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特許7082991VOCセンシング安全機能付き収納棚容積センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】VOCセンシング安全機能付き収納棚容積センサ
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/12 20060101AFI20220602BHJP
   B64D 11/00 20060101ALI20220602BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G08B21/12
B64D11/00
G08B17/10 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019563404
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018032951
(87)【国際公開番号】W WO2018213435
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】15/978,550
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/507,423
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517077810
【氏名又は名称】アストロニクス アドバンスド エレクトロニック システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュパー、ジェフリー エイ.
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0241209(US,A1)
【文献】特開2017-036029(JP,A)
【文献】国際公開第2015/053793(WO,A1)
【文献】特表2012-529097(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106582896(CN,A)
【文献】特開平08-000751(JP,A)
【文献】米国特許第06447731(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
G01N27/60-27/70
27/92
33/00-33/46
G08B17/00-31/00
H01M10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
民間航空機の客室に配置される複数の収納棚で使用される、センサアセンブリであって、
前記センサアセンブリは、
各収納棚の内面に取り付けられた複数の揮発性有機化合物(VOC)センサと、
各収納棚の占有されていない容積を定期的に測定するよう構成される複数の容積センサと、
各収納棚の中の前記VOCセンサと前記容積センサと通信するように構成されるマイクロコントローラであって、しきい値VOC濃度水準で事前にプログラムされ、知されたVOC濃度水準と、前記しきい値VOC濃度水準とを比較して、各収納棚の前記検知されたVOC濃度水準が、事前にプログラムされた前記しきい値水準を超えるときに、警告を出力するように構成される、マイクロコントローラと、
航空機の搭乗中の各収納棚の占有された、又は利用可能な容積の割合を送る無線装置であって、送信された前記容積の割合は、前記複数の収納棚のどれが利用可能なスペースを有するかを識別することにより前記複数の収納棚の積載を促進する、無線装置と、を備え、
各々の前記複数のVOCセンサと前記複数の容積センサは、前記センサアセンブリに沿って交互に配置される、
センサアセンブリ。
【請求項2】
前記しきい値VOC濃度を超えたときに報知するのに有効な、前記マイクロコントローラと通信するインジケータをさらに備える、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記マイクロコントローラに電気的に相互接続されるエネルギーハーベスタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
納棚内の距離センサから、収納棚の中の対向する反射面までの距離を測定するように構成される距離センサと、
測定された距離から前記収納棚の占有されていない容積を計算するように構成されるマイクロコントローラと、
前記収納棚内の荷物の揮発性有機化合物(VOC)水準、ガス発生、又はくすぶりを検知し、前記マイクロコントローラと通信するように構成される、前記収納棚内の揮発性有機化合物(VOC)センサと、
データ送信用の無線装置と、
前記マイクロコントローラと電気的に相互接続されたエネルギーハーベスタと
を備える、センサアセンブリ。
【請求項5】
数の容積センサは、前記距離センサの各々から前記収納棚の中の対向する反射面までの距離を測定する、複数の距離センサであり、前記マイクロコントローラは、測定された距離から占有されていない容積を計算する、請求項4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記距離センサが赤外線周波数で動作する飛行時間センサである、請求項5に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
複数の記距離センサが、収納棚の内部の上面に取り付けられ、前記収納棚を複数のセグメントに分割するように間隔を空けて離れて配置されている、請求項5に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
前記セグメントが、収納棚の長さと奥行きに基づいて分割されている、請求項7に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記距離センサが、前記収納棚の上部から前記収納棚の底までの距離を測定するように構成されている、請求項7に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記VOCセンサが、煙又はバッテリ排気に対する定期的な監視をするように構成されている、請求項4に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記煙又はバッテリ排気が、リチウムイオン電池を発生源とする、請求項10に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記VOCセンサが、収納棚内の空気の質を監視する、請求項10に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
前記VOCセンサが、重大イベントを報知する、請求項12に記載のセンサアセンブリ。
【請求項14】
前記重大イベントが、VOC水準の上昇、ガス発生、又は火災からなる群から選択される、請求項13に記載のセンサアセンブリ。
【請求項15】
民間航空機の収納棚の利用可能な容積を検知し、重大イベントを検出する方法であって、
a)収納棚の初期基準容積測定値を測定するステップと、
b)距離センサを用いて、前記収納棚の上部から積載物の上部までの距離を測定するステップと、
c)マイクロコントローラを用いて、前記距離センサを利用してその後の距離の測定を行うための時間枠を設定するステップと、
d)前記初期基準容積測定値と前記その後の距離の測定に基づいて収納棚容積の占有率を計算するステップと、
e)前記収納棚内に配置されるVOCセンサを介して、VOC水準を検知するステップと、
f)前記マイクロコントローラを用いて、検知された前記VOC水準と事前に設定されたしきい値水準とを比較するステップと、
g)検知された前記VOC水準が前記事前に設定されたしきい値水準を超えるときに、VOC水準の上昇、ガス発生、又は火災からなる群から選択される重大イベントを検出するステップと、
を有し、
ステップb)、c)、d)は、民間航空機の客室で、乗客の搭乗時間中のみに行われる、方法。
【請求項16】
ディスプレイパネルに、収納棚の位置と、前記位置での前記収納棚内のスペース使用率とを表示することを更に有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記VOCセンサを介して、重大イベントを報知することを更に有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
収納棚は、民間航空機の客室において広く普及している。収納棚は客席の上に配置されており、乗客が航空機に持ち込む全ての種類の荷物を保持する。収納棚に入れられた荷物の容積を検出するセンサは、Jouperらによる特許文献1の「固定又は可変容積内の占有容積を監視する装置及び方法(Apparatus and Method to Monitor the Occupied Volume within a Fixed or Variable Volume)」及びJouperによる特許文献2の「自律的データ収集用ネットワークシステム(Network System for Autonomous Data Collection)」に開示されている。特許文献1及び特許文献2は、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在の棚センサは、収納棚容積の一部を占める物品を検知し、棚内で占有されている容積を判断する。棚センサは、その情報を外部ネットワークに報告して、客室乗務員、グランドスタッフ、及び/又はデータ収集システムに通知する。
【0003】
棚の容積占有率は貴重な情報であるが、棚の使用済み容積だけでなく、収納している荷物の状態も監視する必要がある。より具体的には、リチウム電池、並びにリチウム電池、大型の蓄電コンデンサ、小型の電子機器を含むデバイス等の荷物は、機内で問題を引き起こす可能性がある。特にリチウム電池は、ガス発生、電子臭気、自然発火等の幾つかの機内事故の発生源となったことがある。収納棚は、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、その他の電子機器が機内持ち込み手荷物、ブリーフケース、その他のホルダーの内部に入れられているという独特の状況を示す。これらのホルダーのそれぞれは、収納棚の領域内で火災が始まる場合、火の燃料となる。
【0004】
収納棚には現在の火災検知器又は煙検知器は組み込まれておらず、これらの密閉区画を特に脆弱なものとしている。
【0005】
したがって、収納棚の内容物を監視するためのデバイスと方法を提供することが望まれるであろう。
【0006】
更に、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compound)検知機能付きの収納棚センサを提供することが望まれるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国出願公開特許第2015/0241209号明細書
【文献】米国出願公開特許第2017/0255855号明細書
【発明の概要】
【0008】
収納棚内で占有されている容積の監視に使用するための頭上収納棚センサを開示する。このセンサは、電子製品のリチウムイオン電池等、収納棚内で過熱する可能性のある荷物や物品を監視するVOCセンサとして特に適している
【0009】
VOCセンサは、乗客が頻繁に収納する電子部品からのガス発生、臭気、火災を早期に検出するように構成されている。早期検出により、機内での迅速な対応が可能になり、機内での火災やガスの緊急事態といったイベントを迅速に報告及び警告することによりその伝播を防ぎ、緊急着陸を回避することさえも可能となる。
【0010】
本発明によれば、VOCセンサは、収納棚のスペース内の空気の質を監視することにより、荷物からのガス発生又はくすぶっている荷物に対する監視を行う。
【0011】
本開示の前述の概要、好適な実施形態、及び主題の他の態様は、添付の図面と併せて読むと、以下の特定の実施形態の詳細な説明を参照して最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態によるセンサアセンブリである。
図2図2は、収納棚内のセンサアセンブリの一実施形態の図である。
図3A図3Aは、一実施形態による概略図である。
図3B図3Bは、一実施形態による無線インターフェースの概略図である。
図3C図3Cは、一実施形態によるToFセンサの概略図である。
図3D図3Dは、一実施形態によるVOCセンサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示している。概略図面の矢印は、一般に情報又は論理の流れの方向を示す論理経路を表し、そのような矢印は必ずしも従来の電気経路を表すとは限らないことを理解されたい。
【0014】
火災又は化学物質の漏れ事故を軽減するために、そのような問題を早期に検出し、乗務員にそのイベントと棚アセンブリ内におけるイベント場所とを知らせることができるシステムは、火災が収納棚の外部へと広がるのを待つのではなく、火災の伝播を抑制し、乗務員がその事態に対応する時間を与えることができる。
【0015】
図1は、揮発性有機化合物(VOC)用センサ103と、マイクロコントローラ(uC)105と、データ送信用の無線装置(RAD)107と、必要な場合のエネルギーハーベスタ(EH)109と、棚容積用距離センサ111(飛行時間、ToF:Time of Flight)とを提示するセンサアセンブリ101を示している。
【0016】
一実施形態では、棚の上部から反射面(棚の底、又は棚の底に収納されている荷物等)まで、次いでセンサが存在する棚の上部までの往復距離は、飛行時間センサによって測定される距離を表す。例えば、飛行時間センサは、センサから反射面に光が伝播し、再び戻るまでにかかる時間を測定する。更なる例では、この距離を2で割ることによりセンサから表面までの距離を測定し、光の速度を測定する。したがって、空の状態の棚を用いた基準測定によって測定された距離を取得することにより、収納棚で使用可能なスペースの量が計算される。
【0017】
容積/距離センサは、飛行時間センサ又は他の適切な種類の距離測定に使用されるセンサである。例えば、このような容積/距離センサは、赤外線(IR)又はレーザー(サブIR)周波数のセンサから選択できる。これらのセンサは、理想的には小型物理サイズと堅牢性に基づき適切化される。複数のセンサが、棚の長さと奥行きに基づいて収納領域をセグメントに分け、棚の上部から底までの距離を測定するのに用いられる。例えば、収納棚の長さと奥行きを測定し、長さと奥行きの両方に基づいて所定の数のセグメントに分割し、各セグメントが少なくとも1つのセンサを備えるようにしてもよい。リチウム電池又は他のデバイスの煙や通気に対する監視を行うために、多数のVOCセンサを使用して、継続的に又は事前にプログラムされた間隔で収納棚内の空気の質を監視し、重大イベントが発生した場合にセンサネットワークを通じて報知を行う。本明細書で説明する重大イベントには、VOCが警戒、危険、又は上昇水準となることや、ガス発生、火災又は他の燃焼形態が含まれる
【0018】
(容積検知)
各距離センサは、初期測定値を基準として使用し、棚の上部から、乗客が航空機に積み込む際に追加される荷物までの距離を測定する。マイクロコントローラは、測定から測定までの時間枠を設定し、センサの初期化中に取得した基準と深度測定に基づいて使用率を計算する。これは、航空機のレイアウト、収納棚の位置、使用済みスペース又は使用可能なスペースの割合を表示する中央パネルにて、乗務員に対して表示される。これにより、乗務員に対して、乗客が頭上収納棚に積み込む際の利用可能な棚のスペースの容積を早期に警告できる。スペースの容積を監視することにより、乗務員は、航空機内部から余分な荷物を貨物倉へ移動することにより積載時間の増加を緩和し、利用可能な棚スペースを見つけることが可能となる。このシステムは、利用可能な場所と相対的な容積とを同時に報告できる。
【0019】
(空気の質の検知)
空気の質の検知は、リチウム電池、コンデンサ、その他のエネルギー貯蔵デバイスからの蒸気の発生といったイベントを監視するために使用される。一般に、エネルギー貯蔵デバイスは、電源内蔵式であるという独特な問題を呈する。リチウム電池は、電池の製造に使用される化学物質中の不純物により、自己発火する傾向があるとされている。リチウム電池はノートパソコンやタブレットコンピュータ、又は携帯電話等の自身に接続されたデバイスが消費するエネルギーを蓄えるため、リチウム電池は、過熱やガス発生、又は発火イベントを自身で引き起こしたり、長引かせたりする可能性がある。収納棚等の隠されたスペースにおけるこのイベントは、火災が収納棚自体から外に出始めるまで、乗客又は客室乗務員の目に留まらない場合がある。この場合、その棚の荷物の全てではないにしろ一部を燃え広がる火に巻き込むこともあるであろう。イベントの早期発見と正確な位置特定は、飛行の安全において特に利点であり助けとなる。
【0020】
一実施形態では、イベントの報知は、リモートパネル、ディスプレイ、ハンドヘルドデバイス又はオーバーヘッド投影デバイス上の発光ダイオード(LED)インジケータ等により収納棚の近くでもよい。投影デバイスは、イベントが生じている棚の位置の反対側の棚の上方に配置されてもよい。投影装置は、問題の棚の前面に赤色又はその他の適切な色のディスプレイを投影し、それによって重大イベントの場所を客室乗務員に素早く知らせることができる。更なる実施形態では、報知は、収納棚内の所定のセグメントが各々対応するLEDインジケータを含むというように、極度に局所化されていてもよく、このインジケータは、対応するセグメントの上に配置され、重大イベントの発生時にアラームを表示したり場所を示したりするように構成されている。
【0021】
更に、このセンサは、ガス発生や火災というイベントを目視にて発見するのが困難なスペースや場所、例えば頭上、パネルの後ろ、側壁、座席の下、調理室、クローゼット、フライトデッキ、又は客室乗務員の休憩エリア等を監視するために使用されるスタンドアロンのデバイスでありうる。スタンドアロンのセンサは、単一又は複数のVOCセンサ、センサを動作させるマイクロコントローラ、無線装置、エネルギー貯蔵デバイス、又は、エネルギーハーベスタである。IR(熱センサ)等の他のセンサをVOCセンサと組み合わせて使用して、発火前又は発火後の火災を検出及び報知することもできる。これらのセンサのそれぞれは、客室乗務員が燃え広がる前に起こり得る火災を特定するのに役立つ。イベントから検出までの時間を短縮することは、航空機内の人命と機器を救うことを意味する。
【0022】
(機能の説明)
センサは、頭上収納棚の上部にあることが好ましい。ここに置くことにより、使用されている収納容積を継続的に測定できるようになる。また、蒸気は、故障したデバイスから上昇する傾向にある。他の配置でも機能する場合はあるが、明白な理由から上部が好ましい。
【0023】
図1は、3つのVOCセンサとマイクロコントローラ(uC)回路と共に4つのToFセンサを図式的に説明しており、無線装置及び太陽電池又は小型バッテリーセルを使用したエネルギー収集が含まれる。ToFセンサは、棚が空状態におけるセンサから棚の底までの往復の距離を測定する。レーザーセンサが、速度、精度、環境光に対する耐性の観点から使用される。一般に、太陽光に含まれない光の周波数波長を選択することは、環境光が測定サイクルを中断させないという点で有利である。
【0024】
uCはセンサの心臓部であり、無線装置、センサ測定、測定のタイミング、無線送信を制御する。uCは、各センサの初期化と、ToFデータかVOCデータかにかかわらず測定データの収集のために、I2C(Inter-Integrated Circuit)インターフェースを介して各センサと通信する。各センサは個別に有効化され、uCと通信する。
【0025】
容積測定は、1秒に1回、10秒に1回、又は他の適切な周期等、定期的に行われる。通常、容積測定は航空機の搭乗中にのみ行われる。つまり、このデータは、航空機における積み込み過程にのみ関与する。一方、VOCセンサは、事前にプログラムされたしきい値で初期化中にセットアップされる。しきい値は、検出と報知の最小VOC水準を表す。しきい値の水準は、センサが存在する環境で見られるVOCの環境量より上に設定される。民間旅客機の客室では、例示的なVOC濃度の環境は300ppbであり、例示的なVOC濃度のアラーム発動しきい値は500ppbである。
【0026】
VOCセンサは、250~60000ミリ秒に1回等、定期的に測定するように設定されている。電流センサの各測定の最小時間は250ミリ秒である。測定間の60000ミリ秒(60秒)を超える遅延は、イベントの検知を比較的リアルタイムで遅延させる場合がある。250ミリ秒未満の時間間隔でオーバーサンプリングすると、より多くの電力が使用され、システムの電池寿命が短くなる。サンプルレートの上限及び下限の制限は、使用可能な電力及びその他のシステム要件に応じて超える場合がある。
【0027】
事前にプログラムされたVOC水準を超えると、VOCセンサからuCに割り込みが送信される。この割り込みは、イベントがしきい値を超えることによってセンサをトリガーしたことを示す。uCはこのイベントを処理し、無線装置を介して外部レシーバーに警告を送信する、又は、uCは局所的なライト又はディスプレイを有効にして、収納棚内でイベントが発生したことを示させる。このディスプレイ又はリモートディスプレイは、客室乗務員をイベントの場所に案内し、更なる行動を促す。
【0028】
図2は、収納棚213内のセンサアセンブリの一実施形態を示している。図示のように、センサは収納棚の内側上部に配置されていてもよい。或いは、収納棚の内側底部又は側部等、他の適切な場所を利用してもよい。
【0029】
図3A図3Dは、uC、無線装置、VOCセンサ、ToFセンサを含むセンサシステムの概略図である。
【0030】
図3Aは、マイクロコントローラ/無線装置の組み合わせを示している。これは、uCと無線装置を組み合わせたシングルチップソリューションであってもよく、又はマイクロコントローラと無線装置間の通信バスで無線装置とuCを分離した個別のソリューションであってもよい。J1は、uC、無線装置、センサを協働させるソフトウェアをロードするためのUSBプログラミングポートである。レギュレーターU1は、適切なコードのロード中にUSBコネクターから調整後の3VDC電源を提供する。U2は、無線装置及びセンサへの通信バスを備えた32ビットuCである。マイクロコントローラCS0-CS7のチップセレクト出力によって、このインターフェースをロジック1に設定することにより、uCは各センサを個別にアドレス指定できる。センサへの通信はI2Cインターフェースを介して行われる。全てのセンサは共通のバスを共有するため、チップセレクトインターフェースを使用して、特定の時点でどのセンサをアドレス指定するかを決定する。Y1は、uCの動作周波数を制御する発振器である。
【0031】
図3Bは無線インターフェースである。これは、E1が無線周波数に一致するアンテナである2.4GHz無線装置である。無線装置のRFP/RFN出力とアンテナ間の関連コンポーネントは、無線装置U6によって適用される最小エネルギーでアンテナの最大ゲインを提供する、インピーダンスマッチングネットワークである。Y2は、無線装置の動作周波数を設定する。シリアル・ペリフェラル・インターフェース(SPI)バスを介したuCからの通信は、無線装置の制御、uCから無線装置へのデータの転送、及び無線情報を無線で送信するためのコマンドセットを提供する。
【0032】
図3Cは、センサから棚の床又は棚内の荷物までの距離を測定するために使用されるToFセンサを示している。使用率を計算するために、棚が空のときに基準値が取得される。その後、連続測定が行われて基準値と比較され、それぞれのセンサ下の使用済みスペースの割合が計算される。各センサの測定値は平均化され、使用済み総容積になる。各セグメントに対して計算された値と合計値をディスプレイに報告して、使用可能なスペース、使用済みスペース、及び棚内のスペースが使用可能な領域を表示できる。
【0033】
図3Dは、VOCセンサを示している。これらのセンサはuCによって制御され、棚スペース内の二酸化炭素及び揮発性有機化合物の値を測定する。読み取られた値はしきい値と比較され、しきい値を超えた場合、客室乗務員にそのイベントを警告する。uCは測定を開始し、結果をしきい値と比較する。値がその制限を超えている場合、uCは、どの棚及び棚セグメントにてイベントが起きているかを示すアラームを、無線装置を介して次に棚に近い又は離れたディスプレイへ送信する。
【0034】
開示された主題の様々な構成要素は、様々な方法で互いに通信できることを理解されたい。例えば、コンポーネントは、有線又は無線、電気信号又はデジタル情報を介して相互に通信できる。
【0035】
開示された主題は、その実施形態に関して説明及び図示されているが、開示された実施形態の特徴は、本発明の範囲内で追加の実施形態を生成するために組み合わせや再配置等することができ、また、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更、省略、及び追加をその中及びそれに加えることができることを当業者は理解すべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D