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特許7083154生体情報監視システム及び情報監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】生体情報監視システム及び情報監視システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20220603BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20220603BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
G16H80/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018074670
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019180761
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)集会での発表による公開 平成29年10月12日、大田仁大が徳島ビジネスチャレンジメッセ実行委員会主催の徳島ビジネスチャレンジメッセ2017徳島ニュービジネス支援賞の優秀賞受賞者として、自身が発明した生体情報監視システムの一部の構成を説明した。(2)展示での発表による公開 平成29年10月12~14日、徳島ビジネスチャレンジメッセ実行委員会が、徳島ビジネスチャレンジメッセ2017徳島ニュービジネス支援賞の優秀賞受賞作品として、大田仁大が発明した生体情報監視システムの一部の構成を展示により発表した。(3)刊行物の配布による公開平成29年10月13日、徳島新聞社が、徳島新聞の平成29年10月13日付朝刊第14面にて、大田仁大が発明した生体情報監視システムの一部の構成について説明した「徳島ビジネスチャレンジメッセ2017徳島ニュービジネス支援賞」の概要を公開した。(4)集会での発表による公開 平成29年11月10日、大田仁大が、とくしま創生アワード実行委員会主催のとくしま創世アワード2017の最終審査会にて、自身が発明した生体情報監視システムの一部の構成を説明した。(5)刊行物の配布による公開 平成29年11月25日、徳島新聞の平成29年11月25日付朝刊第12-13面にて、大田仁大が発明した生体情報監視システムの一部の構成について説明した「とくしま創世アワード2017」の概要を公開した。(6)刊行物の配布による公開 平成30年2月8日、日本経済新聞社が、日本経済新聞の平成30年2月8日付朝刊にて、大田仁大が発明した生体情報監視システムの一部の構成を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】518123268
【氏名又は名称】イツモスマイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 仁大
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-344660(JP,A)
【文献】特開2017-174266(JP,A)
【文献】特開2018-055293(JP,A)
【文献】特開2002-279077(JP,A)
【文献】特開2016-057673(JP,A)
【文献】特開2012-008931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0538
A61B 5/06 - 5/398
A61B 10/00
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
G08B 21/02
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に配置される一又は複数の被制御装置と、
前記被制御装置と同じ屋内に配置され、生体情報を検出する検出部と、
前記検出部が検出した生体情報を記録させるべく、生体情報を記録する記録装置へ送信する送信装置と、
前記被制御装置及び記録装置と通信可能な端末装置と
を備え、
前記検出部が検出した生体情報が、予め設定されている判定条件を充足する場合に、
前記検出部に関する識別情報を前記端末装置へ送信する識別情報送信手段と、
前記被制御装置に遠隔制御を許可させる制御許可手段と
を備え、
前記端末装置は、
受信した識別情報に基づき前記記録装置に記録されている生体情報を閲覧する手段と、
受信した識別情報に基づき前記被制御装置を遠隔制御する手段と
を備える
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報監視システムであって、
前記複数の被制御装置のうちの第1の被制御装置は、
映像情報及び音声情報の少なくとも一方の情報を取得する取得手段を有する
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生体情報監視システムであって、
前記第1の被制御装置と異なる第2の被制御装置は、
前記第1の被制御装置が備える取得手段による取得を支援する取得支援手段を有する
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の生体情報監視システムであって、
前記被制御装置は、
屋内環境を制御する環境制御手段を有する
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の生体情報監視システムであって、
前記被制御装置は、
屋内、又は屋内における前記検出部が配置された室内への進入を許可する進入許可手段を有する
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の生体情報監視システムであって、
前記送信装置は、
前記検出部、識別情報送信手段及び制御許可手段を備える
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の生体情報監視システムであって、
前記記録装置を備え、
前記記録装置は、
前記識別情報送信手段及び制御許可手段を備える
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【請求項8】
屋内に配置される一又は複数の被制御装置と、
前記被制御装置と同じ屋内に配置され、環境情報を検出する検出部と、
前記検出部が検出した環境情報を記録させるべく、環境情報を記録する記録装置へ送信する送信装置と、
前記被制御装置及び記録装置と通信可能な端末装置と
を備え、
前記検出部が検出した環境情報が、予め設定されている判定条件を充足する場合に、
前記検出部に関する識別情報を前記端末装置へ送信する識別情報送信手段と、
前記被制御装置に遠隔制御を許可させる制御許可手段と
を備え、
前記端末装置は、
受信した識別情報に基づき前記記録装置に記録されている環境情報を閲覧する手段と、
受信した識別情報に基づき前記被制御装置を遠隔制御する手段と
を備える
ことを特徴とする生体情報監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を検出し、検出した情報を監視する生体情報監視システム及び情報監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人物に対し、非装着かつ非拘束で、生体の個体差、体動による影響、外部環境からのノイズの影響を受けずに心拍数、呼吸数、体動数等の生体信号を検出する生体信号検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような検出装置を用いることにより、例えば、病院等の施設において、入院患者の生体情報を詳細かつ正確に監視することが見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2006/120754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、医師が常駐している病院等の施設では、生体信号に基づく容態の急変に迅速に対応することが可能である。しかしながら、医師が常駐していない老人ホーム、介護施設等の施設、その他一般家屋においては、検出装置で検出した生体信号が異常値を示していても、必ずしも十分な対応ができるとは限らないという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、例えば、老人、病人、要介護者等の対象者から検出した生体情報に異常値が存在した場合に、例えば、医師等の操作者が端末装置を操作することにより、迅速な対応が可能となる生体情報監視システムの提供を目的とする。また、環境情報を検出する情報監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願記載の生体情報監視システムは、屋内に配置される一又は複数の被制御装置と、前記被制御装置と同じ屋内に配置され、生体情報を検出する検出部と、前記検出部が検出した生体情報を記録させるべく、生体情報を記録する記録装置へ送信する送信装置と、前記被制御装置及び記録装置と通信可能な端末装置とを備え、前記検出部が検出した生体情報が、予め設定されている判定条件を充足する場合に、前記検出部に関する識別情報を前記端末装置へ送信する識別情報送信手段と、前記被制御装置に遠隔制御を許可させる制御許可手段とを備え、前記端末装置は、受信した識別情報に基づき前記記録装置に記録されている生体情報を閲覧する手段と、受信した識別情報に基づき前記被制御装置を遠隔制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記複数の被制御装置のうちの第1の被制御装置は、映像情報及び音声情報の少なくとも一方の情報を取得する取得手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記第1の被制御装置と異なる第2の被制御装置は、前記第1の被制御装置が備える取得手段による取得を支援する取得支援手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記被制御装置は、屋内環境を制御する環境制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記被制御装置は、屋内、又は屋内における前記検出部が配置された室内への進入を許可する進入許可手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記送信装置は、前記検出部、識別情報送信手段及び制御許可手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本願記載の生体情報監視システムにおいて、前記記録装置を備え、前記記録装置は、前記識別情報送信手段及び制御許可手段を備えることを特徴とする。
【0015】
更に、本願記載の送信装置は、検出した生体情報を送信する送信装置であって、生体情報を検出する検出部と、前記検出部が検出した生体情報を記録させるべく、記録用の装置へ送信する手段と、前記検出部が検出した生体情報が、予め設定されている判定条件を充足する場合に、前記検出部に関する識別情報を、被制御装置を制御する制御用の装置へ送信する手段と、前記被制御装置に遠隔制御を許可させる手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
更に、本願記載の記録装置は、生体情報及び生体情報に関する識別情報を対応付けて記録する記録装置であって、生体情報が予め設定されている判定条件を充足する場合に、判定条件を充足する生体情報に関する識別情報を、被制御装置を制御する制御用の装置へ送信する手段と、前記被制御装置に遠隔制御を許可させる手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
更に、本願記載のコンピュータプログラムは、コンピュータに、検出された生体情報が、予め設定されている判定条件を充足する場合に、前記生体情報に関する識別情報を、被制御装置を制御する制御用の装置へ送信させるステップと、前記被制御装置に、遠隔制御を許可させるステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
したがって、本願記載の生体情報監視システム、送信装置、記録装置及びコンピュータプログラムは、検出部が検出した生体情報が、異常の発生の可能性を示唆する所定の条件を充足した場合に、被制御装置を端末装置にて遠隔制御させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る生体情報監視システム等は、検出部が検出した生体情報が予め設定されている判定条件を充足する場合に、被制御装置の遠隔制御を許可し、例えば、生体情報を監視する医師等の操作者(監視者)が操作する端末装置による被制御装置の遠隔制御を可能とする。これにより、対象者の異常発生の可能性に対し、迅速に対応することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願記載の生体情報監視システムの構成例を模式的に示す概略図である。
図2】本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として送信装置、被制御装置、管理装置及び通信装置の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
図3】本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として記録装置及び端末装置の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
図4】本願記載の生体情報監視システムが備える送信装置の異常対応処理、並びに送信装置の異常対応処理に関連する記録装置及び管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本願記載の生体情報監視システムが備える端末装置の遠隔制御処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として記録装置及び端末装置の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
図7】本願記載の生体情報監視システムが備える記録装置の異常対応処理、及び記録装置の異常対応処理に関連する管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0022】
<第1実施形態>
本願に記載の生体情報監視システムは、様々な形態として構成することが可能である。ここでは、本願記載の生体情報監視システムを適用した構成例の一部を、第1実施形態及び第2実施形態として説明する。先ず、第1実施形態について説明する。
【0023】
<生体情報監視システムの全体構成>
図1は、本願記載の生体情報監視システムの構成例を模式的に示す概略図である。本願記載の生体情報監視システムは、一般家屋(自宅、親族宅等)、老人ホーム、高齢者向け住宅、介護施設等の建造物の屋内において、老人、病人、要介護者等の対象者の心拍数、呼吸数、体動等の生体情報、更には対象者が居住又は滞在する屋内の環境に関する環境情報を監視するシステムである。
【0024】
建造物の屋内には、対象者の生体情報を検出する検出部10を備えた送信装置1が配設されており、送信装置1は、検出部10が検出した対象者の生体情報を外部へ送信することができる。また、送信装置1が配設されている屋内には、複数の被制御装置2が配設されている。なお、送信装置1と被制御装置2とは、同一の屋内に配設されているが、ここでいう同一の屋内とは同一の敷地内、同一の居住空間内、同一の管理建造物程度の意味である。即ち、母屋及び離れ、本館及び別館のように、それぞれ異なる建造物として立地していたとしても、統合して管理されている様な状態であれば、同一の建造物の屋内となる。また、当然、同一の屋内のそれぞれ異なる室内であっても、同一の屋内となる。本願において、被制御装置2とは、屋外からの遠隔操作により制御の対象となる装置の総称であり、様々な種類の被制御装置2が屋内に配設されている。例えば、映像を取得するカメラ、音声を取得するマイク、映像を出力するモニタ、音声を出力するスピーカ、これら全てを備えるテレビ電話装置等の装置が通信系の被制御装置2となる。また、例えば、映像の取得を支援するために調光する対象者用照明機器、音声の取得を支援するために音量を下げられる音響装置等の装置が通信支援系の被制御装置2となる。また、例えば、室内の温度及び湿度を調整する空調機器、室内用照明機器等の装置が屋内環境制御系の被制御装置2となる。更に、例えば、外部から屋内又は室内への進入を許可する錠前、特に遠隔操作可能なスマートキー等の装置が屋内・室内進入許可系の被制御装置2となる。また、被制御装置2は、サーバコンピュータ等のコンピュータを用いた管理装置3に接続されており、送信装置1及び管理装置3は、ルータ等の通信装置4を介してインターネット、WAN(Wide Area Network )、VPN(Virtual Private Network )等の外部通信網NWに接続されている。
【0025】
外部通信網NWには、サーバコンピュータ等のコンピュータを用いた記録装置5が接続されている。記録装置5は、送信装置1から通信装置4を介して送信される生体情報等の各種情報を記録する。
【0026】
また、外部通信網NWには、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、高機能型携帯電話(所謂スマートフォン)等のコンピュータを用いた端末装置6が接続されている。端末装置6は、医師、看護師、介護士、対象者の親族等の操作者により操作され、外部通信網NWを介して記録装置5にアクセスし、また、被制御装置2を遠隔制御することが可能である。
【0027】
このような装置を用いて構成される本願記載の生体情報監視システムは、対象者の生体情報、更には環境情報を監視し、自宅、地域の施設等の屋内に居住又は滞在する対象者の状態を、離れた親族、医師等の操作者が確認できる遠隔見守りシステム等のシステムとして適用される。
【0028】
<各種装置のハードウェア構成>
次に、本願記載の生体情報監視システムにて用いられる各種装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として送信装置1、被制御装置2、管理装置3及び通信装置4の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
【0029】
送信装置1は、例えば、マイクロコンピュータ(マイコン)、パーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、前述の検出部10と接続し、制御部11、記録部12、通信部13等の構成を備えている。検出部10としては、例えば、対象者のベッドの敷布の下に布設される国際公開第2006/120754号公報に記載された生体信号検出装置が用いられるが、当該生体信号検出装置に限るものではない。検出部10は、様々なセンサを有しており、対象者の心拍数、呼吸数、体動数等の数値化された生体情報を検出する。また、生体情報の他、温度、湿度等の数値化された環境情報を検出するようにしてもよい。図2では、一つの検出部10のみを記載しているが、検出する項目及び位置毎に複数の検出部10を備えるようにしてもよい。また、老人ホームのように同一屋内に複数の対象者が居住する場合、対象者毎に配置された複数の検出部10を一台の送信装置1で管理するようにしてもよい。即ち、検出部10と送信装置1とは、一体の装置として構成されていても、検出部10に送信装置1を接続した異なる装置として構成されていても良い。
【0030】
制御部11は、情報処理回路、計時回路、レジスタ回路等の各種回路を備え、装置内の各部を制御する処理を実行するCPU等のプロセッサである。
【0031】
記録部12は、半導体メモリ等の記録素子を用いて形成される揮発性メモリ、不揮発性メモリ等の回路であり、各種プログラム、データ等の情報の記録に用いられる。記録部12の記録領域には、送信装置用プログラム12a等の様々なコンピュータプログラムが記録されている。また、記録部12の記録領域の一部は、各種情報を記録する対象者データベース12b、生体情報データベース12c、制御用データベース12d等の各種データベースとして用いられている。
【0032】
対象者データベース12bには、対象者を識別する対象者識別情報(対象者ID)に対応付けて、氏名、フリガナ、性別、生年月日、血液型、住所、居住施設、部屋番号、病歴、閾値、判定条件等の対象者の個人に関する情報が記録されている。対象者識別情報は、検出部10毎に付与されるため、検出部10及び検出部10が検出した生体情報に関する識別情報となる。閾値とは、検出部10が検出する生体情報、環境情報等の数値化された情報に対する上下限値等の予め設定されている値であり、判定条件とは、閾値等の基準に基づいて異常発生の有無を判定するための条件である。例えば、対象者の生体情報の一つである心拍数に対して、上限値及び下限値が閾値として設定されており、閾値を超えるという判定条件を満足する場合、即ち、上限値を上まわるか、下限値を下まわる場合、対象者に異常が生じている虞があると判定する。なお、単に、上限値を上まわるか、下限値を下まわるかのみを判定条件とするのではなく、閾値を超える状態が何分以上継続している、過去一定時間内に閾値を超える状態が何度生じた等、詳細な判定基準を設定することも可能である。更には、上限値を複数段階設定し、それぞれに緊急性を考慮して判定条件を設定する等、適宜設定することも可能である。また、呼吸数及び心拍数が共に所定値以上等、複数の生体情報を組み合わせてよく、体温及び室温が所定値以上等、生体情報及び環境情報を組み合わせてもよい。また、生体情報として検出した体動からは、離床時刻、離床時間帯、離床継続時間等の挙動をも推測することができるので、睡眠、外出等の対象者の行動、更には室内の環境情報と組み合わせて、ベッドからの落下、徘徊等の行動をも推測する判定条件を設定することができる。そして、複数の判定条件を設定する場合、設定する条件毎に後述する情報の閲覧及び遠隔制御を可能とする端末装置6を決定するようにしてもよい。即ち、状況に応じて通報先を医師又は親族と切り替えることも可能である。
【0033】
生体情報データベース12cには、対象者識別情報及び検出時刻に対応付けて、検出部10が検出した生体情報、環境情報等の各種情報が記録される。なお、生体情報データベース12cに記録された各種情報は、後述する処理により記録装置5にも記録されるため、FIFO(First In First Out)方式等の方法に従い適宜削除するように設定することも可能である。
【0034】
制御用データベース12dには、送信装置用プログラム12a等の各種プログラムの実行に伴い用いられる命令(コマンド)、特定情報等の各種情報が記録される。具体的には、制御用データベース12dには、送信装置1にて実行される命令、他の装置を制御すべく他の装置へ送信される命令等の命令が記録されている。また、制御用データベース12dには、各種情報及び命令の送信先となる記録装置5、端末装置6、管理装置3、被制御装置2等の装置の内部通信網又は外部通信網NW上の位置及び装置を特定するIPアドレス、MACアドレス等の通報先情報が記録されている。
【0035】
通信部13は、LANポート及び制御回路並びに各種ソフトウェアにて構成される回路であり、LANケーブルを接続し、通信装置4及び通信装置4を介した他の装置との通信を実現する。なお、IEEE802.11等の通信規格に基づく無線通信にて通信装置4と接続する回路を通信部13として備えるようにしてもよい。
【0036】
通信装置4は、ルータ、ブリッジ、ブルータ、スイッチ等の通信用の装置である。通信装置4は、送信装置1、管理装置3等の複数の装置と有線通信又は無線通信にて屋内でLAN(Local Area Network)等の内部通信網を設定する。また、通信装置4は、内部通信網と外部通信網NWとを接続して、アドレス管理、通信経路設定、情報中継、ファイアウォール等の各種処理及び機能を実行する。
【0037】
管理装置3は、サーバコンピュータ等のコンピュータであり、制御部30、記録部31、通信部32等の構成を備えている。制御部30は、装置全体を制御するCPU等のプロセッサである。
【0038】
記録部31は、ハードディスク、RAID等の不揮発性メモリ、半導体メモリ等の揮発性又は不揮発性メモリを用いて構成される。記録部31には、各種プログラム、データ等の情報が記録されており、被制御装置2を制御するための被制御装置識別情報、各種命令、その他必要な情報を記録するデータベースとしての領域も確保されている。
【0039】
通信部32は、LANポート及び制御回路並びに各種ソフトウェアにて構成される回路であり、通信装置4が設定した内部通信網に接続し、通信装置4及び被制御装置2と通信することが可能である。
【0040】
被制御装置2は、前述のように、遠隔操作が可能なカメラ、マイク、モニタ、スピーカ、テレビ電話装置、対象者用照明機器、音響装置、空調機器、室内用照明機器、スマートキー等の装置である。被制御装置2は、制御部20、被制御部21、通信部22等の各種構成を備えている。
【0041】
被制御装置2は、通信部22を介して各種命令及び情報の送受信を行い、制御部20の制御により、被制御部21が稼働する。被制御装置2が、映像を取得するカメラ、音声を取得するマイク、映像を出力するモニタ、音声を取得するスピーカ等の通信系の装置である場合、被制御部21は、それぞれ映像取得手段、音声取得手段、映像出力手段、又は音声出力手段として機能する。被制御装置2が、映像の取得を支援する対象者用照明装置、音声の取得を支援する音響装置等の通信支援系の装置である場合、被制御部21は、それぞれ対象者に照射する照明を調整する映像取得支援手段又は音量を下げる音声取得支援手段として機能する。被制御装置2が、空調機器、室内用照明機器等の屋内環境制御系の装置である場合、被制御部21は、環境制御手段として機能する。被制御装置2が、スマートキー等の屋内・室内進入許可系の装置である場合、被制御部21は、進入許可手段として機能する。
【0042】
図3は、本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として記録装置5及び端末装置6の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
【0043】
記録装置5は、サーバコンピュータ等のコンピュータを用いて構成され、制御部50、記録部51、通信部52等の構成を備えている。記録部51の記録領域には、記録装置用プログラム51a等の様々なコンピュータプログラムが記録されている。また、記録部51の記録領域の一部は、各種情報を記録する対象者データベース51b、生体情報データベース51c、閲覧用データベース51d等の各種データベースとして用いられている。そして、コンピュータは、記録部51に記録された記録装置用プログラム51aを制御部50の制御にて実行することにより、通信部52により外部通信網NWを介して他の装置と通信する本願記載の記録装置5として機能する。
【0044】
記録装置5が備える対象者データベース51b及び生体情報データベース51cに記録されている項目の内容は、送信装置1が備える対象者データベース12b及び生体情報データベース12cに記録されている項目の内容と実質的に同様である。但し、記録装置5が備える対象者データベース51b及び生体情報データベース51cの記録内容は、送信装置1が備える対象者データベース12b及び生体情報データベース12cと比べ、多数の対象者それぞれについて、数多くの情報が記録されている。記録装置5に記録される各種データベースには、必要に応じて、老人ホーム等の施設毎の識別情報、立地場所等の外部からの管理に必要な追加情報が付与される。
【0045】
閲覧用データベース51dには、端末装置6又は端末装置6を操作する操作者を識別する端末装置識別情報(端末装置ID)に対応付けて、閲覧のためのパスワード、閲覧の対象となる対象者の対象者識別情報、対象者に関する各種情報、各種情報を閲覧形式に配置した帳票を示す閲覧情報等の各種情報が記録されている。
【0046】
端末装置6は、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、高機能型携帯電話等のコンピュータを用いて構成され、制御部60、記録部61、操作部62、映像取得部63、音声取得部64、映像出力部65、音声出力部66、通信部67等の各種構成を備えている。記録部61の記録領域には、端末装置用プログラム61a等の様々なコンピュータプログラムが記録されている。そして、コンピュータは、記録部61に記録された端末装置用プログラム61aを制御部60の制御にて実行することにより、通信部67にて外部通信網NWを介して他の装置と通信する本願記載の端末装置6として機能する。
【0047】
操作部62は、マウス、キーボード、液晶タッチパネル等の操作者の入力を受け付ける各種ハードウェア及びソフトウェアにて構成される。映像取得部63は、カメラ等の映像を取得する各種ハードウェア及びソフトウェアにて構成される。音声取得部64は、マイク等の音声を取得する各種ハードウェア及びソフトウェアにて構成される。映像出力部65は、液晶モニタ、液晶タッチパネル等の映像を表示する各種ハードウェア及びソフトウェアにて構成される。音声出力部66は、スピーカ等の音声を出力する各種ハードウェア及びソフトウェアにて構成される。
【0048】
以上のようにして本願記載の生体情報監視システムが構成される。
【0049】
<各種装置の処理>
次に、本願記載の生体情報監視システムにおける各種装置の処理について説明する。図4は、本願記載の生体情報監視システムが備える送信装置1の異常対応処理、並びに送信装置1の異常対応処理に関連する記録装置5及び管理装置3の処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
送信装置1は、送信装置用プログラム12aを実行する制御部11の制御により、検出部10から対象者識別情報、生体情報、環境情報等の各種情報を所定の周期で取得する(S101)。情報を取得した制御部11は、取得した各種情報を記録部12に記録すると共に、これらの識別情報、生体情報、環境情報等の各種情報を通信部13から通信装置4を介して外部通信網NW上の記録装置5へ送信する(S102)。ステップS102において、記録部12への各種情報の送信は、制御用データベース12dに記録されている記録装置5のIPアドレス等の各種情報に基づいて送信される。また、送信装置1は、検出部10から各種情報を取得する都度、記録装置5へ送信するのではなく、一定期間記録し続けた各種情報を纏めて、又は集計した上で送信するようにしてもよい。
【0051】
送信装置1の制御部11は、対象者データベース12bから各情報に関する閾値等の判定条件を読み取り(S103)、検出部10から取得した生体情報等の情報が、所定の判定条件を満足するか否かを判定する(S104)。ステップS104では、前述のように、予め設定されている所定の条件に基づいて、対象者に通報が必要な程度の異常が発生しているか否かを判定する。即ち、異常が発生している虞がある場合、所定の判定条件を満足すると判定する。
【0052】
ステップS104において、対象者に異常が発生し所定の判定条件を満足すると判定した場合(S104:YES)、制御部11は、判定結果に応じた命令及び通報先情報を制御用データベース12dから読み取る(S105)。ステップS105では、判定結果に基づいて送信装置1が実行する命令の他、他の装置に実行させる命令が通報先情報と共に読み取られる。送信装置1が実行する命令とは、他の装置への命令及び各種情報の送信等の命令であり、命令に基づいて以降の処理が実施される。他の装置に実行させる命令とは、例えば、管理装置3に対し、被制御装置2の起動及び遠隔制御の許可等の処理を実行させる命令である。通報先情報とは、管理装置3を特定する通報先情報、端末装置6を特定する通報先情報等の情報である。
【0053】
なお、ステップS104において、所定の判定条件を満足しないと判定した場合(S104:NO)、制御部11は、ステップS101へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS105において命令及び通報先情報を読み取った制御部11は、読み取った命令及び情報に基づいて、被制御装置2の起動及び遠隔制御を許可させる命令を、通報先情報に基づいて管理装置3へ通信部13から通信装置4を介して送信する(S106)。
【0055】
更に、制御部11は、読み取った命令及び情報に基づいて、対象者識別情報及び異常通報情報を端末装置6へ通信部13から通信装置4を介して送信する(S107)。
【0056】
そして、ステップS101へ戻り、以降の処理を繰り返す。但し、ステップS101以降の処理の繰り返しに際し、ステップS104の判定処理においては、同様の判定条件に基づく判定を一定時間抑止するようにして、同じ内容の通報を短時間で繰り返すことを防止することが望ましい。
【0057】
記録装置5は、記録装置用プログラム51aを実行する制御部50の制御により、ステップS102にて送信装置1から送信される対象者識別情報、及び生体情報、環境情報等の各種情報を通信部52にて受信し(S201)、受信した対象者識別情報に対応付けて、生体情報、環境情報等の各種情報を生体情報データベース51cに記録する(S202)。ステップS201~S202の処理は、送信装置1から情報を受信する都度、実行される。
【0058】
管理装置3は、制御部30の制御により、ステップS106にて送信装置1から送信される被制御装置2の起動及び制御許可命令を通信部32にて受信し(S301)、受信した命令に基づいて被制御装置2を起動し、命令待ち状態に制御する(S302)。ステップS302では、被制御装置2を起動するが、必ずしも接続されている全ての被制御装置2を起動するのではなく、発生している異常に応じた被制御装置2のみを起動するようにしてもよい。なお、起動する被制御装置2の選定は、送信装置1にて管理してもよく、管理装置3側で管理してもよい。また、命令待ち状態とは、端末装置6等の外部の装置のログインの受付を許可し、ログインした装置からの動作命令を受付可能とするスタンバイ状態を示す。
【0059】
以上のようにして、送信装置1の異常対応処理、並びに送信装置1の異常対応処理に関連する記録装置5及び管理装置3の処理が実行される。
【0060】
図5は、本願記載の生体情報監視システムが備える端末装置6の遠隔制御処理の一例を示すフローチャートである。端末装置6は、記録部61に記録された端末装置用プログラム61aを実行する制御部60の制御により、図4を用いて説明した異常対応処理におけるステップS107にて送信装置1から送信される対象者識別情報及び異常通報情報を通信部67にて受信し(S401)、異常通報情報を映像出力部65及び/又は音声出力部66から出力する(S402)。ステップS401では、電子メール、メッセージソフト、SNS(Social Networking Service )用ソフト等の通信用ソフトウェアを用いて端末装置6の操作者に対して迅速に通知可能な通信方法が用いられる。また、ステップS402では、文字等の映像の表示、音声、ブザー等の音の出力等の出力方法により対象者に異常が発生していることを通知する異常通報情報が出力される。端末装置6の操作者は、映像及び/又は音声による異常通報情報の出力により、対象者に異常が発生していることを認識することができ、そして、操作者は、端末装置6を操作して、受信した対象者識別情報を確認することができ、対象者識別情報に基づいて記録装置5へアクセスすることができる。
【0061】
操作部62から操作者の操作を受け付けた端末装置6の制御部60は、記録装置5にアクセスし、対象者識別情報に基づいて、記録装置5に記録されている生体情報、環境情報、更には対象者の個人に関する病歴等の情報を取得して、映像出力部65から出力する閲覧処理を実行する(S403)。ステップS403では、例えば、操作者は、端末装置6を操作して、記録装置5にログインし、対象者識別情報を入力することにより、当該対象者識別情報に対応付けられた生体情報及び環境情報を閲覧することができる。なお、記録装置5へのログインに際し、予めログインのためのID及びパスワード等の認証情報が必要となるが、これらの認証情報は、予め操作者に通知していてもよく、また対象者識別情報と共に送信装置1から通知してもよい。即ち適宜運用することが可能である。また、ステップS403において、生体情報等の情報は、経時変化を示すグラフ、経時的に示したリスト、統計値、その他所定の帳票形式で閲覧することができる。記録装置5は、閲覧に関するこれらの様々な情報を、閲覧用データベース51dに記録している。
【0062】
そして、対象者に関する生体情報等の様々な情報を閲覧した操作者は、端末装置6を操作し、被制御装置2を制御することができる。操作部62から操作者の操作を受け付けた端末装置6の制御部60は、管理装置3を介して被制御装置2にアクセスし、被制御装置2を遠隔制御する(S404)。ステップS404において、端末装置6から被制御装置2へのアクセスの前提として、管理装置3による認証処理が実行される。管理装置3は、端末装置6からのアクセスに対し、対象者識別情報、端末装置識別情報、パスワード等の認証情報の入力を要求する。端末装置6から送信される認証情報に基づいて管理装置3が認証処理を行い、認証が成功した場合、端末装置6から被制御装置2にアクセスし、遠隔制御が可能となる。ステップS404の被制御装置2の遠隔制御は、例えば、カメラ、マイク、モニタ、スピーカ、これら全てを備えるテレビ電話装置等の通信系の被制御装置2の遠隔制御が挙げられる。通信系の被制御装置2を遠隔制御することにより、対象者と映像及び音声通信を行うことができ、操作者が医師の場合には、外部通信網NWを介した問診が可能となる。また、通信系の被制御装置2の遠隔制御に際し、通信支援系の被制御装置2を制御して、対象者の顔を照射する照明を調整して顔色の確認等の作業を行うことが可能となる。更に、対象者の生体情報及び環境情報に基づいて、空調機器等の屋内環境制御系の被制御装置2を遠隔制御することができる。特に、対象者に対して緊急的な措置が必要な場合には、スマートキー等の屋内・室内進入許可系の被制御装置2を遠隔制御して、屋内及び室内の鍵を解錠して進入可能な状態とし、対象者のもとへ駆けつけることが可能となる。この場合、駆けつけるのは、端末装置6を操作する医師等の操作者ではなく、操作者から連絡を受けた近隣の救急隊員、警察官、民間警備員、更には近所の住人であってもよい。即ち、高齢者等の対象者が、かかりつけ医師等の操作者から離れた地域に在住していたとしても、地域の綱がりに基づく対応を行うことが可能となる。なお、遠隔制御を許可後の被制御装置2に対する端末装置6での遠隔制御においては、既存の様々な遠隔制御の方法、規格及び技術を適用することが可能である。
【0063】
以上のようにして、記録装置5の遠隔制御処理が実行される。なお、上述した遠隔制御処理では、ステップS403の閲覧処理の後、ステップS404の遠隔制御を実施する形態を例示したが、遠隔制御中であっても、閲覧処理を実施することができる等、その順序は、例示したフローチャートに限定されるものではない。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態において、送信装置1が実行した判定条件に基づく判定、被制御装置2の制御許可等の処理を記録装置5が実行する形態である。以降の説明において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付し、第1実施形態を参照するものとし、適宜説明を省略する。
【0065】
<生体情報監視システムの全体構成>
第2実施形態における生体情報監視システムの構成例は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態を参照するものとし、説明を省略する。
【0066】
<各種装置のハードウェア構成>
次に、本願記載の生体情報監視システムにて用いられる各種装置のハードウェア構成について説明する。送信装置1、被制御装置2、管理装置3及び通信装置4の構成は、第1実施形態と同様である。但し、送信装置1は、検出部10から取得した生体情報等の情報を記録装置5へ送信する機能を有していればよいので、対象者データベース12b、生体情報データベース12c、制御用データベース12d等のデータベースは、削除、簡略化、又は容量縮小をすることが可能である。また、送信装置用プログラム12aは、取得した生体情報を記録装置5へ送信する程度の処理を実行可能であれば、判定条件に基づく判定、被制御装置2の制御許可等の処理を実行するモジュールは不要となる。
【0067】
図6は、本願記載の生体情報監視システムが備える各種装置のうち主として記録装置5及び端末装置6の構成を概略的に示す概略ブロック図である。
【0068】
記録装置5は、制御部50、記録部51、通信部52等の構成を備えている。記録部51の記録領域には、記録装置用プログラム51a等の様々なコンピュータプログラムが記録されている。なお、記録装置用プログラム51aとしては、判定条件に基づく判定、被制御装置2の制御許可等の各種処理を実行するため、第1実施形態より多くの処理を実行するモジュールが含まれる。また、記録部51の記録領域の一部は、各種情報を記録する対象者データベース51b、生体情報データベース51c、閲覧用データベース51d、制御用データベース51e等の各種データベースとして用いられている。第2実施形態に例示する記録装置5は、判定条件に基づく判定、被制御装置2の制御許可等の各種処理を実行するため、制御用データベース51eを備えている。
【0069】
制御用データベース51eには、記録装置用プログラム51a等の各種プログラムの実行に伴い用いられる命令、特定情報等の各種情報が記録される。具体的には、制御用データベース51eには、記録装置5にて実行される命令、他の装置を制御すべく他の装置へ送信される命令等の命令が記録されている。また、制御用データベース51eには、各種情報及び命令の送信先となる端末装置6、管理装置3、被制御装置2等の装置の内部通信網又は外部通信網NW上の位置及び装置を特定するIPアドレス、MACアドレス等の通報先情報が記録されている。なお、記録装置5の制御用データベース51eには、対象者識別情報に対応付けて各種命令及び情報が記録されており、複数の対象者のそれぞれに対する条件が設定できるように構成されている。
【0070】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0071】
端末装置6の構成は、第1実施形態と同様である。
【0072】
<各種装置の処理>
次に、本願記載の生体情報監視システムにおける各種装置の処理について説明する。図7は、本願記載の生体情報監視システムが備える記録装置5の異常対応処理、及び記録装置5の異常対応処理に関連する管理装置3の処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
記録装置5は、記録装置用プログラム51aを実行する制御部50の制御により、検出部10を備える送信装置1から送信される対象者識別情報、生体情報、環境情報等の各種情報を、通信部52が受信することにより取得する(S501)。情報を取得した制御部50は、取得した対象者識別情報に対応付けて、生体情報、環境情報等の各種情報を生体情報データベース51cに記録する(S502)。
【0074】
記録装置5の制御部50は、対象者データベース51bから各情報に関する閾値等の判定条件を読み取り(S503)、通信部52にて取得した生体情報等の情報が、所定の判定条件を満足するか否かを判定する(S504)。
【0075】
ステップS504において、所定の判定条件を満足すると判定した場合(S504:YES)、制御部50は、判定結果に応じた命令及び通報先情報を制御用データベース51eから読み取る(S505)。
【0076】
なお、ステップS504において、所定の判定条件を満足しないと判定した場合(S504:NO)、制御部50は、ステップS501へ戻り、送信装置1から送信される各種情報の取得待ちの状態となり、以降の処理を繰り返す。
【0077】
ステップS505において命令及び通報先情報を読み取った制御部50は、読み取った命令及び情報に基づいて、被制御装置2の起動及び遠隔制御を許可させる命令を、通報先情報に基づいて管理装置3へ通信部52から外部通信網NWを介して送信する(S506)。
【0078】
更に、制御部50は、読み取った命令及び情報に基づいて、対象者識別情報及び異常通報情報を端末装置6へ通信部52から外部通信網NWを介して送信する(S507)。
【0079】
そして、ステップS501へ戻り、送信装置1から送信される各種情報の取得待ちの状態となり、以降の処理を繰り返す。
【0080】
管理装置3は、制御部30の制御により、ステップS506にて送信装置1から送信される被制御装置2の起動及び制御許可命令を通信部22にて受信し(S601)、受信した命令に基づいて被制御装置2を起動し、命令待ち状態に制御する(S602)。
【0081】
以上のようにして、記録装置5の異常対応処理、及び送信装置1の異常対応処理に関連する管理装置3の処理が実行される。
【0082】
端末装置6による遠隔制御処理は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態を参照するものとし、説明を省略する。
【0083】
以上、第1実施形態及び第2実施形態を例示して説明したように本願記載の生体情報監視システムは、検出部10が検出した対象者の生体情報が予め設定されている判定条件を充足する場合に、端末装置6を操作する医師等の操作者に対し、対象者が居住する施設等の屋内に配設された被制御装置2の遠隔制御を許可する。これにより、本願記載の生体情報監視システムは、対象者に異常が発生した場合、特に対象者が居住又は滞在する屋内に、操作者が常駐していないときであっても、対象者の異常に対し、迅速に対応することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【0084】
しかも、本願記載の生体情報監視システムは、対象者が居住又は滞在する屋内に配置されたカメラ、スマートキー、その他の被制御装置2の遠隔制御が可能となるのは、対象者に異常が発生している可能性がある場合に限られるため、対象者のプライバシーを保護することが可能である等、優れた効果を奏する。なお、プライバシー保護の観点から、医師、看護師、介護士、対象者の親族等の操作者毎に異なるセキュリティを設定するようにしてもよい。例えば、親族が操作する端末装置6からアクセスする場合、認証処理の簡略化、被制御装置2の制御を許可する条件の緩和等の設定を行うようにしてもよい。また、例えば、医師が操作する端末装置6からアクセスする場合、認証処理におけるパスワードとして、都度、送信装置1、記録装置5等の装置からワンタイムパスワードを発行するという設定を行うようにしてもよい。
【0085】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0086】
例えば、前記第1実施形態では、送信装置1が判定条件に基づく判定及び被制御装置2を許可する処理を実行する形態を示し、第2実施形態では、記録装置5が判定及び許可処理を実行する形態を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、通信装置4、管理装置3等の装置が、これらの機能を備えていてもよい。
【0087】
また、例えば、前記実施形態では、端末装置6は遠隔地の医師等の操作者が操作する形態を示したが、本発明はこれに限らず、対象者と同じ屋内に端末装置6が配置されていてもよい等、様々な形態に展開することが可能である。
【0088】
更に、例えば、前記実施形態では、端末装置6が、管理装置3を介して被制御装置2を制御する形態を示したが、本発明はこれに限らず、端末装置6にて被制御装置2を制御する形態であれば、様々なシステム構成に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 送信装置
10 検出部
11 制御部
12 記録部
12a 送信装置用プログラム
2 被制御装置
20 制御部
21 被制御部(映像取得手段、音声取得手段、映像出力手段、音声出力手段、映像取得支援手段、音声取得支援手段、環境制御手段、進入許可手段)
3 管理装置
4 通信装置
5 記録装置
50 制御部
51 記録部
51a 記録装置用プログラム
6 端末装置
60 制御部
61 記録部
61a 端末装置用プログラム
63 映像取得部
64 音声取得部
65 映像出力部
66 音声出力部
67 通信部
NW 外部通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7