(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】育苗容器用播種装置
(51)【国際特許分類】
A01C 7/08 20060101AFI20220603BHJP
【FI】
A01C7/08 320D
(21)【出願番号】P 2018081356
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000132219
【氏名又は名称】株式会社スズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】黒子 仁
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-291306(JP,A)
【文献】特開2013-141427(JP,A)
【文献】特開2000-262112(JP,A)
【文献】特開平09-074824(JP,A)
【文献】特開平06-014614(JP,A)
【文献】実開昭59-110523(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
請求項1~請求項5記載の播種装置において、前記回転伝動部30は、上手側移送台フレーム5に設けた上手側伝達歯車31と、下手側移送台フレーム5に設けた下手側歯車32と、前記上手側伝達歯車31と前記下手側歯車32に掛け回したチェン33とを有し、回転伝動部30の上手側伝達歯車31と下手側歯車32との歯数を相違させて前記減速手段35を構成し、前記下手側歯車32にワンウェイクラッチ36を内蔵させて構成した播種装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗容器用播種装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗容器を移送する移送ロールを複数並設した移送台の上方に、下方を移送中の育苗容器に床土を供給する床土供給装置と種子供給装置と灌水装置と覆土供給装置を設けた構成は、公知である(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、移送台に育苗容器を供給し、供給した育苗容器が移送中に土や種子を供給する構成のため、移送中の育苗容器間に隙間があると、育苗容器内に土や種子が入らずに溢れて無駄になるという課題がある。
また、溢れた土や種子が播種装置の各部に付着し、作動が安定しないという課題がある。
本願は、育苗容器内に土や種子が入らずに溢れるのを防止するために減速手段の構成を採用すると共に、減速手段の採用に伴う下手側の移送手段に掛かる負荷を軽減できるようにしたものであり、特に、プラント播種装置と当業者に称されている時間当たりの播種可能な育苗容器の数の多い播種装置において、顕著な効果を奏するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、育苗容器を移送する移送手段2を有する移送台1の上方位置に、育苗容器に床土を供給する床土供給装置15と、育苗容器に種子を供給する種子供給装置17と、育苗容器に水を供給する灌水装置と、育苗容器に覆土を供給する覆土供給装置25とを設けて構成した播種装置において、前記移送台1は、支脚3により床上に載置され前記移送手段2を有する移送台フレーム5が育苗容器の移送方向に分割形成し、移送台1の各上手側移送台フレーム5と各下手側移送台フレーム5との間には上手側移送台フレーム5から下手側移送台フレーム5へ回転を伝達する回転伝動部30をそれぞれ設け、各回転伝動部30のうち所定の回転伝動部30には上手側移送台フレーム5から下手側移送台フレーム5へ伝達する回転を減速する減速手段35を設けた播種装置としたものである。
請求項2の発明は、各回転伝動部30のうち減速手段35を設けた回転伝動部30にはワンウェイクラッチ36を設けた播種装置としたものである。
請求項3の発明は、上手側移送台フレーム5の移送中の後続育苗容器が下手側の移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、前記ワンウェイクラッチ36が空転する構成とした播種装置としたものである。
請求項4の発明は、各移送台フレーム5のうち、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5と、該種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5との間に設けた回転伝動部30には、減速手段35およびワンウェイクラッチ36を設けた播種装置としたものである。
請求項5の発明は、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5には、前記床土供給装置15、または、前記床土供給装置15および灌水装置、あるいは、移送手段2のみの何れかを設けた播種装置としたものである。
請求項6の発明は、前記回転伝動部30は、上手側移送台フレーム5に設けた上手側伝達歯車31と、下手側移送台フレーム5に設けた下手側歯車32と、前記上手側伝達歯車31と前記下手側歯車32に掛け回したチェン33とを有し、回転伝動部30の上手側伝達歯車31と下手側歯車32との歯数を相違させて前記減速手段35を構成し、前記下手側歯車32にワンウェイクラッチ36を内蔵させて構成した播種装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、 育苗容器を移送する移送台1を、移送手段2を有する移送台フレーム5にそれぞれ分割形成し、上手側移送台フレーム5と下手側移送台フレーム5との間に設けた回転伝動部30に、移送方向上手側から移送方向下手側へ減速して回転伝達する減速手段35を設けているので、育苗容器を連続してしかも隙間のない移送が可能になり、無駄のない土や種子の供給が可能となる。
請求項2の発明では、各回転伝動部30のうち減速手段35を設けた回転伝動部30には、ワンウェイクラッチ36を設けているので、減速手段35により移送中の育苗容器の移動速度の速度差による抵抗をワンウェイクラッチ36により吸収でき、これにより、移送手段2に掛かる負荷を軽減することができ、育苗容器の隙間のない移送と移送抵抗の発生防止とを両立させることができる。
請求項3の発明では、後続育苗容器が先行育苗容器を押すと、ワンウェイクラッチ36が空転する構成としているので、移送手段2に掛かる負荷をワンウェイクラッチ36が吸収し、育苗容器の隙間のない移送と移送抵抗の発生防止とを両立させることができる。
請求項4の発明では、各移送台フレーム5のうち、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5と、該種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5との間に設けた回転伝動部30には減速手段35およびワンウェイクラッチ36を設けているので、少なくとも、種子供給装置17の下方にて先行育苗容器と後行育苗容器とは隙間なく連続移送され、種子が育苗容器から溢れ出るのを防止でき播種コストを低減できる。
請求項5の発明では、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5には、前記床土供給装置15または前記床土供給装置15および灌水装置、あるいは、移送手段2のみを設けているので、少なくとも、種子供給装置17における隙間のない育苗容器の移送を実現でき、播種装置の製造コストダウンを図ることができる。
請求項6の発明では、回転伝動部30に、減速手段35とワンウェイクラッチ36とを簡単に設けることができ、既存の播種装置であっても、回転伝動部30を交換するだけで、育苗容器の隙間のない移送と移送抵抗の発生防止とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は育苗容器に床土等を供給する供給装置等を設けた播種装置の育苗容器を移送する移送台であり、移送台1には育苗容器を移送する任意の移送手段(搬送コンベア)2を設ける。この移送手段2は育苗容器を移送できればよく、移送ベルトあるいは移送ロールにより構成する。
本実施形態では、移送台1を、支脚3を有する移送台フレーム5の左右一対のフレーム部材6の間に前記移送ロール7のロール回転軸8を軸装し、この移送ロール7を移送方向に複数並設して構成している(
図1~
図3)。
【0009】
各ロール回転軸8の左右の何れか一側には移送伝達歯車10を固定状態に取付け、各移送伝達歯車10には無端状のチェン11を掛け回し、コンベア駆動モータ12によりチェン11を回転させて移送ロール7を駆動回転させている。
12A、12Bは歯車、12Cはチェンである。
13は各移送ロール7に回転伝達するチェン11を支持するフレーム部材6に設けたチェン支持レールであり、フレーム部材6に対して上下自在に取付ける(
図3、なお、
図3はフレーム部材6の内側から見た側面図である)。
なお、前記移送手段2を移送ベルトにより構成する場合は、
図2のロール回転軸8の移送ロール7の部分にプーリーを設け、各プーリーに移送ベルトを掛け回して構成すればよい。
【0010】
移送台1の始端側の上方所定位置には床土供給装置(土供給装置)15を設ける。床土供給装置15は下方を移動する育苗容器に上方から床土を落下させて供給する。
床土供給装置15の移送方向下手側の前記移送台1には、床土均平回転ブラシ16を設ける。床土均平回転ブラシ16は床土供給装置15にて予め余分に前記育苗容器へ供給した床土を上側の所定量分掻取りながら均平すると共に、育苗容器の前後および左右の壁上面の土を除去する。
床土供給装置15の移送方向下手側の移送台1には、育苗容器に種子を供給する種子供給装置17を設ける。種子供給装置17は上部に種子供給ホッパー18を有し、種子供給ホッパー18の下方に種子を繰出す軸心が左右方向の大径の横軸繰出ロール19を設けて構成している。
【0011】
図1の播種装置では、種子供給装置17の移送方向上手側に上手側灌水装置20を設け、種子供給装置17の移送方向下手側に下手側灌水装置21を設けている。
上手側灌水装置20および下手側灌水装置21の構成は任意であるが、一例を示すと、前後一対の左右方向の灌水横筒部22に左右方向に所定間隔を置いてノズル孔を複数形成して構成し、上手側灌水装置20には、図示は省略するが、水量計(圧力計)と水量調節バルブと開閉バルブとリリーフ弁等を設け、灌水横筒部22には水源(図示省略)に接続したホース(図示省略)を接続する。
【0012】
上手側灌水装置20と下手側灌水装置21は、前記移送台1に着脱自在に取付ける構成とし、育苗容器に供給した床土に灌水する場合、床土の性状や種子の品種等により、種子供給の前に灌水する方法を「前灌水」と当業者は呼び、種子供給の後に床土および種子に灌水する方法を「後灌水」と当業者は呼んでおり、この「前灌水」と「後灌水」とに対応するように、上手側灌水装置20と下手側灌水装置21は取付位置の変更あるいは灌水開始および停止状態の切替可能に構成している。
なお、「前灌水」と「後灌水」の上手側灌水装置20と下手側灌水装置21を設置するためのスペースの関係で、上手側灌水装置20と下手側灌水装置21の設置位置に対応させて前記種子供給装置17を前後に取付位置変更自在に構成してもよい。
【0013】
種子供給装置17の下手側には、覆土供給装置25を設ける。覆土供給装置25の構成は任意であり、上方より下方を通過する育苗容器に覆土を供給できればよい。
26は育苗容器の縁に乗った種子や土を除去する回転ブラシ、27は操作パネル、28は土受け回収シート、29は水受け回収シート、29Aは種子回収篭である。
【0014】
しかして、市場における播種装置は、時間当たり200個(箱)から2000個(箱)までの育苗容器を播種しうるように播種能力に差があり、この播種能力の差によって移送台1の長さが相違し、播種能力が高く、時間当たりの播種可能な育苗容器数が多い播種装置では育苗容器の搬送速度は速くなり、速い移送速度で移送中の育苗容器に種子等を供給するには、各供給装置との間隔を広くする必要が生じ、播種能力の高い播種装置の移送台1は播種能力の低い播種装置の移送台1に比して全長が長くなる傾向となる。
【0015】
すなわち、育苗容器の移送速度が速いと、育苗容器の床土に灌水しても直ぐに染み込まず、土正面の水中に種子が浮遊して均等な播種ができという不具合が生じるので、必然的に移送台1の全長が長くなることになる。
一方、この全長の長い移送台1の運搬・設置は容易でないので、本発明では播種能力の高い播種装置を含めた播種装置の移送台1を、支脚3と移送手段2とを有する移送台フレーム5に予め分割形成した移送台フレーム5を複数連結する構成とし、各移送台フレーム5の始端部と終端部との間には移送方向上手側移送台フレーム5の移送手段2の回転を、移送方向下手側の移送台フレーム5の移送手段2に伝達する回転伝動部30を設けている。
【0016】
回転伝動部30は、移送方向上手側移送台フレーム5に設けた上手側伝達歯車31と、移送方向下手側移送台フレーム5に設けた下手側歯車32と、上手側伝達歯車31と下手側歯車32の間に掛け回すチェン33とにより構成する。
すなわち、移送方向上手側移送台フレーム5の終端部の移送ロール7のロール回転軸8の、前記移送伝達歯車10を設けていない端部に上手側伝達歯車31を固定状態に取付け、移送方向下手側の移送台フレーム5の始端部の移送ロール7のロール回転軸8の、前記移送伝達歯車10を設けていない端部に下手側歯車32を固定状態に取付け、この上手側伝達歯車31と下手側歯車32の間にチェン33を掛け回して前記回転伝動部30を構成している。
【0017】
この場合、複数設けた回転伝動部30のうち、所定部分の回転伝動部30あるいは全ての回転伝動部30には、移送方向下手側の移送手段2の回転を、移送方向上手側の移送手段2の回転よりも減速する減速手段35を設ける。
そのため、育苗容器を連続してしかも隙間のない移送が可能になり、無駄のない種子等の供給が可能となる。
前記減速手段35の構成は任意であるが、回転伝動部30の下手側歯車32と上手側伝達歯車31の歯数を相違させることで構成し、本実施形態では、上手側伝達歯車31の歯数を16丁とし、下手側歯車32の歯数を17丁と歯数を多くしている。
【0018】
しかして、回転伝動部30に減速手段35を設けると、各育苗容器は隙間なく移送されるが、移送方向の上手側移送台フレーム5から移送された後行育苗容器が下手側移送台フレーム5に乗り移るとき、後行育苗容器が先行育苗容器を押すと、下手側移送台フレーム5の移送手段2に負荷を与えることになり、下手側移送台フレーム5の移送手段2のみ耐久性が低下するということになる。
そこで、複数設けた回転伝動部30のうち、所定部分の回転伝動部30あるいは全ての回転伝動部30には、移送方向上手側と移送方向下手側の伝動経路中に、ワンウェイクラッチ36を設け、減速手段35による移送手段2への負荷という不具合を解消し、育苗容器の隙間のない連続移送と、移送手段2への負荷の軽減とを両立させている。
【0019】
ワンウェイクラッチ36は前記回転伝動部30の下手側歯車32に内蔵して設け、ワンウェイクラッチ36内蔵下手側歯車32は上手側移送台フレーム5から乗り移る後行育苗容器が下手側移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、ワンウェイクラッチ36が空転する構成とする。
ワンウェイクラッチ36の具体的構成は任意であり、一例を示すと、ロール回転軸8に回転体40を設け、回転体40の外周面には放射方向に突出する突起41を設け、下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間に楔状の溝42を形成し、溝42内にボール43とバネ44を設け、バネ44は溝42の幅狭部側にボール43が常時移動するように付勢する構成とする。
【0020】
そのため、
図6において、下手側歯車32が時計回転方向に回転すると、ボール43はバネ44に付勢されて下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間の溝42の幅狭部に食い込みワンウェイクラッチ36は入り状態になって、ロール回転軸8に下手側歯車32の回転を伝達し、下手側移送台フレーム5の移送手段2の移送ロール7を駆動して育苗容器を移送する。
【0021】
次に、チェン33により伝達される下手側歯車32の回転(上手側回転)に対して下手側移送台フレーム5のロール回転軸8の回転が相対的に遅くなって、下手側歯車32と回転体42の間に負荷(抵抗)が発生すると、回転体40の突起41は下手側歯車32に対して反時計回りに回転し、ボール43は溝42の幅広部に移動し、ボール43による下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間の食い込みを解除し、これにより、ワンウェイクラッチ36は遮断状態(クラッチ切り状態)になって、回転体40とロール回転軸8は下手側歯車32に対して空転する。
【0022】
すなわち、上手側移送台フレーム5から乗り移る後行育苗容器が下手側の移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、ワンウェイクラッチ36の回転伝達が遮断されて(空転状態)、下手側移送台フレーム5の移送手段2の移送ロール7は、上手側移送台フレーム5の移送ロール7に対して相対的に空転状態となり、先行育苗容器は後続育苗容器に押されて移送され、連続移送されている最後尾の育苗容器が下手側移送台フレーム5の移送手段2に乗り移ると、後続の育苗容器による押し出し力から解放されて、ワンウェイクラッチ36は接続状態(クラッチ入り状態)となって下手側移送台フレーム5の移送手段2により移送される。
【0023】
移送台1の複数の移送台フレーム5を連結する部分には回転伝動部30がそれぞれ設けられるが、各移送台フレーム5のうち、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5と、該種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5との間の回転伝動部30に減速手段35とワンウェイクラッチ36を設けると、育苗容器の隙間のない連続移送と、移送手段2への負荷の軽減とを両立させつつ、高価な種子のロス発生を抑制でき、播種コストを低減できて、好適である。
また、前記種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5はどのようなものでもよく、上手側の移送台フレーム5には単独の床土供給装置15のみを設ける場合と、床土供給装置15および灌水装置20の両方を設ける場合と、移送手段2のみを設ける場合の何れでもよい。
【0024】
回転伝動部30には、上手側伝達歯車31と下手側歯車32とに掛け回したチェン33を緊張させるテンション歯車47を設ける。テンション歯車47はテンションアーム48の一端に設け、テンションアーム48の中間部を連結枠49に軸50により回動自在に取り付ける。テンションアーム48の他端にはバネ51の一端を係止し、バネ51の他端を連結枠49に設けたテンション調節穴52に係止する。テンション調節穴52は軸50の中心より距離を変えて複数設け、バネ51の他端を選択係止する。
【0025】
そのため、バネ51のテンション調節穴52への取付位置を変えることで、テンションアーム48の下方向への付勢力を変化させ、テンションアーム48に取り付けたテンション歯車47によるチェン33の張り具合を調節させることができる。
連結枠49の上部は内側に屈曲させ、屈曲部53をフレーム部材6の上面にボルト54により着脱自在に取付ける。
【0026】
(実施形態の作用)
本発明は、上記構成であり、播種装置の移送台1の始端部に、育苗容器を供給すると、育苗容器は移送ロール7により床土供給装置15の下方に至り、床土供給装置15にて床土の供給を受け、床土供給装置15で床土の供給を受けた育苗容器は均平回転ブラシ16により、育苗容器に余分に供給した床土を所定量掻取りながら均平される。
【0027】
床土が均平された育苗容器は上手側灌水装置20の下方にて灌水されて、灌水された水が床土に染み込んだ状態となるまで、上手側灌水装置20から所定時間掛けて種子供給装置17の下方まで移送され、種子供給装置17にて種子の供給を受け、更に移送されて覆土供給装置25の下方に至り、覆土の供給を受ける。
【0028】
しかして、土や種子の供給装置を設けた移送台1は、播種装置の時間当たりの播種可能な育苗容器数の相違による播種能力の能力差により、移送台1の長さが相違し、播種能力の低い播種装置では時間当たり播種できる育苗容器の数が少なく、その分、育苗容器の搬送速度が遅くなるが、反対に、播種能力が高く、時間当たりの播種可能な育苗容器数が多い播種装置では育苗容器の搬送速度は速くなり、速い移送速度で移送中の育苗容器に種子等を供給するには、各供給装置との間隔を広くする必要が生じ、播種能力の高い移送台1は播種能力の低い移送台1に比して全長が長くなる傾向となり、播種装置は、その播種能力に応じて、単独の移送台フレーム5上に土や種子の供給装置の全て設置しているものと、本発明のように、高い播種能力を有する播種装置では複数の移送台フレーム5を連結して使用する場合とがある。
【0029】
本発明のように、播種能力の高い播種装置の移送台1は、予め分割形成して、独立して移送手段2を有する移送台フレーム5を、育苗容器の移送方向に複数連結して構成することになり、各移送台フレーム5の始端部と終端部との間には、上手側移送台フレーム5の移送手段2の回転を、移送方向下手側の移送台フレーム5の移送手段2に伝達する回転伝動部30を設けることになり、回転伝動部30は、上手側移送台フレーム5に設けた上手側伝達歯車31と、下手側移送台フレーム5に設けた下手側歯車32と、上手側伝達歯車31と下手側歯車32の間に掛け回すチェン33とにより構成する。
【0030】
したがって、上手側移送台フレーム5の移送手段2のロール回転軸8の回転を、回転伝動部30の上手側伝達歯車31がチェン33を介して移送方向下手側の移送台フレーム5の移送手段2の下手側歯車32に伝達され、下手側歯車32を設けたロール回転軸8により下手側移送台フレーム5の移送手段2を駆動して、育苗容器を移送して播種する。
すなわち、単独の移送台フレーム5の移送ロール7は、ロール回転軸8の各移送伝達歯車10をチェン11により連動させて駆動回転し、育苗容器を移送し、複数並設した移送台フレーム5の移送手段2は回転伝動部30により上手側から下手側に駆動回転を伝達して作動させている。
【0031】
この場合、複数設けた回転伝動部30のうち、所定部分の回転伝動部30あるいは全ての回転伝動部30には、移送方向下手側の移送手段2の回転を、移送方向上手側の移送手段2の回転よりも減速する減速手段35を設けた構成としているので、育苗容器を連続してしかも隙間のない移送が可能になり、無駄のない供給が可能となる。
しかし、上手側移送台フレーム5から移送された後行育苗容器が下手側移送台フレーム5に乗り移るとき、後行育苗容器が先行育苗容器を押すと、下手側移送台フレーム5の移送手段2に負荷を与えることになり、下手側移送台フレーム5の移送手段2のみ耐久性が低下するということになるが、本発明では複数設けた回転伝動部30のうち、所定部分の回転伝動部30あるいは全ての回転伝動部30には、移送方向上手側と移送方向下手側の伝動経路中にワンウェイクラッチ36を設けているので、減速手段35と相俟って育苗容器の隙間のない連続移送と、移送手段2への負荷の軽減とを両立させることができる。
【0032】
減速手段35およびワンウェイクラッチ36の構成は任意であるが、一例を示すと、前記回転伝動部30の下手側歯車32にワンウェイクラッチ36を内蔵し、下手側歯車32と上手側伝達歯車31の歯数を相違させることで前記減速手段35を構成し、上手側伝達歯車31に対して下手側歯車32の歯数を多くしているので、回転伝動部30に簡単にワンウェイクラッチ36を設けることができ、下手側歯車32を交換するだけで、他の回転伝動部30を共用できるので、この点でも、構成を簡素にしてコストダウンとすることができる。
【0033】
ワンウェイクラッチ36付き下手側歯車32は、上手側移送台フレーム5から乗り移る後行育苗容器が下手側の移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、ワンウェイクラッチ36が空転する構成としているので、上手側移送台フレーム5から乗り移る後行育苗容器が下手側の移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、この押出力をワンウェイクラッチ36が空転することにより吸収し、下手側移送台フレーム5の移送手段2の負荷を軽減する。
【0034】
しかして、ワンウェイクラッチ36はロール回転軸8に回転体40を設け、回転体40の外周面には突起41を設け、下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間に楔状の溝42を形成し、溝42内にボール43とバネ44を設け、バネ44は溝42の幅狭部側に移動するように付勢しているので、下手側歯車32が
図6において時計回転方向に回転すると、ボール43はバネ44に付勢されて下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間に食い込みワンウェイクラッチ36は入り状態になって、ロール回転軸8に下手側歯車32の回転を伝達し、ロール回転軸8の回転が下手側歯車32に対して相対的に遅くなると、回転体40の突起41は相対的に下手側歯車32に対して反時計回りに回転し、ボール43は溝42の幅広部に移動し、ボール43による下手側歯車32の内周面と突起41の外面との間の食い込みを解除してワンウェイクラッチ36は遮断状態になって、ロール回転軸8は空転する。
【0035】
すなわち、上手側移送台フレーム5から乗り移る後行育苗容器が下手側の移送台フレーム5の移送中の先行育苗容器を押すと、ワンウェイクラッチ36が遮断されて空転状態となるので、下手側移送台フレーム5の移送手段2の移送ロール7は上手側移送台フレーム5の移送ロール7に対して相対的に空転状態となり、先行育苗容器は後続育苗容器に押されて移送され、連続移送されている最後尾の育苗容器が下手側移送台フレーム5の移送手段2に乗り移ると、後続の育苗容器による押出から解放されて、ワンウェイクラッチ36は接続状態となって下手側移送台フレーム5の移送手段2により移送される。
【0036】
しかして、複数の移送台フレーム5を連結して構成した移送台1には、複数の回転伝動部30が設けられるが、各移送台フレーム5のうち、種子供給装置17を設けた移送台フレーム5と、該種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5との間の回転伝動部30には減速手段35とワンウェイクラッチ36を設けているので、高価な種子のロス発生を抑制でき、播種コストを低減できて、好適である。
【0037】
また、種子供給装置17を設けた移送台フレーム5の移送方向上手側の移送台フレーム5には、前記床土供給装置15または前記床土供給装置15および上手側灌水装置20、あるいは、移送手段2のみを設けているので、種々の播種装置において、隙間のない育苗容器の連続移送と、移送手段2への負荷の軽減とを両立させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…移送台、2…移送手段、5…移送台フレーム、6…フレーム部材、7…移送ロール、8…ロール回転軸、10…移送伝達歯車、11…チェン、12…コンベア駆動モータ、15…床土供給装置、16…床土均平回転ブラシ、17…種子供給装置、18…種子供給ホッパー、19…横軸繰出ロール、20…上手側灌水装置、21…下手側灌水装置、22…灌水横筒部、25…覆土供給装置、30…回転伝動部、31…上手側伝達歯車、32…下手側歯車、33…チェン、35…減速手段、36…ワンウェイクラッチ、40…回転体、41…突起、42…溝、43…ボール、44…バネ、47…テンション歯車、49…連結枠、50…軸、51…バネ、52…テンション調節穴、53…屈曲部、54…ボルト。