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特許7083107冷却水分岐装置およびそれを用いた薬剤濃度管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】冷却水分岐装置およびそれを用いた薬剤濃度管理方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/00 20060101AFI20220603BHJP
   F28G 13/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
F28F27/00 501D
F28G13/00 A
F28F27/00 501B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018066455
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178792
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】505112048
【氏名又は名称】ナルコジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】栄 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田口 洋一
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-001805(JP,A)
【文献】特開2004-025036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 27/00
F28G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管接続部と、制御部と、前記配管接続部と前記制御部とを支持する支持体とを備え、
前記配管接続部は、複数の冷却水系のうちの1つの冷却水系の冷却水を選択的に薬剤濃度制御装置へ導入する冷却水導入部と、前記薬剤濃度制御装置から元の前記1つの冷却水系へ冷却水を戻す冷却水送出部とを有し、
前記冷却水導入部は、前記複数の冷却水系と接続ホースを介してそれぞれ接続される複数の第1導入管部と、前記複数の第1導入管部にそれぞれ設けられた複数の電動式の導入用開閉弁と、前記複数の第1導入管部と前記薬剤濃度制御装置とを接続する第2導入管部とを有し、
前記冷却水送出部は、前記複数の冷却水系と接続ホースを介してそれぞれ接続される複数の第1送出管部と、前記複数の第1送出管部にそれぞれ設けられた複数の電動式の送出用開閉弁と、前記複数の第1送出管部と前記薬剤濃度制御装置とを接続する第2送出管部とを有し、
前記制御部は、運転開始スイッチと、運転停止スイッチと、前記複数の冷却水系に対応する複数の通水選択スイッチとを有し、
前記複数の通水選択スイッチは、自動モードと切モードと強制モードのうちのいずれか1つにそれぞれ切り換え可能であり、
前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水を個別かつ所定順に前記薬剤濃度制御装置へ導入するまたは前記複数の冷却水系のうちのいずれか1つのみの冷却水を前記薬剤濃度制御装置へ導入するように前記冷却水導入部の前記複数の導入用開閉弁の開閉動作および前記冷却水送出部の前記複数の送出用開閉弁の開閉動作を制御することを特徴とする冷却水分岐装置。
【請求項2】
記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水を順に所定時間だけ前記薬剤濃度制御装置へ導入するように前記複数の導入用開閉弁と前記複数の送出用開閉弁の開閉動作を制御する請求項1に記載の冷却水分岐装置。
【請求項3】
前記導入用開閉弁が、モータ駆動の電動弁である請求項2に記載の冷却水分岐装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水が個別に前記薬剤濃度制御装置へ導入される前記所定時間を計測するタイマー部を有し、前記タイマー部にて計測された一の冷却水系についての前記所定時間が経過すると前記一の冷却水系に対応する前記導入用開閉弁および前記送出用開閉弁を閉じた後に次の冷却水系に対応する前記導入用開閉弁および前記送出用開閉弁を開くように制御する請求項2または3に記載の冷却水分岐装置。
【請求項5】
前記第2送出管部が、薬剤供給部から供給される薬剤を注入管を介して前記第2送出管部内の冷却水中に注入するための薬剤注入部を有する請求項2~4のいずれか1つに記載の冷却水分岐装置。
【請求項6】
前記複数の冷却水系は、冷凍機と、冷却塔と、前記冷凍機と前記冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環経路とをそれぞれ備えてなり、
前記冷却水循環経路は、前記冷却塔から前記冷凍機へ冷却水を送る上流側送水路と、前記冷凍機から前記冷却塔へ冷却水を送る下流側送水路とを有し、
前記冷却水導入部の前記複数の第1導入管部は、前記複数の冷却水系における前記冷却水循環経路の前記上流側送水路とそれぞれ接続され、
前記冷却水送出部の前記複数の第1送出管部は、前記複数の冷却水系における前記冷却水循環経路の前記下流側送水路とそれぞれ接続される請求項2~5のいずれか1つに記載の冷却水分岐装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水分岐装置およびそれを用いた薬剤濃度管理方法に関し、詳しくは、産業機器、空調設備等を冷却する複数の冷却系と薬剤濃度制御装置とを接続する冷却水分岐装置およびそれを用いた薬剤濃度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、ビル等に設けられた産業機器、空調設備等の熱源を冷却する冷却水系の冷却水(循環水)は、通常、熱交換によって温められた後に、冷却塔といった冷却装置(放熱部)において蒸発潜熱などにより冷やされ、再び冷却水として循環使用される。したがって、冷却水に含まれる塩類は次第に濃縮されて高濃度になり、微生物の増殖およびスライムの形成が誘発され、様々な障害が引き起こされる。
すなわち、細菌や真菌のような微生物が冷却水系内の管壁や器壁に付着し、粘着性物質を分泌してスライムを形成する。そして、このスライムが冷却水系内、特に熱交換器に付着して熱交換性能を低下させ、管壁や器壁の腐食を引き起こし、また病原菌の飛散により衛生上の問題を引き起こす。
【0003】
一般に、冷却水系には、スライム、腐食およびスケールという3大トラブルがあり、これらを防止するために従来から種々の水処理剤の添加が検討され、実施されてきた。
水処理剤に含まれる薬剤(有効成分)としては、大別して殺菌、防食、スケール防止のための薬剤が挙げられ、1種以上の薬剤を含む水処理剤は、冷却水へ迅速かつ均一に溶解すると共に、薬剤濃度の制御が容易であることから、液状の形態であることが望ましい。
【0004】
一般に、冷却水系には、薬剤(液状の水処理剤)を収容する薬剤タンクと、薬剤タンク内の薬剤を冷却水ライン内の冷却水中に送り出す定量ポンプとを備えた薬剤注入装置が設けられ、この薬剤注入装置によって冷却水中に薬剤が注入される。この際、冷却水中の薬剤の濃度が測定され、測定した薬剤濃度に基づく注入量で薬剤が冷却水中に注入される。
【0005】
冷却水(循環水)中の薬剤濃度を測定する方法として、特許文献1には、水処理薬剤にトレーサー物質を添加、混合し、循環水中のトレーサー物質濃度を測定し、間接的に水処理薬剤濃度を測定する方法(例えば、臭素トレーサー法、リチウムトレーサー法、蛍光トレーサー法、色素トレーサー法)が開示されている。
また、特許文献1には、一有効薬品成分である水溶性ポリマーにトレーサー物質を化学的結合させるか、その重合時にトレーサー物質を共重合させて、そのポリマー分子に化学結合したトレーサー物質の循環水中濃度を測定し、直接的に水処理薬剤濃度を測定する方法も開示されている。
【0006】
トレーサー物質を用いた前記薬剤濃度測定方法では、薬剤濃度測定装置内に冷却水を導入して冷却水中のトレーサー物質濃度を連続的に測定し、測定したトレーサー物質濃度に基づく指令信号を薬剤濃度測定装置から定量ポンプへ送信し、それによって定量ポンプによる冷却水中への薬剤の注入量を制御することにより、冷却水中の薬剤濃度を所定範囲内の濃度に維持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-271564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
工場などで複数の冷却水系が設けられている場合、各冷却水系に個別に対応するために高額な薬剤濃度測定装置を複数台設ける必要があり、中規模以下の冷却水系では投資効果が得られにくいという課題があった。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、1台の薬剤濃度測定装置を複数の冷却水系に対応させることができる冷却水分岐装置およびそれを用いた薬剤濃度管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かくして、本発明によれば、複数の冷却水系のうちの1つの冷却水系の冷却水を選択的に薬剤濃度制御装置へ導入する冷却水導入部と、前記薬剤濃度制御装置から元の前記1つの冷却水系へ冷却水を戻す冷却水送出部と、制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水を個別かつ所定順に前記薬剤濃度制御装置へ導入するように前記冷却水導入部および前記冷却水送出部を制御する冷却水分岐装置が提供される。
【0011】
また、本発明の別の観点によれば、複数の冷却水系と薬剤濃度制御装置とを前記冷却水分岐装置にて接続し、前記複数の冷却水系の冷却水を選択的に薬剤濃度制御装置へ導入して前記冷却水中の薬剤濃度を管理する薬剤濃度管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷却水分岐装置によれば、1台の薬剤濃度測定装置を複数の冷却水系に対応させることができるため、薬剤濃度測定装置の1台当たりの設備投資額が下がり、中規模以下の冷却水系においても薬剤濃度自動制御が可能となる。
また、運転負荷がそれぞれ異なる複数の冷却水系に対して1台の薬剤濃度測定装置によって薬剤濃度をそれぞれ所望の値に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1の冷却水分岐装置によって複数の冷却水系と1台の薬剤濃度制御装置とが接続された薬剤管理システムを示す概略的な構成図である。
図2】実施形態1の冷却水分岐装置を示す正面図である。
図3図2の冷却水分岐装置の右側面図である。
図4図1の薬剤管理システムによる薬剤濃度制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の冷却水分岐装置は、複数の冷却水系のうちの1つの冷却水系の冷却水を選択的に薬剤濃度制御装置へ導入する冷却水導入部と、前記薬剤濃度制御装置から元の前記1つの冷却水系へ冷却水を戻す冷却水送出部と、制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水を個別かつ所定順に前記薬剤濃度制御装置へ導入するように前記冷却水導入部および前記冷却水送出部を制御する。
【0015】
本発明の冷却水分岐装置は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(1)前記冷却水導入部は、前記複数の冷却水系とそれぞれ接続される複数の第1導入管部と、前記複数の第1導入管部にそれぞれ設けられた複数の電動式の導入用開閉弁と、前記複数の第1導入管部と前記薬剤濃度制御装置とを接続する第2導入管部とを有し、
前記冷却水送出部は、前記複数の冷却水系とそれぞれ接続される複数の第1送出管部と、前記複数の第1送出管部にそれぞれ設けられた複数の電動式の送出用開閉弁と、前記複数の第1送出管部と前記薬剤濃度制御装置とを接続する第2送出管部とを有し、
前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水を順に所定時間だけ前記薬剤濃度制御装置へ導入するように前記複数の導入用開閉弁と前記複数の送出用開閉弁の開閉動作を制御してもよい。
【0016】
この構成によれば、制御部によって複数の冷却水系に個別に対応する複数の導入用開閉弁および複数の送出用開閉弁を開閉制御することにより、複数の冷却水系から順に所定時間だけ冷却水(サンプル水)を薬剤濃度制御装置へ確実に導入して薬剤濃度を測定することができる。
この際、各冷却水系の冷却水の薬剤濃度を測定しかつ薬剤タンクからの薬剤を各冷却水系の冷却水中に必要量注入するのに要する所定時間を、運転負荷が異なる各冷却水系に応じて設定することができる。
【0017】
(2)前記導入用開閉弁が、モータ駆動の電動弁であってもよい。
この構成によれば、一の冷却水系の冷却水が第2導入管部に導入された後、他の冷却水系へ逆流することを電磁弁では防止できない場合があったが、電動弁であれば確実に防止することができる。この結果、各冷却水系について高精度な薬剤管理をすることが可能となる。
【0018】
(3)前記制御部は、前記複数の冷却水系の冷却水が個別に前記薬剤濃度制御装置へ導入される前記所定時間を計測するタイマー部を有し、前記タイマー部にて計測された一の冷却水系についての前記所定時間が経過すると前記一の冷却水系に対応する前記導入用開閉弁および前記送出用開閉弁を閉じた後に次の冷却水系に対応する前記導入用開閉弁および前記送出用開閉弁を開くように制御してもよい。
この構成によれば、一の冷却水系について薬剤濃度測定および薬剤注入が所定時間経過して終了すると同時に、次の冷却水系についての薬剤濃度測定および薬剤注入を開始し、これを自動的に繰り返すように制御することができる。
【0019】
(4)前記第2送出管部が、薬剤供給部から供給される薬剤を注入管を介して前記第2送出管部内の冷却水中に注入するための薬剤注入部を有してもよい。
この構成によれば、薬剤供給部に接続された注入管を各冷却水系に接続する必要がなくなるため、薬剤注入経路を簡素化することができる。
【0020】
(5)前記複数の冷却水系は、冷凍機と、冷却塔と、前記冷凍機と前記冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環経路とをそれぞれ備えてなり、
前記冷却水循環経路は、前記冷却塔から前記冷凍機へ冷却水を送る上流側送水路と、前記冷凍機から前記冷却塔へ冷却水を送る下流側送水路とを有し、
前記冷却水送出部の前記複数の第1送出管部は、前記複数の冷却水系における前記冷却水循環経路の前記上流側送水路とそれぞれ接続され、
前記冷却水送出部の前記複数の第1送出管部は、前記複数の冷却水系における前記冷却水循環経路の前記下流側送水路とそれぞれ接続されてもよい。
この構成によれば、冷却塔から送出されて冷凍機に導入される前の冷却水をサンプル水として薬剤濃度制御装置へ導入し、薬剤濃度測定後の冷却水に薬剤を注入して冷却塔へ送ることができる。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の冷却水分岐装置の実施形態について詳説する。
【0022】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の冷却水分岐装置によって複数の冷却水系と1台の薬剤濃度制御装置とが接続された薬剤管理システムを示す概略的な構成図であり、図2は実施形態1の冷却水分岐装置を示す正面図であり、図3図2の冷却水分岐装置の右側面図であり、図4図1の薬剤管理システムによる薬剤濃度制御方法を説明するフローチャートである。
【0023】
<薬剤管理システムの構成>
図1に示すように、本発明における薬剤管理システムSは、複数(この場合3系統)の冷却水系10A、10B、10Cと、1台の薬剤濃度制御装置1と、複数の冷却水系10A、10B、10Cと1台の薬剤濃度制御装置1とを接続する本発明の冷却水分岐装置100と、複数の冷却水系10A、10B、10Cに液状の薬剤を供給する薬剤供給部2とを備える。
【0024】
本発明の冷却水分岐装置100は、複数の冷却水系10A、10B、10Cに対して1台の薬剤濃度制御装置1によって薬剤濃度制御が行えるように、各冷却水系10A、10B、10Cから所定時間ずつ個別にサンプル水を薬剤濃度制御装置1へ導いて濃度測定を行い、かつ各冷却水系10A、10B、10Cの冷却水中の薬剤濃度が所定の濃度範囲内に維持されるように各冷却水系10A、10B、10Cの冷却水中に個別に薬剤を注入できるように構成されている。
【0025】
なお、実施形態1では、3系統の冷却水系10A、10B、10Cを備えた薬剤管理システムSの場合を例示して説明するが、2系統または4系統以上の冷却水系を備える薬剤管理システムについても同様である。
【0026】
<冷却水系>
図1に示すように、各冷却水系10A、10B、10Cは、主として、冷却塔11と、冷凍機12と、冷却塔11と冷凍機12との間で冷却水を循環させる冷却水循環経路13とをそれぞれ備える。
冷却水循環経路13は、冷却塔11から冷凍機12へ冷却水を送る上流側送水路13aと、冷凍機12から冷却塔11へ冷却水を送る下流側送水路13bとを有する。
【0027】
図示省略するが、冷却水系10A、10B、10Cの各冷却塔11には、下流側に冷却水の一部(ブロー水)を外部に排出するブロー水ラインと、新しい冷却水(例えば、工業用水)を補給する補給水ラインと、冷却水中の不純物を捕集する捕集部等が設けられている。
また、冷却水系10A、10B、10Cが工場、発電所等に設けられている場合の下流側送水路13bは主に産業機器(冷凍機)と熱交換可能に設けられ、冷却水系10A、10B、10Cがビル、駅、空港等に設けられている場合の下流側送水路13bは主に空調設備(冷凍機)と熱交換可能に設けられている。
【0028】
<冷却水分岐装置>
図1図2に示すように、冷却水分岐装置100は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cのうちの1つの冷却水系の冷却水を選択的に切り換えて薬剤濃度制御装置1へ導入する冷却水導入部110と、薬剤濃度制御装置1から元の1つの冷却水系へ冷却水を戻す冷却水送出部120と、制御部130とを備える。
そして、制御部130は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cの冷却水を個別かつ所定順に薬剤濃度制御装置1へ導入するように冷却水導入部110および冷却水送出部120を制御するように構成されている。
【0029】
詳しく説明すると、冷却水導入部110は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cと接続ホース14を介してそれぞれ接続される3つの第1導入管部111、112、113と、3つの第1導入管部111、112、113にそれぞれ設けられた3つの電動式の導入用開閉弁111a、112a、113aと、3つの第1導入管部111、112、113と薬剤濃度制御装置1とを接続する第2導入管部114とを有する。
【0030】
実施形態1の場合、電動式の導入用開閉弁111a、112a、113aとしては電動弁が用いられる。
また、3つの第1導入管部111、112、113における各導入用開閉弁111a、112a、113aの上流側にはボールバルブ111b、112b、113bが設けられている。
【0031】
冷却水送出部120は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cと接続ホース15を介してそれぞれ接続される3つの第1送出管部121、122、123と、3つの第1送出管部121、122、123にそれぞれ設けられた複数の電動式の送出用開閉弁121a、122a、123aと、3つの第1送出管部121、122、123と薬剤濃度制御装置1とを接続する第2送出管部124とを有する。
【0032】
実施形態1の場合、電動式の送出用開閉弁121a、122a、123aとしては電動弁が用いられる。
また、3つの第1送出管部121、122、123における各送出用開閉弁121a、122a、123aの下流側にはボールバルブ121b、122b、123bが設けられている。
さらに、第2送出管部124には、後述の薬剤供給部2から供給される薬剤を注入管3を介して第2送出管部124内の冷却水中に注入するための薬剤注入部124aを有している。
【0033】
制御部130は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cに対応した薬剤濃度測定および薬剤注入を行う動作時間を計測し、かつ各導入用開閉弁(電動弁)111a、112a、113aおよび各送出用開閉弁(電動弁または電磁弁)121a、122a、123aに指令信号を送信するタイマー部(不図示)を有すると共に、第2導入管部114に設けられた流量計(不図示)を有する。
【0034】
タイマー部は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cにそれぞれ対応した冷却水分岐装置100の動作時間(以下、対応時間という)を個別かつ変更可能に設定入力することができる、例えば、冷却水系10Aの対応時間を60分、冷却水系10Bの対応時間を90分、冷却水系10Cの対応時間を45分に設置入力することができる。
【0035】
また、タイマー部は、冷却水分岐装置100の後述する運転開始スイッチ131がONとなると、冷却水系10Aの対応時間から計測を開始し、冷却水系10Aの対応時間の計測が終了すると冷却水系10Bの対応時間の計測を開始し、冷却水系10Bの対応時間の計測が終了すると冷却水系10Cの対応時間の計測を開始し、冷却水系10Cの対応時間の計測が終了すると冷却水系10Aの対応時間の計測を開始する、というように冷却水系10A、冷却水系10B、冷却水系10Cに対する対応時間をこの順に繰り返し計測し、後述の運転停止スイッチ132がON(運転開始スイッチ131がOFF)となるまで継続する。なお、対応時間の計測順序は任意に設定変更可能である。
【0036】
また、タイマー部は、例えば、冷却水系10Aの対応時間の計測終了時に、冷却水系10Aに対応する導入用開閉弁111aおよび送出用開閉弁121aに閉動作の指令信号を送信し、かつ冷却水系10Bに対応する導入用開閉弁112aおよび送出用開閉弁122aに開動作の指令信号を送信する。すなわち、タイマー部は、一の冷却水系の対応時間の計測終了時に、一の冷却水系に対応する導入用開閉弁および送出用開閉弁に閉動作の指令信号を送信し、かつ次の冷却水系に対応する導入用開閉弁および送出用開閉弁に開動作の指令信号を送信する。
【0037】
実施形態1の場合、制御部130は、3系統の冷却水系10A、10B、10Cにそれぞれ個別に対応した3つのタイマー部を有しており、3つのタイマー部が順にかつ繰り返して作動するようになっている。
さらに、制御部130は、図2図3に示すように、各種スイッチおよび各種表示ランプを備えている。
各種スイッチとしては、運転開始スイッチ131と、運転停止スイッチ132と、3つの通水選択スイッチ133a、133b、133cとが含まれる。
表示ランプとしては、電源ランプ135と、3つの系統選択ランプ134とが含まれる。
【0038】
3つの通水選択スイッチ133a、133b、133cは、3系統の冷却水系10A、10B、10Cにそれぞれ個別に対応したスイッチであり、それぞれ「自動モード」、「切モード」、「強制モード」に切り換えることができる。
通常、3つの通水選択スイッチ133a、133b、133cは全て自動モードに切り換えられており、これにより前記のように3系統の冷却水系10A、10B、10Cの薬剤制御が順番に行われる。
【0039】
また、例えば、冷却水系10Aのみ薬剤濃度制御をしない場合は、冷却水系10Aに対応する通水選択スイッチ133aを切モードに切り換え、かつ冷却水系10B、10Cに対応する通水選択スイッチ133b、133cを自動モードに切り換えればよい。
また、例えば、冷却水系10Aのみの薬剤濃度制御を行いたい場合、通水選択スイッチ133aを強制モードに切り換え、かつ通水選択スイッチ133b、133cを切モードに切り換える。これにより、通水選択スイッチ133aを切モード若しくは自動モードに切り換えるか、または運転停止スイッチ132をONとするまで冷却水系10Aのみの薬剤濃度制御が行われる。
【0040】
<薬剤濃度制御装置>
薬剤濃度制御装置1は、実施形態1の場合、蛍光トレーサー法に対応した装置であり、例えば、米国ナルコ社製の「3D TRASAR」(登録商標)を用いることができる。
薬剤濃度制御装置1は、冷却水分岐装置100の第2導入管部114と接続ホース4を介して接続される導入接続部1aと、冷却水分岐装置100の第2送出管部124と接続ホース5を介して接続される送出接続部1bとを有する。また、薬剤濃度制御装置1の送出接続部1bは、第1、第2および第3薬液タンク2a、2b、2cと冷却水分岐装置100の第2送出管124の薬剤注入部124aとを接続する後述の注入管3の上流側端部にホース6を介して接続されている。
【0041】
蛍光トレーサー法に対応した薬剤濃度制御装置1は、冷却水中の薬液濃度の指標となる指標物質としての蛍光物質(例えば、ナフタレンスルホン酸塩類等)に特定波長の光を照射し、それによって励起発光した蛍光物質の発光強度(反射光の強度)を測定することにより、冷却水中の薬剤の濃度を間接的に測定することができる。なお、薬液濃度の指標となる指標物質は、後述の薬剤供給部2の第1、第2、第3薬液タンク2a、2b、2c内に収容された液状の薬剤中に所定濃度で添加されている。
そのため、第1、第2、第3薬液タンク2a、2b、2c内の薬液中には、必要に応じて、有効成分の種類および質量に応じた所定量の蛍光物質が添加されている。
【0042】
<薬剤供給部>
薬剤供給部2は、冷却水中に添加されてスライム、腐食および/またはスケール等を抑制する有効成分を含んだ薬液(液状の水処理剤)を収容する樹脂製(例えば、ポリエチレン製)の第1、第2および第3薬液タンク2a、2b、2cと、第1、第2および第3薬液タンク2a、2b、2cと冷却水分岐装置100の第2送出管124の薬剤注入部124aとを接続する注入管3と、注入管3における第1、第2および第3薬液タンク2a、2b、2cと接続する分岐管部にそれぞれ設けられた定量ポンプ2pとを備える。
【0043】
各定量ポンプ2pは、薬剤濃度制御装置1からの指令信号によって個別に作動して第1、第2および第3薬液タンク2a、2b、2c内の薬液を所定流量で注入管3内に送出するものであり、例えば、無脈動ポンプを用いることができる。
【0044】
ここで、スライム抑制成分としては次亜塩素酸ナトリウム、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等の有機系殺菌剤などが挙げられ、腐食抑制成分としてはヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、亜鉛塩、トリルトリアゾール等が挙げられ、スケール抑制成分としてはアクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー等が挙げられる。
実施形態1の場合、例えば、第1薬液タンク2aには腐食抑制成分およびスケール抑制成分を含む薬液が収容され、第2薬液タンク2bにはスライム抑制成分を含む薬液が収容され、第3薬液タンク2cにはスライム抑制成分強化剤が収容されている。そして、蛍光物質は、第1薬液タンク2a内の薬液に添加されている。
【0045】
<冷却水分岐装置を用いた薬剤管理システムの動作>
図1図4を参照しながら本発明の冷却水分岐装置100を用いた薬剤管理システムSの動作の一例について説明する。
図2に示すように、冷却水分岐装置100の制御部130の通水選択スイッチ133a、133b、133cが自動モードに切り換えられた状態において、運転開始スイッチ131をONにすることにより、冷却水分岐装置100の運転が開始する。なお、冷却水分岐装置100の運転停止時において、冷却水分岐装置100の全ての導入用開閉弁111a、112a、113aおよび送出用開閉弁121a、122a、123aは閉状態となっている。
【0046】
冷却水分岐装置100の運転が開始すると、まず、冷却水系10Aの薬剤濃度制御が行われるよう、制御部130の冷却水系10Aに対応するタイマー部から開動作の指令信号が導入用開閉弁111aおよび送出用開閉弁121aに送信されてこれらが開くと共に、タイマー部によって対応時間の計測が開始される(ステップS1)。
これにより、冷却水系10Aの上流側送水路13aから冷却水の一部(以下、サンプル水という)が接続ホース14、冷却水分岐装置100の第1、第2導入管部111、114および接続ホース4を介して薬剤濃度制御装置1へ導入されて薬剤濃度が測定され、薬剤濃度制御装置1から排出されたサンプル水は接続ホース5、冷却水分岐装置100の第2、第1送水管部124、121および接続ホース15を介して冷却水系10Aの下流側送水路13bへ送られて下流側送水路13b内の冷却水と合流する。
【0047】
冷却水分岐装置100の第2導入管部114内を流れるサンプル水についての流量の有無が測定されており(ステップS2)、流量が所定流量であれば通水が継続され、薬剤濃度制御装置1によるサンプル水中の各種薬剤(有効成分)の濃度測定が継続され、薬剤濃度が所定値よりも低い場合は薬剤濃度制御装置1から薬剤供給部2へ薬剤を冷却水系10Aに供給するよう指令信号が送信されて薬剤制御が行われる(ステップS3)。この際、第1、第2、第3薬液タンク2a、2b、2cに収容された各種薬液のうちの必要な薬液を供給するよう、第1、第2、第3薬液タンク2a、2b、2cにそれぞれ対応する定量ポンプ2pを選択的に駆動させて、必要な薬液を注入管3を介して冷却水分岐装置100の第2送出管部124内を流れるサンプル水中に所定流量で注入する。
【0048】
なお、ステップS2において、冷却水分岐装置100の第2導入管部114内を流れるサンプル水が、例えば、冷却塔11が停止して所定流量に達していない場合は、冷却水系10Aの対応時間が所定時間に達していなくとも直ちに後述のステップS5に移行する。
【0049】
冷却水系10Aの薬剤濃度測定および薬剤濃度制御の経過時間はタイマー部によって測定されており(ステップS4)、経過時間が所定の対応時間(例えば、60分)に達するまで前記ステップ2、3が繰り返される。この間、薬剤濃度制御装置1へ送られるサンプル水中の各種薬剤の濃度が全て所定値内となると、薬剤供給部2からの薬剤の供給が停止する。
【0050】
そして、冷却水系10Aの薬剤濃度測定および薬剤濃度制御の経過時間が所定の対応時間に達すると、冷却水系10Aに対応するタイマー部から閉動作の指令信号が導入用開閉弁111aおよび送出用開閉弁121aに送信されてこれらを閉じる。
これとほぼ同時に、次の冷却水系10Bに対応するタイマー部から開動作の指令信号が導入用開閉弁112aおよび送出用開閉弁122aに送信されてこれらを開くと共に、タイマー部によって対応時間の計測が開始される(ステップS5)。
【0051】
これにより、冷却水系10Bの上流側送水路13aからサンプル水が接続ホース14、冷却水分岐装置100の第1、第2導入管部112、114および接続ホース4を介して薬剤濃度制御装置1へ導入されて薬剤濃度が測定され、薬剤濃度制御装置1から排出されたサンプル水は接続ホース5、冷却水分岐装置100の第2、第1送水管部124、122および接続ホース15を介して冷却水系10Bの下流側送水路13bへ送られて下流側送水路13b内の冷却水と合流する。
【0052】
冷却水系10Bについての前記ステップS5以降の薬剤濃度測定および薬剤濃度制御は、冷却水系10Aについての前記ステップS2~S4と同様であり、サンプル水の流量測定が行われ(ステップS6)、所定流量であれば冷却水系10Bについての薬剤濃度測定および薬剤濃度制御が行われ(ステップS7)、経過時間はタイマー部によって測定されており(ステップS8)、経過時間が所定の対応時間(例えば、90分)に達するまで前記ステップS6、S7が繰り返される。この間、薬剤濃度制御装置1へ送られるサンプル水中の各種薬剤の濃度が全て所定値内となると、薬剤供給部2からの薬剤の供給が停止する。
【0053】
なお、前記ステップS6において、冷却水分岐装置100の第2導入管部114内を流れるサンプル水が、例えば、冷却塔11が停止して所定流量に達していない場合は、冷却水系10Bの対応時間が所定時間に達していなくとも直ちに後述のステップS9に移行する。
【0054】
冷却水系10Bの薬剤濃度測定および薬剤濃度制御の経過時間が所定の対応時間に達すると、冷却水系10Bに対応するタイマー部から閉動作の指令信号が導入用開閉弁112aおよび送出用開閉弁122aに送信されてこれらを閉じる。
これとほぼ同時に、次の冷却水系10Cに対応するタイマー部から開動作の指令信号が導入用開閉弁113aおよび送出用開閉弁123aに送信されてこれらを開くと共に、タイマー部によって対応時間の計測が開始される(ステップS9)。
【0055】
これにより、冷却水系10Cの上流側送水路13aからサンプル水が接続ホース14、冷却水分岐装置100の第1、第2導入管部113、114および接続ホース4を介して薬剤濃度制御装置1へ導入されて薬剤濃度が測定され、薬剤濃度制御装置1から排出されたサンプル水は接続ホース5、冷却水分岐装置100の第2、第1送水管部124、123および接続ホース15を介して冷却水系10Cの下流側送水路13bへ送られて下流側送水路13b内の冷却水と合流する。
【0056】
冷却水系10Cについての前記ステップS9以降の薬剤濃度測定および薬剤濃度制御も、冷却水系10Aについての前記ステップS2~S4と同様であり、サンプル水の流量測定が行われ(ステップS10)、所定流量であれば冷却水系10Cについての薬剤濃度測定および薬剤濃度制御が行われ(ステップS11)、経過時間はタイマー部によって測定されており(ステップS12)、経過時間が所定の対応時間(例えば、45分)に達するまで前記ステップS10、S11が繰り返される。この間、薬剤濃度制御装置1へ送られるサンプル水中の各種薬剤の濃度が全て所定値内となると、薬剤供給部2からの薬剤の供給が停止する。
【0057】
なお、前記ステップS10において、冷却水分岐装置100の第2導入管部114内を流れるサンプル水が、例えば、冷却塔11が停止して所定流量に達していない場合は、冷却水系10Cの対応時間が所定時間に達していなくとも直ちに前記ステップS1に移行する。
【0058】
冷却水系10Cの薬剤濃度測定および薬剤濃度制御の経過時間が所定の対応時間に達すると、冷却水系10Cに対応するタイマー部から閉動作の指令信号が導入用開閉弁113aおよび送出用開閉弁123aに送信されてこれらを閉じる。
これとほぼ同時に、最初の冷却水系10Aについての薬剤濃度測定および薬剤濃度制御を行うべく前記ステップ1に移行する。
【0059】
このような冷却水分岐装置100を用いた薬剤管理システムSの動作中、冷却水分岐装置100の制御部130の運転停止スイッチ132をONとすると、冷却水分岐装置100の導入用開閉弁111a、112a、113aおよび送出用開閉弁121a、122a、123aのうち開状態のものが閉状態となって運転が停止し、薬剤濃度制御装置1への通水が停止する。
【0060】
(実施形態2)
実施形態1における導入用開閉弁111a、112a、113aおよび送出用開閉弁121a、122a、123aとしての電動弁の代わりに電磁弁を用いてもよい。この場合、少なくとも導入用開閉弁111a、112a、113aとしての電磁弁の上流側であってボールバルブ111b、112b、113bの下流側に逆止弁を設けることが好ましい。
【0061】
(実施形態3)
実施形態1で説明した薬剤管理システムにおける冷却水系は2系統でもよく、4系統以上でもよい。
【0062】
(実施形態4)
実施形態1で説明した薬剤管理システムにおける薬剤供給部2の薬液タンクは1つ、2つまたは4つ以上であってもよい。
【0063】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 薬剤濃度制御装置
2 薬剤供給部
3 注入管
10A、10B、10C 冷却水系
11 冷却塔
12 冷凍機
13 冷却水循環経路
13a 上流側送水路
13b 下流側送水路
100 冷却水分岐装置
110 冷却水導入部
111、112、113 第1導入管部
111a、112a、113a 導入用開閉弁
114 第2導入管部
120 冷却水送出部
121、122、123 第1送出管部
121a、122a、123a 送出用開閉弁
124 第2送出管部
124a 薬剤注入部
130 制御部
図1
図2
図3
図4