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特許7083089検査用熱処理炉及び検査用熱処理炉を備えた検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】検査用熱処理炉及び検査用熱処理炉を備えた検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/00 20060101AFI20220603BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20220603BHJP
【FI】
G01N25/00 K
G01N23/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021020264
(22)【出願日】2021-02-10
(62)【分割の表示】P 2017211428の分割
【原出願日】2017-11-01
(65)【公開番号】P2021099349
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2017074082
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000212599
【氏名又は名称】中谷 進
(73)【特許権者】
【識別番号】517118261
【氏名又は名称】羽田 誠
(72)【発明者】
【氏名】羽田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中谷 進
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261835(JP,A)
【文献】特開2009-123858(JP,A)
【文献】特開2011-095252(JP,A)
【文献】特開2009-074724(JP,A)
【文献】特開2005-071632(JP,A)
【文献】特開2014-095640(JP,A)
【文献】特開2017-032285(JP,A)
【文献】特表2017-516114(JP,A)
【文献】国際公開第2010/116809(WO,A1)
【文献】特開2011-117652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
G01N 25/00-25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置するテーブルを設けた熱処理室(2)と、
前記試料を熱処理するための加熱風又は冷却風である熱処理風を生成する熱処理風生成手段を有し、該熱処理風を前記熱処理室(2)の上流側から供給する熱処理風供給手段と、
前記テーブルの下流側に設けられた、前記熱処理風を前記熱処理室(2)から排出する排出口と、
前記テーブルより上流側に仕切り壁的な形態で設けられた放散部と、
前記放散部の左に設けられた、前記熱処理風を前記放散部の左側から前記熱処理室(2)の左側に流入させる開口(24a)と、
前記放散部の右に設けられた、前記熱処理風を前記放散部の右側から前記熱処理室(2)の右側に流入させる開口(24b)と、を備え、
前記放散部の上流には前記熱処理風を吹出す吹出し口が設けられ、
前記吹出し口と前記放散部との間には、前記吹出し口側から前記放散部側に向かって左右に拡がって行く拡がり路(42)が形成され、
前記熱処理風は、前記吹出し口から前記拡がり路(42)に吹出され、前記放散部、前記開口(24a)及び前記開口(24b)に到達し、左側の前記開口(24a)から前記熱処理室(2)の左側に流入し、右側の前記開口(24b)から前記熱処理室(2)の右側に流入する、
以上のように構成されたことを特徴とする検査用熱処理炉。
【請求項2】
前記試料位置での前記熱処理風の風速は、3.0m/s~0.001m/sの範囲、2.5m/s~0.001m/sの範囲、2.0m/s~0.001m/sの範囲、1.7m/s~0.001m/sの範囲、2m/s~1m/sの範囲、1.9m/s~1m/sの範囲、1.8m/s~1m/sの範囲、1.7m/s~1m/sの範囲、1.6m/s~1m/sの範囲、1.5m/s~1m/sの範囲のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の検査用熱処理炉。
【請求項3】
前記テーブルを透明テーブルとした前記請求項1又は2記載の検査用熱処理炉と、
前記検査用熱処理炉内の前記試料の検査を前記透明テーブルの下方から行う、前記透明テーブルの下方に設けられた光学的計測手段と、を備え、
前記光学的計測手段は、前記試料の高さ位置を計測する光学的計測手段であることを特徴とする検査用熱処理炉を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電子部品等の試料を熱処理(加熱する又は冷却)する検査用熱処理炉、該検査用熱処理炉を備えた検査装置並びに該検査用熱処理炉を備えたX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示される、試料を加熱して該試料の熱変化による挙動状態をX線検出器で撮像してX線透過像を得るX線検査装置が知られている。(符号は特許文献1のもの。)
この特許文献1の発明(図2図3)の加熱ユニット20(加熱炉)は、天井壁を遮蔽部材28aとし、遮蔽部材28aの下方に試料1を置くプレート形態の観察エリア20aが設けられ、この観察エリア20aの左右側は下り傾斜で延長された傾斜延長部とされ、該傾斜延長部の端部は加熱ユニット20の内壁に取り付けられ、熱ユニット20の上部側の左右には加熱ガスを観察エリア20aと遮蔽部材28aの間の微小な間隙部(1.3mm~5mm程度)に送風して試料1の上部側を加熱するための第1の加熱手段21、21が設けられ、加熱ユニット20の下部側には試料1の下部を放射光により加熱するための熱光源22a,22b(例えば、ハロゲンランプ,赤外ランプ,白熱球等)からなる第2の加熱手段22、22が設けられた構成であるものである。
第1の加熱手段21、21のノズル21bは、上からみて放出口に向けて傾斜広がり形態とされ、かつ、底部を観察エリア20aの延長傾斜部とし天井部を下り傾斜とした形態である。
ノズル21bの熱風吹出し口21cは上下窄み横広がり形態とれ、かつ、観察エリア20aの上部面よりも下方に位置され、吹出される熱風は観察エリア20aの延長傾斜部面を昇り上がり流れとなるようにされている。
また、熱風吹出し口2cは図2の(A)図から、微小な間隙部(1.3mm~5mm程度)よりも上下開口が狭い開口とされている。
また、右側の第1の加熱手段21と左側の第1の加熱手段21の熱風吹出し口21cは、真向対峙ではない対して互いに位置をずらした対向配置(非真正面対向配置)とし、各々の熱風吹出し口21cから熱風を非真正面対向吹出して観察エリア20a上で撹拌させることにより、試料1の上面側の温度分布を均等化する構成としている。
また、第1の加熱手段21、21の熱風による試料1の上部側の加熱と、第2の加熱手段22、22の放射光による試料1の下部側の加熱と、を制御・協調させて試料1を加熱するものである。
【0003】
特許文献2に示される、試料Aを載せる矩形の平板状である透明部材12、試料からの光を透明部材12の下面から撮像検出する光検出部22を備え、透明部材12は透明基板121と該透明基板121の表面に設けられた透明導電膜122を有してなる計測装置が知られている。(符号は特許文献2のもの。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5383034号公報(図2図3
【文献】特許第5674453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の発明は次に述べるような欠点を有するものである。
(1)特許文献1の熱風による試料1の加熱は、横に広がり形態で窄められた非真正面対向吹出しの右側の熱風吹出し口21cと左側の熱風吹出し口21cからの対抗する熱風を、観察エリア20aの延長傾斜部面を昇り上がる流れとし、微小な間隙部(1.3mm~5mm程度)である観察エリア20a上で撹拌させることで、試料1の上面側を加熱昇温するというものである。
よって、窄められた熱風吹出し口21c、21cからの熱風は吹出し流速が早く、熱風吹出し口21c、21cよりも狭い微小な間隙部(1.3mm~5mm程度)への流入によって流速は増し、異なる熱源である第1の加熱手段21、21からの熱風の物理量(速度・圧力・密度・温度・粘度(粘性係数)など)は異なり、それらが非真正面対向吹出しによって撹拌されるものであるので、そのガスの流速は観察エリア20aの上部面全域に渡って速い流の乱流であるものである。
物理量が目まぐるしく変化する乱流熱風により加熱される試料面の各部分(各所)の熱風温度分布は目まぐるしく変化しているものであり、よって均一な温度分布加熱が得られないという問題があるものである。
*「乱流」とは、物理量が時間的に目まぐるしく変化する非定常流のことをいい、流体が不規則に運動している乱れた流れなので大小様々な渦が発生するような激しい流れである。
(2)試料上面は目まぐるしく変化する乱流熱風によって加熱し、試料下面は熱輻射光源であるハロゲンランプの放射光(放射効率の良い近赤外線・中間赤外線を主成分とする電磁波)によって加熱するものである。
よって、試料はその上部側を各部分(各所)の熱風温度分布は目まぐるしく変化する乱流熱風によってその表面の熱が伝わるかたちで深部の方が熱くなって行き、試料の下部側はその表面および深部にまで届く近・中間赤外線によって均一に熱くなって行くものである。
すなわち、特許文献1の発明は試料の上部側と下部側ではその熱状態は著しく異なる(以下「異なる上部・下部熱状態」ともいう。)ものであるので、試料の加熱による挙動は異なる上部・下部熱状態による挙動になってしまうという問題を有するものである。
(3)前記(1)によって、引用文献1の発明は流速が早い乱流であるので、軽量試料、軽量で小さな試料、薄く面積の広い試料はその風によって移動されたり、浮き振動したりしてしまう危険が大であり、当該試料の正確な検査ができないという問題があるものであった。
(4)観察エリア20aから下方側に離れた部位に第2の加熱手段である熱光源20b、20bを設けた構成となるため、試料1から加熱ユニット20の下部板(冷却手段28b)までの距離が長く、加熱ユニット20の下方からのX線撮像の解像度が著しく悪くなる、ないし使い物にならないという欠点を有するものであった。
また、加熱ユニット20の上下長さおよび体積が大型になるという欠点を有するものであった。
(5)放射光を照射するハロゲンランプ等の第2の加熱手段22、22を有するため、装置が大型でコスト高になるとう欠点を有するものであった。
【0006】
上述した特許文献2の発明は次に述べるような欠点を有するものであった。
透明部材12の上面に直接に試料を載せたり撤去したりする操作を行うために、試料の脚や摘み工具(例えばピンセット)などが透明部材12の上面を擦ったり突いたりするなどで傷つけることが起こるものであった。
透明部材12の上面に傷がつくと、該傷が光検出部22からのレーザ光線を反射、乱反射してしまい、試料の計測が正確にできないことになるため、透明部材12を新品に交換しなければならないという問題を有するものであった。透明部材12は上面を例えば3μの平坦面とし、適切は透過膜を施した例えば石英ガラスからなっているので高価(透明電導膜122を施したものはより高価)であり、その交換作業も煩雑で時間と手間がかかるものであった。
【0007】
本発明は以上のような従来技術(特許文献1)の欠点に鑑み、加熱風により試料面の各箇所を均一に加熱し均一に昇温させて行くことを可能とした、又は、冷却風により試料面の各箇所を均一に冷却し均一に降温させて行くことを可能とした検査用熱処理炉、該検査用熱処理炉を備えた検査装置並びに該検査用熱処理炉を備えたX線検査装置を提供することを目的としている。
【0008】
本発明は以上のような従来技術(特許文献2)の欠点に鑑み、高価な透明部材である下部板を傷つけることが起きないないしリスクが小さく、試料を載せる透明テーブルを安価な透明部材とできる、又は交換容易とできる検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は次に述べるような構成としている。
<請求項1記載の発明>
試料を載置するテーブルを設けた熱処理室(2)と、
前記試料を熱処理するための加熱風又は冷却風である熱処理風を生成する熱処理風生成手段を有し、該熱処理風を前記熱処理室(2)の上流側から供給する熱処理風供給手段と、
前記テーブルの下流側に設けられた、前記熱処理風を前記熱処理室(2)から排出する排出口と、
前記テーブルより上流側に仕切り壁的な形態で設けられた放散部と、
前記放散部の左に設けられた、前記熱処理風を前記放散部の左側から前記熱処理室(2)の左側に流入させる開口(24a)と、
前記放散部の右に設けられた、前記熱処理風を前記放散部の右側から前記熱処理室(2)の右側に流入させる開口(24b)と、を備えたことを特徴とする検査用熱処理炉である。
<請求項2記載の発明>
前記放散部の上流には前記熱処理風を吹出す吹出し口が設けられ、
前記吹出し口と前記放散部との間には、前記吹出し口側から前記放散部側に向かって左右に拡がって行く拡がり路(42)が形成され、
前記熱処理風は、前記吹出し口から前記拡がり路(42)に吹出され、前記放散部、前記開口(24a)及び前記開口(24b)に到達し、左側の前記開口(24a)から前記熱処理室(2)の左側に流入し、右側の前記開口(24b)から前記熱処理室(2)の右側に流入する、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項1記載の検査用熱処理炉である。
<請求項3記載の発明>
前記試料位置での前記熱処理風の風速は、3.0m/s~0.001m/sの範囲、2.5m/s~0.001m/sの範囲、2.0m/s~0.001m/sの範囲、1.7m/s~0.001m/sの範囲、2m/s~1m/sの範囲、1.9m/s~1m/sの範囲、1.8m/s~1m/sの範囲、1.7m/s~1m/sの範囲、1.6m/s~1m/sの範囲、1.5m/s~1m/sの範囲のいずれかであることを特徴とすると請求項1又は2記載の検査用熱処理炉である。
<請求項4記載の発明>
前記テーブルを透明テーブルとした前記請求項1、2又は3記載の検査用熱処理炉と、
前記検査用熱処理炉内の前記試料の検査を前記透明テーブルの下方から行う、前記透明テーブルの下方に設けられた光学的計測手段と、を備えたことを特徴とする検査用熱処理炉を備えた検査装置である
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の効果】
【0017】
放散部は仕切り壁的な形態で設けられ、その左に開口24aが設けられ、その右に開口24bが設けられているので、熱処理風は開口24a、24bからテーブルがある下流側に流入する。

以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
以下の説明において、熱処理(熱風による加熱又は冷却風による冷却)を熱風による加熱で説明する。
<請求項1記載の発明の効果>
(1)熱処理風の流れが、風上側である熱処理風供給手段側から風下側である前記試料側に流れる一方向流れであり、試料位置での前記熱処理風の流れが、風速が3.0m/s~0.001/sの範囲で下流へ流れる穏やかな流れないし緩やかな流れ(以下「略層流」ともいう。)であるものである。
試料は、低速の流れ、穏やかな流れ又は緩やかな流れである、速度・圧力・密度・温度・粘度(粘性係数)など物理量が時間的にも量的にも変化が小さい一方法流れの定常流ないし略定常流の熱風である、風速が3.0m/s~0.001/sの範囲の略層流によって加熱されるものである。
よって、試料位置での試料は、速度差、圧力差、密度差、温度差、粘度差が小さい穏やかな流れ「以下「一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風」ともいう。」であるので、試料はその全ての部分を加熱温度差が小さい状態で均一的に加熱昇温され「以下「全部分の均一的な加熱昇温」ともいう。」れる。
加熱される試料表面の温度分布は、温度分布差の小さい均一な温度分布が維持され加熱昇温することを実現するものである。
(2)試料に当たるのは一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風であるので、試料が微小、軽量、薄いものでも、動く(微移動、微振動も含む)ことがないので、それら試料の動かない状態での正確な計測を実現する。
(3)一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風で試料を加熱するものであるので、試料と加熱室壁の上壁および下壁またはいずれか一方の壁との間の熱風が通る間隙を狭い距離とすることを可能とする。
よって、例えば、加熱室外から試料をX線撮影しX線画像を得ようとする場合、加熱室壁の壁を挟んで試料とX線源との距離を短くでき、よって加熱室壁の上壁外からでも、下壁外からでも高解像度のX線撮影を可能とする。
(4)また、試料と上部壁との間に上間隙を設け、かつ、試料と下部壁との間に下間隙を設けた、熱風が上間隙と下間隙とを流れる形態とすることにより、試料の上部側と下部側を同一の熱状態とした該試料の挙動を実現する。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1の平面図。
図2】本発明の実施例1の拡大側面図。
図3】本発明の実施例1のA-A線部分・B-B線部分・C-C線切断拡大断面図。
図4】本発明の実施例1のA-A線部分・D-D線切断拡大断面図。
図5】本発明の実施例2の断面図。
図6】本発明の実施例2のE-E線切断拡大断面図。
図7】本発明の実施例3の平面図。
図8】本発明の実施例3の扉43、覆板47、覆板53を除いた熱処理室~熱処理風供給手段部位を示す平面図。
図9】本発明の実施例3の放散部を示す拡大断面図。
図10】本発明の実施例3の混合室を示す拡大断面図。
図11】本発明の実施例4の断面図。
図12】本発明の実施例5の断面図。
図13】本発明の実施例6の断面図。
図14】本発明の実施例7の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施例について説明する。但し、本発明をこれら実施例のみに限定する趣旨のものではない。また、後述する実施例の説明に当って、前述した実施例の同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0026】
図1図4に示す本発明の実施例1において、検査用熱処理炉1は次に述べるような構成となっている。
熱処理室2と、
この熱処理室2内に設けられた試料Wを置き形態でセットする透明テーブル11と、
コンプレッサー(送風機などでもよい)からなるエアー供給手段3から供給され、圧力レギュレータやマスフローコントローラなどのエアー調節手段4a、4bで制御されたエアーを、加熱し熱風である熱処理風E1a、E1bを生成するヒータやペルチェ素子等からなる熱処理風生成手段5a、5bを有し、該熱処理風E1a、E1bを熱処理室2に吹出す吹出し口6を有する熱処理風供給手段7と、
熱処理室2の下流側に設けられた排出管14aを連絡する排出口14と、からなるとともに、
吹出し口6から熱処理室2に供給される熱処理風E2および該熱処理風E2の風速より低速とされた略層流である熱処理風E3の流れが、風上側である吹出し口6側から風下側である試料W側に流れ排出口14から排出される一方向流れであり、
試料W位置での熱処理風E3の流れが、乱流少なく穏やかに下流へ流れる、穏やかな流れないし緩やかな流れの略層流とされるものである。
上記各部位はベース15上に設けられている。
ベース15の底部には開口部35が開口され、該開口35は下部板33によって塞がれた形態とされている。
【0027】
「略層流」とは、流体の粒子が略平行又は略層状をなす流れ、乱流が少ない低速の流れ(物理量の変化が小差の低速の流れ)、穏やか(落ち着いた平穏・静かな)な流れ、又は緩やか(動きや流れが、勢いが激しくない速度がゆっくりとしている)な流れであるとともに、緩やかなないし穏やかな乱流の発生があるものも含むものであり、当然に層流も含むものである。
本実施例における、略層流の試料W位置における温度300℃という条件での風速は、1.3m/sとするのが適当でる。この風速では(W)20mm×(D)7mm(端子部約2mm含む)×(H)3mm×重量約1gの小チップ形態の試料は移動しない風速である。また、透明テーブル11の最上流箇所の温度と最下流箇所の温度差は300℃±10℃以内を実現し、より詳細な制御では300℃±10℃以内を実現している。
略層流の試料W位置における風速は3.0m/s~0.001/sの範囲とするのがよく、好ましくは2.5m/s~0.001/sの範囲とするのがよく、より好ましくは、2.0m/s~0.001/sの範囲とするのがよく、さらに好ましくは2.0m/s~0.001/sの範囲とするのがよく、最も好ましくは1.7m/s~0.001/sの範囲とするのがよい。
また、試料W位置における風速は2m/s~1m/sの範囲、1.9m/s~1m/sの範囲、1.8m/s~1m/sの範囲、1.7m/s~1m/sの範囲、1.6m/s~1m/sの範囲又は1.5m/s~1m/sの範囲とするのもよい。
【0028】
本実施例では、透明テーブル11の上流先端位置と下流後端位置との温度差は±5℃としている。
±10℃、±9℃、±8℃、±7℃、±6℃、±5℃、±4℃、±3℃、±2℃、±1℃のいずれとするのもよい。
また、熱処理風はエアーに限られず、窒素、炭酸ガス、アルゴンガス等の空気以外のガスでもよい。
【0029】
熱処理風供給手段7は、熱処理風生成手段5a、5bから放出される熱処理風E1a、E1bの熱処理室2への直接的な供給を止めるとともに、熱処理風E1a、E1bを混合する混合室10を形成する仕切り壁8が設けられていて、仕切り壁8の中央に吹出し口6が設けられていて、混合室10で混合された熱処理風E2が吹出し口6から熱処理室2へ供給され、熱処理風E2はその風速を落とし試料位置では略層流である熱処理風E3となるようになっている。
【0030】
吹出し口6の下流には放散部9が設けられ、放散部9は吹出し口6から吹出される熱処理風E2の全熱風を受け放散させて風速を一気に落とし、試料位置での流れを略層流である熱処理風E3の流れにするようにしている。
「放散」とは、広く散らばること、また、広く散らすことをいう。
排出口14の直ぐ上流には、排出口14への熱処理風の流入速度等gが透明テーブル14位置を流れる熱処理風E3の流速や流れに影響を与えないように、ないし影響を緩和抑制するために調整する、φ12mmの貫通穴を上に10個、下に10個を有する堰25が設けられている。但し堰の形態は堰25の形態に限定されない。
【0031】
吹出し口6は仕切り壁8の中のある限られた部分(ここでは中央部)である局所に、1つ設けたφ5mmの局所吹出し口である。
吹出し口の開口面積は100平方ミリメートル以下とするのがよい。
また、局所吹出し口は吹出し口を近接形態の複数穴とした形態であるものも含まれる。この場合、吹出し口の開口面積の合計は100平方ミリメートル以下とするのがよい。
複数の吹出し口の近接した形態とは、中心とする1つの穴からの他の穴までの距離が10mm以下である。好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下である。
【0032】
熱処理室内2に試料を載置する上面を平坦基準面とした石英ガラス板からなる透明テーブル11が設けられている。
熱処理室2の底部からは4本の石英ガラス支柱からなる4本の支持支柱12a~12dが立設され、支持支柱12a~12dに透明テーブル11を横から出し入れ可能とする4段の支持凹13a~13dが設けれている。
支持支柱12a~12dは透明テーブル11の高さ位置を変えることを可能とするテーブル高さ位置変更機構12を構成している。また、透明テーブル11の交換が簡単に行えるものである。
図では支持支柱12a~12dは下部板33に設けられているが、ベース15に設けた形態とするのもよい。
【0033】
熱処理室2の天板30、前板31、後板32は各場所から熱処理室2内を目視ないし撮影によって観察できるように透明板(ここでは石英ガラス板)としている。
下部板33はX線が通りやすいカーボン系板としている。下部板は石英ガラスなどの透明板として、下方からのカメラ、フォーカス変位センサ又はラインセンサ等による計測ができるようにするのもよい。
天板30、前板31、後板32、下部板33は着脱ができる形態(交換も可能形態)としている。
天板30は開閉形態とし試料のセット、取り出し、交換、透明テーブル11の位置変え等が行えるようにしている。
天板30、前板31、後板32、下部板33の使用範囲(撮影、目視のための必要範囲である透明テーブル11と略同じ範囲か透明テーブル11より少し広い範囲)以外の箇所と、他の全ての部位(殆どステンレスプレート)は断熱材(例えば、日光化成株式会社の製品名「カルライト」)によって覆っている。
【0034】
熱処理室2等の寸法は以下のようである。
熱処理室2は、前後幅122.5mm、横幅(上流から下流)190mm、高さ35mmである。
吹出し口6は直径5mmの円形穴である。
放散部9は、上面は熱処理室2の天井に当接し、下部は根処理室の底部材に固定されているので高さは熱処理室2の高さと同じ35mmである。その形態は厚さ2mmの板部材でコの字形態をしていて、その前後幅48mm、横幅(上流から下流)22mmであり、吹出し口6から10mm離れた位置に風受面(当たり面)を位置させて設けられている。
透明テーブル11は、前後幅102mm、横幅126mmである。
【0035】
(1)熱処理風温度300℃時の風速(計算値)は以下のようである。
吹出し口6からの吹出し風速: 326m/s
試料W位置での風速: 1.22m/s
排出口14での排出速度: 5.65m/s
エアー流量: 384L/min
(2)常温時の25℃(以下「常温」ともいう。)の風速(計算値)は以下のようである。
吹出し口6からの吹出し風速: 169.6/s
試料W位置での風速: 0.63/s
排出口14での排出速度: 2.94/s
エアー流量: 200L/min
(3)気体は温度が上昇すると膨張する。
シャルルの法則の熱膨張計算式V=V。(1+θ÷273)より
V=200×(1+300÷273)÷(1+25÷273)=200×2.0989÷1.0957=384L/min(300℃のピーク流量)
384(300℃)/200(25℃)=1.92
流速は、0.63(常温)×1.921.22m/s(300℃)となる。
【0036】
(a)本実施例では、常温でのエアーの供給量200L/minを変えずに、300℃まで加熱している。よって、温度(常温時0.63/s)が上昇するにしたがって試料W位置での風速は速くなり300℃で1.22m/sまで上昇する。
(b)例えば、試料W位置での風速を、温度の上昇があっても常に一定(例えば、≒1.32/s)となるようにエアー供給量を自動的に制御するようにするのもよい。
この場合、試料W位置付近に温度センサと風速センサを設け、その検出に基づいてエアーの供給量制御手段によってエアーの供給量を制御するのがよい。
(c)熱処理風の温度を400℃とした場合には、試料W位置での風速は≒1.32/sとするのがよい。
【0037】
検査用熱処理炉1の下部板を透明板にして、その透明下部板の下方に下方から試料を計測(撮影を含む)するカメラ、フォーカス変位センサ又はラインセンサ等の光学的計測手段(撮影手段、撮像手段を含む)を設けた検査用熱処理炉を備えた検査装置を形成するのもよい。
図2において、光学的計測手段を、試料をX線撮影する下方に配置したX線発生部16、上方に配置したX線受光装置17とからなるX線光学的計測手段18とした検査用熱処理炉を備えたX線検査装置19を形成している。
上方にX線発生部16を配置し、下方にX線受光装置17を配置した構成とするのもよい。この場合い、天板はX線の透過性の良いカーボン製等(例えば、株式会社東レのカーボンコンポジット)にするのがよい。
【実施例2】
【0038】
図5図6に示す本発明の実施例2において前記実施例1と主に異なる点は、大きさ略A4版の試料Wを熱処理可能とし、吹出し口を吹出し口21とし、放散部を放散部22とした検査用熱処理炉20とした点にある。
1つの円形形態の吹出し口21は直径(φ)7mmである。
放散部22は熱処理室2の全面を仕切きる仕切り壁的(220mm×47mm)な形態で設けられ、その左上に四角形の開口24a(20mm×24mm)が設けられ、その右上に四角形の開口24b(20mm×24mm)が設けられている。
吹出し口21から吹出した熱処理風E2は放散部22の中央に当たり、放散され風速が落とされ開口24a、24bから透明テーブル11がある下流側に流入しさらに風速を落とし広がり、透明テーブル11の位置では略層流である熱処理風E3となる。
熱処理室2の体積が大きいので熱処理風生成手段は4台(図では省略。1台2kw電熱ヒータ)としていて、よってその熱処理風は熱処理風E1a、E1b、E1c、E1dとなる。
【0039】
開口を放散部22の上部側を例えば2mm~10mm程度の横長の隙間形態(放散部22の横幅と略同じないし80パーセント以上)として、吹出し口21から吹出した熱処理風E2は放散部22の中央下部側に当たるようにして、横長の隙間形態の開口から風速が落とされて流れるようにする形態もよい。
【実施例3】
【0040】
図7図10に示す本発明の実施例3において前記実施例2と主に異なる点は、混合室を小室形態である混合室40とし、熱処理風生成手段を1.2kwの熱処理風生成手段5a、5b、5c、5dの4台とし、熱処理風生成手段5a、5bを重ね形態として混合室40の左側に横向き配置し、熱処理風生成手段5c、5dを重ね形態として混合室40の平面図の左側に横向き配置し、混合室40の吹出し口を吹出し口41とし、吹出し口41下流に該吹出し口41(φ7mm)から吹き出す熱処理風E2の主に吹き溜まりを少なくするないし生じないようにするための両側壁が直線的に拡がって行く拡がり路42が設けられ、拡がり路42の途中に放散部43を設け、天板を開閉扉形態とした扉44とした検査用熱処理炉45を形成した点にある。
【0041】
混合室40からは吹出し管46が延びて、吹出し口41のある先端は熱処理室2内に位置されている。
吹出し管46は混合室の下方側に設けられ、吹出し口41も下方側に位置されている。
熱処理風生成手段5a、5b、5c、5dは上流側に横向きの2段形態で、混合室40の左右に設けられている形態であるので装置の占有面積を小さくでき、装置の小型化ないし省スペース化を実現している。
熱処理風生成手段5a、5b、5c、5d、混合室40、吹出し管46、吹出し口41とで熱処理風供給手段49を形成している。
放散部43の開口24a、24bは縦24mm、横20mmとしている。
吹出し口41から放散部43の上部はステンレス製の覆板47によって覆われている。
拡がり路42を形成する両側壁は、断熱材からなる拡がり路形成部材48a、48bによって形成されている。
熱処理風生成手段5a、5b、5c、5dは、断熱性のカバー52によって覆われている。
堰25から排出口14に渡る天井部位はステンレス製の覆板53によって覆われている。
扉44は、一方を蝶番50a、50bによって指示され、その対抗側上部に回動操作によってロック、ロック解除を行う開閉レバー51を設けている。
【実施例4】
【0042】
図11に示す本発明の実施例4において前記実施例1と主に異なる点は、吹出し口6を上方に設け、放散部を天井側を塞ぎ下部側を開口60とした放散部61とし、この放散部61の下流側に設けた上部側を熱処理風を止め上部の開口63から流れ出るようにする堰64を設け、下部板を透明石英ガラスからなる下面に透明電導膜65を設けた第1の透明下部板66とし、この第1の透明下部板66の下方に透明石英ガラスからなる第2の透明下部板67を設け、第1の透明下部板66と第2の透明下部板67との空間は側壁によって密閉された保温室68とし、第2の透明下部板67の下方に光学的計測手段69を設けた検査装置70を形成した点にある。
【0043】
透明電導膜65は電圧を印加すると発熱する加熱手段であって、透明電導膜は透明下部板の上面に設ける形態、下面に設ける形態あるいは上面及び下面の両面に設ける形態とするのもよい。
光学的計測手段69は本実施例ではフォーカス変位センサ(変位計)を使用しているが、カメラ、又はラインセンサ等の光学的計測手段を使用するのもよい。
【0044】
透明テーブル11の平面部の面積は第1の透明下部板66の平面部の面積より小面積であり、板厚も透明テーブル11の方が薄い。
透明テーブル11と透明下部板66はいずれも表面平坦度は3μ以下とし、それぞれの両面に透過性の異なる蒸着膜等の透過膜が施している。
【0045】
試料Wを透明テーブル11の上部面に置いた状態で、試料Wからの第1の反射光と透明テーブル11の上部面からの第2の反射光を検出し、第1の反射光と第2の反射光の両方を受光したときは強い方の反射光である第1の反射光を検出する、第1の透明下部板66の下方に設けた光学的計測手段69と、本実施例にあって光学的計測手段69はこのレーザフォーカス式変位計を採用している。
レーザフォーカス式変位計である光学的計測手段69は、いくつもの反射光のうちで最も強い反射光を検出する(認識する)。
光学的計測手段69と試料Wの間で生じる反射光のうちで最も強いのは試料Wからの反射光(以下「試料反射光」という。)となるように、かつ、光学的計測手段69の透明テーブル11の上部面(基準面)との間で生じる反射光のうちで最も強いのは透明テーブル11の上部面(基準面)からの反射光(以下「基準面反射光」という。)となるように、透明テーブル11と第1の透明下部板66の透過度が蒸着膜等によって設定されている。
照射されたレーザ光によって生じる反射光は、第2の透明下部板67の下部面からの反射光、第2の透明下部板67の上部面からの反射光、第1の透明下部板66の下部面からの反射光、第1の透明下部板66の上部面からの反射光、透明導電膜3の下部面からの反射光、透明導電膜3の上部面からの反射光、上部透明基板2の下部面からの反射光、上部透明基板2の上部面である基準面からの基準面反射光、試料Wからの試料反射光が考えられる。
レーザ光が試料Wに当たっているときは、試料反射光と基準面反射光が検出できる強さであるが、基準面反射光よりも強い試料反射光が検出されると基準面反射光は検出されない。
試料Wに当たらない位置(試料が無い位置)での計測は、基準面反射光が最も強いので基準面反射光が検出され、基準面位置が計測され特定される。
よって、試料が無い箇所で基準面位置を計測し、それから試料Wにレーザ光を当て試料の位置を計測し、基準面位置から試料の距離を演算するようになっている。
試料の無い位置での基準面位置の計測は、3か所以上で行われ、その平均値を基準面としていて、それは凸凹の無い仮想基準面である。よって、基準面は実際の微細凸凹の透明テーブル11面ではない。
また、試料が無い状態で一箇所ないし多数箇所を計測しその平均値を仮想基準面とすることも可能である。
透明導電膜には、例えば、酸化インジウムを主成分とする材料(例えば、ITO(Indium Tin Oxide))、酸化亜鉛を主成分とする材料(例えば、AZO(Aluminium Zinc Oxide)、GZO(Gallium doped Zinc Oxide)等)、または酸化スズを主成分とする材料、カドミウム系、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた透明導電膜が知られている。
また、透明導電膜は、例えば、スパッタリング法、PLD(Pulsed laser deposition)法、または真空蒸着法等により、上部透明基板上に成膜することができる。
本実施例の基準面の平坦度は3μm以下としているが、これに限定されるものではない。
また、透明テーブル11、第1の透明下部板66、第2の透明下部板67の上部面および下部面平坦度は3μm以下としている。
透明テーブル11、第1の透明下部板66、第2の透明下部板67には、所定のレーザ光の透過率を得るために、その上部面および下部面に、フッ化マグネシウム、アルミ、白金、金、銀、銅、クローム、シリコン、ニッケル、5酸化チタン、ゲルマニュウム、二酸化チタン、一酸化珪素、二酸化珪素等々の蒸着物質の蒸着膜(複数物質の混合、多層有り)が施されている。
【0046】
第1の透明下部板66の上側に設けた該第1の透明下部板66よりも小面積で交換可能な透明テーブル11上面に試料を置いて検査するものであるので、大面積で高価な第1の透明下部板66を傷つけるリスクが無く、透明テーブル11上部面が傷ついた場合は小面積で安価な透明テーブル11のみを交換することで対応できる。
【実施例5】
【0047】
図12に示す本発明の実施例5において前記実施例4と主に異なる点は、第1の透明下部板66の上部面に透明テーブル11を直接載せ置いく形態とした検査装置71を形成した点にある。
第1の透明下部板66の上部面には透明テーブル11の四角を位置決めして動かないように保持する4か所の保持部材72からなる保持部73が設けられている。
保持部73は第1の透明下部板66の上部面に設けず、熱処理室2を形成する側壁側に設けるのもよい。
【実施例6】
【0048】
図13に示す本発明の実施例6において前記実施例4と主に異なる点は、テーブル高さ位置変更機構を、四方形態で配置した4本の支柱79と、該支柱79にセットするワッシャー80とからなるテーブル高さ位置変更機構81とした検査装置82を形成した点にある。
セットするワッシャー80の枚数によって透明テーブル11と第1の透明下部板66との離間距離を調節する。図では2枚ずつのワッシャー80が支柱79にそれぞれセットされている。
【実施例7】
【0049】
図14に示す本発明の実施例7において前記実施例4と主に異なる点は、テーブル高さ位置変更機構に変えて、熱処理室2を形成する側壁に固定されたプレートからなる枠体84と、該枠体84に開口した開口85と、該開口85を形成する縁からなる、透明テーブル11を載せ形態で支持するテーブル支持部86とからなるテーブル保持部87を設けた検査装置89を形成した点にある。
【0050】
前記実施例1、2、3、4、5は、特に風速、流路形態、放散部の構成、形態、位置等は多様な現実のモデルを使って観測または実験という、試行錯誤によって見出した構成ないし形態である。
【0051】
<付記A1>
試料をセットする熱処理室と、
前記試料を熱処理するための加熱風又は冷却風である熱処理風を生成する熱処理風生成手段を有し、該熱処理風を前記熱処理室に吹出す吹出し口を有する熱処理風供給手段と、を備えるとともに、
前記熱処理風の流れが、風上側である前記吹出し口側から風下側である前記試料側に流れる一方向流れであり、
前記試料位置での前記熱処理風の流れが、下流へ流れる穏やかな流れないし緩やかな流れの略層流であることを特徴とする検査用熱処理炉。
<付記A2>
前記吹出し口から吹出される前記熱処理風の全熱風を受け放散させて、前記試料位置での前記熱処理風の流れを前記略層流にする放散部を設けたことを特徴とする付記A1記載の検査用熱処理炉。
<付記A3>
前記熱処理風供給手段は、前記熱風生成手段から放出される前記熱処理風の前記熱処理室への直接的な供給を止めるとともに、前記熱処理風を混合する混合室を形成する仕切り壁が設けられていて、前記仕切り壁に前記吹出し口が設けられていて、前記混合室で混合された熱処理風が前記吹出し口から前記熱処理室へ供給されるようにしたことを特徴とする付記A1又はA2記載の検査用熱処理炉。
<付記A4>
前記吹出し口が前記仕切り壁の中のある限られた部分である局所に、1つないし複数設けた局所吹出し口であり、
前記局所吹出し口の横幅は前記仕切り壁の横幅の50%以下であることを特徴とする付記A3記載の検査用熱処理炉。
【0052】
<付記Bの発明>
<付記B1>
透明板からなる透明下部板と、
この透明下部板の上側に該透明下部板と離間して設けられた、上部面に試料を置く透明板からなる前記透明下部板とは別体である透明テーブルと、
前記透明テーブルの上下位置を変えて、前記透明テーブルと前記透明下部板との離間距離を調節することができテーブル高さ位置変更機構と、
前記透明下部板の下方から前記透明テーブル上の試料の検査を行うカメラ、フォーカス変位センサ又はラインセンサ等の光学的計測手段と、を備えてなるとともに、
前記透明下部板を取り外すことなく前記透明テーブルを取外し、新たな透明テーブルと交換することを可能としたことを特徴とする検査装置。
「前記透明下部板の下方から前記透明テーブル上の試料の検査を行う・・・光学的計測手段」とは、透明下部板が離間した複数枚である場合は、光学的計測手段はその複数枚の下方に位置して撮影することも含むものである。
<付記B2>
透明板からなる透明下部板と、
この透明下部板の上部面に直接載せ置かれた、上部面に試料を置く透明板からなる前記透明下部板とは別体である透明テーブルと、
前記透明下部板の下方から前記透明テーブル上の試料の検査を行うカメラ、フォーカス変位センサ又はラインセンサ等の光学的計測手段と、を備えてなるとともに、
前記透明下部板を取り外すことなく前記透明テーブルを取外し、新たな透明テーブルと交換することを可能としたことを特徴とする検査装置。
「前記透明下部板の下方から前記透明テーブル上の試料の検査を行う・・・光学的計測手段」とは、透明下部板が離間した複数枚である場合は、光学的計測手段はその複数枚の下方に位置して撮影することも含むものである。
<付記B3>
前記透明下部板を第1の透明下部板とし、
前記第1の透明下部板の下方に透明板からなる第2の透明下部板を設け、
この第2の透明下部板の下方に前記光学的計測手段を設けてなることを特徴とする付記B1又は付記B2記載の検査装置。
<付記Bの発明の効果>
透明下部板の上側に設けた該透明下部板よりも小面積で交換可能な透明テーブル上面に試料を置いて検査するものであるので、大面積で高価な透明下部板を傷つけるリスクが無く、透明テーブル上部面(基準面)が傷ついた場合は小面積で安価な透明テーブルのみを交換することで対応できるという効果を奏する。
【0053】
付記C1記載の発明>
試料をセットする熱処理室と、
前記試料を熱処理するための加熱風又は冷却風である熱処理風を生成する熱処理風生成手段を有し、該熱処理風を前記熱処理室に吹出す吹出し口を有する熱処理風供給手段と、を備えるとともに、
前記熱処理風の流れが、風上側である前記吹出し口側から風下側である前記試料側に流れる一方向流れであり、
前記試料位置での前記熱処理風の風速が3.0m/s~0.001/sの範囲であることを特徴とする検査用熱処理炉である。
【0054】
付記C2記載の発明>
前記吹出し口から吹出された前記熱処理風の全熱風を受け放散させて、前記試料位置での前記熱処理風の前記風速にする放散部を設けたことを特徴とする付記C1記載の検査用熱処理炉である。
【0055】
付記C3記載の発明>
前記熱処理風供給手段は、前記熱風生成手段から放出される前記熱処理風の前記熱処理室への直接的な供給を止めるとともに、前記熱処理風を混合する混合室が設けられていて、前記混合室に前記吹出し口が設けられていて、前記混合室で混合された熱処理風が前記吹出し口から前記熱処理室へ供給されるようにしたことを特徴とする付記C1、2又は3記載の検査用熱処理炉である。
【0056】
付記C4記載の発明>
前記吹出し口が1つないし複数が近接して設けられた局所吹出し口であり、該局所吹出し口の開口面積の合計が100平方ミリメートル以下であることを特徴とする付記C3記載の検査用熱処理炉。
【0057】
付記C5記載の発明>
前記熱処理室内に試料を載置する透明テーブルが設けられ、
前記透明テーブルの高さ位置を変えることを可能とするテーブル高さ位置変更機構が設けられてなることを特徴とする付記C1~3又は4記載の検査用熱処理炉である。
【0058】
付記C6記載の発明>
前記略層流の前記試料位置での風速は2m/s~1m/sであることを特徴とする検査用熱処理炉である。
【0059】
付記C7記載の発明>
付記C1~5又は6記載の検査用熱処理炉と、
この検査用熱処理炉内の試料を計測する光学的計測手段と、を備えたことを特徴とする検査用熱処理炉を備えた検査装置である。
【0060】
付記C8記載の発明>
付記C1~5又は6記載の検査用熱処理炉と、
この検査用熱処理炉内の試料をX線撮影するX線光学的計測手段と、を備えたことを特徴とする検査用熱処理炉を備えたX線検査装置である。
【0061】
以上の説明から明らかなように、付記Cの発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
以下の説明において、熱処理(熱風による加熱又は冷却風による冷却)を熱風による加熱で説明する。
付記C1記載の発明の効果>
(1)熱処理風の流れが、風上側である熱処理風供給手段側から風下側である前記試料側に流れる一方向流れであり、試料位置での前記熱処理風の流れが、風速が3.0m/s~0.001/sの範囲で下流へ流れる穏やかな流れないし緩やかな流れ(以下「略層流」ともいう。)であるものである。
試料は、低速の流れ、穏やかな流れ又は緩やかな流れである、速度・圧力・密度・温度・粘度(粘性係数)など物理量が時間的にも量的にも変化が小さい一方法流れの定常流ないし略定常流の熱風である、風速が3.0m/s~0.001/sの範囲の略層流によって加熱されるものである。
よって、試料位置での試料は、速度差、圧力差、密度差、温度差、粘度差が小さい穏やかな流れ「以下「一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風」ともいう。」であるので、試料はその全ての部分を加熱温度差が小さい状態で均一的に加熱昇温され「以下「全部分の均一的な加熱昇温」ともいう。」れる。
加熱される試料表面の温度分布は、温度分布差の小さい均一な温度分布が維持され加熱昇温することを実現するものである。
(2)試料に当たるのは一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風であるので、試料が微小、軽量、薄いものでも、動く(微移動、微振動も含む)ことがないので、それら試料の動かない状態での正確な計測を実現する。
(3)一方向流れの物理量の変化が小差の低速熱風で試料を加熱するものであるので、試料と加熱室壁の上壁および下壁またはいずれか一方の壁との間の熱風が通る間隙を狭い距離とすることを可能とする。
よって、例えば、加熱室外から試料をX線撮影しX線画像を得ようとする場合、加熱室壁の壁を挟んで試料とX線源との距離を短くでき、よって加熱室壁の上壁外からでも、下壁外からでも高解像度のX線撮影を可能とする。
(4)また、試料と上部壁との間に上間隙を設け、かつ、試料と下部壁との間に下間隙を設けた、熱風が上間隙と下間隙とを流れる形態とすることにより、試料の上部側と下部側を同一の熱状態とした該試料の挙動を実現する。
【0062】
付記C2記載の発明の効果>
付記C1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、吹出し口から吹出される熱処理風(以下「吹出し熱処理風」ともいう。)の全熱風を放散部で受け放散することで、該放散後である放散部通過の熱処理風は早々に略層流となる。
よって、吹出し口から試料位置までを短距離とでき、熱処理室の小型化を実現する。
【0063】
付記C3記載の発明の効果>
付記C1又は2記載の発明と同様な効果を奏するとともに、熱風生成手段から放出される熱処理風を混合室で混合するので、該混合室で熱風の混合均一化による温度差の少ない状態とできる。この温度差を少なくした熱処理風を吹出し口から熱処理室に供給するので、試料位置を流れる略層流とされた熱処理風は温度斑の少ないものとなり、よって試料のより均一な加熱を実現する。
【0064】
付記C4記載の発明の効果>
付記C3記載の発明と同様な効果を奏するとともに、1つないし複数が近接して設けられた吹出し口の合計面積が100平方ミリメートル以下であるので、混合室で熱風の混合均一化による温度差の少ない状態とされた熱風は局所吹出し口からの吹出しとなるので、熱処理室に供給される熱処理風はより温度変化・温度差・温度斑の少ないものとなり、よって温度斑の少ないないし無い均一な温度分布の略層流を実現する。
【0065】
付記C5記載の発明の効果>
付記C1~3又は4記載の発明と同様な効果を奏するとともに、試料を載置する透明テーブルの高さ位置を変えることができるので、試料の厚さに対応した最適な高さ位置を設定できる。
【0066】
付記C6記載の発明の効果>
付記C1~4又は5記載の発明と同様な効果を奏するとともに、風速は2m/s~1m/sであるので、より緩やかな流れの略層流を実現するので、風速による試料の動きへの影響を小さくなるので、より軽い、面積の広い試料の計測を可能とする。
【0067】
付記C7、8記載の発明の効果>
付記C1~5又は6記載の発明と同様な効果を奏する検査用熱処理炉を備えた検査装置を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、主に電子部品、電子基板などの熱処理による挙動を観測する検査装置、観測装置等を使用する産業で利用される。
【符号の説明】
【0069】
W:試料、
E1a、E1b、E1c、E1d:熱処理風、
E2:熱処理風、
E3:熱処理風、
1:検査用熱処理炉、
2:熱処理室、
3:エアー供給手段、
4a、4b、4c、4d:エアー調節手段、
5a、5b、5c、5d:熱処理風生成手段、
6:吹出し口、
7:熱処理風供給手段、
8:仕切り壁、
9:放散部、
10:混合室、
11:透明テーブル、
12:テーブル高さ位置変更機構、
12a~12d:支持支柱、
13a~13d:支持凹、
14:排出口、
14a:排出管、
15:ベース、
16;X線発生部、
17:X線受光装置、
18:X線光学的計測手段、
19:検査用熱処理炉を備えたX線検査装置、
20:検査用熱処理炉、
21:吹出し口、
22:放散部、
24a、24b:開口、
25:堰、
30:天板、
31:前板、
32:後板、
33:下部板、
35:開口、
40:混合室、
41:吹出し口、
42:拡がり路、
43:放散部、
44:扉、
45:検査用熱処理炉、
46:吹出し管、
47:覆板、
48a、48b:路形成部材、
49:熱処理風供給手段、
50a、50b:蝶番、
51:開閉レバー
52:カバー、
53:覆板、
60:開口、
61:放散部、
63:開口、
64:堰、
65:透明電導膜、
66:第1の透明下部板、
67:第2の透明下部板、
68:保温室、
69:光学的計測手段、
70:検査装置、
71:検査装置、
72:保持部材、
73:保持部、
79:支柱、
80:ワッシャー、
81:テーブル高さ位置変更機構、
82:検査装置、
84:枠体、
85:開口、
86:テーブル支持部、
87:テーブル保持部、
89:検査装置。




図1
図2
図3
図4
図5
図6
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