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特許7083149情報提示装置、情報提示システム、および情報提示装置の制御方法
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  • 特許-情報提示装置、情報提示システム、および情報提示装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】情報提示装置、情報提示システム、および情報提示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/906 20190101AFI20220603BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220603BHJP
【FI】
G06F16/906
G06Q10/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018042254
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019159495
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】御影池 太朗
(72)【発明者】
【氏名】入江 欣介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】池内 章浩
(72)【発明者】
【氏名】池田 学恭
(72)【発明者】
【氏名】高島 佳一
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3159154(JP,U)
【文献】特開2017-067735(JP,A)
【文献】特開2014-155099(JP,A)
【文献】特開2017-126130(JP,A)
【文献】特開2015-197689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/906
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口周辺の人の移動動作を検出する検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類部と、
前記分類の結果を提示する提示部と、を備え
前記分類部は、前記移動動作として、移動速度、移動方向、および所定範囲に入っている時間の3つを用いて、前記移動速度、前記移動方向、および前記時間の3つの属性の状態の組み合わせにより、前記移動動作の主体である人をカテゴライズし、
前記提示部は、前記分類の結果として前記分類部がカテゴライズした結果を提示することを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記入口のドアが開いたことを示す開情報を取得する取得部を備え、
前記提示部は、前記取得部が前記開情報を取得したとき、前記ドアを通過した人をカテゴライズした結果を提示することを特徴とする請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
信号発信装置の設置場所を判別させるための場所属性識別情報を含む信号を受信した携帯通信端末のユーザを識別するユーザ識別情報または該携帯通信端末を識別する端末識別情報と、前記場所属性識別情報とを含む受信情報を受信する受信部を備え、
前記提示部は、前記カテゴライズした結果とともに、前記ユーザ識別情報または前記端末識別情報と、前記場所属性識別情報と対応付けられた対応情報を提示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
自動ドアシステムと、情報提示装置とを含む情報提示システムであって、
前記自動ドアシステムは、
自動ドアと、
前記自動ドアの入口周辺の人の移動動作を検出する検出部と、
近距離無線通信により、自機の設置場所を判別させるための場所属性識別情報を含む信号を送信する信号発信装置と、を備え、
前記情報提示装置は、
前記信号発信装置から発信された信号を受信した携帯通信端末のユーザを識別するユーザ識別情報または前記携帯通信端末を識別する端末識別情報と、前記場所属性識別情報とを含む受信情報を受信する受信部と、
前記検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類部と、
前記分類の結果、および前記ユーザ識別情報または前記端末識別情報と前記場所属性識別情報とに対応付けられた対応情報を提示する提示部と、を備え
前記分類部は、前記移動動作として、移動速度、移動方向、および所定範囲に入っている時間の3つを用いて、前記移動速度、前記移動方向、および前記時間の3つの属性の状態の組み合わせにより、前記移動動作の主体である人をカテゴライズし、
前記提示部は、前記分類の結果として前記分類部がカテゴライズした結果を提示することを特徴とする情報提示システム。
【請求項5】
前記自動ドアシステムは、人が近づいたことを検知して前記自動ドアを開くための起動センサを備え、
前記信号発信装置は、前記起動センサの検知結果と連動して前記信号を発信することを特徴とする請求項に記載の情報提示システム。
【請求項6】
入口周辺の人の移動動作を検出する検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類ステップと、
前記分類の結果を提示する提示ステップと、を含み、
前記分類ステップでは、前記移動動作として、移動速度、移動方向、および所定範囲に入っている時間の3つを用いて、前記移動速度、前記移動方向、および前記時間の3つの属性の状態の組み合わせにより、前記移動動作の主体である人をカテゴライズし、
前記提示ステップでは、前記分類の結果として前記分類ステップでカテゴライズした結果を提示する
むことを特徴とする情報提示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来店者に関する情報を提示する情報提示装置、情報提示システム、および情報提示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、来店者が持参した会員カードに記録された識別情報をもとにデータベースを検索して当該来店者に関する顧客情報を抽出しポイントを付与するなどのサービスを行うシステムが知られている。このようなシステムの場合、来店者が購入する商品を決定して清算のためにレジを訪れ、会員カードを提示したときに初めて、会員カードから識別情報を取得し、顧客情報を抽出することが可能になる。つまり、来店者が商品を選び、店員が応対している段階では、店員は当該来店者に関する顧客情報を把握することができない。
【0003】
そこで、特許文献1には、店舗に設けられた信号発信部から発信された信号を受信した携帯端末から来店者の識別情報を取得し、識別情報に対応する顧客情報を表示用端末に表示する接客支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-126130号公報(2017年7月20日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は識別情報に対応する顧客情報を抽出するものであり、予め顧客情報を準備しておく必要がある。
【0006】
予め顧客情報を準備できるのは、過去に当該店舗において買物をしたことがある人等に限られるため、不特定多数の人が来店する店舗等では、顧客情報がない人も多く、有用性が限られてしまう。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、顧客情報がなくても人をカテゴライズして結果を提示する情報提示装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報提示装置は、入口周辺の人の移動動作を検出する検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類部と、前記分類の結果を提示する提示部と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
前記の構成によれば、移動動作を分類することにより、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができる。そして、分類の結果であるカテゴライズ結果を提示することができる。よって、入口周辺にいる人の情報(例えば顧客情報)が予め用意されてない場合でも、移動動作のみによって分類し、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができる。
【0010】
例えば、優良顧客と、そうでない顧客とで移動動作が異なれば、当該移動動作によって分類することにより、入ってくる人が優良顧客であるか否かをカテゴライズすることができる。これにより、店員は、入ってくる人が優良顧客であるか否かを予め認識することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る情報提示装置では、前記分類部は、前記移動動作として、移動速度、移動方向、および所定範囲に入っている時間の少なくとも何れかを用いて分類を行うものであってもよい。
【0012】
入口周辺における人の移動速度、移動方向、および所定範囲に入っている時間は、人の意図によって異なる。よって、前記の構成によれば、人の意図に対応した分類を行うことができる。例えば、移動速度が速い場合は、目的を持って移動していると考えられるため、移動速度が「速い」に分類された移動動作の主体である人を「目的を持っている人」とカテゴライズすることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る情報提示装置では、前記入口のドアが開いたことを示す開情報を取得する取得部を備え、前記提示部は、前記取得部が前記開情報を取得したとき、前記ドアを通過した人の移動動作の分類の結果を提示するものであってもよい。
【0014】
前記の構成によれば、開情報を取得した場合に移動動作の分類の結果を提示するので、入店してきた可能性が高い人の移動動作の分類結果を提示することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る情報提示装置では、信号発信装置の設置場所を判別させるための場所属性識別情報を含む信号を受信した携帯通信端末のユーザを識別するユーザ識別情報または該携帯通信端末を識別する端末識別情報を含む受信情報を受信する受信部を備え、前記提示部は、前記分類の結果とともに、前記ユーザ識別情報または前記端末識別情報と対応付けられた対応情報を提示するものであってもよい。
【0016】
前記の構成によれば、携帯通信端末のユーザの移動動作の分類の結果に加え、当該ユーザの対応情報を提示することができる。
【0017】
上記課題を解決するために本発明の一態様に係る情報提示システムは、自動ドアシステムと、情報提示装置とを含む情報提示システムであって、前記自動ドアシステムは、自動ドアと、前記自動ドアの入口周辺の人の移動動作を検出する検出部と、近距離無線通信により、自機の設置場所を判別させるための場所属性識別情報を含む信号を送信する信号発信装置と、を備え、前記情報提示装置は、前記信号発信装置から発信された信号を受信した携帯通信端末のユーザを識別するユーザ識別情報または前記携帯通信端末を識別する端末識別情報を含む受信情報を受信する受信部と、前記検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類部と、前記分類の結果、および前記ユーザ識別情報または前記端末識別情報と対応付けられた対応情報を提示する提示部と、を備えていることを特徴としている。
【0018】
前記の構成によれば、移動動作を分類することにより、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができる。そして、分類の結果であるカテゴライズ結果を提示することができる。よって、入口周辺にいる人の情報(例えば顧客情報)が予め用意されてない場合でも、移動動作のみによって分類し、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができる。
【0019】
また、前記の構成によれば、携帯通信端末のユーザの移動動作の分類の結果に加え、当該ユーザの対応情報を提示することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る情報提示システムでは、前記自動ドアシステムは、人が近づいたことを検知して前記自動ドアを開くための起動センサを備え、前記信号発信装置は、前記起動センサの検知結果と連動して前記信号を発信するものであってもよい。
【0021】
前記の構成によれば、起動センサの検知結果と連動して信号を発信するので、ドアが開く場合のみ信号を発信することができる。これにより、ドアが開かない程度の距離にいる人の移動動作の分類結果を提示してしまうことを防止することができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報提示装置の制御方法は、入口周辺の人の移動動作を検出する検出部が検出した人の移動動作を示す検出情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した検出情報を用いて、検出された人の移動動作の分類を行う分類ステップと、前記分類の結果を提示する提示ステップと、を含むことを特徴としている。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0023】
本発明の各態様に係る情報提示装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記情報提示装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記情報提示装置をコンピュータにて実現させる情報提示装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、移動動作を分類することにより、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができる。そして、分類の結果であるカテゴライズ結果を提示することができる。よって、入口周辺にいる人の情報(例えば顧客情報)が予め用意されてない場合でも、移動動作のみによって分類し、移動動作の主体である人をカテゴライズすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態の全体概要を説明するための図である。
図2】本実施形態に係る情報提示装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
図3】上記情報提示装置に含まれる分類部におけるカテゴライズの方法を説明するための図である。
図4】(a)~(d)は、上記分類部による分類例を説明するための図である。
図5】上記情報提示装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
〔全体概要〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の全体概要について説明する。図1は、本実施形態の全体概要を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態では、自動ドアシステム40のドアの入口周辺の人の移動動作を検出できる位置に検出装置(検出部)60が設けられている。そして、検出装置60が検出した「人の移動動作」を示す検出情報を、検出装置60から情報提示装置20に送信する。なお、「人の移動動作」を示す検出情報とは、人が現時点でどこに居て、当該人が、どのような経路で、どのような速度で、現時点の位置まで来たかを示す情報である。
【0027】
情報提示装置20は、検出装置60から受信した検出情報を用いて、検出装置60において検出された人を、当該人の移動動作によってカテゴライズし、その結果を提示する。
【0028】
これにより、自動ドアシステム40の入口周辺にいる人を、当該人の情報が予め用意されていなくても、当該人の移動動作によってカテゴライズすることができる。
【0029】
店舗に入店する人は、その人その人の状況により、様々な経路、速度で入店してくる。例えば、欲しいものが決まっていてそれを買いに来た人は、真っ直ぐに早い速度で入口まで向かってくることが多い。一方、ウィンドウショッピングのついでに何となく入店する人は、入口周辺をぶらぶらしながら、ゆっくりと入口まで向かってくることが多い。よって、入店までの移動動作は、入店する人の目的、状況等により異なってくる。そこで、入口周辺での移動動作を分類することにより、人を適切にカテゴライズすることができる。なお、入口周辺とは、例えば、当該入口から数mの範囲内のことをいう。
【0030】
また、検出装置60による人の移動動作の検出は従来技術を用いて可能であるので、その詳細は記載しない。概略的に説明すれば、所定範囲(図1の検出領域)を撮影し、撮影画像を画像処理することにより、人を検出して追尾することにより人の移動動作を検出し、人の移動速度、移動方向、所定範囲に存在する時間等のデータを出力することができる。
【0031】
〔情報提示装置20の構成〕
次に、図2を参照して、情報提示装置20の要部構成について説明する。図2は、情報提示装置20の要部構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、情報提示装置20は、プロセッサ210、メモリ220、通信部230、およびタッチパネルディスプレイ240を含む。
【0032】
プロセッサ210は、情報提示装置20における各種情報処理および制御を行う。また、メモリ220はそのために必要なデータや各種プログラムを記憶する。また、プロセッサ210は取得部211、分類部212、および提示部213を含む。
【0033】
取得部211は、通信部230を介して検出装置60から検出情報を取得し、分類部212に送信する。
【0034】
分類部212は、取得部211から送信された検出情報が示す移動動作を分類し、当該移動動作の主体となる人をカテゴライズする。そして、カテゴライズした結果を提示部213に送信する。なお、分類部212における処理の詳細については後述する。
【0035】
提示部213は、分類部212から送信されたカテゴライズの結果をタッチパネルディスプレイ240に表示させる。
【0036】
通信部230は、検出装置60と通信を行うものであり、検出装置60から通信情報を受信する。
【0037】
タッチパネルディスプレイ240は、ユーザによる操作入力をタッチパネルによって受け付けるとともに、ディスプレイによる画像表示を行う。
【0038】
〔分類部212における処理の詳細〕
次に、図3および図4を参照して、分類部212における処理について説明する。図3は、分類部212におけるカテゴライズの方法を説明するための図である。また、図4は、分類部212による分類例を説明するための図である。
【0039】
図3に示すように、分類部212は、検出情報が示す移動動作を速度(移動速度)、方向(移動方向)、および時間(所定範囲に入っている時間)の観点から分類し、移動動作の主体である人を「優良」、「普通」、「その他」の3つにカテゴライズする。
【0040】
図3に示す例では、速度について「早い」、「普通」、「遅い」の3つに分類する。また、方向について「近づく」、「変わらず」、「離れる」の3つに分類する。「近づく」方向とは、自動ドアシステム40に近づく方向であり、「変わらず」方向とは、自動ドアシステム40との距離が変わらない方向であり、「離れる」方向とは自動ドアシステム40から離れる方向である。また、時間について「長い」、「普通」、「短い」の3つに分類する。時間とは、当該人が検出装置60により移動動作が検出される領域(検出領域)に存在する時間である。
【0041】
そして、例えば、或る人の移動動作について速度が「早い」、方向が「近づく」、時間が「短い」に分類された場合、分類部212は、当該人を「優良」とカテゴライズする。また、或る人の移動動作について速度が「普通」、方向が「近づく」、時間が「長い」に分類された場合、分類部212は、当該人を「普通」とカテゴライズする。
【0042】
上述したように、店舗に入店する人は、その人その人の状況により、様々な経路、速度で入店してくる。例えば、欲しいものが決まっていてそれを買いに来た人は、真っ直ぐに早い速度で入口まで向かってくることが多い(図4の(a)参照)。すなわち、当該人の移動動作の速度は速く、方向は入口に近づく方向で、検出領域に存在する時間も短い。よって、移動動作について、速度が「早い」、方向が「近づく」、時間が「短い」に分類された場合、当該人は、目的を持って店舗に来ている可能性が高く、優良顧客と考えられる。そこで、本実施形態では、移動動作が上記のように分類される人を「優良」とカテゴライズする。
【0043】
また、ウィンドウショッピングのついでに何となく入店する人は、入口周辺をぶらぶらしながら、ゆっくりと入口まで向かってくることが多い(図4の(b)参照)。すなわち、当該人の移動動作の速度は普通で、方向は入口に近づく方向で、検出領域に存在する時間は長い。よって、移動動作について、速度が「普通」、方向が「近づく」、時間が「長い」に分類された場合、当該人は、何となく店舗に来ている可能性が高く、普通顧客と考えられる。そこで、本実施形態では、移動動作が上記のように分類される人を「普通」とカテゴライズする。
【0044】
また、図4の(c)に示すように、店舗に近づいてきたが離れて行った人の移動動作は、速度が「普通」、方向が「離れる」、時間が「長い」に分類され、「その他」にカテゴライズされる。
【0045】
また、図4の(d)に示すように、店舗の前を通り過ぎただけの人は、速度が「早い」、方向が「変わらず」、時間が「短い」に分類され、「その他」にカテゴライズされる。
【0046】
このように、本実施形態では、人の移動動作を分類して当該人をカテゴライズしている。これにより、予め顧客情報等を用意していなくても、入店者を適切にカテゴライズすることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、「優良」「普通」「その他」の3つにカテゴライズしているが、カテゴライズの結果はこの3つに限られない。カテゴライズの結果は、店舗の種類、内容、形態、設置場所、営業時間等により、適切に決定することができる。また、カテゴライズの数も3つに限られるものではなく、2つにカテゴライズしてもよいし、4つ以上にカテゴライズしてもよい。
【0048】
また、分類の結果をランク付けしてカテゴライズするのではなく、移動動作に応じてカテゴライズしてもよい。例えば、移動速度が速い人は目的を持って移動している可能性が高い。そこで、速度が「速い」に分類された移動動作の主体である人を「目的を持った人」とカテゴライズしてもよい。同様に、速度が「普通」または「遅い」で、時間が「長い」に分類された移動動作の主体である人を「迷っている人」とカテゴライズしてもよい。
【0049】
また、図3では、移動動作のうち、速度、方向、および時間について、それぞれ3つに分類してカテゴライズする例について説明したが、移動動作の分類はこれに限られるものではない。速度、方向、および時間以外について分類してもよいし、分類する数も3つに限られず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0050】
〔情報提示装置20における処理の流れ〕
次に、図5を参照して情報提示装置20における処理の流れを説明する。図5は、情報提示装置20における処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
図5に示すように、情報提示装置20は、検出装置60から検出情報を取得すると(S101、取得ステップ)、分類部212は、取得した検出情報を用いて移動動作を分類し、移動動作の主体である人をカテゴライズする(S102、分類ステップ)。そして、提示部213は、カテゴライズ結果をタッチパネルディスプレイ240に表示させる(S103、提示ステップ)。
【0052】
〔実施形態2〕
次に、本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態において上記実施形態1と異なるのは、情報提示装置20’が、カテゴライズの結果に加え、入店者の対応情報を提示する点である。
【0053】
図6を参照して、本実施形態について説明する。図6は、本実施形態を説明するための図であり、情報提示装置20’携帯通信端末10、および自動ドアシステム40の要部構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、本実施形態では、自動ドアシステム40と情報提示装置20’とで情報提示システムを形成している。そして、図6に示すように、本実施形態には、情報提示装置20’、携帯通信端末10、および自動ドアシステム40が含まれる。携帯通信端末10は入店者が所持している通信端末である。
【0054】
図6に示すように、情報提示装置20’は、上述した情報提示装置20の構成に加え、ネットワークモジュール(受信部)250を備えるとともに、プロセッサ210’に対応情報抽出部214が含まれ、メモリ220’に対応情報221が格納されている。
【0055】
また、携帯通信端末10にはプロセッサ110、BLEモジュール120、およびネットワークモジュール130が含まれ、プロセッサ110には受信情報生成部111が含まれる。
【0056】
また、自動ドアシステム40にはBLEモジュール(信号発信装置)410、および検出装置60が含まれる。
【0057】
BLEモジュール410は、近距離無線通信の1つであるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いて信号を送信可能なモジュールである。BLEモジュール410から送信される信号には、BLEモジュール410が備えられた自動ドアシステム40の設置場所の属性を識別するための場所属性識別情報が含まれる。例えば、BLEモジュール410から送信される信号がビーコン信号の場合、UUID(Universally Unique IDentifier)、Major値、Minor値、および信号強度の情報であるRSSIとが含まれる。UUIDはBLEモジュールを識別するための識別子であり、Major値、およびMinor値は、さらに細かな情報(場所、位置)を示すものである。また、RSSIは信号強度を取得するための情報である。したがって、UUID、Major値、およびMinor値を総称して場所属性識別情報と呼ぶことができる。場所属性識別情報を受信した側は、当該場所属性識別情報から対応するBLEモジュール410がどこに存在するか、またはどんな店舗に設置されているか等を判別することができるためである。
【0058】
なお、BLE以外の近距離無線通信を用いてビーコン信号を送信する構成であってもよい。
【0059】
また、携帯通信端末10のBLEモジュール120は、自動ドアシステム40のBLEモジュール410から送信されたビーコン信号を受信し、受信情報生成部111に送信する。
【0060】
受信情報生成部111は、BLEモジュール120を介して受信したビーコン信号に含まれる場所属性識別情報と、携帯通信端末10自身を識別するための端末識別情報またはユーザを識別するためのユーザ識別情報とを用いてビーコン信号を受信した旨を示す受信情報を生成し、ネットワークモジュール130に送信する。ユーザ識別情報は、例えば、特定のアプリケーションを利用するために登録されたログインID等を用いることができる。
【0061】
ネットワークモジュール130は、ネットワークを介して情報提示装置20’との通信を行う。ネットワークはどのようなものであってもよく、例えば、無線LANとインターネットによって構成されていてもよく、LTE通信網とインターネットによって構成されていてもよい。
【0062】
そして、情報提示装置20’の対応情報抽出部214は、ネットワークモジュール250を介して携帯通信端末10から受信した受信情報に含まれる場所属性識別情報、および端末識別情報を用いて、対応情報をメモリ220’から抽出し、抽出した対応情報を提示部213に送信する。または、対応情報抽出部214は、受信情報に含まれる場所属性識別情報、およびユーザ識別情報を用いて、対応情報をメモリ220’から抽出し、抽出した対応情報を提示部213に送信する。対応情報とは、ユーザに関する情報であり、例えば、買物履歴等である。
【0063】
提示部213は、分類部212から送信されたカテゴライズ結果に加え、対応情報抽出部214から送信された対応情報をタッチパネルディスプレイ240に表示させる。これにより、店舗の店員は、入店者のカテゴライズ結果に加え、対応情報を確認することができ、より当該ユーザに合わせた対応をとることができる。
【0064】
〔変形例1〕
また、上述した実施形態2の構成において、自動ドアシステム40に、人を検知したときに自動ドアを開くためのドアセンサ(起動センサ)を設け、BLEモジュール410はドアセンサの検知結果と連動して信号を発信する構成としてもよい。
【0065】
より詳細には、自動ドアシステム40のドアセンサは、検知対象を検知したとき、その旨をBLEモジュール410に通知する。BLEモジュール410は、ドアセンサから上記通知を受けたときのみ、信号を発信する。また、信号は、上記通知を受けたときから所定期間、所定の周期で発信する。
【0066】
これにより、自動ドアシステム40からは、ドアセンサが検知対象を検知したときのみ信号が発信される。よって、携帯通信端末10が信号を受信した場合、それはドアセンサが検知対象を検知したとき、すなわち、自動ドアシステム40の自動ドアが開くときとなる。換言すれば、携帯通信端末10のユーザが自動ドアを通過するときである。したがって本変形例によれば、ユーザが自動ドアを通過するタイミングで対応情報を提示することができる。
【0067】
〔変形例2〕
また、上述した実施形態1または2の構成において、情報提示装置20(20’)が、自動ドアシステム40から自動ドアを開いたという開情報を取得したときに、カテゴライズ結果を提示する構成であってもよい。
【0068】
より詳細には、自動ドアシステム40と情報提示装置20(20’)とはネットワークで通信可能に接続されており、自動ドアシステム40は自動ドアを開けたときに開情報を情報提示装置20(20’)に送信する。そして、情報提示装置20(20’)は、取得部で上記開情報を受信したときに、検出情報が示す移動動作の分類、および移動動作の主体である人のカテゴライズを行う。そして、カテゴライズ結果を提示する。
【0069】
これにより、自動ドアシステム40の自動ドアが開いたときにカテゴライズ結果を提示することができる。よって、人が自動ドアシステム40の近くまではきたが通過はしていない場合にカテゴライズ結果を提示することを防止することができる。
【0070】
なお、上記実施形態2において、上記開情報をBLEモジュール410が送信するビーコン信号に含めて送信し、当該開情報を携帯通信端末10から情報提示装置20’が受信したときに、カテゴライズ結果を提示する構成であってもよい。
【0071】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報提示装置20(20’)の制御ブロック(特に取得部211、分類部212、提示部213および対応情報抽出部214)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0072】
後者の場合、情報提示装置20(20’)は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 携帯通信端末
20、20’ 情報提示装置
40 自動ドアシステム
60 検出装置(検出部)
110 プロセッサ
111 受信情報生成部
120 BLEモジュール
130 ネットワークモジュール
210、210’ プロセッサ
211 取得部
212 分類部
213 提示部
214 対応情報抽出部
220、220’ メモリ
221 対応情報
230 通信部
240 タッチパネルディスプレイ
250 ネットワークモジュール(受信部)
410 BLEモジュール(信号発信装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6