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特許7083003電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池
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  • 特許-電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20220602BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20220602BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20220602BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20220602BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20220602BHJP
【FI】
H01M4/86 M
H01M4/88 K
H01M4/86 B
H01M4/90 M
H01M4/96 B
H01M4/96 M
H01M8/10 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020099641
(22)【出願日】2020-06-08
(62)【分割の表示】P 2019521674の分割
【原出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2020145210
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2016-0181590
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0000025
(32)【優先日】2017-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンス
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229528(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020650(WO,A1)
【文献】特表2014-524110(JP,A)
【文献】特開2013-045694(JP,A)
【文献】特開2013-251278(JP,A)
【文献】特開2006-286329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0275648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86
H01M 4/88
H01M 4/90
H01M 4/96
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒及びイオノマーを含む電極であって、
前記イオノマーは、前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされた第1のイオノマー及び、前記触媒の表面にコーティングされずに凝集された第2のイオノマーを有し、
前記第1のイオノマーは、前記電極中に、前記イオノマー全体重量に対して55重量%ないし95重量%含まれ、
前記第2のイオノマーは、前記電極中に、前記イオノマー全体重量に対して5重量%ないし45重量%含まれていることを、特徴とする電極。
【請求項2】
前記触媒は、触媒金属粒子単独または担体に担持された触媒金属粒子を含む請求項1に記載の電極。
【請求項3】
下記の数式1で表示される前記担体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6である請求項2に記載の電極。
[数1]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=担体(Carrier)の全体重量
【請求項4】
互いに対向して位置するアノード電極とカソード電極と、
前記アノード電極とカソード電極との間に位置するイオン交換膜とを含み、
前記アノード電極、前記カソード電極及びこの両方ともからなる群より選ばれるいずれか一つは、前記請求項1に記載の電極を含む膜-電極アセンブリー。
【請求項5】
請求項4に記載の膜-電極アセンブリーを含む燃料電池。
【請求項6】
炭素構造体(carbon structure)及びイオノマーを含み、
前記イオノマーは、前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされた第1のイオノマー及び、前記炭素構造体の表面にコーティングされずに凝集された第2のイオノマーを有し、
前記第1のイオノマーは、電極中に、前記イオノマー全体重量に対して55重量%ないし95重量%含まれ、
前記第2のイオノマーは、電極中に、前記イオノマー全体重量に対して5重量%ないし45重量%含まれていることを、特徴とするイオノマーのコーティングされた炭素構造体。
【請求項7】
下記の数式2で表示される前記炭素構造体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6である請求項6に記載のイオノマーのコーティングされた炭素構造体。
[数2]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=炭素構造体(Carbon structure)の全体重量
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池に関し、触媒の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることによって、触媒などの分散性を増大させて混合を容易にし、触媒の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、触媒とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、触媒とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池に関する。
【0002】
また、本発明は、イオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法、そしてこれによって製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体に関し、炭素構造体の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることによって、炭素構造体などの分散性を増大させて混合を容易にし、分散安定性を増大させ、炭素構造体の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、炭素構造体とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、炭素構造体とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができるイオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法、そして、これによって製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、メタノール、エタノール、天然気体のような炭化水素系の燃料物質内に含まれている水素と酸素の酸化/還元反応のような化学反応エネルギーを直接電気エネルギーに変換させる発電システムを備えた電池であって、高いエネルギー効率性と汚染物の排出が少ない親環境的な特徴により、化石エネルギーを代えることができる次世代清浄エネルギー源として脚光を浴びている。
【0004】
このような燃料電池は、単位電池の積層によるスタック構成で多様な範囲の出力を出すことができる長所を持っており、小型リチウム電池に比べて4ないし10倍のエネルギー密度を表すから、小型及び移動用携帯電源として注目されている。
【0005】
燃料電池において電気を実質的に発生させるスタックは、膜-電極アセンブリー(Membrane Electrode Assembly、MEA)とセパレーター(separator)(または、バイポーラプレート(Bipolar Plate)ともいう)からなる単位セルが数個ないし数十個で積層された構造を有し、膜-電極アセンブリーは、一般に電解質膜を間に隔ててその両側に酸化極(Anodeまたは燃料極)と還元極(Cathodeまたは空気極)がそれぞれ形成された構造をなす。
【0006】
燃料電池は、電解質の状態及び種類によってアルカリ電解質燃料電池、高分子電解質燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell、PEMFC)などに区分されることができるが、その中で高分子電解質燃料電池は、100℃未満の低い作動温度、速い始動と応答特性及び優れた耐久性などの長所によって携帯用、車両用及び家庭用電源装置として脚光を浴びている。
【0007】
高分子電解質燃料電池の代表的な例には、水素ガスを燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell、PEMFC)、液状のメタノールを燃料として使用する直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、DMFC)などの例を挙げることができる。
【0008】
高分子電解質燃料電池において起きる反応を要約すれば、まず、水素ガスのような燃料が酸化極に供給されると、酸化極では、水素の酸化反応により水素イオン(H+)と電子(e-)が生成される。生成された水素イオンは、高分子電解質膜を介して還元極に伝達され、生成された電子は、外部回路を介して還元極に伝達される。還元極では、酸素が供給され、酸素が水素イオン及び電子と結合して酸素の還元反応により水が生成される。
【0009】
一方、前記燃料電池の電極は、触媒及びイオノマーから構成されるが、これらの間に結合及び分散度が前記燃料電池の性能及び耐久性に大きな影響を及ぼすようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、触媒の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることによって、触媒などの分散性を増大させて混合を容易にし、触媒の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、触媒とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、触媒とイオノマーとの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる電極の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、前記電極の製造方法によって製造された電極を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記電極を含む膜-電極アセンブリーを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、炭素構造体の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることで、炭素構造体などの分散性を増大させて混合を容易にし、分散安定性を増大させ、炭素構造体の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、炭素構造体とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、炭素構造体とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができるイオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法によって製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例によれば、触媒とイオノマーを含む電極形成用組成物を製造するステップと、前記電極形成用組成物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記触媒の表面に前記イオノマーをコーティングするステップと、前記電極形成用組成物をコーティングして電極を製造するステップとを含む電極の製造方法を提供する。
前記低周波音響エネルギーは、10ないし100Hzの周波数を有することができる。
前記共振混合は、前記触媒とイオノマーを含む電極形成用組成物に10ないし100Gの加速度を加えてなされることができる。
前記共振混合は、30秒ないし30分の間になされることができる。
前記電極形成用組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
本発明の他の実施形態によれば、触媒及びイオノマーを含み、前記イオノマーは、前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされた電極を提供する。
【0014】
前記イオノマーは、前記触媒及び前記イオノマーを含む電極形成用組成物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記触媒の表面にコーティングされたことでありうる。
前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して55重量%ないし95重量%でありうる。
前記触媒の表面にコーティングされずに凝集された(aggregated)イオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して0重量%ないし45重量%でありうる。
【0015】
前記触媒は、触媒金属粒子単独または担体に担持された触媒金属粒子を含むことができる。
下記の数式1で表示される前記担体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6でありうる。
[数1]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=担体(Carrier)の全体重量
【0016】
本発明のさらに他の実施形態によれば、互いに対向して位置するアノード電極とカソード電極と、前記アノード電極とカソード電極との間に位置するイオン交換膜とを含み、前記アノード電極、前記カソード電極及びこの両方ともからなる群より選ばれるいずれか一つは、前記電極を含む膜-電極アセンブリーを提供する。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池を提供する。
本発明のさらに他の実施形態によれば、炭素構造体(carbon structure)とイオノマーを含む混合物を製造するステップと、前記混合物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをコーティングするステップとを含むイオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法を提供する。
【0018】
前記炭素構造体は、カーボンナノチューブ(carbon nano tube)、カーボンナノワイヤー(carbon nano wire)、グラフェン(graphene)、酸化グラフェン(graphene oxide)、カーボンブラック(carbon black)、ナノ構造炭素(nanostructured carbon)、多孔性炭素(porous carbon)及びこれらの混合物からなる群より選ばれるいずれか一つでありうる。
【0019】
前記低周波音響エネルギーは、10ないし100Hzの周波数を有することができる。
前記共振混合は、前記周波数下で前記炭素構造体とイオノマーの混合物が入っている容器に10ないし100Gの加速度を加えてなされることができる。
【0020】
前記共振混合は、30秒ないし30分の間になされることができる。
前記混合物は、溶媒をさらに含むことができる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、炭素構造体(carbon structure)及びイオノマーを含み、前記イオノマーは、前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーのコーティングされた炭素構造体を提供する。
前記炭素構造体は、カーボンナノチューブ(carbon nano tube)、カーボンナノワイヤー(carbon nano wire)、グラフェン(graphene)、酸化グラフェン(graphene oxide)、カーボンブラック(carbon black)及びこれらの混合物からなる群より選ばれることができる。
【0021】
前記イオノマーは、前記炭素構造体及び前記イオノマーを含む混合物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記炭素構造体の表面にコーティングされることができる。
前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して60重量%ないし100重量%でありうる。
【0022】
前記炭素構造体の表面にコーティングされずに凝集された(aggregated)イオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して0重量%ないし45重量%でありうる。
下記の数式2で表示される前記炭素構造体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6でありうる。
[数2]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=炭素構造体(Carbon structure)の全体重量
【発明の効果】
【0023】
本発明は、触媒の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることで、触媒などの分散性を増大させて混合を容易にし、触媒の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、触媒とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、触媒とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる。
【0024】
また、本発明は、炭素構造体の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることで、炭素構造体の分散性を増大させて混合を容易にし、分散安定性を増大させ、炭素構造体の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、炭素構造体とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、炭素構造体とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】触媒の表面にイオノマーがコーティングされる過程を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例による膜-電極アセンブリーを概略的に示した断面図である。
図3】本発明の一実施例による燃料電池の全体的な構成を示す模式図である。
図4】炭素構造体の表面にイオノマーがコーティングされる過程を示す模式図である。
図5】本発明の実施例1-1及び比較例1-1で製造された電極の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図6】本発明の実施例1-1及び比較例1-1で製造された電極の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図7】本発明の実施例1-1及び比較例1-1で製造された膜-電極接合体の性能評価結果を示すグラフである。
図8】本発明の実施例2-1で製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図9】本発明の比較例2-1で製造されたイオノマーの混合された炭素構造体の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、これは、例示として提示されるものに過ぎず、これによって本発明が制限されず、本発明は、後述する請求の範囲の範ちゅうにより定義されるべきである。
【0027】
本明細書において別の言及がない限り、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとする時、これは、他の部分「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
本発明の一実施例による電極の製造方法は、触媒とイオノマーを含む電極形成用組成物を製造するステップと、前記電極形成用組成物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記触媒の表面に前記イオノマーをコーティングするステップと、前記電極形成用組成物をコーティングして電極を製造するステップとを含む。
【0028】
まず、触媒とイオノマーを含む電極形成用組成物を製造する。
前記触媒は、水素酸化反応、酸素還元反応に触媒として使用されうるものであれば、どれを使用しても良く、好ましくは、白金系金属を使用することが良い。
【0029】
前記白金系金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、白金-M合金(前記Mは、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ガリウム(Ga)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ランタン(La)及びロジウム(Rh)からなる群より選ばれるいずれか一つ以上)及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるいずれか一つを含むことができ、さらに好ましくは、前記白金系触媒金属群より選ばれた2種以上の金属を組み合わせしたものを使用することができるが、これに限定されるものではなく、本技術分野において使用可能な白金系触媒金属であれば、制限無しで使用することができる。
【0030】
また、前記触媒は、金属自体(black)を使用しても良く、触媒金属を担体に担持させて使用しても良い。
前記担体は、炭素系担体、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、セリアなどの多孔性無機酸化物、ゼオライトなどより選ばれることができる。前記炭素系担体は、スーパーP(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチエンブラック(Ketjen Black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nano tube、CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素及びこれらの一つ以上の組み合わせより選ばれることができるが、これに限定されるものではなく、本技術分野において使用可能な担体は、制限無しで使用することができる。
【0031】
前記触媒金属粒子は、担体の表面上に位置してもよく、担体の内部気孔(pore)を満たしながら担体の内部に浸透しても良い。
前記担体に担持された貴金属を触媒として使用する場合には、商用化された市販のものを使用してもよく、また担体に貴金属を担持させて製造して使用しても良い。前記担体に貴金属を担持させる工程は、当該分野において広く知られた内容であるから本明細書において詳細な説明を省略しても、当該分野に従事する人々に容易に理解されうる内容である。
【0032】
前記触媒金属粒子は、前記触媒の全体重量に対して20重量%ないし80重量%で含まれることができ、20重量%未満に含まれる場合には、活性低下の問題がありえ、80重量%を超過する場合には、触媒金属粒子の凝集により活性面積が減って触媒活性が反対に低下できる。
【0033】
前記触媒は、前記電極全体重量に対して50重量%ないし80重量%で含まれることができ、50重量%未満の場合には、触媒の不足による活性低下の問題がありえ、80重量%を超過する場合には、イオノマーが不足してイオン伝導に不利でありうる。
一方、前記イオノマーは、プロトンのような陽イオン交換グループを有する陽イオン伝導体であるか、またはヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオン交換グループを有する陰イオン伝導体でありうる。
前記陽イオン交換グループは、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるいずれか一つであっても良く、一般にスルホン酸基またはカルボキシル基であっても良い。
【0034】
前記陽イオン伝導体は、前記陽イオン交換グループを含み、主鎖にフッ素を含むフルオロ系高分子;ベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリホスファゼンまたはポリフェニルキノキサリンなどの炭化水素系高分子;ポリスチレン-グラフト-エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、またはポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン共重合体などの部分フッ素化された高分子;スルホンイミドなどを例に挙げることができる。
【0035】
さらに具体的に、前記陽イオン伝導体が水素イオン陽イオン伝導体である場合、前記高分子は、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる陽イオン交換機を含むことができ、その具体的な例には、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)、ポリ(ペルフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された黄化ポリエーテルケトンまたはこれらの混合物を含むフルオロ系高分子;スルホン化されたポリイミド(sulfonated polyimide、S-PI)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylether sulfone、S-PAES)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyether ether ketone、SPEEK)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(sulfonated polybenzimidazole、SPBI)、スルホン化されたポリスルホン(sulfonated polysulfone、S-PSU)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化されたポリホスファゼン(sulfonated polyphosphazene)、スルホン化されたポリキノキサリン(sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化されたポリケトン(sulfonated polyketone)、スルホン化されたポリフェニレンオキシド(sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone)、スルホン化されたポリエーテルケトン(sulfonated polyether ketone)、スルホン化されたポリフェニレンスルホン(sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィド(sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホン(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテル(sulfonated polyarylene ether)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、ポリアリーレンエーテルスルホンケトン(sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)、及びこれらの混合物を含む炭化水素系高分子を例に挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
また、前記陽イオン伝導体は、側鎖末端の陽イオン交換グループにおいてHをNa、K、Li、Csまたはテトラブチルアンモニウムに置換することもできる。前記側鎖末端の陽イオン交換グループにおいてHをNaに置換する場合には、触媒組成物の製造時にNaOHを、テトラブチルアンモニウムに置換する場合には、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使用して置換し、K、Liまたは、Csも適切な化合物を使用して置換できる。前記置換方法は、当該分野に広く知られた内容であるから、本明細書で詳細な説明は省略する。
記陽イオン伝導体は、単一物または混合物形態で使用可能で、また選択的にイオン交換膜との接着力をより向上させる目的で非導電性化合物と共に使用されることができる。その使用量は、使用目的に適合するように調節して使用することが好ましい。
【0037】
前記非導電性化合物には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、エチレンクロロトリフルオロ-エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(PVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸及びソルビトール(sorbitol)からなる群より選ばれた1種以上のものが使用されることができる。
【0038】
前記陰イオン伝導体は、ヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオンを移送させることができるポリマーであって、陰イオン伝導体は、ヒドロキシドまたはハライド(一般にクロライド)形態が商業的に入手可能で、前記陰イオン伝導体は、産業的浄水(water purification)、金属分離または触媒工程などに使用されることができる。
前記陰イオン伝導体には、一般に金属水酸化物がドーピングされたポリマーを使用することができ、具体的に金属水酸化物がドーピングされたポリ(エーテルスルホン)、ポリスチレン、ビニール系ポリマー、ポリ(ビニールクロライド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)またはポリ(エチレングリコール)などを使用することができる。
【0039】
前記イオノマーの商業的に商用化された例には、ナフィオン、アクイヴィオンなどを例に挙げることができる。
前記イオノマーは、前記電極全体重量に対して20重量%ないし50重量%で含まれることができる。前記イオノマーの含有量が20重量%未満の場合には、生成されたイオンがよく伝達されないときもありえ、50重量%を超過する場合には、気孔が不足して水素または酸素(空気)の供給が難しくなり、反応できる活性面積が減ることができる。
【0040】
前記電極形成用組成物は、具体的に前記触媒をイオノマーに添加するか、または前記イオノマーを前記触媒に添加して製造でき、前記添加後前記製造された電極形成用組成物を混合する必要はないが、前記共振混合に先立って一般的な方法によって混合することも可能である。このとき、前記一般的な混合方法は、超音波分散、撹拌、3本ロールミル、ボールミル、流性撹拌、高圧分散及びこれらの混合法の中で選択されるいずれか一つ以上の分散法を利用できる。
【0041】
前記電極形成用組成物は、前記触媒及び前記イオノマーと共に溶媒をさらに含むことができるが、この場合、前記電極形成用組成物は、前記触媒を前記溶媒に添加して触媒溶液を製造した後、前記触媒溶液に前記イオノマーを添加して製造でき、前記イオノマーを前記溶媒に添加してイオノマー溶液を製造した後、前記イオノマー溶液に前記触媒を添加して製造でき、前記触媒溶液と前記イオノマー溶液を混合して製造することもできる。
【0042】
前記溶媒は、水、親水性溶媒、有機溶媒及びこれらの一つ以上の混合物からなる群より選ばれる溶媒でありうる。
前記親水性溶媒は、炭素数1ないし12の直鎖状、分枝状の飽和または不飽和炭化水素を主鎖として含むアルコール、ケトン、アルデヒド、カーボネート、カルボキシレート、カルボン酸、エーテル及びアミドから構成された群より選ばれる一つ以上の官能基を有したものでありえ、これらは、指環式または芳香族シクロ化合物を主鎖の最小限一部として含むことができる。具体的な例にアルコールには、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エトキシエタノール、n-プロピルアルコール、ブチルアルコール、1、2-プロパンジオール、1-ペンタノール、1.5-ペンタンジオール、1.9-ノナンジオール等;ケトンには、ヘプタノン、オクタノン等;アルデヒドには、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド等;エステル(ester)には、メチルペンタノアート、エチル-2-ヒドロキシプロピオナートなど;カルボン酸には、ペンタン酸、ヘプタン酸等;エーテルには、メトキシベンゼン、ジメトキシプロパン等;アミドには、プロパンアミド、ブチルアミド、ジメチルアセトアミドなどがある。
【0043】
前記有機溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン及びこれらの混合物から選択できる。
前記溶媒は、前記電極形成用組成物の全体重量に対して80ないし95重量%で含まれることができ、80重量%未満の場合には、固形分の含有量があまり高くて電極コーティング時のひび割れ及び高粘度による分散問題があることができ、95重量%を超過する場合には、電極活性に不利でありうる。
【0044】
次に、前記電極形成用組成物を共振混合して前記触媒の表面に前記イオノマーをコーティングする。
前記共振混合は、混合が共振する混合工程であって、前記混合の共振は、混合成分の振動と加速の組み合わせの結果として発生させることができる。前記共振混合をするようになると、約50μm直径の多数の強力な混合領域を発生させて、デッドゾーン(dead-zone)をなくして全体的に均一な混合が可能になる。
【0045】
前記共振混合は、インペラなど撹拌に必要な部品が要らないから汚染を最小化でき、損失率(Loss)を減少させることができ、可溶粘度範囲は、1cPないし100万cP以上であり、真空または温度を調節することもできる。
【0046】
前記共振混合できる商用化されている機器には、Resodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer、 RAM)などを利用できる。
本発明の発明者は、前記共振混合を利用すると、前記触媒の表面に前記イオノマーを5nm以下のナノ厚にコーティング可能であるということを見つけて、本発明を完成した。
【0047】
図1は、前記触媒の表面に前記イオノマーがコーティングされる過程を示す模式図である。図1を参考すると、前記共振混合によって担体1に担持された触媒金属粒子2の表面が前記イオノマー3によってナノ厚にコーティングされる。すなわち、前記共振混合を利用して、より硬い構造の前記触媒金属粒子2の表面にさらにもろい形態の前記イオノマー3がコーティングされることができる。
【0048】
このために、前記共振混合は、低周波音響エネルギーを加えてなされることができる。前記低周波音響エネルギーは、10ないし20000Hzの周波数領域内にある有形媒体を通した直線または球面エネルギー電波であって、本発明では、前記触媒の表面に前記イオノマーをナノ厚にコーティングさせるために、10ないし100Hzの周波数、具体的に50ないし70Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを利用する。
【0049】
また、前記共振混合は、前記周波数下で前記触媒とイオノマーを含む電極形成用組成物に10ないし100G、具体的に40ないし100Gの加速度を加えてなされることができる(ここで、Gは、重力加速度を意味し、例えば10Gは、重力加速度の10倍を意味する)。
前記加速度が10G未満の場合、未混合領域が存在でき、コーティングがなされないから性能が低下でき、100Gを超過する場合、イオノマー同士が凝集現象または相分離及び発熱による混合条件変化と性能減少、フラッディング(flooding )などの問題があることができる。
【0050】
前記周波数領域内の低周波音響エネルギーと前記加速度を前記電極形成用組成物に加えるための方法は、本発明において特に限定されず、従来の知られた方法であればどれも利用可能である。一例として前記Resodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機を利用する場合、前記触媒とイオノマーの混合物を満たしている容器の周期的な直線変位により前記音響エネルギーを供給し、このために多数の機械式または電子変換器配置を利用し、より具体的に前記容器として振動と加速を移すオシレ-タドライブ(oscillator drives)とスプリングのような可変性弾性部材を含んでいる。前記共鳴音響混合機に関する内容は、アメリカ特許登録第7188993号及びアメリカ特許公開第2010-0294113号などを参考にすることができる。
前記共振混合は、30秒ないし30分の間になされることができ、具体的に1分ないし10分の間の短い時間の間になされることができる。前記共振混合の時間が30秒未満の場合、完璧に混合されないか、またはコーティング特性を確認できない可能性もあり、30分を超過する場合、試料または組成が変化できる。
【0051】
また、前記共振混合は、固体-固体、固体-液体、液体-液体、液体-気体など広範囲な物質の混合も可能なので、前記共振混合を利用すると、前記電極形成用組成物が溶媒を含まないで前記触媒と前記イオノマーのみを含む固体-固体混合が可能で、前記触媒、前記イオノマー、及びこの両方ともが溶媒を含む固体-液体または液体-液体混合も可能である。
【0052】
最後に、前記電極形成用組成物をコーティングして電極を製造する。
前記電極を製造するステップは、本発明において特に限定されないが、具体的な一例として前記電極形成用組成物を離型フィルムにコーティングして電極を製造し、前記電極をイオン交換膜に転写するステップをさらに含むことができる。
【0053】
前記電極形成用組成物を前記離型フィルム上にコーティングする時には、前記触媒を含む電極形成用組成物を連続的または間歇的にコーター(coater)に移送させた後、離型フィルム上に10ないし200μmの乾燥厚に均一に塗布することが好ましい。
さらに詳細には、前記電極形成用組成物の粘性によってポンプを介して連続的にダイ(die)、グラビア(gravure)、バー(bar)、カンマコーター(comma coater)などのコーターに移送した後、スロットダイコーティング、バーコーティング、カンマコーティング、スクリーンプリンティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ブラシなどの方法を使用して、デカールフィルム上に電極層の乾燥厚が1ないし200μm、さらに好ましくは、10ないし100μmに均一に塗布し、一定の温度に維持された乾燥炉を通過させて溶媒を揮発させる。
【0054】
前記電極形成用組成物を1μm未満の厚にコーティングする場合、触媒含有量が小さくて活性が低下し、200μmを超過する厚にコーティングする場合には、イオン及び電子の渡り距離が増加して抵抗が増加する。
前記乾燥工程は、25℃ないし90℃で12時間以上乾燥させることでありうる。前記乾燥温度が25℃未満で乾燥時間が12時間未満の場合には、十分に乾燥された電極を形成できないという問題が発生し、90℃を超過する温度で乾燥させると、電極のひび割れなどが発生する。
【0055】
ただし、前記電極形成用組成物を塗布及び乾燥する方法は、前記に限定されない。
選択的に、前記電極形成用組成物を乾燥させて電極を製造するステップ以後には、乾燥された電極及び離型フィルムを必要な大きさにカットして、イオン交換膜に接合するステップをさらに含むことができる。
【0056】
前記イオン交換膜は、イオン伝導体を含む。前記イオン伝導体は、プロトンのような陽イオン交換グループを有する陽イオン伝導体であるか、またはヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオン交換グループを有する陰イオン伝導体でありうる。
前記陽イオン交換グループは、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるいずれか一つであっても良く、一般にスルホン酸基またはカルボキシル基であっても良い。
【0057】
前記陽イオン伝導体は、前記陽イオン交換グループを含み、主鎖にフッ素を含むフルオロ系高分子;ベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリホスファゼンまたはポリフェニルキノキサリンなどの炭化水素系高分子;ポリスチレン-グラフト-エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、またはポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン共重合体などの部分フッ素化された高分子;スルホンイミドなどを例に挙げることができる。
【0058】
さらに具体的に、前記陽イオン伝導体が水素イオン陽イオン伝導体である場合、前記高分子は、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる陽イオン交換機を含むことができ、その具体的な例には、ポリ(ペルフルオロスルホン酸)、ポリ(ペルフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された黄化ポリエーテルケトンまたはこれらの混合物を含むフルオロ系高分子;スルホン化されたポリイミド(sulfonated polyimide、S-PI)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、SPEEK)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(sulfonated polybenzimidazole、SPBI)、スルホン化されたポリスルホン(sulfonated polysulfone、S-PSU)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化されたポリホスファゼン(sulfonated polyphosphazene)、スルホン化されたポリキノキサリン(sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化されたポリケトン(sulfonated polyketone)、スルホン化されたポリフェニレンオキシド(sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone)、スルホン化されたポリエーテルケトン(sulfonated polyether ketone)、スルホン化されたポリフェニレンスルホン(sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィド(sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホン(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテル(sulfonated polyarylene ether)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、ポリアリーレンエーテルスルホンケトン(sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)、及びこれらの混合物を含む炭化水素系高分子を例に挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
前記陰イオン伝導体は、ヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオンを移送させることができるポリマーであって、陰イオン伝導体は、ヒドロキシドまたはハライド(一般にクロライド)形態が商業的に入手可能で、前記陰イオン伝導体は、産業的浄水(water purification)、金属分離または触媒工程などに使用されることができる。
【0060】
前記陰イオン伝導体には、一般に金属水酸化物がドーピングされたポリマーを使用することができ、具体的に金属水酸化物がドーピングされたポリ(エーテルスルホン)、ポリスチレン、ビニール系ポリマー、ポリ(ビニールクロライド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)またはポリ(エチレングリコール)などを使用することができる。
【0061】
一方、前記イオン交換膜は、e-PTFEのようなフッ素系多孔性支持体または電気放射などによって製造された多孔性ナノウェブ支持体などの孔隙を前記イオン伝導体が満たしている強化膜形態であっても良い。
前記電極と前記イオン交換膜を接合する方法は、一例として転写方法を利用でき、前記転写方法は、金属プレス単独または金属プレスにシリコンゴム材などのようなゴム材の軟質板を重ねて当てて熱と圧力を加えるホットプレス(hot pressing)方法で行われることができる。
【0062】
前記転写方法は、80℃ないし150℃及び50kgf/cmないし200kgf/cmの条件でなされることができる。80℃、50kgf/cm未満の条件でホットプレスする場合、離型フィルム上の前記電極の転写が正しくなされないことができ、150℃を超過する場合には、前記イオン交換膜の高分子が燃えながら前記電極の構造変性がおきる恐れがあり、200kgf/cmを超過する条件でホットプレスする場合、前記電極の転写より前記電極を圧着する効果がより大きくなって転写が正しくなされない可能性もある。
【0063】
本発明の他の一実施の形態による電極は、上述した電極の製造方法によって製造されることができる。これにより、前記電極は、触媒及びイオノマーを含み、前記イオノマーは、前記触媒及び前記イオノマーを含む電極形成用組成物に低周波音響エネルギーを加えて共振混合して前記触媒の表面にコーティングされ、このとき、前記イオノマーコーティング層は、5nm以下のナノ厚、具体的に0.5ないし4nmのナノ厚を有することができる。前記イオノマーコーティング層の厚さが5nm以下の場合、触媒の性能向上側面において好ましい。
【0064】
また、前記共振混合を利用して前記触媒の表面に前記イオノマーをコーティングする場合、多様な厚さのイオノマー凝集層(ionomer aggregation layer)が顕著に減少できる。
従来の他の方法として前記触媒と前記イオノマーを混合する場合、多様な厚さを有するイオノマー凝集層が形成されるが、前記共振混合を利用して前記触媒の表面に前記イオノマーをコーティングする場合、前記触媒を5nm以下の厚さにコーティングするイオノマー層を前記電極の全体領域でほぼ均一に形成されることができる。
【0065】
前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して55ないし95重量%でありえ、具体的に80ないし90重量%でありうる。前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーが前記イオノマー全体重量に対して55重量%未満の場合、コーティングされない部分による性能減少及び触媒-イオノマー結合体間の連結制限による安定性減少などの問題があることができ、95重量%を超過する場合、イオノマーの凝集による触媒活性が低下できる。
【0066】
また、前記触媒の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマーからなるイオノマー凝集層は、前記イオノマー全体重量に対して0ないし45重量%でありえ、具体的に10ないし20重量%でありうる。前記イオノマー凝集層が前記イオノマー全体重量に対して45重量%を超過する場合、イオノマーの凝集及びコーティングされない触媒による触媒活性が低下できる。
【0067】
前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記電極を透過電子顕微鏡(TEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)で観察する時に厚さが5nm以下であることを意味し、前記触媒の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマーは、前記電極をTEMまたはSTEMで観察する時に厚さが5nmを超過するか、凝集されたイオノマーがTEM、STEMまたは走査電子顕微鏡(SEM)で観察されるのを意味する。また、前記イオノマーは、前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマー及び前記触媒の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマー以外のイオノマーを残りの含有量として含むことができる。前記触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーの含有量または前記凝集されたイオノマーの含有量は、前記電極全体に対して測定した含有量値でありえ、前記電極の任意の少なくとも5箇所に対するTEMまたはSTEM写真上に存在する触媒の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーの含有量または凝集されたイオノマーの含有量を測定した後、これらの平均値を計算して求めることもできる。
【0068】
また、前記イオノマーがフッ素系イオノマーである場合、前記イオノマーがコーティングされた触媒は、TEMまたはSEM分析条件でエネルギー分散型分光分析法(energy dispersive X-ray spectroscope、EDS)による分析時にフッ素(F)の検出で前記イオノマーの分布でコーティング及びコーティングされない領域を確認することができる。
【0069】
また、前記イオノマーがイオン交換グループでスルホン酸基を含む場合、前記イオノマーがコーティングされた触媒は、TEMまたはSEM分析条件でエネルギー分散型分光分析法(energy dispersive X-ray spectroscope、EDS)による分析時に黄(S)の検出で前記イオノマーの分布を確認することができ、前記イオノマーの分布でコーティング及びコーティングされない領域を確認することができる。
【0070】
このように、前記イオノマーが前記触媒の表面に均一にコーティングされるから、従来の他の方法らに比べてより多くの含有量のイオノマーが必要になる。具体的に、下記の数式1で表示される前記触媒の担体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6でありうる。これは、従来の電極に比べてI/C ratioが0.05ないし0.2分だけ向上したことでありうる。前記従来の電極は、5nm以下のイオノマーコーティング層を含まない場合で、ボールミルなどの従来の混合方法を利用して製造されたことでありうる。
【0071】
[数1]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=担体(Carrier)の全体重量
【0072】
また、前記電極は、電気化学的有効表面積(electrochemical active surface area、ECSA)が従来の電極に比べて1ないし30%性能向上を表すことができ、具体的には、5ないし20%性能向上を表すことができる。前記電気化学的有効表面積は、回転円盤電極(Rotating Disk Electrode)を利用してシクロ-ボルタンメトリー(Cyclo-voltammetry)を測定して、水素酸化反応面積を求めて測定できる。前記従来の電極は、5nm以下のイオノマーコーティング層を含まない場合で、ボールミルなどの従来の混合方法を利用して製造されたものでありうる。
【0073】
本発明のさらに他の一実施例による膜-電極アセンブリーは、互いに対向して位置するアノード電極とカソード電極、そして前記アノード電極とカソード電極との間に位置する前記イオン交換膜を含む。前記アノード電極、前記カソード電極及びこの両方ともからなる群より選ばれるいずれか一つは、前記本発明の一実施例による電極を含むことができる。前記電極と前記電極の製造方法に対する説明は、上述した通りであるから、繰り返し的な説明は省略する。
【0074】
図2は、前記膜-電極アセンブリーを概略的に示した断面図である。前記図2を参照して説明すれば、前記膜-電極アセンブリー100は、前記イオン交換膜50及び前記イオン交換膜50の両面にそれぞれ配置される前記電極20、20’を含む。前記電極20、20‘は、電極基材40、40’と前記電極基材40、40’の表面に形成された触媒層30、30’を含み、前記電極基材40、40’と前記触媒層30、30’との間に前記電極基材40、40’での物質拡散を容易にするために炭素粉末、カーボンブラックなどの導電性微細粒子を含む微細気孔層(図示せず)をさらに含むことができる。
【0075】
前記膜-電極アセンブリー100において、前記イオン交換膜50の一面に配置されて前記電極基材40を通って前記触媒層30に伝達された燃料から水素イオンと電子を生成させる酸化反応を起こす電極20をアノード電極と言い、前記イオン交換膜50の他の一面に配置されて前記イオン交換膜50を介して供給された水素イオンと電極基材40’を通って前記触媒層30’に伝達された酸化剤から水を生成させる還元反応を起こす電極20’をカソード電極という。
【0076】
前記アノード及びカソード電極20、20’の触媒層30、30’は、前記触媒、イオノマー及びポリアクリル酸を含む本発明の一実施例による電極を含む。
前記電極基材40、40’には、水素または酸素の円滑な供給がなされることができるように多孔性の導電性基材が使用されることができる。その代表的な例に炭素ペーパー(carbon paper)、炭素布(carbon cloth)、炭素フェルト(carbon felt)または金属布(繊維状態の金属布からなる多孔性のフィルムまたは高分子繊維で形成された布の表面に金属フィルムが形成されたことを言う)を使用することができるが、これに限定されるものではない。また、前記電極基材40、40’は、フッ素系樹脂で撥水処理したことを使用することが燃料電池の駆動時に発生される水によって反応物の拡散効率が低下するのを防止できるから好ましい。前記フッ素系樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリペルフルオロアルキルビニルエーテル、ポリペルフルオロスルホニルフルオライドアルコキシビニルエーテル、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene)、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはこれらのコポリマーを使用することができる。
【0077】
前記膜-電極アセンブリー100は、前記アノードまたはカソード電極20、20’として本発明による電極を使用するのを除いては、通常の膜-電極アセンブリーの製造方法によって製造できる。
【0078】
本発明のさらに他の一実施例による燃料電池は、前記膜-電極アセンブリーを含む。
図3は、前記燃料電池の全体的な構成を示す模式図である。
前記図3を参照すると、前記燃料電池200は、燃料と水が混合された混合燃料を供給する燃料供給部210、前記混合燃料を改質して水素ガスを含む改質ガスを発生させる改質部220、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスが酸化剤と電気化学的な反応を起こして電気エネルギーを発生させるスタック230、及び酸化剤を前記改質部220及び前記スタック230に供給する酸化剤供給部240を含む。
【0079】
前記スタック230は、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスと酸化剤供給部240から供給される酸化剤の酸化/還元反応を誘導して電気エネルギーを発生させる複数の単位セルを具備する。
各々の単位セルは、電気を発生させる単位のセルを意味するものであって、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤の中の酸素を酸化/還元させる前記膜-電極アセンブリーと、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤を膜-電極アセンブリーに供給するための分離板(または、バイポーラプレート(bipolar plate)とも呼ばれ、以下、「分離板」と呼ぶ)を含む。前記分離板は、前記膜-電極アセンブリーを中心に置いて、その両側に配置される。このとき、前記スタックの最外側に各々位置する分離板を特にエンドプレートと呼ぶこともある。
【0080】
前記分離板のうち、前記エンドプレートには、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスを注入するためのパイプ形状の第1供給管231と、酸素ガスを注入するためのパイプ形状の第2供給管232が備えられ、他の一つのエンドプレートには、複数の単位セルで最終的に未反応して残った水素ガスを含む改質ガスを外部に排出させるための第1排出管233と、上述の単位セルから最終的に未反応して残った酸化剤を外部に排出させるための第2排出管234が備えられる。
【0081】
前記電極は、上述の燃料電池用膜-電極アセンブリーの他にも、二次電池またはキャパシタなどの多様な分野に適用可能である。
本発明のさらに他の一実施例によるイオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法は、炭素構造体とイオノマーを含む混合物を製造するステップ、そして前記混合物に低周波音響エネルギー(low-frequency acoustic energy)を加えて共振混合(resonant vibratory mixing)して、前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをコーティングするステップを含む。
【0082】
まず、炭素構造体とイオノマーを含む混合物を製造する。
前記炭素構造体は、炭素からなる多様な形状の構造体であって、本発明においてその種類が特に限定されない。
前記炭素構造体は、マイクロないしナノ水準の大きさを有することができ、特定大きさまたは形状に限定されない。
前記炭素構造体の具体的な例には、カーボンナノチューブ(carbon nano tube、CNT)、カーボンナノワイヤー(carbon nano wire)、グラフェン(graphene)、酸化グラフェン(graphene oxide)、カーボンブラック(carbon black)、ナノ構造炭素(nanostructured carbon)、多孔性炭素(porous carbon)及びこれらの混合物からなる群より選ばれるいずれか一つを例に挙げることができる。
【0083】
一方、前記イオノマーは、上述した通りであるので、繰り返し的な説明は省略する。
前記イオノマーの投入量は、前記炭素構造体の比表面積を鑑みて前記イオノマーの投入量を決定することが好ましく、通常に前記イオノマーは、前記炭素構造体100重量部に対して30重量部ないし200重量部、具体的に50重量部ないし150重量部で含まれることができる。前記イオノマーの含有量が30重量部未満の場合には、前記炭素構造体に前記イオノマーがコーティングされない部分が存在でき、200重量部を超過する場合には、イオノマーの過剰でイオノマー間の凝集部分が発生できる。
【0084】
前記混合物は、具体的に前記炭素構造体をイオノマーに添加するか、または前記イオノマーを前記炭素構造体に添加して製造でき、前記添加後に前記製造された混合物を混合する必要はないが、前記共振混合に先立って一般的な方法によって混合することも可能である。このとき、前記一般的な混合方法は、超音波分散、撹拌、3本ロールミル、ボールミル、流性撹拌、高圧分散及びこれらの混合法のうち選択されるいずれか一つ以上の分散法を利用できる。
【0085】
前記混合物は、前記炭素構造体及び前記イオノマーと共に溶媒をさらに含むことができるが、この場合、前記混合物は、前記炭素構造体を前記溶媒に添加して炭素構造体溶液を製造した後、前記炭素構造体溶液に前記イオノマーを添加して製造でき、前記イオノマーを前記溶媒に添加してイオノマー溶液を製造した後、前記イオノマー溶液に前記炭素構造体を添加して製造でき、前記炭素構造体溶液と前記イオノマー溶液を混合して製造することもできる。
【0086】
前記溶媒は、水、親水性溶媒、有機溶媒及びこれらの一つ以上の混合物からなる群より選ばれる溶媒でありえ、前記親水性溶媒及び有機溶媒に対する説明は、上述と同一なので、繰り返し的な説明は省略する。
前記溶媒は、前記混合物全体重量に対して80ないし95重量%で含まれることができ、80重量%未満の場合には、固形分の含有量があまり高いから、イオノマーのコーティングされた炭素構造体の塗布時にひび割れ及び高粘度による分散問題がありえ、95重量%を超過する場合には、イオノマーのコーティングされた炭素構造体の活性に不利でありうる。
【0087】
次に、前記混合物を共振混合して前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをコーティングする。
前記共振混合は、混合が共振する混合工程であって、前記混合の共振は、混合成分の振動と加速の組み合わせの結果で発生させることができる。前記共振混合をするようになると、約50μm直径の多数の強力な混合領域を発生させて、デッドゾーン(dead-zone)をなくすことによって全体的に均一な混合が可能になる。
【0088】
前記共振混合は、インペラなど撹拌に必要な部品が要らないから汚染を最小化でき、損失率(Loss)を減少させることができ、可溶粘度範囲は、1cPないし100万cP以上であり、真空または温度を調節することもできる。
前記共振混合をすることができる商用化されている機器には、Resodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer、RAM)などを利用できる。
【0089】
本発明の発明者は、前記共振混合を利用すると、前記炭素構造体の表面に前記イオノマーを5nm以下のナノ厚にコーティングできるということを見つけて、本発明を完成した。
図4は、前記炭素構造体の表面に前記イオノマーがコーティングされる過程を示す模式図である。図4を参考すると、前記共振混合によって炭素構造体11の表面が前記イオノマー13によってナノ厚にコーティングされる。すなわち、前記共振混合を利用してより硬い構造の前記炭素構造体11の表面によりもろい形態の前記イオノマー13がコーティングされることができる。
【0090】
このために、前記共振混合は、低周波音響エネルギーを加えてなされることができる。前記低周波音響エネルギーは、10ないし20000Hzの周波数領域内にある有形媒体を介した直線または球面エネルギー電波であって、本発明では、前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをナノ厚にコーティングさせるために、10ないし100Hzの周波数、具体的に50ないし70Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを利用する。
【0091】
また、前記共振混合は、前記周波数下で前記炭素構造体とイオノマーの混合物が入っている容器に10ないし100G、具体的に40ないし100Gの加速度を加えてなされることができる(ここで、Gは、重力加速度を意味し、例えば10Gは、重力加速度の10倍を意味する)。
【0092】
前記加速度が10G未満の場合、未混合領域が存在でき、コーティングがなされない場合もありえ、100Gを超過する場合、イオノマー同士の凝集現象または相分離及び発熱による混合条件変化などの問題が生じることがある。
【0093】
前記周波数領域内の低周波音響エネルギーと前記加速度を前記混合物に加えるための方法に対する説明は、上述した通りであるので、繰り返し的な説明は省略する。
前記共振混合は、30秒ないし30分の間になすことができ、具体的に1分ないし10分の間の短い時間の間になすことができる。前記共振混合の時間が30秒未満の場合、完璧に混合されないか、またはコーティング特性を確認することができない場合がありえ、30分を超過する場合、試料または組成が変化する。
【0094】
また、前記共振混合は、固体-固体、固体-液体、液体-液体、液体-気体など広範囲な物質の混合も可能なので、前記共振混合を利用すると、前記混合物が溶媒を含まないで前記炭素構造体と前記イオノマーのみを含む固体-固体混合が可能で、前記炭素構造体、前記イオノマー、及びこの両方ともが溶媒を含む固体-液体または液体-液体混合も可能である。
【0095】
本発明のさらに他の一実施例によるイオノマーのコーティングされた炭素構造体は、上述したイオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法によって製造することができる。これによって、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、炭素構造体及びイオノマーを含み、前記イオノマーは、前記炭素構造体及び前記イオノマーを含む混合物に低周波音響エネルギーを加えて共振混合して前記炭素構造体の表面にコーティングされ、このとき、前記イオノマーコーティング層は、5nm以下のナノ厚さ、具体的に0.5ないし4nmのナノ厚さを有することができる。前記イオノマーコーティング層の厚さが5nm以下の場合、前記炭素構造体の活用側面において好ましい。
【0096】
また、前記共振混合を利用して前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをコーティングする場合、多様な厚さのイオノマー凝集層(ionomer aggregation layer)が顕著に減少できる。
従来の他の方法で前記炭素構造体と前記イオノマーを混合する場合、コーティングがなされないか、または多様な厚さを有するイオノマー凝集層が形成されるが、前記共振混合を利用して前記炭素構造体の表面に前記イオノマーをコーティングする場合、前記炭素構造体を5nm以下の厚さにコーティングするイオノマー層を前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体の全体領域でほぼ均一に形成されることができる。
【0097】
前記イオノマーの大部分は、前記炭素構造体をコーティングするために使用され、前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記イオノマー全体重量に対して60重量%ないし100重量%でありえ、具体的に85重量%ないし95重量%でありうる。前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーが前記イオノマー全体重量に対して60重量%未満の場合、コーティングされない領域が発生し、100重量%を超過する場合、イオノマーの凝集された部分が発生する。
【0098】
また、前記炭素構造体の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマーからなるイオノマー凝集層は、前記イオノマー全体重量に対して0重量%ないし40重量%でありえ、具体的に1重量%ないし15重量%でありうる。前記イオノマー凝集層が前記イオノマー全体重量に対して40重量%を超過する場合イオノマーの凝集される領域が発生する。
【0099】
前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーは、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体を電子顕微鏡(TEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)で観察する時に厚さが5nm以下であることを意味し、前記炭素構造体の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマーは、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体をTEMまたはSTEMで観察する時に厚さが5nmを超過するか、凝集されたイオノマーがTEM、STEMまたは、走査電子顕微鏡(SEM)で観察されるのを意味する。また、前記イオノマーは、前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマー及び前記炭素構造体の表面にコーティングされずに凝集されたイオノマー以外のイオノマーを残りの含有量で含むことができる。前記炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーの含有量または前記凝集されたイオノマーの含有量は、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体全体に対して測定した含有量値でありえ、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体の任意の少なくとも5箇所に対する透過電子顕微鏡(TEM)写真上に存在する炭素構造体の表面に5nm以下の厚さにコーティングされたイオノマーの含有量または凝集されたイオノマーの含有量を測定した後、これらの平均値を計算して求めることができる。
【0100】
また、前記イオノマーがフッ素系イオノマーである場合、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、TEMまたはSEM分析条件でエネルギー分散型分光分析法(energy dispersive X-ray spectroscope、EDS)による分析時にフッ素(F)の検出で前記イオノマーの分布でコーティング及びコーティングされない領域を確認することができる。
【0101】
また、前記イオノマーがイオン交換グループでスルホン酸基を含む場合、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、TEMまたはSEM分析条件でエネルギー分散型分光分析法(energy dispersive X-ray spectroscope、EDS)による分析時に黄(S)の検出で前記イオノマーの分布を確認することができ、前記イオノマーの分布でコーティング及びコーティングされない領域を確認することができる。
【0102】
このように、前記イオノマーが前記炭素構造体の表面に均一にコーティングされるから、従来の他の方法に比べてより多くの含有量のイオノマーが必要になる。具体的に、下記の数式2で表示される前記炭素構造体に対する前記イオノマーの重量比(I/C ratio)は、0.75ないし1.6でありうる。これは、従来の炭素構造体とイオノマーの混合物に対してI/C ratioが0.05ないし0.2だけ向上したことであることができる。前記従来の炭素構造体とイオノマーの混合物は、5nm以下のイオノマーコーティング層を含まない場合で、ボールミルなどの従来の混合方法を利用して製造されたことであることができる。
[数2]
I/C ratio=W/W
=イオノマー(Ionomer)の全体重量
=炭素構造体(Carbon structure)の全体重量
【0103】
また、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、多様な分散装置で溶媒に分散した後に放置しておいた時に肉眼上層分離が起きない範囲で分散安定性が0.5日ないし15日、具体的に1日ないし8日を表すことができる。前記分散安定性が0.5日未満の場合、イオノマー層がコーティングされないことを意味する。
前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、燃料電池、二次電池またはキャパシタなどの電気化学デバイス分野において触媒担体、電極物質などで適用されることができる。
【実施例
【0104】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されるものではない。また、ここに記載されない内容は、当技術分野における熟練した者であれば、十分に技術的に類推できるものであるので、その説明を省略する。
[製造例1:電極の製造]
(実施例1-1)
Pt/C(田中社製)1.0gを容器に計量し、イオノマーパウダー(Nafion、デュポン社製)1.0gを計量して同一容器に入れた。
前記混合物が入っている容器をResodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer,RAM)に装着した。前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら、70Gの加速度で5分の間に混合させて電極形成用組成物を製造した。
【0105】
前記電極形成用組成物をポリイミド離型フィルムにコーティング速度10mm/s、コーティング厚さ100μmの条件でバーコーティングした後、30℃、6時間の間に乾燥させて電極を製造した。
前記乾燥された電極を必要とした大きさに切り取り、イオン交換膜(デュポン社製;Nafion 212 Membrane)の両面に電極とイオン交換膜が当接するよう整列させた後、100℃、100kgf/cmの熱及び圧力条件で5分間圧着した後、1分間常温で維持する方法でホットプレスして転写し、離型フィルムを剥離して膜-電極アセンブリーを製造した。
(実施例1-2)
前記実施例1-1で前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら70Gの加速度で10分間混合させたことを除いては、前記実施例1-1と同様に実施して膜-電極アセンブリーを製造した。
(実施例1-3)
前記実施例1-1で前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら80Gの加速度で5分間混合させたことを除いては、前記実施例1-1と同様に実施して膜-電極アセンブリーを製造した。
(実施例1-4)
Pt/C(田中社製)1.0gを容器に計量し、イオノマー溶液(Nafion 20%溶液、デュポン社製)5.0gを計量して同一容器に入れた。
【0106】
前記混合物が入っている容器をResodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer,RAM)に装着した。前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら70Gの加速度で5分間混合させて電極形成用組成物を製造した。
前記電極形成用組成物をポリイミド離型フィルムにコーティング速度10mm/s、コーティング厚さ100μmの条件でバーコーティングした後、30℃、6時間の間に乾燥させて電極を製造した。
【0107】
前記乾燥された電極を必要とした大きさに切り取り、イオン交換膜(デュポン社製;Nafion 212 Membrane)の両面に電極とイオン交換膜が当接するよう整列させた後、100℃、100kgf/cmの熱及びコンプレッサ条件で5分間圧着した後、1分間常温で維持する方法でホットプレスして転写し、離型フィルムを剥離して膜-電極アセンブリーを製造した。
(比較例1-1)
Pt/C(田中社製)1.0gを容器に計量し、イオノマー溶液(Nafion 20%溶液、デュポン社製)5.0gを計量して同一容器に入れた。
前記混合物をボールミルを利用して分散及び撹拌させて、電極形成用組成物を製造した。
以後、前記電極形成用組成物をデカールフィルムにコーティング、乾燥して膜-電極アセンブリーを製造するステップは、前記実施例で記載したものと同様に進行して膜-電極アセンブリーを製造した。
[実験例1-1]
(実験例1-1:TEM写真観察)
前記実施例1-1及び比較例1-1で製造された電極の透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope,TEM)写真を各々下記図5及び図6に示した。
前記図5及び図6を参考すると、前記実施例1-1のように共振混合で製造された電極は、触媒の表面にイオノマーのコーティング現象が明確に観察され、そのコーティング厚さが5nm以下であることを確認することができる。具体的に、前記図5で矢印部分(A)の波形がイオノマーが5nm以下にコーティングされたことを表し、前記コーティング部分が全体的に広まっているのを確認することができる。また、ボールミルで製造された比較例1-1に現れるイオノマーが累々たる凝集現象(B)が観察されないことを確認することができる。
【0108】
(実験例1-2:CV分析)
前記実施例1-1及び比較例1-1で製造された膜-電極アセンブリーに対して電極から出力される電圧と電流を測定し、電圧-電流密度の出力特性(放電性能)を比較評価してその結果を図7に示した。
前記図7を参考すると、前記実施形態で製造された膜-電極アセンブリーが前記比較例で製造された膜-電極アセンブリーに比べて電流密度に応じる電圧性能が優秀であることを確認することができ、これによって前記実施形態で製造された電極が前記比較例で製造された電極に比べて電気化学的有効表面積がより大きく現れること、すなわち触媒の活性が増大するのを確認することができる。
[製造例2:イオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造]
(実施例2-1)
カーボンナノチューブ1.0gを容器に計量し、イオノマーパウダー(Nafion、デュポン社製)0.2gを計量して同一容器に入れた。
前記混合物が入っている容器をResodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer,RAM)に装着した。前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら70Gの加速度で5分間混合させて、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(実施例2-2)
前記実施例2-1で前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら70Gの加速度で10分間混合させたことを除いては、前記実施例2-1と同様に実施して、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(実施例2-3)
前記実施例2-1で前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら80Gの加速度で5分間混合させたことを除いては、前記実施例2-1と同様に実施して、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(実施例2-4)
前記実施例2-1で前記炭素構造体にグラフェンを使用したことを除いては、前記実施例2-1と同様に実施して、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(実施例2-5)
前記実施例2-1で前記炭素構造体炉カーボンブラックを使用したことを除いては、前記実施例2-1と同様に実施して、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(実施例2-6)
カーボンナノチューブ1.0gを容器に計量し、イオノマー溶液(Nafion 20%溶液、デュポン社製)1.0gを計量して同一容器に入れた。
【0109】
前記混合物が入っている容器をResodyn(登録商標)社の共鳴音響混合機(Resonant Acoustic Mixer,RAM)に装着した。前記共鳴音響混合機に60Hzの周波数を有する低周波音響エネルギーを加えながら70Gの加速度で5分間混合させて、イオノマーのコーティングされた炭素構造体を製造した。
(比較例2-1)
カーボンナノチューブ1.0gを容器に計量し、イオノマーパウダー(Nafion、デュポン社製)0.2gを計量して同一容器に入れた。
前記混合物をボールミルを利用して分散及び撹拌させて、イオン伝導体の混合された炭素構造体を製造した。
[実験例2-1]
(実験例2-1:TEM写真観察)
前記実施例2-1で製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体と前記比較例2-1で製造されたイオノマーの混合された炭素構造体の透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope,TEM)写真をそれぞれ下記図8及び図9に示した。
【0110】
前記図8及び図9を参考すると、前記実施例2-1のように共振混合により製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体は、炭素構造体の表面にイオノマーのコーティング現象が明確に観察され、そのコーティング厚が5nm以下であることを確認することができる。具体的に、前記図8で矢印部分(A)の波形がイオノマーが5nm以下にコーティングされたことを示し、前記コーティング部分が全体的に広まっているのを確認することができる。また、ボールミルで製造された比較例2-1に現れるイオノマーが累々たる凝集現象(B)が観察されないことを確認することができる。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、上述の実施形態は、本発明の特定の一例として提示されるものに過ぎず、これによって本発明が制限されず、本発明の権利範囲は、後述する請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び計量形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、電極の製造方法、これによって製造された電極、前記電極を含む膜-電極アセンブリー、そして前記膜-電極アセンブリーを含む燃料電池に関し、前記電極の製造方法は、触媒の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることで、触媒などの分散性を増大させて混合を容易にし、触媒の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、触媒とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、触媒とイオノマーとの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる。
【0113】
また、本発明は、イオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法、そしてこれによって製造されたイオノマーのコーティングされた炭素構造体に関し、前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体の製造方法は、炭素構造体の表面にイオノマーをナノ厚にコーティングすることで、炭素構造体などの分散性を増大させて混合を容易にし、分散安定性を増大させ、炭素構造体の表面にイオノマーが均一に分布するようにして、炭素構造体とイオノマーの活用率を増大させて各種性能を向上させ、炭素構造体とイオノマーの結合効率を増大させて耐久性を増大させることができる。前記イオノマーのコーティングされた炭素構造体は、燃料電池、二次電池またはキャパシタなどの電気化学デバイス分野において触媒担体、電極物質などに適用されることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 担体
2 触媒金属粒子
3 イオノマー
11 炭素構造体
13 イオノマー
20、20' 電極
30、30' 触媒層
40、40' 電極基材
50 イオン交換膜
100 膜-電極アセンブリー
200 燃料電池
210 燃料供給部 220 改質部
230 スタック 231 第1供給管
232 第2供給管 233 第1排出管
234 第2排出管 240 酸化剤供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9