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特許7083055発行装置、認証装置、認証システム、発行方法、及び情報コード
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  • 特許-発行装置、認証装置、認証システム、発行方法、及び情報コード 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】発行装置、認証装置、認証システム、発行方法、及び情報コード
(51)【国際特許分類】
   G06K 1/12 20060101AFI20220602BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20220602BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20220602BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G06K1/12 A
G06F21/64
G06K7/14
G06K19/06
G06K19/06 103
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021057908
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2021-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-15
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森井 昌克
(72)【発明者】
【氏名】登坂 勇次
【合議体】
【審判長】田中 秀人
【審判官】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-281275(JP,A)
【文献】特開2018-207294(JP,A)
【文献】特開2004-179859(JP,A)
【文献】特開2016-015578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0210795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 1/00-21/08
B42D 1/00-25/485
G09C 1/00- 5/00
H04K 1/00- 3/00
H04L 9/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別対象を含む画像データの特徴点を算出し、
前記特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成し、
前記画像データの前記識別対象の特徴として画像認識可能な対象部分に重なる位置に位置合わせパターンを配置し、前記画像データ内の領域であって前記画像データの前記識別対象の特徴として画像認識可能な対象部分以外と、前記画像データの外枠とに前記デジタル署名データを含む二次元コードを付加した過程のコードを作成し、
前記二次元コードが、前記対象部分以外の領域に含まれるようにすると共に、前記対象部分に前記二次元コードが含まれないように、前記画像データの前記対象部分及び前記対象部分以外が視認可能な態様で前記画像データと前記過程のコードとを合成することにより情報コードを発行する、
処理をコンピュータに実行させる発行方法。
【請求項2】
前記画像データを二値化し、白又は黒の前記二次元コードを付加して、前記過程のコードを作成する請求項1に記載の発行方法。
【請求項3】
前記過程のコードの前記二次元コードの黒の輝度値は60とし、前記過程のコードの白の輝度値は240とした前記二次元コードを前記画像データ内かつ前記対象部分以外の前記領域に付加することで前記情報コードを生成する請求項2に記載の発行方法。
【請求項4】
前記過程のコードの前記位置合わせパターンを除外して、前記画像データと前記過程のコードとを合成する請求項1~請求項3の何れか1項に記載の発行方法。
【請求項5】
前記情報コードは、前記画像データの外枠の上部、左右の枠、及び前記画像データ内かつ前記対象部分以外の前記領域を検査点の配置位置とし、下部の枠を前記デジタル署名データの前記二次元コードの配置位置として生成する請求項1~請求項4の何れか1項に記載の発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発行装置、認証装置、認証システム、発行方法、及び情報コードに関する。
【背景技術】
【0002】
QRコード(登録商標)のコード領域内に含まれるコード内容の種別を視覚によって迅速に把握することが可能な情報コードを提供する技術がある(特許文献1参照)。特許文献1では、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域と、を設けている。特許文献1では、更に、空き領域内にセル及び特定パターンとは異なる所定の表示対象が少なくとも表される表示領域を設け、コード領域の少なくとも一部を、表示対象に関する種別を特定する形状、模様、色彩、若しくはそれらの組み合わせによって表している。
【0003】
特許文献1の手法を用いれば、情報コードに顔写真データを含め、データ記録領域に個人情報を記録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-190458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっとも、従来の顔写真を含む情報コードは複写が可能である。そのため、情報コード内の顔写真を入れ替えて容易に改ざんができてしまう。他方、ICチップを内蔵した身分証明書は、ICチップのコストがかかる上、ICチップ自体の改ざんは困難であるものの、身分証明書における顔写真自体は容易に改ざんが可能であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、改ざんを抑止する情報コードを利用した認証を可能とする発行装置、認証装置、認証システム、発行方法、及び情報コードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の発行装置は、識別対象を含む画像データの特徴点を算出する算出部と、前記特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成する署名データ作成部と、前記画像データ、及び前記デジタル署名データのコードを含む情報コードを発行する発行部と、を含む。
【0008】
第1態様の発行装置は、画像データの特徴点を含むデジタル署名データを作成し、情報コードに含める。そのため、画像データについての照合が可能となり、画像データの改ざんが困難となる。
【0009】
第2態様の発行装置は、前記情報コード、又は前記デジタル署名データに、前記識別対象の識別情報を更に含める。
【0010】
第2態様の発行装置によれば、識別情報を更に利用することで、特徴点による照合の確実性を担保することができる。
【0011】
第3態様の発行装置は、前記発行部は、前記情報コード内の所定の範囲に前記画像データを配置するように前記情報コードを作成する。
【0012】
第3態様の発行装置によれば、仕様に応じて画像データを配置することができる。
【0013】
第4態様の発行装置は、前記画像データの特徴点は、前記画像データに含まれる対象部分の特徴点とし、前記対象部分の特徴点を含む前記デジタル署名データを作成する。
【0014】
第4態様の発行装置によれば、仕様に応じてデジタル署名データに含める特徴点を設計できる。
【0015】
第5態様の認証装置は、識別対象を含む画像データ、及び前記画像データの特徴点の情報を含むデジタル署名データのコードを含む情報コードを取得する取得部と、前記画像データの特徴点を第1の特徴点として抽出する抽出部と、前記デジタル署名データを復号し、前記デジタル署名データに含まれる前記画像データの特徴点を第2の特徴点として抽出する復号化部と、抽出した前記第1の特徴点と前記第2の特徴点とを照合し、認証結果を求める認証部と、を含む。
【0016】
第6態様の認証システムは、端末と、発行装置と、認証装置とを含む認証システムであって、前記端末は、識別対象を含む画像データを発行装置に送信し、前記発行装置は、算出部により前記画像データの特徴点を算出し、署名データ作成部により前記特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成し、発行部により前記画像データ、及び前記デジタル署名データのコードを含む情報コードを発行し、前記認証装置は、取得部により前記情報コードを取得し、抽出部が、取得した前記情報コードの前記画像データの特徴点を第1の特徴点として抽出し、復号化部が、取得した前記情報コードの前記デジタル署名データを復号し、前記デジタル署名データに含まれる前記画像データの特徴点を第2の特徴点として抽出し、認証部が、抽出した前記第1の特徴点と前記第2の特徴点とを照合し、認証結果を求める。
【0017】
第5態様の認証装置、及び第6態様の認証システムによれば、情報コード内の、画像データと、デジタル署名データに含まれる画像データの特徴点とを照合する。そのため、画像データの改ざんを容易に判定することができる。また、簡易に信頼性の高い認証の仕組みを可能とする。
【0018】
第7態様の発行方法は、識別対象を含む画像データの特徴点を算出し、前記特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成し、前記画像データ、及び前記デジタル署名データのコードを含む情報コードを発行する、処理をコンピュータに実行させる。
【0019】
第7態様の発行方法は、画像データの特徴点を含むデジタル署名データを作成し、情報コードに含める。そのため、画像データについての照合が可能となり、画像データの改ざんが困難となる。
【0020】
第8態様の情報コードは、識別対象を含む画像データ、及び前記画像データについて算出された特徴点の特徴点の情報を含むように作成されたデジタル署名データのコード、を含む。
【0021】
第8態様の情報コードは、画像データ、及び画像データの特徴点を含むデジタル署名データのコードが含まれている。そのため、情報コード単体で画像データについての照合が可能となり、画像データの改ざんが困難となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、改ざんを抑止する情報コードを利用した認証を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】証明写真データを元に生成したSidQRコードを模式的に表した図である。
図2】本発明の実施形態の認証システムの概略構成図である。
図3】本発明の実施形態の発行装置の機能的な構成を示す図である。
図4】証明写真データ及び過程のコードを合成して、SidQRコードを生成する場合の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の認証装置の機能的な構成を示す図である。
図6】発行装置及び認証装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る発行装置における発行処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る認証装置における認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0026】
本発明の実施形態では、証明写真データをQRコード(登録商標)に組み込むと共に、証明写真データの顔部分の特徴点をデジタル署名データに組み込んでQRコード(登録商標)に格納する、SidQRコードという方式を提案する。このように証明写真データをデジタル署名データに組み込むことにより、改ざんできない顔写真入りのQRコード(登録商標)を作成できる。SidQRコード50が、本発明の情報コードの一例である。
【0027】
図1は、証明写真データを元に生成したSidQRコードを模式的に表した図である。図1の上は証明写真データ40、下はSidQRコード50である。SidQRコード50は、証明写真データ40の顔部分41を中央の領域に配置し、証明写真データ40の顔部分41以外の領域に、二次元コードを配置する。白又は黒の二次元コードとしては、デジタル署名データ、秘匿化の不要な個人情報、及び検査点を配置する。デジタル署名データは、証明写真データ40の顔部分41の特徴点を利用して作成する。検査点とは、誤り訂正符号において符号化により付加された冗長ビットである。なお、SidQRコード50の配置形式は一例であり、他の配置形式であってもよい。また、上記の例では、身分証明書として証明写真データ40をSidQRコード50に組み込む場合を例に説明したが、これに限定されるものではない、例えば、イラスト、製品、工芸品、及び美術品等の何らかの識別対象が写った特徴点の抽出が可能な画像データであれば、SidQRコード50に組み込むことが可能である。以上のようにSidQRコード50は、改ざんを抑止できるコード方式による認証が行える。
【0028】
このようなSidQRコード50は、通常のQRコード(登録商標)と同様に、画面に表示する、又は印刷して読み取らせるだけで利用可能となる。よって、ICチップを使用することなく改ざんのできない身分証明書等を作ることができる。また、SidQRコード50は証明写真データ40が偽造されたとしても、デジタル署名データに組み込まれた特徴点を用いて照合することで、真贋サーバにアクセスすることなく容易に偽造判定ができる。また、デジタル署名データをオンラインで照合することで正規の発行元が発行したデジタル署名データであるか否かの確認も可能となる。これにより、一つの正当な製品のSidQRコード50を複数、あるいは大量にコピーして貼り付けたとしても、すぐに無効判定ができ、被害を抑えることができる。また、顔写真が改ざんされていないことが必要な書類への利用が考えられる。例えば、本人確認が必要な身分証明書の確認が必要な公的機関や電子認証を必要とするオンライン取引などに活用できる。
【0029】
図2は、本発明の実施形態の認証システム100の概略構成図である。図2に示す認証システム100は、発行装置110と、端末120と、印刷装置130と、認証装置140とがネットワークNを介して接続される。
【0030】
発行装置110は、端末120からの発行要求により、SidQRコード50を発行する装置である。発行したSidQRコード50は、発行要求に従って、端末120に送信するか、又は印刷装置130に送信して印刷させる。発行装置110の具体的な構成は後述する。
【0031】
端末120は、ユーザが操作する端末であり、スマートフォン、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等の表示インタフェース及びユーザインタフェースを備えた端末である。端末120は、ユーザの操作に応じて、SidQRコード50の発行要求と共に証明写真データ40、及び個人情報を発行装置110に送信する。発行装置110では、発行要求をトリガーとしてSidQRコード50の発行のための処理を行う。発行要求には、SidQRコード50を印刷装置130によって印刷させるのか又は端末120にデータとして返却するか、を定めた発行方式の情報を含める。個人情報は、氏名、及び所属等の任意の情報である。また、端末120は、表示インタフェースを介して、SidQRコード50を表示させることができる。なお、個人情報をSidQRコード50に含めるか否かは選択できる。
【0032】
印刷装置130は、受信したSidQRコード50を印刷する装置である。なお、SidQRコード50を印刷して利用しない場合には、認証システム100の構成に印刷装置130を含めなくてもよい。
【0033】
認証装置140は、認証要求により、SidQRコード50を照合して認証結果を出力する装置である。
【0034】
発行装置110について説明する。図3は、本発明の実施形態の発行装置110の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、発行装置110は、前処理部112と、算出部114と、署名データ作成部116と、発行部118とを含んで構成される。
【0035】
発行装置110は、端末120から発行要求、証明写真データ40、及び個人情報を受け付けて、以下の各部の処理を行う。
【0036】
前処理部112は、証明写真データ40の顔部分41を検出する。検出には一般的な画像処理ソフトウェア等を用いればよい。なお、前処理部112では、複数の証明写真データ40を受け付けて、SidQRコード50に適合する証明写真データ40を探索してもよい。証明写真データ40を探索する場合には、例えば、SidQRコード50と同じ大きさで、かつ、顔部分41と重なるRS1のシンボル数=RS1の最大誤り訂正可能シンボル数となる証明写真データ40を探索する。
【0037】
算出部114は、証明写真データ40の特徴点を算出する。特徴点は、例えば、画素ごとに証明写真データ40を二値化して算出する。また、特徴点には、二値化した情報だけでなく、カラー情報、局所特徴量、及び他の多次元の値等、証明写真データ40の画像情報として得られる他の特徴量をSidQRコード50に格納可能な範囲で用いてもよい。また、特徴点は、証明写真データ40をQRコードのサイズに当てはめ、セルごとに二値化して特徴点を算出してもよい。なお、デジタル署名データの作成に証明写真データ40の顔部分41の特徴点を用いる。また、SidQRコード50の生成において、過程のコード45を作成する際に、証明写真データ40の全体を二値化したデータを用いる。
【0038】
署名データ作成部116は、証明写真データ40の顔部分41の特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成する。デジタル署名データは、一般的なデジタル署名方式により暗号化し、SidQRコード50の埋め草コードとして出力する。なお、証明写真が他人であっても顔の特徴点が合致してしまうケースへの措置として、デジタル署名データに個体識別番号等の個人情報を付与することも可能である。この場合には、個人情報と顔部分41の特徴点とを連結してデジタル署名データを作成する。このように、画像データの特に照合したい部分のデジタル署名データを作成することができる。なお、デジタル署名データに利用する対象部分を顔部分41としたが、これに限定されるものではなく、眼の部分、口の部分等、適宜、画像データの任意の部分をデジタル署名データに利用する対象部分として選択することができる。これにより、より柔軟にSidQRコード50の設計をすることができる。
【0039】
発行部118は、証明写真データ40、及びデジタル署名データのコードを含むSidQRコード50を生成し、ユーザに対して発行する。以下にSidQRコード50の生成過程を説明する。図4は、証明写真データ40及び過程のコード45を合成して、SidQRコード50を生成する場合の一例を示す図である。図4の(1)が証明写真データ40、(2)が過程のコード45、(3)が(1)及び(2)を合成することにより生成されたSidQRコード50である。
【0040】
SidQRコード50の生成では、まず、証明写真データ40に、白又は黒の二次元コードを付加し、過程のコード45を作成する。二次元コードは、個人情報及びデジタル署名データのビット列を求めてRS符号化することにより配置する。
【0041】
次に、証明写真データ40と過程のコード45とを合成することによりSidQRコード50を生成する。合成においては証明写真データ40について検出した顔部分41は補正しないように、すなわち顔部分41に二次元コードが含まれないようにする。よってSidQRコード50において、顔部分41は補正対象外として雑音として処理し、照合のために証明写真データ40の画像だけを含めるようにする。顔部分41以外の補正対象については、例えば、過程のコード45の二次元コードが黒の場合は輝度60、白の場合は輝度240として、白黒を付加する。また、過程のコード45には顔部分41に重なる位置に位置合わせパターン46が含まれている。そのため顔部分41の位置合わせパターン46を除外することで、視認性を向上させる。このようにしてSidQRコード50を生成する。SidQRコード50内の配置は、外枠の上部、左右の枠、及び証明写真データ40の顔部分41以外を検査点の配置位置とし、下部の枠をデジタル署名データの配置位置とする。SidQRコード50は、仕様に応じて、どの範囲に証明写真データ40を配置するかを定めるようにしてもよい。なお、SidQRコード50内の配置は一例であり、他の配置構成とすることもできる。
【0042】
発行部118は、以上のようにしてSidQRコード50を生成し、発行する。
【0043】
認証装置140について説明する。図5は、本発明の実施形態の認証装置140の機能的な構成を示す図である。図5に示すように、認証装置140は、取得部142と、抽出部144と、復号化部146と、認証部148とを含んで構成される。
【0044】
取得部142は、SidQRコード50を取得する。SidQRコード50は、端末120の表示インタフェース又は印刷物に表示されている状態で取得できる。また、SidQRコード50は、二次元コードが読み取り可能で、かつ、画像認識が可能なカメラを備えたQRコードリーダによって取得する。なお、個人情報をデジタル署名データに含めずに検査点に格納した場合には、画像認識が可能なカメラを持たないQRコードリーダでも読取可能である。よって、検査点に格納した個人情報などの識別情報と、特徴点の照合結果とを組み合わせて認証を行うことも可能である。
【0045】
抽出部144は、SidQRコード50に含まれる証明写真データ40の顔部分41の特徴点を第1の特徴点として抽出する。
【0046】
復号化部146は、SidQRコード50に含まれるデジタル署名データを復号し、デジタル署名データに含まれる証明写真データ40の顔部分41の特徴点を第2の特徴点として抽出する。
【0047】
認証部148は、抽出した第1の特徴点と第2の特徴点とを照合し、認証結果を求める。照合において特徴点が一致した場合には、SidQRコード50の認証成功とする認証結果を出力する。照合において特徴点が一致しない場合には、SidQRコード50の認証失敗とする認証結果を出力する。なお、認証結果の利用方法は、利用シーンに応じて適宜、設計すればよい。例えば、社員証による認証に利用するのであれば、施錠されたオートロックの部屋への入室、及び端末へのログイン等に利用可能である。
【0048】
仮にSidQRコード50を偽装しての顔部分41を変えたとしても、悪意あるユーザの顔部分41の第1の特徴点とデジタル署名データ内の顔部分41の第2の特徴点が異なるため、認証失敗となる。また、SidQRコード50に含まれる情報だけで照合を行うことができるため、オンライン通信不要で、認証結果が求められる。
【0049】
図6は、発行装置110及び認証装置140のハードウェア構成を示すブロック図である。図6に示すように、発行装置110は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。なお、端末120、及び印刷装置130についても同様のハードウェア構成により実現できる。
【0050】
発行装置110のCPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14から発行プログラムを読み出し、RAM13を作業領域として発行プログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されている発行プログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、発行プログラムが格納されている。
【0051】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0052】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0053】
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能してもよい。
【0054】
通信インタフェース17は、端末等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0055】
認証装置140のCPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又はストレージ24から認証プログラムを読み出し、RAM23を作業領域として認証プログラムを実行する。CPU21は、ROM22又はストレージ24に記憶されている認証プログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22又はストレージ24には、認証プログラムが格納されている。他の構成は発行装置110と同様である。
【0056】
以上が発行装置110及び認証装置140のハードウェア構成の説明である。
【0057】
次に、本発明の実施形態の認証システム100の作用について説明する。認証システム100の作用は、発行装置110による発行処理と、認証装置140による認証処理とに分けられるため、以下それぞれについて説明する。
【0058】
図7は、本発明の実施形態に係る発行装置110における発行処理を示すフローチャートである。発行処理は、発行装置110のCPU11がROM12から発行プログラム及び各種データを読み出して実行することにより、CPU11が、発行装置110の各部としての処理を実行する。
【0059】
ステップS100では、CPU11が、端末120から発行要求、証明写真データ40、及び個人情報を受け付ける。
【0060】
ステップS102では、CPU11が、証明写真データ40の顔部分41を検出する。
【0061】
ステップS104では、CPU11が、証明写真データ40の特徴点を算出する。ここでは、顔部分41の特徴点を含めて算出される。
【0062】
ステップS106では、CPU11が、証明写真データ40の顔部分41の特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成する。
【0063】
ステップS108では、CPU11が、証明写真データ40、及びデジタル署名データのコードを含むSidQRコード50を生成する。
【0064】
ステップS110では、CPU11が、生成したSidQRコード50をユーザに対して発行する。SidQRコード50の発行は、発行要求の発行方式の情報に従って、データとして端末120に返却するか又は印刷装置130に送信して印刷させることにより行う。以上が発行処理の説明である。
【0065】
図8は、本発明の実施形態に係る認証装置140における認証処理を示すフローチャートである。認証処理は、認証装置140のCPU21がROM22から認証プログラム及び各種データを読み出して実行することにより、CPU21が、認証装置140の各部としての処理を実行する。
【0066】
ステップS200では、CPU21が、SidQRコード50を取得する。
【0067】
ステップS202では、CPU21が、SidQRコード50に含まれる証明写真データ40の顔部分41の特徴点を第1の特徴点として抽出する。
【0068】
ステップS204では、CPU21が、SidQRコード50に含まれるデジタル署名データを復号し、デジタル署名データに含まれる証明写真データ40の顔部分41の特徴点を第2の特徴点として抽出する。
【0069】
ステップS206では、CPU21が、抽出した第1の特徴点と第2の特徴点とを照合する。
【0070】
ステップS208では、CPU21が、ステップS206の特徴点の照合結果が一致するか否かを判定する。一致すると判定した場合にはステップS210へ移行し、一致しないと判定した場合にはステップS212へ移行する。
【0071】
ステップS210では、CPU21が、SidQRコード50の認証成功とする認証結果を出力する。
【0072】
ステップS212では、CPU21が、SidQRコード50の認証失敗とする認証結果を出力する。以上が認証処理の説明である。
【0073】
以上、本発明の実施形態の認証システム100によれば、改ざんを抑止するSidQRコード50を利用した認証を可能とする。
【0074】
また、SidQRコード50を用いることで、簡易に信頼性の高い認証の仕組み構築することができる。また、ICカードを用いないため、安価に当該認証の仕組みを構築できる。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
100 認証システム
110 発行装置
112 前処理部
114 算出部
116 署名データ作成部
118 発行部
120 端末
130 印刷装置
140 認証装置
142 取得部
144 抽出部
146 復号化部
148 認証部
【要約】
【課題】改ざんを抑止する情報コードを利用した認証を可能とする。
【解決手段】発行装置は、識別対象を含む画像データの特徴点を算出する算出部と、前記特徴点の情報を含むデジタル署名データを作成する署名データ作成部と、前記画像データ、及び前記デジタル署名データのコードを含む情報コードを発行する発行部と、を含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8