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▶ ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】植え込み型医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20220602BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B18/14
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019554807
(86)(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018058801
(87)【国際公開番号】W WO2018185256
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】17165089.8
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501442932
【氏名又は名称】ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ガルウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン,トニー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン,マーチン
(72)【発明者】
【氏名】シャリフ,フェイサル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2000/027292(WO,A1)
【文献】特表2001-515752(JP,A)
【文献】特開2007-244857(JP,A)
【文献】特表2006-505377(JP,A)
【文献】特表2006-513829(JP,A)
【文献】特表2015-509752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素(5)を含む植え込み型塞栓装置(3)と、
前記植え込み型塞栓装置に動作可能かつ取り外し可能に取り付けられ、前記体腔内での前記塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成される細長いカテーテル部材(4)と、
周囲組織にエネルギーを送達するように構成されるエネルギー送達構成要素(6,14,21)と、
前記体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサ(7)と、
を含む、体腔塞栓用の装置であって、
前記塞栓装置が半径方向に膨張可能な構成要素の近位の側に配置されたカバーを含み、前記細長いカテーテル部材が、半径方向に膨張可能な構成要素に接続ハブにより接続され、ここで、接続ハブはカバーより遠位に配置され、カバーが、細長いカテーテル部材を受け入れて細長いカテーテル部材の取り外しおよび引き込み時に閉鎖するように構成される自己閉鎖する開口を含むことを特徴とする、体腔塞栓用の装置。
【請求項2】
前記体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサ(7)が、前記半径方向に膨張可能な構成要素(5)より遠位に配置され、前記半径方向に膨張可能な構成要素より遠位の前記体腔の壁における血流の変化を検出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー送達構成要素の周囲の加熱された組織の温度を検知するように構成された温度センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記半径方向に膨張可能な構成要素(5)が、カテーテル部材(4)に取り外し可能に取り付けられ、前記エネルギー送達構成要素およびセンサが、前記半径方向に膨張可能な構成要素とは独立に軸方向に移動可能であり、経腔的に引き込んで前記半径方向に膨張可能な構成要素を残しインサイチュで体腔を塞栓するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記エネルギー送達構成要素およびセンサが、前記カテーテル部材の中に軸方向に引き込まれるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
経腔的な送達および引き込みに適切な収縮した構成と、体腔の周囲組織と係合するのに適切な留置された構成とから調整されるように構成される、半径方向に膨張可能な本体(14,21)を、前記エネルギー送達構成要素が含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記半径方向に膨張可能な本体(14,21)が、前記半径方向に膨張可能な構成要素(5)の内部に配置され、さらに前記本体が、留置された構成では、前記半径方向に膨張可能な本体の一つまたは複数の部分が前記半径方向に膨張可能な構成要素の中を通って突出するようにして構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサが、半径方向に膨張可能な本体の一部を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー送達構成要素およびセンサが、互いに独立に軸方向に移動可能であり前記センサが、前記半径方向に膨張可能な本体より遠位に軸方向の移動をするように、そして前記半径方向に膨張可能な構成要素より近位に引き込まれるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記センサが、前記半径方向に膨張可能な構成要素の中心を通って軸方向に延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記半径方向に膨張可能な構成要素が、遠位部分(10)および近位部分(11)を有する本体を含み、前記遠位部分よりも前記近位部分が、大きい半径方向の変形能を有し前記近位部分(11)が実質的にトロイド形状を有し、遠位部分が実質的に円筒形である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記半径方向に膨張可能な構成要素、センサ、およびエネルギー送達構成要素が、前記カテーテル部材の遠位端部の内部に配置された第1の構成と、前記半径方向に膨張可能な構成要素、センサ、およびエネルギー送達構成要素が、前記カテーテル部材の遠位端部より遠位に露出され、前記半径方向に膨張可能な構成要素が留置された構成であり、前記エネルギー送達構成要素が周囲組織と接触している第2の構成と、前記エネルギー送達構成要素およびセンサが、前記半径方向に膨張可能な構成要素より近位に引き込まれて、前記カテーテル部材が、前記半径方向に膨張可能な構成要素から取り外された第3の構成とから調整されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
経腔的な送達および引き込みに適切な収縮した構成と、体腔の周囲組織と係合するのに適切な留置された構成とから調整されるように構成される、半径方向に膨張可能な本体を、前記エネルギー送達構成要素が含み、ここで、前記第2の構成において、前記半径方向に膨張可能な本体が前記半径方向に膨張可能な構成要素の内部に配置され前記第3の構成が、前記半径方向に膨張可能な本体が前記半径方向に膨張可能な構成要素の内部に収縮した構成である最初の構成と、前記半径方向に膨張可能な本体が前記半径方向に膨張可能な構成要素より近位に引き込まれた引き続く構成とを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記エネルギー送達構成要素および/またはセンサが、前記装置の長手方向の軸の周りに回転移動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記半径方向に膨張可能な本体より遠位に配置された血流センサ(7)を有する請求項1に記載の装置と;
前記細長いカテーテル部材の中を通って前記エネルギー送達構成要素(6,14,21)に動作可能に接続されたエネルギー源と;
前記エネルギー源および前記血流センサに動作可能に接続され、前記血流センサから受信された測定信号に応答して前記エネルギー源から前記エネルギー送達構成要素までのエネルギーの送達を制御するように構成されるプロセッサと、
を含む、組織加熱用のシステム。
【請求項16】
前記装置が、前記エネルギー送達構成要素の周囲の加熱された組織の温度を検出するように構成された温度センサを含み、前記プロセッサが、前記温度センサから受信された測定信号に応答して加熱サイクルの持続期間を、そして前記血流センサから受信された測定信号に応答して加熱サイクルの回数を制御するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を加熱する植え込み型医療装置に関する。特に、本発明は、体腔内の植え込み、および体腔の塞栓、および随意に血管処理のための植え込み型医療装置に関する。別の態様では、本発明は、体腔塞栓の方法に関する。別の態様では、本発明は、心房細動および/または血栓事象の防止の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)は、米国だけで推定600万人の患者が冒される一般的な不整脈である。AFは、米国における脳卒中の第2の主な原因であり、老齢者における脳卒中のほぼ3分の1を占める可能性がある。我々の人口は高齢化し続けているので、この問題はさらに広まることさえあり得る。血餅(血栓)がAF患者に見いだされる症例の90%超では、血餅は心臓の左心耳(LAA)内に発現する。AFにおける不整脈は、血液を左心耳内に滞留させ、血液が滞ると凝固が生じることから、血餅または血栓がLAAにおいて形成される可能性がある。これらの血餅は、左心耳から外れることがあり、そして頭蓋循環に入って脳卒中を、冠循環に入って心筋梗塞を、末梢循環に入って下肢虚血を生じるだけでなく、他の血管床にも入ることがある。LAAは、左心房に取り付いた心臓の筋肉の嚢である。LAAを機械的に塞栓することで、AF患者における脳卒中の罹病率の低減という結果が得られる場合があり、LAAを除去し分離する外科的手法と血管内療法の両方への関心が高まっている。
【0003】
抗凝固剤は、AFを有すると診断された患者における脳卒中の防止に使用される場合がある。しかしながら、多くの人々は、潜在的な副作用という理由から、そうした薬物を摂取することができない。薬物治療はまた、出血を引き起こす場合があり、制御が困難である場合があるが、その理由は、用量を決定することが困難であるからである。最近の研究では、塞栓または閉鎖を通じてLAAを除くことにより、LAAにおける血栓の形成が防止される場合があり、よってAFを有すると診断された患者における脳卒中の罹病率が低減する場合があることが示されている。このように、LAAの塞栓または閉鎖は、心房細動を伴う、そして薬物治療の合併症のない患者における脳卒中の罹病率を顕著に低減させる場合がある。
【0004】
歴史的にLAAは、心房細動により課されるリスクを低減するために、縫合、クリップ留め、または切除を介して、外科的に修正されることがあった。近年では、左心耳の中に経皮的に送達され得る装置が紹介されている。これらの装置の基礎的機能は、植え込み物を用いて心耳の内部の体積を排除することであり、この植え込み物はその後、心耳内部の血液が安全に血栓形成した後、徐々に心組織の中に取り込まれるようにする。これは、心耳が以前にはそうであった平滑な内皮化表面を、あとに残すことができる。
【0005】
脳卒中予防のために、経皮的にLAAを塞栓するための新規装置が開発されており、有望であるように思える。これらの新規装置は、LAA閉鎖をクランプするためのクリップの使用、LAAを仕切るためのわなの使用、LAA膨張させるための傘型装置の使用、LAAを閉鎖することはあっても閉塞はしない装置の使用、およびLAAを閉鎖することなくそれを充填し得る装置の使用を含む。これらの装置の安全性および有効性に関するデータは、経時的に検討する必要がある。これらの新規装置は、ヒトへの応用に向けた臨床試験においては尚早であり、いくつかの制限を有する。実例としては、LAA閉鎖をクランプするためのクリップの使用は、LAAの基部まで下がらない場合があり、残存した断端または漏出を残す場合があり、血餅形成を生じる結果になる場合があり、そして直視下手術が必要となる場合がある。わなの使用は、残存した断端または漏出を残す場合があり、制御性が低下する場合があり、もし癒着が心臓の周りに位置しているならば、不可能となる場合がある。傘型装置の使用は、患者が血液希釈剤の治療を必要とする場合があり、その理由は、装置が異物から作られていて、LAAを同時に塞栓し閉塞することはないからである。LAAを切除することなしに閉鎖する場合がある装置の使用、およびLAAを閉鎖することなしに閉塞する場合のある装置の使用は、両方とも不完全な解決策であって、漏出が生じる場合がある、合成材料の使用に起因して血液希釈剤を必要とする場合がある、または他のタイプの課題が生じる場合があるものである。
【0006】
LAAの塞栓、ならびに心房細動およびLAAに付随する血栓事象の防止/処置のために提案されたさらに最近の装置を記載する。国際公開第2012/109297号明細書には、膨張可能なLAA塞栓障壁およびLAAの心門に係合するように構成されるアンカーと、心房細動の処置のためのペーシングモジュールと、不整脈を示す心臓の電気的活性を検出するためのセンサとを有する植え込み型装置が記載されている。国際公開第2013/009872号明細書には、LAA内に充填材用材料を注入するように構成されるLAA塞栓装置であって、LAA組織の電気的パラメータを検出し外部基地局データに中継するように構成されるトランスポンダーユニットを含む装置が記載されている。国際公開第2016/202708号明細書には、LAA塞栓用本体と、LAAの電気的分離を目的としてLAA組織を加熱するように構成される電極と、LAAの熱または電気的活性を測定するように構成されるセンサであって、その信号が組織の加熱を制御するためのフィードバックとして使用されるセンサとを有する植え込み型装置が記載されている。これらの装置は、規則的な開口部を有するLAAを塞栓することが可能である一方、不規則に成形された開口部を有するLAAに使用するには適切でない。加えて、それらの装置は、LAAの電気的分離を監視して実現するように動作可能なことがある一方で、多くの場合では、それらは、その後の心房細動事象を防止しないことになり、それは、装置を用いて実現される電気的分離が、可逆的であるからである。これらの装置に付随するさらなる問題は、送達カテーテルと膨張可能な障壁との間のコネクタが障壁の左心房側に配置され、循環血液に曝されており、これがDRT(装置関連血栓)形成を引き起こし得るということである。
【0007】
本発明の目的は、上に言及された問題の少なくとも一つを克服することである。
【0008】
発明の概要これらの目的は、体腔内に塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成される細長いカテーテル部材に動作可能かつ取り外し可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含む、体腔(例えばLAA)塞栓用の装置を提供することにより満たされる。塞栓装置は典型的には、経腔的送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な本体を含む。塞栓装置は典型的には、周囲組織にエネルギーを送達して、例えば、組織を加熱するように構成される。塞栓装置は、体腔の壁、典型的には、半径方向に膨張可能な本体の遠位の壁の一部における血流を検出するように構成されるセンサを、典型的には含む。壁における血流は、様々な手段により検出することができ、そして、組織における血流の変化を検出するように構成される光センサが、体腔の血管処理を検出するのにとりわけ高感度であることが見出されている。光センサには、パルスオキシメーターおよびフォトプレスモグラフィーセンサ(photoplesmography sensor)などが挙げられる。センサからの信号を、周囲組織へ適用される加熱サイクルの回数および持続期間制御するのに採用して、体腔の壁の完全な血管処理(したがって不可逆的な電気的分離)を保証することができる。一実施形態では、センサは、加熱構成要素より遠位に配置され、そして温度センサは、加熱構成要素に隣接して配置され、そして温度センサは、加熱サイクル持続期間を制御するのに使用することができ(組織の変性を保証し、組織の加熱しすぎを避ける画定された範囲内に組織の温度を保つため)、血流センサは、加熱サイクルの回数を制御するのに使用することができる(その結果、体腔の完全な塞栓が検出されたら、加熱を停止させることができる)
【0009】
第1の態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
囲組織にエネルギーを送達して、組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素と;
腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む、体腔塞栓用の装置を提供する。
【0010】
一実施形態では塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0011】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0012】
一実施形態では、センサは、体腔の壁における血流の変化を検出するように構成される。
【0013】
一実施形態では、センサは、体腔の壁における血流の変化を検出するように構成される光センサである。
【0014】
実施形態では、センサは、血流の変化を検出するように配置される。
【0015】
一実施形態では、塞栓装置は、血流センサより近位に配置された温度センサを含む。
【0016】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素およびセンサは、半径方向に膨張可能な構成要素から分離されており、そして半径方向に膨張可能な構成要素とは独立に軸方向の移動をするように構成される。これにより、エネルギー送達構成要素およびセンサは、使用の後に引き込まれ、半径方向に膨張可能な構成要素を体腔内にインサイチュ(in-situ)で残して体腔を塞栓することができる。別の実施形態では、エネルギー送達構成要素および/またはセンサは、半径方向に膨張可能な構成要素に一体化される。この実施形態では、カテーテル部材は、解放可能に塞栓装置に取り付けるように構成され、それにより、塞栓装置からのカテーテル部材の解放時には、カテーテル部材は引き込まれて、インサイチュで塞栓用本体を残すことがある。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
半径方向に膨張可能な構成要素の近位の側に配置されたカバーと;
周囲組織にエネルギーを送達して組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素と;
随意に、体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む体腔塞栓用の装置であって、細長いカテーテル部材が、半径方向に膨張可能な構成要素に接続ハブにより接続され、接続ハブが、カバーより遠位に配置され、カバーが、細長いカテーテル部材を受け入れて細長いカテーテル部材の取り外しおよび引き込み時に閉鎖するように構成される自己閉鎖する開口を含むことを特徴とする体腔塞栓用の装置を提供する。
【0018】
一実施形態では塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0019】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
周囲組織にエネルギーを送達して、組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素と;
随意に、体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む体腔塞栓用の装置であって、半径方向に膨張可能な構成要素が、遠位部分および近位部分を有する本体を含み、遠位部分よりも近位部分が、大きい半径方向の変形能を有することを特徴とする体腔塞栓用の装置を提供する。
【0021】
一実施形態では、塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0022】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
周囲組織にエネルギーを送達して、組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素と;
随意に、体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む体腔塞栓用の装置であって、半径方向に膨張可能な構成要素が、実質的にトロイド形状を有する近位部分を含み、遠位部分が、実質的に円筒状であることを特徴とする体腔塞栓用の装置を提供する。
【0024】
一実施形態では塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0025】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0026】
さらなる態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
周囲組織にエネルギーを送達して、組織を加熱するように成されるエネルギー送達構成要素と;随意に、体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む体腔塞栓用の装置であって、半径方向に膨張可能な構成要素が、近位の半径方向に膨張可能な本体と、遠位の半径方向に膨張可能な本体とを含み、半径方向に膨張可能な本体が、軸方向に離間した向きから、軸方向に隣接した、組織を寄せる向きまで軸方向に調整可能であることを特徴とする体腔塞栓用の装置を提供する。
【0027】
一実施形態では塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0028】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、細長いカテーテル部材に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置を含み、細長いカテーテル部材が、体腔内での塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成され、塞栓装置が:
経腔的な送達に適切な収縮した向きと、体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能な、半径方向に膨張可能な構成要素と;
周囲組織にエネルギーを送達して組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素と;
体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサと、
を含む、体腔塞栓用の装置であって、半径方向に膨張可能な構成要素が、中心軸方向の導管を含み、センサが、引き込まれた向きから、半径方向に膨張可能な本体より遠位にセンサが留置される留置された向きまで導管の中を通って、半径方向に膨張可能な構成要素に相対的な移動をするように構成されることを特徴とする体腔塞栓用の装置を提供する。
【0030】
一実施形態では塞栓装置は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0031】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、カテーテル部材に取り外し可能に取り付けられる。
【0032】
一実施形態では、体腔は左心耳(LAA)である。
【0033】
一実施形態では、センサは、体腔の壁における血流の変化を検出するように構成される光センサである。
【0034】
一実施形態では、センサは、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に配置される、または半径方向に膨張可能な構成要素の位置またはそこより遠位での体腔の壁における血管新生(vascularisation)を検出するように構成される。
【0035】
一実施形態では、センサは、組織により反射された光を測定する。別の実施形態では、センサは、組織を透過した光を測定する。一実施形態では、センサは、パルスオキシメトリーセンサまたはフォトプレスモグラフィーセンサ(photoplesmography sensor)から選択される。
【0036】
一実施形態では、センサは、装置の中心軸から半径方向に外方に延びている複数の検知用構成要素を含む。
【0037】
一実施形態では、センサはカテーテル部材の内部に配置され、引き込まれた位置から、塞栓装置より遠位の延びた位置まで、塞栓装置における中心の導管の中を通って塞栓装置に相対的な軸方向の移動をするように構成される。
【0038】
一実施形態では、装置は、周囲組織の温度を検出するように構成される温度センサを含む。概して、温度センサは、半径方向に膨張可能な構成要素の領域の上またはその中に配置される。
【0039】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、本体の中を通って軸方向に延びる中心の導管を有する。一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素の近位の側は、中心の導管の自己閉鎖する開口を覆う開口部を含む。一実施形態では、中心の導管は、細長いカテーテル部材を受け入れるように構成されており、自己閉鎖する開口は、細長いカテーテル部材の取り外しおよび引き込み時に閉鎖するように構成される。
【0040】
一実施形態では、一つまたは複数の内腔は、中心の導管の中を通って延びている。一実施形態では、その、またはそれぞれの内腔は、半径方向に膨張可能な本体に相対的に軸方向に移動可能である。一実施形態では、少なくとも一つの内腔は、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に体腔に流体を提供する、またはそこから流体を引き出すように構成される。一実施形態では、少なくとも一つの内腔は、センサを含む。一実施形態では、少なくとも一つの内腔は、エネルギー送達構成要素を含む。
【0041】
一実施形態では、細長いカテーテル部材は、半径方向に膨張可能な構成要素に接続ハブにより接続されており、接続ハブは、自己閉鎖する開口より遠位に配置される。
【0042】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、可膨張式バルーンおよびワイヤーフレーム構造、例えば編組みメッシュから選択される。一実施形態では、ワイヤーフレーム構造は、形状記憶材料、すなわちニチノールから形成される。一実施形態では、ワイヤーフレーム構造は、トロイド形状を有する。
【0043】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、体腔を封止するように構成されるその近位側にカバーを含む。カバーは、半径方向に膨張可能な構成要素と一体であってもよい、または分かれていてもよい。カバーは、細かいメッシュ、または織物材料であってもよい。
【0044】
一実施形態では、カバーは、上皮細胞増殖を促進するように構成される。一実施形態では、カバーは、成長因子、細胞、組織、および細胞外基質から選択された生物学的材料を含む。一実施形態では、カバーは、生物学的足場、例えば凍結乾燥により形成された、例えばコラーゲン足場を含む。
【0045】
一実施形態では、装置は引き込み可能な送達鞘を含み、この鞘は、鞘が半径方向に膨張可能な構成要素を覆い、収縮した向きに構成要素を拘束する送達構成と、鞘が引き込まれて、半径方向に膨張可能な構成要素を露出させる留置された構成との間で調整可能である。
【0046】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、遠位部分および近位部分を有する本体を含み、遠位部分よりも近位部分が、大きい半径方向の変形能を有する。
【0047】
一実施形態では、近位部分は実質的にトロイド形状を有し、遠位部分は実質的に円筒形である。
【0048】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な構成要素上に配置される。
【0049】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な構成要素の外周に沿ってエネルギーを送達するように構成される。エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な構成要素の外周に沿って空間的に連続的であってもよい、または空間的に断続的であってもよい。
【0050】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に半径方向に延びるように構成される複数のエネルギー送達構成要素を含む。
【0051】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、中心の組織アブレーション電極と、半径方向に外方に延びている中心電極周りに同軸に配置された複数の電極とを含む。
【0052】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、近位の半径方向に膨張可能な本体と、遠位の半径方向に膨張可能な本体とを含み、半径方向に膨張可能な本体は、軸方向に一緒にそして別に調整可能である。遠位および近位の本体は、単一のワイヤーフレーム構造から、または分れた複数のワイヤーフレーム構造から形成されてもよい。
【0053】
一実施形態では、装置は、半径方向に膨張可能な本体の両方に動作可能に接続された力制御機構を含み、この機構は、一方の本体のもう一方の本体に相対的な移動に対する制御された抵抗を提供するように適合させられる。一実施形態では、力制御機構は、力制御により遠位および近位の本体の一体の収縮を制限するように構成されるトルク作動システムである。
【0054】
一実施形態では、近位の半径方向に膨張可能な本体、および遠位の半径方向に膨張可能な本体は、コネクタにより動作可能に接続される。一実施形態では、導管は、コネクタの中を通って延びている。
【0055】
一実施形態では、装置は、半径方向に膨張可能な本体を軸方向に所望の位置にロックするように構成される制動機構を含む。一実施形態では、制動機構は、コネクタを付随させる。一実施形態では、コネクタは、ラチェット接続部、スナップフィット接続部、コルクスクリュ式接続部、締嵌め接続部、またはネジ式接続部を含む。
【0056】
一実施形態では、装置は、遠位および近位の本体が離間して収縮した送達構成と、遠位の本体が留置された第1の留置構成と、近位の本体が留置された第2の留置構成と、遠位および近位の本体が、軸方向に隣接する構成に調整され、制動機構が作動した第3の留置構成と、細長いカテーテル本体が塞栓用本体から取り外された最終的な留置構成との間で調整を行うように構成される。
【0057】
一実施形態では、引き込み可能な送達鞘は、送達構成と、鞘が引き込まれて遠位の本体を露出させてあるが近位の本体は覆っている部分的に留置された構成と、鞘が完全に引き込まれて遠位および近位の本体を露出させた完全に留置された構成とを含む、少なくとも三つの位置の間で、調整可能である。
【0058】
一実施形態では、装置は、遠位および近位の本体が離間して収縮した送達構成と、エネルギー送達構成要素およびセンサを留置した第1の留置構成と、遠位の本体が留置された第2の留置構成と、近位の本体が留置された第3の留置構成と、遠位および近位の本体が、軸方向に隣接する構成に調整され、制動機構が作動した第4の留置構成と、センサおよびエネルギー送達構成要素が引き出されて(すなわちカテーテル部材の中に引き込まれて)、細長いカテーテル本体が塞栓用本体から取り外された最終的な留置構成との間で調整を行うように構成される。
【0059】
一実施形態では、装置は制御ハンドルを含み、この制御ハンドルは、細長いカテーテル部材の近位端部上に配置されており、遠位および近位の本体の留置を遠隔で作動させる制御装置と、遠位および近位の本体の軸方向の間隔を遠隔で調整する制御装置とを含む。
【0060】
一実施形態では、遠位の本体は、左心耳の壁に遠位体を固定するように構成されるアンカーを含む。
【0061】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な本体の対面側の片方または両方、理想的にはその、またはそれぞれの対面側の周辺は、半径方向に膨張可能な本体どうしの間に寄せられた組織を固定するように構成されるアンカーを含む。アンカーは、かえし、またはフックであってもよい。
【0062】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な本体どうしの間に配置される。一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、周囲組織に向かって半径方向に外方に延びる一つまたは複数のエネルギー送達構成要素を含む。
【0063】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な本体の対面側の少なくとも一つ、そして好ましくは両方は、エネルギー遮蔽用構成要素、そして特に電磁遮蔽用構成要素を含む。遮蔽構成要素の目的は、エネルギー送達構成要素からのエネルギーの方向性を向上させることと、半径方向に膨張可能な本体どうしの間にエネルギーの分散を限定して、半径方向に膨張可能な本体の外側の組織領域を保護することとである。
【0064】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な本体の対面側の周辺は、電磁反射性構成要素を含む。
【0065】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、近位および遠位の半径方向に膨張可能な本体上に配置され、本体の一方はRFカソードであり、本体のもう一方はRFアノードである。
【0066】
一実施形態では、体腔は、左心耳(LAA)であり、そしてこの実施形態では、細長いカテーテル部材は、半径方向に膨張可能な構成要素より近位に配置された位置決め用の半径方向に膨張可能な本体を含み、そして経腔的送達に適切な収縮した向きと、LAA開口部を塞栓するように構成される留置された向きとの間での調整を行うように構成される。
【0067】
一実施形態では、位置決め用の半径方向に膨張可能な本体はバルーンであり、それにより、バルーンの膨張または収縮が、LAAにおける塞栓装置の深さの調整を生じる。
【0068】
一実施形態では、装置は、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に配置された冷却用構成要素を含む。一実施形態では、冷却用構成要素はバルーンであり、これは、冷却された流体、または例えば極低温流体を用いて、膨張させることができる。一実施形態では、冷却用構成要素は、カテーテル部材の端部上に配置され、この部材は、半径方向に膨張可能な構成要素に相対的に軸方向に調整可能である。これにより、冷却用構成要素を横隔神経の近傍に移動させることが可能になり、この場合、冷却効果によって、横隔神経および周囲組織は、エネルギー送達構成要素により生じる損傷から保護される。
【0069】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素の外周および/または側部は、毛材を含む。一実施形態では、外周の毛材は半径方向に延びており、側部の毛材は軸方向に延びている。
【0070】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、外周方向に膨張可能な折り返しを含む。一実施形態では、折り返しは、エネルギー送達構成要素を含む。一実施形態では、折り返しは、センサを含む。
【0071】
一実施形態では、装置は、半径方向に膨張可能な構成要素の内部またはそこより遠位に留置するように構成される膨張可能なバルーンを含む。バルーンは、体腔を封止するように留置されてもよい。この実施形態では、センサ(またはセンサの少なくとも一つ)は、膨張可能なバルーンより遠位に配置される。
【0072】
一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、膨張可能なバルーンの内部に配置され、そして好ましくは、バルーンとともに留置するように構成される。例えば、バルーンが膨張し、その壁が体腔の壁に接触する場合に、エネルギー送達構成要素もまたバルーン材料を介して壁と接触するようにして、エネルギー送達構成要素をバルーンの壁に取り付けてもよい。一実施形態では、バルーンは、クライオバルーンである(すなわち組織を冷凍するように構成される)。一実施形態では、バルーンは、RFエネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、膨張可能なバルーンは、半径方向に膨張可能な構成要素の内部に配置される。
【0073】
一実施形態では、装置は、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に配置された開口部を有する内腔を含み、この装置内では、内腔は、流体または物質を送達する、または流体もしくは物質を体腔から引き出す、例えば体腔を液体で洗浄する、および/または液体(すなわち血液)もしくは血餅を体腔から引き出す、または体腔内を真空引きするように構成される。装置が可膨張式バルーンを含む実施形態では、バルーンは、典型的には内腔上に配置され、そして内腔の開口部は、可膨張式バルーンより典型的には遠位に配置される。この実施形態では、バルーンは、膨張してバルーンより遠位に体腔を封止し、そして内腔(または随意に複数の内腔)は、体腔の端部を生理食塩水などの洗浄液で洗浄するように作動する。これによりセンサの正確さが向上するということが、特に光センサを採用する場合に見出されている。
【0074】
一実施形態では、塞栓装置は、センサに動作可能に接続されたテレメトリーモジュールを含み、検知データを遠隔の基地局に無線中継するように構成される。一実施形態では、塞栓装置は、随意に電池を介して、センサおよびテレメトリーモジュールに動作可能に接続された圧電環境発電モジュールを含む。一実施形態では、センサは、LAAの組織をペーシングするように構成される。一実施形態では、圧電環境発電モジュールは、塞栓用本体の近位の側に配置され、左心房内で発生した圧力波に曝される。
【0075】
別の態様では、本発明は:
半径方向に膨張可能な本体より遠位に配置された血流センサと、随意に、半径方向に膨張可能な本体の上に配置された温度センサとを有する本発明の装置と;
細長いカテーテル部材の中を通ってエネルギー送達構成要素に動作可能に接続されたエネルギー源と;
エネルギー源、血流センサ、および随意に温度センサに動作可能に接続され、その、またはそれぞれのセンサから受信された測定信号に応答して、エネルギー源からエネルギー送達構成要素へのエネルギー送達を制御するように構成されるプロセッサと、
を含む、組織加熱用のシステムを提供する。
【0076】
一実施形態では、プロセッサは、血流センサからの信号を受信し、血流または心房細動に関連する受信信号に基づいて出力を提供するように構成される。
【0077】
一実施形態では、プロセッサは、温度センサから受信した測定信号に応答してエネルギー(加熱)サイクル持続期間を制御するように構成される。よって、プロセッサは、組織の加熱を制御して、適切なアブレーション温度、例えば45℃と70℃との間に組織の加熱を維持する。
【0078】
一実施形態では、プロセッサは、血流センサから受信した測定信号に応答してエネルギー(加熱)サイクルの回数を制御するように構成される。よって、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位の体腔の壁(すなわちLAAの壁)への血流が永続的に途絶したのを血流センサからの測定信号が示すまで、プロセッサは組織の加熱の持続期間を制御して、加熱を維持することができる。
【0079】
一実施形態では、エネルギー源は、電磁エネルギー源(例えばマイクロ波またはRFエネルギー源)である。一実施形態では、エネルギー源は、0.1ワットから60ワットの範囲の電磁エネルギーを送達するように構成される。
【0080】
一実施形態では、システムは、半径方向に膨張可能な部材より遠位に、体腔に流体を送達するまたはそこから引き出すように構成されるポンプを含む。
【0081】
別の態様では、本発明は、本発明の装置を経皮的に送達するステップであって、半径方向に膨張可能な構成要素が収縮した向きにあるステップと、半径方向に膨張可能な構成要素、エネルギー送達要素、およびセンサを留置するステップと、エネルギーをエネルギー送達構成要素に送達して体腔の周囲壁を加熱するステップと、昇温ステップの最中に、(半径方向に膨張可能な構成要素より理想的には遠位の)体腔の壁における血流を断続的または連続的に検知するステップと、半径方向に膨張可能な本体より遠位の体腔における血流の永続的な途絶を血流センサから受信された測定信号が示すまで、加熱を維持するステップとを含む、体腔を狭窄、塞栓、または血管処理する方法を提供する。
【0082】
一実施形態では、方法は、半径方向に膨張可能な構成要素を昇温ステップの後にカテーテル部材から取り外し、カテーテル部材、エネルギー送達構成要素、および随意にセンサを対象から引き込んで、塞栓装置の半径方向に膨張可能な構成要素部分を体腔内にインサイチュで残す、さらなるステップを含む。一実施形態では、エネルギー送達構成要素およびセンサは、カテーテル部材の中に引き込まれ、カテーテル部材は、カテーテル部材の中に配置されたエネルギー送達構成要素およびセンサとともに引き込まれる。
【0083】
別の態様では、本発明は、送達カテーテル部材と、遠位の半径方向に膨張可能な本体および近位の半径方向に膨張可能な本体を含む塞栓装置とを有する本発明の送達装置を採用する、体腔を狭窄、塞栓、または血管処理する方法であって、本発明の装置を経皮的に送達するステップであって半径方向に膨張可能な構成要素が収縮した向きにあるステップと、遠位および近位の半径方向に膨張可能な構成要素を離間した向きに留置するステップと、半径方向に膨張可能な本体を軸方向に隣接する位置に軸方向に調整し、それにより、体腔の壁の部分が、本体どうしの間に寄せられるステップと、エネルギーをエネルギー送達構成要素に送達して、本体どうしの間に寄せられた体腔の壁の部分を含む体腔の周囲壁を加熱するステップとを含む方法を提供する。
【0084】
一実施形態では、方法は、昇温ステップの後にカテーテル部材から塞栓装置を取り外し、カテーテル部材を対象から引き込んで塞栓装置を体腔内にインサイチュで残す、さらなるステップ含む。一実施形態では、塞栓装置は、センサに動作可能に接続され、検知データを遠隔の基地局に無線中継するように構成されるテレメトリーモジュールを含む。一実施形態では、塞栓装置は、随意に電池を介して、センサおよびテレメトリーモジュールに動作可能に接続された圧電環境発電モジュールを含む。一実施形態では、センサは、LAAの組織をペーシングするように構成される。
【0085】
昇温ステップは典型的には、複数の加熱サイクルが関与しており、連続的なまたは断続的な加熱を提供する場合がある。加熱サイクルの持続期間および/または回数は、調整されてもよい。
【0086】
一実施形態では、本発明の装置は、加熱されている(例えば、半径方向に膨張可能な本体上に配置されている)周囲組織の温度を検出するように構成される温度センサを含み、この実施形態では、方法は、体腔の周囲壁の温度を検知し、昇温ステップを(例えば加熱サイクルの持続期間を制御することにより)制御して、体腔の周囲壁の温度を適切な温度、例えば45℃から70℃で維持する、さらなるステップ含む。
【0087】
一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素の留置は、遠位の半径方向に膨張可能な本体の留置と、その後の、近位の半径方向に膨張可能な本体の留置とを含む。
【0088】
一実施形態では、本発明の装置は、近位および遠位の半径方向に膨張可能な本体を含み、この実施形態では、方法は、昇温ステップに先立つ、またはその最中のステップであって、半径方向に膨張可能な本体を軸方向に隣接する位置に軸方向に調整し、それにより体腔の壁の部分が、本体どうしの間に寄せられて加熱されるステップを含む。
【0089】
一実施形態では、方法は、LAAの塞栓または血管処理の方法である。
【0090】
一実施形態では、方法は、対象における、不整脈もしくは心房細動の処置もしくは防止、血栓事象の防止、または虚血もしくは高血圧症の処置もしくは防止の方法である。一実施形態では、対象はLAAを有する。
【0091】
一実施形態では、体腔は、心臓弁開口部、例えば大動脈弁開口部であり、そして方法は、例えば(大動脈)弁置換に先立って、(大動脈)弁開口部を狭窄する方法である。本発明はまた、本発明の方法により、または本発明の装置もしくはシステムを使用することにより、(大動脈)弁開口部を狭窄する最初のステップを含む(大動脈)弁置換の方法に関する。よって、本発明の方法は、経大動脈弁移植に先立って大動脈弁開口部を狭窄するのに採用してもよい。
【0092】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、以下に記載の他の請求項の組に定義され記載される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1図1は、半径方向に膨張可能なかごの形態をとるエネルギー送達構成要素を有する本発明の装置の斜視図であり;
図2図2は、図1の装置の側立面図であり;
図3図3および4は、図1の装置の上面図および底面図であり;
図4】同上;
図5図5は、本発明の装置の代替の実施形態の斜視図であって、「ヤシの木」の形態をとるエネルギー送達構成要素を有するものであり;
図6図6は、図5の装置の側立面図であり;
図7図7および8は、図5の装置の上面図および底面図であり;
図8】同上;
図9A図9Aから9Fは、ヒト左心耳(LAA)の塞栓および血管処理のさいの図1の装置の使用の例示であって、図9Aは、心臓の左心房およびLAAの中に経腔的に送達されている送達構成における本発明の装置を示し;
図9B図9Bは、LAAを遮断する、LAA内の塞栓装置(apparaus)の留置を示し;
図9C図9Cは、LAAの端部より遠位へのセンサのさらなる留置を示し;
図9D図9Dよび9Eは、エネルギー送達する半径方向に膨張可能な本体の収縮、および引き込んだ構成へのセンサの引き込みを示し;
図9E】同上;
図9F図9Fは、カテーテル部材の中に完全に引き込まれたエネルギー送達構成要素およびセンサ、ならびに半径方向に膨張可能な構成要素から取り外されて、半径方向に膨張可能な構成要素を体腔内にインサイチュで残すカテーテル部材を示し;
図10図10Aおよび10Bは、半径方向に膨張可能な構成要素の内部で膨張するように構成される可膨張式バルーンを付随させた本発明の装置の代替の実施形態を示し;
図11図11Aおよび11Bは、図10の実施形態と同様な、そして半径方向に膨張可能な構成要素上にアンカーを含む本発明の装置の代替の実施形態を示し;
図12図12Aおよび12Bは、図11の実施形態に対する本発明の装置の代替の、そして半径方向に膨張可能な構成要素上に蝶着された側部パネルを含む実施形態を示し;
図13】ヒト左心耳内にインサイチュで示された、そして、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位のLAA内で膨張するように構成されるバルーンを付随させた、本発明の装置の代替の実施形態を示し;
図14図14Aおよび14Bは、半径方向に膨張可能な構成要素の近位の側を覆うカバーの端面図および側面図であって、自己閉鎖する開口(弁)を示し;
図15図15Aおよび15B、ならびに16Aおよび16Bは、カバー内の自己閉鎖する開口の中を通っていかにしてカテーテル部材が突出しているかを示す。
図16】同上。
【発明を実施するための形態】
【0094】
本明細書において言及されるあらゆる公報、特許、特許出願、およびその他の参照は、あらゆる目的のために、それらの全体が本明細書において参照により援用されるが、これは、それぞれ個々の公報、特許、または特許出願が、あたかも参照により具体的かつ個々に援用されることを示すかのごとく、そしてそれらの内容が完全に列挙されていることを示すかのごとく、なされる。
【0095】
定義および全般の優先的扱い
本明細書において使用される場合、そして別途具体的に指示されているのでない限り、以下の諸用語は、それらの用語が当技術分野で所有してもよいいかなる広義(または狭義)の意味にも加えて、以下の意味を有することが意図される:
【0096】
文脈から要求されるのでない限り、本明細書における単数形の使用は複数形を含む、そしてその逆も然りであると解釈されることになる。構成要素に関連して使用される用語「a」または「an」は、一つまたは複数の構成要素を指すと解釈されることになる。このように、用語「a」(または「an」)、「一つまたは複数の」、および「少なくとも一つ」は、本明細書においては交換可能に使用される。
【0097】
本明細書において使用されるとおり、用語「含む(comprise)」、またはその変形例、例えば「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」は、あらゆる列挙された完全体(例えば、機能、構成要素、特徴、特性、方法/処理ステップ、または制限)または完全体(例えば特徴、構成要素、特徴、特性、方法/処理ステップ、または制限)の群の包含を指示するが、いかなるその他の完全体または完全体の群の除外を指示するものではないと解釈されることになる。よって、本明細書で使用するとおり、用語「含んでいる(comprising)」は、非限定的、または制限のないものであり、そして追加の、列挙されていない完全体、または方法/処理ステップを排除しない。
【0098】
本明細書において使用されるとおり、用語「疾患」は、生理的機能を毀損する、そして特定の症状に付随するいかなる異常な状態を定義するのにも使用される。この用語は、病因の性質に関わらず(または実際にその疾患についての病因に関する根拠が樹立されているにしろ、いないにしろ)生理的機能が毀損される、いかなる障害、病気、異常性、病変、病気、状態、または症候群を包含するのにも、広く使用される。したがってそれは、感染、外傷、受傷、手術、放射線アブレーション、中毒、または栄養不足から生じる状態を包含する。
【0099】
本明細書において使用されるとおり、用語「処置」または「処置する」は、疾患の症状を治癒、改善、もしくは軽減する、または、その原因を除去(またはその影響を軽減)する(例えば、リソソーム酵素の病理学的レベルの蓄積の低減する)介入(例えば、対象への物質の投与)を指す。この場合には、この用語は、用語「治療」と同義に使用される。
【0100】
加えて、用語「処置」または「処置する」は、疾患の開始もしくは進行を防止するもしくは遅延させる、または処置された集団内部でのその発生率を低減させる(もしくは根絶する)介入(例えば、対象への物質の投与)を指す。この場合には、処置という用語は、用語「予防」と同義に使用される。
【0101】
本明細書において使用されるとおり、有効量または治療有効量の物質は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに対象に投与することができる量を定義し、妥当な利益/リスク比に見合ったものであるが、所望の効果、例えば対象の状態における永続的なまたは一時的な向上により示される、処置または予防法を提供するには充分なものである。その量は、個々の年齢および一般的状態、投与のモード、および他の要因に依存して、対象ごとに変動することになる。よって、正確な有効量を指定することは可能でないものの、当業者は、日常的な実験法および一般的な背景知識を使用して、いかなる個々の場合でも適量の「有効」量を決定することができることになる。この文脈における治療の結果は、症状の根絶または軽減、低減された疼痛または不快感、生存期間の延長、向上した可動性、および臨床的改善の他のマーカーを含む。治療の結果は、完治である必要はない。
【0102】
上に定義された処置および有効量の文脈においては、対象という用語(文脈が許容する場合「個体」、「動物」、「患者」、または「哺乳動物」を含むと解釈される)は、指示される処置を受けるいかなる対象も、特に哺乳動物の対象を定義する。哺乳動物の対象には、ヒト、家畜動物、牧場の動物、動物園の動物、スポーツ用の動物、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、乳牛、畜牛などのペット動物;無尾猿、有尾猿、オランウータン、およびチンパンジーなどの霊長類;イヌおよびオオカミなどのイヌ科動物;猫、ライオン、およびトラなどのネコ科動物;ウマ、ロバ、およびシマウマなどのウマ科動物、肉牛、ブタ、およびヒツジなどの食用動物;鹿およびキリンなどの有蹄類、ならびにマウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどのげっ歯類が挙げられるが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0103】
「植え込み型塞栓装置」は、体腔内への植え込み、特に少なくとも部分的に左心耳内部での心臓内の植え込みを行うように、そして作動時に体腔を塞栓して、体腔の部分的または完全な血管処理という結果を生じるように構成される装置を意味する。塞栓装置は、取り外し可能に送達カテーテルに接続され、このカテーテルは、目標部位に塞栓装置を送達し、そして塞栓、検知、およびエネルギー送達処理の間は、典型的には取り付けられたままであるものであり、エネルギー送達処理の後に取り外され、さらに本体から除去されて、体腔内に植え込まれる塞栓装置(または塞栓装置の半径方向に膨張可能な構成要素部分)を残すものである。塞栓は、体腔の完全な塞栓(閉鎖)または部分的塞栓(体腔の狭窄またはほぼ完全な塞栓)であってもよい。
【0104】
「体腔」は、体内の空洞を意味し、細長い空洞、例えば血管(すなわち動脈、静脈、リンパ管、尿道、尿管、洞、耳道、鼻腔、気管支)、または心臓における環状空間、例えば左心耳、左室流出路、大動脈弁、僧帽弁、僧帽弁連続部、または心臓弁もしくは弁開口部であってもよい。
【0105】
「取り外し可能に取り付けられた」は、装置が次のようにして構成されることを意味しており、それは、塞栓装置が、送達の最中に細長い送達カテーテルに取り付けられ、そして留置および処置の後に開放されることができ、それにより、塞栓装置、またはちょうど塞栓装置の半径方向に膨張可能な構成要素部分が心臓内に植え込まれ、そして細長い送達カテーテルが引き出されて、塞栓装置(または半径方向に膨張可能な構成要素)をインサイチュで残すことができるようすることである。典型的には、装置は、塞栓装置または半径方向に膨張可能な構成要素を細長いカテーテル部材から遠隔で取り外すための制御機構を含む。典型的には、制御機構用の作動スイッチは、制御ハンドル上に配置される。
【0106】
「細長いカテーテル部材」は、塞栓装置に動作可能にかつ取り外し可能に接続された遠位端部を有する細長い本体を意味する。一実施形態では、カテーテル部材は、近位の本体に動作可能に接続された制御アーム(例えば管状部材)と、遠位の本体に動作可能に接続された制御アームとを含む。制御アームは、いかなる形態をとってもよく、例えば、ロッド、ワイヤー、または管状部材である。一実施形態では、両方の制御アームは、カテーテル部材の中の内腔の内部に配置される。一実施形態では、近位の本体用の制御アームは管状部材であり、遠位の本体用の制御アームは管状部材の中の内腔の内部に配置される。一実施形態では、遠位の本体制御アームは、近位の本体制御アームに相対的に引き込むように適合させられる。一実施形態では、カテーテルは、外部の鞘を含み、この鞘は、それが遠位および近位の本体を覆う第1の位置と、遠位の本体が露出し近位の本体が覆われた第2の位置と、遠位および近位の本体が露出している第3の位置との間で軸方向に調整可能なものである。よって、遠位および近位の本体が自己膨張可能である場合に、鞘は、本体を個別にそして逐次に留置するように使用することができる。
【0107】
「経腔的送達」は、体腔内を通した目標部位(例えば心臓)心臓への塞栓装置の送達、例えば動脈または静脈の中を通した送達を意味する。一実施形態では、本発明の装置は、動脈または静脈内を通って前進させて、心臓の左心房に、そして少なくとも部分的にLAA内に、塞栓装置を送達する。一実施形態では、装置は、LAAの内部に遠位の本体が配置され、LAAのちょうど外側の左心房の中に近位の本体が配置されるように、送達される。一実施形態では、装置は、LAAの内部に遠位の本体が配置され、LAAの口に当接する左心房の中に近位の本体が配置されるように、送達される。一実施形態では、装置は、LAAの内部に遠位の本体および近位の本体の両方が配置されるように、送達される。
【0108】
遠位の本体または近位の本体に適用される「本体」は、収縮した送達構成から、膨張した留置された構成に本体が膨張可能であることを意味する。本体は、多くの形態をとる場合があり、例えば編組みのまたはメッシュ状の材料から形成されたワイヤーフレーム構造である。経腔的送達に適切な膨張可能なワイヤーフレーム構造の例は文献に公知であり、例えば、国際公開公報第01/87168号明細書、米国特許第6652548号明細書、同第2004/219028号明細書、同第6454775号明細書、同第4909789号明細書、同第5573530明細書、国際公開公報第2013/109756号明細書に記載されている。本発明とともに使用するのに適切な本体の他の形態には、プレート状または受け皿状に形成された足場、または可膨張式バルーン、またはステントなどが挙げられる。一実施形態では、本体は、金属、例えばニチノールなどの形状記憶金属から形成される。本体は、本発明の目的に適ったいかなる形状を有してもよく、例えば円盤状または回転楕円体である。一実施形態では、本体は、組織アブレーション装置を含む。一実施形態では、アブレーション装置は、電気部品の配列を含む。一実施形態では、電気部品の配列は、温度をマッピングしつつ、特定のパターンでアブレーションエネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、電気部品の配列は、アブレーションとLAAからの無秩序な信号伝達の途絶とを確認するために心組織をペーシングするように構成される。一実施形態では、半径方向に膨張可能な本体の遠位面は、上皮細胞増殖を促進させるように構成される覆いを含む。一実施形態では、本体は、近位装置より遠位装置まで階段状に変化する、半径方向の力の剛性プロファイルを含む。一実施形態では、本体は、金属メッシュのかご状足場を含む。一実施形態では、本体とカテーテル部材との間の結合は、本体の左心房の対面側より遠位に位置している。一実施形態では、留置された構成における本体は、留置の位置で左心耳の半径よりも少なくとも10%大きい半径を有する。一実施形態では、もっとも遠い遠位の本体は、心組織に対し無傷性であるように構成される。一実施形態では、本体の覆いは、送達部品(すなわちカテーテル部材)の引き込み時に自己閉鎖するように構成される。一実施形態では、本体は、一実施形態で熱エネルギー送達時のコラーゲン浸潤の助けとなって耐移行性の向上を促進させる編組みメッシュの足場を含む。一実施形態では、電極の配列は、アブレーション領域の電気的マップまたはプロファイル、および周囲組織の電気的インピーダンス測定結果を発生させて組織の電気的特性を特性評価し、特性評価は、アブレーションの有効性の測定および確認として随意に使用される。
【0109】
「半径方向に膨張可能な構成要素」は、収縮した送達構成から、半径方向に膨張した留置された構成まで、半径方向に膨脹するように構成される塞栓装置の一部を形成する本体を意味する。一実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、遠位端部と近位端部とを有する単一の本体である。別の実施形態では、半径方向に膨張可能な構成要素は、遠位の半径方向に膨張可能な本体と、近位の半径方向に膨張可能な本体とを含む。
【0110】
「遠位の半径方向に膨張可能な本体」は、近位の本体より遠位に装置上に配置された塞栓装置の一部を形成する本体を意味する。一実施形態では、遠位の本体は、膨張した構成への留置時に、それが留置の位置で体腔(すなわちLAA)の半径方向の寸法より大きい半径方向の寸法を有するように構成される。これは、留置した時点の遠位の本体が体腔の壁に支えられ、それにより壁を内部で把持することを保証する。一実施形態では、遠位の本体の半径方向の寸法は、体腔の半径方向の寸法より、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%大きい。一実施形態では、近位の本体は、体腔、理想的にはLAAの心門の経路にエネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、エネルギーは、RFエネルギーまたは熱である。一実施形態では、近位の本体は、エネルギー送達する電気部品、例えば電極または電極の配列を含む。一実施形態では、近位の本体は、クライオバルーンである。
【0111】
「近位の本体」は、遠位の本体より近位に装置上に配置された塞栓装置の一部を形成する本体を意味する。一実施形態では、遠位の本体は、膨張した構成への留置時に、留置の位置でのLAAの口の半径方向の寸法より大きい半径方向の寸法をそれが有するように構成される。これによって、留置した時点の近位の本体がLAAの口に当接することにより、遠位の本体の引き込みが遠位および近位の本体の間にLAAの壁を寄せて圧縮を引き起こすようにして、正しい位置で本体に塞栓を固定することが保証される。一実施形態では、近位の本体は、LAAとLAとの間に封止部を作り出すように構成される。
【0112】
「半径方向に膨張可能」は、送達に適切な収縮した構成から、留置された膨張位置まで膨張可能であることを意味する。典型的には、本体は、装置の長手方向の軸の周りに半径方向に膨張可能である。本体の一方または両方は、自己膨張可能であってもよい。別の実施形態では、本体は、自己膨張可能ではなく、手作業で留置するように構成される。手作業で膨脹するように構成される膨張可能な本体は、国際特許出願PCT/IE2014/000005号明細書に記載されている。
【0113】
「軸方向に離間した」は、近位の本体がLAAの口に位置する場合に、遠位の本体がLAAの内部に配置されることになるようにして、遠位および近位の本体が装置の長手方向の軸に沿って離間していることを意味する。一実施形態では、送達のさいの軸方向の間隔は、2~10mcm、好ましくは3~5mcmである。
【0114】
「軸方向に隣接」は、軸方向に離間するのよりもそろって近いことを意味し、典型的には、本体が、遠位および近位の本体の間で圧縮された組織の血管処理を実現するのにそろって充分近いことを意味する。一実施形態では、軸方向に隣接する向きでの遠位および近位の本体の間の間隔は、1~5mm、好ましくは1~3mmである。
【0115】
近位体に適用される「左心耳の口より近位に配置される」は、近位の本体が、左心房の内部およびLAAの外側に、典型的にはLAAの口に隣接して、そして理想的にはLAAの口に当接して、配置されることを意味する。
【0116】
「左心耳の壁の中に陥入する」は、留置時の遠位の本体周辺が、留置の位置でLAAの横方向の壁の中に植えられることを意味する。一実施形態では、遠位の本体の留置の位置は、LAAに沿って3分の1と3分の2との間に配置される。一実施形態では、遠位の本体の留置の位置は、LAAに沿ってほぼ中間点に配置される。
【0117】
「左心耳の壁を寄せるおよび圧縮する」は、以下の図7に例示されており、遠位および近位の本体が体腔(すなわちLAA)の横方向の壁の一部を寄せて圧縮する過程を指す。
【0118】
「制動機構」は、作動すると近位の本体に相対的な遠位の本体の位置をロックする機構を指す。この機構の目的は、遠位および近位の本体が、起動状態の軸方向に隣接した向きになっている場合にそれらの軸方向の位置を固定することであり、これによって、送達カテーテルが塞栓用本体から取り外されて患者から引き出されると、遠位および近位の本体が起動状態のクランピングの向きをとったままになるようにすることである。一実施形態では、遠位および近位のクランピング用本体は、制動用機構により動作可能に接続される。制動用機構の複数の実施形態を、図23から26を参照しつつ以下に記載する。一実施形態では、遠位および近位の本体は、ネジ式構造(図23)により接続され、それにより、本体の一方が他方に対して相対的に回転する結果、本体の軸方向の間隔が調整され、固定された位置に本体が維持される。別の実施形態では、本体は、スナップフィット配置(図24)により接続され、それにより、軸方向に隣接する事前設定された位置に本体を軸方向に調整する結果、本体は、ロックされた位置に一緒にスナップ固定される。別の実施形態では、本体は、ラチェット配置(図25)に接続されており、軸方向に隣接する事前設定された複数の異なる位置を提供することで、外科医は、圧縮の所望のレベルが実現されるまで、反復的なやり方でLAAの壁の圧縮レベルを増加させることができる。その他の制動用機構もまた想起され、これらは当業者には明らかであろう。
【0119】
「カバー」は典型的には、半径方向に膨張可能な構成要素の近位の側を覆う層を意味する。塞栓装置を通りすぎてLAAの中に入ろうとする血流を防止することが意図される。それは、織物メッシュ材料から形成されてもよく、そしては、再閉鎖可能な開口、例えば材料の重なった弁を含んでいてもよい。
【0120】
「上皮細胞増殖を促進するように構成される覆い/カバー」は、遠位のまたは近位の本体の上皮化を促進する材料を使用することを意味する。一実施形態では、覆いは、上皮細胞増殖を促進する物質を含む膜である。例には、線維芽細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子、表皮成長因子および血小板由来成長因子などの成長因子、内皮細胞または内皮前駆細胞などの細胞、ならびに組織または組織構成成分などの生物学的材料などが挙げられる。組織構成成分の例には、内皮組織、細胞外基質、粘膜下層、硬膜、心膜、心内膜、漿膜、腹膜、および基底膜組織などが挙げられる。一実施形態では、覆いは多孔質である。一実施形態では、覆いは、生物学的材料から形成された生体適合性足場である。一実施形態では、覆いは、コラーゲンなどの生物学的材料から形成された多孔質の足場である。一実施形態では、覆いは、凍結乾燥させた足場である。
【0121】
「引き込み可能な送達鞘」または「送達鞘」は、遠位および近位の本体を個別にそして逐次に露出するよう留置する最中の経腔的な送達および引き込みの最中に、遠位および近位の本体を覆うように構成される鞘を意味する。遠位または近位の本体(または両方)が自己膨張可能である場合に、引き込み可能な鞘が採用される。
【0122】
「制御ハンドル」は、細長いカテーテルの近位端部上に配置された装置であって、塞栓用本体の遠隔での作動、例えば遠位の本体の軸方向の移動、遠位および近位の本体の留置、および細長いカテーテル部材からの塞栓用本体の取り外しのために、塞栓用本体に動作可能に接続された装置を意味する。
【0123】
遠位または近位の本体に適用される「アンカー」は、LAAの壁の中に突出するように構成される、典型的には本体の周辺上の突出部を意味する。適切なアンカーの例には、フックまたはかえしなどが挙げられる。概して、アンカーは、例えば、遠位または近位の本体の周辺の周りに配置された、複数の個々のアンカーを含む。
【0124】
「センサ」はLAAの内部またはそこより近位の環境パラメータ、例えば血流、電気信号の活動、圧力、インピーダンス、湿度、または同類のものを検出するように構成される電気的センサを意味する。センサは、適切に離間した発光センサおよび検出センサを含んでいてもよい。一実施形態では、センサは電極である。一実施形態では、センサは、流体の流れを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、導電性を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、電気的インピーダンスを検出するように構成される。一実施形態では、センサは、音響信号を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、周囲組織における血流の変化を典型的には示す光信号を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、伸長を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、湿度を検出するように構成される。一実施形態では、センサは、検出された信号をプロセッサに無線伝送するように構成される。センサを、本発明の方法の最中に実時間で採用して、例えばLAAの内部の血流または電気的活性を決定して、いつLAAが充分に塞栓されるかを外科医が決定できるようにしてもよい。好適なセンサの例には、光センサ、ラジオ周波数センサ、マイクロ波センサ、さらに低周波数の電磁波(すなわちDCからRFまで)、ラジオ波(RFからMWまで)を用いたセンサ、およびマイクロ波センサ(GHz)などが挙げられる。一実施形態では、本発明の装置は、半径方向に膨張可能な本体に相対的なセンサの軸方向の移動をするように構成される。一実施形態では、センサは、半径方向に膨張可能な本体を含む。一実施形態では、本発明の装置は、典型的には装置の長手方向の軸、または長手方向の軸と平行な軸の周りのセンサの回転移動をするように構成される。これは、センサの位置決めの助けとなる、そして完全な周囲組織のアブレーションを実現する助けとなる。
【0125】
「光センサ」は、組織内の血流の変化を検出するのに適切なセンサであって、光を組織にまで導き反射/透過光を測定することに概して関与するものを意味する。これらのセンサは、隣接組織における血流の変化を検出するのに特に高感度であり、したがってLAAなどの組織の血管処理を検出するのために適切である。例には、パルスオキシメトリー、フォトプラズモグラフィー(photoplasmography)、近赤外分光、造影増強超音波検査、拡散相関分光法(DCS)、透過率または反射率センサ、LED RGB、レーザドップラー血流測定、拡散反射率、蛍光/自家蛍光、近赤外(NIR)イメージング、拡散相関分光法、および光干渉断層計などを使用する光学的プローブが挙げられる。フォトパースモグラフィーセンサ(photopeasmography sensor)の一例は二つの波長の光を組織に通して光検出器に受け渡す装置であって、この光検出器は、波長のそれぞれにおいて変化する吸収度を測定することで、脈動する動脈血だけに起因する吸収度を決定し、静脈血、筋肉、脂肪等は排除する)ことができるようにするものである。フォトプレスモグラフィー(photoplesmography)は、鼓動により生じる組織の体積の変化を測定し、この鼓動は、単一のLEDからの光を用いて組織を照明することにより、そしてその後、フォトダイオードにおのおの反射された光の量を測定することにより検出される。
【0126】
「エネルギー送達構成要素」は、エネルギーを受け取りそのエネルギーを組織に導く、そして理想的には、そのエネルギーを変換して熱にし、組織を加熱してコラーゲン変性(組織アブレーション)を引き起こすように構成される装置を指す。組織アブレーション装置は、当業者には公知であり、放射熱エネルギー(加熱または冷却)、マイクロ波エネルギー、ラジオ周波数エネルギー、組織のアブレーションに適切な他のタイプのエネルギー、または組織をアブレーションするように構成される化学物質を放出することに基づいて動作する。組織アブレーション装置は、アンジオダイナミクス社(ANGIODYNAMICS)が販売しており、スターバースト・ラジオ波アブレーションシステム(STARBURST radiofrequency ablation system)、およびアキュリス・マイクロ波アブレーションシステムズ(ACCULIS microwave ABLATION SYSTEMS)などがある。組織をアブレーションする化学物質の例には、アルコール、加熱された生理食塩水、温水などが挙げられる。典型的には、この液体は、少なくとも45℃、すなわち45~60℃に加熱される。一実施形態では、組織アブレーション装置は、隣接組織に、熱(アルコール、加熱された生理食塩水、温水)を典型的には送達するように構成される電極または電気部品の配列を含む。一実施形態では、一つまたは複数の電極は、電極と電気的に導通した少なくとも一つまたは二つの熱電対を含む。一実施形態では、一つまたは複数の電極は、RFまたはマイクロ波エネルギーを送達するように構成される。一実施形態では、本発明の装置は、半径方向に膨張可能な本体に相対的なエネルギー送達構成要素の軸方向の移動をするように構成される。一実施形態では、エネルギー送達構成要素は、半径方向に膨張可能な本体を含む。一実施形態では、本発明の装置は、典型的には装置の長手方向の軸、または長手方向の軸と平行な軸の周りのエネルギー送達構成要素の回転移動をするように構成される。これは、エネルギー送達構成要素の位置決めの助けとなり、完全な周囲組織アブレーションを実現する助けとなる。
【0127】
「心房細動」または「AF」は、米国だけで推定600万人の患者が冒される一般的な不整脈である。AFは、米国における脳卒中の第2の主な原因であり、老齢者における脳卒中のほぼ3分の1を占める可能性がある。血餅(血栓)がAF患者に見いだされる症例の90%超では、血餅は心臓の左心耳(LAA)内に発現する。AFにおける不整脈は、血液を左心耳内に滞留させ、血液が滞ると凝固が生じることから、血餅または血栓がLAAにおいて形成される可能性がある。これらの血餅は、左心耳から外れることがあり、そして頭蓋循環に入って脳卒中を、冠循環に入って心筋梗塞を、末梢循環に入って下肢虚血を生じるだけでなく、他の血管床にも入ることがある。この用語は、発作性(断続性)AF、および持続性、および長期持続性AF(PLPAF)を含むあらゆる形態の心房細動を含む。
【0128】
「虚血性事象」は、身体の臓器または組織への血液供給の制限であって、この結果、冒された臓器または組織への酸素およびグルコースの供給不足を生じるものを指す。この用語は、脳卒中、すなわち脳への血液供給を遮断する血餅により生じた、脳の一部への血液供給の遮断、およびその結果として生じた、脳の冒された部分の損傷と、一過性の虚血性事象(TIA)、すなわち「小発作」としても知られ、脳卒中に類似するが性質は一過性であり脳への持続する損傷を概して引き起こさないものとを含む。血液供給の制限が冠状動脈内で生じる場合には、虚血性事象は、心筋梗塞(MI)または心臓発作として知られている。
発明を実施するための形態
【0129】
以下、本発明を、特定の実施例を参照しつつ記載することにする。これらは単なる例であって、例示目的のためだけのものであり:それらは、特許請求される独占の範囲に、または記載された発明にいかようにも限定するとは意図されない。これらの例は、発明を実施するのための現状で考えられる最良の態様を構成する。
【0130】
図1から4を参照すると、体腔、この場合には心臓2の左心耳(LAA)の塞栓用の装置が例示されており、概して参照符号1で示される。細長いカテーテル部材4に動作可能に取り付けられた植え込み型塞栓装置3を含む装置1は、体腔内の塞栓装置の経腔的送達および留置を行うように構成される。塞栓装置3は、細長いカテーテル部材4に取り外し可能に取り付けられた半径方向に膨張可能な構成要素5を含み、この構成要素は、経腔的な送達に適切な収縮した向きと、図1に示すように体腔を塞栓するように構成される留置された向きとの間で調整可能なものである。塞栓装置はまた、周囲組織にエネルギーを送達して組織を加熱するように構成されるエネルギー送達構成要素6と、体腔の壁のパラメータを検出するように構成されるセンサ7とを含む。エネルギー送達構成要素6およびセンサ7は、半径方向に膨張可能な構成要素5とは独立に軸方向に移動可能であることにより、エネルギー送達構成要素および/またはセンサは経腔的に引き込まれて、半径方向に膨張可能な構成要素を残し体腔をインサイチュで塞栓することができる(図9Dから9F)。
【0131】
さらに詳細には、半径方向に膨張可能な構成要素5は、開いた円柱状遠位端部10を有するワイヤーメッシュのかご、接続ハブ12Bと開口を画定する凹状の中心コア12Aとを有する部分的にトロイダル形状を有する閉鎖した近位端部11、および、いったん塞栓装置が留置されると、LAAの中への血流を防止すよう機能する、近位端部を覆う血液不透過性カバー13である。半径方向に膨張可能な構成要素5は、形状記憶材料から形成され、そして収縮した送達構成(図9A)から、図1に示す膨張した留置された構成まで調整するように構成される。半径方向に膨張可能な構成要素5を覆い、経腔的送達の間、収縮した送達構成にそれを維持するように構成される送達鞘を、以下にさらに詳細に記載する。
【0132】
エネルギー送達構成要素6はまた、半径方向に膨張可能な本体14の形態で提供されており、端部で相互接続された、そして装置の長手方向の軸の周りに半径方向に配置された複数のV字形組織アブレーション構成要素15を含み、そして収縮した送達構成(図9Aを見られたい)から図1に示す膨張した留置された構成まで半径方向に膨脹するように構成される。半径方向に膨張可能な本体14は、半径方向に膨張可能な構成要素5の内部に配置されており、それが留置されると、V字形構成要素15の肘16が図2および4に示すように、半径方向に膨張可能な構成要素5のメッシュを通り抜けて突出するような寸法にしてあり、使用のさいには、それらの肘が、半径方向に膨張可能な構成要素の周囲の組織と接触するようにしてある。半径方向に膨張可能な本体14の遠位端部は、接続ハブ17を含む。センサ7、この場合には光センサは、半径方向に膨張可能な構成要素5および接続ハブ17の中を通って軸方向に突出し、図1に示すとおり(処置の最中に)、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位に軸方向に延びるように、そして(送達および引き込みの最中に)カテーテル部材の中に半径方向に膨張可能な構成要素5より近位に軸方向に引き込むように構成される。
【0133】
例示はしていないが、エネルギー送達する半径方向に膨張可能な本体15は、本体14の遠位端部へ取り付けられた遠位制御アームと、本体の近位端部へ取り付けられた近位の制御アームとを含め、使用の最中に作動して本体を留置し引き込む制御アームを含み、制御アームは、アームの相対的な軸方向の移動が本体を膨張または収縮させるようになっている。
【0134】
図5から8を参照すると、本発明の装置の代替の実施形態が記載され、そこでは、図1から4を参照しつつ定義された部分は、同一の参照符号が割り当てられている。この実施形態は、参照符号20により概して表示されており、図1から4の実施形態と実質的に同じであり、違うのは、エネルギー送達構成要素6が、留置されると「ヤシの木」形状をとる複数の外方に湾曲した構成要素23から形成された、半径方向に膨張可能な本体21であることである。構成要素23は、留置された半径方向に膨張可能な構成要素5の中を通ってわずかに突出するような寸法とされ、これは図5および6に示すとおりである。加えて、この実施形態では、センサは、エネルギー送達構成要素と一体に形成されており、この場合、湾曲した構成要素23のいくつかは組織アブレーション電極23Aであり、そしていくつかは光センサ23Bである。例示はしていないが、半径方向に膨張可能な本体21は、図5に示された収縮した送達構成から、膨張した留置された構成まで調整するように構成される。半径方向に膨張可能な本体21を覆うように、そして経腔的送達の最中にそれを収縮した送達構成に維持するように構成される送達鞘を、以下にさらに詳細に記載する。カバー13は、これらの例示からは省略されており、半径方向に膨張可能な構成要素5の近位端部が見られるようにしてある。
【0135】
以下、図9Aから9Fを参照すると、ヒトLAAを塞栓し血管処理する図1の装置の使用が詳細に記載されているが、そこでは、図1から4の実施形態を参照しつつ定義された部分は、同一の参照符号が割り当てられている。その使用が、図1から4の実施形態を参照しつつ記載されてはいるものの、図5~8の装置は、同じようにして使用されることは認識されよう。
【0136】
図9Aは、部分的送達の構成でLAA内に配置された図1の装置を示し、半径方向に膨張可能な構成要素5およびエネルギー送達構成要素6は、収縮した構成にある。送達鞘25が、カテーテル部材4の内部に設けられ、そしてそれが半径方向に膨張可能な構成要素5およびエネルギー送達構成要素6を覆う第1の位置(図示せず)から、それが部分的に軸方向に引き込まれて、半径方向に膨張可能な構成要素5とエネルギー送達構成要素6とを露出させ、それらを留置できるようにする、図9Aに示す第2の位置まで、軸方向に調整される。
【0137】
図9Bに、カテーテル部材4の中に完全に引き込まれた送達鞘25と、留置された径方向に膨張可能な構成要素5とを示すが、半径方向に膨張可能な構成要素はLAAの周囲組織に支えられて、半径方向に膨張可能な構成要素より遠位にLAAを封止している。光センサ7は、半径方向に膨張可能な構成要素5および接続ハブ16の中を通って、図9Cに示す位置にまで軸方向に延びた状態にあり、その場所で、センサの検知用端部が、LAAの遠位壁と接触している。加えて、エネルギー送達する半径方向に膨張可能な本体14は留置された状態にあり、V字形構成要素15の肘16は、半径方向に膨張可能な構成要素5のメッシュを通り抜けて突出し、半径方向に膨張可能な構成要素の周囲の組織と接触している。いったん、装置が正しく確実に配置されたこと、そしてセンサおよびエネルギー送達構成要素もまた正しく配置されたことに外科医が満足すると、装置を作動させることができて、組織アブレーション電極にエネルギーを送達し、LAA周囲の半径方向に膨張可能な構成要素の壁の組織をアブレーションすると同時に、センサ7を使用してLAAの壁における血流の変化を検知することができる。いったん、外科医がセンサ7を介して、LAAの完全な血管処理が生じたことを検出すると、組織アブレーション電極へのエネルギー送達を停止させることができる。この時点で、外科医は、LAAが血管処理されたこと、および治療が完了したことを知ることになる。
【0138】
図9Dから9Fを参照すると、エネルギー送達する半径方向に膨張可能な本体15およびセンサ7は続いて、治療構成から、送達鞘25およびカテーテル部材3の中に軸方向に引き込まれる。図9Dに、収縮した構成(図9E)への本体15の最初の調整、およびカテーテル部材3の中へのセンサ7の軸方向の引き込みを示す。本体15はその後、カテーテル部材3の中に完全に引き込まれ、カテーテルはその後、半径方向に膨張可能な構成要素5(図9F)から遠隔で取り外し、その後にカテーテル部材は、左心房から経腔的に引き出され、半径方向に膨張可能な構成要素5を、今しがた血管処理されたLAA内にインサイチュで残す。
【0139】
装置が、アブレーション電極へのエネルギーの送達を制御するように構成されるプロセッサおよびエネルギー制御装置を含んでいてもよいことは認識されよう。例えば、エネルギー制御装置は、エネルギー源と電気的に接続するように構成されてもよく、そして、加熱サイクルの回数および各加熱サイクルの長さを制御するように構成されてもよい。プロセッサは、センサおよびエネルギー制御装置に、動作するように接続されてもよく、そして、センサから受信された信号に応答してエネルギー制御装置を作動させるように構成されてもよい。センサは、血流センサ、そして随意に組織温度センサを含んでいてもよい。よって、もし血流センサがLAAにおける血流を検出すれば、プロセッサは、エネルギー制御装置を作動させて加熱サイクルを継続するように構成されてもよい。同様に、もし血流センサがLAA内に血流を検出しなければ、プロセッサは、エネルギー制御装置を作動させて加熱サイクルを中断するように構成されてもよい。もし、組織内の温度が高すぎることを温度センサが検出すれば、プロセッサは、エネルギー制御装置を作動させて加熱サイクルを短くするように構成されてもよい、またはもし、組織内の温度が低すぎることを温度センサが検出すれば、プロセッサは、エネルギー制御装置を作動させて加熱サイクルを長くするように構成されてもよい。
【0140】
図10Aから10Bを参照すると、本発明の装置の代替の実施形態が記載され、そこでは、ここまでの実施形態を参照しつつ記載された部分は、同一の参照符号が割り当てられている。この実施形態では、装置30は、図5を参照しつつ記載された装置と実質的に同じであるが、半径方向に膨張可能な構成要素5の中を通ってカテーテル部材3より遠位に延びる軸方向の導管を含む。導管は、それぞれ遠位出口を有する一つまたは複数の洗浄用管を含む。この管の目的は、半径方向に膨張可能な構成要素5より遠位にLAAの中に食塩水を勢いよく流し込んで、LAA内の血液を希釈する、そして場合によっては、血液をLAAから除去することである。これによって、特にセンサが光センサである場合に、センサ7の正確さが向上することが見出されている。装置30はまた、半径方向に膨張可能な構成要素5の内部の導管31上に搭載された、膨張してLAAを封止してLAAにおける洗浄流体漏れを防止するように構成される可膨張式バルーンを含み、そしてエネルギー送達する半径方向に膨張可能な本体21はバルーンの内部に配置されることで、電極構成要素23と洗浄液が接触するのを防止する。加えて、図10Bに示すとおり、センサ7は、バルーン34の内部に配置されてもよく、または導管31の中を通ってカテーテル部材3から軸方向に延びていてもよい。
【0141】
図11Aを参照すると、本発明の装置の代替の実施形態が記載され、そこでは、ここまでの実施形態を参照しつつ記載された部分は、同一の参照符号を割り当てられている。この実施形態では、装置40は、図10を参照しつつ記載された装置と実質的に同じであり、違うのは、半径方向に膨張可能な構成要素5が、バルーン34が膨張すると組織を係合すように構成される、外周に配置された一連のアンカー41含むことである。
【0142】
図11Bに参照符号50により概して示された本発明の装置の実施形態を例示するが、ここでは、エネルギー送達構成要素23およびセンサ7が、半径方向に膨張可能な構成要素5に取り付けられ、そしてカテーテル部材4が塞栓装置から取り外されると、インサイチュで残されている。
【0143】
図12Aから12Bを参照すると、本発明の装置の代替の実施形態が記載され、そこでは、ここまでの実施形態を参照しつつ記載された部分は、同一の参照符号が割り当てられている。この実施形態では、装置60は、図11を参照しつつ記載された装置と実質的に同じであり、違うのは、半径方向に膨張可能な構成要素5が、図12Aに示す内方に従属する位置から、外方に従属し壁と係合する、図12Bに示す位置まで調整可能な二つの蝶着された側部パネル61を含み、それらのパネル上に複数のアンカー41が配置されていることである。この実施形態では、バルーンが膨張して側壁部分を半径方向に外方に押して、図12Bに示すとおり組織と係合し、半径方向に膨張可能な部材を体腔内にインサイチュでロックすると、はじめてアンカーは体腔の壁を係合させることができる。この実施形態では、エネルギー送達構成要素は電気回路を含み、この電気回路は、側壁部分が、内方に従属する位置から、外方に従属し壁と係合する位置まで調整可能である場合に完成するものである。
【0144】
図13を参照すると、本発明の装置の代替の実施形態が例示され、参照符号70により概して示されているが、そこでは、ここまでの実施形態を参照しつつ定義された部分は、同一の参照符号が割り当てられている。この実施形態は、図1~4に例示された実施形態と実質的に同じであるが、違うのは、半径方向に膨張可能な構成要素5より遠位に延び、LAA内で遠位に膨張してLAAの遠位部分を塞栓するように構成される可膨張式バルーン34を含む導管71を、装置が含むことである。導管71はまた、一つまたは複数の洗浄用管(図示せず)と、LAAの遠位部分における血流を検出するためのセンサ7とを含む。使用のさいには、装置は、ここまでに記載されたとおりに留置され、センサ7は、LAAの遠位壁と接触するまで、LAAの中に深く軸方向に延びる。バルーンはその後、膨張し、洗浄管を採用して、生理食塩水を用いてLAAの遠位部分を洗浄するが、この生理食塩水は、組織内の血流を検出するセンサ能力を向上させる。
【0145】
図14Aおよび14Bを参照すると、織物製カバー13が示されているが、これは、半径方向に膨張可能な構成要素5の近位端部に取り付けられており、接続ハブ12Aを含む凹部を取り囲んでいる。カバー13は、カバー内で再閉鎖可能な開口として機能する重なった弁81を有する。図15Aおよび15Bに、カテーテル部材4とカバー13との係合を例示する。使用のさいには、カテーテル部材4は、カバー80内の再閉鎖可能な開口の中を通って延びて接続ハブ12Aに接続し、そして再閉鎖可能な開口は、血液が凹部に入って結合部と接触するのを防止し、そしてそれにより、装置関連血栓(DRT)形成の主要原因を防止する。図16Aおよび16Bに、弁81の代替の設計を有する同様なカバーを例示する。
【0146】
均等物
先の記載は、本発明の現状好ましい実施形態の詳細を記したものである。その実践における多くの修正例および変形例は、これらの記載を考慮した結果として当業者に想起されることが予想される。それらの修正例および変形例は、本明細書に添付の請求項の範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16