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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】通信管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20220603BHJP
【FI】
H04W24/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018166386
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020039099
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514093947
【氏名又は名称】モティーブリサーチ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラギル プトロ ウィチャクソノ
(72)【発明者】
【氏名】モハマド エリック エナワン
(72)【発明者】
【氏名】サティヤ ウィダヤカ エルファディ
(72)【発明者】
【氏名】永原 佳範
(72)【発明者】
【氏名】チャン クワンロック
(72)【発明者】
【氏名】國重 聖二
(72)【発明者】
【氏名】田島 友和
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/136811(WO,A1)
【文献】特表2016-528817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末に対して無線通信サービスを提供する複数の無線基地局によって送信された前記無線通信サービスに関する複数種類のKPIのKPIデータを格納するデータベースから、改善対象の複数の無線基地局によって送信されたKPIデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した前記KPIデータに基づいて、改善対象の前記複数の無線基地局の、改善対象として指定されたKPIを改善するパラメータを決定するデータ処理部であって、前記データ取得部が取得した前記KPIデータに基づいて、前記複数種類のKPIのうち前記指定されたKPIとの相関がより高い複数の相関KPIに基づいて、前記パラメータを決定する、データ処理部と、
前記データ処理部によって決定された前記パラメータを出力する出力部と
を備える、通信管理システム。
【請求項2】
前記データ処理部は、
前記データ取得部が取得した前記KPIデータに基づいて、前記複数の相関KPIによって前記指定されたKPIを予測するモデルを生成するモデル生成部と、
前記モデル生成部によって生成された前記モデルに基づいて前記パラメータを決定するパラメータ決定部と
を有する、請求項に記載の通信管理システム。
【請求項3】
前記モデル生成部は、前記データ取得部が取得した前記KPIデータを用いた教師あり機械学習を実行することによって前記モデルを生成する、請求項に記載の通信管理システム。
【請求項4】
前記複数種類のKPIは複数のカテゴリに分類されており、
前記モデル生成部は、前記複数のカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのそれぞれから1つずつ特定した前記複数の相関KPIによって前記モデルを生成する、請求項又はに記載の通信管理システム。
【請求項5】
前記データ処理部は、
前記改善対象の複数の無線基地局毎に、前記複数の相関KPIのそれぞれと前記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、前記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定する相関KPI特定部
を有する、請求項からのいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項6】
前記相関KPI特定部は、前記改善対象の複数の無線基地局毎に、前記複数の相関KPIのうち、前記指定されたKPIの低下に最も関連する相関KPIを特定する、請求項に記載の通信管理システム。
【請求項7】
前記相関KPI特定部は、前記複数の相関KPIのそれぞれについて、相関KPIを改善した場合に、前記指定されたKPIが改善する度合いを示す改善効果を導出し、前記改善効果に基づいて、前記指定されたKPIの低下に最も関係する相関KPIを特定する、請求項に記載の通信管理システム。
【請求項8】
前記相関KPI特定部は、前記改善対象の複数の無線基地局のセル毎に、前記複数の相関KPIのそれぞれと前記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、前記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定する、請求項からのいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記改善対象の複数の無線基地局のそれぞれに、前記相関KPI特定部によって特定された前記相関KPIに対して予め設定されたパラメータを設定する、請求項からのいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項10】
前記相関KPIに対して予め設定されたパラメータは、前記相関KPIが属するカテゴリに対して予め設定されたパラメータである、請求項に記載の通信管理システム。
【請求項11】
前記パラメータを設定することにより前記無線基地局の前記指定されたKPIが改善した改善度合を導出する改善度合導出部
を備える、請求項又は10に記載の通信管理システム。
【請求項12】
前記改善度合導出部は、T検定を用いて、前記改善度合を導出する、請求項11に記載の通信管理システム。
【請求項13】
前記データ処理部は、
前記モデル生成部によって生成されたモデルに基づいて、前記改善対象の複数の無線基地局毎に、前記モデルを適合可能か否か判定する適合判定部
を有し、
前記相関KPI特定部は、前記適合判定部によって適合可能と判定された無線基地局毎に、前記複数の相関KPIのそれぞれと前記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、前記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定する、請求項から12のいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項14】
前記適合判定部は、前記モデル生成部によって前記モデルが生成された後に前記無線基地局によって送信された前記指定されたKPIのKPIデータ及び前記相関KPIのKPIデータを取得し、前記指定されたKPIのKPIデータと、前記相関KPIのKPIデータ及び前記モデルを用いて予測した予測KPIデータとを比較することによって、前記モデルを適合可能か否か判定する、請求項13に記載の通信管理システム。
【請求項15】
前記適合判定部は、前記モデル生成部によって生成されたモデルに基づいて、前記改善対象の複数の無線基地局によって形成されるセル毎に、前記モデルを適合可能か否か判定する、請求項13又は14に記載の通信管理システム。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1から15のいずれか一項に記載の通信管理システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局の電波の範囲内における品質を指標化したKPI(Key Performance Indicator)データを表示することによって、管理者による無線基地局のパフォーマンス管理を支援する技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2018-025917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線基地局の管理を効率化できる技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、通信管理システムが提供される。通信管理システムは、無線通信端末に対して無線通信サービスを提供する複数の無線基地局によって送信された無線通信サービスに関する複数種類のKPIのKPIデータを格納するデータベースから、改善対象の複数の無線基地局によって送信されたKPIデータを取得するデータ取得部を備えてよい。通信管理システムは、データ取得部が取得したKPIデータに基づいて、改善対象の複数の無線基地局の、改善対象として指定されたKPIを改善するパラメータを決定するデータ処理部を備えてよい。通信管理システムは、データ処理部によって決定されたパラメータを出力する出力部を備えてよい。
【0005】
上記データ処理部は、上記データ取得部が取得した上記KPIデータに基づいて、上記複数種類のKPIのうち上記指定されたKPIとの相関がより高い複数の相関KPIに基づいて、上記パラメータを決定してよい。上記データ処理部は、上記データ取得部が取得した上記KPIデータに基づいて、上記複数の相関KPIによって上記指定されたKPIを予測するモデルを生成するモデル生成部と、上記モデル生成部によって生成された上記モデルに基づいて上記パラメータを決定するパラメータ決定部とを有してよい。上記モデル生成部は、上記データ取得部が取得した上記KPIデータを用いた教師あり機械学習を実行することによって上記モデルを生成してよい。上記複数種類のKPIは複数のカテゴリに分類されていてよく、上記モデル生成部は、上記複数のカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのそれぞれから1つずつ特定した上記複数の相関KPIによって上記モデルを生成してよい。
【0006】
上記データ処理部は、上記改善対象の複数の無線基地局毎に、上記複数の相関KPIのそれぞれと上記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、上記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定する相関KPI特定部を有してよい。上記相関KPI特定部は、上記改善対象の複数の無線基地局毎に、上記複数の相関KPIのうち、上記指定されたKPIの低下に最も関連する相関KPIを特定してよい。上記相関KPI特定部は、上記複数の相関KPIのそれぞれについて、相関KPIを改善した場合に、上記指定されたKPIが改善する度合いを示す改善効果を導出し、上記改善効果に基づいて、上記指定されたKPIの低下に最も関係する相関KPIを特定してよい。上記相関KPI特定部は、上記改善対象の複数の無線基地局のセル毎に、上記複数の相関KPIのそれぞれと上記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、上記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定してよい。
【0007】
上記出力部は、上記改善対象の複数の無線基地局のそれぞれに、上記相関KPI特定部によって特定された上記相関KPIに対して予め設定されたパラメータを設定してよい。上記相関KPIに対して予め設定されたパラメータは、上記相関KPIが属するカテゴリに対して予め設定されたパラメータであってよい。上記通信管理システムは、上記パラメータを設定することにより上記無線基地局の上記指定されたKPIが改善した改善度合を導出する改善度合導出部を備えてよい。上記改善度合導出部は、T検定を用いて、上記改善度合を導出してよい。上記データ処理部は、上記モデル生成部によって生成されたモデルに基づいて、上記改善対象の複数の無線基地局毎に、上記モデルを適合可能か否か判定する適合判定部を有してよく、上記相関KPI特定部は、上記適合判定部によって適合可能と判定された無線基地局毎に、上記複数の相関KPIのそれぞれと上記指定されたKPIの低下との関連度に基づいて、上記複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定してよい。上記適合判定部は、上記モデル生成部によって上記モデルが生成された後に上記無線基地局によって送信された上記指定されたKPIのKPIデータ及び上記相関KPIのKPIデータを取得し、上記指定されたKPIのKPIデータと、上記相関KPIのKPIデータ及び上記モデルを用いて予測した予測KPIデータとを比較することによって、上記モデルを適合可能か否か判定してよい。上記適合判定部は、上記モデル生成部によって生成されたモデルに基づいて、上記改善対象の複数の無線基地局によって形成されるセル毎に、上記モデルを適合可能か否か判定してよい。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、コンピュータを、上記通信管理システムとして機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信管理システム100の一例を概略的に示す。
図2】通信管理システム100による処理の流れの一例を概略的に示す。
図3】通信管理システム100の機能構成の一例を概略的に示す。
図4】予測スループットと実測スループットとの対応関係を表すグラフの一例を概略的に示す。
図5】相関KPIと指定KPIとの対応関係の一例を概略的に示す。
図6】通信管理システム100又は通信管理システム100の一部として機能するコンピュータ1000の機能構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、通信管理システム100の一例を概略的に示す。本実施形態に係る通信管理システム100は、無線通信端末30に対して無線通信サービスを提供する複数の無線基地局20を管理する。
【0013】
通信管理システム100は、ネットワーク10を介して複数の無線基地局20と通信する。ネットワーク10は、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、5G(5th Generation)以降の移動体通信網の少なくともいずれかを含んでよい。また、ネットワーク10は、インターネットを含んでよい。また、ネットワーク10は、公衆無線LAN(Local Area Network)及び、専用網等を含んでもよい。
【0014】
無線基地局20及び無線通信端末30は、3G、LTE、及び5G以降の移動体通信網のいずれに準拠していてもよい。ここでは、無線基地局20及び無線通信端末30がLTEに準拠している場合を主に例に挙げて説明する。無線通信端末30の例としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、及びPC(Personal Computer)等が挙げられる。
【0015】
通信管理システム100は、複数の無線基地局20から、無線通信サービスに関する複数種類のKPIのKPIデータを受信して格納してよい。本実施形態におけるKPIは、いわゆるネットワークKPIであってよく、無線通信ネットワークの稼働状況を示してよい。
【0016】
通信管理システム100は、無線基地局20によって送信可能なすべての種類のKPIのKPIデータを受信してデータベースに格納してよい。すなわち、通信管理システム100は、KPIの種類を指定することなく、無線基地局20によって送信可能なすべての種類のKPIのKPIデータを受信してよい。また、通信管理システム100は、無線基地局20に対してKPIの種類を指定して、指定したKPIのKPIデータを受信してもよい。無線基地局20は、例えば、毎時又は毎15分間隔等、予め定められた時間間隔で、KPIデータを通信管理システム100に対して送信してよい。
【0017】
無線基地局20によって送信可能なKPIの種類は数百から数千存在し、その代表的な例としては、ダウンリンクのスループット、アップリンクのスループット、音声の異常切断率、ハンドオーバの実行回数、ハンドオーバの成功回数、及びPRB(Physical Resource Block)の利用率等が挙げられる。
【0018】
従来、無線通信サービスのユーザからクレームがあがったり、収集しているKPIデータの解析結果が異常を示したりした場合、現地調査が行われ、経験豊富なエンジニアが、解析ツール等を用いて問題1つ1つに対してマニュアルで解析して問題原因を特定し、主に基地局パラメータの変更による改善案を指示していた。また、基地局パラメータを無線基地局に適用した後、効果の確認が行われて、改善しなかった場合には、調査のやり直しが行われていた。現地調査は、測定機器を所持した測定エンジニアが、車での走行、電車乗車、及び屋内歩行等を行うことによって実行されていた。
【0019】
このような従来の手法では、測定機器のレンタル費用、測定エンジニアの確保、経験豊富なエンジニアの確保、解析ツールの費用、無線基地局のパラメータ変更に携わるエンジニアの確保等が必要になる。また、KPIデータを解析する場合に、膨大な種類のKPIから、いずれのKPIが問題の原因となっているかを判定することが難しいという課題があった。また、セル毎に適切な基地局パラメータを見つけだすことが難しいという課題もあった。また、ネットワークが稼働している状況ではKPIは常に変動しているものであり、改善案の基地局パラメータを無線基地局に適用した場合に、その基地局パラメータによってKPIが改善したか否かを判定することが難しいという課題もあった。
【0020】
本実施形態に係る通信管理システム100は、このような課題の解決に貢献すべく、改善対象の無線基地局20の指定と、改善対象のKPI及び当該KPIの性能の目標とを受け付け、改善対象の無線基地局によって送信されたKPIデータに基づいて、改善対象のKPIを改善するパラメータを決定する処理を実行する。
【0021】
図2は、通信管理システム100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、複数の無線基地局20によって送信された複数種類のKPIのKPIデータがデータベースに既に格納されている状態を開始状態として説明する。
【0022】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、通信管理システム100が、改善対象エリアと、目標とを取得する。通信管理システム100は、例えば、通信管理システム100のオペレータによって入力された改善対象エリア及び目標を取得する。
【0023】
改善対象エリアとしては、任意のエリアを指定可能であってよい。例えば、改善対象エリアは、日本における都道府県及び市区町村等の区分単位で指定可能であってよい。当該区分は、各国の区分に従ってよい。また、改善対象エリアは、鉄道の線路沿い及び道路沿い等の単位で指定可能であってもよい。また、改善対象エリアは、緯度経度によって表現される任意のエリアであってもよい。
【0024】
目標は、改善対象として指定されたKPIと、当該KPIの性能目標とを含んでよい。目標として、任意のKPIと性能目標とが設定され得る。例えば、オペレータは、ユーザに直接影響のあるKPIを経験的に判断して、目標として設定する。下記表1に目標の一例を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
ID:1は、ダウンリンクのユーザスループットが5Mbps以上であることを示す。ID:2は、アップリンクのユーザスループットが1Mbps以上であることを示す。ID:3は、VoLTE(Voice over LTE)のドロップ率が1%以下であることを示す。ID:4は、E-RAB(E-UTRAN Radio Access Bearer)のドロップ率が1%以下であることを示す。ID:5は、セルのセットアップの成功率が99%以上であることを示す。ID:6は、VoLTEのアップリンクのパケットロス率が5%以下であることを示す。
【0027】
S104では、通信管理システム100が、データベースから、改善対象エリア内の無線基地局20によって送信されたKPIデータを取得する。通信管理システム100は、複数の無線基地局20のそれぞれの位置情報を格納していてよく、当該位置情報を参照することによって、改善対象エリア内の無線基地局20を特定してよい。
【0028】
S106では、通信管理システム100が、S104において取得したKPIデータに基づいて、複数種類のKPIのうち、改善対象として指定されたKPIとの相関がより高い複数の相関KPIを特定し、当該複数の相関KPIによって改善対象のKPIを予測するモデルを生成する。
【0029】
複数種類のKPIは、複数のカテゴリに分類されていてよく、通信管理システム100は、複数のカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのそれぞれから1つずつ特定した複数の相関KPIによってモデルを生成してよい。下記表2にカテゴリの一例を示す。なお、表2に示すカテゴリは一例であり、複数種類のKPIは、表2に示すカテゴリとは異なる体系のカテゴリに分類されてもよい。
【0030】
【表2】
【0031】
ID:1(Accessibility)に含まれるKPIの例として、RRC(Radio Resource Control) Setup Success Rate、RACH(Random Access Channel) Setup Success Rate、及びCall Setup Success Rate等が挙げられる。ID:2(Availability)に含まれるKPIの例として、Cell Availability及びCell Downtime等が挙げられる。ID:3(Core)に含まれるKPIの例として、MME(Mobility Management Entity) Initiated Abnormal release及びVoLTE IMS Signalling Drop Rate等が挙げられる。ID:4(Coverage)に含まれるKPIの例として、Pathloss distirbution counter等が挙げられる。
【0032】
ID:5(Mobility)に含まれるKPIの例として、RRC Re-establishment Success Rate等が挙げられる。ID:6(Mobility-IFHO)に含まれるKPIの例として、Inter Frequency Handover Success Rate等が挙げられる。ID:7(Mobility-InterRAT)に含まれるKPIの例として、LtoW_Redirection等が挙げられる。なお、Inter-RATは、LTEとWCDMA(登録商標)等Radio Technologyの違うシステム間のモビリティを示す。ID:8(Mobility-Intra)に含まれるKPIの例として、Intra Frequency Handover Success Rate等が挙げられる。
【0033】
ID:9(Quality)に含まれるKPIの例として、CQI Average及びDL QPSK Usage Rate等が挙げられる。ID:10(Quality-UL)に含まれるKPIの例として、UL SINR(PUCCH/PUSCH)、UL RSSI(PUCCH/PUSCH)、及びUL PSK Usage Rate等が挙げられる。ID:11(Retainability)に含まれるKPIの例として、Data ERAB Drop rate等が挙げられる。
【0034】
ID:12(Throughput)に含まれるKPIの例として、DL User throughput及びUL User throughput等が挙げられる。ID:13(Traffic Data)に含まれるKPIの例として、Data_Traffic _Vol_DL_Mbyte及びData_Traffic_Vol_UL_Mbyte等が挙げられる。ID:14(Traffic Voice)に含まれるKPIの例として、VoLTE Traffic(Erlangs)、VoLTE_Data_Vol_DL_Mbyte及びVoLTE_Data_Vol_UL_Mbyte等が挙げられる。
【0035】
ID:15(Transport)に含まれるKPIの例として、S1_SIG_SETUP_SR等が挙げられる。ID:16(Utilization)に含まれるKPIの例として、PRB Usage DL、PRB Usage UL、CCE(Control Channel Element) Usage、及びCU等が挙げられる。ID:17(Congestion)に含まれるKPIの例として、#UE pre-emption due to Resource Congestion等が挙げられる。ID:18(CA)に含まれるKPIの例として、Secondary Cell And Success Rate及びScell Switch Success Rate等が挙げられる。
【0036】
S108では、通信管理システム100が、改善対象エリア内の無線基地局毎に、S106において生成したモデルを適合可能か否か判定する。S110では、通信管理システム100が、S108において適合可能と判定した無線基地局毎に、改善対象のKPIを低下させている問題原因のKPIのカテゴリを特定する。
【0037】
S112では、通信管理システム100が、S108において適合可能と判定した無線基地局のそれぞれについて、改善対象のKPIを改善する改善案を選択する。改善案は、無線基地局20又はセルに対して設定するパラメータを含んでよい。パラメータの例としては、SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)のしきい値、MIMO(Multiple Input and Multiple Output) Transmission Mode、CA Scellしきい値、UL Power Control、Inter-Vendor IFO(MLB)、IntraFreq.HO、InterFreq.HO、及びハンドオーバ閾値等が挙げられる。具体例として、Mobilityのカテゴリに対して、ハンドオーバの閾値が対応付けられる。この場合、Mobilityのカテゴリに対応付けられる複数の改善案は、第1のハンドオーバ閾値、第2のハンドオーバ閾値、第3のハンドオーバ閾値等であってよい。
【0038】
通信管理システム100は、複数のKPIのカテゴリのそれぞれに複数の改善案を対応付けた改善案データを予め格納していてよく、当該改善案データから、S110において特定した問題原因のKPIのカテゴリに対応する複数の改善案を特定してよい。改善案データは、例えば、経験豊富なエンジニア等によって生成され得る。そして、通信管理システム100は、特定した複数の改善案から少なくとも1つの改善案を選択する。
【0039】
S114では、通信管理システム100が、S112において選択した改善案を、対象の無線基地局20に投入する。通信管理システム100は、ネットワーク10を介して、改善案を無線基地局20に投入してよい。S116では、予め定められた評価期間が経過するまで待機する。評価期間としては、任意の期間が設定されてよい。例えば、評価期間として、1週間等の期間が設定される。
【0040】
S118では、通信管理システム100が、S114において投入した改善案によって、改善対象のKPIが改善したか否かを判定する。通信管理システム100は、改善案によって改善対象のKPIが改善した改善度合を導出してよい。S120では、通信管理システム100が、S118における評価結果を蓄積する。
【0041】
S122では、全ての問題カテゴリの改善案について評価が終了したか否かを判定する。終了したと判定した場合、処理を終了する。終了していない判定した場合、S110に戻り、次の問題原因カテゴリの改善案を選択する。
【0042】
本実施形態に係る通信管理システム100は、S110からS122において説明したように、CLO(Closed Loop Optimization)による改善サイクルを実行してよい。S108において適合可能と判定された無線基地局20が4つである場合を例に挙げて、改善サイクルについて説明する。
【0043】
S110において、第1の無線基地局20及び第2の無線基地局20に対して問題原因として特定されたカテゴリがUtilizationであり、第3の無線基地局20に対して問題原因として特定されたカテゴリがAccessibilityであり、第4の無線基地局20に対して問題原因として特定されたカテゴリがMobilityであったと仮定する。S112において、通信管理システム100は、第1の無線基地局20及び第2の無線基地局20に対して、Utilizationに対して予め設定された複数の改善案から、一の改善案を選択する。複数の改善案の一例として、パラメータセットテーブルを表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
通信管理システム100は、例えば、パラメータセットテーブルから、ID:1に対応するパラメータセットを選択する。同様に、通信管理システム100は、第3の無線基地局20に対して、Accessibilityに対して予め設定されたパラメータセットテーブルから、一のパラメータセットを選択し、第4の無線基地局20に対して、Mobilityに対して予め設定されたパラメータセットテーブルから一のパラメータセットを選択する。
【0046】
そして、S114で、通信管理システム100が、4つの無線基地局20のそれぞれに対して、選択したパラメータセットを投入する。通信管理システム100は、S118において、4つの無線基地局20のそれぞれの改善を評価し、S120において、評価結果を蓄積する。
【0047】
通信管理システム100は、4つの無線基地局それぞれの問題原因に対応するパラメータセットテーブルのパラメータセットについて順次評価を行い、改善が見られなくなるまで処理を繰り返す。これにより、複数の無線基地局20のそれぞれについて、改善対象として指定されたKPIの改善に最も貢献するKPIを調整することができ、改善対象のKPIを適切に改善することができる。
【0048】
図3は、通信管理システム100の機能構成の一例を概略的に示す。通信管理システム100は、データ受信部102、データベース104、対象決定部112、目標決定部114、データ取得部116、データ処理部120、改善案出力部134、及び改善評価部136を備える。
【0049】
データ受信部102は、複数の無線基地局20のそれぞれから、複数種類のKPIのKPIデータを受信する。データ受信部102は、受信したKPIデータをデータベース104に格納する。データベース104は、KPIデータを、当該KPIデータを送信した無線基地局20を識別する基地局識別情報に対応付けて格納してよい。
【0050】
対象決定部112は、改善対象の無線基地局20を決定する。対象決定部112は、例えば、オペレータによって入力された改善対象エリアを取得し、改善対象エリア内の無線基地局20を改善対象として決定する。また、対象決定部112は、例えば、オペレータによって指定された条件を満たす無線基地局20を改善対象として決定する。条件としては、無線基地局20の位置に関する条件、無線基地局20の種類に関する条件、及び無線基地局20の提供元に関する条件等の任意の条件が設定され得る。また、対象決定部112は、例えば、オペレータによって入力された無線基地局のリストに含まれる無線基地局20を改善対象として決定する。
【0051】
目標決定部114は、目標を決定する。目標決定部114は、例えば、オペレータによって入力された改善対象のKPIと、当該KPIの性能目標とを含む目標を決定する。
【0052】
データ取得部116は、データベース104から、対象決定部112によって決定された改善対象の無線基地局20によって送信されたKPIデータを取得する。データ取得部116は、改善対象の無線基地局20のそれぞれの基地局識別情報に対応するKPIデータをデータベース104から受信してよい。
【0053】
データ処理部120は、データ取得部116が取得したKPIデータに基づいて、改善対象の複数の無線基地局の、改善対象として指定されたKPIを改善するパラメータを決定する。データ処理部120は、モデル生成部122、適合判定部124、問題原因特定部126、改善効果推定部128、及び改善案選択部132を有する。
【0054】
モデル生成部122は、データ取得部116が取得したKPIデータに基づいて、複数種類のKPIのうち指定されたKPIとの相関がより高い複数の相関KPIによって、改善対象のKPIを予測するモデルを生成する。モデル生成部122は、データ取得部116が取得したKPIデータを用いた教師あり機械学習を実行することによってモデルを生成してよい。モデル生成部122は、KPIのカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのそれぞれから1つずつ特定した複数の相関KPIによってモデルを生成してよい。
【0055】
モデル生成部122は、例えば、モデルとして、下記数式1を生成してよい。ここでは、3つのカテゴリを用いて生成した数式を例示している。
【0056】
【数1】
【0057】
は、1つ目のカテゴリに含まれるKPIを表す。Xは、2つ目のカテゴリに含まれるKPIを表す。Xは、3つ目のカテゴリに含まれるKPIを表す。モデル生成部122は、強化学習によって、指定KPIとの相関がより高いX、X、Xと、これらの係数であるθ、θ、θと、θとを導出する。KPIデータから、モデルを導出する教師あり機械学習の手法としては、任意の手法を用い得る。
【0058】
1つのカテゴリに含まれるKPI同士は、相関が強く、例えば、一方のKPIの値が向上するときには、他方のKPIの値も向上する傾向が強い。そのため、1つのカテゴリに含まれる複数のKPIを用いてモデルを生成した場合、本来であれば、改善対象のKPIとの関係が強いにも関わらず、係数が小さくなりすぎたり、マイナスになったりしてしまう場合がある。それに対して、本実施形態に係るモデル生成部122は、KPIのカテゴリのうちの2つ以上のカテゴリのそれぞれから1つずつ特定した相関KPIによってモデルを生成するので、このような事態の発生を防止することができる。
【0059】
適合判定部124は、改善対象の複数の無線基地局毎に、モデル生成部122によって生成されたモデルを適合可能か否か判定する。適合判定部124は、モデル生成部122によってモデルが生成された後に無線基地局20によって送信された、改善対象のKPIのKPIデータ及び相関KPIのKPIデータを取得し、改善対象のKPIのKPIデータと、相関KPIのKPIデータ及びモデルを用いて予測した予測KPIデータとを比較することによって、モデルを適合可能か否か判定してよい。適合判定部124は、改善対象の複数の無線基地局のセル毎に、モデル生成部122によって生成されたモデルを適合可能か否か判定してよい。
【0060】
問題原因特定部126は、改善対象の複数の無線基地局20毎に、改善対象のKPIを低下させている問題原因のKPIのカテゴリを特定する。問題原因特定部126は、適合判定部124によって適合可能と判定された複数の無線基地局20毎に、改善対象のKPIを低下させている問題原因のKPIのカテゴリを特定してもよい。
【0061】
問題原因特定部126は、複数の無線基地局20毎に、複数の相関KPIのそれぞれと、改善対象のKPIの低下との関連度に基づいて、複数の相関KPIから少なくとも1つの相関KPIを特定してよい。例えば、問題原因特定部126は、複数の無線基地局20毎に、複数の相関KPIのうち、改善対象のKPIの低下に最も関連する相関KPIを特定する。そして、問題原因特定部126は、特定した相関KPIが属するKPIのカテゴリを、問題原因のKPIのカテゴリとして特定してよい。問題原因特定部126は、相関KPI特定部の一例であってよい。
【0062】
改善効果推定部128は、複数の相関KPIのそれぞれについて、相関KPIを改善した場合に、改善対象のKPIが改善する度合を示す改善効果を導出してよい。そして、問題原因特定部126は、改善効果推定部128によって導出された改善効果に基づいて、改善対象のKPIの低下に最も関係する相関KPIを特定してよい。問題原因特定部126及び改善効果推定部128は、相関KPI特定部の一例であってよい。
【0063】
改善案選択部132は、改善対象の複数の無線基地局20又は適合判定部124によって適合可能と判定された複数の無線基地局20のそれぞれについて、改善対象のKPIを改善する改善案を選択する。改善案選択部132は、問題原因特定部126によって問題原因として特定されたKPIのカテゴリに対応する複数の改善案から、一の改善案を選択してよい。改善案選択部132は、複数の改善案のうち、任意の一の改善案を選択してよい。また、改善案選択部132は、複数の改善案のうち、予め設定されている一の改善案を選択してもよい。改善案選択部132は、例えば、通信管理システム100が過去に図2に示す処理を実行して、S120において蓄積した他の基地局評価実績から、強化学習の結果に基づき一の改善案を選択してもよい。問題原因特定部126、改善効果推定部128、及び改善案選択部132は、パラメータ決定部の一例であってよい。
【0064】
改善案出力部134は、改善案選択部132によって選択された改善案を出力する。改善案選択部132は、例えば、改善案を、改善対象の無線基地局20に送信出力する。改善案選択部132は、改善案を無線基地局20に送信することによって、改善案に含まれるパラメータを送信先の無線基地局20に設定してよい。
【0065】
改善案出力部134は、改善案選択部132によって選択された改善案を、通信管理システム100が備えるディスプレイに表示出力してもよい。改善案出力部134は、改善案選択部132によって選択された改善案を、オペレータが使用する通信端末に送信して、当該通信端末に表示出力させてもよい。改善案が表示出力された場合、表示を閲覧したオペレータ等によって、改善案に含まれるパラメータが、改善対象の無線基地局20に設定されてよい。
【0066】
改善評価部136は、改善案出力部134が出力した改善案による改善を評価する。改善評価部136は、改善案に含まれるパラメータを設定することにより、無線基地局20の改善対象のKPIが改善した改善度合を導出してよい。改善評価部136は、改善度合導出部の一例であってよい。また改善評価部136は改善度合いによりパラメータをさらにパラメータテーブルの次のステップへ進める、もしくは1つ前の設定に切戻す、もしくは現設定を保持する判断をしてよい。
【0067】
改善評価部136は、T検定を用いて、改善度合を導出してよい。T検定を用いることにより、改善案に含まれるパラメータを設定した後の、改善対象のKPIの変動が、パラメータを設定したことによる変動なのか、パラメータを設定したことによるものではなく、通常の変動の範囲内のものなのかを識別可能にすることができる。
【0068】
通信管理システム100がデータ受信部102、データベース104、対象決定部112、目標決定部114、データ取得部116、データ処理部120、改善案出力部134、及び改善評価部136のすべてを備えることは必須とは限らない。例えば、通信管理システム100は、データ受信部102及びデータベース104を備えなくてもよい。この場合、データ取得部116は、他の装置又はシステムが有するデータベースからKPIデータを取得する。また、例えば、通信管理システム100は、図3に示す構成のうち、モデル生成部122のみを備えてもよい。また、例えば、通信管理システム100は、図3に示す構成のうち、データ処理部120のみを備えてもよい。また、例えば、通信管理システム100は、図3に示す構成のうち、改善案選択部132、改善案出力部134、及び改善評価部136のみを備えてもよい。
【0069】
図4は、適合判定部124による判定処理を説明するためのグラフ300を示す。グラフ300は、改善対象として指定されたKPIがスループットである場合の、複数の無線基地局20のそれぞれの実際のスループットと、モデル生成部122によって生成されたモデルによって予測したスループットとの関係を示す。縦軸が実際のスループットを表し、横軸が予測したスループットを表す。
【0070】
適合判定部124は、例えば、実際のスループットと予測したスループットとが、領域310内にプロットされる無線基地局20について、モデルの適合可能と判定する。また、適合判定部124は、例えば、実際のスループットと予測したスループットとが、領域320及び領域330にプロットされる無線基地局20について、モデルの適合不可と判定する。すなわち、適合判定部124は、モデルによる予測精度が高い無線基地局20については、モデルの適合可能と判定し、モデルによる予測精度が低い無線基地局20については、モデルの適合不可と判定してよい。
【0071】
図5は、問題原因特定部126による特定処理を説明するためのグラフ400を示す。問題原因特定部126は、複数の相関KPIのうち、改善対象として指定されたKPIの低下に最も関連する相関KPIを特定し、特定した相関KPIが属するKPIのカテゴリを、問題原因のKPIのカテゴリとして特定する。
【0072】
グラフ400は、改善対象として指定されたKPIと、複数の相関KPIのうちのいずれかの相関KPIとの関係を示す。ここでは、改善対象のKPIがスループットであり、相関KPIがCCE Utilizationである場合を例示している。縦軸がスループットを表し、横軸がCCE Utilizationを表す。
【0073】
問題原因特定部126は、CCE Utilizationの実際の値410を改善目標値420まで改善した場合に、スループットがどの程度改善するかを示す改善度合を、相関KPI改善値430と、指定KPI改善値440とから導出する。問題原因特定部126は、複数の相関KPIのそれぞれについて、同様に改善度合を導出する。そして、改善度合が最も大きい相関KPIを、改善対象のKPIの低下に最も関連する相関KPIとして特定し、当該相関KPIが属するKPIのカテゴリを、問題原因のKPIのカテゴリとして特定する。
【0074】
図6は、通信管理システム100として機能するコンピュータ1000の一例を概略的に示す。本実施形態に係るコンピュータ1000は、ホストコントローラ1092により相互に接続されるCPU1010、RAM1030、及びグラフィックコントローラ1085を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1094によりホストコントローラ1092に接続されるROM1020、通信I/F1040、ハードディスクドライブ1050、DVDドライブ1070及び入出力チップ1080を有する入出力部を備える。
【0075】
CPU1010は、ROM1020及びRAM1030に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ1085は、CPU1010などがRAM1030内に設けたフレームバッファ上に生成する画像データを取得し、ディスプレイ1090上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ1085は、CPU1010などが生成する画像データを格納するフレームバッファを、内部に含んでもよい。
【0076】
通信I/F1040は、有線又は無線によりネットワークを介して他の装置と通信する。また、通信I/F1040は、通信を行うハードウェアとして機能する。ハードディスクドライブ1050は、CPU1010が使用するプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ1070は、DVD-ROM1072からプログラム又はデータを読み取り、RAM1030を介してハードディスクドライブ1050に提供する。
【0077】
ROM1020は、コンピュータ1000が起動時に実行するブートプログラム及びコンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラムなどを格納する。入出力チップ1080は、例えばUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポートなどを介して各種の入出力装置を入出力コントローラ1094へと接続する。
【0078】
RAM1030を介してハードディスクドライブ1050に提供されるプログラムは、DVD-ROM1072、又はICカードなどの記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM1030を介してハードディスクドライブ1050にインストールされ、CPU1010において実行される。
【0079】
コンピュータ1000にインストールされ、コンピュータ1000を通信管理システム100又は通信管理システム100の一部として機能させるプログラムは、CPU1010などに働きかけて、コンピュータ1000を、通信管理システム100又は通信管理システム100の一部の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段であるデータ受信部102、データベース104、対象決定部112、目標決定部114、データ取得部116、データ処理部120、改善案出力部134、及び改善評価部136の少なくともいずれかとして機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の通信管理システム100が構築される。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0081】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0082】
10 ネットワーク、20 無線基地局、30 無線通信端末、100 通信管理システム、102 データ受信部、104 データベース、112 対象決定部、114 目標決定部、116 データ取得部、120 データ処理部、122 モデル生成部、124 適合判定部、126 問題原因特定部、128 改善効果推定部、132 改善案選択部、134 改善案出力部、136 改善評価部、300 グラフ、310 領域、320 領域、330 領域、400 グラフ、410 実際の値、420 改善目標値、430 相関KPI改善値、440 指定KPI改善値、1000 コンピュータ、1010 CPU、1020 ROM、1030 RAM、1040 通信I/F、1050 ハードディスクドライブ、1070 DVDドライブ、1072 DVD-ROM、1080 入出力チップ、1085 グラフィックコントローラ、1090 ディスプレイ、1092 ホストコントローラ、1094 入出力コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6