して、繰出払出処理について説明する。繰出払出処理は、通い箱4から賞品Pを1枚ずつ繰り出す繰出処理と、繰出処理により繰り出された本体11内の賞品Pを機外へ払い出す払出処理とを含む。賞品管理機2等からの払出指示に基いて、制御部51は、まず、繰出処理を行うことによって取引を開始する。具体的に、制御部51は、前収納本体部31Aでは搬送体34を右側面視において時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは搬送体34を右側面視において反時計回りに周回移動させる。各収納本体部31では、繰出処理の対象となる装填部35が、払出ユニット42の払出部49に接近すると、第2の姿勢変更機構(図示せず)により、
図12に示すように、出入口35Aが横(厳密には斜め上側)を向いた横向き姿勢に傾倒する。
【0069】
このとき、前収納本体部31Aでは、後側上端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態にて、出入口25から後側Y2へはみ出していて、当該賞品Pの後端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、前側上端にある装填部35が横向き姿勢にあって、この装填部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この装填部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態にて、出入口25から前側Y1へはみ出していて、当該賞品Pの前端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0070】
図12に示すように、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4内における最下位の賞品Pが、払出ユニット42において待機位置にある払出部49の上面と上下方向Zにおいてほぼ同じ位置になると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。搬送体34の周回移動の停止に前後して、制御部51は、繰出ユニット41の姿勢を待機姿勢から繰出姿勢に切り換える。繰出姿勢の前繰出ユニット41Aでは、繰出部43が、前収納本体部31Aの筐体33の内部空間に後側Y2から進入し、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の真下に配置される。繰出姿勢の後繰出ユニット41Bでは、繰出部43が、後収納本体部31Bの筐体33の内部空間に前側Y1から進入し、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の真下に配置される。
【0071】
次いで、制御部51は、繰出部43における繰出ベルト44を周回移動させ、繰出ローラ46を回転させる。このとき、前繰出ユニット41Aでは、右側面視において繰出ベルト44が時計回りに周回移動して繰出ローラ46が反時計回りに回転する。また、後繰出ユニット41Bでは、右側面視において繰出ベルト44が反時計回りに周回移動して繰出ローラ46が時計回りに回転する。周回移動する繰出ベルト44に設けられた繰出部材47が、繰出ベルト44の平坦部分44Aにおいて払出部49側へ水平移動する。その際、繰出部材47が、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4の開口部26(
図2参照)に進入して、当該通い箱4の収容空間24内の最下位の賞品Pを引っ掛けて払出部49側へ繰り出す。
【0072】
払出部49側へ繰り出された賞品Pは、駆動回転される繰出ローラ46に接触することによって払出部49側へ押し出され、左右方向Xにおいて同じ位置にある1つの払出部49上に載る。そして、繰出ベルト44の周回移動と繰出ローラ46の回転が繰り返されることによって、横向き姿勢の装填部35に装填された通い箱4において各繰出部43の真上に位置する収容空間24内の賞品Pが、下側Z2の賞品Pから順に1つずつ繰り出されて、払出部49上に集積される。
【0073】
なお、繰り出された賞品Pが払出部49において上側Z1に集積されるように、賞品Pの繰り出しの度に、制御部51は、払出部49を待機位置から徐々に下降させる。また、制御部51は、横向き姿勢の装填部35を一時上昇させて浮かせている間に繰出部43を左右方向Xに移動させてから装填部35を元の位置まで下降させ、先ほど賞品Pを繰り出した元の収容空間24とは別の収容空間24の賞品Pを繰出部43によって繰り出してもよい。この場合、当該別の収容空間24から繰り出された賞品Pは、先ほどの払出部49とは別の払出部49に集積される。
【0074】
当該元の収容空間24の賞品Pが繰出ローラ46とその下のローラ45との間のゲート部分に挟まった状態で装填部35が浮いたり繰出部43が左右に移動したりすると、この賞品Pが引っ掛かることによって、装填部35や繰出部43が円滑に動けなくなる。そこで、制御部51は、装填部35や繰出部43の移動に先立って、繰出ベルト44を逆回転させて、当該賞品Pをゲート部分から退避させて収容空間24に引き戻す。これにより、装填部35の上下移動や繰出部43の横移動が達成できるので、当該別の収容空間24からの賞品Pの繰り出しが可能になる。また、通い箱4における全ての収容空間24が空になると、制御部51は、繰出ユニット41を一旦待機姿勢に戻した後に搬送体34を周回移動させ、別の通い箱4が装填された装填部35を横向き姿勢にする。その後、制御部51は、繰出ユニット41を繰出姿勢に姿勢変更して、当該別の通い箱4から賞品Pを繰り出す。このように1つの収納本体部31内にて搬送体34を周回移動させて複数の通い箱4から賞品Pを繰り出すことを「ロータリー跨ぎ」という。ロータリー跨ぎをする場合には、ロータリー跨ぎをしない場合と比べて、繰出処理に時間がかかる。
【0075】
以上の手順で必要数の賞品Pが繰り出されると、繰出処理が完了する。すると、制御部51は、払出処理を開始する。
図13のフローチャートも参照して、制御部51は、払出処理の対象となる収納部12の真上のシャッター17を、
図12に示す開位置までスライドさせる(ステップS11)。これにより、このシャッター17によって開閉される払出領域13Cと、この収納部12の出口40B(
図3参照)とが上側Z1へ開放される。そして、制御部51は、この収納部12の払出ユニット42における枠部28を待機位置から上限位置まで上昇させるとともに、この収納部12における5つ全ての払出部49を、待機位置から、破線にて示す払出位置まで上昇させる(ステップS12)。これにより、各払出部49上に繰り出された賞品Pが、出口40Bおよび払出領域13Cから上側Z1に露出されるので、今回の取引が成立する。なお、1回の取引において、複数の収納部12(レーン)において繰出処理が行われると、ステップS11では、これらの収納部12に対応する複数のシャッター17が開くことにより、対応する複数の払出領域13Cが開放される。その場合には、当該複数のシャッター17は、僅かに異なるタイミングで、例えば左側X1のシャッター17から順に開く。
【0076】
払出部49が払出位置まで上昇したとき、1つの払出領域13Cでは、5つの払出部49が並んでおり、これにより、この払出領域13Cは、5つの払出口13Dに区分けされている(後述する
図14参照)。つまり、各払出領域13Cには、払出部49と1対1で対応する5つの払出口13Dが設けられ、各払出口13Dには、対応する払出部49上に繰り出された賞品Pが払い出される。なお、収納部12には複数種類の賞品Pがまとめて収納されているので、各払出口13Dには、決まった種類の賞品Pが払い出されるとは限らず、各収納部12内の複数種類の賞品Pが払い出される。また、各払出領域13Cに設けられた5つの払出口13Dは、対応するシャッター17によって一括して開閉される。また、各払出部49に設けられた残留検出部27(
図6参照)は、払出口13D毎に設けられているので、対応する払出口13Dにおける賞品Pの残留を確実に検出することができる。
【0077】
払出口13Dの払出部49上の賞品Pが使用者によって取り出されると、この払出口13Dに対応する残留検出部27は、賞品Pの残留を検出しなくなる。これにより、この払出口13Dからの賞品Pの取り出しは完了する。開放された複数の払出口13Dの全てにおける賞品Pの残留が残留検出部27によって検出されなくなると、今回の取引が完了するので、賞品払出機3は、次の取引のための繰出処理を開始できる。使用者は、各払出部49における左右の両端縁の窪み49A(
図6参照)に指を掛けることによって、払出部49上の賞品Pを容易に掴んで取り出すことができる。払出領域13Cにおける全ての払出口13Dからの賞品Pの取り出しが完了すると、制御部51が、その払出領域13Cに対応する枠部28を待機位置まで下降させるとともに、当該枠部28に対応する全ての払出部49を、待機位置まで下降させる。
【0078】
前述したように、1回の取引に際して、複数のレーンに対応する複数のシャッター17が開くことによって、複数の払出口13Dが開放される場合がある。この場合には、当該複数の払出口13Dに対応する残留検出部27が、開放された払出口13Dの全てにおける賞品Pの残留を検出しない状態では、当該複数のレーンの少なくともいずれかにおける払出口13Dでは、賞品Pの取り出しが完了していない。その場合には(ステップS13にてNO)、制御部51は、先ほど開いたシャッター17の全てを開放状態で維持する(ステップS14)。そのため、取引に際して複数の払出口13Dが開放され、当該複数の払出口13Dの少なくともいずれかに賞品Pが払い出された後において、これらの払出口13Dに対応する全ての残留検出部27が賞品Pの残留を検出しなくなるまで、制御部51は、これらの払出口13Dに対応する全てのシャッター17を開放状態で維持する(ステップS14)。つまり、今回の取引のために開放された複数の払出口13Dの全ては、今回の取引が完了するまで開放されたままにされる。そのため、取引の途中で一部のシャッター17が先に閉じることによって遊技客等の使用者が取引の完了を勘違してしまうような不具合を防止できる。よって、各払出口13Dでの賞品Pの払い出しに関して使い勝手の向上を図れる。
【0079】
一方、開放された全てのレーンにおける払出口13Dからの賞品Pの取り出しが完了すると(ステップS13にてYES)、制御部51は、今回の取引に際し開放された払出口13Dの全てにおける賞品Pの残留が残留検出部27によって検出されなくなったタイミングから所定時間が経過するまで待機する(ステップS15)。当該所定時間が経過すると(ステップS15にてYES)、制御部51は、開放状態にあるシャッター17の全てを一斉に閉める(ステップS16)。そのため、使用者は、開放状態にある全てのシャッター17が一斉に閉められることによって、今回の取引が完了したことを正しく把握できる。つまり、今回の取引の区切りが明確になる。よって、各払出口13Dでの賞品Pの払い出しに関して使い勝手の一層の向上を図れる。特に、前述した所定時間を設けることにより、使用者は、今回の取引が完了したことを、早とちりせずに正しく把握できる。これにより、次の取引をスムーズに開始できる。したがって、各払出口13Dでの賞品Pの払い出しに関して使い勝手の一層の向上を図れる。なお、必要に応じてステップS15の処理が省略されてもよく、その場合には、賞品Pの取り出しの完了に応じて、開放状態にあるシャッター17の全てが速やかに一斉に閉められる(ステップS16)。
【0080】
このようにシャッター17が閉まると、払出処理が終了し、今回の取引に係る一連の繰出払出処理が完了する。ステップS11~S16の処理は、1人の遊技客との取引だけのために左レーン、中レーンおよび右レーンの全てを使用する運用に限らず、例えば左レーンおよび中レーンを1人の遊技客との取引のために使用するとともに、残りの右レーンを別の遊技客との取引のために同時に使用する運用にも適用できる。
【0081】
使用者が取引中に払出部49上の賞品Pを掴み損ねて落してしまったときに、この払出部49が待機位置まで下降してしまうことがある。この賞品Pは、再び払出部49に載れば、この払出部49に対応する残留検出部27によって検出されるので、リトライ処理として払出部49の上昇が繰り返されることによって、この賞品Pは、払出部49に載った状態で払出口13Dに再度払い出される。しかし、この賞品Pが再び払出部49に載ることなく払出口13Dから本体11内に落下したり、払出部49に載ったものの残留検出部27の検出範囲外に配置されたりする場合がある。この場合には、リトライ処理が行われず、賞品Pが本体11内に繰出空間40Dに残ったままになる。だが、今回の取引のために開放された払出口13Dの全ては、前述したように取引が完了するまで開放されたままになる。そこで、使用者は、払出口13Dが開放されているタイミングを利用して、該当する払出口13Dに手を差し込んで、先ほど掴み損ねた賞品Pを取り出すことができる。そのため、使用者(ここでは店員)は、当該賞品Pを取り出すために、シャッター17の閉鎖後にヘルプ画面53(
図9参照)を店側表示部18に表示させて、該当するシャッター17を開く手間をかけずに済む。
【0082】
図14は、賞品払出機3の天板13の一部を示す模式的な平面図である。賞品払出機3は、表示部61をさらに含む。表示部61は、左右方向Xに長い帯状の液晶カラー表示器であって、収納部12と同数存在し、天板13の払出面13Aにおいて所定の間隔を隔てて左右方向Xに並んでいる。表示部61に関連して、払出面13Aにおいて各払出領域13Cの手前側には、左右方向Xに長い帯状の表示領域62が1つずつ設けられている(
図1も参照)。表示部61は、各表示領域62において1つずつ天板13に埋め込まれ、制御部51に対して電気的に接続されていて、制御部51によって制御される(
図7参照)。表示部61は、賞品P等の情報を、数字や文字等の記号を用いて表示領域62に表示する。
【0083】
以下では、左端の収納部12Lに収納されている賞品Pが払い出される払出領域13C(左レーンの払出領域13C)に対応する左端の表示部61を、表示部61Lということがある。真ん中の収納部12Cに収納されている賞品Pが払い出される払出領域13C(中レーンの払出領域13C)に対応する真ん中の表示部61を、表示部61Cということがある。右端の収納部12Rに収納されている賞品Pが払い出される払出領域13C(右レーンの払出領域13C)に対応する右端の表示部61を、表示部61Rということがある。各表示部61は、左右方向Xに並ぶ複数(1つの払出領域13Cに含まれる払出口13Dと同数であり、ここでは5つ)の個別表示部63を含む。各個別表示部63は、LED等の発光素子を内蔵した複数のセグメント64によって構成されている。各セグメント64が発光することによって、各個別表示部63は、記号を表示する。各個別表示部63の下端において左右方向Xに延びる1本のセグメント64は、下線表示部67を構成している。
【0084】
制御部51は、繰出払出処理を実行する際には、これから払い出される賞品Pまたは既に払い出された賞品Pの数である払出数を、賞品Pの種類毎に表示部61に表示する。
図15(a)では、一例として、大賞品の払出数(ここでは種類毎の総数)である13が赤色によって表示部61Lに表示され、中賞品の払出数である3が青色によって表示部61Cに表示され、小賞品の払出数である5が黄色によって表示部61Rに表示されている。
【0085】
通い箱4毎に、賞品Pが0枚のエンプティ、または、賞品Pが所定枚数未満のニアエンプティといった状況が想定される。制御部51は、各装填部35における賞品Pの在庫数に基いて、各装填部35に装填された通い箱4においてエンプティやニアエンプティが発生しているか否かを監視している。ニアエンプティが発生している場合には、制御部51は、
図15(b)の表示部61Lにて示すように、全ての個別表示部63の下線表示部67を点灯または点滅させる。このときの下線表示部67は、ニアエンプティが発生している賞品Pに付された色にて発光する。なお、ニアエンプティの表示は、全ての表示部61でなく、ニアエンプティが生じている通い箱4を収容している収納部12に対応する表示部61だけで行われてもよい。エンプティが発生している場合には、
図15(b)の表示部61Cにて示すように、制御部51は、表示部61において「EMPTY」の文字を、下線表示部67によるアンダーバー付きで点灯表示または点滅表示させる。このときの表示部61は、エンプティが発生している賞品Pに付されている色で表示される。なお、エンプティの表示は、全ての表示部61でなく、エンプティが生じている通い箱4を収容している収納部12に対応する表示部61だけで行われてもよい。
【0086】
賞品払出機3は、賞品払出機3における様々な異常(エラー)を検出する異常検出部70を含む。当該異常として、繰出処理や払出処理での賞品Pの搬送不良等を例示できる。異常検出部70は、賞品払出機3内における賞品Pの移動経路の近傍等に配置される公知のセンサであって、単数または複数存在して、制御部51に対して電気的に接続されている(
図7参照)。異常検出部70が異常を検出したときには、
図15(b)の表示部61Rにて示すように、制御部51は、異常が発生した収納部12に対応する表示部61において「ERROR」の文字を赤色等で点灯表示または点滅表示させる。また、異常検出部70が異常を検出したときには、制御部51は、異常発生の旨を店側表示部18においても表示したり、賞品払出機3に設けられたスピーカー(図示せず)によって警報を発したりすることによって、異常発生を報知する。この場合における制御部51、店側表示部18およびスピーカーは、異常発生を報知する報知部として機能する。
【0087】
前述した実施形態では、払い出される賞品Pの種類毎の総数が複数の個別表示部63に跨って表示部61に表示される(
図15(a)の表示部61Lにおける「13」を参照)。これに代え、各払出口13D(
図14参照)から払い出される賞品Pの数(一例として最大で10枚)が、
図16(a)に示すように、各払出口13Dと左右方向Xで同じ位置にある対応する各個別表示部63に、賞品Pと同じ色で表示されてもよい。これにより、使用者は、どの種類の賞品Pがどの払出口13Dから払い出されるのかを容易に把握できる。
図16(a)では、ある払出領域13Cにおいて、左端の払出口13Dから赤色の大賞品が10枚払い出され、左から2番目の払出口13Dから大賞品が8枚払い出され、左から3番目の払出口13Dから青色の中賞品が2枚払い出され、右端の払出口13Dから黄色の小賞品が3枚払い出されることが表示部61において表示されている。
【0088】
何かしらの理由により、今回の払い出しの取引が不成立になった場合には、
図16(b)に示すように、賞品Pが払い出されるはすだった払出口13Dに対応する個別表示部63(
図16(b)では5つ全ての個別表示部63)において、バツを構成するように配置された4つのセグメント64が点灯する。取引が再度成立すると、これらのセグメント64が消灯する。
【0089】
収納部12が収容位置から引出位置まで引き出される間において、この収納部12と左右方向Xで同じ位置にある表示部61では、
図16(c)に示すように、「OPEN」の文字が点滅表示されてもよい。また、収納部12が引出位置から収容位置まで戻る間において、この収納部12と左右方向Xで同じ位置にある表示部61では、
図16(d)に示すように、「CLOSE」の文字が点滅表示されてもよい。また、識別計数処理が行われている収納部12と左右方向Xで同じ位置にある表示部61では、識別計数処理中であることを報知するために例えば「COUNT」の文字が表示されてもよい。
【0090】
賞品払出機3の運用には、店員が本体11に前側Y1からアクセスして前側Y1から賞品払出等のための操作を行う第一運用と、遊技客が本体11に後側Y2からアクセスして後側Y2から賞品受取等のための操作を行う第二運用とがある。なお、ここでの操作とは、店員や遊技客による賞品払出機3の店側表示部18や客側表示部19等に対する操作だけでなく、店員と遊技客との間におけるレシートや賞品P等の受け渡し等も含まれる。第一運用の場合には、本体11の前側Y1に位置する店員が、払出口13Dに払い出された賞品Pを一旦受け取って、本体11の後側Y2の遊技客に手渡しする。つまり、第一運用とは、手渡し運用である。第2運用の場合には、店員が賞品払出機3の周辺に常駐しなくてもよく、遊技客は、払出口13Dに払い出された賞品Pを本体11の後側Y2からセルフで取り出す。つまり、第二運用とは、セルフ運用である。なお、第二運用には、賞品払出機3への払出指示の入力は店員によって行われる半セルフ運用と、賞品払出機3への払出指示の入力も遊技客によって行われる完全セルフ運用とが含まれる。店員は、店側表示部18の操作等によって第一運用および第二運用のいずれかを選択することができ、制御部51は、この選択を受け付ける。
【0091】
第一運用が選択されている場合には、制御部51は、
図15および
図16に示すように、様々な情報を、本体11の前側Y1に位置する店員が見やすい向きにて表示部61に表示する。一方、第二運用が選択されている場合には、
図17に示すように、制御部51は、本体11の後側Y2に位置する遊技客向けの情報を、この遊技客にとって見やすいように表示部61において反転表示する。比較として
図15(a)も参照すると、第一運用と第二運用とで、表示部61における文字や記号の向きが前後方向Yにおいて逆になっている。なお、第二運用の場合には、遊技客が表示部61をよく見えるように、店側表示部18および客側表示部19が遊技客の邪魔にならないように別の位置に配置されてもよい。また、第二運用が選択されている場合の払出処理では、各払出口13Dに払い出される賞品Pの数が各個別表示部63に個別で表示される表示態様(
図16(a)参照)でなく、賞品Pの種類毎の払出数の総数だけが表示部61に表示される(
図17参照)。なお、賞品Pが払い出される払出口13Dに対応する個別表示部63だけに、賞品Pの払出数が表示されてもよい。また、第二運用が選択されている場合には、第一運用の選択時に表示部61に表示される店員向けの所定の情報を表示部61に表示しない。当該所定の情報として、ニアエンプティやエンプティや異常が発生したことを示す情報や、取引の不成立を示す情報等(
図15(b)および
図16(b)~
図16(d)参照)が挙げられる。
【0092】
以上のように、制御部51は、第一運用および第二運用のどちらかの選択を受け付けた場合に、第一運用および第二運用のうち選択された運用に応じて表示部61における表示態様(換言すれば、情報の表示の仕方)を変更する。そのため、賞品払出機3の表示部61には、第一運用および第二運用という複数の運用のそれぞれに適した情報を表示できる。特に、第二運用が選択されている場合には、情報が表示部61において反転表示される(
図17参照)。そのため、使用者が表示部61に臨む向きが互いに逆になる第一運用および第二運用のそれぞれにおいて、表示部61では、使用者が見やすい向きにて情報を表示できる。また、第二運用が選択されている場合には、第一運用の選択時に表示部61に表示される情報のうち、第二運用では使用者(例えば遊技客)に見せなくてもよい所定の情報が、表示部61に表示されないので、表示部61の表示内容がシンプルで見やすい。そのため、賞品払出機3の表示部61には、第一運用および第二運用という複数の運用のそれぞれに適した情報を表示できる。
【0093】
一方、第二運用が選択されている場合に異常検出部70が異常を検出すると、制御部51は、店側表示部18やスピーカー(図示せず)や外部出力(図示せず)によって異常発生を報知する。当該外部出力とは、店員が携帯するインカム(無線機)等へ異常発生を通知するための出力である。第二運用において遊技店の店員が賞品払出機3の周辺に常駐しない場合であっても、店員は、異常発生の報知に応じて賞品払出機3まで駆け付けて、賞品払出機3の異常を速やかに解消することができる。この場合、制御部51は、異常に関する情報(例えば異常の種類や異常解消手順)を、第一運用が選択されている場合の表示態様(
図15および
図16参照)に強制的に切り換えて表示部61に表示してもよい。これにより、異常発生の報知に応じて賞品払出機3の前側Y1に駆け付けた店員は、表示部61において店員へ向けて表示された異常に関する情報に基いて、賞品払出機3の異常を速やかに解消することができる。
【0094】
賞品払出機3では、例えば天板13の向きを変更するといった機械的な変更をしなくても、以上のように表示部61における表示態様を変更するといったソフト的な変更だけで、第一運用および第二運用の両方に対応できる。なお、第二運用での払出処理において、残留検出部27がONになって賞品Pの残留を所定時間以上検出している場合には、制御部51は、遊技客による賞品Pの取り忘れを防止するための音声ガイダンスをスピーカーによって流してもよい。つまり、第二運用では、表示部61における表示と音声ガイダンスとが組み合わされる。ただし、取引の際の賞品Pが払い出されなかった払出口13Dに対応する残留検出部27に遊技客の荷物等が近付いていることによって、今回の取引に無関係の残留検出部27がONになる場合がある。そこで、制御部51は、取引の際の賞品Pが払い出された払出口13Dに対応する残留検出部27のON・OFFだけを監視して、他の残留検出部27については無視してもよい。これにより、取引を早期に完了させることができるので、賞品Pの払い出しを待っている次の遊技客の待ち時間を短縮できる。
【0095】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0096】
例えば、繰出払出処理において、左レーン(収納部12L)および右レーン(収納部12R)のうちのどちらかを払出優先レーンとして、払出優先レーンから先に賞品Pを払い出してもよい。この場合、払出優先レーンは、左レーンおよび右レーンのうち、予め決まった方に固定されてもよいが、左レーンおよび右レーンのどちらかを払出優先レーンとして任意に選択できてもよい。また、繰出払出処理において、その処理を完了させる速度を優先するか、賞品Pが天板13上において例えば左側X1から大賞品、中賞品および小賞品の順に並ぶことを優先するかを選択できてもよい。具体的には、店員が、前述したメニューキー56にタッチ等すると、制御部51は、
図18に示す設定画面75を店側表示部18に表示する。なお、店員が、設定画面75の左下等に表示された戻るキー76にタッチすると、制御部51は、待機画面(図示せず)を店側表示部18に表示する。設定画面75の左上には、「処理を選択してください。」といった案内文が表示され、この案内文の下側Z2には、「払出優先レーン」という見出し77と、「払出方法」という見出し78とが、この順番で上側Z1から並んで表示されている。設定画面75には、左レーン選択キー79Aおよび右レーン選択キー79Bが、見出し77の右側X2において左右に並んで表示され、速度優先キー80Aおよび並び優先キー80Bが、見出し78の右側X2において左右に並んで表示されている。
【0097】
店員は、例えば左レーンを払出優先レーンとして選択したい場合には、左レーン選択キー79Aにタッチする。すると、制御部51は、左レーンを払出優先レーンとして設定し、その旨を示すマーク81を左レーン選択キー79Aだけに表示する。一方、店員が右レーン選択キー79Bにタッチすると、マーク81が右レーン選択キー79Bだけに表示される。制御部51は、繰出払出処理において、このように設定された払出優先レーンの賞品Pを優先して払い出す。
【0098】
店員は、繰出払出処理の速度を優先したい場合には、速度優先キー80Aにタッチする。すると、制御部51は、速度優先キー80Aが優先されることを設定し、その旨を示すマーク82を速度優先キー80Aだけに表示する。この場合、制御部51は、繰出払出処理において、払出優先レーンからの払い出しを優先しつつ、各レーンにおける前後の収納本体部31内の賞品Pを組み合わせて払い出す等によって、繰出払出処理を最速で完了させる。そのための一例として、各レーンでは、前繰出ユニット41Aおよび後繰出ユニット41Bの両方から同時に賞品Pが払い出される(
図12参照)。
【0099】
一方、店員が、払い出される賞品Pの並びを優先するために並び優先キー80Bにタッチすると、マーク82が並び優先キー80Bだけに表示される。この場合、制御部51は、1回の取引における繰出払出処理において、払出優先レーンからの払い出しを優先しつつ、各レーンにおける前後の収納本体部31内の賞品Pを組み合わせて払い出す等によって、天板13上において例えば左側X1から大賞品、中賞品および小賞品の順に並ぶように賞品Pを払い出す。または、賞品Pが、大賞品、中賞品および小賞品の順にタイミングをずらして払い出される。
【0100】
設定画面75による設定に関連して、店員は、各レーンの各装填部35に装填する賞品Pの種類を登録することができる。具体的には、店員が、前述したメニューキー56にタッチ等すると、制御部51は、
図19に示す登録画面83を店側表示部18に表示する。前述した戻るキー76が登録画面83の左下等に表示されてもよい。登録画面83には、大賞品キー84Aと、中賞品キー84Bと、小賞品キー84Cと、複数の個別選択欄85とが表示されている。大賞品キー84A、中賞品キー84Bおよび小賞品キー84Cは、例えば設定画面75の左端において上下に並んでいる。
【0101】
個別選択欄85に関連して、登録画面83には、<左レーン>、<中レーン>および<右レーン>という見出しが、左側X1からこの順に左右に並んで表示されていて、各見出しの下側Z2には、12個の個別選択欄85が、6個ずつにまとまって表示されている。これら12個の個別選択欄85は、左レーン、中レーンおよび右レーンのうち対応するレーン(つまり収納部12)における全12個の装填部35に1対1で対応している。12個の個別選択欄85において、登録画面83における下側Z2の6個の個別選択欄85は、前収納本体部31Aにおける6個の装填部35に1つずつ対応し、上側Z1の6個の個別選択欄85は、後収納本体部31Bにおける6個の装填部35に1つずつ対応している。各レーンにおける12個の装填部35には、識別情報の一例として01~12におけるいずれかの識別番号が割り当てられており、対応する個別選択欄85の左領域は、識別番号が表示された識別番号表示欄85Aである。各個別選択欄85の右領域は、対応する装填部35に装填される賞品Pの種類が表示される賞品種類表示欄85Bである。遊技店に納品された直後の初期状態における賞品払出機3では、各個別選択欄85の賞品種類表示欄85Bは空欄になっている。
【0102】
店員は、対象となる個別選択欄85にタッチする等によって個別選択欄85を選択してから、大賞品キー84A、中賞品キー84Bおよび小賞品キー84Cのいずれかにタッチすることによって、この個別選択欄85に対応する装填部35に装填される賞品Pの種類を選択することができる。制御部51は、選択された賞品Pの色および種類名の少なくともいずれか(
図19では両方)を、対応する賞品種類表示欄85Bに表示する。店員は、全ての装填部35(または必要ないくつかの装填部35)における賞品Pの種類を選択した後に、登録画面83の右下等に表示された登録キー86にタッチする。すると、制御部51は、各装填部35に装填される賞品Pの種類を例えばテーブル(図示せず)にまとめて、このテーブルを記憶部52に記憶する。これにより、各装填部35に装填する賞品Pの種類の登録が完了する。
【0103】
この実施形態では、大賞品は、払い出される頻度が最も高い賞品Pであって、店員は、賞品払出機3の左側X1の賞品管理機2の付近で接客する(
図1参照)。そのため、左レーンから大賞品が主に払い出されると、店員にとって、大賞品の受け取りおよび遊技客への手渡しが容易になる。そのためには、大賞品が左レーン側に偏って装填されるように登録されて(
図19参照)、左レーンが払出優先レーンとして登録されるとよい(
図18参照)。ただし、受付カウンターCでのレイアウトによっては、賞品管理機2が賞品払出機3の右側X2に設置されて、店員が賞品払出機3の右側X2で接客することがある。この場合には、店員に近い右レーンから大賞品が主に払い出されるように、大賞品が右レーン側に偏って装填されるように登録されて(
図20参照)、右レーンが払出優先レーンとして登録されるとよい。このように、店員の使い勝手に応じて払出優先レーンを自由に選択することができるので、賞品払出機3では操作性や利便性の向上を図ることができる。
【0104】
繰出払出処理が繰り返されると、空(ここではエンプティ)の装填部35が発生する。これにより、店側表示部18に表示された在庫画面55では、
図21に示すように、空になった装填部35に対応する個別表示欄58の在庫数表示欄58Bに「補充」等の文字が表示される。各レーンでは、全ての装填部35が空になった状態が発生しないように、少なくとも1つの装填部35において賞品Pが所定数(例えば最大数)装填された状態が維持される。
図21では、左レーンが払出優先レーンとして登録された場合において、左レーンにおける11個の装填部35がエンプティになっているが、残り1つの装填部35には、100枚の大賞品が残されている。この場合、左レーンの在庫が完全に無くなった時点ではなく、左レーンの在庫数が100枚まで減少した時点(賞品Pがある程度残っている時点)において払出優先レーンが左レーンから中レーンに切り替わり、左レーンは予備となる。そのため、中レーンから大賞品を払い出すときに1つの装填部35では賄いきれない場合には、中レーンにおいてロータリー跨ぎをして他の装填部35からも大賞品を払い出さなくても、左レーンの装填部35から大賞品を払い出すことによって、必要数の大賞品を最速で払い出すことができる。よって、遊技店の閉店間際において賞品払出機3における賞品Pの在庫数が少なくなった状況等で、ロータリー跨ぎが頻発することを抑制できる。また、中レーンにエラーが発生した場合には、予備の左レーンを用いることによって縮退運転が可能になったり、休止時間を低減したりすることができる。
【0105】
払出優先レーンを設けることによってレーンに優先順位が存在するように、各レーンにおける各装填部35にも優先順位を設定してもよい。例えば
図19を参照して、左レーンにおける12個の装填部35について、通常は、識別番号が若い装填部35(つまり「01」の装填部35)から賞品Pが払い出される。そのため、識別番号が若い装填部35から空になる。この場合において01~03の装填部35が空になって04の装填部35から賞品Pを払い出した時点で、補充処理によって01~03の装填部35に賞品Pが補充されたとして、その後、再び01の装填部35から賞品Pが払い出されると、04の装填部35のように在庫数が中途半端な装填部35が多数発生してしまう。これでは、次回の補充処理において、店員にとって、賞品Pの補充が必要な装填部35が把握しにくく、各装填部35への補充の作業が大変になる。そこで、制御部51は、各レーンにおいて、直近の払い出しに用いた装填部35についての履歴(換言すれば、在庫数が中途半端な装填部35)を把握していて、補充処理後は、この装填部35から優先して賞品Pを払い出す。そのため、上記の例では、補充処理後において、04の装填部35の賞品Pや、在庫数が中途半端な他の装填部35の賞品Pも使い切ってから、01または05の装填部35の賞品Pが払い出されるように、装填部35の優先順位が調整される。これにより、在庫数が中途半端な装填部35を各レーンで1つ2つに収まるように極力少なくすることができる。そのため、大体の装填部35には、最大枚数単位(ここでは100枚単位)で賞品Pを補充することができるので、その作業が容易である。
【0106】
遊技店の営業時間中には、賞品払出機3から払い出された賞品Pの数や、賞品払出機3に補充された賞品Pの数についての集計結果が、記憶部52に記憶される。この集計結果は、営業時間終了後の締め処理としてクリアされる。このことを「集計クリア」という。遊技店では、賞品払出機3内に賞品Pを残したままにする「残置運用」が想定される。残置運用の場合、記憶部52に記憶された賞品払出機3内の賞品Pの在庫数は、締め処理の際にクリアされてもよいし、記憶部52において引き続き記憶されてもよい。締め処理の指示は、店員による店側表示部18の操作によって賞品払出機3に入力されたり、親機や賞品管理機2から賞品払出機3に送信されたりする。親機から子機に締め処理の指示が送信される場合には、親機に連動して子機において締め処理が実行される。残置運用の場合に締め処理後に賞品払出機3を操作できると、賞品払出機3から収納部12から引き出されて収納部12内の賞品Pが取り出される等の不正が生じ得る。そこで、賞品払出機3では、締め処理後は経営者等の所定以上の権限を有する者(以下では「権限者」という)しか操作できないように集計クリアロックを設定することができる。
【0107】
具体的には、集計クリアロックを設定したい旨の依頼を権限者から受けたサービスマンが、
図22に示すサービスマン設定画面90を店側表示部18に表示させる。なお、権限者以外の店員は、サービスマン設定画面90を表示させることができない。サービスマン設定画面90には、一例として、「処理を選択してください。」といった案内文と、「集計クリアロック設定」という見出しとが表示され、この見出しの隣には、「する」と記載された実行キー91と、「しない」と記載されたキャンセルキー92とが左右に並んで表示されている。サービスマンが実行キー91にタッチすると、制御部51が、集計クリアロックを設定する旨を示すマーク93を実行キー91だけに表示する。その後、サービスマンが、例えばサービスマン設定画面90の左下に表示された再起動キー94にタッチすると、賞品払出機3が再起動する。これにより、再起動後の賞品払出機3では、集計クリアロックが設定されている。なお、賞品払出機3の親機と子機とが存在する場合には、親機において集計クリアロックが設定されると、それに連動して子機でも集計クリアロックが設定される。
【0108】
集計クリアロックが設定された賞品払出機3において締め処理が実行されると、制御部51は、
図23に示すロック画面95を店側表示部18にして、権限者以外の者による賞品払出機3の操作を無効にする。そのため、締め処理後は、翌営業日において権限者が賞品払出機3や賞品管理機2において所定の認証を行わない限り、店側表示部18にはロック画面95が表示されたままになる。権限者が認証を行うと、集計クリアロックが一時的に解除されるので、当日の営業時間内において一般の店員が通常通りに賞品払出機3を操作することができる。なお、賞品払出機3の親機で認証処理が行われれば、子機では、認証処理を行わなくても、親機と同様に集計クリアロックが解除される。なお、認証処理後の賞品払出機3では、識別計数処理が自動で実行されることによって、賞品Pの在庫数が更新されてもよい。
【0109】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0110】
3 賞品払出機
11 本体
13 天板
18 店側表示部
51 制御部
61 表示部
70 異常検出部
P 賞品
Y1 前側
Y2 後側