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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】多層粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220603BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021091189
(22)【出願日】2021-05-31
(62)【分割の表示】P 2019549521の分割
【原出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2021121681
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062845
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522063974
【氏名又は名称】コザ ノベル マテリアル コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Koza Novel Materials Korea Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】301-1, B1, No. 327 Gangnam Avenue, Seocho-gu, Seoul Special City (Daelong Seocho Tower, Seocho-dong), Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヨン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スレ・イ
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-121386(JP,A)
【文献】特開2017-66408(JP,A)
【文献】特開2008-7632(JP,A)
【文献】特開2017-72581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 4/00-4/06,7/00-7/50、133/00-133/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV硬化型多層粘着テープであって、
第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層を順次設けられ、
前記中間粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む中間粘着重合体を含み、
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して0重量部超30重量部以下であり、
前記中間粘着重合体に含まれる前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して5重量部以上20重量部以下であり、
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、各々独立して、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む外郭粘着重合体を含み、
前記外郭粘着重合体に含まれる前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して0重量部超20重量部以下であり、
前記第1外郭粘着層と中間粘着層との間に設けられた第1界面混合層、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層との間に設けられた第2界面混合層をさらに含む、多層粘着テープ。
【請求項2】
前記第1界面混合層は前記第1外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含み、前記第2界面混合層は前記第2外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含む、請求項に記載の多層粘着テープ。
【請求項3】
前記中間粘着層のガラス転移温度は前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度より高く、
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度と前記中間粘着層のガラス転移温度との差は5℃以上40℃以下である、請求項1又は2に記載の多層粘着テープ。
【請求項4】
前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、各々、1:0.5~1:2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項5】
前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下である、請求項に記載の多層粘着テープ。
【請求項6】
前記多層粘着テープは、第1外郭粘着剤組成物、中間粘着剤組成物および第2外郭粘着剤組成物を順次積層した後、同時に硬化して製造される、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層粘着テープの製造方法
【請求項7】
前記第1外郭粘着剤組成物と前記中間粘着剤組成物の界面、および前記中間粘着剤組成物と前記第2外郭粘着剤組成物の界面には各々液混じりに応じた界面層が存在する、請求項に記載の多層粘着テープの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多層粘着テープが提供される。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、様々な部材が粘着剤によって貼り付けられる。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルムおよび輝度向上フィルムなどのような様々な光学部材が粘着テープによって貼り付けられる。最近、粘着テープを用いる機器の性能向上に応じて、粘着テープに求められる物性も次第に厳しくなっている。具体的には、高い温度変動に応じた優れた耐久性および半永久的な粘着性能を要求する場合もある。さらには、再施工のために粘着テープを除去する時に残余物が残らないリワーク性を要求する場合もある。このように向上した要求事項に適した粘着テープに関する持続的な研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開公報:KR 10-2016-0025050 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
極低温の雰囲気においても層間の界面分離が発生しない多層粘着テープが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様において、多層粘着テープであって、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられ、前記多層粘着テープは、液化窒素で15秒間処理した後にも、前記第1外郭粘着層、前記中間粘着層および前記第2外郭粘着層間の付着力が保持される、多層粘着テープが提供される。
【発明の効果】
【0006】
一実施態様による多層粘着テープは、極低温の雰囲気においても層間の界面分離が発生しないため、優れた耐久性を実現することができる。
一実施態様による多層粘着テープは、温度変動の大きい雰囲気においても性能の低下を最小化することができるため、それを適用した機器の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0007】
一実施態様による多層粘着テープは、高い段差埋め込み性を示すと同時に高いリワーク性を有する。
一実施態様による多層粘着テープは、簡単な方法により製造することができるため、製造費用の節減を図ることができる。
一実施態様による多層粘着テープは、高い打ち抜き性を有するため、カット時に誤差を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。
図2】一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0010】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0011】
本明細書において、用語「モノマーの重合単位」とは、そのモノマーが重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している形態を意味する。
【0012】
本明細書において、単位「重量部」とは、各成分間の重量の比率を意味する。
【0013】
以下では本明細書についてより詳しく説明する。
一実施態様において、多層粘着テープであって、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられ、前記多層粘着テープは、液化窒素で15秒間処理した後にも、前記第1外郭粘着層、前記中間粘着層および前記第2外郭粘着層間の付着力が保持される、多層粘着テープが提供される。
【0014】
図1は、一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。具体的には、図1は、第1外郭粘着層101、中間粘着層201および第2外郭粘着層102が順次積層された多層粘着テープの積層構造の模式図である。
【0015】
前記多層粘着テープは、液化窒素で15秒間処理した後にも、層間の界面分離現象が発生しない。すなわち、前記多層粘着テープは、液化窒素で15秒間処理した後にも、前記第1外郭粘着層、前記中間粘着層および前記第2外郭粘着層間の付着力が保持される。
【0016】
一般的な多層粘着テープの場合、各々の粘着層を製造した後、それを圧着または別途の接着剤を用いて貼り付ける。それにより、極低温または温度変化の激しい環境では、各層間の界面分離が発生して多層粘着テープとしての機能を果たせないという問題がある。それに対し、一実施態様による多層粘着テープは、極低温の雰囲気においても層間の界面分離現象が発生しない。したがって、一実施態様による多層粘着テープは、従来の多層粘着テープの問題を解決したという長所がある。
【0017】
前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層および前記第2外郭粘着層を貼り付けるために個別の接着剤を用いなくてもよい。
【0018】
前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層と中間粘着層との間に設けられた第1界面混合層、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層との間に設けられた第2界面混合層をさらに含むことができる。具体的には、前記第1界面混合層は前記第1外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含み、前記第2界面混合層は前記第2外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含むことができる。
【0019】
図2は、一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。具体的には、図2は、第1外郭粘着層101と中間粘着層201との間に第1界面混合層301が設けられ、中間粘着層201と第2外郭粘着層102との間に第2界面混合層302が設けられた多層粘着テープの積層構造の模式図である。
【0020】
前記多層粘着テープは、第1外郭粘着剤組成物、中間粘着剤組成物および第2外郭粘着剤組成物を順次積層した後、同時に硬化、具体的には光硬化して製造されるものであってもよい。
【0021】
前記第1外郭粘着剤組成物は硬化後に前記第1外郭粘着層を構成し、前記中間粘着剤組成物は硬化後に前記中間粘着層を構成し、前記第2外郭粘着剤組成物は硬化後に前記第2外郭粘着層を構成することができる。具体的には、前記多層粘着テープは、各層を別途に製造した後にそれを接合するのではなく、液状組成物を積層した後にそれを同時に硬化する方法により製造できる。したがって、前記多層粘着テープの各層間には液混じり区間が発生しうる。前記多層粘着テープは、このような液混じり区間により、一般的な多層粘着テープに比べて優れた層間付着力を確保することができる。また、前記多層粘着テープは、このような液混じり区間により、極低温の環境においても層間の界面分離現象を防止することができる。
【0022】
前記第1外郭粘着剤組成物と前記中間粘着剤組成物の界面、および前記中間粘着剤組成物と前記第2外郭粘着剤組成物の界面には、各々液混じりに応じた界面層が存在しうる。具体的には、前記第1外郭粘着剤組成物と前記中間粘着剤組成物の界面における液混じりによる界面層は、硬化後に前記第1界面混合層を構成することができる。また、前記中間粘着剤組成物と前記第2外郭粘着剤組成物の界面における液混じりによる界面層は、硬化後に前記第2界面混合層を構成することができる。
【0023】
前記第1外郭粘着剤組成物、前記中間粘着剤組成物および前記第2外郭粘着剤組成物は、順次に基材上に塗布されることができる。また、前記第1外郭粘着剤組成物、前記中間粘着剤組成物および前記第2外郭粘着剤組成物は、同時に基材上に順次塗布されることができる。前記粘着剤組成物を塗布する方法としては、スロット-ダイ、リップ-ダイなどの当業界で一般的に用いられる方法を用いることができる。
【0024】
本明細書において、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Q-1000、TA Instrument社)を用いて-70℃~100℃の温度範囲で加熱速度5℃/minで昇温して測定した。この時、ガラス転移温度はDSC曲線の中間点に決定する。
【0025】
前記中間粘着層のガラス転移温度は、-40℃以上0℃以下、-40℃以上-15℃以下、-40℃以上-20℃以下、または-35℃以上-25℃以下であってもよい。前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープの打ち抜き性が向上する。また、前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープはハンドリングが容易である。さらに、前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープの段差埋め込み性をさらに向上させることができる。
【0026】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度は、各々、-60℃以上-20℃以下、-60℃以上-30℃以下、-60℃以上-40℃以下、または-55℃以上-45℃以下であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度が前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性を実現することができ、打ち抜き性の低下を最小化することができる。
【0027】
前記中間粘着層のガラス転移温度は、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度より高くてもよい。相対的に高いガラス転移温度を有する前記中間粘着層は、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々より高い引張力を有することができる。相対的に高いガラス転移温度および高い引張力を有する中間粘着層により、前記多層粘着テープは、被着体に貼り付けてから再施工のために除去する時によく切れない。したがって、前記多層粘着テープは除去が容易な長所がある。すなわち、前記中間粘着層は、前記多層粘着テープのリワーク性を向上させる役割をすることができる。さらに、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、低いガラス転移温度を有するため、高い段差埋め込み性を実現することができる。具体的には、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、低いガラス転移温度によって高い流動性を実現することができ、これは段差部を効果的に埋め込みできる。
【0028】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度と前記中間粘着層のガラス転移温度との差は、5℃以上40℃以下、具体的には、5℃以上25℃以下であってもよい。
【0029】
前記多層粘着テープは、各々物性が異なる粘着層を含むため、高い段差埋め込み性と高いリワーク性を同時に実現することができる。特に、前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々と前記中間粘着層とのガラス転移温度の差が前記範囲を満たす場合、最適な性能を発揮することができる。
【0030】
前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、各々、1:0.5~1:2、具体的には、1:0.8~1:1.4であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々に対する前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性を確保すると同時に優れたリワーク性を実現することができる。
【0031】
前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下、50μm以上100μm以下、50μm以上80μm以下、または60μm以上80μm以下であってもよい。前記中間粘着層の厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは適切な硬度を示すことができ、それにより、前記多層粘着テープは優れたリワーク性と段差埋め込み性を有することができる。また、前記中間粘着層の厚さが前記範囲内である場合、極低温の環境で中間粘着層そのものが分離する現象が防止できる。また、前記中間粘着層の厚さの範囲、そして前記中間粘着層の前記第1外郭粘着層および第2外郭粘着層各々との厚さ比の範囲が保持される場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性とリワーク性を同時に実現することができる。
【0032】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、各々、25μm以上200μm以下、具体的には、45μm以上120μm以下であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性、リワーク性および長期耐久性を同時に実現することができる。また、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さが前記範囲内である場合、極低温の環境においても、前記第1外郭粘着層および第2外郭粘着層は、前記多層粘着テープから分離されず、その形状を保持することができる。
【0033】
前記多層粘着テープの総厚さは、100μm以上250μm以下、100μm以上200μm以下、または120μm以上170μm以下であってもよい。前記多層粘着テープの総厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、比較的に薄い厚さを有するにもかかわらず、高い粘着力、段差吸収性およびリワーク性を有することができる。
【0034】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、同一な粘着剤組成物を用いて形成されたものであってもよい。さらに、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは同一であってもよい。
【0035】
前記中間粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第2界面混合層の中心までの最短距離であってもよい。また、前記第1外郭粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第1外郭粘着層の外側面までの最短距離であってもよい。さらに、前記第2外郭粘着層の厚さは、前記第2界面混合層の中心から前記第2外郭粘着層の外側面までの最短距離であってもよい。
【0036】
前記中間粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む中間粘着重合体を含むことができる。
【0037】
前記中間粘着重合体において、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、30重量部以上90重量部以下、50重量部以上85重量部以下、または60重量部以上85重量部以下であってもよい。
【0038】
前記中間粘着重合体において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、0重量部超30重量部以下であってもよい。前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、被着体に対する適切な付着力を有し、高い段差埋め込み性を有し、向上したリワーク性を有することができる。具体的には、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、適切な強度を保持することができるため、再施工が必要な場合に容易に除去できる。また、前記含量の範囲内で、前記中間粘着剤組成物は容易に塗布および硬化することができる。また、前記含量の範囲内で、中間粘着層内の遅延気泡(delayed bubble)の発生を最小化することができる。
【0039】
前記中間粘着重合体において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下であってもよい。前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、適切なレベルでリワーク性と段差埋め込み性を同時に有することができる。また、前記含量の範囲内で、前記中間粘着層は適切な凝集力を確保することができる。それにより、前記多層粘着テープの段差埋め込み性および打ち抜き性能を効果的に向上でき、前記多層粘着テープが被着体に貼り付けられてから一定時間の経過後に発生する遅延気泡(delayed bubble)の発生量を最小化できる。
【0040】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、各々独立して、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む外郭粘着重合体を含むことができる。
【0041】
前記外郭粘着層において、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して、50重量部以上95重量部以下、60重量部以上90重量部以下、または80重量部以上90重量部以下であってもよい。
【0042】
前記外郭粘着重合体において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して、0重量部超20重量部以下、0重量部超10重量部以下、0重量部超5重量部以下、1重量部以上10重量部以下、または1重量部以上5重量部以下であってもよい。前記外郭粘着層において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、適切な付着力および段差埋め込み性を同時に有することができる。さらに、前記多層粘着テープの段差埋め込み性および打ち抜き性能を効果的に向上でき、前記多層粘着テープが被着体に貼り付けられてから一定時間の経過後に発生する遅延気泡(delayed bubble)の発生量を最小化できる。
【0043】
前記外郭粘着重合体は、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位をさらに含むことができる。
【0044】
前記ヘテロシクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在せず炭素以外のヘテロ元素が含まれた環構造を含むことができる。さらに、前記ヘテロシクロアルキル基は、炭素数3~20の単環式環(monocyclic ring)または多環式環(polycyclic ring)の構造において一つ以上の炭素がヘテロ元素で置換された構造を含むことができる。
【0045】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはテトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロピラニルアクリレート(THPA)、アクリロイルモルホリンおよび環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA、cyclictrimethylol-propaneformalacrylate)からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0046】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下、具体的には、5重量部以上15重量部以下であってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層が低いガラス転移温度(Tg)を有することができる。それにより、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、優れた粘着力と向上した濡れ(wetting)性を有することができる。
【0047】
前記中間粘着重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび極性官能基含有モノマーを含む組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。具体的には、前記粘着重合体は、前記組成物を熱重合および/または光重合によって前記モノマーを重合して形成されたものであってもよい。
【0048】
また、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、各々、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび極性官能基含有モノマーを含む組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。具体的には、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、前記組成物を熱重合および/または光重合によって前記モノマーを重合して形成されたものであってもよい。
【0049】
前記中間粘着重合体、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、各々、当業界で一般的に用いられる架橋剤、開始剤、粘着付与剤などの追加物質を必要に応じてさらに含むことができる。
【0050】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
【0051】
前記シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができる。さらに、前記シクロアルキル基は、炭素数3~20の単環式環(monocyclic ring)または多環式環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0052】
前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであってもよい。具体的には、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートおよびイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0053】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはシクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)および3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0054】
前記極性官能基含有モノマーはヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーおよび窒素含有モノマーからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0055】
前記ヒドロキシ基含有モノマーは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0056】
前記カルボキシ基含有モノマーはアクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、3-カルボキシプロピルアクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸およびマレイン酸からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
前記窒素含有モノマーは2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミドおよびN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0057】
前記多層粘着テープは、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルムおよび輝度向上フィルムなどのような様々な光学部材の貼り付けのための用途として用いることができる。但し、これらに限定されるものではなく、当業界で使用できる用途として特に制限されずに用いることができる。
【実施例
【0058】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明することにする。但し、本発明に係る実施例は種々の他の形態に変形することができるものであって、本発明の範囲が下記に記述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0059】
[中間粘着剤組成物の製造]
75重量部の2-メチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸、5重量部の2-ヒドロキシエチルアクリレートおよび5重量部のジメチルアクリルアミドを含む中間粘着剤組成物を製造した。
【0060】
[外郭粘着剤組成物の製造]
88重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のテトラヒドロフルフリルメタクリレートおよび2重量部のアクリル酸を含む外郭粘着剤組成物を製造した。
【0061】
[実施例]
前記製造された中間粘着剤組成物および外郭粘着剤組成物を同時コーティングして外郭粘着剤組成物、中間粘着剤組成物および外郭粘着剤組成物を積層した後、ブラックライトでUV硬化させて第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられた多層粘着テープを製造した。実施例により製造された多層粘着テープの各層の厚さは下記の表1のとおりである。
【0062】
さらに、実施例のように製造された多層粘着テープの段差埋め込み性、打ち抜き性、極低温での界面分離現象の有無および高温での界面分離現象の有無などを下記の表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
[比較例]
前記製造された中間粘着剤組成物をブラックライトでUV硬化させて中間粘着層を製造し、前記製造された外郭粘着剤組成物をブラックライトでUV硬化させて第1および第2外郭粘着層を製造した。そして、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層の順に積層した後、それらを張り合わせる合板方式で多層粘着テープを製造した。比較例により製造された多層粘着テープの各層の厚さは下記の表2のとおりである。
【0065】
【表2】
【0066】
段差埋め込み性能の評価
段差クーポンを用いて測定された段差埋め込み個数によって段差克服性能を評価した。具体的には、段差が40μmの印刷層がある0.55T厚さのガラス基板に製造された多層粘着テープをラミネートし、1T厚さのガラス基板を前記多層粘着テープ上に張り合わせ、40℃および4barの条件で20分間オートクレーブを実施した後、段差を十分に克服できずに生成される遅延気泡(delayed bubble)の個数を測定し、1個以下の場合には「○○○」に、2個の場合には「○○」に、3個の場合には「○」に、4個以上の場合には「x」に示した。
【0067】
打ち抜き性能の評価
製造された多層粘着テープをトムソン打抜機を用いて打ち抜く時、刃部および打ち抜き部に糊残りが発生する否かを測定した。具体的には、刃の4面のうち1面に多層粘着テープがくっ付いている場合には「Х」に、2面にくっ付いている場合には「ХХ」に、3面以上にくっ付いている場合には「ХХХ」に、多層粘着テープが全くくっ付いておらず、サイドに残っている多層粘着テープと再付着してburrが2面から除去されない場合には「○」に、サイドに残っている多層粘着テープと再付着してburrが1面から除去されない場合には「○○」に、サイドに残っている多層粘着テープと再付着なしにburrの除去が容易な場合には「○○○」に示す。
【0068】
極低温での界面分離の評価
製造された多層粘着テープの両面に離型ライナーを付着し、5cm×5cm大きさのサンプルに作った。そして、製造されたサンプルを液体窒素に15秒間浸して取り出した後、試片に圧力を加えて亀裂させた。離型ライナーを剥がした後、多層粘着テープを90度ジグに付着し、断面を確認して中間粘着層と外郭粘着層間の界面が分離したか否か確認した。
【0069】
高温での界面分離の評価
多層粘着テープの両面にステンレス基板を各々付着した後、一方のステンレス基板に1~5kgの錘をかけ、他方をジグにぶら下げ、80℃のオーブンに24時間放置して、中間粘着層と外郭粘着層間の界面が分離したか否か確認した。
【0070】
表1および表2の結果によれば、本実施例に係る多層粘着テープは、極低温および高温においても層間の界面分離が発生しないことが分かる。それに対し、合板に製造した比較例による多層粘着テープは、極低温および高温において層間の界面分離が発生したことが分かる。
【0071】
さらに、表1によれば、中間粘着層と外郭粘着層の比率(M/O)が0.8~1.4以内である場合、製造された多層粘着テープは、段差埋め込み性および打ち抜き性を全て満たすのを確認することができた。また、これは、極低温および高温での界面分離現象も防止できるのを確認することができた。
【符号の説明】
【0072】
101 ・・・第1外郭粘着層
102 ・・・第2外郭粘着層
201 ・・・中間粘着層
301 ・・・第1界面混合層
302 ・・・第2界面混合層
図1
図2