(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】制御方法、搬送システム、及び通信デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220603BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220603BHJP
【FI】
H01L21/68 A
G05D1/02 P
G05D1/02 R
(21)【出願番号】P 2020548247
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2019034120
(87)【国際公開番号】W WO2020066458
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2018182584
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】大島 宗訓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
(72)【発明者】
【氏名】桑原 哲也
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182234(JP,A)
【文献】特開2008-244675(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069029(WO,A1)
【文献】特開2018-142859(JP,A)
【文献】国際公開第2015/059861(WO,A1)
【文献】特開2015-82574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送するための搬送台車と、前記搬送物が受け渡しされる複数の設備に接続された複数の通信デバイスと、前記搬送台車の走行を制御するコントローラと、を備える搬送システムの制御方法であって、
前記コントローラが、前記搬送台車が前記搬送物を受け渡しすべき設備を特定する設備特定情報を取得する第1取得ステップと、
前記搬送台車が、前記搬送台車の位置を示す台車位置情報を取得する第2取得ステップと、
前記搬送台車と、前記設備特定情報によって特定される特定の設備に接続されている特定の通信デバイスと、前記コントローラとのうちのいずれかが、前記特定の設備の位置を示す受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間の距離を算出する算出ステップと、
前記搬送台車と前記特定の通信デバイスと前記コントローラとのうちのいずれかが、前記距離が所定の距離以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとのうちの一方が、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を無線にて周囲に送信する第1送信ステップと、
前記トリガ信号が前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間で無線通信される場合に、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を実行する実行ステップと、
を含む制御方法。
【請求項2】
前記制御方法は、さらに、前記搬送台車が、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得する第3取得ステップを含み、
前記算出ステップでは、前記搬送台車が、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、
前記判定ステップでは、前記搬送台車が、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、
前記第1送信ステップでは、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車が、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、
前記第1送信ステップでは、前記搬送台車が、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を周囲に送信し、
前記実行ステップでは、前記特定の通信デバイスが、前記トリガ信号に前記特定の識別子が含まれることを確認することによって、前記搬送台車を通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記無線通信を実行する、
請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記搬送システムは、さらに、前記搬送台車と、前記複数の通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を備え、
前記制御方法は、さらに、前記搬送台車が、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得する第3取得ステップを含み、
前記算出ステップでは、前記搬送台車が、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、
前記判定ステップでは、前記搬送台車が、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、
前記制御方法は、さらに、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車が、前記トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、前記中継装置を介して前記特定の通信デバイスに無線にて送信する第2送信ステップを含み、
前記第1送信ステップでは、前記送信指示が受信される場合に、前記特定の通信デバイスが、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、
前記搬送台車は、前記複数の通信デバイスと複数の前記識別子との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記第1送信ステップでは、前記特定の通信デバイスが、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、
前記実行ステップでは、前記搬送台車が、前記トリガ信号に含まれる前記特定の識別子と、前記対応情報とに基づいて、前記特定の通信デバイスを通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記無線通信を実行する、
請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
搬送物を搬送するための搬送台車と、前記搬送物が受け渡しされる複数の設備に接続された複数の通信デバイスと、前記搬送台車の走行を制御するコントローラと、を備える搬送システムであって、
前記コントローラは、前記搬送台車が前記搬送物を受け渡しすべき設備を特定する設備特定情報を取得し、
前記搬送台車は、前記搬送台車の位置を示す台車位置情報を取得し、
前記搬送台車と、前記設備特定情報によって特定される特定の設備に接続されている特定の通信デバイスと、前記コントローラとのうちのいずれかは、前記特定の設備の位置を示す受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、
前記搬送台車と前記特定の通信デバイスと前記コントローラとのうちのいずれかは、前記距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、
前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとのうちの一方は、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を無線にて周囲に送信し、
前記トリガ信号が前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間で無線通信される場合に、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を実行する、
搬送システム。
【請求項7】
前記搬送台車は、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得し、
前記搬送台車は、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、
前記搬送台車は、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、
前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車は、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、
請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、
前記搬送台車は、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を周囲に送信し、
前記特定の通信デバイスは、前記トリガ信号に前記特定の識別子が含まれることを確認することによって、前記搬送台車を通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記無線通信を実行する、
請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
さらに、前記搬送台車と、前記複数の通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を備え、
前記搬送台車は、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得し、
前記搬送台車は、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、
前記搬送台車は、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、
前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車は、前記トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、前記中継装置を介して前記特定の通信デバイスに無線にて送信し、
前記送信指示が受信される場合に、前記特定の通信デバイスは、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、
請求項6に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、
前記搬送台車は、前記複数の通信デバイスと複数の前記識別子との対応関係を示す対応情報を記憶し、
前記特定の通信デバイスは、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、
前記搬送台車は、前記トリガ信号に含まれる前記特定の識別子と、前記対応情報とに基づいて、前記特定の通信デバイスを通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記無線通信を実行する、
請求項9に記載の搬送システム。
【請求項11】
搬送物が受け渡しされる特定の設備に接続された通信デバイスであって、
前記搬送物を搬送するための搬送台車から、前記搬送台車と前記通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を介して、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示が受信される場合に、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、
通信デバイス。
【請求項12】
前記通信デバイスを一意に識別するための識別子を記憶し、
前記トリガ信号の送信では、記憶する前記識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、
前記搬送台車が、受信した前記トリガ信号に含まれる前記識別子に基づいて前記通信デバイスを通信相手として特定した場合に、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を、前記搬送台車との間で実行する、
請求項11に記載の通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
搬送システムの制御方法、搬送システム、及び通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体ウエハが格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)を搬送する複数の天井走行式の搬送台車と、ウエハを加工する複数の半導体製造装置とを備える搬送システムが開示されている。各半導体製造装置には、1組の通信デバイス及びアクセスポイントが取り付けられている。各半導体製造装置は、FOUPが載置される載置ポートを備える。通信デバイスは、パラレルケーブルを介して載置ポートに接続されていると共に、LAN(Local Area Network)ケーブルを介してアクセスポイントに接続されている。アクセスポイントは、各搬送台車と無線通信を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような搬送システムでは、各通信デバイスは、通信相手を検索するためのトリガ信号(例えば、ビーコン)を、アクセスポイントを介して無線にて周囲に常に送信し続ける。搬送台車は、FOUPを載置すべき半導体製造装置の付近に到着すると、当該半導体製造装置に取り付けられた通信デバイスからのトリガ信号に応答する。これにより、台車及び通信デバイスは、載置ポートと搬送台車との間で搬送物を移載するための処理(SEMI E84規格で定めるインターロック処理)を実行するための無線通信(インターロック通信)を開始する。
【0005】
しかし、隣接した各通信デバイスがトリガ信号を常に送信し続けると、トリガ信号が相互に干渉し、通信障害が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、搬送システムにおける通信障害の発生を抑制することができる制御方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、搬送物を搬送するための搬送台車と、前記搬送物が受け渡しされる複数の設備に接続された複数の通信デバイスと、前記搬送台車の走行を制御するコントローラと、を備える搬送システムの制御方法であって、前記コントローラが、前記搬送台車が前記搬送物を受け渡しすべき設備を特定する設備特定情報を取得する第1取得ステップと、前記搬送台車が、前記搬送台車の位置を示す台車位置情報を取得する第2取得ステップと、前記搬送台車と、前記設備特定情報によって特定される特定の設備に接続されている特定の通信デバイスと、前記コントローラとのうちのいずれかが、前記特定の設備の位置を示す受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間の距離を算出する算出ステップと、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスと前記コントローラとのうちのいずれかが、前記距離が所定の距離以下であるか否かを判定する判定ステップと、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとのうちの一方が、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を無線にて周囲に送信する第1送信ステップと、前記トリガ信号が前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間で無線通信される場合に、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を実行する実行ステップと、を含む。
【0008】
上記制御方法によれば、搬送台車と特定の通信デバイスとの距離が所定の距離以下になると、搬送台車と特定の通信デバイスとのうちの一方が、トリガ信号を送信する。このため、複数の通信デバイスのそれぞれが、トリガ信号を常に送信し続ける必要がない。よって、複数の通信デバイスがトリガ信号を送信することによる、トリガ信号の相互干渉が生じない。このように、上記制御方法によれば、搬送システムにおける通信障害の発生を抑制することができる。
【0009】
また、前記制御方法は、さらに、前記搬送台車が、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得する第3取得ステップを含み、前記算出ステップでは、前記搬送台車が、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、前記判定ステップでは、前記搬送台車が、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、前記第1送信ステップでは、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車が、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、としてもよい。
【0010】
これにより、複数の通信デバイスのそれぞれは、必ずしもトリガ信号を送信する機能を有する必要がない。このため、上記制御方法によれば、トリガ信号を送信する機能を有さない通信デバイスを含んで構成される搬送システムに、上記制御方法を適用することができる。
【0011】
また、前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、前記第1送信ステップでは、前記搬送台車が、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を周囲に送信し、前記実行ステップでは、前記特定の通信デバイスが、前記トリガ信号に前記特定の識別子が含まれることを確認することによって、前記搬送台車を通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記無線通信を実行する、としてもよい。
【0012】
これにより、特定の通信デバイスは、トリガ信号に含まれる、自通信デバイスを識別するための識別子を確認することで、自通信デバイスが特定の通信デバイスであることを認識する。このため、上記制御方法によれば、搬送台車及び特定の通信デバイスは、比較的容易に、搬送台車と特定の設備との間で搬送物を受け渡しするための無線通信の実行を実現することができる。
【0013】
また、前記搬送システムは、さらに、前記搬送台車と、前記複数の通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を備え、前記制御方法は、さらに、前記搬送台車が、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得する第3取得ステップを含み、前記算出ステップでは、前記搬送台車が、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、前記判定ステップでは、前記搬送台車が、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、前記制御方法は、さらに、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車が、前記トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、前記中継装置を介して前記特定の通信デバイスに無線にて送信する第2送信ステップを含み、前記第1送信ステップでは、前記送信指示が受信される場合に、前記特定の通信デバイスが、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、としてもよい。
【0014】
これにより、搬送台車は、必ずしもトリガ信号を送信する機能を有する必要がない。このため、上記制御方法によれば、トリガ信号を送信する機能を有さない搬送台車を含んで構成される搬送システムに、上記制御方法を適用することができる。
【0015】
また、前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、前記搬送台車は、前記複数の通信デバイスと複数の前記識別子との対応関係を示す対応情報を記憶し、前記第1送信ステップでは、前記特定の通信デバイスが、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、前記実行ステップでは、前記搬送台車が、前記トリガ信号に含まれる前記特定の識別子と、前記対応情報とに基づいて、前記特定の通信デバイスを通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスが、前記無線通信を実行する、としてもよい。
【0016】
これにより、搬送台車は、トリガ信号に含まれる識別子を用いて特定の通信デバイスを通信相手として特定する。このため、上記制御方法によれば、搬送台車及び特定の通信デバイスは、比較的容易に、搬送台車と特定の設備との間で搬送物を受け渡しするための無線通信の実行を実現することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送システムは、搬送物を搬送するための搬送台車と、前記搬送物が受け渡しされる複数の設備に接続された複数の通信デバイスと、前記搬送台車の走行を制御するコントローラと、を備える搬送システムであって、前記コントローラは、前記搬送台車が前記搬送物を受け渡しすべき設備を特定する設備特定情報を取得し、前記搬送台車は、前記搬送台車の位置を示す台車位置情報を取得し、前記搬送台車と、前記設備特定情報によって特定される特定の設備に接続されている特定の通信デバイスと、前記コントローラとのうちのいずれかは、前記特定の設備の位置を示す受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスと前記コントローラとのうちのいずれかは、前記距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとのうちの一方は、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を無線にて周囲に送信し、前記トリガ信号が前記搬送台車と前記特定の通信デバイスとの間で無線通信される場合に、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を実行する。
【0018】
上記搬送システムによれば、搬送台車と特定の通信デバイスとの距離が所定の距離以下になると、搬送台車と特定の通信デバイスとのうちの一方が、トリガ信号を送信する。このため、複数の通信デバイスのそれぞれが、トリガ信号を常に送信し続ける必要がない。よって、複数の通信デバイスがトリガ信号を送信することによる、トリガ信号の相互干渉が生じない。このように、上記搬送システムによれば、通信障害の発生を抑制することができる。
【0019】
また、前記搬送台車は、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得し、前記搬送台車は、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、前記搬送台車は、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車は、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信するとしてもよい。
【0020】
これにより、複数の通信デバイスのそれぞれは、必ずしもトリガ信号を送信する機能を有する必要がない。このため、上記搬送システムによれば、トリガ信号を送信する機能を有さない通信デバイスを含むことができる。
【0021】
また、前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、前記搬送台車は、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を周囲に送信し、前記特定の通信デバイスは、前記トリガ信号に前記特定の識別子が含まれることを確認することによって、前記搬送台車を通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記無線通信を実行する、としてもよい。
【0022】
これにより、特定の通信デバイスは、トリガ信号に含まれる、自通信デバイスを識別するための識別子を確認することで、自通信デバイスが特定の通信デバイスであることを認識する。このため、上記搬送システムによれば、搬送台車及び特定の通信デバイスは、比較的容易に、搬送台車と特定の設備との間で搬送物を受け渡しするための無線通信の実行を実現することができる。
【0023】
また、さらに、前記搬送台車と、前記複数の通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を備え、前記搬送台車は、前記特定の設備の位置まで走行することを指示する走行指示を前記コントローラから受信することによって、前記受け渡し位置情報を取得し、前記搬送台車は、取得した前記受け渡し位置情報と前記台車位置情報とに基づいて、前記距離を算出し、前記搬送台車は、前記距離が前記所定の距離以下であるか否かを判定し、前記距離が前記所定の距離以下であると判定される場合に、前記搬送台車は、前記トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、前記中継装置を介して前記特定の通信デバイスに無線にて送信し、前記送信指示が受信される場合に、前記特定の通信デバイスは、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する、としてもよい。
【0024】
これにより、搬送台車は、必ずしもトリガ信号を送信する機能を有する必要がない。このため、上記搬送システムによれば、トリガ信号を送信する機能を有さない搬送台車を含むことができる。
【0025】
また、前記複数の通信デバイスは、それぞれを一意に識別するための識別子を記憶し、前記搬送台車は、前記複数の通信デバイスと複数の前記識別子との対応関係を示す対応情報を記憶し、前記特定の通信デバイスは、前記特定の通信デバイスを識別するための特定の識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、前記搬送台車は、前記トリガ信号に含まれる前記特定の識別子と、前記対応情報とに基づいて、前記特定の通信デバイスを通信相手として特定し、当該特定に基づいて、前記搬送台車及び前記特定の通信デバイスは、前記無線通信を実行する、としてもよい。
【0026】
これにより、搬送台車は、トリガ信号に含まれる識別子を用いて特定の通信デバイスを通信相手として特定する。このため、上記搬送システムによれば、搬送台車及び特定の通信デバイスは、比較的容易に、搬送台車と特定の設備との間で搬送物を受け渡しするための無線通信の実行を実現することができる。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信デバイスは、搬送物が受け渡しされる特定の設備に接続された通信デバイスであって、前記搬送物を搬送するための搬送台車から、前記搬送台車と前記通信デバイスとの間の無線通信を中継する中継装置を介して、前記搬送台車と前記特定の設備との間で無線通信を開始するためのトリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示が受信される場合に、前記トリガ信号を無線にて周囲に送信する。
【0028】
上記通信デバイスは、送信指示が受信される場合に、トリガ信号を送信する。このため、上記通信デバイスは、トリガ信号を常に送信し続ける必要がない。このため、複数の通信デバイスを含んで構成される搬送システムに上記通信デバイスを利用すれば、複数の通信デバイスのそれぞれがトリガ信号を送信することによる、トリガ信号の相互干渉が生じない。このように、上記通信デバイスによれば、通信障害の発生を抑制することができる。
【0029】
また、前記通信デバイスを一意に識別するための識別子を記憶し、前記トリガ信号の送信では、記憶する前記識別子を含む前記トリガ信号を無線にて周囲に送信し、前記搬送台車が、受信した前記トリガ信号に含まれる前記識別子に基づいて前記通信デバイスを通信相手として特定した場合に、前記搬送台車と前記特定の設備との間で前記搬送物を受け渡しするための無線通信を、前記搬送台車との間で実行するとしてもよい。
【0030】
これにより、搬送台車は、トリガ信号に含まれる識別子を用いて上記通信デバイスを通信相手として特定する。このため、上記通信デバイスによれば、搬送台車と特定の設備との間で搬送物を受け渡しするため無線通信の実行を、搬送台車との間で比較的容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る制御方法等によれば、搬送システムにおける通信障害の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る搬送システムの構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る搬送システムの概要を示す外観図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る搬送システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係るインターロック通信開始処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る搬送システムの構成図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る搬送システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係るインターロック通信開始処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0035】
(実施の形態1)
以下、搬送物を搬送する搬送システムについて説明する。
【0036】
図1は、実施の形態1に係る搬送システム1の構成図である。
【0037】
図1に示されるように、搬送システム1は、搬送物を搬送するための搬送台車30と、搬送物が受け渡しされる複数の設備40a~40k、40mに接続された複数の通信デバイス10a~10k、10mと、搬送台車30の走行を制御するコントローラ20とを含んで構成される。
【0038】
ここでは、搬送システム1は、半導体製造装置50a~50cを備える半導体工場において、半導体ウエハが格納されたFOUPを搬送物として搬送する搬送システムとして運用されている例となっている。
【0039】
以下、通信デバイス10a~10k、10mのことを、各個体を明示的に区別して説明する必要がある場合を除いて、通信デバイス10と称する。また、設備40a~40k、40mのことを、各個体を明示的に区別して説明する必要がある場合を除き、設備40と称する。また、半導体製造装置50a~50cのことを、各個体を明示的に区別して説明する必要がある場合を除き、半導体製造装置50と称する。
【0040】
なお、ここでは、搬送システム1は、設備40及び半導体製造装置50を含まないとして説明するが、搬送システム1は、設備40及び半導体製造装置50の一方又は双方を含むとしてもよい。また、
図1では、搬送台車30が1台であるかのように図示しているが、複数台であってもよい。
【0041】
【0042】
図2に示される半導体製造装置50は、半導体ウエハを加工する装置であり、搬送物100であるFOUPを搬入及び搬出するためのFOUP搬入搬出口51を備える。
【0043】
設備40は、搬送物100であるFOUPが載置される載置ポートであり、半導体製造装置50のFOUP搬入搬出口51付近に配置されて、搬送台車30との間、及び半導体製造装置50との間で搬送物100を受け渡しする。
【0044】
また、設備40は、有線ケーブルを介して、通信デバイス10との間で信号を送受信する。ここでは、1つの半導体製造装置50に対して、例えば4つの設備40が設けられており、各設備40は、1つの通信デバイス10と一対一に接続されている。このため、1つの半導体製造装置50と複数(ここでは4つ)の通信デバイス10とが複数(ここでは4つ)の設備40を介して接続されることになる。
【0045】
なお、本実施の形態1では、設備40は、通信デバイス10と1対1の接続で説明するが、例えば設備40aおよび40bが通信デバイス10aに接続し、設備40の40c、40dが通信デバイス10bに接続するなど2対1の接続によって、通信デバイス10の数を減らす構成であってもよい。このようにすれば、搬送システム全体のコスト削減効果になり得る。
【0046】
搬送台車30は、設備40との間で搬送物100を受け渡しし、走行ルート2に沿って搬送物100を搬送する台車であり、内部に搬送物100を把持する把持部31を備える。把持部31は、例えば昇降可能に設けられており、搬送物100を設備40との間で移載する際には、設備40付近まで降下される。なお、把持部31は、水平方向に移動可能に設けられていてもよい。
【0047】
通信デバイス10は、設備40と搬送台車30との間で搬送物を受け渡しするために通信される信号、具体的には、インターロック処理に係る信号(以下、「インターロック信号」と称する。)の送受信(以下、「インターロック通信」と称する。)を中継する通信機能を含む装置である。インターロック信号は、例えばパケットである。インターロック処理とは、特定の条件が成立しないと他の動作ができなくなるような処理である。インターロック処理は、例えば、SEMI E84規格で規定される処理であってよい。搬送システム1においてインターロック処理が行われることで、搬送台車30より搬送物100を設備40に移載する際に、特定の条件が成立しないと次の工程には移行しないようにできる。特定の条件とは、例えば、特定の搬送台車30が、搬送物100の受け渡しを行いたい特定の設備40へ、現在受け渡しを行える状態にあるかを確認させる指示(インターロック処理の実行コマンド)を含むインターロック信号を送信し、特定の設備40から、現在移載を行える状態にあることを示す応答を含むインターロック信号を受信できたといった条件である。これにより、特定の搬送台車30から特定の設備40への搬送物100の受け渡しを安全かつ確実に行うことができる。
【0048】
通信デバイス10は、設備40と搬送台車30との間のインターロック通信の中継において、通信デバイス10と搬送台車30との間の通信は、無線により行い、通信デバイス10と設備40との間の通信は、有線ケーブルを介する有線により行う。ここで、無線通信として、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格、ISMバンドでの通信で使用されるANT通信規格などに準拠した通信、Sub Giga周波数帯の通信を採用し得る。
【0049】
また、有線通信として、例えば、IEEE802.3規格、パラレル通信、シリアル通信などの通信を採用し得る。
【0050】
以下、搬送システム1を構成する各構成要素について、より詳細に説明する。
【0051】
図3は、搬送システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0052】
コントローラ20は、搬送台車30の走行を制御する。コントローラ20は、例えば、搬送台車30が走行する走行ルート2(
図2参照)に沿って配置された漏洩フィーダ線を利用して、搬送台車30と非接触で通信し、搬送台車30に各種制御信号を送信することで、搬送台車30の走行の制御を行う。コントローラ20と搬送台車30の通信は、非接触であり、走行ルート2に沿って配置されたリッツ線に供給される電力に制御信号を重畳する方式を採用することもできる。
【0053】
コントローラ20は、外部装置(例えば、搬送システム1が運用されている半導体製造工場において、半導体製造工程を管理する管理システムの管理サーバ)から、搬送台車30が搬送物100を受け渡しすべき設備40を特定する設備特定情報を取得する。
【0054】
コントローラ20は、設備特定情報を取得すると、設備特定情報によって特定される特定の設備40の位置まで走行することを指示する走行指示を搬送台車30に送信する。
【0055】
コントローラ20は、例えば、プロセッサとメモリと通信インターフェースとを備えるコンピュータ装置によって実現される。この場合、コントローラ20の各種機能は、メモリに記憶されるプログラムをプロセッサが実行することによって実現される。
【0056】
搬送台車30は、把持部31と、台車制御部32と、台車通信部33とを含んで構成される。
【0057】
台車通信部33は、通信デバイス10及びコントローラ20と通信する。台車通信部33は、通信デバイス10との間で無線通信を行い、コントローラ20との間で、非接触で通信を行う。
【0058】
台車通信部33は、外部にトリガ信号(例えば、ビーコン、ペアリング信号)を送信する親局モードと、外部にトリガ信号を送信しない子局モードとの2つの動作モードを有する。台車通信部33の動作モードは、台車制御部32によって、親局モードと子局モードとのいずれかに設定される。台車通信部33の動作モードは、所定の条件を満たす特別な期間以外の通常時には、子局モードに設定されている。
【0059】
台車制御部32は、搬送台車30を制御する。
【0060】
台車制御部32は、搬送台車30の位置を示す台車位置情報を取得する。台車制御部32は、例えば、バーコードリーダを備え、走行ルート2に所定間隔(例えば、3m)で配置されているバーコードを読み取ることで、走行ルート2における台車位置情報を取得するとしてよい。この場合、台車制御部32は、搬送台車30がバーコード間に位置するときには、搬送台車30を走行させるための駆動装置(例えば、モータ)から出力されるエンコード信号を用いて、バーコード間のどの位置であるかを補間することで、台車位置情報を取得してもよい。
【0061】
台車制御部32は、台車通信部33を介して、コントローラ20から送信された走行指示を受信することで、搬送台車30が搬送物100を受け渡しすべき特定の設備40の位置を示す受け渡し位置情報を取得する。
【0062】
台車制御部32は、取得した台車位置情報と、取得した受け渡し位置情報とに基づいて、搬送台車30と、特定の設備40に接続されている特定の通信デバイス10との間の距離、具体的には搬送台車30と特定の通信デバイス10との走行ルート2に沿う距離を算出し、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定する。なお、搬送台車30と特定の通信デバイス10との距離は、両者を結ぶ直線距離であってもよい。ここでは、台車制御部32は、特定の通信デバイス10と特定の設備40とがほぼ同じ位置にあるため、特定の設備40と搬送台車30との間の距離を、特定の通信デバイス10と搬送台車30との間の距離とみなすことができる。
【0063】
台車制御部32は、算出した距離が所定の距離以下であると判定される場合に、台車通信部33の動作モードを親局モードに設定する。そして、台車制御部32は、搬送台車30と上記特定の設備40との間で無線通信であるインターロック通信を開始するためのトリガ信号を、台車通信部33を介して、無線にて周囲に送信する。トリガ信号は、特定の通信デバイス10を識別する識別子を含む。ここで、識別子は、複数の通信デバイス10のそれぞれに割り当てられた、複数の通信デバイス10のそれぞれを一意に識別するための識別子である。識別子は、例えば無線通信がIEEE802.11規格に準拠する通信であれば、ネットワークを識別するSSID(Service Set Identifier)であってもよい。また、識別子は、例えば無線通信がANT通信規格に準拠する通信であれば、予め複数の通信デバイス10のそれぞれに(重複することなく)割り当てられた装置番号などであってもよい。
【0064】
トリガ信号が、台車制御部32と特定の通信デバイス10との間で無線通信される場合に、台車制御部32は、台車制御部32と特定の設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を、台車通信部33を介して、特定の通信デバイス10との間で実行する。
【0065】
台車制御部32は、例えば、トリガ信号を送信した後において、上記特定の通信デバイス10から、台車通信部33を介して、自通信デバイス10を識別する識別子を含むトリガ信号を受信した旨を示す応答信号を受信することで、インターロック通信の実行を開始するとしてもよい。
【0066】
台車制御部32は、例えば、搬送台車30の備えるメモリに記憶されるプログラムを搬送台車30の備えるプロセッサが実行することによって実現される。
【0067】
通信デバイス10は、通信部12と、制御部13とを含んで構成される。
【0068】
通信部12は、搬送台車30及び設備40と通信する。通信部12は、搬送台車30との間で無線通信を行い、設備40との間で、有線ケーブルを介して有線通信を行う。
【0069】
制御部13は、通信デバイス10を制御する。
【0070】
制御部13は、自身を含む通信デバイス10を一意に識別するための識別子を記憶する。すなわち、複数の通信デバイス10は、それぞれを一意に識別するための識別子を、それぞれの制御部13に記憶する。
【0071】
制御部13は、搬送台車30から、通信部12を介してトリガ信号を受信した場合において、そのトリガ信号に、記憶する識別子が含まれていることを確認したときに、搬送台車30を通信相手として特定する。そして、この特定に基づいて、搬送台車30と通信デバイス10が接続される設備40との間で搬送物を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を、通信部12を介して、搬送台車30との間で実行する。
【0072】
制御部13は、例えば、受信したトリガ信号に、記憶する識別子が含まれていることを確認すると、通信部12を介して、自通信デバイス10を識別する識別子を含むトリガ信号を受信した旨を示す応答信号を、搬送台車30に送信するとしてもよい。
【0073】
制御部13は、例えば、通信デバイス10の備えるメモリに記憶されるプログラムを通信デバイス10の備えるプロセッサが実行することによって実現される。
【0074】
以下、上記構成の搬送システム1の行う動作について説明する。
【0075】
搬送システム1は、設備40と搬送台車30との間で搬送物100を受け渡しするためのインターロック通信を開始するインターロック通信開始処理を行う。
【0076】
図4は、インターロック通信開始処理のフローチャートである。
【0077】
インターロック通信開始処理は、例えば、搬送システム1が起動されることで開始される。
【0078】
インターロック通信開始処理が開始されると、コントローラ20は、搬送台車30が搬送物100を受け渡しすべき設備40を特定する設備特定情報を外部装置から取得する(ステップS10)。
【0079】
設備特定情報を取得すると、コントローラ20は、取得した設備特定情報によって特定される特定の設備40の位置まで走行することを指示する走行指示を搬送台車30に送信する(ステップS20)。
【0080】
走行指示が送信されると、搬送台車30は、走行指示を受信することで、搬送台車30が搬送物100を受け渡しすべき特定の設備40の位置を示す受け渡し位置情報を取得する(ステップS30)。
【0081】
受け渡し位置情報を取得すると、搬送台車30は、自身(搬送台車30)の現在位置を示す台車位置情報を取得する(ステップS40)。
【0082】
台車位置情報を取得すると、搬送台車30は、取得した受け渡し位置情報と、取得した台車位置情報とに基づいて、搬送台車30と、特定の設備40に接続されている特定の通信デバイス10との間の距離を算出する(ステップS50)。
【0083】
搬送台車30と特定の通信デバイス10との間の距離を算出すると、搬送台車30は、算出した距離が、所定の距離以下であるか否かを判定する(ステップS60)。
【0084】
ステップS60の処理において、算出した距離が所定の距離以下でない場合に(ステップS60:No)、搬送システム1は、再びステップS40の処理に進む。
【0085】
ステップS60の処理において、算出した距離が所定の距離以下である場合に(ステップS60:Yes)、搬送台車30は、台車通信部33の動作モードを親局モードに設定し、特定の設備40に紐づいた通信デバイス10を特定する特定の識別子を含むトリガ信号であって、搬送台車30と特定の設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を開始するためのトリガ信号を、無線にて周囲に送信する(ステップS70)。
【0086】
トリガ信号が送信されると、特定の通信デバイス10は、トリガ信号を受信し、受信したトリガ信号に特定の識別子(例えば、SSIDなど)が含まれることを確認し、搬送台車30を通信相手として特定する(ステップS80)。
【0087】
特定の通信デバイス10が、搬送台車30を通信相手として特定すると、搬送台車30及び特定の通信デバイス10は、搬送台車30と特定の設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を実行する(ステップS90)。
【0088】
ステップS90の処理が終了すると、搬送システム1は、そのインターロック通信開始処理を終了する。
【0089】
上述したように、上記構成の搬送システム1は、インターロック通信開始処理において、搬送台車30と特定の通信デバイス10との距離が所定の距離以下になると、搬送台車30と複数の通信デバイス10のうち特定の通信デバイス10との間で、無線通信を開始するために搬送台車30がトリガ信号を送信する。このため、複数の通信デバイス10は、無線通信を開始するためにトリガ信号を送信する必要がない。よって、複数の通信デバイス10それぞれがトリガ信号を送信することによる、トリガ信号の相互干渉が生じない。このように、上記構成の搬送システム1によれば、通信障害の発生を抑制することができる。
【0090】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る搬送システム1から、その構成の一部が変更された実施の形態2に係る搬送システムについて説明する。
【0091】
実施の形態1に係る搬送システム1は、搬送台車30がトリガ信号を送信する構成の例であった。これに対して、実施の形態に2に係る搬送システムは、特定の通信デバイスがトリガ信号を送信する構成の例となっている。
【0092】
図5は、実施の形態2に係る搬送システム1aの構成図である。
【0093】
図5に示されるように、搬送システム1aは、実施の形態1に係る搬送システム1に対して、実施の形態1に係る搬送台車30が搬送台車80に変更され、実施の形態1に係る通信デバイス10a~10k、10mが、それぞれ通信デバイス60a~60k、60mに変更され、中継装置90が追加されて構成される。
【0094】
以下、実施の形態1と同様に、通信デバイス60a~60k,60mのことを、各個体を明示的に区別して説明する必要がある場合を除いて、通信デバイス60と称する。
【0095】
中継装置90は、搬送台車80と通信デバイス60との間の無線通信を中継する。中継装置90は、例えば、アクセスポイントであってよい。
【0096】
以下、搬送システム1aを構成する各構成要素について、実施の形態1に係る搬送システム1との相違点を中心に、より詳細に説明する。
【0097】
図6は、搬送システム1aの構成を示すブロック図である。
【0098】
図6に示されるように、搬送台車80は、実施の形態1に係る搬送台車30から、台車制御部32が台車制御部82に変更され、台車通信部33が台車通信部83に変更されて構成される。
【0099】
台車通信部83は、通信デバイス60、中継装置90、及びコントローラ20と通信する。台車通信部83は、通信デバイス60及び中継装置90との間で無線通信を行い、コントローラ20との間で、漏洩フィーダ線を利用して非接触で通信を行う。
【0100】
台車通信部83は、実施の形態1に係る台車通信部33と異なり、動作モードとして、外部にトリガ信号を送信する親局モードを有する必要はない。
【0101】
台車制御部82は、実施の形態1に係る台車制御部32と同様に、自身の台車位置情報を取得し、受け渡し位置情報を取得し、搬送台車80と特定の設備40に接続されている特定の通信デバイス60との間の距離を算出し、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定する。
【0102】
台車制御部82は、算出した距離が所定の距離以下であると判定される場合に、トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、台車通信部83を介して、中継装置90経由で、特定の通信デバイス60に無線にて送信する。
【0103】
台車制御部82は、複数の通信デバイス60のいずれかから送信されたトリガ信号を、台車通信部83を介して受信する。
【0104】
台車制御部82は、複数の通信デバイス60と、複数の通信デバイス60それぞれを一意に識別するための複数の識別子(例えば、SSIDなど)との対応関係を示す対応情報を記憶する。
【0105】
台車制御部82は、特定の通信デバイス60から、台車通信部83を介して特定の通信デバイス60を識別する特定の識別子を含むトリガ信号を受信すると、その特定の識別子と、対応情報とに基づいて、その特定の通信デバイス60を通信相手として特定する。そして、この特定結果に従い、台車制御部82は、台車制御部82と特定の設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を、台車通信部83を介して、特定の通信デバイス60との間で実行する。
【0106】
台車制御部82は、例えば、受信したトリガ信号に特定の通信デバイス60を識別する特定の識別子が含まれていることを確認すると、特定の識別子を含むトリガ信号を受信した旨を示す応答信号を、特定の通信デバイス60に送信するとしてもよい。
【0107】
台車制御部82は、例えば、実施の形態1に係る台車制御部32と同様に、搬送台車80の備えるメモリに記憶されるプログラムを搬送台車80の備えるプロセッサが実行することによって実現される。
【0108】
通信デバイス60は、実施の形態1に係る通信デバイス10から、通信部12が通信部62に変更され、制御部13が制御部63に変更されて構成される。
【0109】
通信部62は、搬送台車80、中継装置90、及び設備40と通信する。通信部62は、搬送台車80及び中継装置90との間で無線通信を行い、設備40との間で、有線ケーブルを介して有線通信を行う。
【0110】
通信部62は、外部にトリガ信号(例えば、ビーコン、ペアリング信号)を送信する親局モードと、外部にトリガ信号を送信しない子局モードとの2つの動作モードを有する。通信部62の動作モードは、制御部63によって、親局モードと子局モードとのいずれかに設定される。通信部62の動作モードは、所定の条件を満たす特別な期間以外の通常時には、子局モードに設定されている。
【0111】
制御部63は、通信デバイス60を制御する。
【0112】
制御部63は、自身を含む通信デバイス60を一意に識別するための識別子を記憶する。すなわち、複数の通信デバイス60は、それぞれを一意に識別するための識別子を、それぞれの制御部63に記憶する。
【0113】
制御部63は、搬送台車80から、中継装置90経由で、通信部62を介して送信指示を受信すると、通信部62の動作モードを親局モードに設定する。そして、制御部63は、搬送台車30と、自身を含む通信デバイス60に接続される設備40との間で無線通信であるインターロック通信を開始するためのトリガ信号を、通信部62を介して、無線にて周囲に送信する。この際、制御部63は、記憶する識別子をトリガ信号に含めて送信する。
【0114】
トリガ信号が、制御部63と搬送台車80との間で無線通信される場合に、制御部63は、搬送台車80と制御部63自身を含む通信デバイス60に接続される設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を、通信部62を介して、搬送台車80との間で実行する。
【0115】
制御部63は、例えば、トリガ信号を送信した後において、搬送台車80から、通信部62を介して、特定の識別子を含むトリガ信号を受信した旨を示す応答信号を受信することで、インターロック通信の実行を開始するとしてもよい。
【0116】
制御部63は、例えば、通信デバイス60の備えるメモリに記憶されるプログラムを通信デバイス60の備えるプロセッサが実行することによって実現される。
【0117】
以下、上記構成の搬送システム1aの行う動作について説明する。
【0118】
搬送システム1aは、設備40と搬送台車80との間で搬送物100を受け渡しするためのインターロック通信を開始するインターロック通信開始処理を行う。この実施の形態2に係るインターロック通信開始処理は、実施の形態1に係るインターロック通信開始処理から、その一部の処理が変更された処理となっている。
【0119】
図7は、実施の形態2に係るインターロック通信開始処理のフローチャートである。
【0120】
インターロック通信開始処理において、ステップS110の処理~ステップS160の処理は、それぞれ、実施の形態1に係るインターロック通信開始処理における、ステップS10の処理~ステップS60の処理に対して、通信デバイス10を通信デバイス60に読み替えて、搬送台車30を搬送台車80に読み替えて、搬送システム1を搬送システム1aに読み替えた処理と同様の処理となっている。このため、ステップS110の処理~ステップS160の処理については、既に説明済みであるとして、ここではそれらの説明を省略し、ステップS170の処理~ステップS200の処理を中心に説明する。
【0121】
ステップS160の処理において、算出した距離が所定の距離以下である場合に(ステップS160:Yes)、搬送台車80は、トリガ信号を送信すべきことを指示する送信指示を、中継装置90経由で、特定の通信デバイス10に無線にて送信する(ステップS170)。
【0122】
搬送台車80から送信指示が送信されると、特定の通信デバイス60は、中継装置90経由で、送信信号を受信し、通信部62の動作モードを親局モードに設定する。そして、特定の通信デバイス60は、搬送台車30と、特定の通信デバイス60に接続される設備40との間で無線通信であるインターロック通信を開始するためのトリガ信号であって、特定の通信デバイス60を識別する特定の識別子を含むトリガ信号を、無線にて周囲に送信する(ステップS180)。
【0123】
トリガ信号が送信されると、搬送台車80は、トリガ信号を受信し、トリガ信号に含まれる特定の識別子と、記憶する対応情報とに基づいて、その特定の通信デバイス10を通信相手として特定する(ステップS190)。
【0124】
搬送台車80が、特定の通信デバイス60を通信相手として特定すると、搬送台車80及び特定の通信デバイス60は、搬送台車80と特定の設備40との間で搬送物100を受け渡しするための無線通信であるインターロック通信を実行する(ステップS200)。
【0125】
ステップS200の処理が終了すると、搬送システム1aは、そのインターロック通信開始処理を終了する。
【0126】
上述したように、上記構成の搬送システム1aは、インターロック通信開始処理において、搬送台車80と特定の通信デバイス60との距離が所定の距離以下になると、複数の通信デバイス60のうち、1の特定の通信デバイス60がトリガ信号を送信する。このため、他の通信デバイス60は、トリガ信号を送信する必要がない。よって、複数の通信デバイス60がトリガ信号を送信することによる、トリガ信号の相互干渉が生じない。このように、上記構成の搬送システム1aによれば、通信障害の発生を抑制することができる。
【0127】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る制御方法、搬送システム、及び通信デバイスについて、実施の形態1及び実施の形態2に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0128】
(1)実施の形態1及び実施の形態2において、搬送システムは、搬送台車が、受け渡し位置情報と自身の台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、搬送台車が、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定する構成であるとして説明した。しかしながら、本発明に係る搬送システムは、搬送台車と、特定の通信デバイスと、コントローラとのうちのいずれかが、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、搬送台車と、特定の通信デバイスと、コントローラとのうちのいずれかが、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定する構成であればよい。
【0129】
例えば、コントローラによる、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づく、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離の算出は、コントローラが、例えば、漏洩フィーダ線に対する非接触通信又は給電リッツ線に信号を重畳させる重畳通信によって、搬送台車から台車位置情報を受信することで実現し得る。
【0130】
例えば、特定の通信デバイスによる、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づく、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離の算出は、特定の通信デバイスが、例えば、中継装置経由の無線通信によって、コントローラから受け渡し位置情報を受信し、特定の通信デバイスが、例えば、中継装置経由の無線通信によって、搬送台車から台車位置情報を受信することで実現し得る。
【0131】
例えば、搬送台車が、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出する場合における、特定の通信デバイスによる、算出した距離が所定の距離以下であるか否かの判定は、特定の通信デバイスが、例えば、中継装置が中継する無線通信によって、搬送台車から算出した距離を示す情報を受信することで実現し得る。
【0132】
例えば、特定の通信デバイスが、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出する場合における、特定の通信デバイスによる、算出した距離が所定の距離以下であるか否かの判定は、特定の通信デバイスが、算出した距離をそのまま利用することで実現し得る。
【0133】
例えば、コントローラが、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出する場合における、コントローラによる、算出した距離が所定の距離以下であるか否かの判定は、コントローラが、算出した距離をそのまま利用することで実現し得る。
【0134】
このようなことから、本発明に係る搬送システムの一例として、実施の形態1において説明した搬送システム1と、実施の形態2において説明した搬送システム1aとに加えて、例えば、以下の搬送システム1b~搬送システム1eが考えられる。
【0135】
本発明に係る搬送システム1b(図示されず)は、例えば、搬送台車が、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、特定の通信デバイスが、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、特定の通信デバイスが、トリガ信号を送信する。
【0136】
本発明に係る搬送システム1c(図示されず)は、例えば、特定の通信デバイスが、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、特定の通信デバイスが、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、特定の通信デバイスが、トリガ信号を送信する。
【0137】
本発明に係る搬送システム1d(図示されず)は、例えば、コントローラが、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、コントローラが、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、搬送台車が、トリガ信号を送信する。
【0138】
本発明に係る搬送システム1e(図示されず)は、例えば、コントローラが、受け渡し位置情報と台車位置情報とに基づいて、搬送台車と特定の通信デバイスとの間の距離を算出し、コントローラが、算出した距離が所定の距離以下であるか否かを判定し、特定の通信デバイスが、トリガ信号を送信する。
【0139】
(2)実施の形態1において、通信デバイス10に一対一に接続されている設備は、搬送物100が載置される載置ポートである構成例であったが、これに限らない。例えば、設備は、半導体製造装置50であってもよい。つまり、複数の通信デバイス10のそれぞれは、複数の半導体製造装置50のそれぞれと一対一に接続され、一台の通信デバイス10が複数の載置ポートを受け持ってもよい。
【0140】
また、例えば、設備は、複数の半導体製造装置50の集まりを1つの単位とする半導体製造装置50群であってもよい。つまり、複数の通信デバイス10のそれぞれは、複数の半導体製造装置50群のそれぞれと一対一に接続され、一台の通信デバイス10が複数の半導体製造装置50を受け持ってもよい。
【0141】
また、例えば、設備は、複数の載置ポートの集まりを1つの単位とする載置ポート群であってもよい。つまり、複数の通信デバイス10のそれぞれは、複数の載置ポート群のそれぞれと一対一に接続されていてもよい。言い換えると、1つの通信デバイス10は、複数の載置ポートの集まりと一対一に接続されていてもよい。
【0142】
さらに、例えば、設備は、半導体製造に関する載置ポート又は半導体製造装置50等でなくてもよい。例えば、設備は、半導体製造と関係のないものであってもよく、置き台等であってもよい。
【0143】
(3)実施の形態1におけるインターロック通信開始処理、及び実施の形態2におけるインターロック通信開始処理におけるステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、実施の形態1のインターロック通信開始処理、及び実施の形態2のインターロック通信開始処理に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0144】
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0145】
(4)実施の形態1において、搬送システム1に含まれる複数の構成要素は、それぞれ、専用または汎用の回路として実現されてもよい。これらの構成要素は、1つの回路として実現されてもよいし、複数の回路として実現されてもよい。
【0146】
また、搬送システム1に含まれる複数の構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIは、集積度の違いにより、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称される場合がある。
【0147】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。上述したように、プログラム可能なFPGA、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0148】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、搬送システム1に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0149】
(5)その他、実施の形態1及び実施の形態2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、無線通信によりインターロック処理を行う搬送システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1、1a 搬送システム
2 走行ルート
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10m、60、60a、60b、60c、60d、60e、60f、60g、60h、60i、60j、60k、60m 通信デバイス
12、62 通信部
13、63 制御部
20 コントローラ
30、80 搬送台車
31 把持部
32、82 台車制御部
33、83 台車通信部
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40i、40j、40k、40m 設備
50、50a、50b、50c 半導体製造装置
51 FOUP搬入搬出口
90 中継装置
100 搬送物