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特許7083241スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータを備える補聴器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータを備える補聴器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20220603BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
H02M3/07
H04R25/00 H
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017210316
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2018113845
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】16197041.3
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デニス オーランド ラーセン
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ハラルド ホルガー ヨルゲンセン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴィンター
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-144429(JP,A)
【文献】特表2002-535944(JP,A)
【文献】特表2013-519326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
H04R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電源電圧を提供する充電式バッテリ電源と、
前記バッテリ電源電圧に結合されたDC入力を備えており、前記バッテリ電源電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するためのスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータと、
前記DC出力電圧に接続されている少なくとも1つの能動回路であって、少なくとも1つの能動回路の能動構成要素に通電するための前記少なくとも1つの能動回路と、を備えており、
前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータが、
クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、
前記クロック信号から導出される第1および第2の非重複クロック位相によって駆動されるスイッチ・アレイを備えるチャージ・ポンプ回路であって、前記スイッチ・アレイが、第1のクロック位相において、前記DC入力電圧からフライング・キャパシタを充電し、第2のクロック位相において、前記DC出力電圧に接続された出力キャパシタに前記フライング・キャパシタを放電するように構成された、チャージ・ポンプ回路と、
出力電圧レギュレータと
を備え、前記出力電圧レギュレータが、
DC基準電圧を受け取るための基準電圧入力、および前記DC出力電圧を表すフィードバック電圧を受け取るためのフィードバック電圧入力と、
前記DC基準電圧と前記フィードバック電圧とを組み合わせて制御信号を決定するように構成された誤差信号発生器と、
前記制御信号を受信してローパス・フィルタリングし、ローパス・フィルタリングされた制御信号を生成するように構成されたループ・フィルタと、
所定のサンプリング周波数において前記ローパス・フィルタリングされた制御信号を対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器と、
前記クロック信号およびデジタル制御信号に基づいて前記チャージ・ポンプ回路のための前記第1および第2の非重複クロック位相を生成するように構成されたスイッチ・アレイ・コントローラと
を備える、補聴器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの能動回路が、D級出力増幅器を備える、請求項1に記載の補聴器。
【請求項3】
制御および処理回路をさらに備え、前記制御および処理回路が、
第1のオーディオ信号を受信するための第1のオーディオ入力チャネルと、
ユーザの聴力損失に応じて補償されたマイクロフォン信号を生成するための前記オーディオ信号を受信し処理するための信号プロセッサと
を備えており、
前記補償されたマイクロフォン信号が、小型レシーバまたはスピーカに印加するための所定の変調周波数における変調出力信号を生成するために前記D級出力増幅器のオーディオ入力に印加される、請求項2に記載の補聴器。
【請求項4】
前記クロック発生器が、2~8の固定クロック周波数などの、個別に選択可能な固定クロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成された、請求項1に記載の補聴器。
【請求項5】
前記少なくとも1つの能動回路が、D級出力増幅器を備えており、
前記出力電圧レギュレータが、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数に従って、前記固定クロック周波数の定義済みのセットからクロック周波数を選択するように構成された、請求項4に記載の補聴器。
【請求項6】
前記固定クロック周波数の定義済みのセットの各クロック周波数が、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数の整数倍である、請求項5に記載の補聴器。
【請求項7】
前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの前記クロック信号が、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数を設定するクロック信号と同期している、請求項5または6に記載の補聴器。
【請求項8】
前記充電式バッテリ電源が、少なくとも1つのリチウム・イオン・バッテリ・セルを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項9】
前記多レベル量子化器の所定のサンプリング周波数が、前記クロック信号の前記クロック周波数の2倍に等しい、請求項1から8のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項10】
前記チャージ・ポンプ回路の前記スイッチ・アレイが、複数の制御可能な半導体スイッチを備え、前記複数の制御可能な半導体スイッチの中で、少なくとも第1および第2の制御可能な半導体スイッチが、前記第1のクロック位相によって駆動され、少なくとも第3および第4の制御可能な半導体スイッチが、前記第2のクロック位相によって駆動される、請求項1から9のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項11】
前記第1および第2の制御可能な半導体スイッチが各々、前記第1のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第1および第2のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備え、
前記第3および第4の制御可能な半導体スイッチの各々が、前記第2のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第3および第4のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える、請求項10に記載の補聴器。
【請求項12】
前記出力電圧レギュレータが、前記第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチのうちの1つまたは複数について、前記デジタル制御信号の振幅に従って、前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれのセグメント・サブセットを選択するように構成された、請求項11に記載の補聴器。
【請求項13】
前記出力電圧レギュレータが、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第1のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第1の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第2のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第2の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第3のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第3の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第4のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第4の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように構成された、請求項11または12に記載の補聴器。
【請求項14】
前記出力電圧レギュレータが、前記デジタル制御信号の前記振幅に従って、前記固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数間で切り替えるように構成された、請求項13に記載の補聴器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ電源電圧を提供する充電式バッテリ電源と、バッテリ電源電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するための、バッテリ電源電圧に結合されたDC入力を備えるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータと、を備える補聴器に関する。補聴器は、少なくとも1つの能動回路の能動構成要素に通電するための、DC出力電圧に接続された少なくとも1つの能動回路を備える。
【背景技術】
【0002】
スイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータは、当該技術分野で公知であり、これまでに様々なタイプのポータブル通信デバイスにおいて適用されてきた。スイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータは、ポータブル・デバイスの充電式バッテリなどのエネルギー源または電源からのDC入力電圧を、様々なタイプの集積回路および他の能動構成要素に給電するのに適した、より高いまたはより低いDC出力電圧に変換するために利用される。スイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータは、インダクタの磁場内にエネルギーを蓄積しないので、インダクタ・ベースの対応物と比較して特定の魅力的な特性、たとえば、比較的低レベルのEMIを有する。スイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータは、小さいサイズと、高いエネルギー変換効率を有することができる。スイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータの異なるトポロジは、トポロジに依存する最適電圧変換比、たとえば、1:2または1:3の昇圧変換ならびに2:1および3:1の降圧変換を有するDC電圧昇圧(すなわちブースト)およびDC電圧降圧(すなわちバック)を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、広範囲の負荷にわたるより高い電力変換効率、電磁ノイズ放射のさらなる低減、DC出力電圧における低減した電圧リプル、改善された電源レギュレーション、および改善された負荷レギュレーションなどの、改善された性能特性を有するスイッチド・キャパシタDC-DC電力コンバータを提供する必要性が当該技術分野に残っている。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、小さいバッテリ容量と組み合わせたハウジングまたはカスタム・シェルのコンパクトな寸法が、典型的には、電源回路のサイズ、電力変換効率、および電磁放射に厳しい制約を課す補聴器に給電するために大変有用である。さらに、磁気/インダクタ・ベースのDC-DC電力コンバータによって生成される磁場放射は、補聴器内に存在するRFワイヤレス・トランシーバのRF信号の受信および送信を妨げる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、バッテリ電源電圧を提供する充電式バッテリ電源を備える補聴器に関する。前記補聴器は、前記バッテリ電源電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するための、前記バッテリ電源電圧に結合されたDC入力を備えるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータを備えている。前記補聴器の少なくとも1つの能動回路は、少なくとも1つの能動回路の能動構成要素に通電するために、前記DC出力電圧に接続されている。
【0005】
補聴器は、耳かけ型(BTE:Behind-the-Ear)、耳あな型(ITE:In-the-Ear)、外耳道挿入型(ITC:In-the-Canal)、完全外耳道挿入型(CIC:Completely-in-Canal)などの任意の公知のハウジング・スタイルに応じたハウジングまたはシェルを備えることができる。補聴器は、補聴器の外部環境から音をピックアップし、それに応答して第1のオーディオ信号を生成するための1つまたは複数のマイクロフォンを備えることができる。
【0006】
少なくとも1つの能動回路は、1つまたは複数のオーディオ信号、たとえば、マイクロフォンまたは補聴器のマイクロフォンによってピックアップされた会話または音楽を増幅する、圧縮する、フィルタリングする、ビームフォーミングするなどの、補聴器のそれぞれの処理機能を実行するように構成された複数の能動回路または回路ブロックを備えることができる。少なくとも1つの能動回路は、デジタル論理回路、またはアナログ回路、またはその両方の組合せを形成する複数の相互接続されたトランジスタを備えることができる。前記少なくとも1つの能動回路は、以下により詳細に説明するD級出力増幅器を備えることができる。
【0007】
充電式バッテリ電源は、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのDC入力にバッテリ電源電圧を供給する少なくとも1つのリチウム・イオン・バッテリ・セルを備えることができる。リチウム・イオン・バッテリ・セルは、約4.0Vにおける公称バッテリ電圧を供給するので、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、補聴器の少なくとも1つの能動回路に約1.2VのDC出力電圧を提供するために、少なくとも1つのリチウム・イオン・バッテリ・セルの充電状態に応じて2:1および/または3:1の割合でバッテリ電源電圧を降圧するように構成され得る。以下で説明するように、約1.2Vの後者の電圧は、しばしば、D級出力増幅器および補聴器の他の能動回路に最適またはほぼ最適である。しかしながら、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータが、1.2V未満の公称バッテリ電圧を供給する他のタイプの充電式バッテリ電源については、特定の割合、たとえば、1:2および/または1:3でバッテリ電源電圧を昇圧するように構成され得ることを当業者は理解するであろう。
【0008】
前記補聴器の前記少なくとも1つの能動回路は、制御および処理回路をさらに備えており、前記制御および処理回路が、第1のオーディオ信号を受信するための第1のオーディオ入力チャネルと、ユーザの聴力損失に応じて補償されたマイクロフォン信号を生成するための前記オーディオ信号を受信し処理するための信号プロセッサと、を備えており、前記補償されたマイクロフォン信号が、小型レシーバまたはスピーカに印加するための所定の変調周波数における変調出力信号を生成するために前記D級出力増幅器のオーディオ入力に印加される。
【0009】
補聴器の信号プロセッサは、専用デジタル論理回路、ソフトウェア・プログラマブル・プロセッサ、またはそれらの任意の組合せを備えることができる。本明細書で使用される「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかの、マイクロプロセッサまたはCPU関連のエンティティを指すことを意図している。たとえば、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などは、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、および/またはプログラムであってもよいが、そうであることに限定されない。例示として、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などという用語は、プロセッサ上で動作するアプリケーションと、ハードウェア・プロセッサの両方を指す。1つまたは複数の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはそれらの任意の組合せは、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在してもよく、1つまたは複数の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはそれらの任意の組合せは、おそらくは他のハードウェア回路と組み合わせて1つのハードウェア・プロセッサ上に局在化されてもよく、および/または、おそらくは他のハードウェア回路と組み合わせて2つ以上のハードウェア・プロセッサ間に分散されてもよい。また、プロセッサ(または同様の用語)は、信号処理を実行することができる任意の構成要素または構成要素の任意の組合せであり得る。たとえば、信号プロセッサは、ASICプロセッサ、FPGAプロセッサ、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路構成要素、または集積回路であり得る。
【0010】
補聴器は、ワイヤレス変調されたオーディオ信号を受信するための、第1のオーディオ入力チャネルに結合されたワイヤレス・レシーバと、ワイヤレス・オーディオ信号を抽出し、ワイヤレス・オーディオ信号を第1のオーディオ入力チャネルまたは第2のオーディオ入力に結合するための、ワイヤレス・レシーバに結合されたデコーダとを備えることができる。ワイヤレス・レシーバは、RFアンテナまたは磁気アンテナなどの、選択されたタイプのワイヤレス送信のための適切なアンテナを備えることができる。RFアンテナは、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格またはBluetooth Low energy(Bluetooth LE)規格に従ってワイヤレス変調されたオーディオ信号を受信するために構成され得る。代替的には、たとえば、磁気結合に基づいて、はるかに低い周波数の通信が適用されてもよく、その場合、磁気アンテナは、従来のテレコイルを備えてもよい。
【0011】
補聴器は、聴力損失を補償したマイクロフォン信号に基づいて変調出力信号を供給するように構成された、レシーバ、スピーカ、埋込み電極型トランスデューサなどの、出力トランスデューサを追加で備えてもよい。聴覚出力信号は、補聴器ユーザの聴覚システムによって音として知覚される。
【0012】
前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの好ましい実施形態は、クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、前記クロック信号から導出される第1および第2の非重複クロック位相によって駆動されるスイッチ・アレイを備えるチャージ・ポンプ回路であって、前記スイッチ・アレイが、第1のクロック位相において、前記DC入力電圧からフライング・キャパシタを充電し、第2のクロック位相において、前記DC出力電圧に接続された出力キャパシタに前記フライング・キャパシタを放電するように構成された、チャージ・ポンプ回路と、を備えている。前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータはさらに、出力電圧レギュレータを備え、前記出力電圧レギュレータが、DC基準電圧を受け取るための基準電圧入力、および前記DC出力電圧を表すフィードバック電圧を受け取るためのフィードバック電圧入力と、前記DC基準電圧と前記フィードバック電圧とを組み合わせて制御信号を決定するように構成された誤差信号発生器と、前記制御信号を受信してローパス・フィルタリングし、ローパス・フィルタリングされた制御信号を生成するように構成されたループ・フィルタと、所定のサンプリング周波数において前記ローパス・フィルタリングされた制御信号を対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器と、前記クロック信号およびデジタル制御信号に基づいて前記チャージ・ポンプ回路のための前記第1および第2の非重複クロック位相を生成するように構成されたスイッチ・アレイ・コントローラと、を備えている。
【0013】
多レベル量子化器のサンプリング周波数は、約500kHzよりも上、たとえば、1MHzと8MHzとの間にあってもよい。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの一実施形態によれば、多レベル量子化器の所定のサンプリング周波数は、第1および第2の非重複クロック位相を介してチャージ・ポンプ回路を駆動するクロック信号の最大クロック周波数の2倍に等しい。チャージ・ポンプ回路は、クロック信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方で、DC出力電圧、およびそれに接続された平滑キャパシタまたは出力キャパシタに電荷を転送することができる。これは、DC出力電圧における電圧リプルが、クロック信号の最大クロック周波数の2倍に位置する周波数成分と、その高調波とを含むことを意味する。本発明の特定の有利な実施形態では、多レベル量子化器は、ローパス・フィルタリングされた制御信号のサンプリングに関連するエイリアシング生成物を抑制するために、クロック信号に同期してサンプリングされ得る。
【0014】
多レベル量子化器、別名A/Dコンバータは、正確さ、回路の複雑さ、および電力消費に関する特定のアプリケーションの要件に応じて、2~6の量子化レベルを含むことができる。
【0015】
スイッチ・アレイは、1つまたは複数のフライング・キャパシタをDC入力電圧に選択的に接続し、1つまたは複数のフライング・キャパシタを充電し、1つまたは複数のフライング・キャパシタをDC出力電圧において出力キャパシタに交互に放電させる複数の制御可能な半導体スイッチを備えることができる。スイッチ・アレイの特定の実施形態は、DC入力電圧とフライング・キャパシタの正端子との間に接続された少なくとも1つのフライング・キャパシタおよび第1の制御可能な半導体スイッチと、フライング・キャパシタの負端子と接地などの負のDC電源レールおよびDC出力電圧のうちの1つとの間に接続された第2の制御可能な半導体スイッチと、フライング・キャパシタの負端子と負のDC電源レールとの間に接続された第3の制御可能な半導体スイッチと、フライング・キャパシタの正端子とDC出力電圧との間に接続された第4の制御可能な半導体スイッチとを備えることができ、第1および第2の制御可能な半導体スイッチは、第1のクロック位相に従ってそれぞれのオン状態とオフ状態との間で切り替えられ、第3および第4の制御可能な半導体スイッチは、第2のクロック位相に従ってそれぞれのオン状態とオフ状態との間で切り替えられる。
【0016】
ループ・フィルタは、アナログ・ローパス・フィルタ、および/またはスイッチド・キャパシタ・ローパス・フィルタなどの離散時間ローパス・フィルタを備えることができる。当業者は、添付図面を参照して以下でさらに詳細に説明するように、ループ・フィルタおよび誤差信号発生器が、たとえばDC基準電圧およびフィードバック電圧を減算し、制御信号をローパス・フィルタリングするように構成された差動入力スイッチド・キャパシタ・フィルタとして一体的に形成され得ることを理解するであろう。
【0017】
ループ・フィルタは、好ましくは、ループ・フィルタの伝達関数が伝達関数の第1のコーナ周波数においてローパス・ポールを含むように、いわゆる比例積分フィルタを含む。第1のコーナ周波数は、本物の積分器の機能を近似するために、100Hz未満、または10Hz未満など、200Hz未満であり得る。ループ・フィルタの伝達関数は、特定の実施形態では、第2のコーナ周波数を含み、第2のコーナ周波数においてゼロであってもよい。第2のコーナ周波数は、好ましくは、第1のコーナ周波数よりもはるかに高く、たとえば、100倍を超えるなど、少なくとも20倍高い。第2のコーナ周波数は、オーディオ帯域幅よりも上、たとえば、20kHzよりも上に位置してもよい。ループ・フィルタの第1の実施形態の伝達関数は、50Hzに位置する第1のコーナ周波数と、26kHzに位置する第2のコーナ周波数とを有する。
【0018】
スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのいくつかの有用な実施形態は、調節可能なオン抵抗またはコンダクタンスを有する複数の制御可能な半導体スイッチを備える。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの1つのそのような実施形態は、第1のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第1および第2のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを各々が備える第1および第2の制御可能な半導体スイッチを備え、第3および第4の制御可能な半導体スイッチの各々は、第2のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第3および第4のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える。スイッチ・アレイの制御可能な半導体スイッチのうちの1つまたは複数は、各々、2~16の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを含むことができる。複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれの抵抗は、実質的に同一であってもよく、または、それらは、たとえば、バイナリ加重方式に従って異なってもよい。
【0019】
出力電圧レギュレータは、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチの1つまたは複数について、デジタル制御信号の振幅に従って、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれのセグメント・サブセットを選択するように構成され得る。出力電圧レギュレータは、たとえば、DC出力電圧への電荷移動を増加させ、デジタル制御信号の振幅の増加を打ち消すために、デジタル制御信号の振幅の増加とともに、複数の個別に制御可能なセグメントの活性スイッチ・セグメント、すなわち、導通スイッチ・セグメントの数を増加させ、おそらくはその逆も行い、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチのうちの1つまたは複数の各々のコンダクタンスが、そのオン状態において、デジタル制御信号の振幅を追跡するように、それぞれのスイッチ・セグメント・サブセットを選択するように構成され得る。デジタル制御信号の振幅の増加は、DC出力電圧における出力電圧誤差の増加を示し、デジタル制御信号の振幅の減少についてはその逆である。当業者は、問題の制御可能な半導体スイッチのコンダクタンスを最大にするために、いくつかの時間インスタンスにおけるセグメント・サブセットが、個別に制御可能なスイッチ・セグメントのすべてを含んでもよいことを理解するであろう。
【0020】
スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの1つの魅力的な変形は、制御可能な半導体スイッチの状態切替えに関連してスイッチ・セグメントを順次に活性化することによって、徐々にまたは段階的にスイッチ・オンおよびスイッチ・オフされる複数の制御可能な半導体スイッチを備える。1つのそのような実施形態によれば、出力電圧レギュレータは、スイッチ・セグメント制御信号の第1のセットを介して、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にオンおよびオフにすることによって、第1の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替える、および/または、スイッチ・セグメント制御信号の第2のセットを介して、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にオンおよびオフにすることによって、第2の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替える、および/または、スイッチ・セグメント制御信号の第3のセットを介して、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にオンおよびオフにすることによって、第3の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替える、および/または、スイッチ・セグメント制御信号の第4のセットを介して、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にオンおよびオフにすることによって、第4の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように構成される。
【0021】
出力電圧レギュレータは、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチのうちの1つまたは複数について、デジタル制御信号の振幅が現在の量子化レベルからより大きい量子化レベルに増加されるのに応答して、第1および第2のクロック位相をトグルし、デジタル制御信号の振幅に従って、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれのセグメント・サブセットを選択するように構成され得る。
【0022】
スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのさらに別の実施形態によれば、クロック発生器は、少なくとも2つのクロック周波数、たとえば、2~8の固定クロック周波数などの、個別に選択可能なクロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成される。この実施形態によれば、個別に選択可能な固定クロック周波数は、プログラム可能または調節可能なクロック発生器によって生成されてもよく、後者は、出力電圧レギュレータによって制御される。出力電圧レギュレータは、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのDC出力電圧を調整するための制御機構を提供するために、デジタル制御信号のレベルまたは振幅に従って、固定クロック周波数の定義済みのセットのこれらの個々のクロック周波数間で切り替えるように構成され得る。出力電圧レギュレータは、たとえば、添付図面を参照して以下でさらに詳細に説明するように、デジタル制御信号の振幅を増加させるためにクロック周波数を増加させ、デジタル制御信号の振幅を減少させるためにクロック周波数を減少させることができる。
【0023】
この固定クロックの定義済みのセットの供給は、システム・レベルの周波数計画を可能にし、この計画では、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、システムの残りの部分、たとえば、少なくとも1つの能動回路ブロックが、ノイズに対して感度が低いか、または、少なくとも、たとえば、DC出力電圧上に存在する、もしくは電磁波すなわちEMI妨害としてピックアップされるノイズに対して感度が低下する周波数においてのみリプル電圧妨害を発生する。出力電圧レギュレータは、電源のためにスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのDC出力電圧に結合された前述のD級出力増幅器の所定の変調周波数に従って、固定クロック周波数の定義済みのセットからクロック周波数を選択するように構成され得る。これは、添付図面を参照して以下でより詳細に説明するように、ノイズ形状の出力信号におけるオーディオ帯域よりも上の量子化ノイズの高いレベルをプッシュするノイズ・シェーピング機構により、D級出力増幅器が、典型的には、比較的劣悪な電源除去比(PSRR)を有するので、有利である。出力電圧レギュレータの1つのそのような実施形態によれば、固定クロック周波数の定義済みのセットの各クロック周波数は、D級出力増幅器の所定の変調周波数の整数倍である。D級出力増幅器の変調周波数は、たとえば、250kHzに設定されてもよく、出力電圧レギュレータの固定クロック周波数の定義済みのセットは、少なくとも、250kHz、500kHz、および1MHz、または少なくとも500kHz、1MHz、および1.5MHzを含む。当業者は、温度変動および構成要素のドリフトなどにもかかわらず、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのスイッチング周波数と、D級出力増幅器の変調周波数との間の明確な関係を維持するために、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのクロック信号が、好ましくは、D級出力増幅器の所定の変調周波数を設定するクロック信号と同期することを理解するであろう。
【0024】
固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数は、2、3、4、8などの整数比によって関連付けられてもよい。固定クロック周波数の定義済みのセットは、たとえば、500kHzおよび1MHzを含んでもよく、または250kHz、500kHz、1MHz、およびオプションで2MHzを含んでもよい。
【0025】
出力電圧レギュレータは、デジタル制御信号の振幅と、固定クロック周波数の定義済みのセットと、制御可能な半導体スイッチの各々の活性スイッチ・セグメントとの間の結合を指定する所定のテーブルまたは所定の規則に従ってもよい。1つのそのような実施形態では、出力電圧レギュレータは、デジタル制御信号の各振幅を、個別に選択可能な固定クロック周波数の定義済みのセットから選択されたクロック周波数と、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのスイッチ・セグメント・サブセットとの特定の組合せにマッピングする所定のテーブルまたは所定の規則を含む。当業者は、この所定のテーブルまたは所定の規則が、スイッチ・アレイ・コントローラの適切に構成されたデジタル状態機械によって実装されてもよいことを理解するであろう。
【0026】
本発明の第2の態様は、DC入力電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するように構成されたスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータに関する。クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、クロック信号から導出された第1および第2の非重複クロック位相によって駆動されるスイッチ・アレイを備えるチャージ・ポンプ回路とを備えるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータであって、前記スイッチ・アレイは、第1のクロック位相において、DC入力電圧からフライング・キャパシタを充電し、第2のクロック位相において、DC出力電圧に接続された出力キャパシタに前記フライング・キャパシタを放電するように構成される。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、DC基準電力を受け取るための基準電圧入力およびDC出力電圧を表すフィードバック電圧を受け取るためのフィードバック電圧入力を備える出力電圧レギュレータと、DC基準電圧とフィードバック電圧とを組み合わせて制御信号を決定するように構成された誤差信号発生器と、制御信号を受信してローパス・フィルタリングし、ローパス・フィルタリングされた制御信号を生成するように構成されたループ・フィルタと、所定のサンプリング周波数において、ローパス・フィルタリングされた制御信号を対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器と、クロック信号およびデジタル制御信号に基づいてチャージ・ポンプ回路のための第1および第2の非重複クロック位相を生成するように構成されたスイッチ・アレイ・コントローラとをさらに備える。
【0027】
本発明の実施形態について、添付図面に関連してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】以下に説明する実施形態のいずれかによる例示的なスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータを備える補聴器の簡略化された概略ブロック図である。
【0029】
図2A】本発明の第1の実施形態によるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのための第1の例示的なチャージ・ポンプ回路の簡略化された概略ブロック図である。
【0030】
図2B】本発明の第2の実施形態によるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのための第2の例示的なチャージ・ポンプ回路の簡略化された概略ブロック図である。
【0031】
図3A】スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの一般的に適用可能な電気モデルを示す図である。
【0032】
図3B】複数の多分割半導体スイッチを備える第2の例示的なチャージ・ポンプ回路の損失抵抗Reqのモデルを示す図である。
【0033】
図4】本発明の様々な実施形態による例示的なスイッチド・キャパシタ(SC)DC-DCコンバータの簡略化された概略ブロック図である。
【0034】
図5】例示的なSC DC-DCコンバータの第1の出力電圧レギュレータの実施形態によって生成されたローパス・フィルタリングされた制御信号の波形を示す図である。
【0035】
図6】例示的なスイッチド・キャパシタSC DC-DCコンバータの第2の出力電圧レギュレータの実施形態によって生成されたローパス・フィルタリングされた制御信号の波形を示す図である。
【0036】
図7】例示的なスイッチド・キャパシタ(SC)DC-DCコンバータの第3の出力電圧レギュレータの実施形態によって生成されたローパス・フィルタリングされた制御信号の波形を示す図である。
【0037】
図8】個別に制御可能なスイッチ・セグメントが連続的にターンオンおよびターンオフするセグメント化スイッチ構造を備える出力電圧レギュレータの第4の実施形態の動作を示す図である。
【0038】
図9A】例示的なSC DC-DCコンバータの第1の出力電圧レギュレータの簡略化されたブロック図である。
【0039】
図9B】例示的なSC DC-DCコンバータの第2の出力電圧レギュレータの簡略化されたブロック図である。
【0040】
図9C】例示的なSC DC-DCコンバータの第3の出力電圧レギュレータの簡略化されたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、エネルギー効率のよいDC電圧変換のためのスイッチ・セグメントDC-DCコンバータを備える本補聴器の様々な例示的な実施形態について、添付図面を参照して説明する。当業者は、添付図面が明確にするために概略的かつ簡略化されており、したがって、本発明の理解に不可欠な詳細を単に示し、他の詳細が省略されていることを理解するであろう。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素または構成要素を指す。したがって、同様の要素または構成要素は、必ずしも各図に関して詳細に説明されない。当業者は、特定の動作および/またはステップが、特定の発生順序で説明または図示される場合があることをさらに認識するであろうが、当業者は、順序に関するそのような特定が実際には必要とされないことを理解するであろう。
【0042】
図1は、以下に説明する実施形態のいずれかによるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータを備える例示的な補聴器1300の簡略化された概略ブロック図を示す。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400のDC入力電圧入力は、充電式バッテリ電源VDDに接続される。充電式バッテリ電源は、正電源端子1309を介して、一体的に形成されたスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400を含む補聴器1300に接続される。当業者は、本発明の他の実施形態におけるバッテリ電源が、非充電式バッテリ電源を備えてもよく、そのような非充電式バッテリ電源によって供給される公称DC電圧レベルを、能動回路または回路ブロックのためのより最適な、たとえば、より低い電力消費の、異なるDC電圧レベルに昇圧または降圧することが望ましいことを理解するであろう。補聴器1300は、耳かけ型(BTE)、外耳道挿入型(ITC)、完全外耳道挿入型(CIC)などの任意のタイプの補聴器ハウジング・スタイルを備えてもよい。
【0043】
充電式バッテリ電源は、少なくとも1つのリチウム・イオン・バッテリ・セルを備えてもよく、したがって、約4.0Vにおける公称DC入力電圧VDDをスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400に供給してもよい。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400は、約1.2VのDC出力電圧Voutを供給するために、約2:1および/または3:1の割合で受信DC入力電圧を降圧するように構成される。出力/平滑キャパシタCoutは、DC出力電圧Voutに接続され、少なくとも1つのフライング・キャパシタCflyは、前述のようにコンバータのスイッチ・アレイに接続される。1.2VのDC出力電圧は、典型的には、補聴器のバッテリ寿命が最大になるように、補聴器の個々の能動回路または回路ブロックのための、具体的にはD級出力増幅器1313のための最適またはほぼ最適な電源条件を提供する。この1.2Vのバッテリ・レベルにおける最適な電源条件は、とりわけ、従来の非充電式亜鉛空気バッテリによって供給される電圧レベルにおける回路最適化によってもたらされる。D級出力増幅器1313のDC電源入力VCCにおけるDC電源は、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400のDC出力電圧Voutに接続される。この接続は、補聴器の状況においてスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400に大きなピーク電力/電流送達要求を導入し、したがって、そのため、DC出力電圧Voutに比較的大きいリプル電圧を導入する可能性がある。D級出力増幅器1313によってそのDC電源レールから引き出されるピーク電流は、高出力補聴器の特定のタイプの低インピーダンス補聴器レシーバまたはスピーカ1319について、50mAを超える可能性がある。出力/平滑キャパシタCoutのキャパシタンスは、1~10μFなど、500nFよりも大きい場合があり、フライング・キャパシタCflyのキャパシタンスは、100~500nFである可能性がある。出力/平滑キャパシタおよびフライング・キャパシタは、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータ400が補聴器の他の能動回路ブロックとともに集積された集積回路の外部にあってもよい。補聴器の他の能動回路は、マイクロフォン前置増幅器1311と、アナログ-デジタル・コンバータΣΔ1-2 1307と、クロック発生器1305と、制御および処理回路1311と、ワイヤレス・レシーバおよびデコーダ1304と、D級出力増幅器1313とを含んでもよい。これらの能動回路のうちの1つまたは複数は、エネルギー供給のためのDC出力電圧Voutに接続されてもよい。ワイヤレス・レシーバおよびデコーダ1304は、ワイヤレスRF変調デジタル・オーディオ信号および/またはデータ信号を受信するためのRFアンテナ1306に結合される。当業者は、ワイヤレス・レシーバおよびデコーダ1304が、Bluetooth LE規格などのBluetooth規格に準拠してもよいことを理解するであろう。
【0044】
補聴器1300は、補聴器における入力音に応答してオーディオ信号を生成する少なくとも1つのマイクロフォンMを備える。オーディオ信号は、制御および処理回路1311の適切な入力ポートまたはチャネルにデジタル・マイクロフォン信号を提供するために、マイクロフォン前置増幅器1309およびアナログ-デジタル・コンバータΣΔ1を備える入力チャネルにおいて増幅/バッファリングおよびデジタル化される。制御および処理回路1311は、ソフトウェア・プログラマブルDSPコアを備えてもよく、実行可能プログラム命令またはコードのセットの制御の下でデジタル・マイクロフォン信号に1つまたは複数の信号処理機能を適用してもよい。1つまたは複数の信号処理機能は、好ましくは、適切に補償されたマイクロフォン信号がスピーカ1319を介してユーザまたは患者に供給されるように、補聴器のユーザの聴力損失に従ってデジタル・マイクロフォン信号を処理するように適合される。これらの信号処理機能は、非線形増幅、ノイズ低減、周波数応答シェーピングなどの機能の異なる処理パラメータを含んでもよい。したがって、1つまたは複数の信号処理機能の様々な処理パラメータは、聴覚訓練士のオフィスにおけるユーザとの以前の補聴器フィッティング・セッション中に決定され、DSPの不揮発性データ・メモリ空間にロードされていてもよい。制御および処理回路1311は、マスタ/システム・クロック発生器1305によって供給されるマスタ・クロック信号によってクロックされ、クロック周波数は、2MHzよりも上、たとえば、2~40MHzであってもよい。マスタ・クロック発生機1305は、第1および第2のアナログ-デジタル・コンバータΣΔ1、ΣΔ2に同期クロック信号を追加で供給してもよい。
【0045】
上記で説明したように、D級出力増幅器1313は、補償されたマイクロフォン信号を、補聴器のユーザの外耳道内に音圧を生成するための小型レシーバまたはスピーカ1319に印加される所定の変調周波数における対応する変調出力信号に変換する。D級出力増幅器の変調周波数は、特定の用途における増幅器の変調方式および性能要件のタイプに応じて変化し得る。D級出力増幅器1313は、250kHz~2MHzの変調周波数を用いてスピーカ1319への出力信号をPWM変調またはPDM変調するように構成され得る。D級出力増幅器の変調周波数は、制御および処理回路1311によって、適切な出力ポートまたはドライバ1314を介して、D級出力増幅器に送達される適切なクロック信号1314によって設定され得る。代替の実施形態では、クロック信号1315は、マスタ・クロック発生器1305から直接導出されてもよい。いずれの場合も、D級出力増幅器の変調周波数は、好ましくは、マスタ・クロック発生器1305のマスタ・クロック信号と同期し、マスタ・クロック信号のダウン分割レプリカであってもよい。
【0046】
補聴器1300のSC DC-DCコンバータ400の出力電圧レギュレータは、好ましくは、D級出力増幅器1313の変調周波数に従って、固定クロック周波数の以前の定義済みのセットから、SCコンバータ400のクロック周波数と、したがって、クロック信号の第1および第2のクロック位相Φ、Φとを選択するように構成される。固定周波数の定義済みのセットは、少なくとも2つの固定クロック周波数、たとえば、3、4、5、またはより多くの固定クロック周波数を含んでもよい。固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数は、2または4などの整数比によって関連付けられてもよい。固定クロック周波数の定義済みのセットの最低クロック周波数は、125kHzと1MHzとの間にあってもよい。
【0047】
SC DC-DCコンバータ400のクロック周波数と、D級出力増幅器1313の変調周波数との間のこのクロック制御または同期方式は、出力電圧レギュレータ401が、SC DC-DCコンバータ400の電圧リプル成分を、それらがD級出力増幅器1313、ならびに/または、マイクロフォン前置増幅器1311、アナログ-デジタル・コンバータΣΔ1-2、クロック発生器1313、ワイヤレス・レシーバおよびデコーダ1304などの補聴器の他の回路ブロックと最小限の干渉を作成する周波数帯域またはレンジに配置することを可能にする。一実施形態によれば、固定クロック周波数の定義済みのセットの各クロック周波数は、D級出力増幅器の所定の変調周波数の整数倍である。この関係は、SC DC-DCコンバータ400のDC出力電圧Voutに現れるリプル電圧成分が、オーディオ・スペクトルの外側、たとえば、ゼロHzまたはDCに折り返されることを保証する。これは、D級出力増幅器1313のタイプの増幅回路が、典型的には、比較的低い電源除去比(PSRR)を有し、および/または、高レベルの量子化ノイズをノイズ・シェーピングされた出力信号におけるオーディオ帯域よりも上に置くノイズ・シェーピング機構により電源ノイズに敏感であるので、D級出力増幅器1313にとって特に有利である。D級出力増幅器の比較的低い電源除去比(PSRR)は、しばしば、出力段活性スイッチデバイスと、D級増幅器1313の正DC電源レールとの間の直接接続によって引き起こされる。
【0048】
本補聴器の1つのそのような例示的な実施形態によれば、D級出力増幅器の変調周波数は、250kHzに設定され、出力電圧レギュレータの固定クロック周波数の定義済みのセットは、少なくともクロック周波数250kHz、500kHz、および1MHzを含む。
【0049】
本補聴器の一実施形態によれば、SC DC-DCコンバータ400の固定クロック周波数の定義済みのセットのクロック周波数と、D級出力増幅器の所定の変調周波数とは、同期している。この特徴は、温度変動および構成要素のドリフトなどにもかかわらず、SC DC-DCコンバータ400のスイッチング周波数とD級出力増幅器1313の変調周波数との間の明確な関係を維持するのに特に有利である。当業者は、SC DC-DCコンバータ400およびD級出力増幅器の同期動作が、補聴器のマスタ・クロック発生器1305からの外部クロック信号1317を受け取るように出力電圧レギュレータ401(図4参照)のクロック発生器を構成または適応させることによって達成され得ることを理解するであろう。この外部クロック信号1317は、適切な出力ポートを介して制御および処理回路1311によって生成され供給されてもよく、または、マスタ・クロック発生器1305から直接導出されてもよい。
【0050】
図2Aは、本発明の第1の実施形態によるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのための第1の例示的なチャージ・ポンプ回路100の簡略化された概略ブロック図である。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、DC入力電圧を、DC入力電圧の約半分のDC出力電圧に変換するように構成された降圧トポロジである。チャージ・ポンプ回路100は、フライング・キャパシタCflyと、出力/平滑キャパシタCoutと、第1の制御可能な半導体スイッチSW1、第2の制御可能な半導体スイッチSW2、第3の制御可能な半導体スイッチSW3、および第4の制御可能な半導体スイッチSW4を含むスイッチ・アレイとを備える。図に概略的に示されているように、スイッチSW1およびSW2は、クロック信号の第1のクロック位相Φによって駆動され、スイッチSW3およびSW4は、クロック信号の第2のクロック位相Φによって駆動される。クロック信号の第1および第2のクロック位相Φ、Φは、相補的であり、重複しない。チャージ・ポンプ回路100のためのDC入力電圧Vinは、スイッチSW1に印加され、DC出力電圧Voutは、出力/平滑キャパシタCoutに送達される。チャージ・ポンプ回路100の負荷は、出力/平滑キャパシタCoutをわたって接続され、当業者は、フライング・キャパシタCflyがDC入力電圧から充電されているとき、出力/平滑キャパシタCoutが負荷にエネルギー電力を供給することを理解するであろう。
【0051】
当業者は、MOSFETスイッチの小さいサイズ、大きいオフ抵抗、および低いオン抵抗が、チャージ・ポンプ回路100の多くの用途において有利な特性であるので、制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々が、MOSFET、たとえば、NMOSトランジスタ、またはMOSFETの組合せを備えてもよいことを認識するであろう。
【0052】
チャージ・ポンプ回路100の本降圧トポロジでは、SW1は、DC入力電圧とフライング・キャパシタの正端子との間に接続され、SW2は、フライング・キャパシタの負端子とDC出力電圧との間に接続される。代替の2:1の昇圧の実施形態では、SW2は、フライング・キャパシタの負端子と、GNDなどの負のDC電源レールとの間に接続される。SW3は、フライング・キャパシタの負端子と、負のDC電源レール、たとえば、GNDとの間に接続される。代替の2:1の昇圧の実施形態では、SW3は、フライング・キャパシタの負端子と、DC入力電圧との間に接続される。SW4は、フライング・キャパシタの正端子と、DC出力電圧との間に接続される。
【0053】
チャージ・ポンプ回路100の動作中、第1および第2のスイッチSW1、SW2は、第1のクロック位相Φに従ってそれぞれオン状態とオフ状態との間で切り替えられ、第3および第4のスイッチSW3、SW4は、第2のクロック位相Φに従ってそれぞれオン状態とオフ状態との間で切り替えられる。したがって、スイッチ・アレイは、第1のクロック状態において、またはその間に、SW1およびSW2のオン抵抗を介してDC入力電圧Vinからフライング・キャパシタCflyを充電するように構成される。SW1およびSW2の組み合わされたオン抵抗は、抵抗2*RSWによって概略的に表される。
【0054】
さらに、第1のクロック位相の間、スイッチSW3およびSW4は、オフまたは非導通であり、これにより等価概略回路図100aが導かれる。図示のように、負荷電流がチャージ・ポンプ回路100の出力電圧から引き出されないとき、定常状態動作において第1のクロック位相と第2クロック位相との間で周期的に切り替えることによって、出力電圧がDC入力電圧の約半分に充電されるように、フライング・キャパシタCflyおよび出力キャパシタCoutは、実際上、DC入力電圧VinとGNDとの間に直列に接続される。スイッチ・アレイは、第2のクロック位相Φにおいて、またはその間に、スイッチSW3およびSW4の導通状態によるフライング・キャパシタと出力キャパシタとの並列接続による電荷共有機構を介してフライング・キャパシタCflyを出力キャパシタCoutに放電するように構成される。第2のクロック位相の間、スイッチSW1およびSW2は、オフ、すなわち非導通であり、これにより等価概略回路図100bが導かれる。図示のように、フライング・キャパシタCflyおよび出力キャパシタCoutは、実際上、並列に接続され、DC入力電圧Vinから切り離される。
【0055】
当業者は、制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々が、問題の制御可能な半導体スイッチをそのオン状態とオフ状態との間で選択的に切り替えるために第1または第2のクロック位相Φ、Φが適用される制御端子(図示せず)、たとえば、MOSFETのゲート端子を備えてもよいことを認識するであろう。
【0056】
図2Bは、本発明の第2の実施形態によるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのための第2の例示的なチャージ・ポンプ回路200の簡略化された概略ブロック図である。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの本実施形態は、DC入力電圧VinをDC入力電圧の約3分の1のDC出力電圧Voutに変換するように構成された3:1降圧トポロジを有する。本チャージ・ポンプ回路200は、先に説明したチャージ・ポンプ回路100とは対照的に、2つの別個のキャパシタ、第1のフライング・キャパシタCfly1および第2のフライング・キャパシタCfly2を備える。チャージ・ポンプ回路200は、図示のように、出力/平滑キャパシタCoutと、第1および第2の非重複クロック位相Φ、Φのそれぞれのクロック位相によって制御される合計7つの制御可能な半導体スイッチを含むスイッチ・アレイとを追加で備える。
【0057】
チャージ・ポンプ回路200の動作中、スイッチ・アレイは、第1のクロック位相において、またはその間、活性スイッチのオン抵抗を介してDC入力電圧Vinから第1のフライング・キャパシタCfly1および第2のフライング・キャパシタCfly2を同時に充電するように構成される。さらに、第1のクロック位相の間、第2のクロック位相Φによって動作されるスイッチは、オフまたは非導通であり、これにより等価概略回路図200aが導かれる。図示のように、第1および第2のフライング・キャパシタおよび出力キャパシタCoutは、出力電圧が、第1のチャージ・ポンプ回路100に関連して上記で説明した理由のため、ポンプ回路の定常状態動作においてDC入力電圧の約3分の1に充電されるように、実際上、DC入力電圧VinとGND、または別の負の電源レールとの間に直列に接続される。スイッチ・アレイは、第2のクロック位相Φの間、能動/導通スイッチのそれぞれのオン抵抗を介する第1および第2のフライング・キャパシタと出力キャパシタとの並列接続によって生じる電荷共有機構を介して第1および第2のフライング・キャパシタを出力キャパシタCoutに放電するように構成される。第2のクロック位相の間、第1のクロック位相Φによって動作されるスイッチは、オフまたは非導通であり、第2のクロック位相Φによって動作されるスイッチは、オンまたは導通であり、これによりチャージ・ポンプ回路200の等価概略回路図200bが導かれる。図示のように、第1および第2のフライング・キャパシタCfly1およびCfly2ならびに出力キャパシタCoutは、実際上、並列に接続され、DC入力電圧Vinから切り離される。
【0058】
図3Aは、本発明によるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの特性のいくつかを強調するためにそのモデルを以下で説明するスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの一般的に適用可能なモデル300である。DC入力電圧Vinは、入力電力またはエネルギーをスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータに供給し、動作中、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、上記で説明したように、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのトポロジに応じてDC入力電圧よりも高いまたは低いことがあるDC出力電圧Voutを生成する。スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、公称DC入力電圧およびDC出力電圧が1/3、または1/2、または2/3、または2、または3、または5などの、VCRによって示された特定の比によって関連付けられているとき、特に効率的である。したがって、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのモデル300は、VCRによって設定されるような可変巻数比と、トランス302の二次巻線と直列に接続された等価損失抵抗Reqとを有する理想トランス302を備える。
【0059】
損失抵抗Reqは、2つの別個の抵抗成分を含む。1)第1の抵抗成分は、第1および第2のクロック位相を駆動するクロック信号のクロック周波数における1つまたは複数のフライング・キャパシタの切替えに関連する等価出力抵抗を表す。当業者は、クロック周波数の増加が等価出力抵抗の減少につながるように、等価出力抵抗がクロック周波数に反比例することを理解するであろう。2)第2の抵抗成分は、任意の特定のクロック周波数における能動半導体スイッチの組み合わされたオン抵抗、たとえば、先に説明した例示的な2:1降圧チャージ・ポンプ回路100の第1のクロック位相ΦにおけるスイッチSW1およびSW2のオン抵抗を表す
【0060】
後者の抵抗成分2)は、主に、問題の半導体スイッチのサイズ、半導体プロセス技術、および印加される制御電圧のレベルによって決定される。しかしながら、本発明の特定の実施形態では、チャージ・ポンプ回路のスイッチ・マトリクスの制御可能な半導体スイッチの各々、または少なくともサブセットは、適切な制御デバイスおよび機構が、対応する半導体スイッチの活性化/ターンオン中に複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのサブセットのみを活性化することができるように、複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントによって形成される。セグメント化された半導体スイッチのこの使用は、以下にさらに詳細に説明するように、半導体スイッチの制御可能なオン抵抗または同等に制御可能なコンダクタンスを提供する。
【0061】
図3Bのグラフ350は、多セグメント化半導体スイッチの損失抵抗Reqが、個別に制御可能な2つの別個の抵抗成分をどのように含むのかを示す。y軸は、任意の対数スケールにおいて損失抵抗Reqを示し、x軸は、対数スケールにおいてクロック信号のクロック周波数Fを示す。クロック周波数Fは、第1および第2のクロック位相によって設定されるフライング・キャパシタのスイッチング周波数に等しい。グラフ350の損失抵抗Reqのプロット352、354、356、358は、スイッチ・マトリクスの制御可能な半導体スイッチの各々が並列に接続された8つの同一の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを含む特定のセグメント化スイッチの実施形態を示す。しかしながら、他のセグメント化スイッチの実施形態は、2~16の並列に接続されたスイッチ・セグメントなどの、制御可能な半導体スイッチの各々において、より少ないまたはより多い並列に接続された個別に制御可能なスイッチ・セグメントを使用することができる。
【0062】
したがって、本実施形態における特定の制御可能な半導体スイッチのオン抵抗および等価コンダクタンスは、スイッチ・セグメントのそれぞれの制御端子、たとえば、ゲート端子に印加されるスイッチ・セグメント制御信号の適切なセットを介して1~8のスイッチ・セグメントから活性化することによって、8段階で制御され得る。プロット358は、漸近近似を単に描くことによって、8つのスイッチ・セグメントのすべてが問題の半導体スイッチのオン状態または導通状態において活性化されるときの損失抵抗Req対クロック周波数Fを概略的に示す。漸近プロット358は、2つの実質的に直線の部分を含み、第1のプロット部分360は、損失抵抗Reqを示し、後者は、フライング・キャパシタのスイッチングに関連する等価出力抵抗を表す第1の抵抗成分によって支配される。予想されるように、損失抵抗Reqは、第1のプロット部分360においてクロック周波数Fに反比例する。第2のプロット部分364は、半導体スイッチの8つの並列スイッチ・セグメントの組み合わされたオン抵抗を表す第2の抵抗成分によって支配される損失抵抗Reqを示す。予想されるように、損失抵抗Reqは、第1および第2の抵抗成分の直列接続と、第1の抵抗成分の減少抵抗とのために、第2のプロット部分364におけるクロック周波数Fとは無関係に実質的に一定である。最後に、ニー・ポイント362は、損失抵抗Reqの第1および第2の抵抗成分が実質的に等しいクロック周波数Fを示す。
【0063】
プロット356、354、352は、それぞれ、プロット358における8から4、2、および1の活性スイッチ・セグメントへの半導体スイッチの活性スイッチ・セグメントの減少する数の効果を概略的に示す。予想されるように、半導体スイッチの損失抵抗Reqは、損失抵抗Reqの第2の抵抗成分の支配的な影響のため、より高いクロック周波数またはスイッチング周波数Fにおいて活性スイッチ・セグメントの数が減少するにつれて漸進的に増加する。さらに、半導体スイッチの損失抵抗Reqは、損失抵抗Reqの第1の抵抗成分の現在の支配的な影響のため、非常に小さいクロック周波数またはスイッチング周波数Fにおいて活性スイッチ・セグメントの数にほとんど依存しないままである。
【0064】
図4は、本発明の様々な例示的な実施形態による、スイッチド・キャパシタ(SC)DC-DCコンバータ400の簡略化された概略ブロック図である。SC DC-DCコンバータ400は、たとえば、例示したフライング・キャパシタの単一の1つを単に使用することによって、DC入力電圧VinをDC入力電圧の約半分のDC出力電圧Voutに変換する、すなわち2:1に降圧するように構成されてもよい。スイッチド・キャパシタ(SC)DC-DCコンバータ400の他の実施形態は、上記で説明したように、チャージ・ポンプ回路100のトポロジの適切な適用によって、DC入力電圧Vinをより高いDC出力電圧Voutに昇圧またはブーストする、たとえば、1:2または1:3に昇圧するように構成されてもよい。当業者は、後者の実施形態では、チャージ・ポンプ回路100への、場合によってはゲート・ドライバ410に対するDC電源電圧が、制御可能な半導体スイッチの制御端子に対する十分に大きい電圧を提供するために、より高いDC出力電圧Voutから導出されてもよいことを理解するであろう。
【0065】
本SC DC-DCコンバータ400のためのDC入力電圧Vinは、SC DC-DCコンバータ400のDC出力電圧によって通電されるべき負荷回路のための所望のまたは最適な電圧よりもはるかに高い公称DC電圧を送達する充電式バッテリ電源によって供給されてもよい。充電式バッテリ電源は、たとえば、各々が約3.7Vの公称出力電圧を示すことができる1つまたは複数のリチウム・イオン・バッテリ・セルを備えてもよい。SC DC-DCコンバータ100が補聴器に組み込まれている場合、この公称リチウム・イオン・バッテリ電圧を、従来の非充電式亜鉛空気補聴器バッテリによって供給される典型的な1.2VのDCレベルに近いDC電圧に降圧することが望ましい場合がある。その結果、出力電圧レギュレータまたはコントローラ401のRef入力に印加されるDC基準電圧Vrefは、SC DC-DCコンバータ400の後者の実施形態では1.2Vに設定されてもよい。
【0066】
当業者は、図面が単に、チャージ・ポンプ回路100に入力される4つの別個の第1および第2の相補的で非重複のクロック位相を示すことを理解するであろう。4つの別個の第1および第2の相補的で非重複のクロック位相の使用は、図1を参照して上記で説明した2:1の降圧SCコンバータの4つのセグメント化された制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4を駆動するのに適した構成である。しかしながら、代替の実施形態は、チャージ・ポンプ回路200の説明に関連して先に示したように、追加の制御可能な半導体スイッチを駆動するために追加のクロック位相信号を含んでもよい。いずれの場合も、スイッチ・アレイが、第1のクロック位相において、DC入力電圧から少なくとも第1のフライング・キャパシタCfly1を充電し、第2のクロック位相の間、第1のフライング・キャパシタを出力キャパシタCoutに放電するように、4、7、またはさらに多くの制御可能な半導体スイッチが、第1および第2の非重複クロック位相によって駆動されるスイッチ・アレイを形成する。当業者はさらに、チャージ・ポンプ回路100のいくつかの実施形態が、トポロジ切替え方式と組み合わせて2つ以上の異なるコンバータ・トポロジを組み合わせるいわゆる「ギアボックス」を含んでもよいことを理解するであろう。チャージ・ポンプ回路100の1つのそのような多トポロジの実施形態は、2:1降圧SCコンバータと3:1降圧SCコンバータとを備えてもよく、デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、DC入力電圧VinとDC出力電圧Voutとの間の電圧差に応じて、2:1降圧SCコンバータと3:1降圧SCコンバータとの間で選択するように構成される。この特徴は、たとえば、SC DC-DCコンバータ400にDC入力電圧を供給する先に説明した充電式バッテリ電源の異なる充電状態によって引き起こされるDC入力電圧Vinの変動するレベルにおいて、チャージ・ポンプ回路100の電力変換効率を最適化するのに有利であり得る。
【0067】
SC DC-DCコンバータ400は、出力電圧レギュレータ401を備える。以下に説明するように、第1および第2の非重複クロック位相Φ、Φは、デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラを介して出力電圧レギュレータ401によって生成されたクロック信号sw_clkから導出されるので、出力電圧レギュレータ401は、チャージ・ポンプ回路100のクロック周波数を決定する。出力電圧レギュレータ401は、固定クロック周波数または調節可能なクロック周波数においてクロック信号を生成するように構成されたクロック発生器を備えてもよい。クロック信号の周波数は、本実施形態では、調節可能またはプログラム可能であるが、代替実施形態は、クロック信号の単一の固定クロック周波数を使用してもよい。本実施形態では、クロック信号の周波数は、DC出力電圧から延び、フィードバック・ワイヤまたは導体425を介して、出力電圧レギュレータ401の第1の入力Senseに及ぶフィードバック・ループを介してDC出力電圧の調整を提供するために利用される。出力電圧レギュレータ401は、加えて、所望のまたは目標のDC出力電圧を示すDC基準電圧Vrefを受け取るためのDC基準電圧入力Refを備える。フィードバック・ループは、第1および第2の非重複クロック位相Φ、Φを介してチャージ・ポンプ回路100に適用されるクロック周波数もしくはスイッチング周波数を調整することによって、ならびに/または、以下に詳細に説明するように、チャージ・ポンプ回路の制御可能な半導体スイッチの電気コンダクタンスGSWを調整することによって、Ref入力におけるDC基準電圧Vrefと、実際のDC出力電圧との間の電圧差または偏差を最小にするように動作可能である。本実施形態では、出力電圧レギュレータ401は、固定クロック周波数の定義済みのセットから現在のクロック周波数を選択するように構成されるが、別の実施形態は、他の周波数制御方式に従ってクロック周波数を調整してもよい。固定クロック周波数の定義済みのセットのこの使用は、以下で詳細に説明するように、固定クロック周波数の定義済みのセットが、補聴器などの特定の目標の用途の特定の回路および構成要素との電磁干渉を最小にするように選択され得るように、出力電圧レギュレータ401の設計段階における周波数計画を可能にする。固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数は、2、4、8などの整数比によって関連付けられてもよく、たとえば、500kHz、1MHz、2MHz、および4MHzである。
【0068】
デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、4つのセグメント化された制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4のそれぞれのスイッチ・セグメントを駆動するための制御信号のそれぞれのセットを生成するように構成された、たとえば、デジタル・ステート・マシンを実装した組合せおよび順次デジタル・ロジックを備えてもよい。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、出力電圧レギュレータ401によって供給されるクロック信号sw_clkから先に説明した第1および第2の非重複クロック位相Φ、Φを導出するように構成された非重複クロック発生器403を備える。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラの第1のスイッチ・エンコーダ405aは、データ・バス407a上にスイッチ・セグメント制御信号の第1のセットを生成するために、第1のクロック位相Φと、選択バス404を介して供給されるスイッチ選択データとを利用し、同様に、データ・バス407b上の非重複スイッチ・セグメント制御信号の第2のセットを生成するために、第2のクロック位相Φと、スイッチ・セグメント選択バス404とを利用する。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、便宜上、別個の回路として示されたゲート・ドライバ・ブロック410を備える。
【0069】
ゲート・ドライバ・ブロック410は、第1のクロック位相Φに従って、第1および第2の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2の各々の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれについて、必要なnのスイッチ・セグメント制御信号409aを生成し、同様に、第2のクロック位相Φに従って、第3および第4の制御可能な半導体スイッチSW3、SW4の各々の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれについて、nのスイッチ・セグメント制御信号409bを生成するように構成される。ゲート・ドライバ・ブロック410は、たとえば、個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれの制御入力によって提示される負荷を駆動するために、十分な駆動電圧および電流を供給するための、複数のデジタルバッファ、複数のレベル・シフタ、または電圧変換器を備えてもよい。
【0070】
SC DC-DCコンバータ400は、チャージ・ポンプ回路100、200の制御可能な半導体スイッチのセグメント化されていないバージョンまたはセグメント化されたバージョンのための異なるスイッチング方式を提供する出力電圧レギュレータ401の異なる実施形態を含んでもよい。
【0071】
出力電圧レギュレータ401aの第1の実施形態の簡略化されたブロック図を図9Aに示す。出力電圧レギュレータ401aは、制御信号または誤差信号εを決定するために、SC DC-DCコンバータ400の所望のまたは目標のDC出力電圧を示すDC基準電圧Vref、およびフィードバック電圧Voutを減算するように構成された、誤差信号発生器1001、たとえば減算回路を備える。誤差信号εは、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLを生成するために誤差信号を積分またはローパス・フィルタリングするループ・フィルタ1005の入力に印加される。ローパス・フィルタリングされた制御信号εLは、その後、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLを所定のサンプリング周波数において対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器1010、すなわちA/Dコンバータの入力に印加される。多レベル量子化器1010の解像度は、比較的小さくてもよく、たとえば、それぞれ4量子化レベルおよび16量子化レベルに対応する2ビットと4ビットとの間であってもよい。したがって、デジタル制御信号は、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLの現在のまたは瞬時の振幅を、4~16の振幅レベルによって表していてもよい。多レベル量子化器1010の所定のサンプリング周波数は、SCコンバータの異なる実施形態間で変化してもよく、選択されたクロック周波数またはクロック周波数範囲、および、以下に詳細に説明するように、ループ・フィルタ1005のローパス/積分器応答のコーナ周波数/時定数などの、様々な設計パラメータに依存してもよい。多レベル量子化器1010の所定のサンプリング周波数は、500kHzと4MHzとの間にあってもよい。いくつかの実施形態では、多レベル量子化器1010の所定のサンプリング周波数は、チャージ・ポンプ回路の最大クロックまたはスイッチング周波数Fの2倍に設定されてもよい。チャージ・ポンプ回路は、クロック信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方で電荷を出力キャパシタCoutに転送し、これは、DC出力電圧における電圧リプルが、最大スイッチング周波数Fの2倍に位置する周波数成分を含むことを意味する。多レベル量子化器、たとえば、1010、1110、1210の特定の有利な実施形態では、後者は、エイリアシング生成物を除去するために、スイッチング周波数Fと同期して、または同相でサンプリングされてもよい。
【0072】
ループ・フィルタ1005は、DCに向かう低周波利得と、第1のコーナ周波数におけるローパス・ポールと、第2のコーナ周波数におけるゼロとを含むいわゆるPI(比例積分)タイプのフィルタ回路またはフィルタ関数を含んでもよい。ローパス・ポールによって引き起こされる第1のコーナ周波数は、好ましくは、ループ・フィルタ1005の低周波応答が積分器応答に類似するように、100Hz未満、または50Hz未満、または10Hz未満に配置される。50Hzにおけるローパス・ポールでは、低周波利得は、約70dBに設定され得る。第2のコーナ周波数は、好ましくは、第1のコーナ周波数よりもはるかに高く、たとえば、100倍よりも高いなど、少なくとも20倍高い。第2のコーナ周波数は、オーディオ帯域幅の上、たとえば、20kHzよりも上に位置してもよい。
【0073】
DC出力電圧が小さいDC電圧誤差を有する、すなわち、DC基準電圧を厳密に追跡することを保証するように、DCにおいて比較的高い利得を有するループ・フィルタ1005、1105、1205を構成または設計することが一般に望ましい。SC DC-DCコンバータ400のオーディオ用途について、DC出力電圧に接続されたスピーカ・ドライバ、たとえば、D級出力増幅器は、スピーカの電気インピーダンスが典型的には小さい低周波数において大きい電流を引き出す傾向があるので、たとえば、1kHz未満の低いオーディオ周波数におけるループ・フィルタの利得は、比較的大きい値、たとえば、少なくとも40dBに設定されてもよい。
【0074】
上記で説明した実施形態のいずれかによるループ・フィルタ1005、1105、1205のローパス特性は、SC DC-DCコンバータ400がしばしば多レベル量子化器1010、1110、1210の単一の量子化レベルの周りで動作していることを保証する。したがって、多レベル量子化器の2つの連続するサンプリング点またはインスタンス間のローパス・フィルタリングされた制御信号εLの変化は、単一の量子化レベルを超えない。これは、多レベル量子化器1010が、多レベル量子化器の離散的量子化レベルの数よりも著しく少ない量子化レベルを各サンプリング時点においてサンプリングするように構成されてもよいことを意味する。たとえば、本多レベル量子化器は、8~16の量子化レベルを含んでもよいが、これらのうちの2つだけがサンプリングされる必要がある。これは、多レベル量子化器1010の全体的な電力消費を4倍または8倍にさえ減少させる。
【0075】
当業者は、第1のコーナ周波数および第2のコーナ周波数の選択が、DC出力電圧から延び、出力電圧レギュレータ401のSense入力に至るSC DC-DCコンバータ400の先に説明したフィードバック・ループの他の固定構成要素または可変構成要素のパラメータ値に依存することを理解するであろう。DC-DCコンバータのこれらの他の固定構成要素または可変構成要素は、とりわけ、可変損失抵抗Req、出力キャパシタCoutのキャパシタンス、負荷電流、クロック信号sw_clkのクロック周波数F、および量子化レベルのステップ・サイズを含む。その漸近的DC利得および漸近的高周波利得を含むループ・フィルタ1105の周波数応答は、DC-DCコンバータの上記で説明した固定構成要素および可変構成要素の最悪のパラメータ値においてさえもフィードバック・ループの安定性を保証するように設計される。
【0076】
充電式リチウム・イオン・バッテリによって給電される補聴器用途のために設計されたSC DC-DCコンバータ400の1つの2:1降圧の実施形態によれば、以下の例示的な設計パラメータ、すなわち、1mAと10mAとの間にあるVoutにおける負荷電流、約4.2Vの公称DC入力電圧、1.8VのDC出力電圧、出力キャパシタンスCout=4μF、F=250kHz-1MHz、53Hzにおけるループ・フィルタのローパス・ポール、27kHzにおける第2のコーナ周波数、69dBのループ・フィルタのDC利得、16dBのループ・フィルタの高周波利得が利用される。
【0077】
ループ・フィルタ1105は、アナログ・フィルタまたは離散時間フィルタ、たとえば、固定スイッチド・キャパシタPIフィルタまたはプログラマブル・スイッチド・キャパシタPIフィルタを備えてもよく、第1のコーナ周波数および/または第2のコーナ周波数などの特定のフィルタ特性は、プログラム可能であってもよく、電圧レギュレータ回路によって制御されてもよい。当業者は、ループ・フィルタ1105および誤差信号発生器1001が、たとえば、差動入力スイッチド・キャパシタPIフィルタとして一体的に形成されてもよいことを理解するであろう。
【0078】
多レベル量子化器1010の出力において供給されるデジタル信号は、スイッチ・セグメント選択バス404におけるバイナリ・コードがローパス・フィルタリングされた出力信号εLの振幅またはレベルを直接反映するように、先に説明したスイッチ・セグメント選択バス404(gsw_sel<0:7>)上に直接符号化されてもよい。この符号化の原理は、しばしば「サーモメータ・コーディング」と呼ばれる。
【0079】
図示された実施形態では、チャージ・ポンプ回路100の第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々は、スイッチ・セグメント制御信号のそれぞれのセットによって駆動される8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える。当業者は、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々、または少なくとも1つは、8つ未満の個別に制御可能なスイッチ・セグメント、または8つよりも多くの個別に制御可能なスイッチ・セグメント、たとえば、妥当な回路の複雑さを保つために、2~16の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備えてもよいことが理解されよう。複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのオン抵抗は、実質的に同一であってもよく、または異なってもよい。複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントは、制御可能な半導体スイッチの各々の入力端子と出力端子との間に並列に結合されてもよい。SW1およびSW2のそれぞれのスイッチ・セグメントに印加されるスイッチ・セグメント制御信号の第1および第2のセットは、先に説明したデジタル・スイッチ・アレイ・コントローラによって第1のクロック位相から導出される。SW3およびSW4のそれぞれのスイッチ・セグメントに印加されるスイッチ・セグメント制御信号の第3および第4のセットは、先に説明したデジタル・スイッチ・アレイ・コントローラによって第2のクロック位相から導出される。この構成は、デジタル制御信号の振幅に従って8つの半導体スイッチに対して8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントの変化するサブセットを選択することによって、コンバータ動作中に、電圧レギュレータ401aが半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々の可変または適応コンダクタンスを提供することを可能にする。スイッチ・セグメントの同じサブセットは、好ましくは、デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラのスイッチ制御方式/機構の単純なレイアウトおよび符号化のために、デジタル制御信号の特定のレベルまたは振幅について、半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々に対して利用される。
【0080】
したがって、デジタル制御信号の最大レベルにおいて、スイッチ・セグメント選択バス404(gsw_sel<0:7>)上のバイナリ値8は、「11111111」としてコード化されてもよく、この値は、半導体スイッチの各々の8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントのすべてをターンオンし、そのオン状態にある半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々の最大コンダクタンス、すなわち、最小抵抗を提供する。2などのデジタル制御信号のより小さいレベルは、サーモメータ符号化により、スイッチ・セグメント選択バス404上に対応するより小さいバイナリ値、たとえば、「00000011」を生成する。この振幅レベルは、電圧レギュレータ404aに、各半導体スイッチの8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントの2つのセグメントのみをターンオンまたは活性化させ、それは、上記で説明した最大コンダクタンスと比較して各制御可能な半導体スイッチの4倍小さいコンダクタンスをもたらす。したがって、出力電圧レギュレータ401aの本実施形態は、8つのスイッチ・コンダクタンス値のセットから、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチの各々のスイッチ・コンダクタンス値Gswを選択することができる。したがって、電圧レギュレータ401aのいくつかの実施形態は、各半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4のコンダクタンスが、そのオン状態においてデジタル制御信号の振幅を追跡するように、それぞれのセグメント・セブセットを選択するように構成されてもよい。デジタル制御信号の大きい振幅は、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの目標のまたは所望のDC出力電圧VoutとDC基準電圧Vrefとの間の大きい差を示すので、各半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4のコンダクタンスは、デジタル制御信号の振幅が増加するにつれて増加していてもよく、逆も同様である。
【0081】
当業者は、チャージ・ポンプ回路の半導体スイッチの各々、または少なくとも1つをセグメント化することによって、半導体スイッチの電気コンダクタンスが、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのDC出力電圧Voutを制御または調整するために電圧レギュレータによって制御または利用され得ることを理解するであろう。出力電圧の調整は、上記で説明したように、半導体スイッチの調節可能なコンダクタンスによって提供されるスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの可変損失抵抗Reqを考慮することによって理解され得る。チャージ・ポンプ回路内のセグメント化された半導体スイッチの有益な利点は、各半導体スイッチの複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントの小さい部分、すなわち、サブセットのみが小さい負荷において活性化される必要があることである。この特徴は、そのような軽い負荷条件下で、制御可能な半導体スイッチをオン、オフすることによって生じるスイッチング損失を低減し、制御可能な半導体スイッチ内のピーク電流を低減する。
【0082】
図9Aは、先に説明した回路ブロックに加えて、上記で説明したように出力電圧レギュレータ401aによって生成されたクロック信号sw_clkの周波数を選択するクロック周波数セレクタ1015を備える出力電圧レギュレータ401aを概略的に示す。出力電圧レギュレータは、好ましくは、3つ以上、4つ以上、または5つ以上の固定クロック周波数、たとえば、2~8の固定クロック周波数などの、固定クロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成された調節可能なクロック発生器(図示せず)を備える。出力電圧レギュレータは、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータのDC出力電圧Voutを調整するための追加のまたは代替の制御機構を提供するために、デジタル制御信号のレベルまたは振幅に従って固定クロック周波数の定義済みのセットのこれらの個々の固定クロック周波数間で切り替えるように構成される。この出力電圧調整機構は、1つまたは複数のフライング・キャパシタの切替えに関連する等価出力抵抗を表す、スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの損失抵抗Reqの第1の抵抗成分の変動を考慮することによって理解され得る。
【0083】
固定クロック周波数の定義済みのセットの提供は、システム・レベルの周波数計画を可能にし、この計画では、本スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータは、システムの残りの部分が、ノイズに対して感度が低いか、または、少なくとも、ノイズに対して感度が低下している周波数においてのみノイズ妨害を発生する。システム・レベルへの言及は、以下にさらに詳細に説明するように、本スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータがDC電源目的のために利用されるべき、補聴器などの完全にポータブルな通信デバイスを意味する。固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数は、好ましくは、整数倍、たとえば、2、3、4、または8によって関連付けられる。このようにして、DC出力電圧上のリプル・ノイズ成分、および放射される電磁ノイズ成分は、これらの個々のクロック周波数間のスイッチングにもかかわらず、周波数スペクトルの既知の明確な領域に配置される。
【0084】
図5は、図9Aに示す出力電圧レギュレータ401aによって生成されるローパス・フィルタリングされた制御信号εL「制御信号」の例示的な波形502をグラフ500において示す。出力電圧レギュレータ401aは、8レベル量子化器またはA/Dコンバータを備える。チャージ・ポンプ回路の半導体スイッチ、たとえば、SW1、SW2、SW3、およびSW4のそれぞれは、8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える。出力電圧レギュレータ401aは、少なくともクロック周波数250kHz、500kHz、および1MHzからなる固定クロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成された調節可能/プログラム可能なクロック発生器(図示せず)を備える。8レベル量子化器の8つの量子化レベルは、グラフ500上の水平の点線によって示され、個別に制御可能なスイッチ・セグメントのサブセットの対応する選択は、列505において示され、Gsw6が6つの活性スイッチ・セグメントに対応し、Gsw2が2つの活性スイッチ・セグメントに対応する、などである。グラフ520もまた、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLの変化するレベルに応じて出力電圧レギュレータ401aによって実行される個別に制御可能なスイッチ・セグメントの動的または適応的なサブセットの選択を示し、y軸は、活性スイッチ・セグメントの数が時間とともにどのように変化するのかを示す。
【0085】
グラフ510は、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLの変化するレベルに応じて出力電圧レギュレータ401aによって実行されるクロック周波数の動的または適応的な選択を示す。瞬時クロック周波数の選択はまた、クロック周波数選択がどのように活性スイッチ・セグメントの特定のセットに結合されるのかを示す列507に示され、すなわち、5つまたは6つの活性スイッチ・セグメントGsw5、Gsw4が、最も高い1MHzクロック周波数に結合される、などである。出力電圧レギュレータ401aの調節可能なクロック周波数/スイッチング周波数は、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4、ならびにDC-DCコンバータの他のスイッチド構成要素におけるスイッチング損失を最小にするという利点のために、高い周波数が重い負荷条件下で選択され得、低いスイッチング周波数が軽い負荷条件下で選択され得るように、変化する負荷条件にDC-DCコンバータの柔軟な適応機構を提供する。
【0086】
図9Bは、出力電圧レギュレータ401bの第2の実施形態の簡略化されたブロック図を示す。出力電圧レギュレータ401bは、制御信号または誤差信号εを決定するために、SC DC-DCコンバータ400の目標DC出力電圧を示すDC基準電圧Vrefと、フィードバック電圧Voutとを減算するように構成された、誤差信号発生器、たとえば、減算回路1101などの、上記で説明したものに対応するいくつかの回路ブロックを備える。出力電圧レギュレータ401bはまた、ループ・フィルタ1105と、上記で説明したように、所定のサンプリング周波数において、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLを対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器1110、すなわち、A/Dコンバータとを備える。出力電圧レギュレータ401bは、スイッチ・セグメント選択バス404(gsw_sel<0:7>)およびクロック信号sw_clkを介して、チャージ・ポンプ回路の制御可能な半導体スイッチ、たとえば、SW1、SW2、SW3、およびSW4にトグル・トリガ制御方式を実装するデジタル・スイッチ・アレイ・コントローラ1120を備える。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラ1120は、必要なとき、クロック信号sw_clkのみをチャージ・ポンプ回路にトグルするように構成される。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラ1120は、現在のクロックまたはスイッチング周波数のために、制御可能な半導体スイッチの各々の最小スイッチ・コンダクタンスを使用するように構成される。この制御機構は、クロック信号の周波数スペクトルが時間とともに変化し、推定または制御することが困難であるように、出力電圧レギュレータ401bによって生成されるクロック信号sw_clk625の非反復波形を提供する。
【0087】
グラフ600は、図9Bに示す出力電圧レギュレータ401bによって生成されるローパス・フィルタリングされた制御信号εL「制御信号」の例示的な波形602を示す。出力電圧レギュレータ401bは、8レベル量子化器またはA/Dコンバータを備える。チャージ・ポンプ回路の半導体スイッチ、たとえば、SW1、SW2、SW3、およびSW4の各々は、8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える。8レベル量子化器の8つの量子化レベルは、グラフ600上の水平の点線によって示され、個別に制御可能なスイッチ・セグメントのサブセットの対応する選択は、グラフ610、620、および630で示され、活性スイッチ・セグメントの数と、それによって増加するスイッチ・コンダクタンスとは、y軸上に示される。x軸は、活性スイッチ・セグメントの数が時間とともにどのように変化するのかを示すために時間を示す。グラフ610、620、および630は、「ノーマル」、「ソフト・チョップ」、および「ハード・チョップ」と称される出力電圧レギュレータ401bの異なる動作条件を示す。「ノーマル」モードでは、デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、ローパス・フィルタリングされた制御信号εL「制御信号」波形602が量子化レベルと上向きに交差するときにのみ作用する。ローパス・フィルタリングされた制御信号が量子化レベルを超えると、クロックがトグルされ、直前に通過した量子化レベルに関連するスイッチ・コンダクタンスがオンにされる。一方、ローパス・フィルタリングされた制御信号が、量子化レベル未満に再び低下すると、コンダクタンス・スイッチングは実行されず、これは、スイッチ・セグメントが非常にまれにしかスイッチングしないので低電力消費につながる。グラフ630上に示すハード「チョップ」モードおよびグラフ620上に示すソフト・チョップモードでは、ローパス・フィルタリングされた制御信号が量子化レベルと下向きに交差することが利用される。この追加的な情報は、負荷への電荷移動を低減するために使用され得る。クロック信号604(sw_clk)は、ローパス・フィルタリングされた制御信号と量子化レベルとの立ち上がり交差の検出に応答してトグルされる。しかしながら、しばしば、このトグルは、多すぎる電荷が負荷に移動することにつながり、したがって、DC出力電圧は、所望のまたは目標のDC出力電圧を特定の量だけ超えることになる。これは、ローパス・フィルタリングされた制御信号を何分の一かに減少させる。これらの「チョッピング」モードでは、デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、量子化レベルの立ち下がり交差のこの追加の情報を使用してチャージ・ポンプ回路への電荷移動を低減することによって応答する。「ソフト・チョップ」モードにおける量子化レベルの下向きの交差に応答して、スイッチ・コントローラは、電荷移動を低減するために、現在オン状態の最も高いコンダクタンスを有するスイッチ・セグメントを、または、それらが同じコンダクタンスを有する場合、スイッチ・セグメントのいずれかをオフに切り替える。「ハード・チョップ」モードにおける量子化レベルの下向きの交差に応答して、コントローラは、すべてのスイッチ・セグメントをオフにする。しかしながら、一般に、任意の数の個別のスイッチ・セグメントが、量子化レベルの下向きの交差に応答してオフにされ得る。
【0088】
図9Cは、出力電圧レギュレータ401cの第3の実施形態の簡略化されたブロック図を示す。出力電圧レギュレータ401cは、制御信号または誤差信号εを決定するために、SC DC-DCコンバータ400の所望のまたは目標のDC出力電圧を示すDC基準電圧Vrefと、フィードバック電圧Voutとを減算するように構成された、誤差信号発生器、たとえば、減算回路1201などの、上記で説明したものに対応するいくつかの回路ブロックを備える。出力電圧レギュレータ401はまた、ループ・フィルタ1205と、上記で説明したように、所定のサンプリング周波数において、ローパス・フィルタリングされた制御信号εLを対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器1210、すなわち、A/Dコンバータとを備える。出力電圧レギュレータ401cは、バイナリ加重制御方式を実装するデジタル・スイッチ・アレイ・コントローラまたは加算器1230を備える。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラ1230は、2Nの可能なスイッチ・コンダクタンス値を提供するために、バイナリ数として重み付けされた8つのまたは任意の他の特定の整数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを選択することができ、Nは、チャージ・ポンプ回路の各々の制御可能な半導体スイッチの個々のスイッチ・セグメントの数である。この制御機構または方式は、制御可能な半導体スイッチ、たとえば、SW1、SW2、SW3、およびSW4に対してはるかにすぐれたコンダクタンス分解能を提供し、単に8つの可能なコンダクタンス値を使用する出力電圧レギュレータ401a、401bの上記で説明した第1および第2の実施形態のより限定されたコンダクタンス分解能によって引き起こされる特定の欠点を排除することができる。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラまたは加算器1230は、固定または可変加算器クロック周波数においてクロックされる。デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラの例示的な実施形態によれば、クロック周波数は、2MHz、1MHz、および500kHzを含む個々のクロック周波数の固定セット間で調整され得る。2MHzのクロック周波数において、各々の制御可能な半導体スイッチのスイッチ・コンダクタンス値Gswは、クロック信号の立ち上がりと立ち下がりの両方において更新されてもよい。これは、DC出力電圧における最小の電圧リプルと、正確な出力電圧レギュレーションとを提供する。たとえば、1MHzまたは500kHzへのクロック信号の低減は、より大きいリプル電圧につながるが、多レベル量子化器における低減した電力消費の利点を有する。
【0089】
図7は、例示的な8レベル量子化器を備える図9Cに示す出力電圧レギュレータ401cによって生成されるローパス・フィルタリングされた制御信号εL「制御信号」の例示的な波形702をグラフ700において示す。チャージ・ポンプ回路の半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々は、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチの各々の255の個別に選択可能なスイッチ・コンダクタンス値Gswをもたらす8つのバイナリ加重された個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える。出力電圧レギュレータ401cはまた、出力電圧レギュレータ401aにおいて生成されるクロック信号sw_clkの周波数を選択するクロック周波数セレクタ1215を備えてもよい。クロック周波数セレクタ1215は、少なくとも、クロック周波数250kHz、500kHz、および1MHzからなる固定クロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成される。多レベル量子化器の量子化レベルのサブセットは、グラフ700上に水平の点線で示され、デジタル制御信号の振幅は、加算器1230によって各々の制御可能な半導体スイッチの現在のコンダクタンス値に加算されるか、またはそこから減算されるコンダクタンス値を決定する。図示の実施形態は、列705によって示されるコンダクタンス値+1/+2/+4および-1/-2/-4を使用するが、コンダクタンス・レベルのこの選択は、他の実施形態では異なってもよい。所定の加算器クロック周波数においてデジタル・スイッチ・アレイ・コントローラまたは加算器1230によって実行される加算は、各々の制御可能な半導体スイッチに対応して計算されたコンダクタンス値、たとえば、「103」、「101」、「98」などを示す行707の下の垂直矢印712のセットによって示される。
【0090】
出力電圧レギュレータ401cは、
- 1と100との間のGsw>F=250kHz、
- 101と200との間のGsw>F=500kHz、
- 201と256との間のGsw>F=1MHz、
などの比較的単純なマッピング・ルールを使用して、第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3、およびSW4の各々の現在のスイッチ・コンダクタンスに基づいて、クロック信号sw_clkの現在のクロック周波数Fを選択するように構成される。
【0091】
デジタル・スイッチ・アレイ・コントローラは、出力電圧レギュレータ401cがデジタル制御信号の振幅を増加させるためにクロック周波数とスイッチ・コンダクタンスの両方を増加させること、またはその逆を保証するために、単純なマッピング・ルールを実装するように適合されてもよい。各加算器クロック周期において、たとえば、特定の値(たとえば、±1、2、4)が加算されてもよい。スイッチ・コンダクタンス値Gswのための特定のしきい値に達すると、スイッチ・コントローラは、より高いまたはより低いクロック周波数に切り替える。スイッチ・コンダクタンス値が一定に保たれ、クロック周波数Fswが突然倍にされた場合、コンバータの出力抵抗の非常に大きい低減が単一の加算器期間内に導入される。これは、典型的には、望ましくない影響であり、したがって、スイッチ・アレイ・コントローラは、より高いクロック周波数への切替えに応答してスイッチ・コンダクタンスの現在の値を低減するように切り替えるように構成され得る。より低いクロック周波数にジャンプするとき、対応する方式がスイッチ・アレイ・コントローラによって実施されてもよい。たとえば、スイッチ・コンダクタンス値が一定であり、クロック周波数が半分にされた場合、出力抵抗の大きい増加が起こる。出力抵抗のこの増加は、クロック周波数の低下に応答して適切な量だけスイッチ・コンダクタンス値を増加させることによって補償され得る。
【0092】
図8は、グラフ910、920、および930を介して出力電圧レギュレータ401の第4の実施形態の動作を示す。出力電圧レギュレータ401は、先に説明した出力電圧レギュレータ401の第1、第2、および第3の実施形態のいずれかと同様のチャージ・ポンプ回路100、200の制御可能な半導体スイッチのセグメント化された構造を有するデジタル・スイッチ・アレイを備える。チャージ・ポンプ回路の制御可能な半導体スイッチの各々は、上記で説明したようにスイッチ・セグメント制御信号のそれぞれのセットによって駆動される2~16の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備えてもよい。グラフ910は、チャージ・ポンプ回路の制御可能な半導体スイッチの少なくとも1つ、好ましくはすべてを駆動するクロック信号の第1および第2のクロック位相Φ、Φの通常の波形を示す。図示のように、各半導体スイッチのための8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントの特定のサブセットのすべてのスイッチは、スイッチ・コンダクタンスの突然の変化に至るのと実質的に同時に、たとえば、スイッチ・コンダクタンスGswがゼロから4に突然変化する第2のクロック位相の立ち上がりエッジ912においてオンにされ、後者の値は、4つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントの例示的なサブセットが出力電圧レギュレータ401によって同時にオンにされることを示す。
【0093】
グラフ920は、出力電圧レギュレータの第4の実施形態によるチャージ・ポンプ回路の制御可能な半導体スイッチの少なくとも1つ、好ましくはすべてを駆動するクロック信号の第1および第2のクロック位相Φ、Φの波形を示す。制御可能な半導体スイッチの各々は、複数、たとえば、8つの個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にオンおよびオフにすることによって、徐々にまたは段階的にオンおよびオフにされる。特定の制御可能な半導体スイッチの複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントは、スイッチ・セグメント制御信号の対応するセットによって、オン状態とオフ状態との間で切り替えられてもよい。第2のクロック位相Φの立ち上がり波形エッジ922に示すように、スイッチ・コンダクタンスGswは、段階的にゼロから4に徐々に変化し、各段階は、問題の制御可能な半導体スイッチの追加のスイッチ・セグメントの活性化を示す。したがって、制御可能な半導体スイッチの各々は、スイッチ・セグメント制御信号間に適切な時間遅延を導入することによって、図示のように、徐々にまたは段階的に、たとえば、4つの離散的な段階においてオンにされる。同様に、第2のクロック位相Φの立ち下がり波形エッジ924によって示すように、スイッチ・コンダクタンスGswは、対応する段階的な方法で、4からゼロに徐々に変化し、各段階は、追加のスイッチ・セグメントの不活性化またはスイッチ・オフを示す。2つの隣接するスイッチ・セグメント制御信号間の時間遅延は、個別に制御可能なスイッチ・セグメントの数などの様々な設計要因に依存して変化する。いくつかの実施形態では、2つの隣接するスイッチ・セグメント制御信号間の時間遅延は、制御可能なスイッチの合計のターン・オン時間およびターン・オフ時間が8つのセグメント・スイッチのための期間時間tの0.28~2.8%間にあり得るように、第1または第2のクロック位相の期間時間tの約0.04~0.4%に対応してもよい。第1または第2のクロック位相の期間時間tは、125kHzと2MHzとの間の電圧ポンプ回路のクロックまたはスイッチング周波数に対応する0.5μsと4μsとの間にあってもよい。
【0094】
グラフ930は、チャージ・ポンプ回路のフライング・キャパシタに流入し、そこから流出する電流の電流波形ICflyを概略的に示し、第1の波形935は、グラフ910上のスイッチ・セグメント選択方式のためのフライング・キャパシタ電流を示す。第2の(点線)電流波形940は、スイッチ・コンダクタンスGswが出力電圧レギュレータの第4の実施形態に従って時間とともに徐々に変化するグラフ920上に示すスイッチ・セグメントのための順次ターン・オン方式を使用するフライング・キャパシタ電流を示す。第2のフライング・キャパシタ電流波形940は、第1のフライング・キャパシタ電流波形935と比較して著しく減少した変化率dI/dtを有する。この特徴は、上記で説明した第1、第2、および第3の実施形態の類似の実装形態と比較してSC DC-DCコンバータ400の第4の実施形態の改善されたEMI特性をもたらす、第2のフライング・キャパシタ電流波形940に関連する放出された高周波の磁気的および電気的ノイズの大幅な低減をもたらす。したがって、特に、補聴器などの小型ポータブル通信デバイスについて、本SC DC-DCコンバータの実施形態と他の電子回路およびアンテナ構造との統合を容易にする。
【0095】
例示的な補聴器が以下の項目に記載される。
1. バッテリ電源電圧を提供する充電式バッテリ電源と、
前記バッテリ電源電圧に結合されたDC入力を備えており、前記バッテリ電源電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するためのスイッチド・キャパシタDC-DCコンバータと、
前記DC出力電圧に接続されている少なくとも1つの能動回路であって、少なくとも1つの能動回路の能動構成要素に通電するための前記少なくとも1つの能動回路と
を備える補聴器。
2. 前記少なくとも1つの能動回路が、D級出力増幅器を備える、項目1に記載の補聴器。
3. 制御および処理回路をさらに備え、前記制御および処理回路が、
第1のオーディオ信号を受信するための第1のオーディオ入力チャネルと、
ユーザの聴力損失に応じて補償されたマイクロフォン信号を生成するための前記オーディオ信号を受信し処理するための信号プロセッサと
を備えており、
前記補償されたマイクロフォン信号が、小型レシーバまたはスピーカに印加するための所定の変調周波数における変調出力信号を生成するために前記D級出力増幅器のオーディオ入力に印加される、項目2に記載の補聴器。
4. 前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータが、
クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、
前記クロック信号から導出される第1および第2の非重複クロック位相によって駆動されるスイッチ・アレイを備えるチャージ・ポンプ回路であって、前記スイッチ・アレイが、第1のクロック位相において、前記DC入力電圧からフライング・キャパシタを充電し、第2のクロック位相において、前記DC出力電圧に接続された出力キャパシタに前記フライング・キャパシタを放電するように構成された、チャージ・ポンプ回路と、
出力電圧レギュレータと
を備え、前記出力電圧レギュレータが、
DC基準電圧を受け取るための基準電圧入力、および前記DC出力電圧を表すフィードバック電圧を受け取るためのフィードバック電圧入力と、
前記DC基準電圧と前記フィードバック電圧とを組み合わせて制御信号を決定するように構成された誤差信号発生器と、
前記制御信号を受信してローパス・フィルタリングし、ローパス・フィルタリングされた制御信号を生成するように構成されたループ・フィルタと、
所定のサンプリング周波数において前記ローパス・フィルタリングされた制御信号を対応するデジタル制御信号に変換するように構成された多レベル量子化器と、
前記クロック信号およびデジタル制御信号に基づいて前記チャージ・ポンプ回路のための前記第1および第2の非重複クロック位相を生成するように構成されたスイッチ・アレイ・コントローラと
を備える、項目1から3のいずれか一項に記載の補聴器。
5. 前記クロック発生器が、2~8の固定クロック周波数などの、個別に選択可能な固定クロック周波数の定義済みのセットを生成するように構成された、項目4に記載の補聴器。
6. 前記出力電圧レギュレータが、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数に従って、前記固定クロック周波数の定義済みのセットからクロック周波数を選択するように構成された、項目5に記載の補聴器。
7. 前記固定クロック周波数の定義済みのセットの各クロック周波数が、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数の整数倍である、項目6に記載の補聴器。
8. 前記スイッチド・キャパシタDC-DCコンバータの前記クロック信号が、前記D級出力増幅器の前記所定の変調周波数を設定するクロック信号と同期している、項目6または7に記載の補聴器。
9. 前記充電式バッテリ電源が、少なくとも1つのリチウム・イオン・バッテリ・セルを備える、項目4から8のいずれか一項に記載の補聴器。
10. 前記多レベル量子化器の所定のサンプリング周波数が、前記クロック信号の前記クロック周波数の2倍に等しい、項目4から9のいずれか一項に記載の補聴器。
11. 前記チャージ・ポンプ回路の前記スイッチ・アレイが、複数の制御可能な半導体スイッチを備え、前記複数の制御可能な半導体スイッチの中で、少なくとも第1および第2の制御可能な半導体スイッチが、前記第1のクロック位相によって駆動され、少なくとも第3および第4の制御可能な半導体スイッチが、前記第2のクロック位相によって駆動される、項目4から10のいずれか一項に記載の補聴器。
12. 前記第1および第2の制御可能な半導体スイッチが各々、前記第1のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第1および第2のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備え、
前記第3および第4の制御可能な半導体スイッチの各々が、前記第2のクロック位相からそれぞれ導出されるスイッチ・セグメント制御信号の第3および第4のセットによって駆動される複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを備える、項目11に記載の補聴器。
13. 前記出力電圧レギュレータが、前記第1、第2、第3、および第4の制御可能な半導体スイッチのうちの1つまたは複数について、前記デジタル制御信号の振幅に従って、前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントのそれぞれのセグメント・サブセットを選択するように構成された、項目12に記載の補聴器。
14. 前記出力電圧レギュレータが、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第1のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第1の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第2のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第2の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第3のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第3の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように、および/または、
前記スイッチ・セグメント制御信号の第4のセットを介して前記複数の個別に制御可能なスイッチ・セグメントを順次にターン・オンおよびターン・オフすることによって、前記第4の制御可能な半導体スイッチのオン状態とオフ状態との間で切り替えるように構成された、項目12または13に記載の補聴器。
15. 前記出力電圧レギュレータが、前記デジタル制御信号の前記振幅に従って、前記固定クロック周波数の定義済みのセットの個々のクロック周波数間で切り替えるように構成された、項目14に記載の補聴器。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C