(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】雨水の流出抑制用施設の貯留槽構築用の貯留空間
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20220603BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
E03F1/00 A
E03B11/14
(21)【出願番号】P 2018023324
(22)【出願日】2018-02-13
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-048010(JP,A)
【文献】特開平09-112792(JP,A)
【文献】特開2011-106101(JP,A)
【文献】特開2011-106144(JP,A)
【文献】特開2000-087397(JP,A)
【文献】特開2018-009348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03B 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平盤部と平盤部に開口する脚部からなるブロックを脚部底部を対向させた状態で組み合わせてユニットとし、当該ユニットを1ないし複数上下に配設した柱体を等間隔で配設し、当該柱体で形成された構造物の周囲および天井部を覆って地下に埋設された貯留空間において、前記配設した柱体で互いに相隣接するブロックの相対面する平盤部間を継手で連結し、且つ各柱体を構成するブロックの相接する平盤部間に位置決め部を有する板材を挿入し、挿入した板材間にかかる水平方向の力が直線状に貯留空間の端から端まで伝わるように構築した雨水の流出抑制用施設の貯留槽構築用の貯留空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水の流出抑制用施設の貯留槽構築用の貯留空間にかかる水平方向の耐性を補強する技術に属する。
【背景技術】
【0002】
一時的に雨水を貯留し、徐々に流出させる雨水流出抑制施設を樹脂製のブロックを地下に配設して構築する方法が広く普及している。樹脂製のため地下に構築すると土圧、水圧によるクリープに拠る変形、強度の低下を考慮する必要がある。省資源を図る必要性も存在するためブロックを空間を開けて配列する手段が提案されている。例えば特開2008-255767などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省資源の観点から配設するブロック間に隙間を設ける方法において、樹脂製の盤体と盤体に開口する脚部からなるブロックの水平方向の耐性の強化方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、平盤部と平盤部に開口する脚部からなるブロックを脚部底部を対向させた状態で組み合わせてユニットとし、当該ユニットを1ないし複数上下に配設した柱体を等間隔で配設し、当該柱体で形成された構造物の周囲および天井部を覆って地下に埋設された貯留空間において、前記配設した柱体で互いに相隣接するブロックの相対面する平盤部間を継手で連結し、且つ各柱体を構成するブロックの相接する平盤部間に位置決め部を有する板材を挿入し、挿入した板材間にかかる水平方向の力が直線状に貯留空間の端から端まで伝わるように構築した雨水の流出抑制用施設の貯留槽構築用の貯留空間である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、平盤部と平盤部に開口する脚部からなるブロックを脚部底部を対向させた状態で組み合わせてユニットとし、当該ユニットを1ないし複数上下に配設した柱体を等間隔で配設し、当該柱体で形成された構造物の周囲および天井部を覆って地下に埋設された貯留空間において、前記配設した柱体で互いに相隣接するブロックの相対面する平盤部間を継手で連結し、且つ各柱体を構成するブロックの相接する平盤部間に位置きめ部を有する板材を挿入し、挿入した板材間にかかる水平方向の力が直線状に貯留空間の端から端まで伝わるように構築した雨水の流出抑制用施設の貯留槽構築用の貯留空間であるため以下の効果がある。
1.間隔をおいて相隣接する柱体の平盤部が継手によって連結されることで、水平方向にかかる力が直線状に貯留空間の端から端まで伝わる。
2.間隔をおいて相隣接する柱体の平盤部間に板材を、当該板材にかかる水平方向の力が直線状に貯留空間の端から端まで伝わるように挿入したため水平方向かかる許容応力が大きくなる。。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】は、本発明に使用するブロックと継手と板材の形状を示す概念図である。
【
図1b】は、本発明に使用する他のブロックと継手と板材の形状を示す概念図である。
【
図2】は、柱体、継手および板材の連結方法を示す概念図である。
【
図5】は、貯留空間を用いた雨水の流出防止用の貯水槽の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1aは、本発明に使用するブロック、継手、板材の例を示している。
図1aでは、ブロックは盤体と盤体に開口する筒状の脚部からなり、盤体表面の4隅には継手用のメス穴が盤体表面から少し下がった面に設けられている。脚部は図では断面正方形で盤体に開口し底部に向かって細くなるようにテーパーがなされている。脚部の断面は円形、多角形、外方向に張り出した梅鉢状など任意に選択可能であり、脚部の個数も選択できる、
継手は図では正方形平板状で四隅は、ブロック盤体表面に設けられたメス穴に対応する凸状のオス継手となっている。継手の存在する部分は一段低くされ、継手での接続面が平面が平坦となるように構成されている。
図2に示すように、4個のブロックを連結できる継手を示している。。
板材は図では十字状を示し、その中央に位置決め部として脚部の形状に応じた凸部が設けられ、盤体表面に開口する脚部に挿入されることで、盤体表面に対する位置と方向を合わせられるようになっている。位置決め部は本例に限らず、十字形に延びた部分と、ブロック盤体表面に契合部を設け、接続することで位置を合わせることでもよい。特に脚部断面が円形で、中心に1個のみの場合、回転するので位置は決まるが方向が定まらない。そのため契合部を採用することが好ましい。
【0009】
図1bに示すブロックは板材をブロックの盤体表面に設けた溝を介して板材を挿入することで、板材を挿入した盤体間に隙間が生じないようにするものである。本部材は
図1aに示す部材と本質的な差異はないため以後は
図1aに示す部材にに基づき説明する。
【0010】
図2は、継手による盤体部の接続、板材の盤体間への挿入する状態を示している。
図2aは継手、
図2bは板材、
図2c両者を使用した状態を示している。
図2aでは、一つの継手で柱体を構成する盤体を接続することで4個の柱体を接続する状態を示している。 図では一つの継手で4個の盤体を接続しているが、両端に一つの継手部を有する継手を使用して盤体2つを接続することでもよい。相対面する柱体の対応する盤体の辺の両側を平行に、あるいは盤体の辺の中心などを接続することでもよい。
図2bは、板材を盤体間に挟みこむ状態を示している。図では板材の中心部は、位置決め部として表と裏の両側が脚部の形状に応じた正方形の台形となっている。そこを中心に4方向に直交するように腕が伸び、腕の端面が隣の柱体との間の中心に達するように構成される。
本形状に限らず4方に延びた腕の端面が互いに一致して水平方向の力を伝えらればよい。
従い、板材は左右に直線状に連なり、柱体にかかる水平方向の力は、本板材により直線状に端から端まで伝わることになる。
図2cは、継手と板材の両者を使用した状態を示している。
【0011】
図3は、柱体を継手および板材で連結した構造体を示している。
構造体の端部は板材の十字部分がはみ出した状態となるため、材質が許すならば余分な部分は切断すか、あらかじめ辺および隅に当たる部分の板材を加工しておくことができる。
【0012】
図4は、上記で得られた構造体の周囲を囲み、天井部を天材で覆った貯留空間を示している。
周囲を囲む壁材は、金属板、樹脂板が使用可能であり、周囲にめぐらし、ビス、ボルト・ナット、あるいは針金。紐を用いて構造体に固定する。
天井部も、金属板、樹脂板あるいはコンクリート製の板を複数の柱体を覆うように張り設することでよい。
【0013】
図5は、本貯留空間をシート類で包み、泥だめます、流入・流出管、オリフィスますなど必要な付帯設備を合わせた、雨水などの流出抑制用の貯留槽を示している。浸透槽とするならば透水シート、貯留槽とするならば遮水シートを使用することは従来通りである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
雨水の流出抑制施設に使用される一時的貯留槽、汚染水などの一時貯留槽として使用される。
【符号の説明】
【0015】
1 ブロック
2 継手
3 板材