(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】ドローンの着陸装置
(51)【国際特許分類】
G08G 5/02 20060101AFI20220603BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220603BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220603BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20220603BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20220603BHJP
G01S 19/15 20100101ALI20220603BHJP
G01S 19/51 20100101ALI20220603BHJP
【FI】
G08G5/02 A
B64C27/08
B64C39/02
B64F1/36
B64C13/20 D
G01S19/15
G01S19/51
(21)【出願番号】P 2017105996
(22)【出願日】2017-05-11
【審査請求日】2020-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592091057
【氏名又は名称】大平電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守男
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-071645(JP,A)
【文献】特開2017-037369(JP,A)
【文献】特開2012-232654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/02
B64C 27/08
B64C 39/02
B64F 1/36
B64C 13/20
G01S 19/15
G01S 19/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のGPS受信機と前記第1のGPS受信機を搭載したドローンと前記ドローンの離着陸に用いる離着陸台を備えた自動離着陸システムにおいて、前記離着陸台に第2のGPS受信機と前記第2のGPS受信機が得る位置情報を前記ドローンに送る送信機を取り付け、前記ドローンに前記送信機から送られてくる位置情報を受信する受信機と前記受信機が得る位置情報と前記第1のGPS受信機が得る位置情報を比較して一致する点に着陸するための処理装置を搭載したことを特徴とする自動離着陸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型無人航空機の自動着陸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動着陸装置の1例として、特許公開2012-71645が提供した方法がある。その方法は無人飛行機に搭載されているGPSにより着陸点近くまで飛行させたのちに着陸点に置かれたターゲットマークを撮像装置でとらえ、それを目指して着陸させる。
ターゲットが自動車のような移動体の場合は移動体にもGPSを取り付けておき、2つのGPSの情報を処理して無人飛行機を移動体近くまで飛行させたのちにターゲットマークを撮像装置でとらえ、それを目指して着陸させる。
図5にターゲットマークの例として同文献に載っていた図柄を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の1例として示した上述の自動着陸装置はGPSの位置情報により着陸地点近くまで飛行させた後に視覚センサーの情報を処理して位置を正確にとらえている。しかし、ターゲットマークが枯葉や紙切れで部分的に隠された場合は認識できないトラブルが発生する恐れがある。
そこで本発明は、GPSの位置情報を無人飛行機を着陸点の近くまで飛行させるだけに用いるのではなく着陸点を正確に判定する手段として用いるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明において、第1のGPS受信機と、この第1のGPS受信機を搭載したドローンと、このドローンの離着陸に用いる離着陸台を備えた自動離着陸システムにおいて、離着陸台に第2のGPS受信機と、この第2のGPS受信機が得る位置情報をドローンに送る送信機を取り付け、ドローンにその送信機が送ってくる位置情報を受信する受信機と、この受信機が得る位置情報と第1のGPS受信機が得る位置情報を比較して一致する点に着陸するための処理装置を搭載した。
【発明の効果】
【0005】
GPS受信機は複数の人工衛星から送られてくる電波の到着時刻の差を処理して位置を割出している。電波は電離層を通過するときに光のスピードより遅くなるが、電離層の深さや濃さが時間と共に刻々と変化するため、到着時刻も変化する。これがGPSの精度を落とす最大の原因になっている。
【0006】
2つの同じ仕様のGPS受信機が同じ位置にあれば、2つの各々の値が変化しても2つの差の変化は小さい。ここに着眼し、着陸点にGPS受信機を置いて、その位置情報をドローンに送信し、ドローンのGPS受信機が得る位置情報と比較させて差がゼロになるように着陸させることで着陸精度を上げることを考案した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例の説明図である。
図において、1はGPS受信機、2はドローン、3は離着陸台、4はGPS受信機、5は送信機、6は受信機、11~14はプロペラである。
【0009】
図2は
図1のドローン2と離着陸台3の各々の構成図である。
図2において、処理装置7はGPS受信機1から入力する位置情報と送信機5及び受信機6を介して入力するGPS受信機4の位置情報の差を計算し、ゼロになるようにフライトコントローラ8に信号を送る。フライトコントローラ8は処理装置7から送られてくる信号に基づいて、プロペラ11~14の各々の回転数を変えて位置と動くスピードを制御している。
【0010】
ドローンはプロペラの回転数を変えることにより向きを変えることと前後左右上下の方向に移動することができる。例えば
図1において、プロペラ11と12の回転数を下げれば、それらのプロペラがある側に傾くので、その後傾きを所定の値に維持して、回転数を上げれば傾いた方向に進む。
【0011】
離着陸台3の位置情報とドローン2の位置情報の差をゼロにする制御は差がプラスであればプラスを減らすようにドローンを移動させるが、この制御には応答スピードがかかわってくるので、位置情報の数値の差をデジタルフィルタを介してフライトコントローラ8に伝える必要がある。
【0012】
図3は処理装置7のデジタルフィルタに関るフロートチャートの1例を示す図である。
図のフロートチャートは左右の位置の差をゼロにする処理を行っている。図中のXは位置の差を表し、Rはフライトコントローラに送る値を表しているが、左右の位置情報を周期的に入力してXを計算し、1つの前の周期で得たXzとRzと共に計算式に代入して新しいRを求め、フライトコントローラに送る。フライトコントローラに送られる信号は一般的にPWM信号が用いられることが多いが、その場合は、Rはデューティ値になる。
【0013】
フライトコントローラには他にY方向(前後)、Z方向(上下)、向き(ヨー)を制御する信号も送られる。
【0014】
図4はGPS受信機の位置情報が変化する要因の1つを説明する図である。
図において、15~18は人工衛星で、地上に電波を送っている。地上のGPS受信機は4つの衛星からの電波を受信し位置情報を計算している。各々の人工衛星は時間とともにその仰角が変化するので電離層通過距離も変わる。その結果位置情報の計算結果も変わるが、2つのGPS受信機が着陸点で重なれば位置情報の差は十分小さくなるので、自動的に着陸させる目的に使うことができる。
【0015】
ドローンのフライトコントローラを位置情報の差がゼロになるように制御しながら、ゆっくり下降させることによって正確な着陸ができる。
【産業上の利用の可能性】
【0016】
GPS受信機が量産されて安価で入手できるので従来の視覚による位置合わせより経済性があり、市場で応用される可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】
図2の処理装置のフロートチャートの1例を示す図である。
【
図5】従来方式の撮像装置がとらえる対象のマークである。
【符号の簡単な説明】
【0018】
1、4 GPS受信機
2 ドローン
3 離着陸台
5 送信機
6 受信機
7 処理装置
8 フライトコントローラ
9、10 アンテナ
11~14 プロペラ
15~18 人工衛星