(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】検出装置、システム、振動工具、方法
(51)【国際特許分類】
G01H 11/08 20060101AFI20220603BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220603BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220603BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20220603BHJP
G07C 3/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
G01H11/08 Z
E02F9/26 B
G05B19/418 Z
B25F5/00 Z
G07C3/00
(21)【出願番号】P 2022017684
(22)【出願日】2022-02-08
【審査請求日】2022-02-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521306236
【氏名又は名称】株式会社フルリール
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三井 望聖
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-509136(JP,A)
【文献】特開2006-166694(JP,A)
【文献】特開2008-187588(JP,A)
【文献】特表2018-529949(JP,A)
【文献】特表2021-535368(JP,A)
【文献】特表平10-505168(JP,A)
【文献】特開平03-185317(JP,A)
【文献】特開平10-323330(JP,A)
【文献】岡山労働局 労働基準部 健康安全課,新たな振動障害予防対策について -日振動ばく露量A(8)に基づく作業管理の実施-,日本,岡山労働局 労働基準部 健康安全課 [オンライン],2011年08月,[検索日 2022.03.01] インターネット:<URL : https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/var/rev0/0109/2569/2014526141742.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、
振動が検出されている時間を計時する計時部と、
計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部と
を具備する検出装置
であって、
前記計時部と提示制御部は、前記振動発電部で発生された電流により駆動する、検出装置。
【請求項2】
前記提示制御部は、前記計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記計時された値に基づいて評価値を算出する算出部を具備し、
前記提示制御部は、前記評価値が第2値に達した場合、達した旨を外部へ提示する請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記計時された値に基づいて評価値を算出する算出部を具備し、
前記提示制御部は、前記評価値が第2値に達したか、前記計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する請求項1記載の検出装置。
【請求項5】
前記振動発電部は、予め設定される振動工具から発生される振動の周波数で効率的に発電するように設計される請求項1乃至4のいずれかに記載の検出装置。
【請求項6】
前記振動発電部で発生された電流により駆動し、前記振動を測定する振動測定部を具備し、
前記算出部は、前記測定の結果と、前記計時された値とから前記評価値を算出する請求項3又は4に記載の検出装置。
【請求項7】
前記計時された値を外部へ送信する通信部を具備する請求項1乃至6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項8】
前記測定の結果に関する情報を外部へ送信する通信部を具備する請求項6記載の検出装置。
【請求項9】
前記評価値を外部へ送信する通信部を具備する
請求項3、4、又は6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項10】
前記評価値が第2値に達した旨、又は前記計時された値が第1値に達した旨を外部へ送信する通信部を具備する
請求項3、4、又は6のいずれかに記載の検出装置。
【請求項11】
作業者に取り付けられるための取付部を具備する請求項1乃至10のいずれかに記載の検出装置。
【請求項12】
複数の検出装置であって、
振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、
振動が検出されている時間を計時する計時部と、
計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部と
を有する前記検出装置と、
複数の前記検出装置の少なくともいずれかから送信される情報を管理する管理手段と
具備するシステム
であって、
前記計時部と提示制御部は、前記振動発電部で発生された電流により駆動する、システム。
【請求項13】
前記管理手段は、前記管理する情報に基づき、作業者の作業を管理する請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記管理手段は、前記作業者のシフト、前記作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を管理する請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記管理手段は、前記管理する情報に基づき、作業者の作業に関する提案をする請求項12乃至14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記管理手段は、前記作業者のシフト、前記作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を提案する請求項15記載のシステム。
【請求項17】
所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、
振動が検出されている時間を計時する計時部と、
計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部と
を具備する振動工具
であって、
前記計時部と提示制御部は、前記振動発電部で発生された電流により駆動する、振動工具。
【請求項18】
振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生するステップと、
振動が検出されている時間を計時するステップと、
計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示するステップと
を実行する方法
であって、
前記時間を計時するステップと前記情報を提示するステップは、前記電流を発生するステップで発生された電流を用いて実行される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置、システム、振動工具、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振動を発する工具類を業務として用いることで発生する職業病のひとつに振動障害がある。振動障害は主に、末梢循環障害、末梢神経障害、運動器障害等を含む。振動障害が進行すると回復が困難であるため、労働衛生管理を通じた予防が重要視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動障害を予防するため、作業者が振動工具をどれだけ使用したかを個々に管理する必要がある。しかしながら、作業者による振動工具の使用を効果的かつ正確に管理する手法はまだ確立されていない。
【0005】
先行文献1では、作業機械に取り付けられるアタッチメントの稼働状態を管理する発明が記載されているが、作業者による振動工具の使用を管理するものではない。
【0006】
本開示の目的は、効果的かつ正確に作業者による振動工具の使用を管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
検出装置は、振動発電部と、計時部と、提示制御部とを具備する。振動発電部は、振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する。計時部は、振動が検出されている時間を計時する。提示制御部は、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、効果的かつ正確に作業者による振動工具の使用を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】システム1の全体構成の例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す検出装置10の構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示す管理装置20の構成例を表すブロック図である。
【
図4】作業者情報テーブル281のデータ構造を示す図である。
【
図5】シフト管理テーブル282のデータ構造を示す図である。
【
図6】作業者が振動工具を使用する際の検出装置10のマイコン16の動作例を表すフローチャートである。
【
図7】作業者を管理する際の管理装置20の動作例を表すフローチャートである。
【
図8】管理装置20のディスプレイ241で表示される画面の例を表す模式図である。
【
図9】管理装置20のディスプレイ241で表示される画面の例を表す模式図である。
【
図10】振動工具に取り付けられる検出装置10の構成例を表すブロック図である。
【
図11】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<概略>
本実施形態に係る検出装置は、振動工具を使用する作業者により利用される。検出装置は、振動工具の振動により発電し、振動が発生している時間を計時する。検出装置は、計時した時間を、作業者が振動工具を使用していた時間と判断する。検出装置は、計時した時間に基づき、作業者が振動工具を使用可能な状態にあるか否かを判断し、使用可能な状況にない場合、そのことを外部へ提示する。
【0012】
<1 システム全体の構成図>
図1は、システム1の全体構成の例を示すブロック図である。
図1に示すシステム1は、例えば、検出装置10、及び管理装置20を含む。検出装置10、及び管理装置20は、例えば、ネットワーク80を介して通信接続する。なお、検出装置10と、管理装置20とは、所定の通信規格に則って通信接続してもよい。所定の通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)、又はBluetooth Low Energy(BLE)等である。
【0013】
図1において、システム1が検出装置10を3台含む例を示しているが、システム1に含まれる検出装置10の数は、3台に限定されない。システム1に含まれる検出装置10は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0014】
図1に示す検出装置10は、例えば、振動工具を使用する作業者が暴露される振動を検出する装置である。振動工具とは、例えば、チェンソー、ハンマ、ハンマドリル、ケレン、エンジンカッタ、刈払機、サンダ又はサンディング機能があるポリッシャ、震動ドリル、コンクリートバイブレータ、グラインダ、インパクトレンチ、シャー、ジグソーを含む。
【0015】
検出装置10は、例えば、振動工具を使用する作業者に取り付けられる。例えば、検出装置10は、数cm程度のバッジに内蔵され、作業者の衣服の腕部又は胸部等に留められる。また、腕時計のようにバンドにより腕に固定されてもよい。つまり、検出装置10は、作業者に取り付けられるための取付部を有する。また、作業者の衣服に縫い込まれていてもよい。検出装置10は、例えば、降雨、又は衣服の洗濯にも耐えられるように、防水加工がされていてもよい。
【0016】
検出装置10は、検出した結果に関する情報を管理装置20へ送信する。
【0017】
管理装置20は、例えば、検出装置10から送信される情報に基づき、作業者を管理する情報処理装置である。管理装置20は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCにより実現される。また、管理装置20は、スマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよい。また、管理装置20は、サーバであってもよい。
【0018】
各情報処理装置は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。検出装置10、管理装置20のそれぞれについて、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成およびコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0019】
<1.1 検出装置の構成>
図2は、
図1に示す検出装置10の構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、検出装置10は、振動型エナジーハーベスタ11、コンバータ12、加速度センサ13、通信モジュール14、提示モジュール15、マイコン16を備える。
【0020】
振動型エナジーハーベスタ11は、所定の周波数帯の振動を受けると、電力を発生させるデバイスである。振動型エナジーハーベスタ11は、振動発電部の一例である。所定の周波数帯は、例えば、振動工具で発生される60~120Hzの周波数帯である。より詳細には、エンジンで発生する60~100Hzの周波数帯である。振動型エナジーハーベスタ11は、例えば、圧電素子を用いて実現される。より具体的には、例えば、振動型エナジーハーベスタ11は、圧電素子を片持ち梁状にクランプした構造を有する。振動型エナジーハーベスタ11は、例えば、共振周波数が上記所定の周波数帯となるように構成される。
【0021】
コンバータ12は、AC/DCコンバータであり、交流電圧を直流電圧に変換するデバイスである。コンバータ12は、振動型エナジーハーベスタ11が発生させた交流電圧を直流電圧に変換する。
【0022】
加速度センサ13は、加速度を測定するセンサである。加速度センサ13は、コンバータ12で変換された直流電圧により動作する振動測定部の一例である。加速度センサ13は、所定の周期で、測定したデータをマイコン16へ出力する。加速度センサ13は、コンバータ12からの電流の供給が停止すると、加速度の測定、及びデータの出力を停止する。
【0023】
加速度センサ13は、例えば、複数の加速度センサにより構成されてもよい。各加速度センサは、予め設定された方向の加速度を測定する。例えば、3つの加速度センサを用いる場合、各加速度センサは、それぞれ直行する方向(x軸、y軸、z軸)の加速度を測定する。
【0024】
通信モジュール14は、検出装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信モジュール14は、既存の通信方式に則って他の装置と通信する。例えば、通信モジュール14は、BLEに則って通信する。これにより、通信モジュール14は、消費電力を抑えた通信が可能となる。通信モジュール14は、マイコン16で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、管理装置20)へ送信する。通信モジュール14は、外部から受信した信号に受信処理を施し、マイコン16へ出力する。
【0025】
提示モジュール15は、所定の情報を作業者、又は作業者の周囲の者へ提示する処理を行う。提示モジュール15は、例えば、所定の情報を光により提示する。具体的には、提示モジュール15は、例えば、LED等の発光モジュールにより実現される。また、提示モジュール15は、例えば、所定の情報を音により提示する。具体的には、提示モジュール15は、例えば、スピーカー等の発音モジュールにより実現される。所定の情報は、例えば、検出装置10が取り付けられた作業者が、1日に振動工具を利用可能な限界に達したことを表す情報である。
【0026】
マイコン16は、CPUがメモリに記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。マイコン16は、検出装置10の動作を制御する。マイコン16は、プログラムに従って動作することにより、計時機能161、算出機能162、通信機能163、提示機能164としての機能を発揮する。
【0027】
計時機能161は、振動が発生している時間を測る機能である。具体的には、例えば、マイコン16は、加速度センサ13から出力されるデータを取得すると、取得したデータに基づき、振動を検出したか否かを判断する。マイコン16は、振動を検出している時間をカウントする。加速度センサ13は、コンバータ12から電流が供給されている間は、加速度を測定できたか否かに関わらず、マイコン16へデータを出力する。マイコン16は、振動が検出される場合は、カウントを進め、振動が検出されない場合及び加速度センサ13からデータが供給されない場合は、カウントを停止する。マイコン16は、例えば、一日毎にカウントをリセットする。カウントがリセットされる時刻は予め設定されている。カウントがリセットされる時刻は、例えば、日付が変わる午前0時でもよいし、深夜の時間帯を考慮した所定の時刻でもよい。本実施形態では、計時機能161により測定される時間を振動曝露時間と称する。
【0028】
算出機能162は、例えば、発生している振動に基づく評価値を算出する機能である。例えば、マイコン16は、加速度センサ13により測定される加速度と、計時機能161により測定された振動曝露時間とから、作業者が曝露した振動を評価する評価値(振動の曝露量)を算出する。評価値は、具体例には、日振動曝露量A(8)と規定されている。日振動曝露量A(8)は、例えば、以下の式により算出される。
A(8)=a×(T/8) 0.5 m/s 2
【0029】
ここで、aは、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値である。マイコン16は、互いに直交する方向の加速度を測定する3つの加速度センサから出力される測定データに基づき、aを算出する。Tは振動曝露時間である。
【0030】
通信機能163は、例えば、管理装置20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを通信するように通信モジュール14を制御する機能である。例えば、マイコン16は、振動に関する情報を管理装置20へ送信するように通信モジュール14を制御する。具体的には、例えば、マイコン16は、計時機能161により計時された振動曝露時間を管理装置20へ送信する。また、例えば、マイコン16は、算出機能162により算出された評価値を管理装置20へ送信する。また、例えば、マイコン16は、加速度センサ13により測定された加速度を管理装置20へ送信する。また、例えば、マイコン16は、振動曝露時間、又は評価値が所定の値に達したときに、達したことを管理装置20へ送信する。
【0031】
提示機能164は、例えば、所定の情報を提示するように提示モジュール15を制御する機能である。具体的には、例えば、マイコン16は、振動曝露時間、又は評価値が所定の値に達した否かを判断する。マイコン16は、振動曝露時間が第1値に達した場合、提示モジュール15を制御し、振動曝露時間が第1値に達したことを提示する。振動曝露時間が第1値に達したことは、例えば、検出装置10を装着する作業者が、その日に曝露され得る振動の限界値に達したことを表す。なお、第1値は、限界値から所定の余裕を持たせた値であってもよい。
【0032】
また、マイコン16は、評価値が第2値に達した場合、提示モジュール15を制御し、評価値が第2値に達したことを提示する。評価値(日振動曝露量)が第2値に達したことは、例えば、検出装置10を装着する作業者が、その日に曝露され得る振動の限界値に達したことを表す。なお、第2値は、限界値から所定の余裕を持たせた値であってもよい。
【0033】
マイコン16は、振動曝露時間が第1値に達したことと、評価値が第2値に達したこととを別々の手法で提示してもよい。例えば、マイコン16は、提示モジュール15により出力される光の色を変えてもよいし、一方が光、他方を音で提示するようにしてもよい。
【0034】
<1.2 管理装置の機能的な構成>
図3は、
図1に示す管理装置20の構成例を表すブロック図である。
図3に示すように、管理装置20は、通信部220と、入力装置23と、出力装置24と、音声処理部27と、マイク271と、スピーカー272と、カメラ260と、位置情報センサ250と、記憶部280と、制御部290とを備える。管理装置20に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0035】
通信部220は、管理装置20が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部220は、検出装置10から受信した信号に受信処理を施し、制御部290へ出力する。通信部220は、制御部290で生成された信号に送信処理を施し、外部へ送信する。
【0036】
入力装置23は、管理装置20を操作するユーザが指示等を入力するための装置である。入力装置23は、例えば、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス231等により実現される。管理装置20がPC等である場合には、入力装置23は、リーダー、キーボード、マウス等により実現されてもよい。入力装置23は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部290へ出力する。なお、入力装置23には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0037】
出力装置24は、管理装置20を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置24は、例えば、ディスプレイ241等により実現される。ディスプレイ241は、制御部290の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ241は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0038】
音声処理部27は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部27は、マイク271から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部290へ与える。また、音声処理部27は、音声信号をスピーカー272へ与える。音声処理部27は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク271は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部27へ与える。スピーカー272は、音声処理部27から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を管理装置20の外部へ出力する。
【0039】
カメラ260は、受光素子により光を受光し、撮影信号として出力するためのデバイスである。
【0040】
位置情報センサ250は、管理装置20の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される管理装置20の現在位置を検出する。位置情報センサ250は、管理装置20が接続する無線基地局の位置から、管理装置20の現在の位置を検出してもよい。
【0041】
記憶部280は、例えば、メモリ、及びストレージ等により実現され、管理装置20が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部280は、例えば、作業者情報テーブル281、及びシフト管理テーブル282を記憶する。
【0042】
作業者情報テーブル281は、作業者に関する情報を記憶するテーブルである。詳細は後述する。
【0043】
シフト管理テーブル282は、作業者のシフトを管理するためのテーブルである。詳細は後述する。
【0044】
制御部290は、プロセッサが記憶部280に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部290は、管理装置20の動作を制御する。制御部290は、プログラムに従って動作することにより、操作受付部291、送受信部292、管理部293、提示制御部294としての機能を発揮する。
【0045】
操作受付部291は、入力装置23から入力される指示、又は情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部291は、タッチ・センシティブ・デバイス231等から入力される指示、又は情報を受け付ける。
【0046】
また、操作受付部291は、カメラ260から入力される画像を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部291は、カメラ260により撮影された画像信号を受信する。
【0047】
また、操作受付部291は、マイク271から入力される音声情報を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部291は、マイク271から入力され、音声処理部27でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。
【0048】
送受信部292は、管理装置20が、検出装置10等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部292は、検出装置10から送信された、振動に関する情報を受信する。
【0049】
管理部293は、例えば、作業者の振動の曝露状態等を管理する。具体的には、管理部293は、例えば、複数の作業者が身に着ける各検出装置10から送信される、振動に関する情報に基づき、作業者の状態を管理する。より具体的には、管理部293は、作業者について測定された振動曝露時間、及び作業者について算出された日振動曝露量を管理する。
【0050】
また、管理部293は、作業者の曝露状態に基づき、作業者による作業を管理する。具体的には、管理部293は、例えば、作業者が割り当てられる作業のシフトを管理する。管理部293は、振動曝露時間、及び日振動曝露量に基づき作業者が作業する場所、時間を割り当ててもよいし、作業者が作業する場所、時間の割り当てを管理者から受け付けてもよい。
【0051】
また、管理部293は、作業者が作業で使用する振動工具を管理する。管理部293は、作業者が使用する振動工具を、加速度センサ13の測定値、例えば、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値に基づいて推定してもよいし、作業者又は管理者からの指定を受け付けて認定してもよい。
【0052】
提示制御部294は、所定の情報を作業者の管理者に対して提示するため、出力装置24を制御する。具体的には、例えば、提示制御部294は、作業者の振動に関する情報、作業者に割り当てる作業に関する情報、作業者が使用する振動工具に関する情報等を管理者に提示する。
【0053】
<2 データ構造>
図4、
図5は、管理装置20が記憶するテーブルのデータ構造を示す図である。なお、
図4、
図5は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部280において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0054】
図4は、作業者情報テーブル281のデータ構造を示す図である。
図4に示す作業者情報テーブル281は、作業者IDをキーとして、氏名、住所、連絡先、評価値、計時値等のカラムを有するテーブルである。
【0055】
作業者IDは、作業者を一意に識別するための識別子を記憶する項目である。氏名は、作業者の名前を記憶する項目である。住所は、作業者の住所を記憶する項目である。連絡先は、作業者の連絡先を記憶する項目である。評価値は、作業者について算出された評価値を記憶する項目である。項目:評価値には、例えば、評価値が複数記憶されていてもよい。このとき、それぞれの評価値は、例えば、算出された日付と共に記憶される。また、項目:評価値には、当日について算出された評価値のみが記憶されていてもよい。計時値は、作業者について計時された値を記憶する項目である。項目:計時値には、例えば、計時値が複数記憶されていてもよい。このとき、それぞれの計時値は、例えば、カウントが実施された日付と共に記憶される。また、項目:計時値には、当日について算出された計時値のみが記憶されていてもよい。
【0056】
図5は、シフト管理テーブル282のデータ構造を示す図である。
図5に示すシフト管理テーブル282は、作業者のシフトを管理するためのテーブルであり、作業者IDをキーとして、場所、時間帯、工具等のカラムを有するテーブルである。
【0057】
場所は、場所を表す情報を記憶する項目である。場所を表す情報は、例えば、住所、経緯度、識別番号等により表される。時間帯は、作業者が作業に割り当てられた時間帯を記憶する項目である。工具は、作業員が使用している、又は使用する予定の振動工具を記憶する項目である。項目:工具には、使用する工具の名称が記憶されていてもよし、使用する工具の識別番号が記憶されていてもよい。
【0058】
<3 動作>
検出装置10と、管理装置20との動作について説明する。
【0059】
(振動曝露の提示処理)
図6は、作業者が振動工具を使用する際の検出装置10のマイコン16の動作例を表すフローチャートである。本説明において、検出装置10は、例えば、バッジとして作業者に取り付けられている。
【0060】
バッジが取り付けられた作業者は、振動工具を使用する。
【0061】
作業者により振動工具が使用されると、振動型エナジーハーベスタ11は、圧電素子が振動工具で発生される振動により共振することで、電力を発生させる。振動型エナジーハーベスタ11で発生された交流電圧は、コンバータ12で直流電圧に変換される。
【0062】
加速度センサ13は、互いに直交する方向の加速度を測定する3つの加速度センサである。加速度センサ13は、コンバータ12で変換された直流電圧により動作し、振動工具で発生される振動の各方向の加速度を測定する。加速度センサ13は、所定の周期で、測定したデータをマイコン16へ出力する。
【0063】
ステップS11において、マイコン16は、振動を検出したか否かを判断する。具体的には、マイコン16は、加速度センサ13から出力される測定データに基づき、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値を算出する。マイコン16は、合成値が予め設定された閾値を超えたか否かを判断する。合成値が予め設定された閾値を超える場合、マイコン16は、振動を検出したと判断し(ステップS11のYes)、処理をステップS12へ移行する。合成値が予め設定された閾値を超えない場合、マイコン16は、振動を検知していないと判断し(ステップS11のNo)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0064】
ステップS12において、マイコン16は、時間のカウントを開始する。マイコン16は、カウント値のリセット後における最初の計時の場合にはカウントを0から開始する。また、マイコン16は、先の計時でカウントを停止した場合には、カウントを続きから開始する。
【0065】
ステップS13において、マイコン16は、振動を検出したか否かを判断する。振動を検出する場合(ステップS13のYes)、マイコン16は、処理をステップS14へ移行する。振動を検出しない場合(ステップS13のNo)、マイコン16は、処理をステップS15へ移行する。
【0066】
ステップS14において、マイコン16は、発生している振動に基づく評価値を算出する。具体的には、マイコン16は、例えば、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値と、計時機能161により測定される振動曝露時間とから、日振動曝露量A(8)を算出する。
【0067】
ステップS15において、マイコン16は、カウントを停止し、処理をステップS11へ移行する。
【0068】
ステップS16において、マイコン16は、振動曝露時間又は日振動曝露量が予め設定した閾値に達したか否かを判断する。例えば、振動曝露時間の閾値である第1値は、1日2時間と設定されている。また、日振動曝露量の閾値である第2値は、例えば、5.0m/s 2と設定されている。エンジンチェンソーだと周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値aは、3.2~9.8程度である。つまり、a≦10であれば、振動曝露時間が先に閾値に達し、a≧10であれば、日振動曝露量が先に閾値に達する。マイコン16は、振動曝露時間又は日振動曝露量が予め設定した閾値に達すると(ステップS16のYes)、処理をステップS17へ移行する。振動曝露時間又は日振動曝露量が予め設定した閾値に達しない場合(ステップS16のNo)、ステップS13からの処理を繰り返す。
【0069】
ステップS17において、マイコン16は、振動曝露時間が第1値に達したこと、又は日振動曝露量が第2値に達したことを提示する。具体的には、マイコン16は、例えば、提示モジュール15を制御し、光、又は音で、振動曝露時間が第1値に達したこと、又は日振動曝露量が第2値に達したことを、振動工具を使用する作業者、及び作業者の管理者へ提示する。マイコン16は、所定の期間が経過すると提示モジュール15を停止させてもよいし、提示を停止させるための指示が入力されると提示モジュール15を停止させてもよい。
【0070】
(作業者の管理処理)
図7は、作業者を管理する際の管理装置20の動作例を表すフローチャートである。
【0071】
ステップS21において、管理装置20の制御部290は、検出装置10から送信される、振動に関する情報を受信する。具体的には、例えば、管理装置20と通信可能に接続されている複数の検出装置10は、振動を検出している間において、所定の周期で、検出装置10が取り付けられた作業者の振動に関する情報を送信する。制御部290は、通信可能に接続されている複数の検出装置10から、振動に関する情報を受信する。
【0072】
ステップS22において、制御部290は、管理部293により、受信した情報に基づき、作業者情報テーブル281を更新する。
【0073】
ステップS23において、制御部290は、提示制御部294により、作業者の状況を管理者に提示する。具体的には、管理部293は、作業者情報テーブル281を参照し、評価値(日振動曝露量)が第2値に達する作業者、又は計時値(振動曝露時間)が第1値に達する作業者を抽出する。提示制御部294は、抽出した作業者を、他の作業者と識別可能に管理者に提示する。具体的には、例えば、提示制御部294は、抽出した作業者を、他の作業者と視覚的に識別可能にディスプレイ241に表示させる。
【0074】
図8は、管理装置20のディスプレイ241で表示される画面の例を表す模式図である。
図8に示すように、ディスプレイ241は、作業者の管理テーブル2411を表示する。
図8において、例えば、評価値1が、日振動曝露量の閾値である第2値を超えている場合、提示制御部294は、評価値1が記憶される作業者ID:ID0001の作業者レコードを他のレコードと識別可能に表示する。
【0075】
管理部293は、作業者情報テーブル281を参照し、日振動曝露量に達するまでに作業者に残された曝露量、及び振動曝露時間に達するまでに作業者に残された時間を管理する。管理部293は、残された曝露量と、残された作業時間とを考慮し、作業者に割り当て可能な作業(作業場所、作業時間)、及び使用可能な振動工具を設定する。管理部293は、設定した情報に基づき、シフト管理テーブル282を更新する。
【0076】
提示制御部294は、シフト管理テーブル282を参照し、作業者に対して割り当てた作業、及び振動工具を管理者に提示する。具体的には、例えば、提示制御部294は、作業者に対して割り当てた作業、及び振動工具をディスプレイ241に表示させる。
【0077】
図9は、管理装置20のディスプレイ241で表示される画面の例を表す模式図である。
図9に示すように、ディスプレイ241は、シフト管理テーブル2412を表示する。
【0078】
以上のように、上記実施形態では、振動型エナジーハーベスタ11は、振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する。マイコン16は、計時機能161により、振動が検出されている時間を計時する。マイコン16は、提示機能164により、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する。
【0079】
これにより、検出装置10は、作業現場において、各作業者がどれだけ振動工具を使用したかを作業者本人、又は作業者の管理者へ提示することが可能となる。また、小型であり、負荷なく作業者へ取り付けることが可能であるため、作業の妨げになることもない。また、振動型エナジーハーベスタ11が振動により発電するため、バッテリーを積む必要がなく、電池交換が不要である。
【0080】
したがって、本実施形態に係る検出装置10によれば、効果的かつ正確に作業者による振動工具の使用を管理できる。このため、検出装置10によれば、作業者の振動障害を予防できる。また、作業者は、検出装置10を身に着けることで、自身のみを守ることが可能となる。
【0081】
また、上記実施形態では、検出装置10は、提示機能164により、計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する。これにより、検出装置10は、検出装置10を装着する作業者が、その日に曝露され得る振動の限界値に達したことを正確に外部へ提示することが可能となる。
【0082】
また、上記実施形態では、検出装置10は、通信機能163により、計時された値に基づいて評価値を算出する。検出装置10は、提示機能164により、評価値が第2値に達した場合、達した旨を外部へ提示する。これにより、検出装置10は、検出装置10を装着する作業者が、その日に曝露され得る振動の限界値に達したことを正確に外部へ提示することが可能となる。
【0083】
また、上記実施形態では、検出装置10は、評価値が第2値に達したか、計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する。これにより、少なくともいずれかの値が所定値に達した場合にその旨が外部へ提示されるため、作業者に許容される作業時間を余裕をもって管理することが可能となる。
【0084】
また、上記実施形態では、加速度センサ13は、振動発電部11で発生された電流により駆動し、振動を測定する。マイコン16は、測定の結果と、計時された値とから評価値を算出する。これにより、検出装置10は、任意の振動工具について評価値を算出することが可能となる。
【0085】
また、上記実施形態では、マイコン16は、発光することで、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する。または、マイコン16は、発音することで、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する。これにより、検出装置10が取り付けられた作業者、及び管理者は、作業者が許容される作業時間を把握することが可能となる。
【0086】
また、上記実施形態では、マイコン16は、通信機能163により、計時された値を外部へ送信する。これにより、管理装置20は、計時された値を作業者ごとに管理することが可能となる。また、マイコン16は、測定の結果に関する情報を外部へ送信する。これにより、管理装置20は、作業者が使用する振動工具を推定することが可能となる。また、マイコン16は、評価値を外部へ送信する。これにより、管理装置20は、評価値を作業者ごとに管理することが可能となる。また、マイコン16は、評価値が第2値に達した旨、又は計時された値が第1値に達した旨を外部へ送信する。これにより、管理装置20は、作業者が作業を許容される状態にあるか否かを管理することが可能となる。
【0087】
また、上記実施形態では、管理装置20は、複数の検出装置10のうち少なくともいずれかから送信される情報を管理する。これにより、管理者は、管理装置20にアクセスすることで、複数の作業者に関する情報を取得することが可能となる。また、複数の作業者について許容されている作業時間を正確に把握することが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、管理装置20は、作業者情報テーブル281で管理する情報に基づき、作業者の作業を管理する。具体的には、管理装置20は、作業者のシフト、作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を管理する。これにより、管理者は、作業の進行を進めつつ、作業者に曝露される振動を管理することが可能となる。
【0089】
また、上記実施形態では、管理装置20は、管理する情報に基づき、作業者の作業に関する提案をする。具体的には、管理装置20は、作業者のシフト、作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を提案する。これにより、管理者は、作業者に曝露される振動を把握しながら作業の予定を組むことが可能となる。
【0090】
(変形例)
上記実施形態では、検出装置10が作業者に取り付けられる場合を例に説明した。しかしながら、検出装置10は、作業者に取り付けられることに限定されない。検出装置10は、振動工具に取り付けられてもよい。また、検出装置10は、振動工具に搭載されてもよい。
【0091】
図10は、振動工具に取り付けられる(搭載される)検出装置10の構成例を表すブロック図である。
図10に示すように、検出装置10は、振動型エナジーハーベスタ11、コンバータ12、通信モジュール14、提示モジュール15、マイコン16を備える。つまり、検出装置10は、
図2に示される加速度センサ13を有さなくてもよい
【0092】
振動型エナジーハーベスタ11は、取り付けられる振動工具に対応するように設定されている。具体的には、取り付けられる振動工具が発生する振動の周波数で共振するように圧電素子が設計されている。
【0093】
マイコン16は、振動型エナジーハーベスタ11により発生され、コンバータ12で変換される電圧値が予め設定する閾値を超える場合、振動を検出したと判断する。マイコン16は、振動を検出した場合、時間のカウントを開始する。マイコン16は、振動を検出している間はカウントを継続し、振動を検出しなくなるとカウントを停止する。
【0094】
マイコン16は、取り付けられる振動工具について予め設定されている周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値と、計時機能161により測定される振動曝露時間とから、日振動曝露量A(8)を算出する。マイコン16は、振動曝露時間又は日振動曝露量が予め設定した閾値に達したか否かを判断する。マイコン16は、振動曝露時間又は日振動曝露量が予め設定した閾値に達すると、提示モジュール15を制御し、光、又は音で、振動曝露時間、又は日振動曝露量が閾値に達したことを、振動工具を使用する作業者、及び作業者の管理者へ提示する。
【0095】
このように、加速度センサ13を有していなくとも、取り付けられる振動工具と、振動型エナジーハーベスタ11とが対応していれば、振動曝露時間を正確に測定することが可能となる。また、振動工具に検出装置10が搭載されているため、作業者が検出装置10を身に着けていなくても、作業者の振動曝露を管理することが可能となる。
【0096】
また、上記実施形態では、検出装置10は、振動曝露時間、及び日振動曝露量を参照する場合を例に説明した。しかしながら、検出装置10は、作業者の曝露限界を判断する際、振動曝露時間のみを参照してもよい。また、検出装置10は、作業者の曝露限界を判断する際、日振動曝露量のみを参照してもよい。マイコン16は、日振動曝露量が第2値に達すると、その旨を、提示モジュール15を制御して作業者等へ提示する。
【0097】
管理装置20は、検出装置10が日振動曝露量のみを参照する場合、日振動曝露量の上昇を抑えるように、周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値が低い振動工具の使用を勧めてもよい。例えば、制御部290は、作業者の日振動曝露量が予め設定した第3値を超えると、管理者に対し、作業者が使用する振動工具を振動の弱い工具に交換することを勧める。第3値は、例えば、第2値よりも数割低い値である。
【0098】
このように、本実施形態に係る検出装置10によれば、日振動曝露量を正確に算出することが可能となる。そのため、日振動曝露量のみを参照して、振動工具の使用を管理することが可能となる。日振動曝露量のみを参照して作業者の状態を管理する場合、振動が弱い振動工具の使用であれば、2時間という限界を超えても作業を続けることが可能となる。そのため、管理者は、振動の強い工具と弱い工具とを組み合わせた効率的なシフトを設定することが可能となる。
【0099】
<4 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図11は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0100】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0101】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0102】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0103】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0104】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0105】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図11に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0106】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0107】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0108】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0109】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0110】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0111】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0112】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、振動が検出されている時間を計時する計時部と、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部とを具備する検出装置。
(付記2)
提示制御部は、計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する(付記1)に記載の検出装置。
(付記3)
計時された値に基づいて評価値を算出する算出部を具備し、提示制御部は、評価値が第2値に達した場合、達した旨を外部へ提示する(付記1)に記載の検出装置。
(付記4)
計時された値に基づいて評価値を算出する算出部を具備し、提示制御部は、評価値が第2値に達したか、計時された値が第1値に達した場合、達した旨を外部へ提示する(付記1)に記載の検出装置。
(付記5)
振動発電部は、予め設定される振動工具から発生される振動の周波数で効率的に発電するように設計される(付記1)乃至(付記4)のいずれかに記載の検出装置。
(付記6)
振動発電部で発生された電流により駆動し、振動を測定する振動測定部を具備し、算出部は、測定の結果と、計時された値とから評価値を算出する(付記3)又は(付記4)に記載の検出装置。
(付記7)
計時された値を外部へ送信する通信部を具備する(付記1)乃至(付記6)のいずれかに記載の検出装置。
(付記8)
測定の結果に関する情報を外部へ送信する通信部を具備する(付記6)に記載の検出装置。
(付記9)
評価値を外部へ送信する通信部を具備する(付記3)乃至(付記6)のいずれかに記載の検出装置。
(付記10)
評価値が第2値に達した旨、又は計時された値が第1値に達した旨を外部へ送信する通信部を具備する(付記3)乃至(付記6)のいずれかに記載の検出装置。
(付記11)
作業者に取り付けられるための取付部を具備する(付記1)乃至(付記10)のいずれかに記載の検出装置。
(付記12)
複数の検出装置であって、振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、振動が検出されている時間を計時する計時部と、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部とを有する前記検出装置と、複数の検出装置の少なくともいずれかから送信される情報を管理する管理手段と具備するシステム。
(付記13)
管理手段は、管理する情報に基づき、作業者の作業を管理する(付記12)に記載のシステム。
(付記14)
管理手段は、作業者のシフト、作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を管理する(付記13)に記載のシステム。
(付記15)
管理手段は、管理する情報に基づき、作業者の作業に関する提案をする(付記12)乃至(付記14)のいずれかに記載のシステム。
(付記16)
管理手段は、作業者のシフト、作業者が使用する振動工具、又はこれらの両方を提案する(付記15)に記載のシステム。
(付記17)
所定の周波数の振動を受けると電流を発生する振動発電部と、振動が検出されている時間を計時する計時部と、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する提示制御部とを具備する振動工具。
(付記18)
振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生するステップと、振動が検出されている時間を計時するステップと、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示するステップとを実行する方法。
【符号の説明】
【0113】
1…システム
10…検出装置
11…振動型エナジーハーベスタ
12…コンバータ
13…加速度センサ
14…通信モジュール
15…提示モジュール
16…マイコン
20…管理装置
220…通信部
23…入力装置
231…タッチ・センシティブ・デバイス
24…出力装置
241…ディスプレイ
250…位置情報センサ
260…カメラ
27…音声処理部
271…マイク
272…スピーカー
280…記憶部
290…制御部
【要約】
【課題】効果的かつ正確に作業者による振動工具の使用を管理する。
【解決手段】検出装置は、振動発電部と、計時部と、提示制御部とを具備する。振動発電部は、振動工具から発生される所定の周波数の振動を受けると電流を発生する。計時部は、振動が検出されている時間を計時する。提示制御部は、計時された値に基づき、振動の曝露状態を表す情報を外部へ提示する。
【選択図】
図1