(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】電子機器及びその音声制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/14 20060101AFI20220602BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20220602BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20220602BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20220602BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20220602BHJP
H04R 1/26 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
H04R3/14
H04R3/00 310
H04R1/02 102Z
H04R7/04
H04R1/00 310F
H04R1/26
(21)【出願番号】P 2020093339
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梅津 正和
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186764(JP,A)
【文献】特表2015-527768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/14
H04R 3/00
H04R 1/02
H04R 7/04
H04R 1/00
H04R 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスピーカーを備える電子機器であって、
第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する情報取得部と、
前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、
重複する周波数帯域が発生しないように前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる帯域割当部と、
前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する帯域設定部と、
前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する通知部と、
設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する出力制御部と
、
を備え、
前記帯域割当部は、周波数と出力レベルとが関連付けた前記性能特性情報に基づいて、周波数毎に前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとを比較し、前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとの差が所定の出力レベル以内である周波数については、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの優先度情報に基づいて、優先度の高い方のスピーカーに当該周波数を割り当てる電子機器。
【請求項2】
第1のスピーカーを備える電子機器であって、
第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する情報取得部と、
前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる帯域割当部と、
前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する帯域設定部と、
前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する通知部と、
設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する出力制御部と、
表示パネルと
を具備
し、
前記第1のスピーカーは、前記表示パネルを振動させて音を出力する電子機器。
【請求項3】
前記帯域割当部は、周波数と出力レベルとが関連付けた前記性能特性情報に基づいて、重複する周波数帯域が発生しないように前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる請求項
2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記帯域割当部は、周波数毎に前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとを比較し、比較結果に基づいて前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる請求項
3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記帯域割当部は、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの優先度情報を有しており、前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとの差が所定の出力レベル以内である場合には、優先度の高い方のスピーカーにその周波数を割り当てる請求項
4に記載の電子機器。
【請求項6】
第1のスピーカーを備える電子機器の音声制御方法であって、
第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する工程と、
前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、
重複する周波数帯域が発生しないように、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる
帯域割当工程と、
前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する工程と、
前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する工程と、
設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する工程と
をコンピュータが実行
し、
前記帯域割当工程は、
周波数と出力レベルとが関連付けた前記性能特性情報に基づいて、周波数毎に前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとを比較し、
前記第1のスピーカーの出力レベルと前記第2のスピーカーの出力レベルとの差が所定の出力レベル以内である周波数については、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの優先度情報に基づいて、優先度の高い方のスピーカーに当該周波数を割り当てる電子機器。
【請求項7】
表示パネルを振動させて音を出力する第1のスピーカーを備える電子機器の音声制御方法であって、
第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する工程と、
前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる工程と、
前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する工程と、
前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する工程と、
設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する工程と
をコンピュータが実行する電子機器の音声制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその音声制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スピーカーを搭載したノートPC等の情報処理装置に対して、外部装置としてスピーカーが接続された場合、一般的に、音声を出力するスピーカーはどちらか一方に切り替えられる。
また、特許文献1には、スピーカーが外部装置として情報処理装置に接続された場合に、音声信号を二重の音声信号に分割し、分割された一方の音声信号を情報処理装置のスピーカーから出力し、他方の音声信号を外部装置から出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部装置として接続されるスピーカーの性能は様々である。例えば、高音域に重点を置いたスピーカーもあれば、低音域に重点を置いたスピーカーもある。しかしながら、特許文献1に記載された情報処理装置では、外部装置が接続された場合に、各スピーカーから出力される音声信号の周波数帯域は固定されているため、各スピーカーの性能を十分に活かしきれていない。
【0005】
また、近年、情報処理装置の液晶パネルを振動させて音を鳴らすことで、液晶パネルをスピーカーとして機能させる「Sound Display」と呼ばれる技術が出願人から提案されている。この技術は、映像が表示されている画面から音が出力されるため、ユーザは臨場感や没入感を味わうことができる。このような技術を搭載した情報処理装置に対して外部装置としてスピーカーを接続した場合、情報処理装置が搭載するスピーカーの性能と外部装置として接続されたスピーカーの性能との両方を活かすことができれば、より良い音響環境をユーザに提供することができる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、スピーカー機能を有する機器が接続された場合に、自身が搭載するスピーカーと接続された機器に搭載されるスピーカーの両方の性能を活かすことのできる電子機器及びその音声制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様は、第1のスピーカーを備える電子機器であって、第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する情報取得部と、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる帯域割当部と、前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する帯域設定部と、前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する通知部と、設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する出力制御部とを具備する電子機器である。
【0008】
本発明の第二態様は、第1のスピーカーを備える電子機器であって、第2のスピーカーを有する他の電子機器に接続された場合に、前記第1のスピーカーの性能特性情報を前記他の電子機器に通知する通知部と、前記他の電子機器から前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を取得した場合に、取得した前記周波数帯域を設定する帯域設定部と、設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する出力制御部とを具備する電子機器である。
【0009】
本発明の第三態様は、第1のスピーカーを備える電子機器の音声制御方法であって、第2のスピーカーを有する他の電子機器が接続された場合に、前記第2のスピーカーの性能特性情報を取得する工程と、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーの性能特性情報に基づいて、前記第1のスピーカー及び前記第2のスピーカーに周波数帯域を割り当てる工程と、前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を設定する工程と、前記第2のスピーカーに割り当てた周波数帯域を前記他の電子機器に通知する工程と、設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する工程とをコンピュータが実行する電子機器の音声制御方法である。
【0010】
本発明の第四態様は、第1のスピーカーを備える電子機器の音声制御方法であって、第2のスピーカーを有する他の電子機器に接続された場合に、前記第1のスピーカーの性能特性情報を前記他の電子機器に通知する工程と、前記他の電子機器から前記第1のスピーカーに割り当てられた周波数帯域を取得した場合に、取得した前記周波数帯域を設定する工程と、設定された周波数帯域に基づいて、前記第1のスピーカーから出力される音声信号を制御する工程とをコンピュータが実行する電子機器の音声制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、スピーカー機能を有する機器が接続された場合に、自身が搭載するスピーカーと接続された機器に搭載されるスピーカーの両方の性能を活かすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るノートPCのハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る外部音響装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るノートPCが備える音声制御機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るノートPCが備えるスピーカーの性能特性の一例を示した図である。
【
図5】
図4に示したスピーカーの性能特性をグラフ化して示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る外部音響装置が備えるスピーカーの性能特性の一例を示した図である。
【
図7】
図6に示したスピーカーの性能特性をグラフ化して示した図である。
【
図8】
図4~
図7に示したスピーカーの性能特性に基づく、各スピーカーの周波数の割り当ての一例を示した図である。
【
図9】
図8に示した各スピーカーの周波数の割り当てをグラフ化して示した図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る外部音響装置が備える音声制御機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る音声制御処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係るノートPCのスピーカーの他の例に係る性能特性をグラフ化して示した図である。
【
図13】
図7と
図12に示したスピーカーの性能特性に基づく、各スピーカーの周波数の割り当ての一例を示した図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る外部音響装置のスピーカーの他の例に係る性能特性をグラフ化して示した図である。
【
図15】
図5と
図14に示したスピーカーの性能特性に基づく、各スピーカーの周波数の割り当ての一例を示した図である。
【
図16】
図12と
図14に示したスピーカーの性能特性に基づく、各スピーカーの周波数の割り当ての一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る電子機器及びその音声制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の電子機器は、スピーカー及び音声を再生する機能を有する電子機器であり、例えば、ノートPC、スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末、デスクトップPC、音声再生プレーヤー、ゲーム機、ステレオコンポーネント、テレビ装置、音響装置等が一例として挙げられる。
以下の実施形態において、電子機器としてノートPCを例示し、また、ノートPCに外部機器として接続される電子機器として外部音響装置を例示して説明する。
【0014】
図1は、ノートPC1のハードウェア構成の一例を示した図である。
図1に示すように、ノートPC1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)13、フラッシュメモリ14、通信部15、表示部16、入力部17、サウンドコントローラ18、アンプ(増幅器)19、スピーカー20、ドッキングインターフェース21、及びマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)25を主な構成として備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0015】
CPU11は、フラッシュメモリ14に格納されたOS(Operating System)によりノートPC1全体の制御を行うと共に、フラッシュメモリ14に格納された各種のプログラムに基づいて、入力部17等を介したユーザの操作に応じた処理を実行する。
【0016】
ROM12は、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
【0017】
RAM13は、CPU11の実行プログラムの読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0018】
フラッシュメモリ14は、ノートPC1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル(例えば、音楽データファイル)等を格納する機能を有する。なお、ノートPC1は、フラッシュメモリ14に替わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ)を備えてもよい。
【0019】
通信部15は、例えば、ネットワークに接続するための通信インターフェースを備え、3GやLTE、5G回線を含むワイヤレスネットワークや、有線/無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のネットワークに接続し、他のデバイスとの通信を確立させ、情報の相互通信を実現させる。
【0020】
表示部16は、例えば、液晶パネルや有機ELパネルを備えており、CPU11からの制御データに基づく表示を行う。また、ノートPC1は、表示部16が備える液晶パネル又は有機ELパネルを鳴動させることにより音を出力する、いわゆるサウンド・ディスプレイ技術を搭載している。このように、表示部16は、スピーカー20を構成する一構成要素として機能する。
【0021】
入力部17は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイク等であり、ユーザがノートPC1に対して指示を与えるためのマンマシンインターフェースとして機能する。
サウンドコントローラ18は、例えば、音声再生等を制御する。サウンドコントローラ18は、例えば、入力部17から入力されるユーザからの指示に基づいて、フラッシュメモリ14等に格納されている音楽データファイル等の音源データを読み出して必要な処理を施し、処理後の音声信号を出力する。なお、サウンドコントローラ18は、音楽再生等に用いられる公知の構成であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0022】
アンプ19は、サウンドコントローラ18の制御に基づいて、サウンドコントローラ18から出力された音声信号を増幅してスピーカー20に出力する。また、アンプ19は、例えば、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を備えており、DSPが後述する周波数帯域に基づく音声信号のフィルタリング処理を行う。
【0023】
ドッキングインターフェース(以下「ドッキングI/F」という。)21は、例えば、外部音響装置2(
図2参照)を接続するためのインターフェースである。ドッキングステーションに後述する外部音響装置2が装着されることにより、ドッキングI/F21,41(
図2参照)を介してノートPC1と外部音響装置2とが電気的に接続される。
マイコン25は、マイクロプロセッサを有し、例えば、後述するアンプ制御機能を実現する。マイコン25の一例として、エンベデッド・コントローラ(embedded controller)が挙げられる。
【0024】
図2は、ノートPC1に外部装置として接続される外部音響装置2のハードウェア構成の一例を示した図である。外部音響装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31、CPU31が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)32、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)33、フラッシュメモリ34、通信部35、表示部36、入力部37、サウンドコントローラ38、アンプ(増幅器)39、スピーカー40、ドッキングI/F41、及びマイコン45を主な構成として備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0025】
CPU31は、フラッシュメモリ34に格納された各種のプログラムに基づいて、外部音響装置2全体の制御を行うとともに、入力部37から入力されたユーザからの指令に基づく制御を行う。
【0026】
ROM32は、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
【0027】
RAM33は、CPU31の実行プログラムの読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0028】
フラッシュメモリ34は、例えば、外部音響装置2全体の制御を行うための各種プログラム、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、アプリケーション、及び各種データやファイル(例えば、音楽データファイル等)等を格納する。なお、外部音響装置2は、フラッシュメモリ34に替わる記憶手段として、他の記憶手段(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ)を備えてもよい。
【0029】
通信部35は、例えば、ネットワークに接続するための通信インターフェースを備え、3GやLTE、5G回線を含むワイヤレスネットワーク、有線/無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のネットワークに接続し、他のデバイスとの通信を確立させ、情報の相互通信を実現させる。
【0030】
表示部36は、例えば、液晶パネルや有機ELパネルを備え、CPU31からの制御データに基づく表示を行う。
入力部37は、例えば、各種入力ボタン等であり、ユーザが外部音響装置2に対して入力操作を行うためのマンマシンインターフェースとして機能する。
【0031】
サウンドコントローラ38は、音声再生等を制御する。サウンドコントローラ38は、例えば、入力部37から入力されるユーザからの指示に基づいて、フラッシュメモリ34等に格納されている音楽データファイル等の音源データを読み出して必要な処理を施し、処理後の音声信号を出力する。なお、サウンドコントローラ38は、音楽再生等に用いられる公知の構成であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0032】
アンプ39は、サウンドコントローラ38の制御に基づいて、サウンドコントローラ38から出力された音声信号を増幅してスピーカー20に出力する。
また、アンプ39は、例えば、ノートPC1からドッキングI/F21,41を介して入力される音声信号を増幅してスピーカー40に出力する。更に、アンプ39は、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を備えており、DSPが後述する周波数帯域に基づく音声信号のフィルタリング処理を行う。
【0033】
ドッキングI/F41は、例えば、ノートPC1(
図1参照)と接続するためのインターフェースである。
マイコン45は、マイクロプロセッサを有し、後述するアンプ制御機能を実現する。例えば、マイコン45は、後述するドッキングI/F41を介して入力されるノートPC1からの指令に基づいて各種処理を実行する。
【0034】
次に、ノートPC1が備える各種機能のうち、音声制御機能について説明する。
図3は、本実施形態に係る音声制御機能の一例を示した機能ブロック図である。
【0035】
図3に示すように、アンプ制御部50は、性能特性記憶部51、情報取得部52、帯域割当部53、帯域設定部54、及び通知部55を備えている。
【0036】
本実施形態において、アンプ制御部50は、一例としてマイコン25によって主に実現される。マイコン25は、例えば、CPU、RAM、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を有している。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、アンプ制御プログラム)の形式で記録媒体に格納されており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、マイクロコンピュータに予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0037】
性能特性記憶部51には、スピーカー20の性能特性情報が格納されている。性能特性情報は、例えば、周波数と出力レベル(音量)とが関連付けた情報である。
図4は、スピーカー20の性能特性の一例を示した図、
図5は
図4に示したスピーカー20の性能特性をグラフ化して示した図であり、横軸が周波数、縦軸が出力レベルである。
図4、
図5に示すように、スピーカー20の性能特性は、周波数100Hz以上200Hz未満の周波数帯域において出力レベルが0であり、周波数200Hz以上300Hz未満の周波数帯域において出力レベルが50であり、周波数300Hz以上20KHz未満の周波数帯域において出力レベルが70である。
【0038】
情報取得部52は、外部音響装置2がドッキングI/F21に接続された場合に、外部音響装置2が備えるスピーカー40(
図2参照)の性能特性情報を取得する。例えば、
図2に示した外部音響装置2において、スピーカー40の性能特性情報はアンプ制御部60(
図10参照)の性能特性記憶部61に格納されている。
情報取得部52は、ドッキングI/F21,41を介して外部音響装置2が接続された場合に、外部音響装置2に対してスピーカー40の性能特性情報を要求する。この要求に対して、外部音響装置2のアンプ制御部60(
図10参照)からスピーカー40の性能特性情報をドッキングI/F41,21を介して取得すると、情報取得部52は、取得した性能特性情報を帯域割当部53に出力する。
【0039】
図6は、外部音響装置2が備えるスピーカー40の性能特性の一例を示した図、
図7は
図6に示したスピーカー40の性能特性をグラフ化して示した図であり、横軸が周波数、縦軸が出力レベルである。
図6、
図7に示すように、スピーカー40の性能特性は、周波数100Hz以上20KHz未満の周波数帯域において出力レベルが70であり、周波数20KHz以上の周波数帯域において出力レベルが50である。
【0040】
帯域割当部53は、各スピーカー20,40の性能特性情報に基づいて、各スピーカー20,40に周波数帯域を割り当てる。具体的には、帯域割当部53は、周波数毎に各スピーカー20,40の出力レベルを比較し、比較結果に基づいて各スピーカーに周波数帯域を割り当てる。また、帯域割当部53は、スピーカー20及びスピーカー40の優先度情報を有しており、スピーカー20の出力レベルとスピーカー40の出力レベルとの差が所定の出力レベル以内である場合には、優先度の高い方のスピーカーにその周波数を割り当てる。本実施形態では、一例として、スピーカー20の方がスピーカー40よりも優先度が高いものとし、上記「所定の出力レベル」は「ゼロ」に設定されているものとする。これにより、本実施形態では、スピーカー20の出力レベルがスピーカー40の出力レベルと同じ場合には、優先度の高いスピーカー20にその周波数が割り当てられる。
【0041】
例えば、
図4及び
図5に示したスピーカー20の性能特性情報と
図6及び
図7に示したスピーカー40の性能特性情報とを比較すると、周波数100Hz以上300Hz未満の帯域では、スピーカー40の出力レベルがスピーカー20の出力レベルよりも高く、周波数300Hz以上20KHz未満の帯域ではスピーカー20とスピーカー40との出力レベルが同値であり、周波数20K以上の帯域ではスピーカー20の出力レベルがスピーカー40の出力レベルよりも高い。このため、帯域割当部53は、周波数100Hz以上300Hz未満の周波数帯域をスピーカー40に割り当て、周波数300Hz以上の周波数帯域をスピーカー20に割り当てる。
【0042】
図8は、各スピーカー20,40の周波数の割り当てを示した図であり、
図9は
図8に示した各スピーカー20,40の周波数の割り当てをグラフ化して示した図である。
図9において、「Dock」は外部音響装置2のスピーカー40を意味し、「PC」はノートPC1のスピーカー20を意味する。
【0043】
帯域設定部54は、帯域割当部53によってスピーカー20に割り当てられた周波数帯域を設定する。帯域設定部54は、例えば、スピーカー20に割り当てられた周波数帯域をアンプ19の出力制御部56に設定する。
通知部55は、帯域割当部53によってスピーカー40に割り当てられた周波数帯域の情報をドッキングI/F21,41を介して外部音響装置2に出力する。
【0044】
アンプ19は、出力制御部56を備える。出力制御部56は、例えば、DSPにより実現される。出力制御部56は、入力された音声信号のうち、帯域設定部54によって設定された周波数帯域以外の音声信号をフィルタリング処理し、スピーカー20に割り当てられている周波数帯域の音声信号のみを増幅してスピーカー20に出力する。これにより、スピーカー20からは300Hz以上の周波数帯域(
図9参照)の音声信号が出力される。
【0045】
次に、外部音響装置2が備える各種機能のうち、音声制御機能について説明する。
図10は、本実施形態に係る音声制御機能の一例を示した機能ブロック図である。
【0046】
図10に示すように、アンプ制御部60は、性能特性記憶部61、通知部62、帯域設定部63、及び音源選択部64を備えている。
【0047】
本実施形態において、アンプ制御部60は、一例としてマイコン45(
図2参照)によって主に実現される。マイコン45は、例えば、CPU、RAM、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を有している。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、アンプ制御プログラム)の形式で記録媒体に格納されており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、マイクロコンピュータに予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0048】
性能特性記憶部61には、スピーカー40の性能特性情報が格納されている。性能特性情報については、上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。性能特性記憶部61には、例えば、
図6、
図7に示すようなスピーカー40の性能特性が格納されている。
【0049】
通知部62は、ドッキングI/F41を介してノートPC1が接続された場合に、ノートPC1からの要求に基づいて、性能特性記憶部61から性能特性情報を読み出し、ドッキングI/F41,21を介してノートPC1に通知する。なお、性能特性情報の通知は、ノートPC1からの要求を受信した場合に限られず、例えば、ドッキングI/F41を介してノートPC1が接続された場合に、外部音響装置2の方から能動的にノートPC1に通知するようにしてもよい。
【0050】
帯域設定部63は、スピーカー40に割り当てられた周波数帯域の情報がドッキングI/F21,41を介して入力された場合に、その周波数帯域の情報を設定する。帯域設定部63は、例えば、スピーカー40に割り当てられた周波数帯域をアンプ39の出力制御部66に設定する。
音源選択部64は、例えば、ドッキングI/F41を介してノートPC1が接続された場合に、音源切替部65における音声信号の入力先をノートPC1に設定する。これにより、ノートPC1から供給される音声信号が音源切替部65からアンプ39に出力されることとなる。また、音源選択部64は、ドッキングI/F41に他の電子機器が接続されていない場合には、音源切替部65における音声信号の入力先をサウンドコントローラ38に設定する。
【0051】
アンプ39は、出力制御部66を備える。出力制御部66は、例えば、DSPにより実現される。出力制御部66は、入力された音声信号のうち、帯域設定部63によって設定された周波数帯域以外の音声信号をフィルタリング処理し、スピーカー40に割り当てられている周波数帯域の音声信号のみを増幅してスピーカー40に出力する。これにより、スピーカー40からは300Hz未満の周波数帯域(
図9参照)の音声信号が出力される。
【0052】
次に、本実施形態に係る音声制御処理について、
図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態に係る音声制御処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図11に示した音声制御処理は、例えば、ドッキングステーション(図示略)に外部装置、例えば、外部音響装置2が接続されたことが検知された場合に実行される。
【0053】
外部音響装置2の接続が検知されると、ノートPC1のアンプ制御部50は、ドッキングI/F21,41を介して外部音響装置2に対して性能特性情報を要求する(SA1)。外部音響装置2のアンプ制御部60は、この要求を受信すると、スピーカー40の性能特性情報をノートPC1に出力する(SA2)。ノートPC1のアンプ制御部50は、外部音響装置2からスピーカー40の性能特性情報を受信すると、受信したスピーカー40の性能特性情報と自身が保有するスピーカー20の性能特性情報とに基づいて、各スピーカー20,40に周波数帯域を割り当てる(SA3)。続いて、スピーカー40に割り当てた周波数帯域をドッキングI/F21,41を介して外部音響装置2に通知し(SA4)、また、スピーカー20に割り当てた周波数帯域をアンプ19に設定する(SA5)。
外部音響装置2のアンプ制御部60は、ノートPC1から周波数帯域の情報を取得すると、取得した周波数帯域をアンプ39に設定するとともに(SA6)、音源切替部65における音声信号の入力先をPC1に切り替える(SA7)。
【0054】
続いて、サウンドコントローラ18は、ユーザから音声再生指令が入力されたか否かを判定する(SA8)。この結果、音声再生指令が入力されていない場合には(SA8:NO)、音声再生指令が入力されるまで待機状態となる。一方、ユーザから音声再生指令が入力された場合には(SA8:YES)、サウンドコントローラ18は、音声再生指令に基づく音源データをフラッシュメモリ14等の所定の音源データ格納先から読み出し、コーデックに従った復号化処理等の所定のデータ処理を実行し、処理後の音声信号をアンプ19に出力するとともに、ドッキングI/F21,41を介して外部音響装置2に出力する(SA9)。なお、音源データは、上記の他、例えば、図示しないDC-ROMドライブに挿入されたCD-ROM等から読み出されてもよいし、マイク等の入力部17から入力された音声データであってもよい。
【0055】
ノートPC1のアンプ19は、ステップSA5で設定された周波数帯域(例えば、300Hz以上)に基づいて音声信号をフィルタリング処理し、スピーカー20に割り当てられた周波数帯域の音声信号を増幅してスピーカー20に出力する(SA10)。これにより、スピーカー20に割り当てられた周波数帯域の音がスピーカー20から出力される(SA11)。
【0056】
同様に、外部音響装置2において、ノートPC1からの音声信号は、音源切替部65を通じてアンプ39に出力される。アンプ39は、ステップSA6で設定された周波数帯域(例えば、300Hz未満)に基づいてフィルタリング処理を行い、スピーカー40に割り当てられた周波数帯域の音声信号を増幅してスピーカー40に出力する(SA12)。これにより、スピーカー40に割り当てられた周波数帯域の音がスピーカー40から出力される(SA13)。
【0057】
続いて、サウンドコントローラ18は、再生停止指令が入力されたか否かを判定する(SA14)。この結果、再生停止指令が入力されていなければ(SA14:NO)、ステップSA9に戻り、再生停止指令が入力されるまで音源データの再生が継続される。一方、ステップSA14において、再生停止指令が入力されたと判定した場合には(SA14:YES)、サウンドコントローラ18は、再生停止をし(SA15)、ステップSA8に戻る。これによりスピーカー20及び外部音響装置2のスピーカー40からの出力が停止され(SA16)、音声再生指令が再び入力されるまで待機状態となる。
【0058】
なお、外部音響装置2がドッキングステーションから取り外されることにより、外部音響装置2との接続が解除された場合には、例えば、アンプ制御部50はアンプ19に設定されている周波数帯域の情報を削除してもよい。これにより、外部音響装置2が接続されていない状態においては、サウンドコントローラ18からアンプ19に入力された音声信号は、フィルタリング処理が行われることなく、フルレンジの音声信号としてスピーカー20から出力されることとなる。
また、ノートPC1との接続が解除された場合に、外部音響装置2のアンプ制御部60は、アンプ39に設定されている周波数帯域の情報を削除するとともに、音源切替部65における音声信号の入力先をサウンドコントローラ38に切り替えることとしてもよい。これにより、ノートPC1に接続されていない状態においては、サウンドコントローラ38からアンプ39に音声信号が入力されることとなり、また、この音声信号はフィルタリング処理が行われることなく、フルレンジの音声信号としてスピーカー40から出力されることとなる。
【0059】
以上説明してきたように、本実施形態に係る電子機器及びその音声制御方法によれば、外部装置としてスピーカー40を備える機器が接続された場合に、そのスピーカー40の性能特性情報を取得し、取得した性能特性情報と自身が備えるスピーカー20の性能特性情報とに基づいて各スピーカー20,40に周波数帯域を割り当てるので、外部装置として接続されたスピーカー40の性能特性に応じて、各スピーカー20,40に割り当てる周波数帯域を柔軟にかつ適切に設定することが可能となる。
【0060】
例えば、ノートPC1に搭載されたスピーカー20が、仮に
図12に示される性能特性を有しており、外部音響装置2のスピーカー40が
図7に示される性能特性を有している場合には、
図13に示すように、100Hz以上10KHz未満の周波数帯域が外部音響装置2のスピーカー40に割り当てられ、10KHz以上の周波数帯域がノートPC1のスピーカー20に割り当てられることとなる。
【0061】
また、他の例として、ノートPC1に搭載されたスピーカー20が
図5に示される性能特性を有しており、外部音響装置2のスピーカー40が
図14に示される性能特性を有している場合には、
図15に示すように、150Hz以上200Hz未満の周波数帯域が外部音響装置2のスピーカー40に割り当てられ、200Hz以上の周波数帯域がノートPC1のスピーカー20に割り当てられることとなる。
【0062】
また、他の例として、ノートPC1に搭載されたスピーカー20が
図12に示される性能特性を有しており、外部音響装置2のスピーカー40が
図14に示される性能特性を有している場合には、
図16に示すように、150Hz以上300Hz未満の周波数帯域が外部音響装置2のスピーカー40に割り当てられ、300Hz以上の周波数帯域がノートPC1のスピーカー20に割り当てられることとなる。
【0063】
このように、本実施形態に係る電子機器及びその音声制御方法によれば、ノートPC1が備えるスピーカー20の性能特性と、ノートPC1に外部装置として接続される外部音響装置2が備えるスピーカー40の性能特性との関係において、各スピーカー20,40に割り当てられる周波数帯域を動的に変化させることが可能となる。これにより、両スピーカー20,40の性能を十分に活かした音声出力を行うことが可能となり、音質を高めることが可能となる。
【0064】
更に、本実施形態に係る電子機器及びその音声制御方法によれば、帯域割当部53は、スピーカー20,40の優先度情報を有しており、一定条件の場合、例えば、スピーカー20の出力レベルとスピーカー40の出力レベルとの差が所定の出力レベル以内である場合等に、優先度の高い方のスピーカーにその周波数を割り当てることとしている。
【0065】
このように優先度情報は、特に、ノートPC1が特殊なスピーカーを備えている場合に有効である。例えば、ノートPC1のスピーカー20が、表示部16の表示パネルを振動させて音を鳴らす、表示パネル一体型のスピーカーを搭載しており、このスピーカーを優先的に動作させたい場合がある。そのような場合に、ノートPC1に搭載されているスピーカー20の優先度を高くすることにより、例えば、ノートPC1のスピーカー20と外部音響装置2のスピーカー40との出力レベルがそれほど変わらない場合(換言すると、出力レベルの差が所定の範囲内である場合)には、スピーカー20から優先的に音を出力することが可能となる。これにより、ノートPC1のスピーカー20が苦手とする周波数帯域を外部音響装置2によって補うことにより、臨場感や没入感をユーザに与えることができるとともに、より広い周波数帯域において高い音質を提供することが可能となる。
【0066】
また、上述したように、ノートPC1及び外部音響装置2はそれぞれ単独での音声再生も可能な構成とされている。すなわち、ノートPC1に外部音響装置2が接続されていない場合には、アンプ19において上述した周波数帯域の情報に基づくフィルタリング処理は行われない。この場合、ノートPC1において、サウンドコントローラ18から出力された音声信号は、アンプ19によって増幅され、フルレンジの音声信号がスピーカー20から出力される。また、外部音響装置2においても、ノートPC1に接続されていない場合には、サウンドコントローラ38から出力された音声信号は、アンプ39によって増幅され、フルレンジの音声信号がスピーカー40から出力される。
【0067】
また、上述した実施形態では、外部音響装置2がノートPC1に接続された場合、換言すると、外部音響装置2がドッキングステーションに装着された場合に、ノートPC1のアンプ制御部50が周波数帯域の割当等を行うこととしたが、この例に限定されない。
例えば、ノートPC1は、外部音響装置2が備えるアンプ制御部60の機能を更に有し、また、外部音響装置2は、ノートPC1のアンプ制御部50の機能を更に有し、外部音響装置2のアンプ制御部が主となって、周波数の割当等を行うこととしてもよい。また、アンプ19に出力する音声信号についても、外部音響装置2のサウンドコントローラ38から出力された音声信号をノートPC1に提供することとしてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、マイコン25がアンプ制御部50の機能を実現し、アンプ19が出力制御部56の機能を実現する場合を例示して説明したが、この例に限定されない。すなわち、ノートPC1全体として、
図3に示したアンプ制御部50及び出力制御部56を実現するための構成を有していればよい。例えば、CPU11とマイコン25の協働によりアンプ制御部50の機能を実現することとしてもよいし、マイコン25が出力制御部56の機能を実現することとしてもよい。また、外部音響装置2においても同様である。
【0069】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した音声制御処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 :ノートPC(電子機器)
2 :外部音響装置(他の電子機器)
11 :CPU
12 :ROM
13 :RAM
14 :フラッシュメモリ
15 :通信部
16 :表示部
17 :入力部
18 :サウンドコントローラ
19 :アンプ
20 :スピーカー(第1のスピーカー)
21 :ドッキングインターフェース(ドッキングI/F)
25 :マイクロコンピュータ(マイコン)
31 :CPU
32 :ROM
33 :RAM
34 :フラッシュメモリ
35 :通信部
36 :表示部
37 :入力部
38 :サウンドコントローラ
39 :アンプ
40 :スピーカー(第2のスピーカー)
41 :ドッキングI/F
45 :マイクロコンピュータ(マイコン)
50 :アンプ制御部
51 :性能特性記憶部
52 :情報取得部
53 :帯域割当部
54 :帯域設定部
55 :通知部
56 :出力制御部
60 :アンプ制御部
61 :性能特性記憶部
62 :通知部
63 :帯域設定部
64 :音源選択部
65 :音源切替部
66 :出力制御部