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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】食器洗浄機用ブースター
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20220603BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20220603BHJP
【FI】
A47L15/42 P
F24H1/18 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018027255
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2019141254
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】木内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-050732(JP,A)
【文献】特開2005-164152(JP,A)
【文献】特開2014-228249(JP,A)
【文献】特開2013-142482(JP,A)
【文献】特表2011-520694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0095495(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1466858(KR,B1)
【文献】国際公開第2014/171594(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0943772(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器洗浄機で使用される本体側装置が収容される筐体内に配置され、
バーナ及び熱交換器を備えた熱源ユニットと、前記熱源ユニットで加熱される湯水を貯留可能なタンクユニットと、循環ポンプを備えて前記熱源ユニットと前記タンクユニットとの間で湯水を循環させる循環路と、を含んでなる食器洗浄機用ブースターであって、
前記熱源ユニットは、前記筐体内の前側で左右何れか一方側寄りに配置され、
前記タンクユニットは、平面視で所定方向での厚みが、前記所定方向と交差する方向での厚みよりも小さい扁平な箱状に形成されて、前記熱源ユニットの後側で前記筐体の前記一方側の側面に長手方向が沿う起立状態で配置されている一方、
前記循環路は、前記熱交換器の伝熱管の上流端と前記タンクユニットの長手方向の側面との間に接続される往き管と、前記伝熱管の下流端と前記タンクユニットの前記長手方向の側面との間に接続される戻り管とを含み、
前記往き管は、前記タンクユニットに接続されるタンク側往き配管と、前記熱源ユニットに接続される熱源側往き配管との互いの端部同士を前後方向に突き合わせて、前記互いの端部にそれぞれ設けたフランジにクイックファスナを同時に係合させてなり、
前記戻り管は、前記タンクユニットに接続されるタンク側戻り配管と、前記伝熱管の下流端に接続される熱源側戻り配管とを前後方向で差込接続してなることを特徴とする食器洗浄機用ブースター。
【請求項2】
前記タンクユニットの後部には、前記筐体内での設置位置で前記筐体内に設けた被係止部に係止する係止板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機用ブースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用の食器洗浄システムにおいて、食器洗浄機に高温の湯を供給するために設置される食器洗浄機用ブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の食器洗浄システムは、例えば特許文献1に開示されるように、洗浄室に搬入された食器を洗浄する食器洗浄機と、食器洗浄機に並設されて食器洗浄機に濯ぎ用の湯を供給するための食器洗浄機用ブースターとを備えたものが知られている。食器洗浄機用ブースターは、例えば特許文献2に開示されるように、バーナ及び熱交換器を備えて供給された水をバーナの燃焼排気によって加熱する瞬間加熱式の熱源ユニットと、熱源ユニットで加熱された湯を貯湯するタンクとを備えて、タンク内の湯を出湯管を介して食器洗浄機へ供給可能となっている。また、熱源ユニットとタンクとの間に、循環ポンプを備えて湯水を循環させる循環路を形成したものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-239024号公報
【文献】特開2001-299662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗浄機用ブースターは、食器洗浄機側からの要求に即座に対応するため、バーナ及び熱交換器を備えた瞬間加熱式の熱源ユニットが使用される。この熱源ユニットやタンクユニットは、洗浄室に洗浄水を供給するための食洗機側タンクや食洗機側ポンプ等の本体側装置を収容する筐体に収容される場合がある。しかし、熱源ユニットは比較的大きなスペースを必要とするため、タンクユニットと共に筐体内に組み込むのが難しく、組み込んだとしても筐体内の設置位置によってはメンテナンスも難しくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、筐体内の狭いスペースでも熱源ユニット及びタンクユニットを配置することができると共に、良好なメンテナンス性も確保できる食器洗浄機用ブースターを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、食器洗浄機で使用される本体側装置が収容される筐体内に配置され、バーナ及び熱交換器を備えた熱源ユニットと、熱源ユニットで加熱される湯水を貯留可能なタンクユニットと、循環ポンプを備えて熱源ユニットとタンクユニットとの間で湯水を循環させる循環路と、を含んでなる食器洗浄機用ブースターであって、
熱源ユニットは、筐体内の前側で左右何れか一方側寄りに配置され、タンクユニットは、平面視で所定方向での厚みが、当該所定方向と交差する方向での厚みよりも小さい扁平な箱状に形成されて、熱源ユニットの後側で筐体の一方側の側面に長手方向が沿う起立状態で配置されている一方、
循環路は、熱交換器の伝熱管の上流端とタンクユニットの長手方向の側面との間に接続される往き管と、伝熱管の下流端とタンクユニットの長手方向の側面との間に接続される戻り管とを含み、
往き管は、タンクユニットに接続されるタンク側往き配管と、熱源ユニットに接続される熱源側往き配管との互いの端部同士を前後方向に突き合わせて、互いの端部にそれぞれ設けたフランジにクイックファスナを同時に係合させてなり、
戻り管は、タンクユニットに接続されるタンク側戻り配管と、伝熱管の下流端に接続される熱源側戻り配管とを前後方向で差込接続してなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、タンクユニットの後部には、筐体内での設置位置で筐体内に設けた被係止部に係止する係止板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、熱源ユニットを筐体の前側で一方側寄りに配置し、扁平な箱状としたタンクユニットを熱源ユニットの後側且つ一方側で起立状態で配置しているので、筐体内の狭いスペースでも熱源ユニット及びタンクユニットを本体側装置と干渉することなく配置することができる。また、熱源ユニットは筐体内の前側に設置されているので、アクセスが容易となり、良好なメンテナンス性も確保することができる。
特に、循環路を形成する往き管を、タンク側往き配管と熱源側往き配管との互いの端部同士を前後方向に突き合わせてクイックファスナを同時に係合させてなる構成とすると共に、循環路を形成する戻り管を、タンク側配管と熱源側配管とを前後方向で差込接続してなる構成としているので、往き管側のクイックファスナを取り外して熱源ユニットを前方へずらせば、往き管及び戻り管を形成する各配管の端部同士が簡単に離れるため、熱源ユニットを容易に筐体から引き出すことができる。逆に熱源ユニットを戻す場合も前方から所定位置に押し込めば、対応する配管の端部同士が突き合わせられるため、接続が簡単に行える。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、タンクユニットの後部に、筐体内の被係止部に係止する係止板を設けたことで、タンクユニットの出し入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】食器洗浄機用ブースターの正面図である。
図2】食器洗浄機用ブースターの右からの側面図である。
図3】食器洗浄機用ブースターの内部の斜視図である。
図4】排気部を省略した食器洗浄機用ブースターの平面図である。
図5】タンクユニットの説明図で、(A)は正面、(B)は右側面、(C)は左側面、(D)は平面をそれぞれ示す。
図6】タンクユニットの斜視図である。
図7図5の正面側の分割ケースを省略したタンクユニットの正面図である。
図8】変更例のタンクユニットの説明図で、(A)は正面、(B)は右側面、(C)は平面をそれぞれ示す。
図9】変更例のタンクユニットの斜視図である。
図10】変更例のタンクユニットの中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、食器洗浄機用ブースター(以下単に「ブースター」と略称する。)の一例を示す正面図、図2は右からの側面図、図3は内部の斜視図、図4は排気部を省略した状態の平面図である。
このブースター1は、食器洗浄機の筐体2内下部に設置されるもので、瞬間加熱式の熱源ユニット3と、湯水を貯留するタンクユニット4と、熱源ユニット3とタンクユニット4との間で湯水を循環させる循環路5とを備えている。なお、この筐体2内には、上部に設けた図示しない洗浄室で用いる洗浄水を貯留して供給するための本体側装置として、食洗機側タンク6と、その前側の食洗機側ポンプ7とが設けられている。筐体2の前後左右はそれぞれ図示しない壁板によって覆われている。
【0010】
熱源ユニット3は、下方から順に、燃焼部10と、熱交換部11と、排気部12とを備えている。
まず燃焼部10は、加熱手段としての複数のバーナを収容して内部に燃焼室を形成する下ケーシング13を有する。下ケーシング13の下側には、バーナの燃焼用空気を供給するファン14と、外部のガス管と接続され、図示しない電磁弁等を備えてバーナに燃料ガスを供給するガス供給部15が設けられている。燃焼部10と熱交換部11とは、前方を開口させた平面視倒コ字状のカバー16により、左右及び後方から覆われている。
【0011】
熱交換部11は、上下に開口して下端が下ケーシング13に接続される四角筒状の中ケーシング17を有し、中ケーシング17内に、図4に示すように、左右方向に所定間隔をおいて並設される複数のフィン19,19・・(図4では一部のみ図示)と、フィン19,19・・を蛇行状に貫通する伝熱管20とからなる熱交換器18を収容している。
排気部12は、熱交換部11の中ケーシング17上に載置される上ケーシング21と、上ケーシング21に組み付けられる排気管22と、上ケーシング21の上側を覆って中ケーシング17に係止させることで上ケーシング21を固定する固定フード23とを備えている。上ケーシング21内には、前方から組み付けられて上ケーシング21内へ突出するCOセンサ24が設けられている。排気管22は、上ケーシング21と接続されて右方向に延びる角筒状の第1配管25と、タンクユニット4の上側で筐体2の右壁に沿って後方に延び、前側の端部左側面に第1配管25の先端が差込接続される第2配管26とからなる。第2配管26は、前端を閉塞して後端を開口させた角筒状で、図2に示すように後端を筐体2の外部に突出させている。
【0012】
タンクユニット4は、平面視で左右の厚みが前後の厚みよりも小さい扁平な箱状体で、合成樹脂で形成された左右の分割ケース4a,4b(但し、分割ケース4aの方が分割ケース4bよりも深くなっている。)を組み付けることで形成されている。図5,6にも示すように、タンクユニット4は、単独での正面視は略横長矩形状で、その前部上側には、上方へ突出する凸部30が、前部下側には、上方へ引っ込む凹部31がそれぞれ形成されている。凸部30の左側面には、給水管接続口32が設けられ、凹部31の前面には、出湯管接続口33が設けられている。また、凹部31の上面で前寄りには、オーバーフロー管34が下向きに設けられ、その後方上側の左側面には、往き管接続口35が設けられている。さらに、タンクユニット4の後部下側の左側面には、戻り管接続口36が設けられている。
【0013】
加えて、タンクユニット4の後面には、複数の爪38,38・・が左右へ互い違いに折曲形成された係止板37が後ろ向きに固定される一方、タンクユニット4の凸部30には、前方へ突出する取付金具39が固定されている。また、凸部30の後方でタンクユニット4の上面には、後述するフロートスイッチ41の取付部40が設けられている。
【0014】
一方、タンクユニット4の内部には、図7に示すように、取付部40から下向きにフロートスイッチ41が設けられて、タンクユニット4内で設定した水位Lを検出可能となっている。
また、タンクユニット4の内部前方には、オーバーフロー管34と連通する上方空間を後方空間と仕切るオーバーフロー板42が、タンクユニット4の下側内面から、水位Lを越えた高さまで上向きに設けられている。よって、水位Lを越えた湯水は、オーバーフロー板42の上端の水位L1を越えると、オーバーフロー板42の前側空間へ流れてオーバーフロー管34から外部へ排出されることになる。
さらに、前後方向でオーバーフロー板42と給水管接続口32との間には、タンクユニット4の上側内面からオーバーフロー板42よりやや高い位置まで垂下して凸部30内を前後に仕切る上板43が設けられている。
【0015】
そして、給水管接続口32の後方には、凸部30の後側内面から前方へ行くに従って下向きに傾斜した後、オーバーフロー板42の後方で下向きに延びる上側仕切板44が設けられている。また、上側仕切板44の下方には、往き管接続口35の後方から前方へ行くに従って上向きに傾斜する傾斜仕切板45が設けられている。この上側仕切板44と傾斜仕切板45とにより、タンクユニット4内を、給水管接続口32及び往き管接続口35を含む前側の通路領域Aと、フロートスイッチ41を有して出湯管接続口33及び戻り管接続口36を含む後側の貯留領域Bとに区画する仕切板46を形成している。
但し、傾斜仕切板45の両端は、タンクユニット4の下側内面及び上側仕切板44の下端とは繋がっておらず、タンクユニット4の下側内面との間に、通路領域Aと貯留領域Bとを下側で連通させる連通部としての下連通部47を、上側仕切板44の下端との間に、通路領域Aと貯留領域Bとを上側で連通させる同じく連通部としての上連通部48をそれぞれ形成している。
【0016】
さらに、貯留領域Bの下部には、出湯管接続口33の上側でタンクユニット4の内面から後方へ突出する横板49が設けられ、横板49の上下には、貯留領域B内の湯水の温度を検出するタンクサーミスタ50,50がそれぞれ設けられている。また、横板49の後方で戻り管接続口36との間には、タンクユニット4の下側内面との非接触位置から前方へ行くに従って上向きに傾斜する後傾斜板51が設けられている。
なお、図7では左側の分割ケース4aのみを示しているが、右側の分割ケース4bでも同じオーバーフロー板42や上板43、上側仕切板44や傾斜仕切板45等が設けられて、左右からの突き合わせによって通路領域Aや貯留領域B等が形成されるようになっている。これらの板は分割ケース4a,4bと一体に形成される。
【0017】
循環路5は、図3に示すように、熱交換器18の伝熱管20の上流端とタンクユニット4の往き管接続口35との間に接続される往き管55と、伝熱管20の下流端とタンクユニット4の戻り管接続口36との間に接続される戻り管56と、往き管55に設けられた循環ポンプ57とを備えている。
また、タンクユニット4の給水管接続口32には、筐体2の下面から外部の水道管に接続される給水管58が接続され、給水管58には、水電磁弁59が設けられて、水電磁弁59の開閉動作によってタンクユニット4内に水を供給可能としている。
さらに、タンクユニット4の出湯管接続口33には、出湯管60が接続されている。この出湯管60は、食器洗浄機の洗浄室に、図示しない濯ぎ用ポンプを介して接続されている。
【0018】
これらの各配管において、往き管55を形成する複数の管同士の接続や循環ポンプ57との接続、給水管58と水電磁弁59との接続には、突き合わせた管端部同士のフランジに同時に係合して管端部同士を接続するクイックファスナ61,61・・が使用されている。特に、タンクユニット4に接続されて往き管55の一部となる配管は、端部が前方を向いた姿勢となっており、熱源ユニット3に接続されて往き管55の他の一部となる配管とはクイックファスナ61によって接続されるようになっている。また、タンクユニット4に接続されて戻り管56の一部となる配管の端部56a(図3)は、熱源ユニット3に接続されて戻り管56の他の一部となる配管の端部56b(図1)に後方から差込接続されるようになっている。
よって、クイックファスナ61を取り外して熱源ユニット3を前方へずらせば、配管の端部同士が簡単に離れるため、熱源ユニット3を容易に筐体2から引き出すことができる。逆に熱源ユニット3を戻す場合も前方から所定位置に押し込めば、対応する配管の端部同士が突き合わせられるため、接続が簡単に行える。
【0019】
さらに、筐体2内には、図示しないコントローラが設けられている。このコントローラは、熱源ユニット3におけるバーナの燃焼を制御すると共に、循環路5に設けられた図示しないサーミスタやタンクサーミスタ50からの検出温度及びフロートスイッチ41の検出信号に基づいて循環ポンプ57及び水電磁弁59を制御する。これにより、タンクユニット4内に水位Lまでの水を供給するタンク水供給制御と、熱源ユニット3を作動させてタンクユニット4内の湯水を設定温度(例えば80℃)に維持する保温制御とが実行可能となっている。
【0020】
以上の如く構成されたブースター1において、熱源ユニット3は、筐体2内で食洗機側タンク6の前方右寄りで、筐体2の前壁に沿って配置される。この設置位置でカバー16の左右の前端にそれぞれ形成した折り返し部27,27が、筐体2の前壁に当接することで、カバー16と前壁とで熱源ユニット3が囲まれるようになっている。
また、タンクユニット4は、筐体2内で食洗機側タンク6の右側で筐体2の右壁に沿って前後方向へ延びるように配置されている。ここでは、タンクユニット4を後方へ押し込むと、後側の係止板37が、筐体2内の右奥のコーナーに設けた被係止部としての上下方向の支持バー80に係止して位置決めされ、この位置で前側の取付金具39を、熱源ユニット3の右側で筐体2内の右手前のコーナーに設けた上下方向の支持バー81に固定すれば、起立状態で固定されるようになっている。
こうして熱源ユニット3とタンクユニット4とは、筐体2内で、食洗機側タンク6及び食洗機側ポンプ7と干渉しない平面視L字状に配置される。
【0021】
そして、食器洗浄機で洗浄が開始されると、コントローラは、循環ポンプ57をONさせて、熱源ユニット3の熱交換器18とタンクユニット4との間で循環路5を介して湯水の循環をさせる。同時にタンクサーミスタ50によってタンクユニット4内の検出温度を監視し、検出温度が80℃未満であれば、熱源ユニット3の燃焼部10でバーナを燃焼させ、熱交換部11で熱交換器18を流れる湯水とバーナの燃焼排気とを熱交換させてタンクユニット4内の湯水が80℃となるまで加熱する。なお、タンクサーミスタ50,50は、横板49を挟んで上下に設けられているので、下側のタンクサーミスタ50では出湯管接続口33から食器洗浄機へ直接供給される湯温が検出でき、上側のタンクサーミスタ50では貯留領域B内の平均的な湯温が検出できる。検出温度としては何れか一方を監視してもよいし、両検出温度の平均値を監視する等してもよい。
バーナの燃焼排気は、熱交換部11の中ケーシング17を通過した後、排気部12の上ケーシング21内に進入し、排気管22の第1配管25、第2配管26を通って筐体2の外部へ排出される。
【0022】
一方、保温制御の途中や保温制御の後に食器洗浄機側で濯ぎが行われ、濯ぎ用ポンプの作動によってタンクユニット4内の湯が洗浄室へ供給されると、フロートスイッチ41によってタンクユニット4内の水位低下(例えば図7に示す水位L2)が検出される。すると、コントローラは水電磁弁59を開弁させて、フロートスイッチ41によって水位Lが検出されるまでタンクユニット4内に給水管58から水を供給させることになる。
このとき、給水管接続口32から供給される水は、上側仕切板44と傾斜仕切板45との前方の通路領域Aに供給されるため、貯留領域Bに貯留している湯と直ちに混ざり合うことがなく、貯留領域Bの湯温の低下は抑制される。そして、保温制御が実行されると、往き管接続口35から通路領域Aの比較的低温の湯が熱源ユニット3に送られて、熱交換部11で加熱されることになる。よって、熱交換部11の熱交換器18ではバーナからの熱量を効率よく付与でき、過剰加熱による沸騰も生じにくくなる。
【0023】
熱交換部11で加熱された湯は、通路領域Aから離れた貯留領域Bの後方下部の戻り管接続口36から流入するため、通路領域Aの水と混ざりにくくなって湯温の低下は抑えられる。よって、貯留領域Bで効率よく保温される。特に、戻り管接続口36の前側には、後傾斜板51が設けられているので、流入した高温の湯が直接出湯管接続口33へ流れにくくなり、貯留領域Bの湯温の均一化が図られる。
【0024】
そして、熱源ユニット3にメンテナンスの必要が生じた場合は、筐体2の前壁を取り外せば、図1に示すように、燃焼部10と熱交換部11と排気部12とが前面に露出するため、容易に必要な箇所にアクセスできる。特に排気部12では、COセンサ24も前面に露出しているので、交換や清掃が容易に行える。
また、熱源ユニット3を筐体2から取り外す必要が生じた場合は、前述のように往き管55及び戻り管56を中間部位で接続するクイックファスナ61をそれぞれ取り外せば、熱源ユニット3を簡単に前方へ引き出すことができる。タンクユニット4も、そのまま前方へ引き出せば、係止板37が支持バー80から自動的に外れるため、簡単に取り出し可能となる。
【0025】
[タンクユニットの仕切板に係る発明の効果]
このように、上記形態のブースター1によれば、給水管接続口32を、タンクユニット4の上部で前方側寄りに、往き管接続口35を、タンクユニット4の下部で前方側寄りに、戻り管接続口36を、タンクユニット4の下部で後方側寄りにそれぞれ設けて、タンクユニット4内には、タンクユニット4の内部を給水管接続口32及び往き管接続口35を含む前方側の通路領域Aと、戻り管接続口36を含む後方側の貯留領域Bとに区画する仕切板46を設け、仕切板46に、通路領域Aと貯留領域Bとを部分的に連通させる下連通部47及び上連通部48を設けて、出湯管接続口33を貯留領域Bに設けているので、仕切板46によって給水側の通路領域Aと保温及び出湯側の貯留領域Bとに区別して使用できる。よって、タンクユニット4の貯留領域Bで湯水を80℃の高温で保温しつつ、通路領域Aから比較的低温の湯水を熱源ユニット3へ供給して加熱させることができる。よって、熱源ユニット3での加熱効率を向上させることができると共に、過剰加熱による沸騰のおそれも低減することができる。
【0026】
特にここでは、仕切板46を、タンクユニット4の上側内面から通路領域Aを下方へ行くに従って狭くするように傾斜した後、下向きに垂下する上側仕切板44と、タンクユニット4の下側内面との非接触位置から通路領域Aを上方へ行くに従って狭くするように傾斜し、上端が上側仕切板44の下端と非接触となる傾斜仕切板45とを含んでなる構成としているので、両領域間での湯水の行き来を確保して、タンクユニット4内での水位の検出に影響を与えない仕切が可能となる。
【0027】
[タンクユニットの変更例]
上記形態では、タンクユニットを樹脂製としているが、金属製であっても差し支えない。図8~10はその一例を示すものであるが、先の形態のタンクユニット4と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図8~10に示すタンクユニット4Aは、上下左右及び前後を金属板で囲まれて左右に薄い扁平な箱状体で、単独での正面視は略矩形状で、前側が上方へ部分的に突出する形状となっている。タンクユニット4Aの内部には、前側上部の前面から前方へ突出する給水管接続口32と、その下方で側面に開口する往き管接続口35とが設けられている。これらの接続口の後方には、内部を前側の通路領域Aと後側の貯留領域Bとに仕切る金属製の仕切板65が、タンクユニット4Aの上側内面から下向きに垂下されている。仕切板65の下端は、タンクユニットの下側内面と非接触となって、往き管接続口35の後方で通路領域Aと貯留領域Bとを連通させる連通部66を形成している。
【0028】
また、仕切板65の中間部よりやや上方部位には、後方へ突出する側面視コ字状の折曲部67が形成されており、その折曲部67に、仕切板65の後方で下端がタンクユニット4Aの下面から突出するオーバーフロー管68が貫通して支持されている。このオーバーフロー管68の上端は、その後方のフロートスイッチ41で検出される水位Lよりも高くなっている。
さらに、貯留領域Bでは、オーバーフロー管68の後方でタンクユニット4Aの下部に、出湯管接続口33が設けられ、その上方にタンクサーミスタ50が設けられており、戻り管接続口36は、仕切板65とオーバーフロー管68との間で連通部66より上側に設けられている。
一方、タンクユニット4Aの上端後部には、支持バー80に係止する係止板69が後向きに固定され、下端前後には、起立姿勢を維持するためのベース板70,70が互いに外向きに固定されている。
【0029】
このタンクユニット4Aにおいても、給水管接続口32から供給される水は、仕切板65の前方の通路領域Aに供給されるため、貯留領域Bに貯留している湯と直ちに混ざり合うことがなく、貯留領域Bの湯温の低下は抑制される。そして、保温制御が実行されると、往き管接続口35から通路領域Aの比較的低温の湯が熱源ユニット3に送られて、熱交換部11で加熱されることになる。熱交換部11で加熱された湯も、戻り管接続口36から貯留領域Bに流入するため、湯温の低下は抑えられて効率よく保温制御がなされる。
【0030】
[その他の変更例]
タンクユニットの構造は上記形態や変更例に限らず、適宜変更可能で、例えば左右でなく上下に分割される分割ケースを組み合わせて形成したり、筐体内の設置スペースによってはタンクユニットを平面視直線状でなくL字状や曲線状に形成したりしても差し支えない。扁平状でなくてもよい。
また、内部の仕切板も、例えば図7の形態では上側仕切板と傾斜仕切板とを繋げて上連通部をなくしたり、下連通部の間隔を広くしたり、仕切板を直線状や曲線状に形成したり等することができる。横板や後傾斜板をなくしたりタンクサーミスタを1つにしたりすることもできる。各接続口の位置や形状も、例えば各接続口の前後や左右の配置を逆にする等、適宜変更可能である。
【0031】
さらに、上記形態では、熱源ユニットを筐体内の右側に配置してタンクユニットもその後方で右側に配置しているが、これと逆に、熱源ユニットを筐体内の左側に配置してタンクユニットもその後方で左側に配置してもよい。また、熱源ユニットとタンクユニットとを前後でなく左右に配置しても差し支えない。加熱手段としてはバーナ以外も採用できる。
そして、上記形態では筐体内に食洗機側タンク及び食洗機側ポンプ等の本体側装置を収容した構造となっているが、これらの本体側装置がなく、専用の筐体内に熱源ユニット及びタンクユニット、循環路が収容されるブースターであっても、仕切板に係る発明は適用可能である。
【0032】
[熱源ユニット及びタンクユニットの配置に係る発明の効果]
このように、上記形態のブースター1によれば、熱源ユニット3は、筐体2内の前側で右側寄りに配置され、タンクユニット4は、平面視で一方の厚みが他方の厚みよりも小さい扁平な箱状に形成されて、熱源ユニット3の後側で筐体2の右側の側面に長手方向が沿う起立状態で配置されているので、筐体2内の狭いスペースでも熱源ユニット3及びタンクユニット4を食洗機側タンク6や食洗機側ポンプ7と干渉することなく配置することができる。また、熱源ユニット3は筐体2内の正面側に設置されているので、アクセスが容易となり、良好なメンテナンス性も確保することができる。
特にここでは、タンクユニット4の後部には、筐体2内での設置位置で筐体2内に設けた支持バー80に係止する係止板37が設けられているので、タンクユニット4の出し入れを容易に行うことができる。
【0033】
[その他の変更例]
熱源ユニットとタンクユニットとの配置に係る発明においても、タンクユニットの構造は上記形態や変更例に限らず、適宜変更可能である。
また、上記形態では、熱源ユニットを筐体内の右側に配置してタンクユニットもその後方で右側に配置しているが、これと逆に、熱源ユニットを筐体内の左側に配置してタンクユニットもその後方で左側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・食器洗浄機用ブースター、2・・筐体、3・・熱源ユニット、4,4A・・タンクユニット、5・・循環路、6・・食洗機側タンク、7・・食洗機側ポンプ、10・・燃焼部、11・・熱交換部、12・・排気部、13・・下ケーシング、16・・カバー、18・・中ケーシング、18・・熱交換器、21・・上ケーシング、30・・凸部、31・・凹部、32・・給水管接続口、33・・出湯管接続口、34,68・・オーバーフロー管、35・・往き管接続口、36・・戻り管接続口、41・・フロートスイッチ、44・・上側仕切板、45・・傾斜仕切板、46,65・・仕切板、47・・下連通部、48・・上連通部、50・・タンクサーミスタ、55・・往き管、56・・戻り管、57・・循環ポンプ、58・・給水管、60・・出湯管、61・・クイックファスナ、66・・連通部、A・・通路領域、B・・貯留領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10