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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】研米用脱脂糠再生装置及び研米装置
(51)【国際特許分類】
   B02B 5/02 20060101AFI20220603BHJP
   B02B 3/00 20060101ALI20220603BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
B02B5/02 107
B02B3/00 E
B02B7/00 Z
B02B7/00 104Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018076461
(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2019181384
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】516175180
【氏名又は名称】犬木 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】犬木 照夫
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-036522(JP,Y1)
【文献】特開2010-284575(JP,A)
【文献】特開2001-327881(JP,A)
【文献】特開平06-226119(JP,A)
【文献】特開平09-103689(JP,A)
【文献】特開2002-248359(JP,A)
【文献】特開2000-042431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置を備えた、脱脂糠を研米材とする研米装置であって、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置は、上方から下方に順に配置されており、
米糠選別篩は、研米層で脱脂糠を用いて精米を研米した研米処理後の脱脂糠と米を選別する米糠選別篩であって、研米層から研米処理後の米と脱脂糠を受け入れる有孔筒体と、該有孔筒体の内部に送風機構が設けられており、
脱脂糠再生装置は、米糠選別篩で米と分離された使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、
使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転軸を有する回転機構を備えていること、
を特徴とする研米装置。
【請求項2】
米糠選別篩の送風機構は、回転板であることを特徴とする請求項1記載の研米装置
【請求項3】
研米槽と米糠選別篩の送風機構の回転板は、共通の回転軸であることを特徴とする請求項2記載の研米装置。
【請求項4】
精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後に米と分離された使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、
使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転軸を有する回転機構を備えていることを特徴とする脱脂糠再生装置。
【請求項5】
筒形篩の内部には、有孔筒体及び/又は回転傾斜板を備えていることを特徴とする請求項記載の脱脂糠再生装置。
【請求項6】
筒形篩は、下端側に穴が設けられていないことを特徴とする請求項又は記載の脱脂糠再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米を原料とし、これを更に研米する装置に関する。本発明は、水を使わずに研米して清浄米(「精白米」と称される場合もある)あるいは無洗米を乾式法によって製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
精米した白米の表面には精米機では取りきれない粘性のヌカ(「澱粉」又は「肌糠」とも言う)が残っている。お米をとぎ洗いすることで、このお米の表面についているヌカが洗い落とされ、おいしいご飯になる。お米をとぎ洗いするという手間をなくしたのが無洗米である。無洗米は、洗う必要のない衛生的(きれい)なお米である。袋からお米を出して、水を注ぎ、すぐご飯を炊くことができる。
無洗米を製造する方法として、水を使ってヌカを米の表面から除去して乾燥させた湿式法、水を使わずに研米材などを使用してヌカを落とす乾式法などがある。研米材を使用せず水を利用して精米を水中で摩擦させて研米するいわゆる水洗する湿式法が現在の無洗米の製造方法の主流となっている。しかし、この方法の欠点は食味の低下や精米の劣化等の問題があるが、特筆すべきはカビ等の発生である。
本出願人は、乾式法による無洗米の製造法及び装置に関する発明を提案してきた。即ち、特許第2958885号公報「清浄米製造装置及び製造方法」(特許文献1)、特許第4451006号公報「脱脂糠を用いた清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献2)、および特許第4153844号公報「研米方法、研米装置、研米材並びに無洗米の製造方法及び無洗米製造装置」(特許文献3)である。
これらの発明は、研米材として脱脂糠に注目して、精米に残っているヌカを取り除こうとするものである。精米と研米材を混ぜ合わせて攪拌することにより、お米の表面に残っているヌカと脱脂糠を接触させるために、回転軸に回転体を装着して攪拌研米する方法である。この研米技術は、研米材が精米と精米の間に介在しながら一体となって回転するものであって精米の濁度を十分に下げる程度まで研米するには、長時間を必要とするなど、改良の余地があった。
【0003】
特許文献1は、原料精米に、脱脂糠とナット状の加圧材とを配合し、これらの配合物を回転ドラムに投入し、回転攪拌処理し、清浄米、加圧材、並びに清浄材を選別し、米粒に付着する微粉を除去して、無洗米である清浄米を製造する発明である。
特許文献2は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、加圧材を用いることなく被処理米と脱脂糠を配合して清浄米を製造する製造装置であって、研米手段と装置構成に改良を加えたものである。
特許文献3は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体の間隔に米粒と脱脂糠とを供給して米粒を摩擦研米する発明である。
【0004】
脱脂糠は、脱脂されているので精米の表面にある脂質を含むヌカを吸着しやすいこと、強く擦っても米に傷をつけない硬さであること、含水率が米と同程度に調整しやすく米と混ざっても米を乾燥することなく乾燥割れを防止できること、米から得られる天然素材なので安全な材料であること、大量に安価に得られることなどの特徴があって米と馴染みが良いので本発明者が、注目してきたオリジナル研米材である。米と馴染みが良いことは米の表面に付着して、逆に落ちにくいものでもある。 本発明者は、脱脂糠と精米を効率よく接触させ、摩擦して、精米に残存する澱粉を脱脂糠に付着させて除去する方法と装置を開発してきた。脱脂糠を米の表面に押しつける手段と装置を特許文献4に提案し、使用済みの脱脂糠を循環使用することを特許文献4、5に提案している。
特許文献4(特許第4738427号公報)は、間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体の間隔に米粒と研米材とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法であって、研米材として、脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を用いることを特徴とする研米方法あるいは無洗米の製造方法である。
特許文献5(特許第5261294号公報)は、研米材を再利用する手段として、一次篩と分級機を利用した二段階で再生する装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2958885号公報
【文献】特許第4451006号公報
【文献】特許第4153844号公報
【文献】特許第4738427号公報
【文献】特許第5261294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンパクトな研米装置を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置を備えた、脱脂糠を研米材とする研米装置であって、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置は、上方から下方に順に配置されており、
米糠選別篩は、研米層で脱脂糠を用いて精米を研米した研米処理後の脱脂糠と米を選別する米糠選別篩であって、研米層から研米処理後の米と脱脂糠を受け入れる有孔筒体と、該有孔筒体の内部に送風機構が設けられており、
脱脂糠再生装置は、米糠選別篩で米と分離された使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、
使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転軸を有する回転機構を備えていること、
を特徴とする研米装置。
(2)米糠選別篩の送風機構は、回転板であることを特徴とする(1)記載の研米装置。
(3)研米槽と米糠選別篩の送風機構の回転板は、共通の回転軸であることを特徴とする(2)記載の研米装置。
)精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後に米と分離された使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、
使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転軸を有する回転機構を備えていることを特徴とする脱脂糠再生装置。
)筒形篩の内部には、有孔筒体及び/又は回転傾斜板を備えていることを特徴とする()記載の脱脂糠再生装置。
)筒形篩は、下端側に穴が設けられていないことを特徴とする(4)又は(5)記載の脱脂糠再生装置。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明の研米装置は、研米槽と米糠選別篩と脱脂糠再生装置をいずれも縦回転の装置として、上下に並べることによって、米や糠を落下方向に連続的に処理することができ、省力化とコンパクト化を実現した。
2.縦軸を備えた回転板を有する米糠選別篩を使用することにより、縦回転軸を備えている研米槽と回転軸を共通にすることができ、モータを共通化できる。
3.米や糠を落下運動させながら処理することを実現するために、米糠選別篩では、研米槽の出口から排出される米と糠の混合物を縦回転板で発生する風によって吹き飛ばすことにより、重い米は下方に落下するか有孔筒に当たって落下する。軽い糠類は、有孔筒の孔から排出されて、米と糠が分けられる。有孔筒に形成される孔は、米が通過しないが、糠が通過する程度の大きさに設定される。
回転板は、風を起こす羽の機能であり、落下する米が板に当たって跳ね飛ばされることもあるが、有孔筒があるので、有孔筒から飛び出ることはなく、落下する。さらに、回転軸から空気を噴出させるなど、中心部から送風することによって、軽量な糠を吹き飛ばす作用を増強することができる。この場合、例えば、回転軸は中空パイプとし、軸端から空気を送り込む。
この選別は、基本的には重力選別であって、重い米を近くに落下させ、軽い脱脂糠を外側に飛ばすものである。有孔筒は、回転板などで飛ばされる米を回収することが主である。分離された米部分に混在する脱脂糠は、後工程の仕上げ篩で取り除かれる。
4.脱脂糠再生装置は、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される篩孔を備えた筒形篩を備えている。
分離部の外筒体は一方に送風部と他方に吸引部があって、吸引部から細かな肌糠や部粉化した脱脂糠を吸い出す構成である。外筒体内に配置された篩孔を備えた筒形篩は篩機能である。篩孔は、再利用する脱脂糠の通り抜けを防止する大きさの孔である。回転する筒形篩を使用済み脱脂糠は降下して、降下途中で、吸引と送風を受けて、吸引側では細かい成分を通過させる。吸引側で筒形篩の篩孔が目詰まりなどしても、送風側で吹き飛ばされて吸引側に移動する間に散乱して、吸引側で細かい組成が排出されるという動作を繰り返して、再利用可能な脱脂糠に生成される。繰り返し篩作用を受けるので、再利用に供される脱脂糠の品質が向上する。
使用済み脱脂糠には肌糠などの付着力の強い微粉が含まれていて、脱脂糠同士が塊になることや筒形篩の篩孔に詰まることとなるので、塊を分解すること及び筒形篩の篩孔の目詰まりを防止して篩機能を維持することが重要になる。本発明の脱脂糠再生装置の分離部は、筒形篩を回転させながら、吸引と送風に曝すことによって、吸引側で目詰まりしても、送風に曝されてクリーニングされて篩機能が再生されることとなる。
つまり、回転する筒形篩を縦型にして、送風と吸引によって常時クリーニング機能を持たせたので、付着力の強い肌糠などの成分があっても、篩機能を維持することができる。また、脱脂糠も風に乗って左右に移動する間に散乱してほぐされることとなる。したがって、脱脂糠再生装置では、円筒形の篩を縦回転させて用いた目篩として機能する。
さらに、本発明では、脱脂糠の塊の分解を促進する手段として筒形篩の内部に有孔筒体を同心円状に配置することや筒形篩の内側に傘上の回転傾斜板を配置している。
同心円状に筒形篩の内側に配置された有孔筒体を設けることによって、脱脂糠の塊が有孔筒体を通過して分解が促進される。有孔筒体の孔の径は、外側の筒形篩の篩孔の径よりも大きくする。
脱脂糠は、回転傾斜板の傾斜に沿って転がって昇降して、その間に分解が促進される。
傘上の傾斜回転板は、有孔筒体と組み合わせて用いることができる。
5.筒形篩の下部側に孔を設けずにめくらとすることにより、送風、吸引作用を受けない部分を形成して、再生用脱脂糠の落下を促進して、回収を促進する。
6.本発明の研米装置において、これらの工夫された米糠選別篩と脱脂糠再生装置は、研米槽と上下に組み合わせることに適しており、縦一列にして、研米装置全体に高さを低くし、場所をとらず、省スペース、省エネでかつメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】研米装置概略図
図2】米糠選別篩
図3】脱脂糠再生装置
図4】新脱脂糠混入機構の例
図5】実施例2の研米装置を示す図
図6】脱脂糠再生装置用筒型篩の例2
図7】脱脂糠再生装置用筒型篩の例3
図8】脱脂糠再生装置用筒型篩の例4
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、脱脂糠を研米材として米粒への接触作用、即ちこすり合わせて、米粒の表面に残っているヌカ分(「澱粉」又は「肌糠」)を引き剥がし、このヌカ分を脱脂糠から効果的に除去する研米装置であって、コンパクトな研米装置を発明したものである。 研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置を縦回転型とし、上方から下方に順に配置した研米装置である。また、特に、縦型回転する、米糠選別篩、脱脂糠再生装置を開発して、これらの3種類の装置を上下に配置することを実現した。
【0011】
1.研米材を用いる研米方法は、米粒の表層を削り取るのではなく、精米後の米粒に残存するヌカ(「ヌカ」は、精米表面に残っている米糠を意味し、澱粉質を多く含み肌糠とも言われている。精米時に出る糠と区別するために本発明細書では「肌糠」と称する。本出願明細書では、精米を研米して分離される成分を肌糠と称し、この肌糠(「澱粉」などの剥離した微粉材を含んでいる。)を引き剥がすために、研米材を用いるものである。たとえて曰く、米粒の表面を米から得られた糠で拭き取り磨きをする様な行為である。糠から油成分を除去して得られた脱脂糠が研米材に使用される。研米材として脱脂糠を用いる研米方法は、多量の米を短時間に処理する効率性を有し、各米粒の表面に磨きを掛けてきれいにでき、精米を研米して、米粒表面からにヌカ分などを除去して、炊飯時に洗米の必要のない程度に清浄にできる。
2.研米槽からは米粒と研米材が混在した状態で排出され、これから米粒を選別して回収して、仕上げ篩をして清浄米を回収する。米粒の回収に際しては、米粒は研米材である脱脂糠や肌糠より重いので、混在物を落下させながら水平風を送ることによって、重い米粒を下方に落下させ、軽量物を遠くに飛ばして分離選別することができる。本発明では、米と研米材等を分離する縦型の筒状体を提案している。
3.研米処理に用いる脱脂糠の量は、嵩にして米と同程度の量が用いられるので、廃棄せずに循環利用することは研米装置の開発にあたっては重要な要素技術である。本出願人は、脱脂糠から効果的に澱粉を除去して、脱脂糠を再生し循環使用できる装置を開発して、研米度を向上した清浄米を生成する研米装置を提供している。本発明で提供する清浄米は、「無洗米」が市場で流通しており、「無洗米」として(社)日本精米工業会の定義にしたがっている。本発明では、縦筒形の篩を用いて、脱脂糠を再生する装置を提案している。
【0012】
<基本構成例>
本発明の基本構成は次のとおりである。
原料精米と脱脂糠を研米槽に投入し、研米槽内で両者を摩擦して精米に付着している澱粉質の多い肌糠を脱脂糠に付着させて精米から引き剥がして、脱脂糠に付着させて研米槽から排出し、その後精米は清浄米として分離され、さらに夾雑物を取り除いて清浄米として回収される。一方、清浄米以外の脱脂糠等は、摩滅して細かくなった脱脂糠や肌糠を取り除く再生処理を施して再利用する脱脂糠として精製される。
研米装置の機器構成は、前述のとおり、本出願人が提案した特許第4153844号公報、特許第5261294号公報に開示した装置を使用できる。
【0013】
本出願で提案する研米装置の主要構成要素は、研米槽と米糠選別篩、脱脂糠再生装置である。
研米槽は、既に提案したものである。
【0014】
[研米槽]
脱脂糠を研米材とする研米方法は本出願人が提案した特許第4153844号公報や特許第5261294号公報に開示した方法、装置を基礎としている。縦型の研米槽は特許第5261294号公報に開示している。
縦に設けた円筒型であって、間隔を開けて配置した円筒体に設けた抵抗体と、回転軸に設けた回転体を備えた研米槽内を、投入した精米が上方から下方に移動させつつ、2つの物体間隔に米粒と研米材(脱脂糠)とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法である。
研米槽に収納した精米と脱脂糠を回転攪拌することによって精米を研米する装置であって、研米槽の筒形の研米容器内壁に長さ方向に間隔を空けて固定して設けられた複数本の抵抗体と、研米容器内に該間隔に対向して棒状体の研米棒を配置し、研米容器と研米棒とは、相対移動するように構成された研米機を備えた研米装置である。
【0015】
[米糠選別篩]
米糠選別篩は、精米と研米材である脱脂糠を混合して研米槽で研米した後に清浄米と研米材を分別する装置である。
本発明で用いる米糠選別篩は、研米槽からでた研米処理物を落下させながら、風を当てて比重の小さいものを分離する風選手段を利用する。
米糠選別篩の機構は、縦型の有孔筒体と、有孔筒体の内部から外方に向けて風を発生させる起風装置とを備えている。有孔筒体の孔の大きさは、米粒よりも小さく設けられている。研米槽から放出された研米処理物が有孔筒体の上方から投入され、研米処理物が有孔筒体を落下しながら外に向かう風にあたることにより、脱脂糠等の軽い物質(粉粒体)は有孔筒体の孔を通過して外方に放出され、重い米は有孔筒体の下方へ落下することによって、米と脱脂糠(粉粒体)を分離する装置である。なお、この米糠を選別する篩では、落下回収する米成分に多少の糠成分が混じることは許容される。ここで分離された米成分は、後工程で、糠成分を分離させて清浄米として回収される。
有孔筒体があることによって、米粒を筒体内壁に当てて落下させて回収できることとなり、米と糠の選別に必要な面積を大きくする必要がない。
有孔筒体は、米粒よりも小さく、脱脂糠よりも十分に大きな孔を設けた筒体であり、ステンレスなどの金属、プラスチックなどの素材を利用することができる。孔を設けた材料としては、パンチングメタル、網目状のメッシュ体などを利用する。有孔筒体の孔は、脱脂糠よりも十分に大きな径を備えているので、目詰まりすることなく脱脂糠を通過させることができる。
【0016】
起風装置としては、有孔筒体の中に回転板や中心部に設けた送風パイプから空気を吹き出す装置等を利用する。回転板は、回転するうちわ機能を発揮するが、米粒を跳ね飛ばすことがあり、跳ね飛ばされた米粒は有孔筒体の内壁にあたって、落下することとなる。
有孔筒体を回転させる必要はないが、回転させることによって、遠心力を発揮させて、目詰まりの予防を発揮させることもでき、さらに、外側からブラシを当てて、クリーニングすることも可能となる。
メッシュ体を張った円筒体と、円筒体の中心に設置した送風器を備えており、円筒体の上方から研米処理物を落下させると、軽い脱脂糠等が飛ばされて円筒体のメッシュから外へ排出され、重い清浄米が円筒体の底部に落下する。
清浄米は、さらに仕上げ篩を行って、完成された清浄米とする。
脱脂糠は、さらに再利用するために脱脂糠再生装置によって、再生脱脂糠とする。
【0017】
[脱脂糠再生装置]
脱脂糠再生装置は、研米に使用された脱脂糠を再利用するための装置である。
研米槽を出た精米は、研米された清浄米(米粒)と使用済みの脱脂糠と摩耗した脱脂糠や精米から剥落した肌糠(澱粉)などの微粉が混じった状態となって米糠選別篩に入り、米糠選別篩内で清浄米と肌糠や脱脂糠などが分離される。
使用済みの脱脂糠は、研米過程で摩耗や破壊されて細かくなったもの、研米処理にて原料精米から剥離させた澱粉質が多いヌカ(肌糠)等が混入しているので、これらの肌糠や細かくなった脱脂糠などの微粉を除去して再利用できる脱脂糠にする装置が脱脂糠再生装置である。
本発明の脱脂糠再生装置の構成は、精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、分離部は、縦型の外筒体と、外筒内に配置される、多数の小孔を有する回転する有孔筒体及び/又は回転傾斜板とを備え、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備えている。
【0018】
分離部は、縦型の円筒形であって、外筒体と筒形篩を備えている。
外筒体は、対向する位置に送風部と吸引部が設けられており、送風部に送風装置、吸引部に吸気装置が接続されている。もしくは、送風装置あるいは吸気装置の一方でも良い。
【0019】
筒形篩は、パンチングメタルやメッシュスクリーンなどに設けられた小孔を篩孔として形成された回転する筒体である。孔の大きさは再利用する脱脂糠が通り抜けできない大きさである。筒形篩は、廃棄する小さな材を通過させ、再利用する大きさを備えた脱脂糠を通過させずに回収する機能を発揮する。この筒形篩は、目篩の機能を果たしている。筒形篩は縦型であるので、水平方向に選別対象物を送る必要があり、外筒体に対向して設けられている送風口と吸引口によって生ずる水平方向の風に乗せて、選別対象物である前工程で分離された研米材等(脱脂糠等)を水平方向に送っている。なお、ここでいうところの「水平方向に送る」とは、縦型の筒形篩の断面方向に一方から他方に流すことであって、完全に水平を意味しておらず、斜め移動も伴うものである。さらに、上から投入して下方から回収する機構であるので、回収される大きさの脱脂糠は徐々に下降することとなる。
そして、筒形篩は回転するので、外筒体の吸引口側で、一旦筒体の内壁にへばりついた脱脂糠等は送風側に回転移動したときに吹き飛ばされ、再度選別されることとなる。したがって、この縦型の筒形篩を回転させて、一方から他方に向けて送風することによって、篩作用が繰り返され、選別精度が向上することとなる。
また、筒形篩に設けられた篩孔が詰まっても、回転して送風側に回ったときに吹き飛ばされて、詰まりが解消されるというクリーニング機能も発揮される。
【0020】
筒形篩にはさらに内部構成として、有孔筒体や回転傾斜板を設けることができる。
筒形篩における選別対象物は、研米に使用された研米材である脱脂糠と精米から剥離した肌糠等で構成されており、特に肌糠は付着力があるため、脱脂糠同士を付着させて塊が生じている場合がある。この塊をほぐして篩の選別性能を発揮させるために、これらの有孔筒体や回転傾斜板を設ける。有孔筒体に設けられる孔は、篩機能ではないので、篩目と同じかそれより大きい孔とする。
有孔筒体は、パンチングメタルやメッシュスクリーン、金網などを使用して筒体に形成する。有孔筒体は筒形篩と同心円状に配置され、回転される。回転に伴い、送風と吸引を繰り返し受けることとなるので、ほぐし効果も上がる。有孔筒体は、複数設けることもできる。また、有孔筒体には、空き空間と有孔板とを配置するなど大きな空間を設けて、空気流の強弱や乱流を形成することもできる。
【0021】
回転傾斜板は、円錐体等の形状であり、孔の無い板体あるいは有孔板を素材として用いることができる。送風側で脱脂糠等を傾斜板の傾斜に沿って吹き上げる作用を及ぼすことによって、ほぐし効果を奏することができる。回転傾斜板には孔を設けて、風や脱脂糠、微粉を孔から通過させてほぐし機能を発揮させることができる。
回転傾斜板は多段に配置して、ほぐし作用を多段階に発揮させると供に、脱脂糠等の落下スピードを緩和し、縦置きした円筒篩による篩作用回数を増加することができる。
設ける板体の数は、任意であって、傘上に傾斜している板体によって、使用済み脱脂糠などの回転挙動に変化が起こり、分散とばらけが生じて、選別効率が向上する。さらに、板体の上面に多数の突起や孔を設けることにより、使用済み脱脂糠などが衝突して分解して、分散することを補助する。突起は、細い針状体や三角棒が好ましい。
【0022】
有孔筒体と回転傾斜板は単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0023】
図1に実施例1に関する研米装置の例を示す。
研米装置100は、上から研米槽1、米糠選別篩2、脱脂糠再生装置3が順に並んだ垂直に配置された装置である。側方に脱脂糠供給系4と精米供給系5が配置されている。また、清浄米回収系9が側方に設けてあって、米糠選別篩2の下方から清浄米回収系9に向けて米が送り出される。脱脂糠再生装置3の下部から再生された脱脂糠が脱脂糠供給系4に供給され、途中で新脱脂糠が補給される。研米槽1に供給される精米は精米供給系5の下方に設けた精米貯留槽53から供給される。そして、研米槽1の上方に精米ホッパー52と脱脂糠ホッパー42が設けられている。
研米槽1の回転軸11は研米軸回転モーター12で回転される。本例では、研米軸回転モーター12の駆動力は米糠選別篩2の軸も回転させることとなっている。
【0024】
精米及び脱脂糠の処理は次のようになされる。
精米貯留槽53から揚穀筒51を経て上部の精米ホッパー52に精米Aが一旦貯められる。一方、研米材である脱脂糠Bは、最初は新脱脂糠貯留槽43に貯められている新脱脂糠Hが揚糠筒41を上昇して上部の脱脂糠ホッパー42に一旦貯められている。
精米Aと脱脂糠Bは所定割合になるような分量をそれぞれのホッパーから研米槽1に供給され、研米処理されて、米粒と脱脂糠と精米から剥離した肌糠等が混在した研米処理物Cが研米槽1の下部にある排出口16から排出され、そのまま米糠選別篩2に入り、米糠選別篩2において、米粒が分離されて素清浄米Dと粉粒体Eに分離される。
素清浄米Dは清浄米回収系9に移されて、仕上げ工程で屑米I等を分離して清浄米Fに仕上げられる。
研米に使用された脱脂糠、精米から剥離した肌糠などが混在している粉粒体Eは、脱脂糠再生装置3で処理されて、再利用可能な大きさの再生脱脂糠Gと、肌糠や摩耗して微粉化した脱脂糠などの混在した肌糠等微粉J1、さらにシフターから排出される肌糠等微粉J2が分離される。再生脱脂糠Gは、揚糠筒41の下方に供給され、途中で不足分として新脱脂糠が補充されて、上部の脱脂糠ホッパー42に供給される。これによって脱脂糠は循環使用されることとなる。
【0025】
[研米槽]
研米槽1は、容器である槽10、回転軸11、研米軸回転モーター12、抵抗体13、研米棒14、投入口15、排出口16を備えている。
精米Aと脱脂糠Bを槽10の上方に設けられている投入口15から投入し、槽10内で精米Aと脱脂糠Bとを回転攪拌して研磨し、槽10の下方に設けられた排出口16から研米処理されたものを排出する研米槽1であって、槽10内には、槽10の内壁に取り付けた複数本の抵抗体13と回転軸11に設けた研米棒14を配置してある研米槽1である。槽内で研米棒14を回転させることと、抵抗体13の抵抗作用で、精米の移動を制限しつつ精米と脱脂糠を擦り合わせて研米作用を行うように構成された研米槽である。
【0026】
[米糠選別篩]
米糠選別篩2は、研米槽1から出た研米処理物Cを落下させながら、風を当てて脱脂糠などの比重の小さいものを分離する風選手段を利用して選別する装置である。
米糠選別篩2の詳細例を図2に示す。
米糠選別篩の全体構成は図2(a)に示され、米糠選別篩2は、有孔筒体21、送風機構22(回転板27)、回転軸(送風筒)23、有孔筒絞り端24、筐体25、米送り出し筒26、受け入れホッパー28、下部開口29を備えている。
断面構成が図2(b)に示されている。断面は中心に回転軸23が有り、回転軸23に回転板24が設けられている。回転軸23と同心円状に孔21bが設けられている有孔筒体21とその外側に筐体25が配置されている。回転軸23は、研米槽1の回転軸11と共通化あるいは、回転軸11の回転に連動させる機構とすることができる。本例では、共通軸として表している。
回転板27は回転することによって団扇の機能を発揮して、風を周囲に送って送風機能を発揮する。回転軸23を多数の孔を設けた筒体として、この筒体に送風することにより、空気吹き出し筒として使用する送風機能を発揮させることができる。送風機構は、回転板27とこの空気吹き出し筒となる回転軸23の双方あるいはどちらか一方を利用することができる。
【0027】
有孔筒体21の素材例を図2(c)に示す。この有孔素材21aはパンチングメタルである。孔21bは米粒の大きさよりも小さく、脱脂糠よりも大きいものを選択する。風選を利用しているが、回転板ではじかれる米粒があるので、遮蔽板の役割を果たすようにしてある。また、米粒を筒体内壁に当てて落下させて回収できるので、米と糠の選別に必要な面積を大きくする必要がなく、遮蔽板の機能を積極的に利用することにより、有孔筒体の径を小さくすることができる。有孔筒体21は、固定タイプあるいは回転軸に取り付けた回転タイプを採用することができる。
有孔筒体の素材例は、耐久性を優先してパンチングメタルにしてあるが、プラスチック製も可能である。プラスチックの場合は、耐久性に劣るものの頻繁に交換して、使い捨てにすることも可能である。したがって、ステンレスなどの金属、プラスチックなどの素材を利用することができる。孔を設けた材料としては、パンチングメタル、網目状のメッシュ体などを利用する。有孔筒体の孔は、脱脂糠よりも十分に大きな径を形成して、目詰まりすることなく脱脂糠を通過させる。
【0028】
米糠選別篩2は、縦型の有孔筒体21と、有孔筒体21の内部から外方に向けて風を発生させる送風機構22、及び有孔体21を包む筐体25とを備えている。有孔筒体21の孔21bの大きさは、米粒よりも小さく設けられている。研米槽1から放出された研米処理物Cを有孔筒体21の上方に設けた受け入れホッパー28から受け入れられる。研米した穀粒と脱脂糠などが混じった研米処理物Cは、有孔筒体21内を落下しながら送風機構22(回転板27あるいは送風筒23)で作られた外に向かう風にあたって、脱脂糠等の軽い物質(粉粒体E)は有孔筒体21の孔21bを通過して外方に放出され、重い米粒は有孔筒体21内を落下して有孔筒絞り端24に集められ素清浄米Dとなり、米送り出し筒26に回収されて清浄米回収系9に送られる。一方、有孔筒体21の孔21bから外に出た脱脂糠等の軽量成分である粉粒体Eは、筐体25の下部開口29を通過して脱脂糠再生装置3へ投入される。
【0029】
起風装置としては、回転板27を回転軸23に取り付けた団扇機能を発揮させた送風機構22や吹き出し孔を多数設けた筒体を回転軸23とした送風機構などによって構築することができる。回転板27と送風筒23は単独あるいは単独で不十分な場合は双方を利用することができる。
【0030】
[脱脂糠再生装置]
本例の脱脂糠再生装置3の例を図3に示す。
脱脂糠再生装置3は、研米に使用された脱脂糠を再利用するための装置である。
図3(a)は全体構成図を示している。脱脂糠再生装置3は、外筒体6と外筒体6の内側に配置される筒形篩7と再生された脱脂糠を脱脂糠供給系4に送るシフタ―36を備えている。外筒体6の上方には投入口33(米糠選別篩2側の下部開口29と共通)が設けられている。
脱脂糠再生装置3では、投入口33に供給された粉粒体Eは、筒形篩7を通過して肌糠等微粉J1が分離され、さらに、シフター36で肌糠等微粉J2が分離されて、精製された再生脱脂糠Gとなって、脱脂糠供給系4に提供される。
【0031】
図3(b)に外筒体6を示す。外筒体6は、筒形篩7の周面を覆う筐体60と筐体60の一方の側面に送風部61、他方の側面に吸引部62を備えている。底面には底板34があり、底板34には回転軸31を通す穴と、底面の一部に再生脱脂糠を落下させる排出口35が設けられている。図示では排出口35をスリットで表しているが、底板34の一部又は全体をメッシュ材として、排出する面積を調整できる。この排出用の開口部の設計は、風の流れが関係するので、シャッターを設けて開口面積を調整する構成を付加できる。
上面は開口となっている。上面の開口部も、空気が吹き出さないように開口部形や開口面積を考慮する。送風部61から吸引部62に向けて横風63が発生することとなる。
脱脂糠再生装置3における空気の流れは、吸引側にファンなどの動力を設けると、篩作用を発揮するので、吸引装置が必須である。しかし、脱脂糠再生装置3の上面は開口しているので、落下する脱脂糠等全体を吸引するのは難しく、選別性能としては芳しくない。さらに送風部を加えて、積極的に送風側から吸引側へ向かう空気流を作ることによって、落下する脱脂糠等を水平方向に流すことができ、選別効果を向上させることができる。したがって、送風と吸引は対になっていることが適切である。
【0032】
図3(c)に筒形篩7を示す。円筒形の筒形篩71を縦型として、回転させて用いている。「円筒篩7」は機構を表し、「円筒篩71」は篩目の筒体を表している。回転軸31が中央にあって、この回転軸31に円筒篩71が取り付けられている。上方の米糠選別篩2から供給される脱脂糠等は外筒体に設けられている送風部61から吸引部62に向けて流れる横風63に乗って縦型に設けられた円筒篩71の目で選別される仕組みである。
円筒篩71は回転するので、篩機能部分は常に更新される。また、吸引部62からそれると風圧が弱くなり、篩内面に付着した脱脂糠が落下して回収することができる。さらに、回転して円筒篩71の送風部61に面する部分は、該面側から強い風に曝されて、目詰まりや目に付着した物質が吹き飛ばされてクリーニングされた状態となる。したがって、円筒篩71は回転しながら横風に曝されることによって、縦型であっても、篩機能を発揮でき、クリーニング作用、回収機能を効果的に発揮できることとなる。
さらに、円筒篩71の下部側に篩目のないめくら部72(めくら、あるいは微小メッシュ材)を設けて、風あたりを軽減することにより、脱脂糠の回収性を向上させることができる。
沈下した脱脂糠を外筒体の底板34から排出口35へ導くスクレーパーを円筒篩71の下端に設けることもできる。その場合、回転軸31にスクレーパーを取り付けると効率的である。
【0033】
円筒篩71に用いる篩素材を図3(d)に示す。
この円筒篩71に使用される篩目は脱脂糠よりも小さい開口である。丸い穴や縦長の穴などが形成されたパンチングメタルを例示してある。素材はステンレスが耐久性があって、衛生面や破損の面でも最適である。プラスチックも十分に使用することができる。
【0034】
シフター36は篩機能と送り機能を備えており、微粉を廃棄することができ、振動しながら再生脱脂糠一定量を脱脂糠供給系に供給することが可能である。本発明者が提案した特許第4738427号公報において採用した振動フィーダーと同様の行動である。
【0035】
[脱脂糠供給系]
シフター36から再生された脱脂糠が脱脂糠供給系4に供給される。途中で新脱脂糠が補給される。脱脂糠供給系4(図1参照)に利用される揚糠筒41はパイプの内部に螺旋軸の回転を用いた搬送手段などを用いることができる。この他、脱脂糠の送り装置として、精米装置などで用いられている穀粒搬送に用いられている装置を利用することができる。
脱脂糠は消耗するので、再生脱脂糠Gに新しい脱脂糠Hを新脱脂糠貯留槽43から供給する。供給量は、脱脂糠ホッパー42に設けたレベルセンサー45で制御することや、シフター36から供給される再生脱脂糠Gを検知して不足分の新脱脂糠Hを追加することができる。これらの新脱脂糠Hを補給する新脱脂糠混入機構44はすでに提案した特許第4738427号公報、特許第5261294号公報に開示した技術を利用することができる。
例えば、特許第4738427号公報に開示されている新脱脂糠混入機構を例として、図4に示す。この例示の機構は、シフター36から揚穀筒41に移送する途中に設けることとなる。詳しい説明は省略する。
【0036】
[精米供給系、清浄米回収系]
研米槽1に供給される精米Aは精米供給系5から供給される。精米供給系5は、下方に設けた精米貯留槽53と縦搬送する揚穀筒51、研米槽1の上方に設けられている一時貯留用の精米ホッパー52を備えている。本発明は、研米槽1、米糠選別篩2、脱脂糠再生装置3が縦直列になっているので、精米Aを下方から研米槽1の上方まで送るために、縦搬送用の揚穀筒51を設けている。
【0037】
清浄米回収系9は、米糠選別篩2から米送り出し筒26を経由した素清浄米Dから、仕上げ篩91によって微粉等を除去して清浄米Fに仕上げる。仕上げ篩91としては、円型シフターなどを用いることができる。
【実施例2】
【0038】
実施例2の研米装置を図5に示す。実施例2は、実施例1と異なる脱脂糠再生装置3を採用している。その他は実施例1と共通する。
実施例2の脱脂糠再生装置3は、筒形篩7の内部機構として、有孔筒体73と回転傾斜板74を設けている例である。外筒体6など他の機構は、実施例1と共通している。本例の筒形篩7の例を図6に示す。
回転軸31に取り付けた円筒篩71の内側に有孔筒体73を取付け、有孔筒体73の下方に回転傾斜板74が取り付けられている。円筒篩71の下部周面はめくら部72が形成されている。
有孔筒体73は、円筒篩71よりも径が小さく、短い長さである。有孔筒体73に設けられている孔は円筒篩71の篩目よりも大きく、脱脂糠が十分に通り抜けることができる大きさに形成されている。有孔筒体73は、多重に設けることもできる。有孔筒体73は金網状のメッシュ素材が適している。
回転傾斜板74は、円錐形の傘状で、回転軸31に取り付けられている。図示の例では3枚設けられているが、1~数枚設けることができる。
【0039】
有孔筒体73と回転傾斜板74は、円筒篩71の内部を下方に向けて通過する粉粒体Eをほぐして、バラバラにする機構である。粉粒体Eは、粘着性のある肌糠などが含まれているので、脱脂糠同士が団子状になった塊ができやすい。この塊は、円筒篩71の目詰まりの原因となり、落下も速いので、再生脱脂糠の品質低下にもなる。この塊をほぐしてバラバラにして篩にかける予備作用をこの有孔筒体73と回転傾斜板74は担っている。
粉粒体Eは、送風部61から吸引部62に向かって流れる風によって有孔筒体73に衝突して、ばらけることとなる。さらに、下方の回転傾斜板74では、送風側では回転しながら押し上げられ、風下側では転がり落ちる作用をうけて、ばらしが行われる。このような作用によって、粉粒体Eから不要な微粉を取り除き、再生脱脂糠Gの品質を向上させる。
【実施例3】
【0040】
実施例3では、脱脂糠再生装置3の他は実施例1と共通する。
実施例3の脱脂糠再生装置3は、筒形篩7の内部機構として、有孔筒体73を設けている例である。外筒体6など他の機構は、実施例1と共通している。本例の筒形篩7の例を図7に示す。
回転軸31に取り付けた円筒篩71の内側に有孔筒体73aを取付けている。円筒篩71の下部周面はめくら部72が形成されている。
有孔筒体73aは、円筒篩71よりも径が小さい筒体を複層配置している。有孔筒体73に設けられている孔は円筒篩71の篩目よりも大きく、脱脂糠が十分に通り抜けることができる大きさである。内側の有孔筒体の孔をより大きくして、粉粒体Eを衝突させる回数を増やし、ほぐし効果を上げる。
本例では、有孔筒体73をひとつ示しているが、複数とすることもできる。
筒体は容易に製造することができ、メンテナンスも容易である。有孔筒体73は金網状のメッシュ素材が適している。
【実施例4】
【0041】
実施例4では、脱脂糠再生装置3の他は実施例1と共通する。
実施例4の脱脂糠再生装置3は、筒形篩7の内部機構として、回転傾斜板74を設けている例である。外筒体6など他の機構は、実施例1と共通している。本例の筒形篩7の例を図8に示す。脱脂糠再生装置3の断面図を(a)に回転傾斜板の例を(b)に示す。
円筒篩71の内側に回転傾斜板74を多重に配置し、回転軸31に取り付けている。円筒篩71の下部周面はめくら部が形成されている。
回転傾斜板74では、送風側では回転しながら押し上げられ、風下側では転がり落ちる作用をうけて、粉粒体Eに対しするばらし作用を行う。
図(b)に示す回転傾斜板74は、多数の孔を設けた円錐型である。孔の大きさは再生する脱脂糠程度の大きさ、あるいは脱脂糠より小さな孔にする。吹き上げや吸引など回転に伴う複雑な空気の流れが粉粒体Eに影響して、表面の転がりに加えてほぐし効果が向上する。あるいは、小さな突起を表面に設けて、ぶつかり作用を与えてもよく、孔と併用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
A・・・精米
B・・・脱脂糠
C・・・研米処理物
D・・・素清浄米
E・・・粉粒体
F・・・清浄米
G・・・再生脱脂糠
H・・・新脱脂糠
I・・・屑米
J1・・肌糠等微粉
J2・・肌糠等微粉

1・・・研米槽
10・・槽
11・・回転軸
12・・研米軸回転モーター
13・・抵抗体
14・・研米棒
15・・投入口
16・・排出口

2・・・米糠選別篩
21・・有孔筒体
21a・有孔素材
21b・孔
22・・送風機構
23・・回転軸(送風筒)
24・・有孔筒絞り端
25・・筐体
26・・米送り出し筒
27・・回転板
28・・受け入れホッパー
29・・下部開口

3・・・脱脂糠再生装置
31・・回転軸
32・・モーター
33・・投入口
34・・底板
35・・排出口
36・・シフター

4・・・脱脂糠供給系
41・・揚糠筒
42・・脱脂糠ホッパー
43・・新脱脂糠貯留槽
44・・新糠混入機構
45・・レベルセンサー

5・・・精米供給系
51・・揚穀筒
52・・精米ホッパー
53・・精米貯留槽

6・・・外筒体
60・・筐体
61・・送風部
62・・吸引部
63・・横風

7・・・筒形篩
71・・円筒篩
72・・めくら部
73・・有孔筒体
74・・回転傾斜板

9・・・清浄米回収系
91・・仕上げ篩

100・研米装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8