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特許7083234シャドウ画像をシミュレートする方法、デバイスおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】シャドウ画像をシミュレートする方法、デバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/08 20110101AFI20220603BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
G06T15/08
A61B6/03 360G
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017139960
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2018060523
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】16182125.1
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517253388
【氏名又は名称】3メンシオ メディカル イメージング ビー ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092048
【弁理士】
【氏名又は名称】沢田 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】デ ファーン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘール、ピーター
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-035406(JP,A)
【文献】特開2007-072881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/00 - 19/20
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクト(特に、非対称のオブジェクト)の二次元(2D)シャドウ画像をシミュレートする方法であって、
a)当該オブジェクトの表面の三次元表現を得るステップと、
b)仮想経路ラインを規定する透視ビュー方向を入力するステップと、
c)前記仮想経路ラインと前記オブジェクトの表面との間の交差を算出するステップと、
d)連続する交差の対の間の距離を算出するステップと、
e)前記オブジェクトの減衰係数とd)において算出された前記距離とに関連した入力パラメータから、連続する交差の当該対の間のシミュレートされたビーム強度減衰を算出するステップと、
f)ピクセル明るさとして前記シミュレートされたビーム強度減衰を、シャドウ画像の形においてグレーまたはカラー・スケールで表示するステップとを、
備え
連続する交差の対の間のシミュレートされたビーム減衰が、方程式
【数3】
から算出され、
が、前記オブジェクトを交差させているシミュレートされた参照ビームの強度であり、
μが、前記オブジェクトを形成する材料の前記減衰係数、すなわち、単位長さの材料を進む間に失われたビーム強度の比率であり、
dが、連続する交差の対の間をビームが前記オブジェクト内で進む前記距離である、
方法。
【請求項2】
前記減衰係数が、前記距離dを算出するために使用されると仮定される連続する交差の対の間の定数である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記三次元表現が三角形メッシュである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記三次元表現が三角形メッシュでない場合、
前記方法が、更に、三角形メッシュの前記三次元表現を変換するまたは前記表面の表現を直接レンダーするステップを備える、
請求項1-の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
関心のある多数のオブジェクトの前記シャドウ画像がシミュレートされ、
前記方法が、前記オブジェクトの前記減衰係数に関連した入力パラメータを受信するステップを備える、
請求項1-の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面の表現データのサブセットが、選択された血管ツリーまたはツリーまたは血管を囲むことの有無にかかわらない特有の心臓空腔のような、解剖の一部をシミュレートするために、処理される、請求項1-の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面の表現が、密以外の情報を算出するため処理される、請求項1-の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
当該情報が、短縮遠近の量または血管または壁剪断応力の圧力降下を示すために、血管の中心線および/またはシャドウ画像のカラー化を備える、請求項に記載の方法。
【請求項9】
動的な二次元(2D)シャドウ画像が、時間とともに変化する表面情報に基づいてシミュレートされる、請求項1-の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータのメモリに直接ロード可能であるコンピュータ・ソフトウェアであって、前記コンピュータ・ソフトウェアがコンピュータ上で稼働する時に、請求項1-の何れか1項に記載の方法を実施するためのソフトウェア・コード部分、を備えるコンピュータ・ソフトウェア
【請求項11】
オブジェクト(特に、非対称オブジェクト)のシミュレートされた二次元(2D)シャドウ画像を提供するためのコンピューティング・デバイス(105)であって、
前記オブジェクトの表面の表現を得るように構成されている通信インターフェースと、
仮想経路ラインを規定する透視ビュー方向を受信するための入力ユニット(106)と、
プログラム命令を格納するメモリと、
‐前記仮想経路ラインと前記オブジェクトの表面との間の交差を算出するプログラム命令、
‐連続する交差の対の間の距離を算出するプログラム命令、
‐前記オブジェクトの強度減衰係数および算出された前記距離に関するパラメータから、連続する交差の当該対の間のシミュレートされたビーム強度減衰を算出するプログラム命令、
‐前記シミュレートされたビーム強度減衰を、シャドウ画像の形のグレーまたはカラー・スケールで画素明るさとして表示するプログラム命令、
を実行するように構成されているプロセッサと、
を備え、
連続する交差の対の間のシミュレートされたビーム減衰が、方程式
【数4】
から算出され、
が、前記オブジェクトを交差させているシミュレートされた参照ビームの強度であり、
μが、前記オブジェクトを形成する材料の前記強度減衰係数、すなわち、単位長さの材料を進む間に失われたビーム強度の比率であり、
dが、連続する交差の対の間をビームが前記オブジェクト内で進む前記距離である、
コンピューティング・デバイス。
【請求項12】
前記通信インターフェースが、レポジトリから前記オブジェクトの表面メッシュを受信するように構成されている、請求項11に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項13】
前記通信インターフェースが、通信ネットワーク(104)を介して前記オブジェクトの表面メッシュを受信するように構成されている、請求項1または12に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項14】
全経路長を得るために、連続する交差の対の間の距離を蓄積するバッファ・メモリを備える、請求項1-1の何れか1項に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサが、ビット数が減少されている分割された距離値を並列処理チャネルで生成し、かつ各生成チャネルの結果を混ぜ合わせて経路長値を得るように構成されているグラフィカル処理ユニット(GPU)の一部である、請求項1-1の何れか1項に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項16】
ワークステーション(101)を備える、オブジェクトのシミュレートされた二次元(2D)シャドウ画像を提供するためのシステムであって、
前記オブジェクトのボリューム・データを得るように構成されている前記信インターフェースと、
プログラム命令を格納するメモリと、
‐前記オブジェクトの表面メッシュをボリューム・データ表現から決定するプログラム命令、
‐レポジトリに前記表面メッシュを格納するプログラム命令、
を実行するように構成されているプロセッサと、
を備えるシステムにおいて、
請求項11-14の何れか1項に記載のデバイス(105)を備え、前記デバイス(105)の前記通信インターフェースがレポジトリから前記オブジェクトの前記表面の表現を得るように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項17】
請求項16に記載の前記プロセッサが、更に、前記オブジェクトのセグメンテーションを実行するために、前記ボリューム・データ・セットを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
請求項16に記載の前記プロセッサが、セグメント化された前記オブジェクトから、前記オブジェクトの前記表面メッシュを決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関心のあるオブジェクトのシャドウ画像の算出および可視化のための方法、デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影法は、脳および心臓を含む体の血管の病気を画像化しかつ診断するために実行される一般的に用いられる画像化法である。心臓学および放射線医学において、二次元(2D)血管造影法は、放射線不透過性の造影剤を血管に注入しかつ撮像された血管造影法または透視法のようなX線ベースの技術を使用することによって、特に、動脈、静脈および心内腔内に興味を持って、体の血管および器官の内側または内腔を視覚化するために使用される医学画像技術である。放射線科医、心臓専門医および脈管外科医は、血管または心臓の介入性治療をガイドするために二次元X線血管造影法を使用していた。2D血管造影X線画像は、患者の体を通って検出器に到達するX線源からのX線透過の結果である。検出器平面における画素当たりのX線の検出量は、X線源と検出器との間の経路上の組織の密度に関係し、そして2D画像内でグレー・スケールの明るさとして視覚化される。半透明のオブジェクトを通る透過に基づくこのような画像は、しばしばシャドウ画像として識別される。これらのシャドウ画像は、本質的に2D画像であり、かつ視覚化された構造の深さ情報、すなわち、X線源と検出器平面との間の空間の位置の関数として、オブジェクトを記述する情報を欠いている。
【0003】
診断および治療の両者に対して、三次元(3D)ボリューム・データ・セットを生成するコンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像化(MRI)のような、以前に獲得したボリューム画像化法に基づいて介入を準備することによって、手術時間を減らしかつ看護の品質を向上させることが出来る。3Dボリューム・データは、3Dボリュームをカバーするボクセルの量から成る。この3Dボリュームデータに基づくセグメンテーションおよびレンダリングは、2Dシャドウ画像に比較し、はるかにより正確な3Dオブジェクトの記述を提供する画像を生成することができる。この技術は、医学会において広く使われている。
【0004】
それにもかかわらず、 2D画像化技術(例えば、介入性治療手術の間に使用されるX線血管造影法)によって視覚化されるときに、オブジェクトがどのように現れるかを適切に理解することを容易にするために、シミュレートした2D血管造影画像を、元の3Dボリューム画像データ・セットに基づいて生成することが出来る。
【0005】
2D X線血管造影法において、医師は、X線画像に対し投影角を選ぶことが出来る。シミュレートされた2D血管造影画像は、医師が、異なる透視から2D血管造影X線画像をシミュレートすることを可能にし、そして2DX線血管造影処理の間にどの投影角が、関心のある解剖の良好な図を生成するかを予測するために使用することが出来る。医師は、事前に、投影角に対するオプションを比較することができ、これにより放射線量および手術時間を減らすことが出来る。
【0006】
このようなシミュレーションによる解決法の例は、CTデータに基づく2D X線血管造影画像のシミュレーションを含むワークステーションが開示されている本出願人の特許文献1によって公知である。この特許文献1では、2D X線血管造影画像のシミュレーションは、完全な3Dボリューム画像(すなわち、CTデータ)から2D画像の各画素の強度を算出することに基づいている。
【0007】
2Dシャドウ画像をシミュレートするために3Dボクセル・データ・セットからピクセル強度をこのように算出することは、相対的にかなりのデータ量に対するアクセスを必要とし、かつグラフィック処理ユニット(GPU: Graphic Processing Unit)に並列処理で行われても、時間を要するかもしれないかなりのコンピュータ処理能力を必要とする。
【0008】
低価格帯のハードウェアでも受け入れられるパフォーマンスに対し、そして、一般に、算出能力が限られていてかつ並列で算出することが出来ない(例えば、GPUが皆無またはその処理能力が限られている)場合、先行技術の技術は、対話型アプリケーションに対しては遅くかつ非実用的である。例えば、モバイル・デバイスでは、処理能力およびシステム・メモリの量が、制限され、更に、大量の3Dボリューム・データ・セットをデバイスに転送するための(無線)ネットワーク帯域は不十分である。更に、動的状態を観察することが必要であり、かつ全ての3Dボリューム画像データが経時的に利用可能である場合に、受け入れ可能なフレームレートで心臓動作をシミュレートするために、動的にシミュレートされた2D X線血管造影画像を生成すること、利用可能な計算能力は、対応することは出来ない。使用するデータをより少なくしかつ同時に高品質の画像を提供して、2D X線血管造影画像をシミュレートする高速技術は、2D X線血管造影シミュレーションをより広い範囲で提供するであろう。今や、医師が、好ましくは如何なる時間および場所においても、画像データとのアクセスおよび対話を必要とすることは、更に、明白である。
【0009】
従って、高速で、かつ限られた算出で、かつ完全な3Dボリューム画像にアクセスせずに2D X線血管造影画像をシミュレートする、低価格のハードウェアを用いて実行することができる方法が、必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第9,008,386号明細書
【文献】米国特許公開第2010/021025号明細書
【文献】米国特許第6,251,072号明細書
【文献】米国特許第8,787,641号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】William E. Lorensen, Harvey E. Clineによる、「マーチィング・キューブ:高精細3D表面再構成アルゴリズム。コンピュータ・グラフィックス(“Marching Cubes: A high resolution 3D surface construction algorithm”. In: Computer Graphics)」、 Vol. 21、Nr. 4、July 1987
【文献】Yoshinobu Onuma, Chrysafios Girasis, Jean-Paul Aben, Giovanna Sarno, Nicolo Piazza, Coen Lokkerbol, Marie-Angel Morel, Patrick W. Serruys による、「分岐病変に対する新規な専用3次元定量的冠状動脈分析法(A novel dedicated 3-dimensional quantitative coronary analysis methodology for bifurcation lesions"」」、EuroIntervention 2011; 6:1-00
【文献】WJ Niessenによる、「心筋および血管画像のモデルに基づくセグメンテーション(”Model-Based Segmentation Of Cardiac And Vascular Images")」」、proceedings of IEEE international symposium on biomedical imaging 2002、pp22-25
【文献】Manniesing 外による、「大規模患者人口における動脈硬化頸動脈分岐のロバストCTA内腔セグメンテーション(“Robust CTA lumen segmentation of the atherosclerotic carotid artery bifurcation in a large patient population”)」、Medical Image Analysis 14 (2010)、pp. 759-769
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、関心のあるボリュームの全てのボクセルに関する情報を含む3Dボリューム画像データのような元のデータにアクセスする必要無く、シャドウ画像を算出しかつ可視化するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願明細書に実施態様に従う、オブジェクト(特に、非対称のオブジェクト)の二次元の(2D)シャドウ画像をシミュレートするシステム、コンピュータ・プログラム製品およびコンピュータ実行方法が、開示されている。これらのシステム、コンピュータ・プログラム製品およびコンピュータ実行方法は、
a)当該オブジェクトの前記表面の三次元表現を得るステップと、
b)仮想経路ラインを規定する透視ビュー方向を入力するステップと、
c)前記仮想経路ラインと前記オブジェクトの表面の間の交差を算出するステップと、
d)連続する交差の対の間の前記距離を算出するステップと、
e)前記オブジェクトの減衰係数とd)において算出された前記距離とに関連した入力パラメータから、連続する交差の当該対の間のシミュレートされたビーム強度減衰を算出するステップと、
f)ピクセル明るさとして前記シミュレートされたビーム強度減衰を、シャドウ画像の形においてグレーまたはカラー・スケールで表示するステップとを
備えている。
【0014】
シャドウ画像は、3Dボリューム・データから算出する代わりに、この3Dデータのセグメンテーションの結果から得られる3Dメッシュ・データから算出するのが有利である。これにより、3Dボリューム画像データのかなりのデータ量を転送しかつ処理する必要性が減少する。したがって、この技術を、メモリが少ない広範囲の(モバイル)デバイスに使用することが可能になる。表面メッシュは、十分小さいので、インターネット(すなわち、メール)により容易に転送しかつこれらのデバイスに格納することができる。このことは、典型的には、3Dボリューム・データでは極めて困難なことである。
【0015】
この表面は、三角形メッシュとすることが出来るであろう。三角形メッシュは、例えば、マーチィング(Marching)キューブ・アルゴリズムを使用して、ボリューム画像およびセグメンテーションから得ることが出来る。例えば、非特許文献1を参照されたい。三角形メッシュは、3Dハードウェア・アクセラレータ・カードによって直接サポートされるフォーマットでもある。
【0016】
2D X線血管造影図において、血管内の造影剤が血管をより暗い構造として視覚化させているので、血管は、背景から識別される。血液内の造影剤が、周囲組織のそれよりも、通過するX線をより多く減衰させるので、血管はより暗くなる。
【0017】
例えば、図2aに示されるように、血管のセグメンテーションが閉表面として利用可能である場合、これは、図2bに示されるように、真の2D X線血管造影画像の、コントラストが強化された血管に対する影響をシミュレートするために使用することができる。
【0018】
本願明細書の実施態様に従う血管造影シミュレーションは、例えば、カテーテル検査室においてまたは手術の準備の間、手術のためのX線スキャナの最善のビュー透視を選択することを助けるため、患者の血管が、X線を使用して検査されるときに見えるであろうもののプレビューを得るために、使用することが出来る。シミュレーションは、厳密である必要はない。グレイ・レベルが、手術の間、(とりわけ)注入される造影剤の量に依存するので、グレイ・レベルは、完全に予測することができるというわけではない。しかしながら、血管の重なりが発生するときにそれらの血管が影響を受ける場合、これは有利である。
【0019】
この方法は、典型的には、データ処理システムが、関心のあるオブジェクトの得られた表面メッシュにアクセスすることにより実行される。
【0020】
実施態様は、コンピュータのメモリに直接ロード可能であるコンピュータ製品であって、この製品がコンピュータ上で稼働する時に、上で開示された方法を実施するためのソフトウェア・コード部分、を備えるコンピュータ製品にも関する。
【0021】
更なる実施態様は、オブジェクト(特に、非対称オブジェクト)のシミュレートされた二次元(2D)シャドウ画像を提供するためのコンピューティング・デバイスに関し、このコンピューティング・デバイスは、
前記オブジェクトの表面の表現を得るように構成されている通信用インターフェースと、
仮想経路ラインを規定する透視ビュー方向を受信するための入力ユニットと、
プログラム命令を格納するメモリと、
‐前記仮想経路ラインと前記オブジェクトの表現との間の交差を算出するプログラム命令、
‐連続する命令の対の間の前記距離を算出するプログラム命令、
‐前記オブジェクトの前記強度減衰係数および算出された前記距離に関するパラメータから、連続する交差の当該対の間のシミュレートされたビーム強度減衰を算出するプログラム命令、
‐前記シミュレートされたビーム強度減衰を、シャドウ画像の形のグレーまたはカラー・スケールで画素明るさとして表示するプログラム命令、
を実行するように構成されているプロセッサと、
を備える。
【0022】
実施態様は、ワークステーション(101)を備える、オブジェクトのシミュレートされた二次元(2D)シャドウ画像を提供するためのシステムにも、関し、このシステムは、
前記オブジェクトのボリューム・データを得るように構成されている通信用インターフェースと、
プログラム命令を格納するメモリと、
‐前記オブジェクトの表面メッシュを前記ボリューム・データ表示から決定するプログラム命令、
‐レポジトリに前記表面メッシュを格納するプログラム命令、
を実行するように構成されているプロセッサと、
を有し、
更に、本願明細書の実施態様に記載のデバイスを有し、前記デバイスの前記通信インターフェースが、前記レポジトリから前記オブジェクトの前記表現の表現を得るように構成されている。
【0023】
更なる改良は、従属請求項の主題を形成するであろう。
【0024】
本発明の特性及びそこから導出される利点は、添付の図面に図示される、限定するものではない実施態様の以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a】血管の真の2D X線血管造影画像である。
図1b】先行技術に従って3DボリュームCTデータを使用して得られたシミュレートされたX線血管造影画像である。
図1c】本願明細書の実施態様に従って表面メッシュを使用して得られたシミュレートされた2D X線血管造影画像である。
図2a】3D CTデータからセグメント化された大動脈瘤の三角形メッシュを示す。
図2b図2aの表面メッシュを使用して得られた2D X線心血管撮影画像のシミュレーションを示す。
図3a】同じビュー平面内の分岐点の二本の分岐を示す。
図3b】同じビュー平面内の分岐点の二本の分岐が、どのようにX線血管造影内で同じ強度と言う結果になるかを示す。
図4】本願明細書の実施態様に従うシステムの機能ブロック図を示す。
図5】本願明細書の実施態様に従うフローチャートを示す。
図6シングル・プレーン血管造影システムの一例の機能ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
血管造影画像は、詳細に検査しているオブジェクトを通るX線ビームの減衰を視覚化する。減衰が無いもの(真空、空気)は、白くレンダーされ、高い減衰(骨、金属、造影剤)は、ダークグレイまたは黒にレンダーされる。X線が高吸収材料を長く進めば進むほど、画像は、より暗くなる。このような血管造影画像の例は、図1aに示されている。
【0027】
図6は、血管造影画像を得ることができる典型的なシングル・プレーン血管造影システムの機能ブロック図である。このシステムは、ユーザ・インターフェース・モジュール116からの命令の下で、作動しそしてデータ処理モジュール114にデータを提供するであろう血管造影画像化装置112を含む。シングル・プレーン血管造影画像化装置112は、例えば、前後(PA)方向に関心のある血管器官の二次元X線像を捕獲する。シングル・プレーン血管造影画像化装置112は、典型的には、支持構台のアームに載置されるX線源と検出器の対を含む。この構台は、X線源と検出器の間のテーブルにサポートされる患者に対して、様々な角度でX線源および検出器のアームを位置決めする。データ処理モジュール114は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーションまたは他のコンピュータ処理システムによって実現させることができる。データ処理モジュール114は、シングル・プレーン血管造影画像化装置112によって捕獲される二次元画像を処理して、本願明細書に記述されるデータを生成する。ユーザ・インターフェース・モジュール116は、ユーザと対話しそしてデータ処理モジュール114と通信する。ユーザ・インターフェース・モジュール116は、視覚出力のためのディスプレイ・スクリーン、タッチ入力のためのタッチスクリーン、入力のためのマウス・ポインタまたは他のポインティング・デバイス、音声入力のためのマイクロホン、オーディオ出力のためのスピーカ、キー・ボードおよび/または入力のためのキー・パッド等のような、様々な種類の入出力デバイスを含むことが出来る。
【0028】
血管造影システム、X線源と検出器平面との間のスペースの位置の関数としてオブジェクトを記述する情報が欠如している二次元画像を得ることできるのに対し、コンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像化法(MRI)のような画像化法は、完全な三次元(3D)ボリューム・データ・セット(すなわち、3Dボリュームをカバーするボクセル)を生成する。
【0029】
実施態様は、オブジェクトの表面の三次元表現から、血管造影システムにより取得された血管造影画像をシミュレートするシャドウ画像(本開示においては、レンダーされた表面、またはメッシュ、またはメッシュ・データとも呼ばれる)を得ることを可能とする。このようにレンダーされた表面は、例えば、非特許文献2において教示されるような、メッシュが本来の2D画像セットから生じる3D QCA再構成も含む、任意の収集システムから生じるボリューム・データ・セットから、導出させることができる。
【0030】
図4の上部に、セグメンテーション・ユニット102を介してボリューム・データから表面メッシュ103を得ることが出来るワークステーション101のブロック・ダイヤグラムが、図式的に示されている。ワークステーションは、プログラム命令を格納しているメモリと、オブジェクトのボリューム・データを読込みかつプログラム命令を実行してセグメンテーション・ユニット102によりセグメンテーション動作を実行するように構成されている一つ以上のプロセッサとを備える。X線では、例えば、これは、再構成された分岐点モデルを別々に接続して3Dツリーを形成することによって、特許文献2の教示に従って行うことができる。MRAの他の例として、これは、非特許文献3に開示されるように達成させることも出来る。更に超音波における他の例では、これは、特許文献4のように達成させることも出来る。更にCTAにおける他の例では、これは、非特許文献4のように達成させことも出来る。
【0031】
オブジェクトがセグメント化される、すなわち、三次元モデルが算出されと、103でロセッサは、例えば、非特許文献1に教示されているように、そのモデルの表面メッシュを算出しかつレポジトリに格納することが出来る。
【0032】
したがって、モバイル・デバイス、スマートフォン、PDA、ポータブル・コンピュータ等のようなコンピューティング・デバイスは、本願明細書の実施態様に従って、このようなレポジトリから通信ネットワーク104(例えば、電子メール、クラウド接続等)によってオブジェクトのレンダーされた表面を読込み、そして更にシミュレートされたシャドウ画像を精緻に算出することが出来る。図4の下部に例示的に示されているデバイス105は、
オブジェクトの表面の表現を得るように構成されている通信用インターフェース104と、
仮想経路ラインを規定する透視ビュー方向を受信するための入力ユニット106と、
レンダリング・ユニット107とを、
備えている。レンダリング・ユニット107は、
‐プログラム命令を格納しているメモリと、
図5のフローチャートに開示されている動作を実行するプログラム命令を実行するように構成されているプロセッサとを、
備えている。このプログラム命令は、
502で、メッシュ・データをシステムにロードする動作、
504で、仮想経路ラインを規定している透視ビュー方向を選択する動作、
506で、仮想経路ラインとオブジェクトとの交差を算出する動作、
508で、連続する交差の対の間の距離を算出する動作、
510で、オブジェクトの減衰係数と算出された距離に関係したパラメータから、連続する交差のこのような対の間のシミュレートされたビーム強度減衰を算出する動作、
512で、シミュレートされたビーム強度減衰を、シャドウ画像の形において、グレーまたはカラー・スケールで画素明るさとして表示する動作、
を実行させる。
【0033】
図5の動作は、コンピュータ製品(例えば、光ディスク、またはUSBドライブまたはネットワーク・サーバのような持続的メモリの他の形態)に具体化されるソフトウェア・コードによって、行うことも出来る。ソフトウェア・コードは、図5の動作を行うデータ処理システムのメモリに、直接、ロードさせることが出来る。
【0034】
連続する交差の対間のシミュレートされたビーム減衰は、方程式
【数1】
から、レンダリング・ユニット107のプロセッサによって算出されることが好ましい。ここで、Iは、オブジェクトを横切シミュレートされた参照ビームの強度であり、μはオブジェクトを形成している材料の減衰係数、すなわち、一単位長さの材料を通過する際に失われるビーム強度の比率であり、‘d’は、連続する交差の対の間のオブジェクト内をビームが進む距離である。一実施態様では、減衰係数μは、距離dを算出するために使用される連続する交差の対の間では一定であると仮定されている。
【0035】
方程式(1)は、一例によって最も良く説明される。この例では、0.5の減衰を有する材料のn枚のスラブを有するとしよう。各スラブの後で、ビーム強度は半分になるので、n枚のスラブの後では、残存強度はn回半分にされているので、残存強度は0.5nとなる。この関係は、小数値のnに対しても成り立つ。
【0036】
人間の組織では、減衰は、組織ごとに変化する。残存強度は、方程式(1)を集積することによって算出されるべきである。大部分の組織において、減衰は、全く一様でありかつ画像にはほとんど情報を加えることは無い。これの例外は、コントラストが強化された血管および密度の高い骨である。関心のある高密度の構造をセグメント化し、かつ方程式(1)を適用してビーム強度を算出することによって、血液のセグメンテーションが、任意のビュー方向からレンダーされる。血管内の造影剤は、均質であるとみなすことが出来るので、血液の減衰は一定である。残りの問題は、血管内を進むビーム距離‘d’を算出して、次に方程式(1)を適用することである。
【0037】
方の交差入って来てそして他方の交差出て行く、閉じた表面との交差が二つしか存在しない場合、この距離の計算は単純である。メッシュ内部を進む距離は、これらの二つのポイントの間の距離である。
【0038】
X線血管造影画像のシミュレーションは、透視投影および平行投影での、任意のビュー方向から算出することができる。透視投影では、シミュレートされたX線は、シミュレートされるX線源から開始し、検出器の画素位置で終了する。平行投影では、レンダーされるX線は、全て平行である。
【0039】
仮想経路ラインとも呼ばれる各X線ごとに、プロセッサは、最初に、オブジェクトを通る経路の長さを算出し、次で、方程式(1)を使用して画素の明るさを算出する。シミュレートされたX線血管造影画像は、減衰が少ない場合には、明るい画素と言う結果をもたらし、そして減衰が大きい場合には、暗い画素と言う結果をもたらすことにより2D X線血管造影画像を模倣するように作られる。
【0040】
一般に、表面メッシュは、所定のX線と多枝交差を有することが出来る。メッシュが閉じている場合、仮想経路ラインとの交差の数は、常に、偶数である。X線がメッシュの外側から内部へ向かう度に、関心のあるオブジェクトの内部から外側に向かう交差が存在するであろう。方程式(2)において、算出された深さは、バッファに書き込まれている。算出された深さがバッファに加えられると、
【数2】
今や、多枝交差を扱うことが出来る。前方バッファ値と後方バッファ値の間の差は、今や、表面によって囲まれているボリューム内の経路の長さの合計である。
【0041】
血管造影シミュレーションの場合には、表面マター内のX線の累積的な長さしか要求されないように、事実上、総経路の長さを合計することしか要求されない。例えば、仮想経路ライン内の5mmの二本の血管は、10mmの一本の血管と同じ画素明るさになる結果をもたらすであろう。(図4における分岐点)。
【0042】
(モバイル・デバイスには共通していることであるが)潜在的に容量が限られているGPUにこの技術を実装すると、画像のビット深度が制限され(例えば、チャネル当たり8ビットで、4チャネルのGPU)、結果としてダイナミック・レンジが限られることになることが発生するかもしれない。
【0043】
ここで記述された技術はそのまま適用することも出来るが、元の信号(例えば、20ビット経路の長さ値)は、それぞれ5ビットの4つの値に分割するのが、有利である。これにより、付加的混合方法を、元のテクスチャ・チャネルにおいて単純に実行することが出来る。最終的な画素明るさが算出されると、全てのチャネルからのビットは結合され、かつこの混合により、チャネル当たりの元の5ビットは、7または8ビット数になり得る。この技術の詳細については、非特許文献6を参照されたい。
【0044】
表面の記述が、三角形メッシュではなく他のもの(例えば、B-スプライン表面)である場合、表面をレンダーするためには二つのオプションが利用可能である。
1.表面を三角形メッシュに変換して、三角形メッシュのためのステップに従う。
2.(例えば、修正されたX線トレーサを使用して)表面の表現を直接レンダーする。三角形メッシュと同様に、表面深さは、レンダリングの間に算出することができる。
【0045】
関心のある一つのオブジェクトだけ(例えば、血管内の造影流体)のシミュレーションの他に、この3Dボリューム測定データ・セットにセグメント化されていてかつ表面を有するオブジェクトとして利用可能にされた他の組織オブジェクト(例えば、石灰化された斑、柔らかい斑、骨等)も、可視化に加えることが出来る。識別する必要がある異なる組織を表すオブジェクトは、異なる減衰係数を有する。このようにして、シミュレートされた画像のこれらの異なるオブジェクトの画素明るさは、異なるであろう。減衰係数を適切に選択することは、可視化を最適化するであろう。これにより、の2D X線血管造影画像において視覚化させることができる以上の情報を含み、かつ例えば、動脈または静脈の慢性完全閉塞部の治療において使用することができる、シミュレートされた2D X線血管造影画像と言う結果を得ることが出来る。
【0046】
更にまた、メッシュ化されたデータのサブセット選択することを可能にすることによって、多数のこのような血管ツリーを本来保持している3Dボリュームの選択された血管ツリー(例えば、全ての冠状動脈および心臓空腔を有する完全走査内の左冠状動脈)、または囲血管が無い特有の心臓空腔(例えば、左心室)を視覚化することが可能になる。
【0047】
密度情報の他に、メッシュは、例えば、(カラーが、例えば、選択された画像化投影/ビュー方向のオブジェクトのシミュレートされた画像の短縮遠近を示す)符号化されたシャドウ画像をカラー化する付加情報を算出するために使用することができる。このような短縮遠近情報の使用を可能にするために、メッシュ構造によって規定されたオブジェクトの中心線は、特許文献4において開示されているもののように、適切なアルゴリズムの外により算出させることが出来る。
【0048】
シミュレートされたシャドウ画像内の付加情報を可視化する他の例は、オブジェクトの次元に関する情報に基づいて、管状オブジェクトの障害に渡る圧力降下または壁せん断応力のような他の情報が利用可能になるときにも、提供させることが出来る。
【0049】
メモリ及びレンダー経路を保存するために、三角形メッシュのためのレンダー経路は、正面および背面に対して反対の符号を有する同じ出力バッファにレンダーするように構成させることが出来る。正面を向く三角形および背面を向く三角形に対して異なる処理を行うことにより、全ての三角形を単一経路でレンダーすることもできる。
【0050】
X線がシミュレートされた付加的な構造をレンダーするときには、レンダー・バッファは共有させることが出来る。減衰率が異なる場合、これは、減衰率の相違を補償する定数を、深さに乗算することによって補正させることが出来る。
【0051】
2D X線血管造影画像化を正しく模倣するために、X線検出器の非線形性および画像化法によって適用されるディスプレイのLUTは、考慮することが有利である。これらの全てが知られているというわけではないので、深さ『d』の関数としての、元の画像からの単純な線形または対数的減衰は、役立つ結果を提供する。メッシュが実時間でレンダーされるときには、減衰率はエンドユーザがコントロールしても良い。それがX線デバイスからの画像に類似するようになるまで、ユーザは減衰率を変更することが出来る。これは重要である。何故ならば、画像上の明確さが減衰係数に依存し、かつ関連する解剖が明瞭に見えるようになるように、ユーザは画像を変更することが出来るからである。
【0052】
投影した経路の長さおよび関連した画素の明るさを算出する動作のシーケンスを、変更することが出来ること、および長さを算出するための他の方法を使用することが出来ることは、当業者に、明らかであろう。
【0053】
3Dボリューム・データの動的なセットが利用できた場合には、メッシュの各新規なセットに対し画素の明るさを繰り返して算出することによって、時間とともに変化する表面情報に基づいて、動的シミュレーションを、生成することも出来る。例えば、心臓周期による冠状動脈の動的画像をシミュレートすることが出来る
【0054】
シミュレートされたX線血管造影は、しばしば、構造間の重なりの量が最少となるX線デバイスのビュー方向(投影)を見出すために使用されるので、レンダリングは、観察者に重なりの量を知らせるように拡大させることができるであろう。図3に示されるように、投影を変更しない限り、一つの厚い構造と二つのより小さい重なり合う構造との間相違を見ることはできない。これを軽減するために、重なりの量が増加するときにはシャドウ画像の色を変えるように、可視化を、拡大させことができるであろう。
【0055】
例えば、投影された血管長が、実際の血管長より短い(例えば、95%の)場合に、中心線を特徴的な色にレンダーすることにより、融合された画像(色情報の重ね合わせ)が、血管が検出器に平行でない状態を視覚的に示すことも出来る。
【0056】
短縮遠近を減少させる観点および情報の関連性の観点から、最適画像のビュー方向を決定するための方法と装置のいくつかの実施態様が、本願明細書に図と共に記述されて来た。本発明の特定な実施態様が記述されて来たが、本発明は、技術が許す範囲の程度に広く、かつ明細書もそのように読まれることが意図されているので、本発明が実施態様に限定されることは、意図されていない。例えば、データ処理動作は、医療用画像通信システム(PACS)のようなデジタル・ストレージに格納される画像にオフラインで実行させることが出来る。従って、請求項の趣旨及び範囲から逸脱すること無く、更に他の変更を、提供された本発明になすことが出来ることは、当業者には理解されるであろう。
【0057】
本願明細書に記述される実施態様は、上述したような様々なデータ格納及び他のメモリ及びストレージ・メディアを含んでいても良い。これらは、一つ以上のコンピュータにローカルに存在する(及び/又はそこに常駐する)、又はネットワーク全体のコンピュータの一部又は全部から遠隔のストレージ媒体のような、様々な位置に存在させることが出来る。特定の組の実施態様においては、情報は、当業者には馴染みのあるストレージ‐領域ネットワーク(「SAN: storage-area network」)に存在していても良い。同様に、任意の必要なファイル- コンピュータ、サーバ又は他ネットワーク・デバイスに起因している機能を実行するために必要な如何なるファイルも、適切に、ローカルに及び/又は遠隔で格納させても良い。システムがコンピュータ化されたデバイスを含む場合、そのような各デバイスは、バスを介して電気的に結合させても良いハードウェア素子を含むことが出来る。これらの素子は、例えば、少なくとも一つの中央処理ユニット(「CPU」又は「プロセッサ」)、少なくとも一つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラ、タッチ・スクリーン又はキー・パッド)及び少なくとも一つの出力デバイス(例えば、ディスプレイ・デバイス、プリンタ又はスピーカ)を含む。このようなシステムは、ディスク・ドライブ、光ストレージ・デバイス、及びランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)又はリード・オンリ・メモリ(「ROM」のような固体物理ストレージ・デバイス並びに可換型媒体デバイス、メモリ・カード、フラッシュ・カード等のような、一つ以上のストレージ・デバイスを含んでいても良い。
【0058】
このようなデバイスは、上述したコンピュータ可読記憶媒体メディア・リーダ、(モデム、ネットワーク・カード(無線又は配線)、赤外線通信デバイスのような)通信デバイス及び作業メモリを含むことも出来る。コンピュータ可読記憶媒体メディア・リーダは、遠隔の、ローカルの、固定された及び/又は着脱可能なストレージ・デバイス並びにコンピュータ可読情報を一時的に及び/又は永久に含み、格納し、送信し、読出すためのストレージ・メディアを表すコンピュータ可読格納媒体に、接続させる又はこれを受けるように構成することが出来る。システム及び種々のデバイスは、通常、オペレーティング・システム、及びクライアント・アプリケーション又はウェブ・ブラウザのようなアプリケーション・プログラムを含む、少なくとも一つの動作するメモリ・デバイス内に配置される多くのソフトウェア・アプリケーション、モジュール、サービス又は他の素子を含むであろう。代替の実施態様が、上述されたものに対し多数の変更例を有していても良いことは、理解されるべきである。例えば、カスタマイズされたハードウェアが使用されるかもしれないし、及び/又は特定の要素を、ハードウェア、(アプレットのような、高移植性ソフトウェアを含む)ソフトウェア又は両方で、実装するかもしれない。更に、ネットワーク入力/出力デバイスのような他のコンピューティング・デバイスへの接続を、採用しても良い。
【0059】
種々の実施態様は、更に、前述の記載に従って実装される命令及び/又はデータを受信し、送信し、コンピュータ可読媒体に格納することを含んでいても良い。コード又はコードの一部を含むためのストレージ・メディア及びコンピュータ読取り可能な媒体は、揮発性及び不揮発性で、コンピュータ可読命令のようなストレージ及び/又は情報伝送のための任意の方法又は技術において実装される着脱可能な及び取り外し不可能なメディアに制限されず、データ構造(プログラム・モジュール又は他のデータ)のような、ストレージ・メディア及び通信媒体を含み、RAM、ROM、電気的に消去可能なプログラム可能なリード・オンリ・メモリ(「EEPROM」)、フラッシュ・メモリ又は他のメモリ技術、コンパクト・ディスク・リードオンリ・メモリ(「CD―ROM」)、デジタル広用途ディスク(DVD)又は他の光学ストレージ、所望の情報の格納に使用することが出来る及びシステム装置によってアクセスさせることが出来る磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気ストレージ・デバイス又は何れかの他のメディアを含む、この技術分野において公知である又は使用される任意の適切なメディアを含むことが出来る。本明細書において提供されている開示及び教示に基づいて、当業者は、種々の実施態様を実装する他の方法(単数)及び/又は方法(複数)を理解するであろう。
【0060】
従って、明細書及び図面は、限定的なものではなく、開示するものであるとみなすべきである。しかしながら、種々の変更及び改変を、請求項に記載される本発明のより広い精神と範囲を逸脱しない範囲でなしてもよいことは、明白であろう。
【0061】
他の変更は、本開示の精神の中にある。従って、開示された技術には、種々の変更及び代替の構成が可能であるが、それらのいくつかの実施態様は、図面に示されかつ詳細に上述されてきた。しかしながら、開示される特定の形(単数)又は形(複数)に本発明を制限する意図はなく、この逆で、この意図は、添付の請求項において定義され本発明の精神と範囲に入る全ての変更、代わりの構造及び等価物をカバーすることであることを理解すべきである。
【0062】
用語「a」及び「an」及び「the」の使用及び開示された実施態様で記述される文脈(特に、続く請求項の文脈)内の類似する参照の使用は、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、 単数及び複数をカバーするものとする。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、特に明記しない限り、開放型用語(すなわち、「‐を含むが、これに限定されるものではない」)であると解釈されるべきである。変更されずかつ物理的接続に関連するときの用語「接続されている」は、何か介在物がある場合であっても、部分的に又は完全に、含有されている、付着されている又は結合されているように解釈すべきである。本願明細書における値の範囲の説明は、特に明記されていない限りそしてあたかも各別個の値が本願明細書に個々に詳述されていたかのように、それが明細書に組み込まれていない限り、各別個の値が範囲に入っていることを個々に示す簡略的な方法として機能することを意図しているに過ぎない。用語「セット」(例えば、「アイテムのセット」)又は「サブセット」の使用は、特に明記されていない限り又はコンテクストと矛盾しない限り、一つ以上の部材を備えている空がない集合と解釈されるべきである。更に、特に明記されていない限り又はコンテクストと矛盾しない限り、対応するセットの用語「サブセット」は、必ずしも対応するセットの適切なセットを示すというわけではなく、サブセット及び対応するセットは、等しくても良い。
【0063】
本願明細書において記述されるプロセスの動作は、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行させることが出来る。本願明細書において記述される(又は変更例及び/又はこれらの組合せ)プロセスは、実行可能な命令によって構成されている一つ以上のコンピュータ・システムの制御の下で実行させても良く、そしてハードウェア又はこれらの組合せによって、一つ以上のプロセッサに集合的に実行するコード(例えば、実行可能な命令、一つ以上のコンピュータ・プログラム又は一つ以上のアプリケーション)として実装させても良い。コードは、そうであることが出来る、例えば、一つ以上のプロセッサによって実行可能な複数の命令を備えているコンピュータ・プログラムの形態で、コンピュータ読出し可能な格納媒体に格納させても良い。コンピュータ読出し可能な格納媒体は、非一時的としても良い。
【0064】
この開示の好ましい実施態様は、発明を実行するための本発明者等が知る最良の形態を含めて、本願明細書において記述されている。これらの好ましい実施態様の変更例は、当業者が前述の記載を読込めば、即座に、明らかになる。本発明者等は、当業者が、そのような変更例を適切に採用することを期待し、そして本開示の実施態様が、本願明細書において特定的に記述されているもの以外で実行されると理解する。従って、本開示の範囲は、準拠法によって許される、添付の請求項に記載される主題全ての変更及び等価物を含む。更に、これらの全ての可能性がある変更例の上記の要素の任意の組合せは、本願明細書においてそれに反する記載がない限り又はコンテクストと明らかに矛盾しない限り、本開示の範囲に含まれる。
【0065】
公表、特許出願及び特許を含む全ての参照は、あたかも、各参照が、参照によって組み込まれていると個々にかつ特定的に示されていてかつその全部が本願明細書に記載されていたかのように、参照によって本願明細書に組込まれている。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6