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特許7082976感応性電界効果デバイス及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】感応性電界効果デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20220602BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20220602BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H01L29/78 613Z
H01L29/78 622
H01L29/78 618B
H01L29/78 617U
H01L29/78 617T
H01L29/78 614
H01L27/144 K
G01N27/00 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019524958
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 IT2017000050
(87)【国際公開番号】W WO2018087787
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-02-06
(31)【優先権主張番号】20161000082412
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(73)【特許権者】
【識別番号】519161584
【氏名又は名称】アルマ マータ ストゥディオルム-ウニベルシータ ディ ボローニャ
【氏名又は名称原語表記】ALMA MATER STUDIORUM - UNIVERSITA’ DI BOLOGNA
(73)【特許権者】
【識別番号】519161562
【氏名又は名称】ウニベルシダード ノヴァ デ リスボン
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDADE NOVA DE LISBOA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ フェラーオ デ パイヴァ マーティンス
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ ミグエル カンディード バーキンナ
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィラ マリア コレイア フォルツナト
(72)【発明者】
【氏名】トビアス クラメール
(72)【発明者】
【氏名】ビアトリス フラボーニ
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165530(JP,A)
【文献】特開2016-025572(JP,A)
【文献】特開2012-119531(JP,A)
【文献】米国特許第06002963(US,A)
【文献】特開2015-043064(JP,A)
【文献】特開2016-015485(JP,A)
【文献】特開2009-094465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330941(US,A1)
【文献】特開2013-076656(JP,A)
【文献】CRAMER, Tobias et al.,Radiation-Tolerant Flexible Large-Area Electronics Based on Oxide Semiconductors,Advanced Electronic materials,2016年05月19日,vol. 2, no. 7,page 1500489,DOI: 10.1002/aelm.201500489
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 27/144
G01N 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(160)と、
前記基板(160)の上に配列された複数の電離感応性電界効果デバイス(100)と、を備え、
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれは、
半導体チャネル(110)と、
前記半導体チャネル(110)に接続されたソース電極(120)と、
前記半導体チャネル(110)が前記ソース電極(120)とドレイン電極(130)の間に介在するように、前記半導体チャネル(110)に接続されたドレイン電極(130)と、
異なる周波数におけるゲート容量(CG)がゲート-ソース間電圧(VGS)の関数であるゲート電極(140)と、
前記ゲート電極(140)と前記半導体チャネル(110)との間に介挿された誘電体層(150)と、
関連する前記電離感応性電界効果デバイス(100)のソース電極(120)及びゲート電極(140)に接続された1対の電極を有し、RFID受信機(RFID-R)に接続可能に構成された少なくとも1つのRFID送信機(400)と、
を備え、
前記半導体チャネル(110)は層であって、アモルファス酸化物からなり、
前記誘電体層(150)は、電離放射線に暴露可能に配置され、
前記誘電体層(150)は、検出すべき入射電離放射線の吸収を増加するために選択された原子番号を有する少なくとも1つの陽イオン元素を有する少なくとも1つの材料からなる少なくとも1つの主層を含み、
前記誘電体層(150)の前記少なくとも1つの材料は、高い原子番号Zを有し、前記原子番号Zは36より高く(Z>36)、
前記RFID送信機(400)は、その状態を、高インピーダンスである0論理状態から低インピーダンスである1論理状態へ切り替え、その状態の変化を、前記RFID受信機(RFID-R)へ送信する、
ことを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記アモルファス酸化物は、高い移動度のアモルファス酸化物であって、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)及び/又はインジウム・ハフニウム・亜鉛酸化物(IHZO)及び/又は亜鉛・錫酸化物(ZTO)及び/又はガリウム・亜鉛・錫酸化物(GZTO)からなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
前記誘電体層(150)の前記少なくとも1つの主層は、酸化イットリウム(Y2O3)及び/又は酸化ジルコニウム(ZrO2)及び/又は酸化ハフニウム(HfO2)及び/又は五酸化タンタル(Ta2O5)及び/又は酸化ビスマス(Bi2O3)からなる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出センサ。
【請求項4】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記誘電体層(150)は、前記ソース電極(10)及び前記ドレイン電極(130)に電気的に接触している、
ことを特徴とする請求項1-3の何れかに記載の検出センサ。
【請求項5】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記誘電体層(150)は、150nmより大きい又はそれに等しい厚さを有する、
ことを特徴とする請求項1-4の何れかに記載の検出センサ。
【請求項6】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記誘電体層(150)は、多層であって、前記主層の原子番号より低い原子番号を有する1つ以上の絶縁層を備える、
ことを特徴とする請求項1-5の何れかに記載の検出センサ。
【請求項7】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記誘電体層(150)の前記1つ以上の絶縁層は、二酸化シリコン(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)からなる、
ことを特徴とする請求項6に記載の検出センサ。
【請求項8】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記誘電体層(150)は、
低い原子番号を有する前記絶縁層と前記主層とが2~10回繰り返されてなる複合層と、
低い原子番号を有する前記絶縁層の最上層と、を備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の検出センサ。
【請求項9】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれは、少なくとも1つの基板(160)を備え、該基板の上に前記ゲート電極(140)と前記誘電体層(150)が堆積されている、
ことを特徴とする請求項1-8の何れかに記載の検出センサ。
【請求項10】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)のそれぞれの前記ゲート電極(140)、前記ソース電極(120)及び前記ドレイン電極(130)は、例えば、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)からなる導電材料、例えば、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)からなる導電性酸化物、又、例えば、Pedot:Pssからなる導電性ポリマで形成される、
ことを特徴とする請求項1-9の何れかに記載の検出センサ。
【請求項11】
前記基板は、リエチレンナフタレイトからなる、
ことを特徴とする請求項10に記載の検出センサ。
【請求項12】
前記電離感応性電界効果デバイス(100)は、アレイ状又はマトリクス状に配列されている、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の検出センサ。
【請求項13】
前記RFID送信機(400)は、RFIDチップ(401)及びアンテナ(402)を備える、
ことを特徴とする請求項1-12の何れかに記載の検出センサ。
【請求項14】
複数のRFID送信機(400)を備え、前記各RFID送信機の各々は、関連する前記電離感応性電界効果デバイス(100)に動作可能に接続されている、
ことを特徴とする請求項1-13の何れかに記載の検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感応性電界効果デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳しくは、本発明は、従来の類似のセンサと比較して、高度に感応性となるように高帯域幅のみならず低リーク電流を特徴とするように設計された電界効果トランジスタに関する。該トランジスタは特に検出回路にも適応され、温度、機械的応力、光、薬物、X線などの電離放射線、などの幾種類かの物理量を検出するように設計され、フレキシブル基板のアレイ又はマトリクスに配列するにも適している。
【0003】
以下において、本明細書は、以下で詳しく説明するように、幾種類かの物理的現象を感知するように構成された電界効果デバイスに向けられるが、これらの特定の用途に限定されるとみなすべきではない。
【0004】
周知のように、現在、様々な物理的現象を検出するために高感度センサが産業及び科学的調査に要求されている。
【0005】
一例として、通常CMOS技術で実現される一般にトランジスタよりなる特定のチッププローブに接続されたRFIDレシーバの普及が進んでいる。
【0006】
低コストRFIDチップはセンサ接続用の補助端末を呈することも知られている。RFIDチップは接続されたセンサのインピーダンスZを(100kHz程度の)高帯域幅で探査する。20MΩより大きいインピーダンスZは状態0をもたらし、2MΩより低いインピーダンスZの値は状態1をもたらす。
【0007】
当分野における現在切実な技術的な問題は、(i)ほとんど電力を消費しないが、RFIDの高帯域幅で動作するセンサ、(ii)感知事象によりトリガされる所定の範囲内のインピーダンス応答の大きさ変化の程度を示すセンサ、(iii)感知事象の発生後もインピーダンス変化を維持するセンサ、及び(iv)低コスト大量生産技術に適合するセンサを生成することにある。
【0008】
今日では、RFIDはCMOS技術に基づいているが、CMOS技術は電流リーク現象に起因して、上記の目的の達成に幾つかの限界を示し、単一電界効果トランジスタの消費電力を著しく増加する。
【0009】
利用可能な従来のデバイスの技術的欠点を克服し得るデバイスの必要性が深まっているため、放射線検出及び線量測定の特定の技術的問題について以下に概説する。
【0010】
実際上、現在では放射線検出及び線量測定は画像診断及び放射線治療に、原子炉、核廃棄物場、手荷物検査などの汚染されている可能性のある区域で働く職員の保護に及び宇宙等の厳しい放射線環境内の線量測定に適切であることが知られている。
【0011】
多くの場合、低電圧及び低電力動作と高感度、軽量及びフレキシブルな機械特性を兼ね備えるウェアラブル検出器が必要とされる。
【0012】
既存の電離放射線用線量計は2つの異なる主なタイプに区別できるが、両者とも固有の欠点を示す。
【0013】
第1のタイプの線量計は熱ルミネスセントリン酸塩ガラス又はガフクロミックフィルムに基づき、実際に高い感度を達成することができる。しかし、欠点として、これらの線量計は放射線のリアルタイム検出が不可能であり、暴露後に専用の機器で光学技術により読み出す必要がある。
【0014】
第2のタイプの線量計は相補型シリコンメタルオキサイド半導体エレクトロニクスを使用し、直接電子読み出しを提供し、従って放射線被爆に関するリアルタイムデータを提供する。この技術的アプローチの欠点は、被爆電離粒子の一部分を吸収するのみであるため感度が低いこと、センサが機械的に剛性であること、及び大面積のフレキシブル基板上にデバイスを製造することが不可能であることにある。加えて、更なる欠点として、これらのデバイスは機械的にフレキシブルでないため、ウェアラブル線量計への利用が制限される。
【0015】
以上を考慮して、本発明の目的は従来のデバイスの欠点を克服し、様々な物理的現象を検出するのに適した高感度の汎用デバイスを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、X線などの電離放射線を検出することを特徴とするデバイスを提供することにある。
【0017】
本発明は放射線被爆のリアルタイム電子読み出しを特徴とするフレキシブルデバイスを提供することも目的とする。
【0018】
本発明の別の目的は、X線光子吸収量及びひいては感度を増加し得るデバイス構造を提供することにある。
【0019】
よって、本発明の特定の目的は、物理的現象の小さな変化も検出し得る高感度及び高帯域幅の電界効果トランジスタを提供することにある。
【0020】
電離放射線(例えば、X線、ガンマ線、中性子線、アルファ線、ベータ線)を検出しモニタし得るフレキシブルな電離感応性電界効果トランジスタ(FISFET)を提供することも本発明の特定の目的である。
【0021】
従って、本発明の目的は、半導体チャネルと、前記半導体チャネルに接続されたソース電極と、前記半導体チャネルが前記ソース電極とドレイン電極との間に介在するように、前記半導体チャネルに接続されたドレイン電極と、ゲート電極と、前記ゲート電極と前記半導体チャネルとの間に介在する誘電体層とを備える感応性電界効果デバイスにおいて、前記半導体チャネルはアモルファス酸化物よりなる層であり、且つ前記センサ手段は前記ゲート電極と前記ソース電極との間の電圧をそれらの電気的状態を変化し得るセンシング事象時に変化するように構成されている。
【0022】
本発明によれば、常に、前記アモルファス酸化物は高い移動度のアモルファス酸化物としてよく、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)及び/又はインジウム・ハフニウム・亜鉛酸化物(IHZO)及び/又は亜鉛・錫酸化物(ZTO)及び/又はガリウム・亜鉛・錫酸化物(GZTO)からなる群から選ばれる。
【0023】
更に本発明によれば、前記センシング手段は、前記ゲート電極と前記ソース電極に接続されたキャパシタ(171)を備える。
【0024】
更に本発明によれば、前記センシング手段は、X線などの電離放射線に暴露可能に配置された誘電体層を備えてよく、該誘電体層は、検出すべき前記入射電離放射線の吸収を増加するために選択された原子番号を有する少なくとも1つの陽イオン元素を有する少なくとも1つの材料からなる少なくとも1つの主層を順に備える。
【0025】
本発明によれば、好ましくは、前記誘電体層の前記少なくとも1つの材料は36より高い原子番号Z(Z>36)を有してよい。
【0026】
本発明によれば、常に、前記誘電体層の前記少なくとも1つの主層は、酸化イットリウム(Y)及び/又は酸化ジルコニウム(ZrO)及び/又は酸化ハフニウム(HfO)及び/又は五酸化タンタルTa)及び/又は酸化ビスマス(Bi)からなるものとしてよい。
【0027】
本発明によれば、更に、前記センシング手段は、前記ゲート電極と前記ソース電極に接続された、電磁放射線を検出するためのフォトダイオードを備えてよい。
【0028】
本発明によれば、更に、前記センシング手段は、圧電センサと直列に接続された整流ダイオードを備えてよく、前記センシング手段は前記ゲート電極と前記ソース電極に並列に接続される。
【0029】
本発明によれば、有利には、前記センシング手段は環境温度を検出し得る焦電センサを備えてよく、前記焦電センサは前記ゲート電極と前記ソース電極に接続される。
【0030】
本発明によれば、好ましくは、前記センシング手段は、前記ゲート電極と前記ソース電極に接続された化学センサを備えてよい。
【0031】
本発明によれば、常に、前記誘電体層は前記ソース電極と前記ドレイン電極に電気的に接触してよい。
【0032】
本発明によれば、更に、前記誘電体層は150nmより大きい又はそれに等しい厚さを有する。
【0033】
本発明によれば、更に、前記誘電体層は多層としてよく、前記主層の原子番号より低い原子番号を有する1つ以上の絶縁層を含んでよい。
【0034】
本発明によれば、有利には、前記誘電体層の前記1つ以上の絶縁層は二酸化シリコン(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)からなるものとしてよい。
【0035】
本発明によれば、好ましくは、前記誘電体層は、低い原子番号を有する前記絶縁層と前記主層とが2~10回繰り返されてなる複合層と、低い原子番号を有する前記絶縁層の最上層とを備えてよい。
【0036】
本発明によれば、常に、少なくとも1つの基板を備えてよく、該基板の上に前記ゲート電極と前記誘電体層が堆積される。
【0037】
本発明によれば、更に、前記少なくとも1つの基板はフレキシブルであってよい。
【0038】
本発明によれば、有利には、前記少なくとも1つの基板はポリエチレンナフタレイトからなるものとしてよい。
【0039】
本発明によれば、更に、前記ゲート電極、前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)及び/又は銀(Ag)などの導電材料、及び/又はガリウム添加酸化亜鉛(GZO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電性酸化物及び/又はPedot:Pssなどの導電性ポリマからなるものとしてよい。
【0040】
本発明の他の目的は検出センサにあり、該検出センサは、基板と、 前記基板の上に配列された上記の複数の感応性電界効果デバイスとを備え、前記電離放射感応性電界効果デバイスは少なくとも別の感応性電界効果デバイスと接続されている。
【0041】
本発明によれば、常に、前記基板はフレキシブルであり、好ましくはポリエチレンナフタレイトからなるものとしてよい。
【0042】
本発明によれば、更に、前記電界効果デバイスはアレイ又はマトリクスとして配列してよい。
【0043】
本発明によれば、更に、前記センサは、関連する電界効果デバイスのソース電極とゲート電極に接続された1対の電極を有し、RFID受信機(RFID-R)に接続可能に構成された少なくとも1つのRFID送信機を備えてよい。
【0044】
有利には、前記RFID送信機はRFIDチップ及びアンテナを備えてよい。
【0045】
本発明によれば、好ましくは、前記センサは複数のRFID送信機を備えてよく、前記各RFID送信機の各々は関連する電界効果デバイスに動作可能に接続される。
【0046】
本発明は、上記の電界効果デバイスを製造する方法も目的とし、該方法は、次のステップ、(A)前記ゲート電極を前記フレキシブル基板の上に堆積し、前記ゲート電極にフォトリソグラフィ及びエッチング又はリフトオフを実行するステップと、(B)前記誘電体層を堆積し、前記誘電体層にフォトリソグラフィ及びエッチング又はリフトオフを実行するステップと、(C)前記半導体チャネルを堆積し、前記半導体チャネルにフォトリソグラフィ及びエッチング又はリフトオフを実行するステップと、(D)前記半導体チャネルにフォトリソグラフィを実行し、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を堆積するステップと、(E)前記ソース電極及び前記ドレイン電極をリフトオフによってパターン化するステップと、を備えることを特徴とする。
【0047】
本発明によれば、常に、前記ステップ(B)は、前記誘電体層の前記絶縁層の材料及び前記主層の材料を含有する2つの別個のターゲットから並行して実行されるRFスパッタリング、及び/又は前記誘電体層の前記絶縁層の材料及び前記主層の材料を含有する溶液ベース加工工程によって実行されることができ、それにより二酸化シリコン(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)等の絶縁層のみの交互堆積と、二酸化シリコン(SiO)及び/又は酸化アルミニウム(Al)等の絶縁材料及び前記誘電体層の前記主層の前記材料の同時堆積とで前記誘電体層の多層構造を生成することができる。
【0048】
本発明は、限定のためでなく説明のために、添付の図面のいくつかの図を参照して、好ましい実施形態に従って、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明による単一の電離感応性電界効果デバイスの構造の斜視図を示す。
図2】フレキシブル基板上に配列された図1による電離感応性電界効果デバイスのアレイを示す。
図3図3a、図3b及び図3cは図2の電離感応性電界効果デバイスにおけるイ電離損傷効果及び関連するキャリア蓄積を説明するための簡略モデルを示す。
図4】X線放射の被爆前及び後の伝達特性のプロット図を示す。
図5図5a及び図5bはX線に1秒間被爆する前と被爆した後の電離感応性電界効果デバイスの閾値電圧Vのプロット図を示す。
図6図6a及び図6bはX線被爆後の電離感応性電界効果デバイスの閾値電圧回復の動態を示す。
図7】本発明による電離感応性電界効果デバイスのRFID送信機との一般的な電気接続を示す。
図8】本発明による電離感応性電界効果デバイスのRFID送信機との電気接続の概略図を示す。
図9】ゲート-ソース電圧の関数としてのドレイン-ソースインピーダンスZの特性曲線をRFIDの論理状態関数とともに示す。
図10図10a及び図10bは本発明による電界効果デバイスの伝達特性及びその周波数応答を示す。
図11】RFDI送信機に接続された、電離放射線を検出するように構成された本発明による電界効果デバイスの回路図を示す。
図12】ゲート-ソース電圧の関数としてのドレイン-ソースインピーダンスZの特性曲線を図11に言及したRFID論理状態関数とともに示す。
図13】光放射を検出するように構成された本発明による電界効果デバイスの回路図を示す。
図14】本発明による電界効果デバイスがRFID送信機に接続されている図13の回路図を示す。
図15】本発明による電界効果デバイスのドレイン-ソースインピーダンスZの特時間の関数としての性曲線をRFID論理状態とともに示す。
図16図16a及び図16bは機械的応力を検出するように構成された本発明による電界効果デバイスの回路図の動作を示す(これは本発明の一部ではない)
図17図17a及び図17bは温度変化を検出するように構成された本発明による電界効果デバイスの回路図を示す(これは本発明の一部ではない)
図18図18a及び図18bは化学物質を検出するように構成された本発明による電界効果デバイスの回路図を示す(これは本発明の一部ではない)
【発明を実施するための形態】
【0050】
様々な図において、類似の部分は同一の参照番号で示されている。
【0051】
図1を参照すると、本発明による電界効果デバイス100の第1の実施形態が示され、ここでは電磁放射、特にX線などの電離放射線を検出するデバイス構造の詳細も明示されている。
【0052】
デバイス100は主に、ソース電極120、ドレイン電極130及びゲート電極140、誘電体層150の上に配置された半導体チャネル層110、及び基板160を備える。
【0053】
前記ソース電極120、前記ドレイン電極130及び前記ゲート電極140はモリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)又は銀(Ag)などの導電材料、又は酸化ガリウム亜鉛、酸化インジウム亜鉛などの導電性酸化物からなる。
【0054】
前記誘電体層150はトンネル効果及び関連するリーク電流を抑制するために150nmより大きい厚さを有する。これは他の現象により生じる可能性のある全リーク電流も低減することができる。
【0055】
半導体チャネル層110は前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置され、それらと電気接触している。前記半導体チャネル層110は高移動度のアモルファス酸化物からなる。特に、前記半導体チャネル層110はインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム・ハフニウム・亜鉛酸化物(IHZO)、亜鉛・鈴酸化物(ZTO)又はガリウム・亜鉛・鈴酸化物(GZTO)で形成してよい。
【0056】
前記半導体チャネル層110に使用される高移動度アモルファス酸化物はフォトリソグラフィで製造される。それらは、図2から理解されるように、高い帯域幅、低い寄生キャパシタンス及び最小のゲート電流を特徴とし、よって低電圧動作に適合し、特にRFID回路に対応する。
【0057】
前記電界効果デバイス100はセンサ手段も含むため、センシング時及び検出すべき事象時に、半導体チャネル層110のインピーダンス(一般にZで表される)が1桁以上変化し、よって、以下でより良く説明されるように、例えばRFIDの接続を可能にする。
【0058】
本実施形態において、上記に加えて、半導体チャネル層110は検出すべき放射線に暴露される。
【0059】
本実施形態による電界効果デバイス100に設けられたセンシング手段は多層誘電体酸化物構造の誘電体層150を備え、該誘電体層は低い原子番号の原子を有する1以上の他の層と組み合わされた主層を備える。
【0060】
前記主層は高Z層であり、これは原子番号が36より高いことを意味する。特に、前記主層は以下の材料:
酸化イットリウム(Y);
酸化ジルコニウム(ZrO
酸化ハフニウム(HfO
五酸化タンタル(TaO
酸化ビスマス(Bi
のうちの少なくとも1つからなる。
【0061】
低い原子番号の原子を有する前記1以上の他の層は絶縁層であり、例えばSiO又はAlとすることができる。
【0062】
多成分誘電体の最下層は低い原子番号の原子を有する前記絶縁層であり、その後に主層が続く。この構造がその後2~10回反復され、その後に低い原子番号の原子を有する前記絶縁層の最上層が続く。
【0063】
誘電体層150は、フレキシブルな感応性電界効果デバイス100を達成するためにポリエチレンナフタレイトなどの前記フレキシブル基板160の上に堆積される。もっと具体的に言えば、図2において、ポリマ/プラスチック基板上にパターン化されたアレイが示され、該アレイは複数の電離感応性電界効果デバイス100を備える。
【0064】
上記に加えて、ゲート電極140が前記フレキシブル基板160と前記誘電体層150との間に配置されることが示されている。
【0065】
上記のようにX線照射に起因する多層誘電体酸化物構造150内の電離電荷の蓄積に基づくデバイス100の動作は以下のとおりである。
【0066】
図3a-図3cにおいて、デバイスの基本的な動作過程が概略的に示されている。
【0067】
電離電荷の形成は高エネルギー光子又は光電子200の吸収により開始され(図3a参照)、誘電体層150内に電子正孔対310を生成する。
【0068】
電子311(図3b参照)が高速過程で、即ちそれぞれの正孔収集過程より高速に、ゲート電極140に収集される。
【0069】
残存する正孔電荷312は、前述したように、熱的に活性化されるホッピング過程において半導体チャネル110との界面にゆっくり移動する(図3c参照)。
【0070】
よって、X線被爆の結果として、大きなドレイン電流及び閾電圧の負値へのシフトが生じる。
【0071】
図4は、一例として、X線源として60mGy/sの線量率で動作するモリブデン(Mo)チューブにより放射された60mGyの総線量(空気中;Gyはグレイ単位測定量である)に被爆する前又は被爆後に飽和状態(ドレイン電極130電圧VD=20ボルト)で測定された電離感応性電界効果デバイス100の伝達曲線を示す。
【0072】
伝達特性は、X線被爆(図3aの状態参照)後に、より負のゲート電位への0.326Vのシフトを示す。サブ閾値勾配又は移動度などの他のトランジスタパラメータは被爆に影響されない。
【0073】
このシフトは誘電体層150と半導体チャネル110との間の界面での正キャリアの蓄積の結果である(図3c参照)。正キャリアの蓄積は一定の電流束において前記ソース電極と前記ゲート電極との間の電圧に影響を与える。ゲート電位の変化を測定することによって、装置100に暴露されたX線の線量を推測することができる。
【0074】
電離に対するデバイス100の感度は高Z誘電体多層150の構成に大きく依存する。
【0075】
この層の低いX線減衰長(λ<60μm)は高い原子番号(例えば、酸化タンタル)を使用することにより達成されるが、酸化層(例えばSiO)は良好な絶縁性及び界面特性を維持するのに役立つ。多層誘電体酸化物構造150の厚さを増大すると、図5aに示されるようにX線応答を更に改善することができる。この図は、誘電体層150の厚さを114nmから381nmまで増大することにより、閾値シフトが6倍も増大することを示している。
【0076】
更に、本発明による電離感応性電界効果デバイス100は、100mGy未満の残存総線量に対して被爆線量と閾値シフトの間に線形依存性を提供するので、閾値の変化を監視することにより定量的な線量測定を実行することができる。
【0077】
この発見は図5bに示され、この図は1秒間変化する線量率のX線200に暴露することにより生じる閾値電圧の変化を示す。差し込み図は得られる閾値電圧の変化を線量の関数として示す。その直線近似は5.5mV/mGyの感度をもたらす。
【0078】
デバイス100は積分線量計として動作し、X線被爆事象後も閾値電圧を維持する。
【0079】
図6a及び6bは回復測定を表し、閾値電圧を21Gyの線量に被爆後22時間の間監視した。曲線は数時間の特性時間スケールを有する引き伸ばされた指数関数に追従する。
【0080】
これらのデータから、回復ドリフトに起因する誤差を10%未満に維持するためにデバイス100の読み出しが実行されなければならない時間を計算することができる。引き伸ばされた指数関数挙動のために、この時間インターバルは検出線量に依存し、より低い線量でより長い保持時間が観測される。これらのデータから、最大の読み出し時間を決定することができ、それが図6bに放射線線量の関数としてプロットされている。
【0081】
最大読み出し時間インターバルはここではX線被爆事象後も閾値電圧のドリフトが10%未満にとどまる時間と定義される。
【0082】
デバイス100が線形応答を示す範囲において、最大読み出し時間は300秒を越える。この長い保持時間は大きな検出器アレイの逐次読み出しをも実現可能にする。
【0083】
電離感応性電界効果デバイス100の製造は次の主ステップを備える。
【0084】
ゲート電極140をフレキシブル基板160の上に、スパッタリングなどの物理的手法又はスクリーン印刷、ゾルゲル、などの溶液ベースプロセスのような化学的手法による材料加工を用いて堆積する。ゲート電極140のパターン化はフォトリソグラフィとエッチングプロセス又はリフトオフを用いて実行する。
【0085】
誘電体層150は、SiO及びTaを含有する2つの別個のターゲットから、RFスパッタリングなどの種々の技術を用いて、又は前記元素を含有する溶液ベースプロセスによって堆積することができる。両プロセスは平行して実行してよい。スパッタリングの場合には、機械的シャッタを使用し、SiOのみの堆積とSiO及びTaの同時堆積を交互に行うことによって誘電体層150の多層構造を生成した。溶液手法の場合には、厚さをディープステップ(例えば、ゾルゲルディープコーティング)の回数により又は表面に広げる材料の量(例えば、スクリーン印刷)により決定した。誘電体層150のパターン化はフォトリソグラフィとエッチングプロセス又はリフトオフで実行される。
【0086】
次のステップは、誘電体層150の上に高移動度のアモルファス酸化物半導体チャネル110を、スパッタリングなどの物理的手法又は溶液ベースプロセス(例えば、スクリーン印刷、ゾルゲルなど)のような化学的手法による材料加工を用いて堆積する。酸化物半導体チャネルのパターン化はフォトリソグラフィとエッチングプロセス又はリフトオフで実行する。
【0087】
最後に、前記ソース電極120と前記ドレイン電極130が、スパッタリングなどの物理的手法又は溶液ベースプロセス(例えば、スクリーン印刷、ゾルゲルなど)のような化学的手法による材料加工を用いて堆積する。酸化物半導体チャネルのパターン化はフォトリソグラフィとエッチングプロセス又はリフトオフで実行する。前記ソース電極120と前記ドレイン電極130はリフトオフを用いてパターン化する。
【0088】
電界効果デバイス100はRFID送信機に接続することもできる。特に、図7を参照すると、本発明による電界効果デバイス100の一般的な電気接続が示され、RFID400が前記デバイス100と適切に一体化されている。
【0089】
前記RFID送信機400は、ソース電極120とドレイン電極130に接続された、即ち半導体チャネル層110に並列に接続された、RFIDチップ401を備え、更にアンテナ402がRFIDチップ400に接続される。この図には、論理状態を決定するインピーダンスZの典型的なレベルも示されている。
【0090】
加えて、図8は電界効果デバイス100とRFID送信機400との接続を示し、そのRFIDチップ401は電界効果デバイス100のソース120とドレイン130との間に接続され、RFID送信機400はRFID受信機RFID-Rにアンテナ402を介して遠隔接続される。
【0091】
センシング事象時に、ゲート端子140とソース端子120との間の電位VGSが変化を受ける。このとき、半導体チャネル層110のインピーダンスZは図9にプロットした曲線に類似の特性曲線に従って変化する。
【0092】
RFID送信機の状態はこのとき、図9に示すように、高インピーダンス(0論理状態)から低インピーダンス(1論理状態)に切り替わる。
【0093】
以上のように、センシング事象時に、半導体チャネル層のインピーダンスZは大きく減少し、電界効果デバイス100のソース120とドレイン130の電極間電圧を測定すれば、論理状態の変化が検出可能である。
【0094】
図10a及び図10bは電界効果デバイス100の伝達特性とその周波数応答を示す。特に、図10aには異なるドレイン電圧におけるドレイン電流及びゲート電流がゲート-ソース電圧の関数としてプロットされ、図10bには異なる周波数におけるゲート容量C(ピコファラッド単位)がゲート-ソース電圧VGSの関数としてプロットされている。
【0095】
センシング事象時に、ゲート電極140の電圧は一定に維持され、よってRFIDチップ401により検出されたインピーダンスZは不変のままになる。このように、センシング事象の発生はパッシブメモリ状態で記憶され、以下で説明されるように、電界効果デバイス100はいくつかの用途が検討され、特に、周知のように検出感度を高めるために高感度のデバイスが必要とされるRFIDデバイスの用途に向けられている。
【0096】
実際には、多くの用途において、例えば職場内、収納室内、技術エンジン(モータ、コンピュータ)内、又は小荷物内の環境状態を、起こり得る健康上の危険又は被害を避けるために所定の許容差内に維持することを保証する必要がある。
【0097】
以下に記載する用途に対して、次のパラメータが該当する。
-典型的なRFIDチップ401のインピーダンス要件に適合する十分に高いオン/オフ比;
-センサ状態が不明確になる遷移領域の幅を決定する急勾配のサブ閾値勾配;
-高い動作周波数においても高いインピーダンス状態を実現するための低い寄生キャパシタンス;及び
-安定な電荷状態を実現するための低いリーク電流(<10nA/cm);
-RFIDチップ401の周波数において低いインピーダンス状態を実現するための高いカットオフ周波数(>30kHz)。
【0098】
分極の観点から、デバイス100は閾値の近くで動作し、よってゲート電極140とソース電極120との間の通常の小さい電圧変化でもRFIDセンサ400端末により直接検出される半導体チャネル110に大きな電圧変化を生じることは明らかである。
【0099】
図11は第1の実施形態による電界効果デバイス100を示し、RFID送信機400がソース電極120とドレイン電極130との間に、即ち半導体チャネル層110と並列に接続される。ソース電極120はゲート電極140とも接続される。電離放射線ビーム、図ではX線、が半導体チャネル層110に入射すると、半導体チャネル層110のインピーダンス増大によって図12に示すように論理状態スイッチが生じる。
【0100】
この論理スイッチ状態はRFID送信機400により読み出され、関連するアンテナ402によりRFID受信機RFID-Rに送信される。
【0101】
図13-15を参照すると、電界効果デバイス100の第2の実施形態が示され、そのセンシング手段は共に前記ゲート電極104とソース電極120との間に並列に接続されたフォトダイオード170及びキャパシタ171を備える。
【0102】
可視帯域内又はそのすぐ近くの帯域(例えば、UV又はIR帯域)内の波長を有する光ビームが前記フォトダイオード170に到達すると、該ダイオードは導通するため、ゲート電極140とソース電極120との間の電位が変化する。図15はチャネル層110のインピーダンスの変化及びその結果のRFIDチップ401の論理状態を時間の関数として示す。
【0103】
図16a及び16bは本発明の第3の実施形態を示し、本発明の一部を形成せず、本実施形態では本発明による電界効果デバイス100のセンシング手段は、前記ゲート電極140と前記ソース電極120との間に接続されたキャパシタ171と、前記ゲート電極140と前記ソース電極120との間に接続された整流ダイオード172と圧電センサ173の直列接続とを備える。
【0104】
機械的応力が圧電センサ173に加えられると、ゲート-ソース間電圧が変化し、半導体チャネル層110のインピーダンスの変化を生じ、よって電界効果デバイス100の論理的スイッチオフが可能になる。
【0105】
図17a及び17bを参照すると、本発明の第4の実施形態が示され、本発明の一部を形成せず、本実施形態ではセンシング手段はキャパシタ171と焦電センサ174を備え、環境温度を測定することができる。キャパシタ171及び前記焦電センサ174は直列接続される。
【0106】
前記センシング手段は、上記の他の実施形態と同様に、ゲート電極120とソース電極130との間に接続される。
【0107】
本実施形態の動作は他の実施形態に類似する。ゲート-ソース電位VGSの変化が半導体チャネル層110のインピーダンスZの変化を生ぜしめる。
【0108】
図18a及び18bを参照すると、本発明の第4の実施形態が示され、本発明の一部を形成せず、本実施形態でもセンサ手段はキャパシタ171及び化学センサ175である。前記化学センサ175及び前記キャパシタ171の接続は上記の第3の実施形態と同じである。

【0109】
電気的動作も図17a及び17bに示す第3の実施形態と同じであり、明白な差は、本例ではセンサの電気的状態及びゲート-ソース間電圧を変化させて前記ソース電極120と前記ドレイン電極130との間のインピーダンスを変化させるセンシング事象が化学物質検出であることである。
【0110】
以上からわかるように、上記のすべての実施形態において、RFIDチップ401を前記ソース電極120と前記ドレイン電極130との間に接続して両電極間の電位の変化を検出し、その状態の変化、即ち電離放射線、光、機械的応力、温度の変化及び化学物質の検出をRFID受信機RFID-Rに送信するようにすることができる。
【0111】
キャパシタ171などの上述のパッシブ構成要素のみならず様々なセンサも単一のデバイスに組み込むことができること明らかである。
【0112】
加えて、幾つかの上述のセンシング手段も互いに組み合わせてもよい。
【0113】
本発明による電界効果デバイスの利点は、特定の環境状態(電離放射線、光、温度、化学物質、機械的力)が規定の限界を超えるかどうかを監視し得る低コストのRFIDセンサを生成することができることにある。状態が限界を超えると、RFIDセンサの状態が変化し、その事象をその後無線RFID読み出しシステムを用いて追跡することができる。
【0114】
本発明によるデバイスの更なる利点は、ユニークな電子センサ性能を大きなエリアの上及びフレキシブルなプラスチック基板の上にマイクロ構造アレイ状にセンサを堆積する可能性と組み合わせることが許される革新的なナノ構造物質の導入にある。
【0115】
本発明は好ましい実施形態に従って説明のために記載され、限定を目的とするものではなく、添付の請求項で特定される関連範囲から逸脱することなく多くの修正及び/又は変更を導入することが当業者にできることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a-16b】
図17a-17b】
図18a-18b】