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特許7083198ポリマーと銅の接合体のための銅表面処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】ポリマーと銅の接合体のための銅表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 11/34 20060101AFI20220603BHJP
   C23F 1/18 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C25D11/34 302
C23F1/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021102058
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519400575
【氏名又は名称】ドングァン ディーエスピー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ティア ロング
(72)【発明者】
【氏名】タン,ヨン ガング
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,グオ シン
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-031099(JP,A)
【文献】特開平04-354900(JP,A)
【文献】特公昭30-009054(JP,B1)
【文献】特公昭48-007980(JP,B1)
【文献】特開平04-225553(JP,A)
【文献】特開平06-264293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 11/34
C23F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーと銅の複合材の接着結合のための銅の表面処理方法として、
(a)銅の表面を電気エッチングするエッチング処理段階、
(b)銅表面を酸化アノダイジング処理する1次アノダイジング処理段階、及び
(c)前記1次アノダイジング処理された銅を再度酸化アノダイジング処理する2次アノダイジング処理段階を含み、
前記(b)段階は、電解質0.01~0.05%のNaNO、補助剤0.1~1%のNHF、及び添加剤0.01~0.1%のC(OH)を含む混合溶液に30~90℃で500msパルス整流器を使用し、0.01~5Aの電流密度において1~15分間行い、
前記(c)段階における、前記2次アノダイジング処理は、電解質0.1~2%のC、補助剤0.1~0.5%のNaSi、補助剤0.01~0.1%のC、及び補助剤0.001~0.01%のC2024Na10を含む混合溶液において、30~70℃の温度で500msパルス整流器を使用し、0.01~1Aの電流密度において1~10分間行うことを特徴とする銅表面処理方法。
【請求項2】
前記(c)段階での、前記混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の銅表面処理方法。
【請求項3】
前記(c)段階での、前記添加剤であるシランカップリング添加剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCHO、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行うことを特徴とする請求項に記載の銅表面処理方法。
【請求項4】
前記(c)段階後に、前記2次アノダイジング処理された銅を超音波処理することを特徴とする請求項1に記載の銅表面処理方法。
【請求項5】
前記超音波処理は、0.001~0.01%のHSO溶液に添加剤である0.001~0.01%のC(OH)を添加後、30~60℃で周波数が24kHz~100kHzで出力400Wで1~3分間行うことを特徴とする請求項に記載の銅表面処理方法。
【請求項6】
前記超音波処理された銅を酸化処理することを特徴とする請求項に記載の銅表面処理方法。
【請求項7】
前記酸化処理は、0.1~3%のH溶液に添加剤0.001~0.01%のNaを添加後、30~60℃で10秒~5分間行うことを特徴とする請求項に記載の銅表面処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーと銅の接合体の接着結合のための銅表面処理方法に係り、より詳しくは、銅表面を1次、2次アノダイジングを通じて銅表面とポリマーの接合体の接合を極大化するポリマーと銅の接合体のための銅表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーと銅の接合体は防水性が必要な電子部品及びスマートフォンや電気自動車のリチウムイオンバッテリーに多用されているが、ポリマーと銅の接合強度に対する信頼性が低いことが問題点として挙げられている。
【0003】
そこで、銅をアノダージングを通じて銅表面の活性度および摩擦力を高め、ポリマーとの強力な接着ができるような製造に使用されている。しかし、1次アノダイジング処理だけでポリマーとの十分な接着力と密閉性を得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-182043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の問題を解決するための銅表面処理方法で、優れた接合強度と密閉性を持つ銅とポリマーの金属接合体を製造するための銅表面処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、ポリマーと銅の複合材の接着結合のための銅の表面処理方法として、
(a) 銅表面を電気エッチングするエッチング処理段階
(b) 銅表面を酸化アノダイジング処理する1次アノダイジング処理段階
(c) 前記1次アノダイジング処理された銅を再度酸化アノダイジング処理する2次アノダイジング処理段階を含むことを特徴とする。
【0007】
前記(b)段階は、電解質0.01~0.05%のNaNO、補助剤0.1~1%のNHF、及び添加剤0.01~0.1%のC(OH) を含む混合溶液に30~90℃で500msパルス整流器を使用し、0.01~5Aの電流密度において1~15分間行うことを特徴とする。
【0008】
前記(c)段階における、前記2次アノダイジング処理は、電解質0.1~2%のC、補助剤0.1~0.5%のNaSi、補助剤0.01~0.1%のC及び補助剤0.001~0.01%のC2024Na10 を含む混合溶液において、30~70℃の温度で500msパルス整流器を使用し、0.01~1Aの電流密度において1~10分間行うことを特徴とする。
【0009】
前記(c)段階での、使用される電解質は、C、NaHCO、NaOH、NaCO、NaSO、KSO、NaSO、NaNO、KNO、NaNO、NaClO、CHCOONa、Na、NaHPO、(NaPO、 NaMoO、 NaSiO、及びNaHPOのいずれか1つを用いて行うことを特徴とする。
【0010】
前記(c)段階での、前記混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を添加することを特徴とする。
前記(c)段階での、前記添加剤であるシランカップリング添加剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCH O、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行うことを特徴とする
【0011】
前記(c) 段階後に、前記2次アノダイジング処理された銅に超音波処理を施すことを特徴とする。
【0012】
前記超音波処理は、0.001~0.01%のHSO溶液に添加剤である0.001~0.01%のC(OH)を添加後、30~60℃で周波数が24kHz~100kHzで出力400Wで1~3分間行うことを特徴とする。
【0013】
前記超音波処理された銅を酸化処理することを特徴とする。
【0014】
前記酸化処理は、0.1~3%のH溶液に添加剤0.001~0.01%のNaを添加後、30~60℃で10秒~5分間行うことを特徴とする。
【0015】
前記酸化処理後、70~80℃で5~10分間乾燥を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本発明の銅の表面処理方法は、銅表面に対する1次アノダイジングの際に酸化皮膜の突起を形成し、2次アノダイジングを通じて針状の酸化皮膜の突起を再び形成し、接触面積を最大化し、2次アノダイジングの際にシランカップリング添加剤を追加して針状の酸化皮膜の突起にシラン重合体を形成してポリマーと銅の接合力を極大化する効果がある。
また、2次アノダイジング後、超音波処理を行い、針状の酸化皮膜に微細なクラックを形成し、その後、酸化処理を行うことで微細なクラック部分に微細な酸化皮膜の可視形の突起を再度形成し、ポリマーと銅の接合力をさらに極大化する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による銅表面処理のそれぞれの工程による酸化膜の変化を示す図である。
図2図1の最終酸化膜の詳しい模様である。
図3】1次、2次アノダイジング装置及びコンディションを示す図である。
図4】超音波装置である。
図5】ポリマーと銅の間のシランカップリング剤の反応構造を示す図である。
図6】(A)は各工程別の銅酸化膜の表面写真である。(B)は各工程別の銅酸化膜の断面写真である。
図7】従来の製品と本発明品をそれぞれの恒温恒湿テスト後のT-Bend test方法の図及び破断面写真である。
図8】1次、2次アノダイジング及び添加剤添加後それぞれの恒温恒湿テスト後の引張実験方法である。
図9】1次、2次アノダイジング及び添加剤添加後それぞれの恒温恒湿テスト後の引張実験結果である。
図10】1次、2次アノダイジング及び添加剤添加後それぞれの恒温恒湿テスト後の引張実験後試片の破断面写真である。
図11】1次、2次アノダイジング及び添加剤添加後それぞれの放置時間による引張実験の比較グラフである。
図12】恒温恒湿テスト測定機械及び試験片である。
図13】恒温恒湿テストの結果、1次、2次アノダイジング及び添加剤を添加した後のそれぞれの密閉比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明によるポリマー銅接合体の製造方法を説明する。
本発明は、ポリマー複合材との接着結合を極大化するための銅の表面処理方法として、
(a) 銅の表面を電気エッチングするエッチング処理段階
(b) 銅表面を酸化アノダイジング処理する1次アノダイジング処理段階
(c) 前記1次アノダイジング処理された銅を再度酸化アノダイジング処理する2次アノダイジング処理段階を含む。
【0019】
(a)段階では、銅表面を混合溶液5%のHSO、10%のHNO、0.1%の付加的な界面活性剤等の混合溶液に30~70で500msパルス整流器を使用し,1~10Aの電流密度で5~15分間電気エッチング処理を行う。
電気エッチングは銅の表面に不規則なエッチングの跡を形成する。
【0020】
(b)段階は、電解質0.01~0.05%のNaNO、補助剤0.1~1%のNHF、添加剤0.01~0.1%のC(OH)等の混合溶液に30~90℃で500msパルス整流器を使用し、0.01~5Aの電流密度において1~15分間行う。
前記1次アノダイジングは、エッチングされた銅の表面を電気酸化させ、表面に微細な突起のような銅酸化被膜を作る。
【0021】
(c)段階は、前記の1次アノダイジング処理された微細な突起のような銅酸化皮膜が生成された銅を再び酸化アノダイジング処理する2次アノダイジング処理する2次アノダイジング処理した銅を電解質0.1~2%のC、補助剤0.1~0.5%のNaSi、補助剤0.01~0.1%のC、補助剤0.001~0.01%のC2024Na10等の混合溶液において、30~70℃の温度で500msパルス整流器を使用し、0.01~1Aの電流密度において1~10分間行う。
【0022】
(c) 段階での、使われる電解質はC、NaHCO、NaOH、NaCO、NaSO、KSO、NaSO、NaNO、KNO、NaNO、NaClO、CHCOONa、Na、NaHPO、(NaPO、 NaMoO、 NaSiO、及びNaHPOのいずれか1つを用いて行う。
【0023】
(c) 段階の2次アノダイジングを通じて、銅表面に対する1次アノダイジングの際に形成された突起のような酸化皮膜の間で2次アノダイジングを通じて微細なサボテンのとげのような鋭い突起が再び形成され、表面が非常に粗い複合的な酸化皮膜形態を形成し、接触面積を最大化し、ポリマーと銅の接合力を極大化する効果がある。
【0024】
(c) 段階における、前記混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を添加することで、2次アノダイジング完了後に、銅とポリマーとの接合力を最大限に高めることができる。
これは、2次アノダイジング銅酸化膜に残存する添加剤とポリマーの間にバンデリバンス重ね合力が発生して、追加的な接合力を発生することによるものである。
【0025】
(c)段階での、添加剤であるシランカップリング添加剤は(RO)Si-(CH-NH、(RO)Si-(CH-Si(OC、(RO)Si-(CH-SH、(RO)Si-CH=CH、(RO)Si-(CH-OOC(CH)C=CH、(RO)Si-(CH-O-CHCH O、及び(RO)Si-(CH15CHのいずれか1つを用いて行う。
【0026】
(c)段階後に、前記2次アノダイジング処理された銅を0.001~0.01%のHSO溶液に添加剤である0.001~0.01%のC(OH)を添加後、30~60℃で周波数が24kHz~100kHzで出力400Wで1~3分間行う超音波処理を行う。
【0027】
超音波処理を通じて、1次アノダイジング及び2次アノダイジングを通じて銅表面に生成された酸化被膜突起に微細なマイクロクラックが形成され、表面がさらに粗くなり、接触面積をさらに最大化し、ポリマーと銅の接合力を極大化する効果がある。
【0028】
最終的に超音波処理された銅を0.1~3%のH溶液に添加剤0.001~0.01%のNaを添加後、30~60℃で10秒~5分間酸化処理する。
【0029】
最終酸化処理を通じて、超音波処理後に、銅表面の酸化皮膜突起に発生した微細なマイクロクラックを通じて酸化が発生し、マイクロクラックから微細な酸化皮膜突起が追加で発生する。これによって銅の表面に接触面積が最大化されることで、銅とポリマーの接合力を極大化する。
【0030】
図1には本発明による銅表面処理のそれぞれの工程による酸化膜の構造および変化を図示した。
図2にはそれぞれの工程で生成された酸化膜の具体的な形態を図示した。
以降、具体的な実施例と図面を説明する。
【実施例1】
【0031】
(a)段階で、銅表面を混合溶液5%のHSO、10%のHNO、0.1%のAdditive(Surfactant)等の混合溶液に30~70で500msパルス整流器を使用し,1~10Aの電流密度で5~15分間電気エッチング処理を行う。
(b)段階は、電解質0.01~0.05%のNaNO、補助剤0.1~1%のNHF、添加剤0.01~0.1%のC(OH)等の混合溶液に30~90℃で500msパルス整流器を使用し、0.01~5Aの電流密度において1~15分間行う第1次アノダイジングのみを実施した従来の方法で試片を作った。
【実施例2】
【0032】
(a)段階の電気に称するエッチング処理後、
(b)段階の1次アノダイジングを行った後、
(c)段階の1次アノダイジング処理された銅を電解質0.1~2%のC、補助剤0.1~0.5%のNaSi、補助剤0.01~0.1%のC、補助剤0.001~0.01%のC2024Na10等の混合溶液において、30~70℃の温度で500msパルス整流器を使用し、0.01~1Aの電流密度において1~10分間、2次アノダイジング処理する方法で試片を作った。
【実施例3】
【0033】
(a)段階の電気に称するエッチング処理後、
(b)段階の1次アノダイジングを行った後、
(c)段階の2次アノダイジングを行う際、混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を加えて試片を作った。
【実施例4】
【0034】
(a)段階の電気に称するエッチング処理後、
(b)段階の1次アノダイジングを行った後、
(c)段階の2次アノダイジングを実施する際、混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を加えて2次アノダイジングを実施した後、
2次アノダイジング処理された銅を0.001~0.01%のHSO溶液に添加剤である0.001~0.01%のC(OH)を添加後、30~60℃で周波数が24kHz~100kHzで出力400Wで1~3分間行う超音波処理を実施して試片を作った。
【実施例5】
【0035】
(a)段階の電気に称するエッチング処理後、
(b)段階の1次アノダイジングを行った後、
(c)段階の2次アノダイジングを行う際、混合溶液に添加剤である0.01~1%のシランカップリング添加剤を加えて2次アノダイジングを実施した後、
2次アノダイジング処理された銅に超音波処理を施した後、
超音波処理された銅を0.1~3%のH溶液に添加剤0.001~0.01%のNaを添加後、30~60℃で10秒~5分間行う酸化処理を実施して試片を作った。
【0036】
この5つの実施例1~5で作られた試片で、それぞれ以下の抵抗値測定、T-bend Test、引張実験、放置時間による結合力測定及び密閉実験などを実施した。その結果は以下の通りである。
【実験例1】
【0037】
実施例1~5の試片を用いて抵抗を測定し、通電の有無を確認し、その結果を下表1に記す。
【表1】
【実験例2】
【0038】
実施例1~5の試片を用いて接合強度を測定するために恒温恒湿1000HR後にT-bend Testを実施し、その結果を下表2に記す。
【表2】
【0039】
表2に示す通り、1次アノダイジングのみ実施した実施例1の試片より、さらに2次アノダイジングを実施した実施例2~5の試片の接合強度が優れていることがわかる。
図7aはT-bend Testのために製作された試片であり、実施例それぞれの銅試片にポリマーを重ねたものである。
図7bはT-bend Test方法およびテスト結果が“Good”であるテスト結果写真である。
図7cはT-bend Test方法およびテスト結果が“No Good”であるテスト結果写真である。
【実験例3】
【0040】
実施例1~5の試片を用いて接合強度を測定するため,恒温恒湿1000HR前後に引張実験を実施し、その結果を図9に表す。
【0041】
図9のグラフのように、実施例1の試片より実施例2の試片の方が恒温恒湿試験前後の引張力が優れていることが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が、恒温恒湿試験前後の引張力がより優れていることが分かる。
そして、実施例3の試片より(実施例4)の試片が恒温恒湿試験前後の引張力がさらに優れていることが分かる。
最後に、実施例4の試片より実施例5の試片が、恒温恒湿試験前後の引張力が最も優れていることが分かる。
【0042】
図8aは引張実験のために製作された試片であり、実施例それぞれの銅試片にポリマーを重ねたものである。
図8bは引張実験の方法に関する写真である。
【0043】
図10は恒温恒湿試験後の引張実験完了後,それぞれの実施例1~5による試片の分離された銅表面に残っているポリマーの量についての写真である。
図10aは,実施例1の試片の分離面写真で、容易に分離され、銅表面にポリマーの量がほとんどないことが分かる。
図10bは、実施例2の試片の分離面写真であり、分離して銅表面にポリマーの量が20%程度存在することが分かる。
図10cは、実施例3の試片の分離面写真であり、分離して銅表面にポリマーの量が40%程度存在することが分かる。
図10dは、実施例4の試片の分離面写真であり、分離して銅表面にポリマーの量が60%程度存在することが分かる。
図10eは、実施例5の試片の分離面写真であり、分離して銅表面にポリマーの量が80%程度存在することが分かる。
【0044】
図11のグラフは,それぞれの実施例の試片を製作し,ポリマー重ね合わせ後,1ヶ月から12ヶ月の時間経過による引張力試験結果である。
このように、実施例1の試片より実施例2の試片の方が、時間の経過による引張力の低下の方が優れていることが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が時間の経過による引張力の低下が多いことが分かる。
そして、実施例3の試片より実施例4の試片の方が時間の経過による引張力の低下が多いことが分かる。
最後に、実施例4の試片より実施例5の試片の方が、時間の経過による引張力の低下が最も多いことがわかる。
【実験例4】
【0045】
実施例 1~5の試片を用いて銅とポリマーとの密閉状態を測定するために恒温恒湿実験を実施し,その結果を図13に示す。
【0046】
図13のグラフのように、実施例1の試片より実施例2の方が密閉性に優れていることが分かる。
また、実施例2の試片より実施例3の試片の方が密閉性に優れていることが分かる。
そして、実施例3の試片より実施例4の試片の方が密閉性がより優れていることが分かる。
最後に実施例4の試片より実施例5の試片が密閉性で最も優れていることが分かる。
【0047】
図12aは恒温恒湿実験用の試片写真である
図12bは恒温恒湿実験機器の写真である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明はポリマー銅接合体の製造方法で、銅の表面処理を通じてポリマーと銅の接合力を強化し、部品の密閉性を向上し、部品の軽量化およびコスト削減の効果がある。
【要約】
【課題】優れた接合強度を持つポリマーと銅との金属接合体の製造のための銅表面処理方法を提供する。
【解決手段】ポリマーと銅との複合材の接着結合のための銅の表面処理方法として、
(a)銅の表面を電気エッチングするエッチング処理段階
(b)銅表面を酸化アノダイジング処理する1次アノダイジング処理段階
(c)1次アノダイジング処理された銅を再度酸化アノダイジング処理する2次アノダイジング処理段階、
前記2次アノダイジング処理された銅を超音波処理した後、再度酸化処理を行う銅表面処理方法を提供する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13