IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コザ ノベル マテリアル コリア カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】多層粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220603BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220603BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20220603BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J11/08
B32B27/30 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020537684
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2019013315
(87)【国際公開番号】W WO2020080743
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0123301
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522063974
【氏名又は名称】コザ ノベル マテリアル コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Koza Novel Materials Korea Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】301-1, B1, No. 327 Gangnam Avenue, Seocho-gu, Seoul Special City (Daelong Seocho Tower, Seocho-dong), Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フ・ヨン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】スレ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-013361(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0128743(KR,A)
【文献】特開2017-171749(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0025050(KR,A)
【文献】特開2014-205735(JP,A)
【文献】特開2012-067279(JP,A)
【文献】特開2002-194301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
C09J 133/04
C09J 11/08
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外郭粘着層と、第2外郭粘着層と、前記第1外郭粘着層と前記第2外郭粘着層との間に位置する中間粘着層とからなり、引張強度が40,000gf/mm以上50,000gf/mm以下である多層粘着フィルムであって、
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、第1樹脂および重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/mol以下のアクリレート系樹脂を含む外郭粘着組成物の硬化物であり、
前記第1樹脂は、ガラス転移温度が-50℃以上-0℃以下であり、第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第1組成物の重合体であり、
前記中間粘着層は、第2樹脂を含む中間粘着組成物の硬化物であり、
前記第2樹脂は、ガラス転移温度が-0℃以上-20℃以下であり、第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第2組成物の重合体である多層粘着フィルム。
【請求項2】
前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、メチル(メタ)アクリレートモノマー、エチル(メタ)アクリレートモノマー、n-プロピル(メタ)アクリレートモノマー、イソプロピル(メタ)アクリレートモノマー、n-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、sec-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、ペンチル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルブチル(メタ)アクリレートモノマー、n-オクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソオクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソノニル(メタ)アクリレートモノマー、ラウリル(メタ)アクリレートモノマー、およびテトラデシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上である、請求項1に記載の多層粘着フィルム。
【請求項3】
前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第1組成物100重量部に対して、50重量部以上80重量部以下の含有量で含まれる、請求項1または2に記載の多層粘着フィルム。
【請求項4】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートモノマー、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレートモノマー、アクリロイルモルホリンモノマー、およびサイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレートモノマーの中から選択された1種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項5】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第1組成物100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下の含有量で含まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項6】
前記アクリレート系樹脂は、エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートモノマー、およびベンゾフェノン(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上の重合体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項7】
前記アクリレート系樹脂は、前記第1樹脂100重量部に対して、5重量部以上15重量部以下の含有量で含まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項8】
前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、メチル(メタ)アクリレートモノマー、エチル(メタ)アクリレートモノマー、n-プロピル(メタ)アクリレートモノマー、イソプロピル(メタ)アクリレートモノマー、n-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、sec-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、ペンチル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルブチル(メタ)アクリレートモノマー、n-オクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソオクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソノニル(メタ)アクリレートモノマー、ラウリル(メタ)アクリレートモノマー、およびテトラデシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項9】
前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第2組成物100重量部に対して、30重量部以上60重量部以下の含有量で含まれる、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項10】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマーおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項11】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第2組成物100重量部に対して、10重量部以上30重量部以下の含有量で含まれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項12】
前記第1組成物は、第1極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第1アクリルアミド系モノマーの中から選択された1種以上をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項13】
前記第2組成物は、第2極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第2アクリルアミド系モノマーの中から選択された1種以上をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項14】
前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、それぞれ1:3~4:7である、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【請求項15】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、それぞれ15μm以上50μm以下であり、前記中間粘着層の厚さは、30μm以上150μm以下である、請求項14に記載の多層粘着フィルム。
【請求項16】
前記第1外郭粘着層、前記第2外郭粘着層、および前記中間粘着層は、前記外郭粘着組成物および前記中間粘着組成物が同時に硬化されて形成されたものである、請求項1~15のいずれか一項に記載の多層粘着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年10月16日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0123301号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、多層粘着フィルムに関し、具体的には、段差吸収性およびリワーク性に優れた多層粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の多様な部材は粘着フィルムによって付着する。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルム、および輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材が存在するが、これらは粘着フィルムによって付着できる。
【0003】
一方、タッチパネルのような光学部材に用いられる粘着フィルムは、印刷段差がある基板などに適用可能である。この時、粘着フィルムが印刷段差を吸収できる程度に十分な段差吸収性を有さないと十分な粘着性を発揮しにくくなり、ひいては、段差付近に遅延性気泡が発生して製品の耐久性に問題が発生する。
【0004】
また、光学部材を粘着フィルムに付着時に不良が発生する場合、光学部材の再使用のために粘着フィルムを除去する時、光学部材に残渣が残ると再使用が不可な問題が発生する。
【0005】
そこで、高い段差吸収性を有し、リワーク性に優れた粘着フィルムが必要なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開公報:KR10-2013-0131795A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明がなそうとする技術的課題は、高い段差吸収性を有し、リワーク性に優れた多層粘着フィルムを提供することである。
【0008】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様は、第1外郭粘着層と、第2外郭粘着層と、前記第1外郭粘着層と前記第2外郭粘着層との間に位置する中間粘着層とからなり、引張強度が40,000gf/mm以上50,000gf/mm以下である多層粘着フィルムであって、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、第1樹脂および重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/mol以下のアクリレート系樹脂を含む外郭粘着組成物の硬化物であり、前記第1樹脂は、ガラス転移温度が-50℃以上-30℃以下であり、第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第1組成物の重合体であり、前記中間粘着層は、第2樹脂を含む中間粘着組成物の硬化物であり、前記第2樹脂は、-40℃以上-20℃以下であり、第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第2組成物の重合体である多層粘着フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施態様に係る多層粘着フィルムは、高い段差吸収性および優れたリワーク性を同時に実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0013】
本明細書において、単位「重量部」は、各成分間の重量比率を意味することができる。
【0014】
本明細書において、「モノマー(monomer)」は、ポリマー形成反応条件で追加的に一連の同一または異なる分子で共有結合を形成可能な物質を意味することができる。すなわち、「モノマー(monomer)」は、ポリマー形成のための重合反応時、1つの物質がポリマー配列(sequence)の繰り返し単位、すなわちモノマー単位(monomer unit)に変換される。
【0015】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施態様は、第1外郭粘着層と、第2外郭粘着層と、前記第1外郭粘着層と前記第2外郭粘着層との間に位置する中間粘着層とからなり、引張強度が40,000gf/mm以上50,000gf/mm以下である多層粘着フィルムであって、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、第1樹脂および重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/mol以下のアクリレート系樹脂を含む外郭粘着組成物の硬化物であり、前記第1樹脂は、-50℃以上-30℃以下であり、第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第1組成物の重合体であり、前記中間粘着層は、第2樹脂を含む中間粘着組成物の硬化物であり、前記第2樹脂は、ガラス転移温度が-40℃以上-20℃以下であり、第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む第2組成物の重合体である多層粘着フィルムを提供する。
【0017】
本発明の一実施態様に係る粘着フィルムは、第1外郭粘着層と、第2外郭粘着層と、前記第1外郭粘着層と前記第2外郭粘着層との間に前記第1外郭粘着層および前記第2粘着層とは異なる中間粘着層とを含む多層構造を有することにより、粘着層が1層の場合と異なって高い段差吸収性と優れたリワーク性を同時に実現することができる。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、第1外郭粘着層および第2外郭粘着層は、第1樹脂および重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/mol以下のアクリレート系樹脂を含む外郭粘着組成物の硬化物である。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、外郭粘着組成物に含まれる第1樹脂のガラス転移温度は、-50℃以上-30℃以下である。例えば、-50℃以上-35℃以下、-50℃以上-40℃以下、-50℃以上-45℃以下、-47℃以上-45℃以下、-46℃以上-45℃以下、または-47℃以上-46℃以下であってもよい。前記第1樹脂のガラス転移温度が前記範囲内の場合、前記多層粘着フィルムは、優れた段差吸収性を実現することができ、リワーク性をより向上させることができる。
【0020】
本発明の一実施態様によれば、前記第1組成物は、第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、メチル(メタ)アクリレートモノマー、エチル(メタ)アクリレートモノマー、n-プロピル(メタ)アクリレートモノマー、イソプロピル(メタ)アクリレートモノマー、n-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、sec-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、ペンチル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルブチル(メタ)アクリレートモノマー、n-オクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソオクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソノニル(メタ)アクリレートモノマー、ラウリル(メタ)アクリレートモノマー、およびテトラデシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、第1組成物100重量部に対して、50重量部以上80重量部以下であってもよい。具体的には、55重量部以上80重量部以下、60重量部以上80重量部以下、65重量部以上80重量部以下、70重量部以上80重量部以下、75重量部以上80重量部以下、74重量部以上77重量部以下、74重量部以上76重量部以下、74重量部以上75重量部以下、75重量部以上77重量部以下、または75重量部以上76重量部以下であってもよい。前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、前記第1外郭粘着層の流動性を実現することにより、多層粘着フィルムの段差吸収性を高めることができる。また、前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、前記第1外郭粘着層は、適切な粘着力を実現して前記多層粘着フィルムの粘着性能を向上させることができる。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、ヘテロシクロアルキル基内に不飽和結合が存在せず炭素以外の異種元素が含まれた環構造を含むことができ、炭素数2以上20以下の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)構造を含むことができる。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートモノマー、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレートモノマー、アクリロイルモルホリンモノマー、およびサイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレートモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。
【0025】
一方、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、分子内に極性の部分が存在して水分と結合できるので、これを含む粘着層は、高温および高湿条件で耐久性に優れ、白濁現象が起こらない。
【0026】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、第1組成物100重量部に対して、5重量部以上10重量部以下であってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、第1樹脂が一定範囲のガラス転移温度を有するようにして、多層粘着フィルムのリワーク性の低下を最小化することができる。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、外郭粘着組成物に含まれるアクリレート系樹脂は、重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/mol以下である。前記アクリレート系樹脂の重量平均分子量は、具体的には、30,000g/mol以上50,000g/mol以下、30,000g/mol以上40,000g/mol以下であってもよい。前記アクリレート系樹脂の重量平均分子量が前記範囲内の場合、アクリレート系樹脂は、アクリレート系樹脂のガラス転移温度より高い温度でねじれが発生しにくく、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の流動性を適切に実現することができる。そして、多層粘着フィルムの段差吸収性を高めることができる。前記アクリレート系樹脂は、可塑剤の役割を果たすものであって、柔軟性と弾性を向上させる化合物の重合体であり得る。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記アクリレート系樹脂は、エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートモノマー、およびベンゾフェノン(メタ)アクリレートモノマーからなる群より選択された1種以上の重合体であってもよい。具体的には、前記アクリレート系樹脂は、エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートモノマーの重合体であってもよいし、この時、前記イソボルニル(メタ)アクリレートモノマーは、全モノマー100重量部に対して、70重量部以上90重量部以下で含まれる。前記アクリレート系樹脂は、ガラス転移温度が40℃以上60℃以下であってもよい。前記アクリレート系樹脂のガラス転移温度は、具体的には、45℃以上55℃以下、47℃以上53℃以下であってもよい。前記アクリレート系樹脂のガラス転移温度が前記範囲内の場合、常温での流動性が少なく、結果的に前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のリワーク性を向上させることができる。また、段差吸収性を高めることができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記外郭粘着組成物は、前記アクリレート系樹脂を、前記第1樹脂100重量部に対して、5重量部以上15重量部以下の含有量で含むことができる。具体的には、7重量部以上13重量部以下、さらに具体的には、9重量部以上11重量部以下であってもよい。前記アクリレート系樹脂の含有量が前記範囲内の場合、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の流動性を適切に実現することにより、段差吸収性を高めることができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、同一または異なる外郭粘着組成物の硬化物であってもよい。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、中間粘着層は、第2樹脂を含む中間粘着組成物の硬化物である。本発明の一実施態様によれば、前記第2樹脂は、第2組成物の重合体である。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記第2樹脂のガラス転移温度は、-40℃以上-20℃以下である。具体的には、-35℃以上-20℃以下、-30℃以上-20℃以下、-25℃以上-20℃以下、-24℃以上-20℃以下、または-23℃以上-20℃以下であってもよく、さらに具体的には、-22℃以上-20℃以下であってもよい。前記第2樹脂のガラス転移温度が前記範囲内の場合、前記多層粘着フィルムのリワーク性を向上させることができ、段差吸収性をより向上させることができる。
【0033】
前記第2組成物は、第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよびシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーを含む。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、メチル(メタ)アクリレートモノマー、エチル(メタ)アクリレートモノマー、n-プロピル(メタ)アクリレートモノマー、イソプロピル(メタ)アクリレートモノマー、n-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、sec-ブチル(メタ)アクリレートモノマー、ペンチル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、2-エチルブチル(メタ)アクリレートモノマー、n-オクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソオクチル(メタ)アクリレートモノマー、イソノニル(メタ)アクリレートモノマー、ラウリル(メタ)アクリレートモノマー、およびテトラデシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。
【0035】
前記第1樹脂に含まれる第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーと前記第2樹脂に含まれる第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、同一または異なるものを使用することができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、前記第2組成物100重量部に対して、30重量部以上60重量部以下であってもよい。具体的には、35重量部以上60重量部以下、40重量部以上60重量部以下、45重量部以上60重量部以下、50重量部以上60重量部以下、35重量部以上55重量部以下、40重量部以上55重量部以下、45重量部以上55重量部以下、または50重量部以上55重量部以下であってもよい。前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、中間粘着層のリワーク性の低下を最小化することができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマーおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、ガラス転移温度が高くて反応性が遅いメタクリレート系モノマーであることが好ましい。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、第2組成物100重量部に対して、10重量部以上30重量部以下であってもよい。具体的には、13重量部以上30重量部以下、16重量部以上30重量部以下、16重量部以上25重量部以下、16重量部以上20重量部以下、または18重量部以上20重量部以下であってもよい。前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、第2樹脂が特定範囲のガラス転移温度を有するようにして、多層粘着フィルムのリワーク性を向上させることができ、段差吸収性の低下を最小化することができる。具体的には、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記範囲内の場合、多層粘着フィルムの引張強度を適切に維持させることができるので、再施工が必要な場合、粘着フィルムの除去を容易にできる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、第1外郭粘着層および第2外郭粘着層は、外郭粘着組成物に含まれる第1樹脂のガラス転移温度を、中間粘着組成物に含まれる第2樹脂のガラス転移温度より低くして、流動性を実現することにより、段差吸収性を高めることができる。すなわち、外郭粘着層は、段差部の埋め込みを効果的に行うことができる。
【0040】
さらに、中間粘着層は、中間粘着組成物に含まれる第2樹脂のガラス転移温度を、外郭粘着組成物に含まれる第1樹脂のガラス転移温度より高く実現することにより、凝集力が向上するようにして、結果的に多層粘着フィルムの引張強度を向上させることができる。すなわち、相対的に高いガラス転移温度を有する中間粘着層を介して、前記多層粘着フィルムは、被着体に付着した後、再施工のために除去する時に切れにくくてリワーク性に優れることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記第1樹脂および第2樹脂のガラス転移温度の差が20℃以上27℃以下であってもよい。具体的には、23℃以上26℃以下であってもよく、さらに具体的には、23℃以上24℃以下または25℃以上26℃以下であってもよい。この場合、段差吸収性とリワーク性が特に優れることができる。
【0042】
本発明の一実施態様に係る多層粘着フィルムの引張強度は、40,000gf/mm以上50,000gf/mm以下である。例えば、41,000gf/mm以上47,000gf/mm以下、41,000gf/mm以上44,000gf/mm以下、41,000gf/mm以上43,000gf/mm以下、43,000gf/mm以上47,000gf/mm以下、または44,000gf/mm以上47,000gf/mm以下であってもよい。前記粘着フィルムの引張強度が前記範囲内の場合、高い段差吸収性および優れたリワーク性を同時に実現することができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記第1組成物は、前記第1アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーのほかに、第1極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第1アクリルアミド系モノマーの中から選択された1種以上をさらに含んでもよい。また、前記第1組成物は、イソボルニル(メタ)アクリレートモノマー、シクロヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、およびジシクロペンタジエン(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記第2組成物は、前記第2アルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート系モノマーのほかに、第2極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第2アクリルアミド系モノマーの中から選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0045】
前記第1極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第2極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、それぞれ独立して、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートモノマー、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートモノマー、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートモノマー、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートモノマー、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。
【0046】
前記第1極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーおよび第2極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、ヒドロキシ基を含有する化合物で水分と結合可能で、これを含む粘着層は、高温および高湿条件で耐久性に優れ、白濁現象が起こらない。
【0047】
一方、前記第1アクリルアミド系モノマーおよび第2アクリルアミド系モノマーは、それぞれ独立して、N,N-ジメチルアクリルアミドモノマー、N,N-ジメチルメタクリルアミドモノマー、N-エチルメタクリルアミドモノマー、N-エチルアクリルアミドモノマー、N,N-ジエチルアクリルアミドモノマー、およびN-プロピルアクリルアミドモノマーの中から選択された1種以上であってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記第1極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第1組成物100重量部に対して、10重量部以上15重量部以下で含まれる。前記第1極性官能基含有モノマーの含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着フィルムのリワーク性と段差吸収性を同時に適切な水準で実現できるという利点がある。一方、前記第1アクリルアミド系モノマーは、前記第1組成物100重量部に対して、3重量部以上6重量部以下で含まれる。具体的には、4重量部以上6重量部以下、さらに具体的には、5重量部以上6重量部以下で含まれる。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記第2極性官能基含有(メタ)アクリレート系モノマーは、前記第2組成物100重量部に対して、15重量部以上20重量部以下で含まれる。前記第2極性官能基含有モノマーの含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着フィルムのリワーク性と段差吸収性を同時に適切な水準で実現できるという利点がある。一方、前記第2アクリルアミド系モノマーは、前記第2組成物100重量部に対して、6重量部以上15重量部以下で含まれる。具体的には、8重量部以上13重量部以下、さらに具体的には、9重量部以上11重量部以下で含まれる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、外郭粘着組成物および中間粘着組成物は、添加剤として当業界で一般的に用いられる粘着付与剤、硬化剤、開始剤、カップリング剤などを添加剤としてさらに含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、それぞれ1:3~4:7であってもよい。前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、同一または異なっていてもよい。前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲内の場合、前記多層粘着フィルムは、適切な引張強度を有して優れたリワーク性を有しながらも高い段差吸収性を実現することができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、それぞれ15μm以上50μm以下であり、前記中間粘着層の厚さは、30μm以上150μm以下であってもよい。具体的には、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、それぞれ30μm以上40μm以下であり、前記中間粘着層の厚さは、70μm以上90μm以下であってもよい。前記第1外郭粘着層、前記第2外郭粘着層の厚さおよび前記中間粘着層の厚さが前記範囲内の場合、高い段差吸収性と優れたリワーク性を同時に実現することができる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、第1外郭粘着層と第2外郭粘着層の厚さは、同一または異なっていてもよい。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着フィルムは、外郭粘着組成物、中間粘着組成物、および外郭粘着組成物を基材に順次に塗布して積層した後、同時に硬化して製造されるものであってもよい。具体的には、前記多層粘着フィルムは、各層を別途に製造した後、これを接合するものではなく、粘着組成物を基材に順に積層した後、これを同時に硬化する方法で製造できる。したがって、各粘着層の間に粘着組成物が混合される区間が発生できる。このような粘着組成物が混合される区間によって、一般的な多層粘着フィルムに比べて優れた層間付着力を確保することができ、極限の環境でも層間界面分離現象を防止することができる。前記基材は、シリコーン処理されたPET離型フィルムであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記粘着組成物を同時に硬化する方法は、熱硬化または光硬化であってもよく、具体的には、ブラックライト(UV-A light)を用いて光硬化するものであってもよい。前記光硬化時、光の強度は、0.5mW/cm~1.0mW/cmであってもよく、光硬化時間は、3分~5分であってもよい。
【0056】
ただし、多層粘着フィルムの製造方法は、上記の製造方法に限定されるものではなく、当業界で一般的に適用する方法を用いて製造することができる。
【0057】
前記多層粘着フィルムは、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルム、および輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材の付着のための用途に使用することができる。ただし、これに限定されるものではなく、当業界で用いられる用途に制限なく使用可能である。
【実施例
【0058】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0059】
外郭粘着組成物の製造
下記表1に記載の含有量で2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)モノマー、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)モノマー、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)モノマー、およびジメチルアクリルアミド(DMAA)モノマーを含む第1組成物を光重合して第1樹脂を製造した。
【0060】
2-エチルヘキシルアクリレートモノマー(2-EHA)、イソボルニルアクリレートモノマー(IBOA)、およびヒドロキシエチルアクリレートモノマー(HEA)を光重合して重量平均分子量が20,000g/mol以上50,000g/molのアクリレート系樹脂を製造し、この時、前記IBOAは、全モノマー100重量部に対して、70重量部含まれた。
【0061】
前記第1樹脂に、アクリレート系樹脂と添加剤を、前記第1樹脂100重量部基準として下記表1に記載の含有量で混合して、外郭粘着組成物(A~F)を製造した。
【0062】
【表1】
【0063】
中間粘着組成物の製造
下記表2に記載の含有量で2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)モノマー、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)モノマー、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)モノマー、およびジメチルアクリルアミド(DMAA)モノマーを含む第2組成物を光重合して第2樹脂を製造した。
【0064】
前記第2樹脂に、添加剤を、前記第2樹脂100重量部基準として下記表2に記載の含有量で混合して、中間粘着組成物(G~J)を製造した。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例1~6
下記表3に記載のように、前記外郭粘着組成物(A~B)のうちの1つと前記中間粘着組成物(G~H)のうちの1つを用いて、実施例1~6の多層粘着フィルムを製造した。
【0067】
具体的には、外郭粘着組成物、中間粘着組成物、および外郭粘着組成物を、トリプルスロットダイ(パクティブコリア社、パクティブエンジニアリング)を用いて、それぞれ順次にシリコーン処理されたPET離型フィルムに塗布した後、塗布された組成物を他のシリコーン処理された離型フィルムで覆った。そして、ブラックライト(光の強度:0.7mW/cm)を用いて約3分~5分間同時に硬化して、下記表3に記載の厚さに第1外郭粘着層、中間粘着層、および第2外郭粘着層が順次に積層された多層粘着フィルムを製造した。
【0068】
【表3】
【0069】
比較例1~8
下記表4に記載のように、前記外郭粘着組成物(C~E)のうちの1つと前記中間粘着組成物(I~J)のうちの1つを用いて、比較例1~8の多層粘着フィルムを製造した。
【0070】
具体的には、外郭粘着組成物、中間粘着組成物、および外郭粘着組成物を、トリプルスロットダイ(パクティブコリア社、パクティブエンジニアリング)を用いて、それぞれ順次にシリコーン処理されたPET離型フィルムに塗布した後、塗布された組成物を他のシリコーン処理された離型フィルムで覆う。そして、ブラックライト(光の強度:0.7mW/cm)を用いて約3分~5分間同時に硬化して、下記表4に記載の厚さに第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次に積層された多層粘着フィルムを製造した。
【0071】
【表4】
【0072】
前記実施例1~6および比較例1~8による多層粘着フィルムの物性を測定し評価して、下記表5に示した。
【0073】
引張強度の測定
製造された多層粘着フィルムを4重積層した後、1cm(幅)×4cm(長さ)に裁断した。Texture Analyzer(TA社)のクランプに前記多層粘着フィルムがくっつくのを防止するために、長手方向の両末端1cmに一般テープを巻いて貼り付け、両末端をTexture Analyzer(TA社)のクランプに固定した。Texture Analyzer(TA社)を用いてクランプを一定速度で上げながら前記多層粘着フィルムに対する引張強度を測定した。
【0074】
リワーク性評価
製造された多層粘着フィルムをガラス基板に付着させ、60℃のオーブンに1時間放置した後、多層粘着フィルムを除去する時、多層粘着フィルムが切れず一度にすべて除去される場合に○、多層粘着フィルムが切れやすくて数回の作業が必要な場合に△、多層粘着フィルムが切れやすくて除去作業が不可能な場合に×と評価した。
【0075】
段差吸収性評価
20μmの印刷段差を有する1.1Tの厚さのガラスに粘着フィルムをラミネーションした後、その上に0.55Tの厚さのガラス基板を積層した。そして、40℃および4bar条件のオートクレーブにて20分放置した後、金属ハライドランプ(metal halide lamp)を用いて3Jの光量で後硬化をさせた。後硬化後に生成される気泡(bubble)の個数を測定して、2個以下の場合に○、3個以上の場合に×と評価した。
【0076】
耐久性および白濁現象評価
20μmの印刷段差を有する1.1Tの厚さのガラスに粘着フィルムをラミネーションした後、その上に0.55Tの厚さのガラス基板を積層した。そして、40℃および4bar条件のオートクレーブにて20分放置した後、金属ハライドランプ(metal halide lamp)を用いて3Jの光量で後硬化をさせた。これを85℃および85%RH条件のオーブンに24時間放置した。
【0077】
85℃および85%RH条件のオーブンに24時間放置後、後硬化後に生成される気泡に追加的に気泡が発生しない場合に○、後硬化後に生成される気泡の大きさが変化した場合に△、後硬化後に生成される気泡に追加的に気泡が発生した場合に×と耐久性を評価した。
【0078】
85℃および85%RH条件のオーブンに24時間放置後、水分によって白く濁る様子が見えなければ○、見えれば×と白濁現象を評価した。
【0079】
【表5】
【0080】
前記表5に示されるように、前記実施例1~6の多層粘着フィルムは、リワーク性に優れているだけでなく、段差吸収性にも優れていることを確認することができた。そして、高温および高湿条件で耐久性に優れ、白濁現象が起こらないことを確認することができた。
【0081】
これに対し、アクリレート系樹脂を含まない外郭粘着組成物およびガラス転移温度が-40℃~-20℃でない第2樹脂を含む中間粘着組成物を用いた比較例1~8の場合、リワーク性が良くないことを確認することができた。
【0082】
したがって、本発明の一実施態様に係る多層粘着フィルムは、高い段差吸収性を有しながらもリワーク性に優れ、高温および高湿条件で耐久性に優れ、白濁現象がないことが分かる。