(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】研磨材混合液体研磨装置、それを用いた研磨方法及び研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタ
(51)【国際特許分類】
B24B 31/00 20060101AFI20220603BHJP
B24B 57/02 20060101ALI20220603BHJP
B24B 31/12 20060101ALI20220603BHJP
B29C 33/72 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
B24B31/00 C
B24B57/02
B24B31/12 Z
B29C33/72
(21)【出願番号】P 2017201567
(22)【出願日】2017-10-18
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391006083
【氏名又は名称】三光合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】小林 立雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 篤
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-067902(JP,A)
【文献】特開2003-260653(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170134(JP,U)
【文献】特開2001-353640(JP,A)
【文献】特開2012-248569(JP,A)
【文献】特開2002-001661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 31/00
B24B 57/02
B24B 31/12
B29C 33/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内部に連通して形成された金型中空部の一方の開口部と他方の開口部に連結する一対の研磨材混合液体の貯留タンクと、当該一対の貯留タンクの内圧を交互に増圧する液圧発生手段とを有し、研磨材混合液体が前記金型中空部の内側面を、往復流入出することで前記金型中空部内側面が研磨される研磨材混合液体研磨装置において、前記一対の貯留タンクそれぞれの内側に研磨材混合液体流通パイプと前記研磨材混合液体から砥粒を分離する積層金網フィルタとが配置され、前記研磨材混合液体流通パイプは前記貯留タンクの底部近傍まで先端を延設する態様で前記貯留タンク内の一の開口部に装着されると共に前記積層金網フィルタは前記貯留タンク内の他の開口部に装着されることを特徴とする研磨材混合液体研磨装置。
【請求項2】
前記一対の貯留タンクは鉄枠に載置されると共にその内側に強力永久磁石が配置される請求項1記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項3】
前記研磨材混合液体流通パイプの前記貯留タンクの底部近傍まで延設される先端は斜めにカットされてなる請求項1記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項4】
前記積層金網フィルタは比較的に密な金網フィルタと、比較的に粗な金網フィルタとを積層してなり、前記密な金網フィルタを外側とし、前記粗な金属フィルタを内側として一端を開口部とし、他端を閉止部とした筒状であることを特徴とする請求項1記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項5】
前記密な金網フィルタよりも粗であり、前記粗な金網フィルタよりも密な金網フィルタを前記比較的に密な金網フィルタと前記比較的に粗な金網フィルタとの間に介在させて積層してなる請求項4記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項6】
前記研磨材混合液体は水に防錆剤を加え、さらに潤滑剤が加えられてなる請求項1~請求項5のいずれか一に記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項7】
前記貯留タンクが前記金型中空部と液体流路によって接続される第一の貯留タンクと、この第一の貯留タンクと液体流路によって接続されると共に前記液圧発生手段と液体流路によって接続される第二の貯留タンクとよりなり、この第二の貯留タンク内に前記
積層金網フィルタが収納される請求項1~請求項6のいずれか一に記載の研磨材混合液体研磨装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一に記載の研磨材混合液体研磨装置に適用され、比較的に密な金網フィルタと、比較的に粗な金網フィルタとを積層してなり、前記密な金網フィルタを外側とし、前記粗な金属フィルタを内側として一端を開口部とし、他端を閉止部とした筒状であることを特徴とする研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタ。
【請求項9】
前記密な金網フィルタよりも粗であり、前記粗な金網フィルタよりも密な金網フィルタを前記比較的に密な金網フィルタと前記比較的に粗な金網フィルタとの間に介在させて積層してなる請求項8記載の研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属内部、例えば金型等の冷却又は温調等を目的に形成される流路内部を研磨するのに好適な研磨材混合液体研磨装置、それを用いた研磨方法及び研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1や非特許文献1に示されるように金属の粉末材料に光ビームを照射して得られる焼結層を積層することで、三次元形状を造形する金属光造形の利用が進められている。
この金属光造形で得られる金型ではその焼結層を積層するという造型法に由来して、得られる内側水管内面が粗く、赤錆やスケール堆積による流量不足や詰まりが懸念されるという問題があった。
【0003】
この問題の解決を目的として特許文献2には金属部材内部に連通して形成された中空部の内面研磨装置であって、連通した中空部の一方の開口部と他方の開口部にそれぞれ連結する一対の、研磨材混合液体の貯留タンクと、当該一対の貯留タンクの内圧を交互に増圧する増圧手段とを有し、研磨材混合液体が前記中空部内部を、往復流入出することで中空部内面が研磨される研磨材混合液体研磨装置を用いて、レーザー光造形にて製作された焼結製の光造形金型内部に連通して形成された3次元形状の中空部に研磨材混合液体を強制流入し、中空部内面を研磨するものであり、前記研磨材混合液体中に混合されている砥粒はアルミナであり、平均粒径が90~350μm,砥粒濃度が2~16vol%の範囲であることを特徴とする光造形金型の研磨材混合液体による研磨方法が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-31018
【文献】特許5477739号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Panasonic Technical Journal Vol.62 No.2 Nov.2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された研磨方法では、流体研磨加工時には、貯留タンク内で砥粒と液体とが混合された研磨材混合液体となり、増圧部にも研磨材混合液体が供給される結果、増圧部のシリンダー内面と、ピストンシールが摩耗して増圧シリンダーが故障するという問題があった。
また研磨加工したときに発生した加工金属粉もシリンダー内面やピストンシールに、ダメージを与える問題もある。
本発明は、係る従来技術の問題に鑑み、耐久性が高く工業的に実用化可能な研磨材混合液体研磨装置、それを用いた研磨方法及び研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の研磨材混合液体研磨装置は、金型内部に連通して形成された金型中空部の一方の開口部と他方の開口部にそれぞれ連結する一対の、研磨材混合液体の貯留タンクと、当該一対の貯留タンクの内圧を交互に増圧する液圧発生手段とを有し、研磨材混合液体が前記金型中空部の内側面を、往復流入出することで前記金型中空部内側面が研磨される研磨材混合液体研磨装置において、前記液圧発生手段と前記金型との間の前記研磨材混合液体流路に研磨材混合液体から砥粒を分離する砥粒分離手段が配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明の研磨材混合液体による研磨方法は、本発明の研磨材混合液体研磨装置を用い、金型内部に連通して形成された中空部に研磨材混合液体を強制流入し、中空部内面を研磨する工程と、前記液圧発生手段と前記金型との間の前記研磨材混合液体流路にて砥粒を分離する工程と、前記一対の貯留タンク内で金属屑を吸着する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタは、比較的に密な金網フィルタと、比較的に粗な金網フィルタとを積層してなり、前記密な金網フィルタを外側とし、前記粗な金属フィルタを内側として一端を開口部とし、他端を閉止部とした筒状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の研磨材混合液体研磨装置は耐久性が高く、これを用いた研磨方法は工業的に実用することができる。また本発明の研磨材混合液体研磨装置の砥粒分離用積層金網フィルタは本発明の研磨材混合液体研磨装置及びこれを用いた研磨方法に工業的に実用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の模式図。
【
図2】
図1に示す研磨材混合液体研磨装置の部分拡大図。
【
図3】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部品の斜視写真。
【
図4】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部品の側面写真。
【
図5】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部品の他の側面写真。
【
図6】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部品の別の側面写真。
【
図7】本発明の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部品に用いられる部材の側面写真
【
図9】本発明の他の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の模式図。
【
図10】本発明のさらに他の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置の部分模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
図1、
図2に示す様に本実施の形態の研磨材混合液体研磨装置1は、金型内部に連通して形成された金型中空部2の一方の開口部2aと他方の開口部2bにそれぞれ連結する一対の、研磨材混合液体の貯留タンク3と、この一対の貯留タンク3の内圧を交互に増圧する液圧発生手段4とを有する。この液圧発生手段4は本実施の形態では両ロッド油圧シリンダ4aとこの両ロッド油圧シリンダ4aによって駆動されるピストン4b、パッキン4b-1を配設した液圧発生シリンダ4cとによって構成されるが、エアー圧、電動等液圧を発生することができればこれに限らない。
【0013】
ステンレス製の一対の貯留タンク3のベース(図示せず)は鉄枠とされており、その鉄枠に貯留タンク3が載置される。また一対の貯留タンク3それぞれにはその内側に研磨材混合液体流通パイプ5が貯留タンク3それぞれの底部3a近傍まで先端を延設する態様で設けられ、その各先端5aは斜めにカットされている。
なお
図2に示す様に貯留タンク3それぞれの底部3aはテーパ部3bによって逆台形状にされてなる。
【0014】
この一対の貯留タンク3それぞれにはアルミナである砥粒6が収納され、この砥粒6は貯留タンク3の逆台形状にされてなる底部3a近傍に貯留される。なお、砥粒6の材質には特に制限はなく、コスト、性状等の観点から適宜選択される。
ただし、砥粒6の平均粒径は研磨の対象となる金型中空部2の穴径の1/8~1/12とするのが研磨の効率と、得られる金型中空部2内側面2cの表面平滑度の観点から望ましい。1/8を超える場合には金型中空部2における砥粒6の詰まりが生じやすくなり、一方1/12未満の場合には研磨の効率が低下する。
【0015】
本実施の形態の研磨材混合液体研磨装置1では液圧発生手段4と金型中空部2との間の研磨材混合液体流路7に研磨材混合液体から砥粒を分離する砥粒分離手段8が配置される。
この砥粒分離手段8は貯留タンク3内に収納される積層金網フィルタとすることができ、この積層金網フィルタは液圧発生手段4からの液体流路7の貯留タンク3内開口部7aに装着される。
この積層金網フィルタは例えば5層積層金網フィルタとすることができその最外側の金網フィルタの開口径は40μm程度とされる。またその最外側の金網フィルタに積層される内側の金網フィルタはそれよりも目の粗い、開口径の大きなものとする。本実施の形態では最外側の金網フィルタの内側に最外側の金網フィルタよりも目の粗い、開口径の大きな金網フィルタを3層積層し、さらにその内側にそれよりも目の粗い、開口径の大きな金網フィルタを積層して全体として5層積層金網フィルタとする。その様にした積層金網フィルタは研磨材である砥粒分離の過程で目詰まりはする。しかし係る目詰まりは超音波洗浄で解消することができ、再生使用が可能となる。実施の態様によっては、内側に向かって徐々に開口径の大きな金網フィルタを積層する様にしても良い。
【0016】
一方、積層金網フィルタを使用しないで例えばポーラスフィルタを用いる場合には同様に砥粒分離の過程で目詰まりを生じ、しかも係る目詰まりは超音波洗浄でも解消することができず、ポーラスフィルタを使い捨てにする必要が有りコスト高の原因となる。
また以上のようにして得られた本実施の形態の積層金網フィルタは5Mpaの耐圧を有しており、耐圧が1Mpa程度のポーラスフィルタより耐圧性に優れており研磨材混合液体による研磨方法に必要な研磨材混合液体の流動圧を確保することができ、様々な径の金型中空部2内側面2cを研磨することができる。
なお、積層金網フィルタの積層数は本実施の形態の5層金網フィルタに限定されず、必要となる研磨材混合液体の流動圧等に応じて実験的に適宜決定することができる。
【0017】
図3、
図4は本実施の形態の研磨材混合液体研磨装置1で用いた5層金網フィルタの外観写真であり、
図5の外観写真に示される一端の開口部と
図6の外観写真に示される他端の閉止部とを有する円筒状に形成されてなる。
係る5層金網フィルタは
図7に示す様に最外側の金網フィルタの内側に最外側の金網フィルタよりも目の粗い、開口径の大きな金網フィルタを3層積層し、さらにその内側にそれよりも目の粗い、開口径の大きな金網フィルタを積層して全体として5層積層金網フィルタとし、
図8に示す開口径が最も大きな金網フィルタが内側表面となるように円筒状に巻回してなる。
【0018】
また本実施の形態の研磨材混合液体研磨装置1では
図1、
図2に示す様に一対の貯留タンク3内に金属屑吸着手段9が配置される。この金属屑吸着手段9によって金型中空部2内側面2cを研磨することによって不可避的に発生する金属屑10が吸着される。
この金属屑吸着手段9としては例えば強力永久磁石を用いることができ、市販の表面がメッキにより防蝕されたネオジム-鉄-ボロン系永久磁石を用いても良い。
図2(a)に示す様に貯留タンク3の底部3aには砥粒6が収納されており、砥粒6の上に金属屑吸着手段9を載置する。
【0019】
なおその際、金属屑吸着手段9として市販の表面がメッキにより防蝕された高さの低い扁平な円筒形状のネオジム-鉄-ボロン系永久磁石(磁束密度0.2テスラ)を用いる場合には、
図2(b)に示す様に円筒形状の曲面状にされた外周側を接地部分として載置しても貯留タンク3のベース(図示せず)は鉄枠とされており、鉄枠と金属屑吸着手段9とによって貯留タンク3底部3aを強力な磁力によって挟持する態様で係る設置状態が維持される。この様に金属屑吸着手段9を設置した場合には、金属屑吸着手段9の曲面状にされた外周側上を覆う砥粒6は少量であり、研磨過程において砥粒6の混合液体流通パイプ5への流入が妨げられることはない。
【0020】
一方、
図2(c)に示す様に円筒形状の平面側を接地部分として設置した場合には、金属屑吸着手段9上を覆う砥粒6は多量となり、金属屑吸着手段9に吸着された金属屑10との相互作用が働き、砥粒6の混合液体流通パイプ5への流入が妨げられることが現象的に確認されている。
【0021】
なお、
図2(d)、(e)に示す様に磁束密度0.2テスラの永久磁石を10枚積層して2テスラの磁束密度が得られるようにして用いることもできる。その場合にも
図2(d)に示す様に円筒形状の曲面状にされた外周側を接地部分として載置した場合には、金属屑吸着手段9上を覆う砥粒6は少量であり、研磨過程において砥粒6の混合液体流通パイプ5への流入が妨げられることはない。一方、
図2(e)に示す様に円筒形状の平面側を接地部分として設置した場合には、金属屑吸着手段9上を覆う砥粒6は多量となり、金属屑吸着手段9に吸着された金属屑10との相互作用が働き、砥粒6の混合液体流通パイプ5への流入が妨げられる。
【0022】
研磨材混合液体には金型中空部2の防錆を目的として水に防錆剤を0.5%加えており、これが同時に金属屑吸着手段9である強力永久磁石の防錆剤となる。また、液圧発生手段4である液圧発生シリンダ4cに配設したピストン4bを水で使うとパッキン4b-1が摩耗する。したがってこれを防止するため水に潤滑剤3%が加えられている。
【0023】
以上の本実施の形態の研磨材混合液体研磨装置1を用い、本発明の研磨材混合液体による研磨方法によれば次のようにして金型中空部2内側面2cの研磨を行う。
金型中空部2の一方の開口部2aと他方の開口部2bのそれぞれに連結した一対の貯留タンク3の一方を増圧し、研磨材混合液体を金型中空部2の流路内に強制流入させ、強制流入された研磨材混合液体は他方の貯留タンク3に戻される。その様に一対の貯留タンク3を交互に増圧することで金型中空部2の流路内を研磨材混合液体が往復流入出して、金型中空部2内側面2cが砥粒6によって研磨される。
【0024】
以上の過程で液圧発生側の貯留タンク3の底部3a近傍に貯留された砥粒6は液圧発生に伴い液圧発生側の貯留タンク3の底部3a近傍まで先端を延設する態様で設けられた混合液体流通パイプ5の斜めにカットされている先端5aから効率よく混合液体流通パイプ5を介して金型中空部2の流路内に流入し、金型中空部2内側面2cを研磨する。
【0025】
一方、減圧側の貯留タンク3内には減圧側の貯留タンク3に取り付けられた混合液体流通パイプ5を介して金型中空部2を通過した研磨材混合液体が流入する。さらに減圧側の貯留タンク3に流入した研磨材混合液体は砥粒分離手段8及び減圧側の液体流路7を介して減圧側の液圧発生シリンダ4cに流入する。
その際、研磨材混合液体中の砥粒6は砥粒分離手段8によって分離され、砥粒分離手段8に連通する減圧側の液体流路7及び減圧側の液圧発生シリンダ4cに流入することはない。
また金型中空部2内側面2cを研磨することによって不可避的に発生する金属屑10は研磨材混合液と共に減圧側の貯留タンク3内に流入し、貯留タンク3内を沈降して金属屑吸着手段9によって吸着される。
【0026】
図9は本発明の他の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置21を示す。本実施の形態では先の実施の形態の貯留タンク3が金型中空部2と液体流路7によって接続される第一の貯留タンク22と、この第一の貯留タンク22と液体流路7によって接続されると共に液圧発生手段4と液体流路7によって接続される第二の貯留タンク23とよりなり、この第二の貯留タンク23内に砥粒分離手段8が収納される。
この実施の形態の研磨材混合液体研磨装置21によれば、砥粒6が貯留される第一の貯留タンク22よりも砥粒6の濃度が軽減される第二の貯留タンク23内に砥粒分離手段8が収納される結果、砥粒分離手段8の早期の目詰まりを防止することができ、研磨材混合液体による研磨方法のサイクルタイムを向上することができる。
【0027】
図10は本発明の他の実施の形態の研磨材混合液体研磨装置31を示す。本実施の形態では先の実施の形態の貯留タンク3内に複数の砥粒分離手段8が収納され、液圧発生シリンダ4cからの液体流路7がこれに応じて複数とされる。これによって実質的に液体流路7を径を大きくすることができ、研磨材混合液体を金型中空部2の流路内に強制流入させる流動圧を高くすることができる。理想的には液体流路7はその径を実質的に太くし、金型中空部2近傍で細くするのが研磨効率の向上に有効となる。
【符号の説明】
【0028】
1・・・研磨材混合液体研磨装置、2・・・金型中空部、3・・・貯留タンク、6・・・砥粒、5・・・混合液体流通パイプ、8・・・砥粒分離手段、9・・・金属屑吸着手段。