IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノベリス・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7082974高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法
<>
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図1A
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図1B
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図2
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図3
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図4
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図5
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図6
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図7
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図8
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図9
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図10
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図11
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図12
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図13
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図14
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図15
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図16
  • 特許-高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】高強度6xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C22F 1/05 20060101AFI20220602BHJP
   C22C 21/02 20060101ALI20220602BHJP
   C22C 21/06 20060101ALI20220602BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
C22F1/05
C22C21/02
C22C21/06
C22F1/00 602
C22F1/00 613
C22F1/00 623
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 631Z
C22F1/00 673
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684A
C22F1/00 685A
C22F1/00 685Z
C22F1/00 691A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019520573
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 US2017053749
(87)【国際公開番号】W WO2018080710
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2019-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/413,740
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/413,591
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/505,944
(32)【優先日】2017-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/529,028
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】サゾル・クマール・ダス
(72)【発明者】
【氏名】ミラン・フェルバーバウム
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】市川 篤
【審判官】井上 猛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0334091(US,A1)
【文献】国際公開第2016/090026(WO,A1)
【文献】特開2008-190022(JP,A)
【文献】特開平10-130768(JP,A)
【文献】特表平10-502973(JP,A)
【文献】特開2016-160516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C21/00-21/18
C22F 1/04- 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製品を製造する方法であって、
アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、前記アルミニウム合金が、0.60~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.60~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlであることと、
前記不純物の各々の含有量が0.05重量%以下であることと、
熱間圧延より前に前記スラブを冷間圧延することなく、前記スラブを最終ゲージに熱間圧延することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記連続的に鋳造されたスラブが、前記スラブを前記熱間圧延する工程の前に巻き取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スラブを連続的に鋳造する連続鋳造機から出るときに、前記スラブを冷却することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却する工程が、前記スラブを水焼き入れすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記冷却する工程が、前記スラブを空冷することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記スラブを前記最終ゲージに前記熱間圧延する工程の前に、前記スラブを中間コイルに巻き取ることと、
前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延する前に、前記中間コイルを予熱することと、
前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延する前に、前記中間コイルを均質化することと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を溶体化することと、
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を焼き入れすることと、
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を時効させることと、をさらに含む請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アルミニウム合金を製造する方法であって、
アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、前記アルミニウム合金が、0.60~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.60~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlであることと、
前記不純物の各々の含有量が0.05重量%以下であることと、
前記スラブを最終ゲージおよび最終調質度に熱間圧延することと、を含む、方法。
【請求項9】
アルミニウム合金製品を製造する方法であって、
連続鋳造機においてアルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、前記アルミニウム合金が、0.60~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.60~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlであることと、
前記不純物の各々の含有量が0.05重量%以下であることと、
前記スラブを、前記連続鋳造機から出た後、均質化することと、
前記スラブを熱間圧延して、前記スラブの厚さを50%以上減少させることと、
を含み、
前記均質化する工程において、前記スラブを、前記連続鋳造機から出た後、加熱して、少なくとも450℃のピーク金属温度を達成する、方法。
【請求項10】
前記均質化する工程が、500℃~580℃の温度で実施される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月27日に出願され、「HIGH STRENGTH 6XXX SERIES ALUMINUM ALLOY AND METHODS OF MAKING THE SAME」と題される米国仮特許出願第62/413,740号、2017年7月6日に出願され、「SYSTEMS AND METHODS FOR MAKING ALUMINUM ALLOY PLATES」と題される同第62/529,028号、2016年10月27日に出願され、「DECOUPLED CONTINUOUS CASTING AND ROLLING LINE」と題される同第62/413,591号、および2017年5月14日に出願され、「DECOUPLED CONTINUOUS CASTING AND ROLLING LINE」と題される同第62/505,944号の利益を主張し、これら全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
さらに、本出願は、2017年9月27日に出願され、「METAL CASTING AND ROLLING LINE」と題される、Milan Felberbaumらによる米国仮特許出願第15/717,361号に関連し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、材料科学、材料化学、金属製造、アルミニウム合金、およびアルミニウム製造の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
アルミニウム(Al)合金は、自動車用途、輸送用途、工業用途、または電子機器関連用途などの複数の用途において、鋼鉄および他の金属を代替することが多くなってきている。いくつかの用途では、かかる合金は、高強度、高成形性、耐食性、および/または軽量を呈する必要があり得る。しかしながら、従来の方法および組成は、確立された方法によって製造される場合、異なる用途に要求される必要な要件、仕様、および/または性能を達成することができないので、上述の特性を有する合金を製造することは困難である。例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、および亜鉛(Zn)を含む、高い溶質含有量を有するアルミニウム合金は、インゴットが直接冷却(DC)鋳造されるときに割れを生じ得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の網羅された実施形態は、この概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この概要は、本発明の様々な態様の高レベルの概説であり、以下の詳細な説明の項でさらに説明される概念のいくつかを紹介している。この概要は、特許請求された主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、任意のまたは全ての図面、および各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書において、合金を作製および処理する方法と共に、高強度および高成形性を呈し、鋳造中および/または鋳造後に割れを呈さないアルミニウム合金が提供される。これらの合金は、ほんの数例を挙げると、自動車、輸送機関、工業、および電子機器の用途に使用され得る。
【0007】
いくつかの例では、アルミニウム合金を製造する方法は、アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、アルミニウム合金が、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0~0.21重量%のCr、0~0.009重量%のZn、0~0.09重量%のTi、0~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである、形成することと、スラブを最終ゲージより前に冷間圧延することなく、スラブを最終ゲージに熱間圧延することと、を含む。いくつかの場合には、アルミニウム合金は、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0.02~0.21重量%のCr、0.001~0.009重量%のZn、0.006~0.09重量%のTi、0.0003~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、約0.52~1.18重量%のSi、0.13~0.30重量%のFe、0.52~1.18重量%のCu、0.12~0.28重量%のMn、0.52~1.18重量%のMg、0.04~0.10重量%のCr、0.002~0.006重量%のZn、0.01~0.06重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかのさらなる例では、アルミニウム合金は、約0.70~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.70~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかの場合には、連続的に鋳造されたスラブは、スラブを熱間圧延する工程の前に巻き取られる。任意選択で、この方法は、スラブを連続的に鋳造する連続鋳造機から出るときに、スラブを冷却することをさらに含む。冷却は、スラブを水で焼き入れすることおよび/またはスラブを空冷することを含み得る。いくつかの場合には、方法は、スラブを最終ゲージに熱間圧延する工程の前に、スラブを中間コイルに巻き取ることと、スラブを最終ゲージに熱間圧延する前に、中間コイルを予熱することと、スラブを最終ゲージに熱間圧延する前に、中間コイルを均質化することと、を含み得る。任意選択で、方法は、最終ゲージのアルミニウム合金製品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金製品を焼き入れすることと、最終ゲージのアルミニウム合金製品を時効させることと、をさらに含み得る。任意選択で、冷間圧延する工程は実施されない。いくつかの場合には、スラブは、連続的に鋳造する工程の後にかつ熱間圧延する工程の前に、約8.0mmを超える長さを有する割れがない。
【0008】
他の例では、アルミニウム合金製品を製造する方法は、アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、アルミニウム合金が、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0~0.21重量%のCr、0~0.009重量%のZn、0~0.09重量%のTi、0~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである、形成することと、スラブを最終ゲージおよび最終調質度に熱間圧延することと、を含む。いくつかの場合には、アルミニウム合金は、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0.02~0.21重量%のCr、0.001~0.009重量%のZn、0.006~0.09重量%のTi、0.0003~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、約0.52~1.18重量%のSi、0.13~0.30重量%のFe、0.52~1.18重量%のCu、0.12~0.28重量%のMn、0.52~1.18重量%のMg、0.04~0.10重量%のCr、0.002~0.006重量%のZn、0.01~0.06重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかのさらなる例では、アルミニウム合金は、約0.70~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.70~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかの場合には、鋳造されたスラブは、鋳造中および/または鋳造後に割れを呈さない。いくつかの場合には、スラブは、連続的に鋳造する工程の後にかつ熱間圧延する工程の前に、約8.0mmを超える長さを有する割れがない。
【0009】
いくつかの例では、アルミニウム合金製品を製造する方法は、連続鋳造機内でアルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、アルミニウム合金が、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0~0.21重量%のCr、0~0.009重量%のZn、0~0.09重量%のTi、0~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである、形成することと、スラブを、連続鋳造機から出るときに均質化することと、スラブを熱間圧延して、スラブの厚さを少なくとも50%だけ減少させることと、を含む。いくつかの場合には、アルミニウム合金は、約0.26~2.82重量%のSi、0.06~0.60重量%のFe、0.26~2.37重量%のCu、0.06~0.57重量%のMn、0.26~2.37重量%のMg、0.02~0.21重量%のCr、0.001~0.009重量%のZn、0.006~0.09重量%のTi、0.0003~0.003重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、約0.52~1.18重量%のSi、0.13~0.30重量%のFe、0.52~1.18重量%のCu、0.12~0.28重量%のMn、0.52~1.18重量%のMg、0.04~0.10重量%のCr、0.002~0.006重量%のZn、0.01~0.06重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。いくつかのさらなる例では、アルミニウム合金は、約0.70~1.0重量%のSi、0.15~0.25重量%のFe、0.70~0.90重量%のCu、0.15~0.25重量%のMn、0.70~0.90重量%のMg、0.05~0.10重量%のCr、0.002~0.004重量%のZn、0.01~0.03重量%のTi、0.0006~0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部がAlである。任意選択で、均質化する工程は、約500℃~約580℃の温度で実施される。
【0010】
本明細書において、本明細書に記載の方法に従って調製されたアルミニウム合金製品もまた提供される。アルミニウム合金製品は、アルミニウム合金シート、アルミニウム合金プレート、またはアルミニウム合金シェートであり得る。アルミニウム合金製品は、T82調質度にあるときに、少なくとも約365MPaの長い横方向の引張降伏強度を含み得る。アルミニウム合金製品は、T4調質度にあるときに、約40°~約130°の曲げ角度を含み得る。任意選択で、アルミニウム合金製品は、T4調質度にあるときに、約35°~約65°、T82調質度にあるときに、約110°~約130°、および半壊条件にあるときに、約90°~約130°の内曲げ角度を含む。アルミニウム合金製品は、自動車車体部品、動力車両部品、輸送機関本体部品、航空宇宙機体部品、または電子機器ハウジングであり得る。
【0011】
本明細書に記載の方法に従って調製されたアルミニウム合金は、予想外の特性を有する。例えば、冷間圧延する工程を伴わずに処理された連続的に鋳造された6xxxシリーズアルミニウム合金は、冷間圧延によるひずみ硬化を施されていないアルミニウム合金に期待される延性を呈する一方で、冷間圧延する工程から通常得られる引張強度を同時に呈する。本明細書に記載の連続的な鋳造によって製造されたアルミニウム合金は、記載される非連続直接チル(DC)法によって鋳造された組成の合金において、一般的に観察される耐割れ性をさらに呈する。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本明細書に記載の異なる合金に対する2つの異なる処理経路を示すプロセスフロー図である。図1Aは、鋳放しアルミニウム合金(「As cast」)に、予熱する工程(「Pre-heat」)、熱間圧延する工程(「Lab HR」)、焼入れ/巻き取り冷却する工程(「Reroll」)、最終ゲージ製品(「Final gauge」)を得るために冷間圧延する工程(「Lab CR」)、溶体化熱処理製品を得るために溶体化する工程(「SHT」)、および時効された製品を得るために時効させる工程(「AA」)を施す、比較処理経路を示す。
図1B】本明細書に記載の異なる合金に対する2つの異なる処理経路を示すプロセスフロー図である。図1Bは、鋳放しアルミニウム合金(「As cast」)に、予熱する工程(「Pre-heat」)、最終ゲージ製品(「Final gauge」)を得るために最終ゲージに熱間圧延する工程(「Lab HR」)、溶体化熱処理製品を得るために溶体化する工程(「SHT」)、および時効された製品を得るために時効させる工程(「AA」)を施す例示処理経路を示す。
図2】例示経路(「HRTG」と呼ばれる、ゲージへの熱間圧延、図1B参照)によって処理される連続的に鋳造された(「CC」と称される)の例示合金(A、B)、および比較経路 (「HR+WQ+CR」と呼ばれる熱間圧延および冷間圧延、図1A参照)によって処理されるDC鋳造(「DC」と呼ばれる)比較合金(C)の降伏強度(各ペアの左側の網掛けで塗りつぶしたヒストグラムバー)、および曲げ角度(各ペアの右側の交差した網掛けで塗りつぶしたヒストグラムバー)を示すグラフである。測定は、圧延方向に対して長い横方向の方向で行われた。
図3】3つの異なる溶体化温度を使用して、かつT4、T81、およびT82の調質度で、図1Aに記載された経路(「HR+WQ+CR」)によって処理された連続的に鋳造された例示合金Aの引張特性を示すグラフである。各組の左側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度(「YS」)を表す。各組の中央のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度(「UTS」)を表す。各組の右側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の曲げ角度(「VDA」)を表す。伸びは、塗りつぶされていないポイントマーカーで表される。各組の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸び(「TE」)を表し、各組の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸び(「UE」)を表す。
図4】グラフに示したような3つの異なる溶体化温度を使用して、かつT4、T81、およびT82の調質度で、図1Bに記載の経路(「HRTG」)によって処理された連続的に鋳造された例示合金Aの引張特性を示すグラフである。各組の左側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度を表す。各組の中央のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度を表す。各組の右側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の曲げ角度を表す。伸びは、塗りつぶされていないポイントマーカーで表される。各組の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸びを表し、各組の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸びを表す。
図5図1Aに記載の経路で処理された連続的に鋳造された例示合金Bの引張特性を示すグラフである。グラフに示されているような3つの異なる溶体化温度を使用し、かつT4、T81、およびT82の調質度でのHR+WQ+CR。各組の左側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度を表す。各組の中央のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度を表す。各組の右側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の曲げ角度を表す。伸びは、塗りつぶされていないポイントマーカーで表される。各組の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸びを表し、各組の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸びを表す。
図6】グラフに示されたような3つの異なる溶体化温度を用いて、かつT4、T81、およびT82の調質度で、図1Bに記載された経路(「HRTG」)によって処理された連続的に鋳造された例示合金Bの引張特性を示すグラフである。各組の左側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度を表す。各組の中央のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度を表す。各組の右側のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の曲げ角度を表す。伸びは、塗りつぶされていないポイントマーカーで表される。各組の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸びを表し、各組の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸びを表す。
図7】本明細書に記載の例示合金の粒子含有量および粒状構造のデジタル画像を示す。上列(「Particle」)は、例示経路(「A-HRTG」、「B-HRTG」)および比較経路(「A-HR+WQ+CR」、「B-HR+WQ」+CR)によって処理された例示合金の粒子含有量を示す。下列(「Grain)は、例示経路および比較経路によって処理された例示合金の粒状構造を示す。
図8】本明細書に記載の例示および比較合金の粒子含有量および粒状構造のデジタル画像を示す。上列(「Particle」)は、比較経路(熱間圧延および冷間圧延、「A-HR+WQ+CR」、「B-HR+WQ+CR」、「C-HR+WQ+CR」)によって処理された例示合金(A、B)および比較合金(C)の粒子含有量を示す。下列(「Grain」)は、比較経路によって処理された例示および比較合金の粒状構造を示す。
図9】本開示の特定の態様による、アルミニウム合金物品を製造する方法を示す概略図である。アルミニウム合金は、連続的にスラブの形態に鋳造され、均質化され、熱間圧延され、焼き入れされ、巻き取られ、冷間圧延され、溶体化され、かつ/または焼き入れされる。
図10図9に記載の経路によって処理されたアルミニウム合金の機械的特性のグラフである。VDA曲げおよび降伏強度のデータが示されている。
図11】本開示の特定の態様による、アルミニウム合金物品を製造する方法を示す概略図である。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、熱間圧延され、焼き入れされ、巻き取られ、予熱され、予熱温度より低い温度に焼き入れされ、温間圧延され、かつ溶体化される。
図12図11に記載の経路で処理されたアルミニウム合金の機械的特性のグラフである。VDA曲げおよび降伏強度のデータが示されている。
図13】本開示の特定の態様による、アルミニウム合金物品を製造する方法を示す概略図である。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、熱間圧延され、焼き入れされ、巻き取られ、予熱され、熱間圧延され、焼き入れされ、冷間圧延され、かつ溶体化される。
図14図13に記載の経路によって処理されたアルミニウム合金の機械的特性のグラフである。VDA曲げおよび降伏強度のデータが示されている。
図15】本開示の特定の態様による、アルミニウム合金物品を製造する方法を示す概略図である。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、熱間圧延され、焼き入れされ、予熱され、焼き入れされ、冷間圧延され、かつ溶体化される。
図16図15に記載の経路によって処理されたアルミニウム合金の機械的特性のグラフである。VDA曲げおよび降伏強度のデータが示されている。
図17】本開示の特定の態様に従って製造されたアルミニウム合金の機械的特性のグラフである。各組の左側のヒストグラムバーは、合金の降伏強度を表す。各組の右側のヒストグラムバーは、合金の極限引張強度を表す。伸びは、塗りつぶされていないポイントマーカーで表される。各組の菱形は合金の全伸びを表し、各組の円は合金の均一伸びを表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、高強度および高成形性を呈する6xxxシリーズアルミニウム合金が説明される。いくつかの場合には、6xxxシリーズアルミニウム合金は、溶質の含有量の多さに起因して、従来の鋳造プロセスを使用して鋳造することは困難であり得る。本明細書に記載の方法は、目視検査によって判定されるように、鋳造中および/または鋳造後に割れのない(例えば、直接チル鋳造インゴットよりも本明細書に記載の方法に従って調製されたスラブにおいて平方メートル当たりの割れが少ない)、薄いスラブ(例えば、約5mm~約50mmの厚さを有するアルミニウム合金本体)中の本明細書に記載の6xxxシリーズアルミニウム合金の鋳造を可能にする。いくつかの例では、本明細書に記載のように、6xxxシリーズアルミニウム合金が、連続的に鋳造され得る。いくつかのさらなる例では、鋳造機から出るときに水焼き入れする工程を含めることによって、溶質は、マトリックスから析出するのではなく、マトリックス中で凍結することができる。いくつかの場合において、マトリックス中の溶質の凍結は、下流処理における析出物の粗大化を防ぐことができる。
【0015】
定義および説明
この文書で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」および「本発明」という用語は、本特許出願および以下の特許請求の範囲の主題の全てを広く参照することが意図されている。これらの用語を含む言明は、本明細書に記載された主題を限定するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その(the)」の意味は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数および複数の言及を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「金属」の意味は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、純粋な金属、合金および金属固溶体を含む。
【0018】
この説明では、AA番号によって特定される合金、および「シリーズ」または「6xxx」などの他の関連する記号表示が参照される。アルミニウムおよびその合金の命名および特定に最も一般的に使用される番号記号表示システムの理解に関しては、両方ともThe Aluminum Associationによって出版されている、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照されたい。
【0019】
本出願では、合金の調質度または条件について言及する。最も一般的に使用される合金調質度の説明の理解に関しては、「American National Standards (ANSI)H35 on Alloy and Temper Designation Systems」を参照されたい。F条件または調質度は、製造されたままのアルミニウム合金を指す。O状態または調質度は、焼き鈍し後のアルミニウム合金を指す。T1状態または調質度は、熱間加工および自然時効(例えば、室温で)から冷却した後のアルミニウム合金を指す。T2状態または調質度は、熱間加工、冷間加工、および自然時効から冷却した後のアルミニウム合金を指す。T3状態または調質度は、溶体化熱処理(すなわち、溶体化)、冷間加工、および自然時効の後のアルミニウム合金を指す。T4状態または調質度は、溶体化熱処理およびそれに続く自然時効の後のアルミニウム合金を指す。T5状態または調質度は、熱間加工および人工時効から冷却した後のアルミニウム合金を指す。T6状態または調質度は、溶体化熱処理およびそれに続く人工時効(AA)の後のアルミニウム合金を指す。T7状態または調質度は、溶体化熱処理およびその後の人工時効の後のアルミニウム合金を指す。T8x状態または調質度は、溶体化熱処理、それに続く冷間加工、その後の人工過時効の後のアルミニウム合金を指す。T9状態または調質度は、溶体化熱処理、それに続く人工時効、およびその後の冷間加工の後のアルミニウム合金を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、プレートは、一般に、約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、15mmを超えるか、20mmを超えるか、25mmを超えるか、30mmを超えるか、35mmを超えるか、40mmを超えるか、45mmを超えるか、50mmを超えるか、または100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指してもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、シェート(シートプレートとも称される)は、概して、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、または15mmの厚さを有し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.1mmの厚さを有し得る。
【0023】
本明細書で開示されるすべての範囲は、その中に含まれる任意およびすべての部分範囲を包含すると理解される。例えば、「1~10」と記載された範囲は、最小値1と最大値10との間の(およびそれらを含む)任意およびすべての部分範囲、すなわち、1の最小値またはそれ以上、例えば、1~6.1で始まり、10の最大値またはそれ以下、例えば、5.5~10で終わるすべての部分範囲を含むと考慮されるべきである。
【0024】
以下の例では、アルミニウム合金は、それらの元素組成に関して、全体の重量百分率(重量%)で記載されている。各合金において、残部はアルミニウムであり、不純物の合計に関する最大重量%は、0.15重量%である。
【0025】
合金の組成
本明細書に記載の合金は、アルミニウム含有6xxxシリーズ合金である。合金は、予想外に高強度および高成形性を呈する。いくつかの場合には、合金の元素組成によって合金の特性が達成され得る。具体的には、合金は、表1に提供されるように、以下の元素組成を有し得る。
【表1】
【0026】
いくつかの例では、合金は、表2に提供されるような元素組成を有し得る。
【表2】
【0027】
いくつかの例では、合金は、表3に提供されるような元素組成を有し得る。
【表3】
【0028】
いくつかの例では、合金は、表4に提供されるような以下の元素組成を有し得る。
【表4】
【0029】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.26重量%~約2.82重量%(例えば、0.52重量%~1.18重量%または0.70重量%~1.0重量%)の量のケイ素(Si)を含む。例えば、合金は、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.6重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.7重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.8重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、0.9重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0.97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1.0重量%、1.01重量%、1.02重量%、1.03重量%、1.04重量%、1.05重量%、1.06重量%、1.07重量%、1.08重量%、1.09重量%、1.1重量%、1.11重量%、1.12重量%、1.13重量%、1.14重量%、1.15重量%、1.16重量%、1.17重量%、1.18重量%、1.19重量%、1.2重量%、1.21重量%、1.22重量%、1.23重量%、1.24重量%、1.25重量%、1.26重量%、1.27重量%、1.28重量%、1.29重量%、1.3重量%、1.31重量%、1.32重量%、1.33重量%、1.34重量%、1.35重量%、1.36重量%、1.37重量%、1.38重量%、1.39重量%、1.4重量%、1.41重量%、1.42重量%、1.43重量%、1.44重量%、1.45重量%、1.46重量%、1.47重量%、1.48重量%、1.49重量%、1.5重量%、1.51重量%、1.52重量%、1.53重量%、1.54重量%、1.55重量%、1.56重量%、1.57重量%、1.58重量%、1.59重量%、1.6重量%、1.61重量%、1.62重量%、1.63重量%、1.64重量%、1.65重量%、1.66重量%、1.67重量%、1.68重量%、1.69重量%、1.7重量%、1.71重量%、1.72重量%、1.73重量%、1.74重量%、1.75重量%、1.76重量%、1.77重量%、1.78重量%、1.79重量%、1.80重量%、1.81重量%、1.82重量%、1.83重量%、1.84重量%、1.85重量%、1.86重量%、1.87重量%、1.88重量%、1.89重量%、1.9重量%、1.91重量%、1.92重量%、1.93重量%、1.94重量%、1.95重量%、1.96重量%、1.97重量%、1.98重量%、1.99重量%、2.0重量%、2.01重量%、2.02重量%、2.03重量%、2.04重量%、2.05重量%、2.06重量%、2.07重量%、2.08重量%、2.09重量%、2.1重量%、2.11重量%、2.12重量%、2.13重量%、2.14重量%、2.15重量%、2.16重量%、2.17重量%、2.18重量%、2.19重量%、2.2重量%、2.21重量%、2.22重量%、2.23重量%、2.24重量%、2.25重量%、2.26重量%、2.27重量%、2.28重量%、2.29重量%、2.3重量%、2.31重量%、2.32重量%、2.33重量%、2.34重量%、2.35重量%、2.36重量%、2.37重量%、2.38重量%、2.39重量%、2.4重量%、2.41重量%、2.42重量%、2.43重量%、2.44重量%、2.45重量%、2.46重量%、2.47重量%、2.48重量%、2.49重量%、2.5重量%、2.51重量%、2.52重量%、2.53重量%、2.54重量%、2.55重量%、2.56重量%、2.57重量%、2.58重量%、2.59重量%、2.6重量%、2.61重量%、2.62重量%、2.63重量%、2.64重量%、2.65重量%、2.66重量%、2.67重量%、2.68重量%、2.69重量%、2.7重量%、2.71重量%、2.72重量%、2.73重量%、2.74重量%、2.75重量%、2.76重量%、2.77重量%、2.78重量%、2.79重量%、2.80重量%、2.81重量%、または2.82重量%のSiを含み得る。
【0030】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金はまた、合金の全重量に基づいて、約0.06重量%~約0.60重量%(例えば、0.13重量%~0.30重量%または0.15重量%~0.25重量%)の量の鉄(Fe)を含む。例えば、合金は、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、または0.6重量%のFeを含み得る。
【0031】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.26重量%~約2.37重量%(例えば、0.52重量%~1.18重量%または0.70重量%~1.0重量%)の量の銅(Cu)を含む。例えば、合金は、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.6重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.7重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.8重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、0.9重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0.97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1.0重量%、1.01重量%、1.02重量%、1.03重量%、1.04重量%、1.05重量%、1.06重量%、1.07重量%、1.08重量%、1.09重量%、1.1重量%、1.11重量%、1.12重量%、1.13重量%、1.14重量%、1.15重量%、1.16重量%、1.17重量%、1.18重量%、1.19重量%、1.2重量%、1.21重量%、1.22重量%、1.23重量%、1.24重量%、1.25重量%、1.26重量%、1.27重量%、1.28重量%、1.29重量%、1.3重量%、1.31重量%、1.32重量%、1.33重量%、1.34重量%、1.35重量%、1.36重量%、1.37重量%、1.38重量%、1.39重量%、1.4重量%、1.41重量%、1.42重量%、1.43重量%、1.44重量%、1.45重量%、1.46重量%、1.47重量%、1.48重量%、1.49重量%、1.5重量%、1.51重量%、1.52重量%、1.53重量%、1.54重量%、1.55重量%、1.56重量%、1.57重量%、1.58重量%、1.59重量%、1.6重量%、1.61重量%、1.62重量%、1.63重量%、1.64重量%、1.65重量%、1.66重量%、1.67重量%、1.68重量%、1.69重量%、1.7重量%、1.71重量%、1.72重量%、1.73重量%、1.74重量%、1.75重量%、1.76重量%、1.77重量%、1.78重量%、1.79重量%、1.80重量%、1.81重量%、1.82重量%、1.83重量%、1.84重量%、1.85重量%、1.86重量%、1.87重量%、1.88重量%、1.89重量%、1.9重量%、1.91重量%、1.92重量%、1.93重量%、1.94重量%、1.95重量%、1.96重量%、1.97重量%、1.98重量%、1.99重量%、2.0重量%、2.01重量%、2.02重量%、2.03重量%、2.04重量%、2.05重量%、2.06重量%、2.07重量%、2.08重量%、2.09重量%、2.1重量% 2.11重量%、2.12重量%、2.13重量%、2.14重量%、2.15重量%、2.16重量%、2.17重量%、2.18重量%、2.19重量%、2.2重量%、2.21重量%、2.22重量%、2.23重量%、2.24重量%、2.25重量%、2.26重量%、2.27重量%、2.28重量%、2.29重量%、2.3重量%、2.31重量%、2.32重量%、2.33重量%、2.34重量%、2.35重量%、2.36重量%、または2.37重量%のCuを含み得る。
【0032】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.06重量%~約0.57重量%(例えば、0.12重量%~0.28重量%または0.15重量%~0.25重量%)の量のマンガン(Mn)を含み得る。例えば、合金は、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、または0.57重量%のMnを含み得る。
【0033】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.26重量%~約2.37重量%(例えば、0.52重量%~1.18重量%または0.70重量%~0.90重量%)の量のマグネシウム(Mg)を含み得る。例えば、合金は、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.6重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.7重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.8重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、0.9重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0.97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1.0重量%、1.01重量%、1.02重量%、1.03重量%、1.04重量%、1.05重量%、1.06重量%、1.07重量%、1.08重量%、1.09重量%、1.1重量%、1.11重量%、1.12重量%、1.13重量%、1.14重量%、1.15重量%、1.16重量%、1.17重量%、1.18重量%、1.19重量%、1.2重量%、1.21重量%、1.22重量%、1.23重量%、1.24重量%、1.25重量%、1.26重量%、1.27重量%、1.28重量%、1.29重量%、1.3重量%、1.31重量%、1.32重量%、1.33重量%、1.34重量%、1.35重量%、1.36重量%、1.37重量%、1.38重量%、1.39重量%、1.4重量%、1.41重量%、1.42重量%、1.43重量%、1.44重量%、1.45重量%、1.46重量%、1.47重量%、1.48重量%、1.49重量%、1.5重量%、1.51重量%、1.52重量%、1.53重量%、1.54重量%、1.55重量%、1.56重量%、1.57重量%、1.58重量%、1.59重量%、1.6重量%、1.61重量%、1.62重量%、1.63重量%、1.64重量%、1.65重量%、1.66重量%、1.67重量%、1.68重量%、1.69重量%、1.7重量%、1.71重量%、1.72重量%、1.73重量%、1.74重量%、1.75重量%、1.76重量%、1.77重量%、1.78重量%、1.79重量%、1.80重量%、1.81重量%、1.82重量%、1.83重量%、1.84重量%、1.85重量%、1.86重量%、1.87重量%、1.88重量%、1.89重量%、1.9重量%、1.91重量%、1.92重量%、1.93重量%、1.94重量%、1.95重量%、1.96重量%、1.97重量%、1.98重量%、1.99重量%、2.0重量%、2.01重量%、2.02重量%、2.03重量%、2.04重量%、2.05重量%、2.06重量%、2.07重量%、2.08重量%、2.09重量%、2.1重量%、2.11重量%、2.12重量%、2.13重量%、2.14重量%、2.15重量%、2.16重量%、2.17重量%、2.18重量%、2.19重量%、2.2重量%、2.21重量%、2.22重量%、2.23重量%、2.24重量%、2.25重量%、2.26重量%、2.27重量%、2.28重量%、2.29重量%、2.3重量%、2.31重量%、2.32重量%、2.33重量%、2.34重量%、2.35重量%、2.36重量%、または2.37重量%のMgを含み得る。
【0034】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、最大で約0.20重量%(例えば、約0.02重量%~約0.20重量%、0.04重量%~0.10重量%、または0.05重量%~0.10重量%)の量のクロム(Cr)を含む。例えば、合金は、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、または0.2重量%のCrを含み得る。特定の態様では、Crは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0035】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、最大で約0.009重量%(例えば、約0.001重量%~約0.009重量%、0.002重量%~0.006重量%、または0.002重量%~0.004重量%)の量の亜鉛(Zn)を含む。例えば、合金は、0.001重量%、0.002重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、または0.009重量%のZnを含み得る。特定の態様において、Znは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0036】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、最大で約0.09%(例えば、約0.006重量%~約0.09%、0.01重量%~0.06重量%、または0.01重量%~0.03重量%)の量のチタン(Ti)を含む。例えば、合金は、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%、0.011重量%、0.012重量%、0.013重量%、0.014重量%、0.015重量%、0.016重量%、0.017重量%、0.018重量%、0.019重量%、0.02重量%、0.021重量%、0.022重量%、0.023重量%、0.024重量%、0.025重量%、0.026重量%、0.027重量%、0.028重量%、0.029重量%、0.03重量%、0.031重量%、0.032重量%、0.033重量%、0.034重量%、0.035重量%、0.036重量%、0.037重量%、0.038重量%、0.039重量%、0.04重量%、0.041重量%、0.042重量%、0.043重量%、0.044重量%、0.045重量%、0.046重量%、0.047重量%、0.048重量%、0.049重量%、0.05重量%、0.051重量%、0.052重量%、0.053重量%、0.054重量%、0.055重量%、0.056重量%、0.057重量%、0.058重量%、0.059重量%、0.06重量%、0.061重量%、0.062重量%、0.063重量%、0.064重量%、0.065重量%、0.066重量%、0.067重量%、0.068重量%、0.069重量%、0.07重量%、0.071重量%、0.072重量%、0.073重量%、0.074重量%、0.075重量%、0.076重量%、0.077重量%、0.078重量%、0.079重量%、0.08重量%、0.081重量%、0.082重量%、0.083重量%、0.084重量%、0.085重量%、0.086重量%、0.087重量%、0.088重量%、0.089重量%、0.09重量%のTiを含み得る。特定の態様では、Tiは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0037】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、最大で約0.20%(例えば、約0.0003重量%~約0.003%、0.0006重量%~0.001重量%、または0.0009重量%~0.001重量%)の量のジルコニウム(Zr)を含む。例えば、合金は、0.0001重量%、0.0002重量%、0.0003重量%、0.0004重量%、0.0005重量%、0.0006重量%、0.0007重量%、0.0008重量%、0.0009重量%、0.001重量%、0.0011重量%、0.0012重量%、0.0013重量%、0.0014重量%、0.0015重量%、0.0016重量%、0.0017重量%、0.0018重量%、0.0019重量%、0.002重量%、0.0021重量%、0.0022重量%、0.0023重量%、0.0024重量%、0.0025重量%、0.0026重量%、0.0027重量%、0.0028重量%、0.0029重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、または0.2重量%のZrを含み得る。特定の態様では、Zrは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0038】
任意選択で、本明細書に記載の合金組成は、不純物と呼ばれることもある他の微量元素を、各々、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、または0.01重量%以下の量でさらに含み得る。これらの不純物としては、V、Ni、Sn、Ga、Ca、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。したがって、V、Ni、Sn、Ga、またはCaは、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、または0.01重量%以下の量で、合金中に存在してもよい。いくつかの例では、全不純物の合計は、0.15重量%を超えない(例えば、0.10重量%)。合金の残部の割合はアルミニウムである。
【0039】
いくつかの例では、アルミニウム合金は、0.79重量%のSi、0.20重量%のFe、0.79重量%のCu、0.196重量%のMn、0.79重量%のMg、0.07重量%のCr、0.003重量%のZn、0.02重量%のTi、0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部はAlである。
【0040】
いくつかの例では、アルミニウム合金は、0.94重量%のSi、0.20重量%のFe、0.79重量%のCu、0.196重量%のMn、0.79重量%のMg、0.07重量%のCr、0.003重量%のZn、0.03重量%のTi、0.001重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残部はAlである。
【0041】
任意選択で、本明細書に記載のアルミニウム合金は、以下のアルミニウム合金の記号表示のうちの1つによる6xxxアルミニウム合金であり得る:AA6101、AA6101A、AA6101B、AA6201、AA6201A、AA6401、AA6501、AA6002、AA6003、AA6103、AA6005、AA6005A、AA6005B、AA6005C、AA6105、AA6205、AA6305、AA6006、AA6106、AA6206、AA6306、AA6008、AA6009、AA6010、AA6110、AA6110A、AA6011、AA6111、AA6012、AA6012A、AA6013、AA6113、AA6014、AA6015、AA6016、AA6016A、AA6116、AA6018、AA6019、AA6020、AA6021、AA6022、AA6023、AA6024、AA6025、AA6026、AA6027、AA6028、AA6031、AA6032、AA6033、AA6040、AA6041、AA6042、AA6043、AA6151、AA6351、AA6351A、AA6451、AA6951、AA6053、AA6055、AA6056、AA6156、AA6060、AA6160、AA6260、AA6360、AA6460、AA6460B、AA6560、AA6660、AA6061、AA6061A、AA6261、AA6361、AA6162、AA6262、AA6262A、AA6063、AA6063A、AA6463、AA6463A、AA6763、A6963、AA6064、AA6064A、AA6065、AA6066、AA6068、AA6069、AA6070、AA6081、AA6181、AA6181A、AA6082、AA6082A、AA6182、AA6091、またはAA6092。
【0042】
作製方法
本明細書において、アルミニウムシートを製造する方法もまた説明される。アルミニウム合金は、鋳造され得、次いでさらに処理する工程が実施され得る。いくつかの例では、処理する工程は、予熱および/または均質化する工程、熱間圧延する工程、溶体化する工程、任意選択で焼き入れする工程、人工時効させる工程、任意選択で塗装する工程、および任意選択で塗料を焼き付ける工程を含む。
【0043】
いくつかの例では、方法は、スラブを鋳造することと、スラブを熱間圧延して、シート、シェート、またはプレートの形態の熱間圧延されたアルミニウム合金を製造することと、アルミニウムのシート、シェート、またはプレートを溶体化することと、アルミニウムのシート、シェート、またはプレートを時効させることと、を含む。いくつかの例では、熱間圧延する工程は、スラブを最終ゲージおよび/または最終調質度に熱間圧延することを含む。いくつかの例では、冷間圧延する工程は排除される(すなわち除外される)。いくつかの例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに熱的に焼き入れされる。いくつかのさらなる例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに巻き取られる。いくつかの場合には、巻き取られたスラブは、空気中で冷却される。いくつかの場合には、方法は、巻き取られたスラブを予熱することをさらに含む。いくつかの例では、方法は、時効されたアルミニウムのシート、シェート、またはプレートを塗装することをさらに含む。いくつかのさらなる場合には、方法は、塗装されたアルミニウムのシート、シェート、またはプレートを焼き付けることをさらに含む。方法の工程を以下にさらに説明する。
【0044】
鋳造
本明細書に記載の合金は、連続鋳造(CC)プロセスを使用してスラブに鋳造され得る。連続鋳造装置は、任意の適切な連続鋳造装置であり得る。CCプロセスは、ブロック鋳造機、ツインロール鋳造機、またはツインベルト鋳造機の使用を含み得るが、それらに限定されない。驚くべきことに、「BELT-COOLING AND GUIDING MEANS FOR CONTINUOUS BELT CASTING OF METAL STRIP」と題された米国特許第6,755,236号に開示されているベルト鋳造装置などのツインベルト鋳造装置を使用して、望ましい結果が達成されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの例では、銅などの高い熱伝導率を有する金属から作製されたベルトを有するベルト鋳造装置を使用することによって、特に望ましい結果が達成され得る。ベルト鋳造装置は、最大で1メートルケルビンあたり400ワット(W/m・K)の熱伝導率を有する金属から作製されたベルトを含み得る。例えば、ベルトの熱伝導率は、鋳造温度で、50W/m・K、100W/m・K、150W/m・K、250W/m・K、300W/m・K、350W/m・K、または400W/m・Kであり得るが、炭素鋼または低炭素鋼を含む、他の熱伝導率の値を有する金属が使用されてもよい。CCは、最大で約12メートル/分(m/分)の速度で実施され得る。例えば、CCは、12m/分以下、11m/分以下、10m/分以下、9m/分以下、8m/分以下、7m/分以下、6m/分以下、5m/分以下、4m/分以下、3m/分以下、2m/分以下、または1m/分以下の速度で実施され得る。
【0045】
焼き入れ
得られるスラブは、連続鋳造機から出るときに、任意選択で熱的に焼き入れされ得る。いくつかの例では、焼き入れは水で実施される。任意選択で、水焼き入れする工程は、最大で約200℃/秒(例えば、10℃/秒~190℃/秒、25℃/秒~175℃/秒、50℃/秒~150℃/秒、75℃/秒~125℃/秒、または10℃/秒~50℃/秒)の速度で実施され得る。水温は、約20℃~約75℃(例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、または約75℃)であり得る。任意選択で、空冷する工程は、約1℃/秒~約300℃/日の速度で実施され得る。得られるスラブは、約5mm~約50mm(例えば、約10mmから約45mm、約15mm~約40mm、または約20mm~約35mm)、例えば、約10mmの厚さを有し得る。例えば、得られるスラブは、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、または50mmの厚さであり得る。
【0046】
いくつかの例では、スラブを、連続鋳造機から出るときに水焼き入れすることにより、T4調質度のアルミニウム合金スラブが得られる。任意選択の水焼き入れの後、T4調質度にあるスラブは、次いで任意選択で中間コイルに巻き取られ、最大で90日の時間期間保管され得る。意外なことに、スラブを連続鋳造機から出るときの水焼き入れは、スラブに割れが生じないように、目視検査によって判定されるようなスラブ割れをもたらさない。例えば、直接チル鋳造インゴットと比較すると、本明細書に記載の方法に従って製造されたスラブの割れ傾向は著しく減少する。いくつかの例では、約8.0mm未満の長さを有する平方メートル当たり、約8個以下の割れ(例えば、平方メートル当たり、約7個以下の割れ、約6個以下の割れ、約5個以下の割れ、約4個以下の割れ、約3個以下の割れ、約2個以下の割れ、または約1個の割れ)は存在しない。
【0047】
巻き取り
任意選択で、スラブは、連続鋳造機から出るときに中間コイルに巻き取られ得る。いくつかの例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに中間コイルに巻き取られ、その結果F調質度が生じる。いくつかのさらなる例では、コイルは、空気中で冷却される。いくつかのさらなる例では、空冷されたコイルは、一定の時間期間保管される。いくつかの例では、中間コイルは、約100℃~約350℃(例えば、約200℃または約300℃)の温度に維持される。いくつかのさらなる例では、中間コイルは、F調質度をもたらす自然時効を防ぐために、低温保管場所に維持される。
【0048】
予熱および/または均質化
保管時には、中間コイルは、予熱する工程で任意選択で再加熱され得る。いくつかの例では、再加熱する工程は、熱間圧延する工程のために中間コイルを予熱することを含み得る。いくつかのさらなる例では、再加熱する工程は、最大で約100℃/時間(例えば、約10℃/時間または約50℃/時間)の速度で、中間コイルを予熱することを含み得る。中間コイルは、約350℃~約580℃(例えば、約375℃~約570℃、約400℃~約550℃、約425℃から約500℃、または約500℃~約580℃)の温度に加熱され得る。中間コイルは、約1分~約120分、好ましくは約60分ソーキングすることができる。
【0049】
任意選択で、コイルの保管および/もしくは予熱の後の中間コイル、または鋳造機を出るときのスラブは、均質化され得る。均質化する工程は、スラブまたは中間コイルを加熱して、約または少なくとも約450℃(例えば、少なくとも460℃、少なくとも470℃、少なくとも480℃、少なくとも490℃、少なくとも500℃、少なくとも510℃、少なくとも520℃、少なくとも530℃、少なくとも540℃、少なくとも550℃、少なくとも560℃、少なくとも570℃、または少なくとも580℃)のピーク金属温度(PMT)を達成することを含み得る。例えば、コイルまたはスラブは、約450℃~約580℃、約460℃~約575℃、約470℃~約570℃、約480℃~約565℃、約490℃~約555℃、または約500℃~約550℃の温度に加熱され得る。いくつかの場合には、PMTへの加熱速度は、約100℃/時間以下、75℃/時間以下、50℃/時間以下、40℃/時間以下、30℃/時間以下、25℃/時間以下、20℃/時間以下、または15℃/時間以下であり得る。他の場合には、PMTへの加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。
【0050】
次いで、コイルまたはスラブは、一定期間ソーキングさせられる(すなわち、指示された温度に保持させられる)。1つの非限定的な例によれば、コイルまたはスラブは、最大で約36時間(例えば、包括的に、約30分~約36時間)ソーキングさせられる。例えば、コイルまたはスラブは、一定の温度で、10秒、15秒、30秒、45秒、1分、2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、またはそれら間のいずれかでソーキングされ得る。
【0051】
熱間圧延
予熱および/または均質化する工程に続いて、熱間圧延する工程が実施され得る。熱間圧延する工程は、熱間逆転ミル操作および/または熱間タンデムミル操作を含み得る。熱間圧延する工程は、約250℃~約500℃(例えば、約300℃~約400℃または約350℃~約500℃)の範囲の温度で実施され得る。例えば、熱間圧延する工程は、約250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、490℃、または500℃の温度で実施され得る。
【0052】
熱間圧延する工程では、金属製品は、10mmゲージ以下(例えば、約2mm~約8mm)の厚さに熱間圧延され得る。例えば、金属製品は、約10mm以下のゲージ、9mm以下のゲージ、8mm以下のゲージ、7mm以下のゲージ、6mm以下のゲージ、5mm以下のゲージ、4mm以下のゲージ、3mm以下のゲージ、または2mm以下のゲージに熱間圧延され得る。いくつかの場合には、熱間圧延する工程から生じる厚さの減少率は、約35%~約80%(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%。75%、または80%)であり得る。任意選択で、熱間圧延された金属製品は、熱間圧延する工程の終わりに(例えば、タンデムミルから出るときに)焼き入れされる。任意選択で、熱間圧延する工程の終わりに、熱間圧延された金属製品は巻き取られる。
【0053】
任意選択で、熱間圧延された金属は、最終ゲージおよび/または最終調質度で提供される。いくつかの非限定的な例では、熱間圧延する工程は、さらなる下流処理が必要とされないように、所望の機械的特性を有する最終製品を提供され得る。例えば、最終製品は、冷間圧延、溶体化、溶体化後の焼き入れ、自然時効、および/または人工時効を伴わずに、熱間圧延されて最終ゲージおよび調質度で供給され得る。「HRTGT」とも呼ばれる最終ゲージおよび調質度への熱間圧延は、大幅に低減したコストで最適化された機械的特性を有する金属製品を提供し得る。
【0054】
任意選択で、冷間圧延、温間圧延、溶体化、溶体化後の焼き入れ、および/または時効などのさらなる処理工程が実施され得る。これらの工程は以下にさらに説明される。
【0055】
冷間圧延-任意選択
任意選択で、熱間圧延された金属製品は、冷間圧延され得る。例えば、アルミニウム合金のプレートまたはシェートは、シートと呼ばれる、約0.1mm~約4mmの厚さゲージ(例えば、約0.5mm~約3mmの厚さゲージ)に冷間圧延され得る。例えば、鋳造アルミニウム合金製品は、約4mm未満の厚さに冷間圧延され得る。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.9mm未満、0.8mm未満、0.7mm未満、0.6mm、0.5mm未満、0.4mm未満、0.3mm未満、0.2mm未満、または0.1mm未満の厚さを有し得る。圧延されたままのシートの調質度は、F調質度と呼ばれる。
【0056】
任意選択で、冷間圧延する工程は排除される。いくつかの例では、冷間圧延する工程は、アルミニウム合金のシート、シェート、またはプレートの成形性を同時に低下させながら、アルミニウム合金の強度および硬度を増加させ得る。冷間圧延する工程を排除することは、アルミニウム合金のシート、シェート、またはプレートの延性を維持し得る。意外にも、冷間圧延する工程を排除することは、以下の実施例において詳細に記載されるように、本明細書に記載のアルミニウム合金の強度に悪影響を及ぼさない。
【0057】
温間圧延
任意選択で、熱間圧延された金属製品は、最終ゲージに温間圧延され得る。温間圧延する工程は、熱間圧延する温度より低い温度で実施され得る。任意選択で、温間圧延温度は、約300℃~約400℃(例えば、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、またはそれらの間のいずれか)であり得る。いくつかの場合には、熱間圧延された製品は、シートと呼ばれる、約0.1mm~約4mmの厚さゲージ(例えば、約0.5mm~約3mmの厚さゲージ)まで温間圧延され得る。例えば、鋳造アルミニウム合金製品は、約4mm未満の厚さまで温間圧延され得る。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.9mm未満、0.8mm未満、0.7mm未満、0.6mm未満、0.5mm未満、0.4mm未満、0.3mm未満、0.2mm未満、または0.1mm未満の厚さを有してもよい。
【0058】
本明細書に記載のように、焼き入れする工程は、温間圧延する工程の前、温間圧延する工程の後、または温間圧延する工程の前および後に実施され得る。任意選択で、熱間圧延された製品は、温間圧延する工程の前に巻き取られかつ/または保管され得る。これらの場合において、巻き取られかつ/または保管された熱間圧延された製品は、上記のように予熱する工程で再加熱され得る。
【0059】
溶体化
次いで、熱間圧延された金属製品または冷間圧延された金属製品は、溶体化する工程を施され得る。溶体化する工程は、約420℃~約560℃(例えば、約480℃~約550℃または約500℃~約530℃)の範囲の温度で実施され得る。溶体化する工程は、約0分~約1時間(例えば、約1分間または約30分間)実施され得る。任意選択で、溶体化する工程の終わりに(例えば、炉から出るときに)、シートは熱焼き入れする工程を施される。熱焼き入れする工程は、空気および/または水を使用して実施され得る。水温は、約20℃~約75℃(例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、または約75℃)であり得る。
【0060】
時効
任意選択で、金属製品は人工時効させる工程が施される。人工時効させる工程は、合金の高強度特性を発達させ、合金における他の望ましい特性を最適化する。最終製品の機械的特性は、所望の用途に応じて様々な時効条件によって制御され得る。いくつかの場合には、本明細書に記載の金属製品は、例えば、Tx調質度(例えば、T1調質度、T4調質度、T5調質度、T6調質度、T7調質度、T81調質度、もしくはT82調質度)、W調質度、O調質度、またはF調質度で顧客に納品され得る。いくつかの例では、人工時効させる工程が実施され得る。人工時効させる工程は、約100℃~約250℃の温度(例えば、約180℃または約225℃)で実施され得る。時効させる工程は、約10分~約36時間(例えば、約30分または約24時間)の時間期間にわたって実施され得る。いくつかの例では、人工時効させる工程は、180℃で30分間実施されて、T81調質度をもたらし得る。いくつかの例では、人工時効させる工程は、185℃で25分間実施されて、T81調質度をもたらし得る。いくつかのさらなる例では、人工時効させる工程は、225℃で30分間実施されて、T82調質度をもたらし得る。いくつかのさらなる例では、合金は、自然時効させる工程を施される。自然時効させる工程は、T4調質度をもたらし得る。
【0061】
塗装および/または塗料焼き付け
任意選択で、金属製品は、塗装する工程を施される。任意選択で、塗装する工程は、亜鉛リン酸塩処理(Zn-リン酸塩処理)および/または電気塗装(E-塗装)を含み得る。Zn-リン酸塩処理およびE-塗装は、当業者に既知であるように、アルミニウム産業で一般的に使用されている標準に従って実施され得る。任意選択で、塗装する工程の後に塗料を焼き付ける工程を続けることができる。塗料を焼き付ける工程は、約150℃~約230℃の温度(例えば、約180℃または約210℃)で実施され得る。塗料を焼き付ける工程は、約10分~約60分(例えば、約30分または約45分)の時間期間にわたって実施され得る。
【0062】
例示的な方法
図1Bは、1つの例示的方法を示している。アルミニウム合金は、ツインベルト鋳造機からスラブ(例えば、約5mm~約50mm、好ましくは約10mmの厚さを有するアルミニウム合金)の形態に連続的に鋳造される。いくつかの例では、連続鋳造機を出るときに、スラブを任意選択で水で焼き入れすることができ、得られた焼き入れされたスラブを巻き取り、最大で90日の期間にわたって保管することができる。さらなる例では、連続鋳造機を出るときに、スラブを任意選択で巻き取ることができ、得られたコイルを空気中で冷却することができる。得られる冷却されたコイルは、一定の時間期間保管され得る。いくつかの場合には、スラブは、さらに処理する工程を施され得る。いくつかの例では、コイルは、任意選択で予熱および/または均質化され得る。得られる任意選択で予熱および/または均質化されたコイルは巻き出され得る。巻き出されていないスラブは、最終ゲージのアルミニウム合金製品に熱間圧延され得る。最終ゲージのアルミニウム合金製品は、プレート、シート、またはシェートであり得る。得られるアルミニウム合金製品は、任意選択で溶体化(SHT)され得る。得られる溶体化されたアルミニウム合金製品は、任意選択で焼き入れされ得る。得られる溶体化および/または焼き入れされたアルミニウム合金製品は、任意選択で時効させる工程を施され得る。時効させる工程は、自然および/または人工時効(AA)を含み得る。
【0063】
図9は、別の例示的な方法を示す。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、中間ゲージを有する熱間圧延されたたアルミニウム合金(すなわち、中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造するために熱間圧延され、焼き入れされ、かつ巻き取られる。巻き取られた材料は、任意選択で、ある時間期間後に、続いて冷間圧延されて最終ゲージのアルミニウム合金製品を提供する。得られるアルミニウム合金製品は、任意選択で、溶体化および/または焼き入れされ得る。得られる焼き入れおよび/または溶体化されたアルミニウム合金製品は、任意選択で、時効させる工程を施され得る。時効させる工程は、自然および/または人工時効(AA)を含み得る。
【0064】
図11は、本明細書に記載の別の製造方法を示す。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(すなわち、中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造するために熱間圧延され、焼き入れされ、かつ巻き取られる。巻き取られた材料は、任意選択で、ある時間期間後に予熱され、予熱温度より低い温度に焼き入れされ、かつ温間圧延されて最終ゲージのアルミニウム合金製品を提供する。得られるアルミニウム合金製品は、任意選択で、焼き入れおよび/または溶体化され得る。得られる焼き入れおよび/または溶体化されたアルミニウム合金製品は、任意選択で、時効させる工程を施され得る。時効させる工程は、自然および/または人工時効(AA)を含み得る。
【0065】
図13は、本明細書に記載の例示的製造方法を示す。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、第1の中間ゲージを有する熱間圧延されたアルミニウム合金(すなわち、第1の中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造するために熱間圧延され、焼き入れされ、かつ巻き取られる。巻き取られた材料は、任意選択で、一定時間期間後、予熱され、第2の中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(すなわち、第2の中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造するために熱間圧延され、焼き入れされ、冷間圧延されて最終ゲージのアルミニウム合金製品を得る。得られるアルミニウム合金製品は、任意選択で、焼き入れおよび/または溶体化され得る。得られる焼き入れおよび/または溶体化アルミニウム合金製品は、任意選択で、時効させる工程を施され得る。時効させる工程は、自然および/または人工時効(AA)を含み得る。
【0066】
図15は、本明細書に記載の例示的製造方法を示す。アルミニウム合金は、スラブの形態に連続的に鋳造され、均質化され、熱間圧延され、焼き入れされ、予熱され、焼き入れされ、かつ冷間圧延されて、最終ゲージのアルミニウム合金製品を提供する。得られるアルミニウム合金製品は、任意選択で、焼き入れおよび/または溶体化され得る。得られる焼き入れおよび/または溶体化されたアルミニウム合金製品は、任意選択で、時効させる工程を施され得る。時効させる工程は、自然および/または人工時効(AA)を含み得る。
【0067】
特性
本明細書に記載されるような得られる金属製品は、Tx調質度条件(ここで、Tx調質度はT1、T4、T5、T6、T7、T81、もしくはT82調質度を含み得る)、W調質度、O調質度、またはF調質度を含む、様々な調質度条件下での高強度および高成形性を含む、所望の特性の組み合わせを有する。いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ150~500MPa(例えば、300MPa~500MPa、350MPa~475MPa、または374MPa~460MPa)の降伏強度を有する。例えば、降伏強度は、およそ150MPa、160MPa、170MPa、180MPa、190MPa、200MPa、210MPa、220MPa、230MPa、240MPa、250MPa、260MPa、270MPa、280MPa、290MPa、300MPa、310MPa、320MPa、330MPa、340MPa、350MPa、360MPa、370MPa、380MPa、390MPa、400MPa、410MPa、420MPa、430MPa、440MPa、450MPa、460MPa、470MPa、480MPa、490MPa、または500MPaであり得る。任意選択で、150~500MPaの降伏強度を有する金属製品は、T4、T81、またはT82の調質度であり得る。
【0068】
いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ35°~130°の間の曲げ角度を有する。例えば、得られる金属製品の曲げ角度は、およそ35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、45°、46°、47°、48°、49°、50°、51°、52°、53°、54°、55°、56°、57°、58°、59°、60°、61°、62°、63°、64°、65°、66°、67°、68°、69°、70°、71°、72°、73°、74°、75°、76°、77°、78°、79°、80°、81°、82°、83°、84°、85°、86°、87°、88°、89°、90°、91°、92°、93°、94°、95°、96°、97°、98°、99°、100°、101°、102°、103°、104°、105°、106°、107°、108°、109°、110°、111°、112°、113°、114°、115°、116°、117°、118°、119°、120°、121°、122°、123°、124°、125°、126°、127°、128°、129°、または130°であり得る。任意選択で、40°~130°の間の曲げ角度を有する金属製品は、T4、T81、またはT82の調質度であり得る。いくつかの例では、金属製品は、T4調質度にあるときに、約35°~約65°の内曲げ角度を有する。他の例では、金属製品は、T82調質度にあるときに、約110°~約130°の内曲げ角度を有する。任意選択で、半壊適用では、アルミニウム合金製品は、T82調質度にあるときに、約90°~約130°および約100°~約130°の内曲げ角度を含む。
【0069】
使用法
本明細書に記載の合金および方法は、自動車、航空機、および鉄道用途を含む自動車用途および/もしくは輸送機関用途、または他の任意の所望の用途に使用され得る。いくつかの例では、合金および方法は、バンパー、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、またはトランクリッドパネルなどの自動車車体部品製品を調製するために使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金および方法はまた、航空機または鉄道車両用途において、例えば、アウターパネルおよびインナーパネルを調製するために使用され得る。
【0070】
本明細書に記載の合金および方法はまた、電子機器用途にも使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金および方法は、携帯電話およびタブレットコンピュータを含む、電子機器用のハウジングを調製するために使用され得る。いくつかの例では、合金は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、およびタブレットボトムシャーシの外部ケーシング用のハウジングを調製するために使用され得る。
【0071】
いくつかの場合には、本明細書に記載の合金および方法は工業用途に使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金および方法は、一般流通市場向けの製品を調製するために使用され得る。
【0072】
開示された主題の様々な例について詳細に言及がなされており、その1つ以上の例が上記で説明されている。各例は、主題の説明として提供されたものであり、それを限定するものではない。実際に、当業者には、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、本主題に様々な修正および変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、別の実施形態と共に使用されてさらに別の実施形態を生み出すことができる。
【0073】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、同時にそのいかなる限定も構成しない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなくそれら自体を当業者に示唆し得る様々な実施形態、変更および均等物に頼ることができることを明確に理解されたい。
【実施例
【0074】
実施例1
強度、伸び、および成形性の試験のために様々な合金を調製した。これらの合金の化学組成は、下記の表5に提供される。
【表5】
全ての値は、全体の重量百分率(重量%)として表した。
【0075】
本明細書に記載の例示的な方法を使用して、合金AおよびB(例示合金)を連続的に鋳造した。具体的には、ツインベルト鋳造機を使用して、連続的に鋳造されたアルミニウム合金スラブを製造した。合金AおよびBを各々、図1Bによる例示処理経路(A-HRTGおよびB-HRTG)、ならびに図1Aによる比較処理経路(A-HR+WQ+CRおよびB-HR+WQ+CR)によって処理した。当業者に既知の方法に従って実験室規模のDC鋳造機を使用して合金C(比較合金)を鋳造し、次いで図1Aに従って比較経路(C-HR+WQ+CR)によって処理した。図1Aおよび図1Bに記載のような処理経路は、以下に説明される。
【0076】
図1Aは、比較処理経路を説明する処理フロー図である。比較経路(「HR+WQ+CR」と呼ばれる)は、伝統的なゆっくりした予熱および均質化する工程(Pre-heat)と、それに続く熱間圧延(HR)と、巻き取り/水焼入れ(Reroll)と、最終ゲージ(Final Gauge)への冷間圧延(CR)と、溶体化(SHT)と、T8×調質度特性を得るための人工時効(AA)またはT4調質度特性を得るための自然時効(図示せず)と、を含んだ。図1Bは、本明細書に記載の方法による例示処理経路を説明するプロセスフロー図である。例示経路(「HRTG」と呼ばれる)は、スラブを予熱および均質化する(Pre-heat)ことと、最終ゲージ(Final Gauge)に熱間圧延する(HR)ことと、それに続いて巻き取ることと、溶体化する(SHT)ことと、任意選択で焼き入れすることと、T8×調質度特性を得るために任意選択で人工時効させる(AA)かまたはT4質度特性を得るために自然時効させる(図示せず)ことと、を含んだ。
【0077】
機械的特性は、引張試験用のASTM B557 2”GL規格に基づいて判定された。成形性は、試料に予歪を与えずに、3点曲げ試験についてのVerband der Automobilindustrie(VDA)規格の下で判定された。図2は、圧延方向に対して長い横方向の配向(L)で試験した各合金(A、B、およびC)の降伏強度(YS、塗りつぶしたヒストグラム)および曲げ角度(VDA、網掛けのヒストグラム)を示すグラフである。各々、自然時効後(T4調質度)および人工時効後(T82調質度時効)の連続的に鋳造された合金AおよびB、ならびにDC鋳造された合金Cの引張強度と曲げ特性の比較が図2に示されている。図2において、「CC」は連続鋳造を意味し、「DC」は直接チル鋳造を意味する。
【0078】
図2に示されるように、例示HRTG経路によって処理された連続的に鋳造された例示合金AおよびBは、比較HR+WQ+CR経路によって処理されたDC鋳造された比較合金Cと比較した場合、改善された曲げ角度(約10~15°低い)を有する同様の引張強度結果(YS~370MPa)を提供し得る。曲げ角度が小さいほど成形性が高いことを示す。
【0079】
例示合金Aの機械的特性を図3および図4に示す。図3は、プロセス経路HR+WQ+CRから得られる連続的に鋳造された例示合金Aの機械的特性を表す。図4は、プロセス経路HRTGから得られる連続的に鋳造された例示合金Aの機械的特性を表す。降伏強度(YS)(左側ヒストグラム、網掛け塗りつぶし)、極限引張強度(UTS)(中央ヒストグラム、交差した網掛け塗りつぶし)、および曲げ角度(VDA)(右側ヒストグラム、縦線塗りつぶし)は、ヒストグラムによって表され、均一伸び(UE)(塗りつぶされていない円)および全伸び(TE)(塗りつぶされていない菱形)は、塗りつぶされていないポイントマーカーによって表される。本明細書に記載のように、自然時効(T4)後および人工時効(T81およびT82)の工程の後に合金を試験した。両方の処理経路から同様の引張強度が得られたが、HRTG経路は、より伝統的なHR+WQ+CR経路と比較すると、10~15°低い曲げ角度を提供した。ソーキングせずに550℃(ピーク金属温度、PMT)で溶体化(SHT)することで、T4調質度条件で例示および比較アルミニウム合金に対して最高の曲げ性が提供され、例示および比較合金に対して最高の強度(約365MPa)が、T82調質度条件で得られた。より低いPMT(520℃および500℃)で溶体化されたサンプルについては強度が減少しかつ曲げが改善された。しかしながら、ソーキングせずに520℃で溶体化すると、連続的に鋳造された6xxx合金に対して約350MPaの高いYSを達成することができる。
【0080】
例示合金Bを連続的に鋳造するための機械的特性を図5および図6に示す。図5は、プロセス経路HR+WQ+CRから得られる連続的に鋳造された例示合金Bの機械的特性を表す。図6は、プロセス経路HRTGから得られる連続的に鋳造された例示合金Bの機械的特性を表す。降伏強度(YS)(左側ヒストグラム、網掛け塗りつぶし)、最大引張強度(UTS)(中央ヒストグラム、交差網掛け塗りつぶし)、および曲げ角度(VDA)(右側ヒストグラム、縦線塗りつぶし)は、ヒストグラムによって表され、均一伸び(UE)(黒丸)および全伸び(TE)(黒丸)は、黒丸マーカーで表される。本明細書に記載のように、自然時効(T4)後および人工時効(T81およびT82)工程の後に合金を試験した。わずかに高い引張強度およびわずかに減少した曲げ角度を有する合金Aと比較すると、合金Bは同様の特性を示した。機械的特性のわずかな違いは、合金Bのより高いSi含有量(合金Aよりも0.14重量%多い)に起因し得る。
【0081】
6xxxシリーズアルミニウム合金AおよびBを連続的に鋳造することによって提供された強度と成形性の向上は、ミクロ組織の違いに起因するものと考えられる。図7は、ケイ化マグネシウム(MgSi)の粒径および形態(最上列、「Particle」)および粒状構造(最下列、「Grain」)を示す。細長い粒状構造およびより小さくてより少ない未溶解のMgSi粒子が、より伝統的なHR+WQ+CR経路によって処理された連続的に鋳造された例示合金(AおよびB)と比較すると、例示処理経路HRTGを施された、連続的に鋳造された合金(AおよびB)において観察された。HR+WQ+CR経路は、より等軸の再結晶粒状構造およびより多量の粗い未溶解MgSi粒子を提供した。
【0082】
図8は、DC鋳造比較合金Cのミクロ組織と比較した、連続的に鋳造された例示合金AおよびBのミクロ組織を表す。各合金は、伝統的な熱間圧延、冷間圧延処理手順、T4調質度を得るために自然時効を施された。画像は各サンプルの縦断面から得られた。DC鋳造合金Cは、粗いMgSi粒子と、より小さい個々の粒子からなる再結晶粒構造を示す。ミクロ組織の違いは、より高い溶質含有量(MgおよびSi)および処理中の冷間圧延工程に起因し得る。
【0083】
例示合金AおよびBは、製造されたままのアルミニウム合金シート、プレート、またはシェートの成形性の改善に寄与し得る比較合金Cと比較した場合、溶質含量が低い。具体的には、6xxxシリーズアルミニウム合金の主な合金元素である、MgおよびSiならびにCuは、従来のDC鋳造6xxxシリーズアルミニウム合金と比較した場合、著しく減少し、得られるアルミニウム合金は、同等の強度および優れた成形性を呈する。従来のDC鋳造6xxxアルミニウム合金は、より多量のMg、Siおよび/またはCu溶質を含有し、これらの溶質はしばしばアルミニウムマトリックス中に存在する未溶解析出物をもたらす。しかしながら、CCアルミニウム合金では、アルミニウムマトリックス中に存在する溶質は、例示HRTG処理経路に従う人工時効させる工程中にアルミニウムマトリックスから析出することになる。比較HR+WQ+CR経路によって処理されたアルミニウム合金は、鋳造技術にかかわらず溶質析出を呈する。本明細書に記載の例示合金AおよびBは、より細かい構成のMgSi粒子を含有し、過飽和固溶体マトリックス(SSSS)をもたらす。最終ゲージへの熱間圧延で連続的に鋳造された合金(HRTG)は、伝統的な熱間圧延および冷間圧延されたDC合金と比較して、高強度およびより良好な曲げ性を有する優れた性能のアルミニウム合金を製造することができる。
【0084】
実施例2
強度、伸び、および成形性の試験のために様々な合金が調製された。これらの合金の化学組成は、下記の表6に提供される。
【表6】
全ての値は、全体の重量百分率(重量%)として表した。
【0085】
実施例2A
合金D~Iの組成を有する合金は、スラブを鋳造することと、熱間圧延の前にスラブを均質化することと、スラブを熱間圧延して中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(例えば中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造することと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を冷間圧延して最終ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を人工時効させることと、を含む製造方法を施された。この方法は「Flash->WQ->CR」と呼ばれ、図9に示されている。方法の工程を以下にさらに説明する。
【0086】
例示合金D~I(表6参照)は、上記の方法および任意選択の人工時効を用いることによって、T81調質度およびT82調質度で提供された。例示合金D~Iの各々は、連続鋳造機920を出るアルミニウム合金物品が約450℃の鋳造機出口温度を有するように、アルミニウム合金物品910を鋳造することと、トンネル炉930内で約550℃~約570℃の温度で2分間均質化することと、アルミニウム合金物品910に、およそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で約50%~約70%までの減少を施すことと、焼き入れ装置950を用いてアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、によって製造された。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延機960内で2.0mmの最終ゲージに冷間圧延された。
【0087】
T81調質度の場合、例示アルミニウム合金に2%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。T82調質度の場合、例示アルミニウム合金は、225℃で30分間人工時効された。半壊条件の場合、例示アルミニウム合金に10%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。例示アルミニウム合金の機械的特性は、図10に示されている。白抜き記号は、T81調質度およびT82調質度特性を有する例示合金を表す。黒塗り記号は、半壊特性を有する例示合金を表す。曲げ角度データは、規格VDA 239-200に従って2.0mmの厚さに対して正規化され、VDA曲げ試験はVDA規格238-100に従って実施された。例示合金D、E、およびFは、高い強度および優れた変形性を呈した(例えば、60°より大きい曲げ角度を示した)。
【0088】
実施例2B
合金D~I(表6参照)の組成を有する合金は、スラブを鋳造することと、熱間圧延の前にスラブを均質化することと、熱間圧延の前にスラブを焼き入れすることと、スラブを熱間圧延して中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(例えば中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造することと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金を予熱することと、予熱された中間ゲージのアルミニウム合金を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を温間圧延して最終ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を人工時効させることと、を含む製造方法を施された。この方法は「Flash->WQ->HO->WQから350℃->WR」と呼ばれ、図11に示されている。方法の工程を以下にさらに説明する。
【0089】
例示合金D~I(表6参照)は、上記の方法および任意の人工時効を用いることによって、T81調質度およびT82調質度で提供された。例示合金D~Iの各々は、連続鋳造機920を出るアルミニウム合金物品910が約450℃の鋳造機出口温度を有するように、例示アルミニウム合金物品910を鋳造することと、トンネル炉930内で約550℃~約570℃の温度で2分間均質化することと、アルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、アルミニウム合金物品910に、およそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で約50%~約70%までの減少を施すことと、焼き入れ装置950を用いてアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、によって製造された。次いで、アルミニウム合金物品910は、箱型炉1110内で約530℃~約560℃の温度で1~2時間予熱された。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延前に焼き入れ装置1120を使用して、約350℃の温度に水焼き入れされた。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延機1130内で2.0mmの最終ゲージに冷間圧延され、焼き入れ装置1140を使用して50℃に水焼き入れされた。
【0090】
T81調質度の場合、例示アルミニウム合金に2%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。T82調質度の場合、例示アルミニウム合金は、225℃で30分間人工時効された。半壊条件の場合、例示アルミニウム合金に10%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。例示アルミニウム合金の機械的特性は、図12に示されている。白抜き記号は、T81調質度およびT82調質度特性を有する例示合金を表す。黒塗り記号は、半壊特性を有する例示合金を表す。曲げ角度データは、規格VDA 239-200に従って2.0mmの厚さに対して正規化され、VDA曲げ試験はVDA規格238-100に従って実施された。例示合金D、E、およびFは、高い強度および優れた変形性を呈した(例えば、60°より大きい曲げ角度を有する)。
【0091】
実施例2C
合金D~I(表6参照)の組成を有する合金は、スラブを鋳造することと、熱間圧延の前にスラブを均質化することと、熱間圧延の前にスラブを焼き入れすることと、スラブを熱間圧延して第1の中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(例えば、第1の中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造することと、第1の中間ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、第1の中間ゲージのアルミニウム合金を予熱することと、第1の中間ゲージのアルミニウム合金物品を熱間圧延して第2の中間ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、第2の中間ゲージのアルミニウム物品を焼き入れすることと、第2の中間ゲージのアルミニウム合金物品を冷間圧延して最終ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を人工時効させることと、を含む製造方法を施された。この方法は「Flash->WQ->HO->HR->WQ->CR」と呼ばれ、図13に示されている。方法の工程を以下にさらに説明する。
【0092】
例示合金D~I(表6参照)は、上記の方法および任意選択の人工時効を用いることによって、T81調質度およびT82調質度で提供された。例示合金D~Iの各々は、連続鋳造機920を出るアルミニウム合金物品910が約450℃の鋳造機出口の温度を有するように、例示アルミニウム合金物品910を鋳造することと、トンネル炉930内で約550℃~約570℃の温度で2分間均質化することと、均質化されたアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、アルミニウム合金物品910におよそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で約50%までの厚さの減少を施すことと、焼き入れ装置950を用いてアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、によって製造された。次いで、アルミニウム合金物品910は、箱型炉1110内で約530℃~約560℃の温度で1~2時間予熱された。次いで、アルミニウム合金物品は、およそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で厚さが約70%減少するまでさらに熱間圧延され、焼き入れ装置950を用いて水焼き入れされた。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延機1130内で2.0mmの最終ゲージに冷間圧延され、焼き入れ装置1140を使用して50℃に水焼き入れされた。
【0093】
T81調質度の場合、例示アルミニウム合金に2%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。T82調質度の場合、例示アルミニウム合金は、225℃で30分間人工時効された。半壊条件の場合、例示アルミニウム合金に10%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。例示アルミニウム合金の機械的特性は、図14に示されている。白抜き記号は、T81調質度およびT82調質度特性を有する例示合金を表す。黒塗り記号は、半壊特性を有する例示合金を表す。曲げ角度データは、規格VDA 239-200に従って2.0mmの厚さに対して正規化され、VDA曲げ試験はVDA規格238-100に従って実施された。例示合金DおよびFは、高い強度および優れた変形性を呈した(例えば、60°より大きい曲げ角度を有する)。
【0094】
実施例2D
合金D~I(表6参照)の組成を有する合金は、スラブを鋳造することと、熱間圧延の前にスラブを均質化することと、熱間圧延の前にスラブを焼き入れすることと、スラブを熱間圧延して中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(例えば中間ゲージのアルミニウム合金物品)を製造することと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金を予熱することと、予熱された中間ゲージのアルミニウム合金を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を冷間圧延して最終ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を人工時効させることと、を含む製造方法を施された。この方法は「Flash->WQ->HO->WQ->CR」と呼ばれ、図15に示されている。方法の工程を以下にさらに説明する。
【0095】
例示合金D~I(表6参照)は、上記の方法および任意選択の人工時効を用いることによって、T81調質度およびT82調質度で提供された。例示合金D~Iの各々は、連続鋳造機920を出るアルミニウム合金物品910が約450℃の鋳造機出口の温度を有するように、例示アルミニウム合金物品910を鋳造することと、トンネル炉930内で約550℃~約570℃の温度で2分間均質化することと、フラッシュ均質化アルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、アルミニウム合金物品910を、およそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で約50%~約70%までの減少を施すことと、焼き入れ装置950を用いてアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることと、によって製造された。次いで、アルミニウム合金物品910は、箱型炉1110内で約530℃~約560℃の温度で1~2時間予熱された。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延前に焼き入れ装置1120を使用して、約50℃の温度に水焼き入れされた。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延機1130内で2.0mmの最終ゲージに冷間圧延された。
【0096】
T81調質度の場合、例示アルミニウム合金に2%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。T82調質度の場合、例示アルミニウム合金は、225℃で30分間人工時効された。半壊条件の場合、例示アルミニウム合金に10%だけ予歪みを与えた後、例示アルミニウム合金は、185℃で20分間人工時効された。例示アルミニウム合金の機械的特性は、図16に示されている。白抜き記号は、T81調質度およびT82調質度特性を有する例示合金を表す。黒塗り記号は、半壊特性を有する例示合金を表す。曲げ角度データは、規格VDA 239-200に従って2.0mmの厚さに対して正規化され、VDA曲げ試験はVDA規格238-100に従って実施された。例示合金DおよびFは、高い強度および優れた変形性を呈した(例えば、60°より大きい曲げ角度を有する)。
【0097】
実施例2E
合金D~Iの組成を有する合金(表6参照)は、スラブを鋳造することと、熱間圧延の前にスラブを均質化することと、スラブを熱間圧延して中間ゲージを有する熱間圧延アルミニウム合金(例えば中間ゲージアルミニウム合金物品)を製造することと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を焼き入れすることと、中間ゲージのアルミニウム合金物品を冷間圧延して最終ゲージのアルミニウム合金物品を提供することと、最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、を含む製造方法を施された。方法の工程は、図9に示されており、さらに以下に説明される。
【0098】
例示合金D~I(表6参照)は、上記の方法および任意選択の自然時効を用いることによってT4調質度で提供された。例示合金D~Iの各々は、連続鋳造機920を出るアルミニウム合金物品が約450℃の鋳造機出口温度を有するように、例示アルミニウム合金物品910を鋳造すること、トンネル炉930内で約550℃~約570℃の温度で2分間均質化すること、アルミニウム合金物品910を、およそ530℃~580℃の間の温度で、圧延機940内で約50%~約70%までの減少を施すこと、および焼き入れ装置950を用いてアルミニウム合金物品910を水焼き入れすることによって製造された。次いで、アルミニウム合金物品910は、冷間圧延機960内で2.0mmの最終ゲージに冷間圧延された。T4調質度の場合、例示アルミニウム合金は、約3週間~約4週間自然時効された。例示アルミニウム合金の機械的特性は、図17に示されている。降伏強度(各グループの左側の縦縞ヒストグラム)、極限引張強度(各グループの右側の横縞ヒストグラム)、均一伸び(白丸)、および全伸び(白菱形)が、T4調質度における例示合金について示されている。例示合金EおよびGは、高い強度および優れた変形性を呈した。
【0099】
本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的を達成するために記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることが認識されるべきである。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することのない、これらの多くの改変およびその適合は、当業者には容易に明らかであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17