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特許7082992アルキルイセチオネートとアルキルタウレートとのブレンドを含む高グリセロール組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】アルキルイセチオネートとアルキルタウレートとのブレンドを含む高グリセロール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20220602BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220602BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220602BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/34
A61Q19/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019566877
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018064336
(87)【国際公開番号】W WO2019011521
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】17180422.2
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カーナリー,ジョセフ・オレステ
(72)【発明者】
【氏名】デーブ,ラジェンドラ,モハンラル
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-057383(JP,A)
【文献】特開平06-172785(JP,A)
【文献】特開2002-179552(JP,A)
【文献】米国特許第06506713(US,B1)
【文献】国際公開第2011/120780(WO,A2)
【文献】特開平06-056645(JP,A)
【文献】特表2002-527532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0156873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)5から20重量%の界面活性剤系であって、
(a)アルキルイセチオネートアルカリ金属塩と、
(b)アルキルタウレートアルカリ金属塩と、
(c)両性界面活性剤
を含み、
(a)と(b)の重量比が、1:1.5から1:6であり、
((a)+(b)):(c)の比が、1:1から9:1
である、界面活性剤系と、
2)20から60重量%のグリセロールと
を含む、透明で等方性な組成物
【請求項2】
前記両性界面活性剤がアルキルベタインである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は透明であり、透明度は、濁度が20NTU未満であることによって定義される、請求項1または2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
濁度が10NTU未満であることによって定義される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(a):(b)の比が1:1.5から1:5である、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
pHが4.5から7.5である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン性界面活性剤と高グリセロール(高グリセロールは、消費者にとって望ましい優れた加湿感をもたらす)との特定のブレンドを含む、液体クレンジング剤組成物に関する。好ましくは、アニオン性界面活性剤のブレンドは、さらに両性界面活性剤とブレンドされるが、有益物質を最大限に付着させられるように、この両性界面活性剤の量は界面活性剤全体に対して最小限であることが好ましい。好ましくは、組成物は透明である。好ましくは、組成物は等方性である。好ましくは、組成物は透明で等方性である。
【背景技術】
【0002】
相対的に温和な界面活性剤を含む組成物を調合することが望まれている。界面活性剤の特に望まれている組み合わせの1つは、アルキルイセチオネート(例えば、ナトリウムラウロイルイセチオネートまたはナトリウムココイルイセチオネートなどのイセチオン酸の脂肪酸エステル)と、アルキルタウレート(例えば、N-メチルタウレートなどのアルキルタウレートアミド)の組み合わせである。このような界面活性剤混合物には、サルフェートを含まないという利点がある。さらに、そのような界面活性剤混合物は、中性またはわずかに酸性のpHにおいて等方系を構築する能力をもたらす。したがって、より肌に優しい保存系の利用を可能にする。また、グリセロールは優れた感触(例えば加湿感)をもたらすため、高濃度のグリセロール(例えば、20重量%以上、好ましくは25重量%から60重量%、好ましくは30重量%から55重量%)を含む組成物の提供が望まれている。
【0003】
このような、アルキルイセチオネートと、アルキルタウレートと、グリセロールとを含む組成物の欠点は、配合物は溶解性に乏しいために、配合物を透明で等方性に維持したまま20重量%またはそれ以上のグリセロールを使用する場合、有用な濃度の温和な界面活性剤(例えば、5重量%または6重量%またそれ以上)を得ることができないことである。
【0004】
このクレンジング組成物の調合における不溶性の問題に対する部分的な解決方法は、ある程度の濃度の両性界面活性剤を含有させることである。これは、両性界面活性剤は、それ自体が温和であり、またアルキルイセチオネート/アルキルタウレートブレンドの溶解性を改善させるからである。さらに、両性界面活性剤は、この配合物の粘度を上昇させるため、増粘剤を加えることなく消費者の期待に応えることが容易になる。
【0005】
さらにまた、アルキルイセチオネートと、アルキルタウレートと、グリセロールと、両性界面活性剤との組成物は、透明および等方性、好ましくは透明で等方性であるのが好ましく、かつ望ましい。ここで、等方性であるとは、比濁法濁度単位(Nephelometric Turbidity Unit、「NTU」)の値で20以下、好ましくは10以下であることと定義する。
【0006】
本発明で要求される高いグリセロール濃度においては、組成物を透明で等方性に維持するために要求される両性界面活性剤の濃度もまた高くなることが認識されている。よって、高濃度のグリセロール(20%以上、好ましくは25%以上)と相溶性であるためには、典型的には30%以上の両性界面活性剤を組成物に使用することが必要となり得る。しかしながら、上述の通り、両性界面活性剤(例えばベタイン)を使用することが望ましいが、全界面活性剤に対するパーセント値として、両性界面活性剤の濃度が高すぎないこともまた求められる。これは、組成物中に見られる他の有益物質の付着に影響すると考えられるためである。そのような有益物質としては、エモリエント、炭化水素および/またはシリコーンオイル、栄養分、抗微生物剤、および微粒子が挙げられ得る。したがって、本発明のイセチオネート/タウレート系において、液体を透明で等方性に維持したまま、最小限の両性界面活性剤量で、最大限のグリセロールを含有させる方法を見出すことが求められる。
【0007】
意外にも、出願人らは、液体を透明で等方性に維持したまま、両性界面活性剤の濃度を最小限にしつつ、最大限のグリセロールの配合、好ましくは両方、を実際に可能にする、イセチオネートとタウレートの臨界的な比率を見出した。
【0008】
Loefflerによる米国特許出願公開第2009/0062406号は、透明かつ等方性で、10以下のNTUで特徴づけられる低粘度の溶液をもたらす、ナトリウムココイルイセチオネートと、ナトリウムメチルタウレートと、アルキルベタインとの混合物を含む組成物を開示している。ここで教示されているのは、20%ココベタインと、5%イセチオネートと、5%タウレートとの組成物(すなわち、ベタインが全界面活性剤の66%であり、イセチオネートとイセチオネートの比が1:1である)と、10%ベタインと、10%イセチオネートと、10%タウレートとの組成物(ベタインが全界面活性剤の33%であり、イセチオネートとタウレートの比が1:1である)である。表現を明快にするために、イセチオネートとタウレートの重量比は、以下、十進数Rで示す。例えば、イセチオネートとタウレートの重量比1:1は、R=1.0に相当する。
【0009】
下記の実施例6において、出願人らは、イセチオネートとタウレートの合計が10%であり、イセチオネートとタウレートの比率が、7.5/2.5、5.0/5.0、2.5/7.5、および0/10(それぞれのRは、3、1、0.333、および0である)である一連の組成物を調製した。出願人らは、コカミドプロピルベタイン(CAPB)を、全界面活性剤に対して4.76%(0.5/10.5)から33%(5.0/15)の範囲の濃度で添加し、2か月後に透明度を測定した。表7は、イセチオネート/タウレート比が一定の状態で、CAPBを減少させると、濁度が上昇する(NTU値が高くなる)ことを示している。表7は、タウレートのイセチオネートに対する比率がより高くなると(逆に言えば、イセチオネートのタウレートに対する比率が低くなると)、特に効率的に濁度が減少することも示している。このことは、タウレートのみが存在する(比率が0/10)場合にも同じようにあてはまる。指摘したように、Loefflerによる文献は、1:1というタウレート/イセチオネート比を開示している。当業者が、(格別そのような動機づけはないが)このタウレート/イセチオネート比を増加させようとしたならば、(出願人らが、左側の2列と対比させて、表1の右側の2列に示したように、)適度な(すなわち低い)水準の濁度を実現するために必要なCAPBは、より少ないことを見出し得た。しかしながら、Loefflerによる文献は、高濃度のグリセロールの使用に関連するものではなく、タウレート/イセチオネートレベルと、グリセロールと、濁度との関係に関する理解を欠いている。
【0010】
具体的には、表7から分かるように、当業者は、イセチオネートを完全に排除し、タウレートだけを使用するように動機づけられたであろう(右端の列に示すように、イセチオネート/タウレート比が0:10)。しかしながら、出願人らが明確に、そして意外にも示したように(表1を参照のこと)、グリセロールを扱い、グリセロールに富む系においてCAPB濃度を最小限にしようと試みた場合、臨界的な範囲が存在する。過剰なタウレートが存在する場合(例えば、0%イセチオネートの状態)、30%グリセロールを使用して等方性溶液を得るためには、40%のCAPBが必要とされる(右端の列)。対照的に、出願人らは、同じ30%グリセロールを使用し、わずか30%だけのCAPBを用いて、等方性溶液を得ることができる。この鍵は、用いるイセチオネート/タウレート比が1/6であるという点にある。比率が1/5という状態で、さらに高濃度の35%グリセロールを用いて、同じくわずか30%だけのCAPBを用いて、等方性溶液を得ることができる。高グリセロール系において、界面活性剤の比率を基準として、両性界面活性剤が最小限であるこの臨界的な範囲は、Loefflerによる文献では認識されていない。これは、CAPBが最小限の状態で、等方性のグリセロールに富む組成物を形成することが、全く意図されていないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2009/0062406号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
全く意外なことに、出願人らは、イセチオネートとタウレートの具体的な比率を規定している際に、高濃度のグリセロールを使用することが可能な、複数種のアニオン性界面活性剤の組み合わせ(非サルフェート化アニオン性界面活性剤の濃度は最小化する)と両性界面活性剤の特定の比率と併せて、特定の範囲を発見した。さらに、ある程度の濃度の両性界面活性剤は必要ではあるが、1種類のアニオン性界面活性剤と残りのアニオン性界面活性剤の特定の比率を規定することによって、高グリセロール系が生成され、両性界面活性剤の使用量が最小化され(これは付着を助長する)、そして透明で等方性の組成物が生成する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
より具体的には、本発明は、
1)5から20%、好ましくは6から15重量%の界面活性剤系であって、
a)アシルイセチオネートアルカリ金属塩と、
b)アルキルタウレートと、
c)両性界面活性剤、好ましくはアルキルベタインと、
を含み、
(a)と(b)の重量比は、1:1.5から1:6(R=0.667から0.166)、好ましくは1:1.5から1:5(R=0.667から0.2)、より好ましくは1:19から1:5 (R=0.53から0.2)であり、
((a)+(b))/(c)の比は1:1から9:1である、界面活性剤系と、
2)20から60%、好ましくは25から55重量%のグリセロールと
を含む、クレンジング組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例または特段の明示がない限り、本明細書内において物質の量または反応条件、物質の物性および/または使用を示す数字は、すべて「約」という語で修飾されているものと理解されるべきである。
【0015】
使用する場合、一貫して、範囲は、その範囲内のすべての値をひとつひとつ記述するための省略表現として用いられている。範囲内のあらゆる値は、範囲の終端として選択することができる。「および/または」は、リストからあらゆるものを個別に選択できること、またはリストから任意の組み合わせを選択できることを示すために用いられている。
【0016】
疑義を避けるために記載しておくが、「含む(comprising)」という語は、「包含する(including)」ことを意味し、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味しないものとする。言い換えると、列挙されたステップまたは選択肢は網羅的である必要はない。
【0017】
特段の指示がない限り、使用する1つまたは複数の成分の量についてのパーセンテージは、組成物の全重量(合計は100%である)中の材料の有効重量に対する、重量%と理解されるべきである。
【0018】
界面活性剤系
本発明は、(a)アシルイセチオネートアルカリ金属塩と、(b)アルキルタウレートアルカリ金属塩と、(c)両性界面活性剤、好ましくはアルキルベタインと、を含む界面活性剤系を5から20%、好ましくは6から15重量%含む組成物に関する。
【0019】
出願人らは、特定の比率の界面活性剤を使用することによって、組成物を一貫して透明で等方性に維持したまま、高グリセロール系(20%以上)を提供することができ、両性界面活性剤を(過酷性と粘度に関してはある程度有益であるが、付着減少作用は極めて小さい、すなわち、望ましい高水準の付着は維持される)最小限にすることができる。全く驚くべきことであるが、イセチオネートとタウレートの臨界的な比率を用いることによって、組成物を透明に維持したまま、(高グリセロール系を用いて)両性界面活性剤を最小限にすることができる。実際に、タウレートのみを用いた場合、高濃度の両性界面活性剤(CAPB)が必要となるが、タウレートの使用量をわずかに減少させる(本発明で開示される、高いタウレート/イセチオネート比)と、両性界面活性剤を大幅に減少させつつ、なお等方性液体を得ることができる。
【0020】
本発明の界面活性剤系の第1の成分は、アシルイセチオネートアルカリ金属塩である。
【0021】
アシルイセチオネート界面活性剤は、一般的に、「DEFI」プロセスとして一般的に知られているプロセスで、脂肪酸(例えば、ラウリン酸などのC10-C16脂肪酸)とイセチオネート(例えば、HOCHCHSO(式中、Mは、例えばナトリウム対イオンまたはカリウム対イオンであってもよい)))の直接的エステル化によって製造される。ここで、DEFIは、直接的にエステル化された脂肪酸イセチオン酸エステル(Directly Esterified Fatty acid Isethionate)を指す。
【0022】
好ましいイセチオネートスルホネートとしては、好ましくはナトリウムまたはカリウムを対イオンとして含む、ココイルイソチオネートおよびラウロイルイセチオネートが挙げられる。
【0023】
本発明の界面活性剤系の第2の成分は、アルキルタウレート、例えばアルキルタウレートアミドである。このようなアルキルタウレートアミドは、タウリン、メチルタウリン、または対応するタウレート塩(例えば、NHCHCHSO(式中、Mは、ナトリウム対イオンまたはカリウム対イオンであってもよい))と、適切な脂肪酸との反応によって製造してもよい。
【0024】
好ましくは、アルキルタウレートアミドとしては、ナトリウムココイルメチルタウレートおよびナトリウムラウロイルメチルタウレートが挙げられる。
【0025】
本発明の界面活性剤系第3の必須要素は、両性界面活性剤である。適切な両性界面活性剤としては、アシルエチレンジアミンの誘導体が挙げられる。この種の化合物の好ましい例は、ナトリウムラウロアンホアセテートである。適切な両性界面活性剤としては、アルキルベタイン類の誘導体も挙げられ、アルキルベタイン、アルキルアミオドプロピルベタイン、およびアルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられる。この種の化合物の好ましい例は、ココベタインおよびコカミドプロピルベタイン(一般にCAPBと呼ばれる)である。
【0026】
指摘したように、両性界面活性剤は、典型的には、より強いアニオン性界面活性剤の部分的な代替物として用いられる。しかしながら、付着を促進するために、両性界面活性剤の量を最小限にすることが好ましい。
【0027】
イセチオネートとタウレートの特定の比率を選択することによって、溶液を一貫して透明で等方性に保ったまま、両性界面活性剤の使用量を最小限にしつつ高濃度のグリセロールの使用を可能にする範囲がもたらされることが意外にも見出された。
【0028】
イセチオネート/タウレート比の特定の範囲は、1:1.5から1:6(R=0.66から0.166)、好ましくは1:1.9から1:5である。このように、好ましいR比はタウレートリッチであるが、わずかな、ゼロではない濃度のイセチオネートを含む。
【0029】
さらに、イセチオネート+タウレート/両性界面活性剤の比率の好ましい範囲は、1:1から9:1である。界面活性剤ブレンド全体は、常に多数派であるアニオン性である。
【0030】
本発明のさらなる成分は、グリセロールである。指摘したように、鍵となるのは、組成物を一貫して透明で等方性に維持したまま、両性界面活性剤の量を最小限にしつつグリセロールの量を最大限(20%以上)にすることである。
【0031】
皮膚または毛髪有益物質
本発明のいくつかの組成物において、0から30重量%、好ましくは0.1から10重量%、より好ましくは0.1から5重量%の皮膚または毛髪有益物質が用いられる。好ましくは、有益物質は、油溶性エモリエントまたは保湿油である。これらは、水分喪失の阻害(閉塞剤)、水分の誘引(湿潤剤)が含まれ得る種々のメカニズムによって水和作用を増強する分子、または皮膚に対する天然の加湿因子(例えば、アミノ脂質)を修復する分子である。好ましい保湿剤としては、ペトロラタムおよびシリコーンが挙げられる。好ましくは、保湿剤は、植物油またはトリグリセリド油である。好ましい油としては、ヒマワリ種子油およびダイズ油が挙げられる。保湿剤は、イソプロピルパルミテートなどの、長鎖[C14-C30]脂肪酸エステルであってもよい。
【0032】
いくつかの天然の有益物質および保湿剤としては、
a)ビタミンAおよびEなどのビタミン、およびビタミンCアルキルエステルなどのビタミンアルキルエステル、
b)コレステロール、コレステロールエステル、ラノリン、ショ糖エステル、および疑似セラミドなどの脂質、
c)リン酸、および2本の長い炭化水素鎖を有する適切な両親媒性分子(amphophilic molecules)などのリポソーム形成物質、
d)必須脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、およびそれらの起源、
e)ヒマワリ油、プリムローズ油、アボカド油、およびアーモンド油などの不飽和脂肪酸のトリグリセリド、
f)シアバターなどの、飽和および不飽和脂肪酸の混合物から作られる植物性バター、
g)亜鉛源、マグネシウム源、および鉄源などのミネラル、および
h)直鎖または環状ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、およびアルキルアリールシリコーンオイルなどの、シリコーンオイル、ガム、およびそれらの修飾形態
が挙げられる。
【0033】
水溶性有益物質もまた用いられる。好ましい水溶性物質としては、グリセロール、ソルビトール、ポリアルキレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
等方性界面活性剤シャシー中の有益物質の量および混和性によっては、シャシーは、用いられる場合、なお透明のままでありうる。しかしながら、有益物質がシャシーを異方性にする場合であっても、サルフェートを含まず、中性から弱酸性のpHであるという上述した利点はなお維持される。また、優れた感触と良好な付着性を有する有益物質も存在するであろう。
【0035】
本発明の組成物は外部構造体を必要としないが、上記した油溶性の有益物質を用いる場合、構造体を使用するのが好ましい。
【0036】
構造体
好ましくは、本発明の組成物は、0.1から10重量%、好ましくは0.5から7重量%の構造体を含む。構造体は、水溶性または水和性のポリマーであってもよく、ポリマーは、粘度を増大させるためのカチオン性、アニオン性、両性、または非イオン性のポリマーでありうる。
【0037】
本発明において有用な水溶性または水和性ポリマーとしては、例えば、セルロースガム、微結晶セルロース、セルロースゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、カラヤゴム、トラガガントゴム、アラビアゴム、アカビアゴム、アガーガム(gum agar)、キサンタンガムなどの炭水化物ガム、およびその混合物;糊化温度が30℃から85℃の化工デンプン粒および非化工デンプン粒、および冷水溶解性のα化デンプン;ポリアクリレート;Carbopol類;Aculyn 28、Aculyn 22、またはCarbopol Aqua SF1などのアルカリ可溶性エマルジョンポリマー;Jaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17、またはJaguar C16という商品名でローヌ・プーラン社から入手可能なカチオン性グアー、Lamberti社から入手可能なBF Guar C17、およびAqualon社から入手可能なAqua D4091またはAqua D4051を含む修飾多糖類などのカチオン性ポリマー;Amerchol社から入手可能なUCAREポリマーJR30またはJR40などのカチオン変性セルロース;Hercules社から入手可能なN-Hance 3000、N-Hance 3196、N-Hance CPX215、またはN-Hance GPX 196;Nalco社によるMerquat 100、Merquat 280、Merquat 281、およびMerquat 550などの合成カチオン性ポリマー;カチオンデンプン、例えばStaley Inc.製のStaLok(登録商標)100、200、300、および400;Henkel,Inc.社によるGalactasol 800シリーズという、グアーガムをベースとしたカチオン性ガラクタマンナン(galactamannans);ならびにQuadrisect Um-200、およびポリクアテルニウム-24が挙げられる。
【0038】
化工または非化工デンプン粒、キサンタンガム、Carbopol、およびアルカリ可溶性エマルジョンポリマーなどのゲル形成ポリマー、Lamberti社のBF Guar C17などのカチオン性グアーガム、およびUCAREポリマーJR30(登録商標)またはJR40(登録商標)などのカチオン変性セルロースは、本発明にとって特に好ましい。
【0039】
好ましい構造化コポリマーは、(1)第1のエチレン性不飽和モノマーと;(2)第2のエチレン性不飽和モノマーと;(3)(メタ)アクリレートモノマーと;(4)会合性モノマーとの重合生成物(例えば、付加重合生成物)である(一般にランダム構造であり、好ましくはコポリマーは線状である)。
【0040】
(1)の第1のモノマーは、式:

の二酸、
二酸(I)の環状無水物前駆体、(無水物は、式:
【化1】

【0041】
で表される)
およびこれらの組み合わせであってもよく、
式中、RおよびRは、独立して、H、C-Cアルキル、フェニル、塩素、および臭素から選択され、1または複数の実施形態では、独立して、HおよびC-Cアルキルから選択される。
【0042】
好ましいモノマーとしては、マレイン酸および無水マレイン酸が挙げられる。第1のモノマーは、全モノマー投入量の0から10%、好ましくは0.1から5重量%を構成してもよい。
【0043】
第2のモノマー(2)は、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの組み合わせであってもよい。第2のモノマーは、全モノマー投入量に対して、15重量%~60重量%で使用してもよい。
【0044】
第3の(メタ)アクリレートモノマーは、アクリル酸のC-Cアルキルエステル、メタクリル酸のC-Cアルキルエステル、およびこれらの混合物であってもよく、全モノマー投入量の30重量%~75重量%であってもよい。
【0045】
a)会合性モノマーは、式:

【0046】
(式中、RおよびRは、独立して、HおよびCアルキルから選択され、
Oは、それぞれ独立して、2から4個、好ましくは2から3個の炭素原子を有するオキシアルキレン単位であり、
は、8から40個、好ましくは8から30個、より好ましくは10から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、および
アルキル基が8から40個、好ましくは8から30個、より好ましくは10から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であるアルカリール、前記アルカリールが好ましくはアルキルフェニルであり、ならびに
aの値は、6から40、好ましくは15から35、最も好ましくは20から30である)
の構造を有する。
【0047】
1または複数の実施形態において特に興味深いものは、式:

【0048】
(式中、R、R、およびaは、上記の通りであり、bの値は、6から38、好ましくは6から28、より好ましくは8から20である)
の会合性モノマーである。
【0049】
式IIIおよび式IVのモノマーにおいて、Rは、好ましくはメチル基であり、Rは、好ましくはHである。上記の会合性モノマーにおいて、aとbは、それぞれのオキシアルキレンおよび-CH-の繰り返し単位の数を表し、一般に整数である。1または複数の興味深い実施形態において、aは、bより大きいか、bと等しい。
【0050】
会合性モノマーの使用量は、添加される全モノマーに対して、1から約25重量%、好ましくは2から20重量%、より好ましくは2から15重量%であってもよい。1または複数の特に興味深い実施形態において、会合性モノマーの使用量は、添加される全モノマーに対して、5から12重量%である。
【0051】
いくつかの組成物は、0.005から5重量%の量の水溶性ポリマーを含有してもよい。
【0052】
水溶性ポリマーとしては、例えば、Polyox(登録商標)WSR-205(PEG 14M)、Polyox(登録商標)WSR-N-60K(PEG 45M)、およびPolyox(登録商標)WSR-301(PEG 90M)などの高分子量ポリエチレングリコール;セルロースガムなどの炭水化物ガムが挙げられる。ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、カラヤゴム、トラガントガム、アラビアゴム、アカシアゴム、アガーガム(gum agar)、およびキサンタンガムなどの炭水化物ガム;化工デンプン粒および冷水溶解性のα化デンプン;Jaguar(登録商標)という商品名でRhodia社から入手可能なカチオン性グアーを含む修飾多糖類などのカチオン性ポリマー;Amerchol社から入手可能なUCAREポリマーJR30またはJR40などのカチオン変性セルロース;Hercules社から入手可能なN-Hance(登録商標) 3000、N-Hance(登録商標)3196、N-Hance(登録商標)GPX215、またはN-Hance(登録商標)GPX196;ならびにNalco社が販売しているMerquat(登録商標)100、Merquat(登録商標)280、Merquat(登録商標)281、およびMerquat(登録商標)550などの合成カチオン性ポリマー。追加の分子としては、グリセロールおよびソルビトールが挙げられる。
【0053】
これらの水溶性ポリマーは、単独で用いてもよいし、同じ種類または別の種類の2つ以上のポリマーの組み合わせとして用いてもよい。高分子量ポリエチレングリコールであるPolyox(登録商標)WSR-301(PEG 90M)およびPolyox(登録商標)WSR-N-60K(PEG 45M)、Jaguar(登録商標)S、Jaguar(登録商標)C17、およびJaguar(登録商標)C13などのグアー誘導体、ならびにMerquat(登録商標)100などの合成カチオン性ポリマーが特に望ましい。
【0054】
防腐剤
パーソナル製品配合物は、微生物の増殖にとって良好な培地となる。微生物作用は、加水分解、酸化、または還元によって顕在化し、悪臭、変色、pHの不利な変化、エマルジョンの破壊、および製品の質感の変化を引き起こす可能性がある。したがって、微生物の増殖、製品の劣化、ならびに皮膚と毛髪の感染を防ぐために、優れた保存系が必要となる。防腐剤は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、ならびに真菌(カビおよび酵母)に対して有効であるべきである。
【0055】
有効な防腐剤は、製品中の微生物の増殖を防ぎ、製品を安全にし、保存期間を延ばすことができる化学薬品である。
【0056】
最適な保存系は、広域スペクトル活性を示し、製品の保存期間を通して有効であるべきである。また、微生物は配合物の水相中で増殖するので、保存系は水溶性であるべきである。配合物がかなりの量の油を含有する場合、保存系は水相中に偏って分配されるべきである。理想的には、保存系は広いpH範囲にわたって有効であり、使用時に無色で安全であるべきである。保存系は、非刺激性、非感作性、および好ましくは無毒であるべきである。理想的には、配合物は、保存中に配合物中の病原微生物を排除する一方で、配合物を皮膚、毛髪、または粘膜に適用した後、皮膚の共生微生物には危害を加えないようにすべきである。
【0057】
いくつかの好ましい防腐剤としては、以下の1)~6)が挙げられる:
1)パラベン、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン、およびブチルパラベン;
2)ホルムアルデヒド遊離型防腐剤、例えば、ホルムアルデヒド、クオタニウム-15、ジメチル-ジメチル(DMDM)ヒダントイン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、および2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール;
3)イソチアゾリノン、例えば、クロロメチルイソチアゾリノン(CMIT)、メチルイソチアゾリノン(MIT)、またはベンズイソチアゾリノン(BIT);
4)ハロゲン化有機活性物質、例えば、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(idopropynyl butylcarbamate)およびメチルジブロモグルタロニトリル(methyl-dibromo glutaranitrile);
5)有機酸、例えば、安息香酸、デヒドロ酢酸、サリチル酸、乳酸、およびソルビン酸;ならびに
6)その他、クロロアセトアミド、フェノキシエタノール、およびトリクロサンなど。
【0058】
パーソナルケアのための追加の適切な防腐剤は、「Preservatives for Cosmetics Manual,2nd edition」,David S.Steinbens,2006、および「Preservatives for Cosmetics」,D.C.Steinberg,Allured Publishing Corp.,ISBN#0-93170-54-5中に見出すことができる。このような薬剤は、典型的には、パーソナル製品配合物の0.1%~1%、より好ましくは0.5%~0.7%で用いられる。
【0059】
上述した有機酸が特に好ましい。約4.0から5.5、好ましくは4.0から5.0の間のpKaを有する有機酸がとりわけ好ましい。
【0060】
すべての状況について理想的な防腐剤は存在しない。例えば、パラベンは比較的刺激性がないが、油相に偏って分配され、いくつかの界面活性剤によって不活性化される。ホルムアルデヒドを保持する防腐剤は広い有効性スペクトルを持つが、刺激性であり、一部の国では法律で禁じられている。
【0061】
指摘したように、安息香酸は好ましい防腐剤である。
【0062】
本発明の組成物は、1つまたは複数の追加の成分をさらに含んでいてもよい。このような追加の成分の非限定的な例は、例えば、着色剤、顔料、乳白剤、(カプセル化されているにせよ、遊離したフレグランスとして存在するにせよ)フレグランス、エモーティブオイル、ビタミンおよびビタミン誘導体、研磨剤、光学物質(例えば反射粒子および干渉顔料を含む)、pH調節剤、植物抽出物、精油、防腐剤、酸化防止剤、抗微生物剤、粘度調整剤、湿潤剤、ひげ湿潤剤、感覚剤、脂肪酸セッケン、ならびに皮膚および/または頭皮有益物質(例えば、少数の例を挙げれば、アロエ、アラントイン、パンテノール、α-ヒドロキシ酸、リン酸、植物油、およびアミノ酸)である。任意の個別の追加の成分の選択および量は、個々の成分、所望の特性、および組成物の使用における使用目的を含む要因に依存する。例えば、フレグランスは、典型的には、組成物の0.1から3.0重量%、またはそれ以上の量で使用される。多くの組成物では、このような追加の成分の総量は、組成物の総重量に対して、0.01から30重量%、特に0.1から15重量%、なかでも1から10重量%である。1または複数の実施形態において、このような追加の任意成分の総量は、0.5から5重量%である。
【0063】
組成物は水性ベースであり、典型的には30~90重量%の水を含む。水は、上記のすべての成分を考慮した後の残部である。
【0064】
pH
一般に、本発明の組成物のpHは、4.5から7.5の範囲内である。これにより、多種多様な保存系を使用することが可能になる。
【0065】
プロトコル
組成物の透明度
組成物の透明度は、組成物中の不均質性によって光が散乱する程度と定義される濁度を測定することによって定量化される。測定される濁度は、測定に使用される光の波長、および検出器を設置する角度に依存する。比濁法濁度単位(NTU)は、US EPA Method 180.1,「Turbidity」に従い、入射ビームに対して90°の角度で散乱される白色光を用いて測定される。白色光源は、典型的には、400~680nmの範囲内にピークスペクトル出力を有する。この情報は、ウェブサイトhttps://or.water.usgs.gov/grapher/fnu.htmlから得た。濁度は、メーカーの指示書に従って、NTU値が既知の標準物質によって校正した2100N型濁度計(ハック社)を用いて測定した。NTU値がより高いということは、濁度がより高いこと、および透明度がより低いことに対応する。
【0066】
[実施例]
以下の実施例は、以下のことを実証するために選択した。
【0067】
実施例1は、最小量のアルキルベタインを用いて、透明で等方性の溶液にグリセロールを含有させるための、最適なイセチオネート/タウレート比を明らかにする。9%の全界面活性剤濃度において、イセチオネート/タウレート比は、R=0.667から0.166の範囲内にあることが分かる。
【0068】
実施例2は、この最適な比率が、より高い、およびより低い全界面活性剤濃度にもあてはまり、広範囲の身体洗浄製品に用いられ得ることを示す。
【0069】
実施例3は、本発明はアルキルベタインにとどまらず両性界面活性剤に有効であり、またココイルタウレートにとどまらずアルキルタウレートに有効であることを示す。
【0070】
実施例4は、本発明の組成物のpH範囲が約pH4.5から7.5であることを明らかにする。これにより、多様な保存系を用いることが可能になる。
【0071】
実施例5は、それぞれが本発明の異なる態様を示す、種々の組成物(AからG)を示す。
【0072】
実施例6は、グリセロール、特に高濃度のグリセロール、を組成物に用いる場合に、両性界面活性剤を最小限にし、液体の等方性を維持しようとする場合、イセチオネート/タウレート比に関する臨界性を当業者がどの程度容易には認識しなくなるかを示す。より高い濃度のグリセロールを使用し透明度を維持しつつ両性界面活性剤の濃度を最小限にするために少なくともある濃度のイセチオネートが必要である場合(これは事実である)に、当業者は、むしろ100%タウレートの系は優れていると考えるように導かれるであろう。具体的には、(所望の高グリセロール系において)添加される最小限必要な量のアルキルベタインに対するイセチオネート/タウレートブレンドの溶解性を最適化するためには、本特許出願において特許請求されている臨界的なイセチオネート/タウレート比が必要とされる。
【0073】
[実施例1]
9%の全界面活性剤濃度における、グリセロールの最大許容濃度
本実施例の目的は、溶液を一貫して透明で等方性に維持したまま、最小濃度の両性界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタイン(cocamidepropyl betaine)(「CAPB」)を使用し、最大限のグリセロールの配合を可能にする(1または複数の)イセチオネート/タウレート比を明らかにすることであった。高濃度のCAPBは有益物質の付着にとって不利であると考えられているため、ボディーソープおよびシャンプー配合物に使用するCAPBの濃度は最小限であるのが好ましい。本実施例のために、一連の様々なイセチオネート/タウレート重量比、4/1、2/1、1/1、1/1.5、1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、および0(それぞれ、R=4、2、1、0.666、0.5、0.333、0.25、0.2、0.166、および0)、の組成物を調製した。各比率において、コカミドプロピルベタイン(CAPB)の濃度を、CAPBが全界面活性剤濃度(本実施例において、9%で一定である)の10から50%を占めるように変化させた。各界面活性剤組成物について、個々の組成物を調製し、pHを7.0に合わせ、撹拌しながら65℃に加熱し、次いで23℃で2か月間(この時まで、さらなる外観の変化は認められなかった)平衡化することによって、透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量を決定した。平衡化後、プロトコルで説明したようにして、個々の混合物の透明度を測定した。透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量(重量%)を表1に示す。
【表1】

【0074】
表1は、イセチオネート/タウレート比が1/1(R=1)以上の場合、20%グリセロールと相溶性であるためには30%以上のCAPBが必要であることを示す。タウレートがより多い混合物は、より低いCAPB濃度において、よりグリセロール耐性が高い。低いCAPB濃度において、系のグリセロール耐性が特に高い、最適なイセチオネート/タウレート比の範囲は、約1/1.5から約1/5(R=0.666から0.2)である。例えば、20%以下のCAPB濃度で、30%以上のグリセロールを配合することができる。イセチオネートがゼロ(R=0)の端点において、グリセロール耐性の減少が見られる。これは著しく直感に反する。
【0075】
[実施例2]
6~12%の全界面活性剤濃度における、グリセロールの最大許容濃度
本実施例の目的は、溶液を一貫して透明で等方性に維持したまま、最小濃度の両性界面活性剤(「CAPB」)を使用し、最大限のグリセロールの配合を可能にする(1または複数の)イセチオネート/タウレート比を明らかにすることであった。高濃度のCAPBは有益物質の付着にとって不利であると考えられているため、ボディーソープおよびシャンプー配合物に使用するCAPBの濃度は最小限であるのが好ましい。本実施例において、全界面活性剤濃度を6%、9%、および12%で一定に保ったまま、イセチオネート/タウレートの重量比Rを0から3に増加するように変化させた。各比率において、コカミドプロピルベタイン(CAPB)の濃度を、CAPBが全界面活性剤濃度の25%または33%を占めるように変化させた。各界面活性剤組成物について、個々の組成物を調製し、pHを7.0に合わせ、撹拌しながら65℃に加熱し、次いで23℃で2か月間(この時まで、さらなる外観の変化は認められなかった)平衡化することによって、透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量を決定した。平衡化後、プロトコルで説明したようにして、個々の混合物の透明度を測定した。透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量(重量%)を、25%CAPBについては表2に、33%CAPBについては表3に示す。
【表2】


【表3】

【0076】
表2および表3は、9%の全界面活性剤濃度において観察された傾向が、より高い(12%)界面活性剤濃度およびより低い(6%)界面活性剤濃度においても維持されることを示す。全界面活性剤に対して33%のCAPBにおいて、透明で等方性の溶液として配合し得るグリセロールの最大濃度は、イセチオネート/タウレート比が0.14から0.6の範囲で最大(35%から55%まで)である。これらの比率は、特許請求された範囲である1/1.5から1/6(R=0.666から0.166)にほぼ相当する。
【0077】
全界面活性剤に対して25%のCAPBにおいて、最大濃度(約35%)のグリセロールが配合されたのは、イセチオネート/タウレート比が1/2の時であり、これはR=0.5に相当する。
【0078】
繰り返しになるが、イセチオネート/タウレート比が1/1(R=1)を超える場合、20%グリセロールと相溶性であるためには、33%超または25%超のCAPBが必要であり、タウレートがより多い混合物は、より低いCAPB濃度において、よりグリセロール耐性が高い。しかしながら、イセチオネートがゼロの端点において、すべての全界面活性剤濃度について、グリセロール可溶化能が減少している。
【0079】
[実施例3]
本実施例において、本発明の範囲は、CAPBにとどまらず他の種類のアルキルベタイン、アルキルベタインにとどまらず他の種類の両性界面活性剤、およびナトリウムココイルメチルタウレート(SMCT)にとどまらずナトリウムアルキルメチルタウレートを含むように拡張される。溶液を一貫して透明で等方性に維持したまま、最小濃度の両性界面活性剤で、最大限のグリセロールの配合を可能にする(1または複数の)イセチオネート/タウレート比を再び明らかにする。本実施例において、コカミドプロピルベタイン(CAPB)、ココベタイン、またはラウロアンホ酢酸を両性界面活性剤として使用し、ナトリウムココイルメチルタウレート(SCMT)またはナトリウムラウロイルメチルタウレート(SMLT)をアルキルタウレートとして使用する。高濃度の両性界面活性剤は有益物質の付着にとって不利であると考えられているため、ボディーソープおよびシャンプー配合物に使用する両性界面活性剤の濃度は最小限であるのが好ましい。本実施例のために、一連の様々なイセチオネート/タウレート重量比、2/1、1/1、1/2、1/3、1/5、1/11、および0(それぞれ、R=2、1、0.5、0.333、0.2、0.09、および0)、の組成物を調製した。各比率において、両性界面活性剤の濃度を3%の濃度、すなわち全界面活性剤濃度(9%で一定にした)の33%の濃度に維持した。よって、イセチオネートとタウレートの組み合わせは、常に組成物全体の6%を占める。各界面活性剤組成物について、個々の組成物を調製し、pHを7.0に合わせ、撹拌しながら65℃に加熱し、次いで23℃で2か月間(この時まで、さらなる外観の変化は認められなかった)平衡化することによって、透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量を決定した。平衡化後、個々の混合物の透明度を測定した。透明で等方性の溶液をなおも生じさせる最大のグリセロール含量(重量%)を表4に示す。
【表4】

【0080】
表4は、実施例1において、両性界面活性剤としてのCAPBおよびタウレートとしてのナトリウムココイルメチルタウレート(SMCT)に関して観察された傾向が、他の両性界面活性剤および他のアルキルタウレートにも拡張されることを示す。列Aにおいて、ココベタインは両性界面活性剤として使用され、列Bにおいて、ラウリルアンホアセテートは両性界面活性剤として使用され、列Cにおいて、ナトリウムラウロイルメチルタウレート(SMLT)はアルキルタウレートとして使用されている。全界面活性剤の33%の両性界面活性剤において、透明で等方性の溶液として配合し得るグリセロールの最大濃度は、イセチオネート/タウレート比が0.09から0.5の範囲で最大となる。これらの比率は、特許請求された範囲である1/1.5から1/6(R=0.666から0.166)にほぼ相当する。繰り返しになるが、イセチオネート/タウレート比が1/1(R=1)を超える場合、20%グリセロールと相溶性であるためには、33%超の両性界面活性剤が必要であり、タウレートがより多い混合物は、より低いアンホアセテート濃度において、よりグリセロール耐性が高い。しかしながら、イセチオネートがゼロの端点(R=0)において、グリセロール可溶化能が減少している。
【0081】
[実施例4]
本実施例において、本発明のpH範囲を明らかにする。特定のイセチオネート/タウレート比である1/2(R=0.5)を選択するが、好ましいR=0.666から0.166の範囲内の他の比率も適用する。同様に、コカミドプロピルベタイン(CAPB)を両性界面活性剤として使用し、ナトリウムココイルメチルタウレート(SMCT)をアルキルタウレートとして選択するが、両性界面活性剤および/またはアルキルタウレートに関して他の選択をした場合も同じ結果になる。全界面活性剤の濃度は9%で一定とし、高濃度の両性界面活性剤は有益物質の付着にとって不利であると考えられているため、CAPBの濃度は1.8%、言い換えれば全界面活性剤の20%に保つ。よって、イセチオネートとタウレートの組み合わせは、常に組成物全体の7.2%を占める。各界面活性剤組成物について、グリセロール含有量は、全組成物の30%に設定した。調製は、撹拌しながら65℃に加熱し、下記のようにpHを合わせ、次いで23℃で2か月間(この時まで、さらなる外観の変化は認められなかった)平衡化することによって行った。平衡化後、個々の混合物の透明度を測定した。試験した特定の組成物を表5に示す。
【表5】

【0082】
平衡化期間の後、すべての組成物は、NTU値が10以下の透明で等方性の溶液のままであった。よって、特許請求された比率Rの範囲内の組成物は、pH4.5からpH7.5の間にわたって透明で等方性の溶液をもたらすことが分かる。こうした組成物のpHの柔軟性によって、種々の保存系の任意のものを使用する自由が許される。
【0083】
[実施例5]
本発明の組成物の非限定的な例を表6に示す。配合物A~Gは、以下の一般的な手順を用いて処理した。
【0084】
パート1
油と脂肪酸のプレミックスブレンドを調製した。油としては、例えばペトロラタム、ダイズ油、および水添大豆油が挙げられる。脂肪酸としては、例えばラウリン酸およびステアリン酸が挙げられる。適宜、ブレンドにBHT(ブチルヒドロキシトルエン)などの防腐剤を添加し、混合物を約70℃に加熱して混合する。この混合物に、増粘コポリマー、例えばアクリレート/C10-C30アルキルアクリレートクロスポリマーまたは他のアクリレートコポリマーを、スパチュラを用いて分散させてもよい。このプレミックスを、配合物に使用する用意ができるまで約75℃に保つ。
【0085】
パート2
配合物を、上記のプレミックスおよび残りの成分から構築した。オーバーヘッドミキサーを用いて撹拌しながら、水の入ったビーカーにデンプン(例えば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム)を加えた。この混合物を約70℃に加熱しながら、グリセロール全量のうちの約85%と、イセチオネート、タウレート、および両性界面活性剤の全量を加えた。この混合物をさらに15分間70℃に保ち、確実に均質にした。この混合物に、油、脂肪酸、BHT、およびアクリレート/C10-C30アルキルアクリレートクロスポリマーの高温[70℃]のプレミックスを加えた。混合をさらに15分間続けた後、冷却を開始した。分散したグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含むグリセロールの残部[全体の15%]のプレミックスを、約60℃で加えた。冷却中の混合物が約50℃になったら、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を加えた後、防腐剤(例えば、DMDMヒドラトイン(Hydratoin))とフレグランスを40℃で加えた。ほぼ室温で撹拌を中止し、生成物を排出させた。
【表6】

【0086】
配合物Aは、pH7でR=0.5の、全界面活性剤が9%の例である。配合物Bは、CAPBをアンホアセテートで置き換えた例であり、配合物Cは、R=0.333の、全界面活性剤が12%の例である。配合物Dは、pHを5.0に下げ、保存系を変えた例であり、配合物(formulaion)Eは、同様にpH5.0であるが、界面活性剤が15%の例である。配合物Fは、pH6で、保存系を変えた例である。配合物Gは、構造化系を変え、有益物質を含まない例である。
【0087】
[実施例6]
グリセロールを含まない界面活性剤混合物の濁度
Loefflerによる米国特許出願公開第2009/0062406A1号は、ナトリウムココイルイセチオネートおよびナトリウムココイルメチルタウレートと、ココベタインなどのアルキルベタインとの混合物が、10以下のNTU値によって特徴づけられる透明で等方性の低粘度溶液を生じさせることを開示している。明示的に教示された組成物は、20%ココベタイン、5%イセチオネート、および5%タウレート;10%ココベタイン、10%イセチオネート、および10%タウレートである。よって、すべての例におけるイセチオネート/タウレート比は、1:1(R=1.0)である。
【0088】
出願人らは、イセチオネートとタウレートの比の、出願人らが見出した利点をもたらす臨界的範囲を発見することが、どの程度予期し得ないことであるかを示そうと試みた。本実施例のために、一連の様々なイセチオネート/タウレート含有率、7.5/2.5、5.0/5.0、2.5/7.5、および0/10.0 (それぞれ、R=3、1、0.333、および0)の組成物を調製した(いずれも、これら2種類の界面活性剤の合計は10%である)。一連のそれぞれに、種々の濃度でコカミドプロピルベタイン(CAPB)を加え、混合物のpHを7.0に合わせた。各個の混合物を撹拌しながら65℃に加熱し、次いで23℃で2か月間(この時まで、さらなる外観の変化は認められなかった)平衡化した。平衡化後、前記のようにして、個々の混合物の透明度を測定した。結果を以下の表に示す。
【表7】

【0089】
以下の傾向が表7から分かる。一定のイセチオネート/タウレート比において、CAPB濃度が減少するにつれて、増加するNTU値で示されるように、濁度が増加する。同様に、一定のどのCAPB濃度においても、イセチオネート/タウレート比が減少するにつれて濁度が減少する。しかしながら、本出願人らの実施例は、グリセロールを含まない系において、この傾向がタウレート単独の系(比は0/10)にも拡張されることを実証している。
【0090】
対照的に、かつ本出願人らが実施例1に示したように、(本発明のように)高濃度のグリセロールが望ましい場合、CAPBの量を最小限にし(付着のために望ましい)、同時に低い濁度を維持するためには、イセチオネート/タウレート比を、特許請求されている範囲である1/1.5から1/6(R=0.666から0.166)に維持しなければならないことを、本出願人らは見出した。0/10の比率では、30%グリセロールで等方性の溶液を得るためには、40%のCAPBが必要である。
【0091】
意外にも、1/6の比率において、本出願人らは、わずか30%だけのCAPB(10%低い)を用いて、30%のグリセロール濃度を達成した。イセチオネートとタウレートの比が1/5では、やはりわずか30%だけのCAPBを用いて、(常に等方性のままで)35%のグリセロール濃度を実現した。当技術分野において、(組成物を等方性に維持しつつ)グリセロール濃度を上昇させ、両性界面活性剤濃度を減少させるための、こうした臨界的な範囲に関する教示または示唆は存在しない。