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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】マルチコントローラシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20220603BHJP
【FI】
G05B19/05 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018068728
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179436
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106221
【氏名又は名称】パナソニック デバイスSUNX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅嵜 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽一
(72)【発明者】
【氏名】北澤 慶一
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-192068(JP,A)
【文献】特開2000-227803(JP,A)
【文献】特開2000-284812(JP,A)
【文献】特開2017-151646(JP,A)
【文献】特開平09-006412(JP,A)
【文献】米国特許第05455911(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル通信方式で接続され、外部機器と接続可能な少なくとも2つのコントローラユニットを備えたマルチコントローラシステムであって、
各コントローラユニットは、
制御回路と、
コントローラユニット間の前記シリアル通信方式で通信を行う共通バスラインと、
前記制御回路および前記共通バスラインを収容するコントローラユニットケースと、
前記コントローラユニットケースに設けられ、隣接するコントローラユニット間を連結するとともに、前記共通バスラインを延設するコネクタ部と、を含み、
前記少なくとも2つのコントローラユニットのいずれか1つのコントローラユニットは、前記外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用コントローラユニットであり、
前記少なくとも2つのコントローラユニットは、前記入力機器から得られる前記情報を、外部機器が接続されない上位のユニットを介することなく、前記共通バスラインを介して共有する構成であり
前記少なくとも2つのコントローラユニットにシリアル接続され、外部機器と接続可能な少なくとも1つのデバイスユニットを備え、
前記デバイスユニットは、
デバイスユニットケースと、
前記共通バスラインと、
前記デバイスユニットケースに設けられ、隣接するコントローラユニット、あるいは隣接するデバイスユニットと連結するとともに、前記共通バスラインを延設するデバイスユニットコネクタ部と、を含み、
前記デバイスユニットは、前記少なくとも2つのコントローラユニットとのみ前記共通バスラインを介して通信可能であり、
前記少なくとも2つのコントローラユニットは、前記外部機器から得られる情報、あるいは前記外部機器に出力する情報を、前記共通バスラインを介して前記デバイスユニットと個別に通信し、
前記少なくとも2つのコントローラユニットから同時に前記デバイスユニットにアクセスすることができる、マルチコントローラシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチコントローラシステムにおいて、
前記共通バスラインを介したデータの通信は、所定周期毎に繰り返されるサイクリック通信によって行われる、マルチコントローラシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマルチコントローラシステムにおいて
前記入力機器用コントローラユニット以外の前記少なくとも2つのコントローラユニットのうちの1つのコントローラユニットは、前記外部機器として、前記入力機器から得られる前記情報に基づいて制御される出力機器が繋がれる出力機器用コントローラユニットである、マルチコントローラシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマルチコントローラシステムにおいて
前記共通バスラインは、
前記少なくとも2つのコントローラユニットに入力される入力信号をシリアル通信方式で伝送する入力信号伝送ラインと、
前記少なくとも2つのコントローラユニットから出力される出力信号をシリアル通信方式にて伝送する出力信号伝送ラインと、を含む、マルチコントローラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、少なくとも2つのコントローラを備えたマルチコントローラシステムおよびそのマルチコントローラシステム用のコントローラユニットに関し、詳しくは、コントローラと、コントローラによって制御されるデバイスとが所定の通信ネットワークによって接続されているマルチコントローラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記マルチコントローラシステムとして、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1では、コントローラとしての複数のCPUユニットが、バス調停回路部とI/Oバスとを介して、複数のI/Oユニット(デバイス)に接続される構成が記載されている。そしてバス調停回路部によって、各CPUユニットが独立して各I/Oユニットを制御できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-173985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなマルチコントローラシステムの通信ネットワークとして、通常、イーサーネット(登録商標)が使用される場合が多く、イーサーネットの通信では遅延が生じることが知られている。そのため、コントローラシステムに含まれる機器間の通信を、簡易な構成によって、より高速に行えるマルチコントローラシステムが所望されていた。
【0005】
そこで、本明細書に開示される技術は、システムに含まれる機器間の通信を、簡易な構成によって、より高速に行えるマルチコントローラシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるマルチコントローラシステムは、少なくとも2つのコントローラを備えたコントローラシステムであって、シリアル接続され、外部機器と接続可能な少なくとも2つのコントローラユニットを備え、各コントローラユニットは、コントローラと、コントローラユニット間の通信を行う共通バスラインと、前記コントローラおよび前記共通バスラインを収容するコントローラユニットケースと、前記コントローラユニットケースに設けられ、隣接するコントローラユニット間を連結するとともに、前記共通バスラインを延設するコネクタ部と、を含み、前記少なくとも2つのコントローラユニットのいずれか1つのコントローラユニットは、前記外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用コントローラユニットであり、前記少なくとも2つのコントローラユニットは、前記入力機器から得られる前記情報を、前記共通バスラインを介して共有する。
本構成によれば、隣接するコントローラユニットは、ケースに設けられた、共通バスラインを延設するコネクタ部によって連結される。また、各コントローラユニットは、入力機器から得られる情報を共有する。それによって、システムに含まれるコントローラユニット(機器)間の通信を、簡易な構成によって、より高速に行える。そのため、例えば、入力機器がディスペンサの位置(情報)を感知する位置センサであり、一のコントローラユニットが外部機器としてディスペンサの位置をモータによって制御するモータドライバである場合、位置センサのディスペンサ位置情報に基づいて、ディスペンサの位置制御を迅速に行うことができる。
【0007】
上記マルチコントローラシステムにおいて、前記少なくとも2つのコントローラユニットにシリアル接続され、外部機器と接続可能な少なくとも1つのデバイスユニットを備え、前記デバイスユニットは、デバイスユニットケースと、前記共通バスラインと、前記デバイスユニットケースに設けられ、隣接するコントローラユニット、あるいは隣接するデバイスユニットと連結するとともに、前記共通バスラインを延設するデバイスユニットコネクタ部と、を含み、前記デバイスユニットは、前記少なくとも2つのコントローラユニットとのみ前記共通バスラインを介して通信可能であり、前記少なくとも2つのコントローラユニットは、前記外部機器から得られる情報、あるいは前記外部機器に出力する情報を、前記共通バスラインを介して前記デバイスユニットと個別に通信するようにしてもよい。
本構成によれば、コントローラユニットにデバイスユニットが増設される場合において、少なくとも2つのコントローラユニットは、共通バスラインを介して個別に通信できる。そのため、デバイスユニットが増設される場合において、2つのコントローラユニットから同時にデバイスユニットにアクセスすることができる。それによって、コントローラユニットとデバイスユニットとのアクセス時間を短縮することができる。
【0008】
また、上記マルチコントローラシステムにおいて、前記共通バスラインを介したデータの通信は、所定周期毎に繰り返されるサイクリック通信によって行われるようにしてもよい。
本構成によれば、データの通信が繰り返されるため、制御の信頼性が向上する。
【0009】
また、上記マルチコントローラシステムにおいて、前記入力機器用コントローラユニット以外の前記少なくとも2つのコントローラユニットのうちの1つのコントローラユニットは、前記外部機器として、前記入力機器から得られる前記情報に基づいて制御される出力機器が繋がれる出力機器用コントローラユニットである構成としてもよい。
本構成によれば、入力機器から得られる情報に基づいて出力機器をより迅速に制御することができる。
【0010】
また、上記マルチコントローラシステムにおいて、前記共通バスラインは、前記少なくとも2つのコントローラユニットに入力される入力信号をシリアル通信方式で伝送する入力信号伝送ラインと、前記少なくとも2つのコントローラユニットから出力される出力信号をシリアル通信方式にて伝送する出力信号伝送ラインと、を含むようにしてもよい。
本構成によれば、入力信号伝送ラインと出力信号伝送ラインとが個別に設けられている。そのため、入力信号と出力信号とを同時伝送することができ、コントローラユニット間の信号伝送時間を短縮できる。
【0011】
また、本明細書に開示されるコントローラユニットは、シリアル通信方式で他のコントローラユニットに接続可能なコントローラユニットであって、制御回路と、前記他のコントローラユニットとの間の前記シリアル通信方式で通信を行う共通バスラインと、前記制御回路および前記共通バスラインを収容するコントローラユニットケースと、前記コントローラユニットケースに設けられ、接続される前記他のコントローラユニットとの間を連結するとともに、前記共通バスラインを延設するコネクタ部と、を備え、外部入力機器からの情報を入力する前記他のコントローラユニットとの間において、前記外部入力機器から得られる前記情報を、前記共通バスラインを介して共有する。
本構成によれば、少なくとも2つの本構成のコントローラユニットによってマルチコントローラシステムを構成した場合、外部入力機器からの情報に基づく制御を、イーサーネットを使用した制御を行う場合と比べて、より高速に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示されるコントローラシステムによれば、システムに含まれる機器間の通信を、簡易な構成によって、より高速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る一実施形態のマルチコントローラシステムの概略的な斜視図
図2】マルチコントローラシステムの各ユニットの接続を示す説明図
図3】マルチコントローラシステムの外部機器との関係を示す説明図
図4】各ユニット共通バスラインに係る構成を示す概略的なブロック図
図5】各ユニットのバス機能部に係る構成を示す概略的なブロック図
図6】ダウンリンクでのサイクリック通信を示す概略的なタイムチャート
図7】アップリンクでのサイクリック通信を示す概略的なタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明に係るマルチコントローラシステム10の一実施形態について図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態では、マルチコントローラシステム10が、ディスペンサの制御に使用される例が示される。
【0015】
1.システムの構成
マルチコントローラシステム10は、シリアル通信方式で接続され、外部機器と接続可能な少なくとも2つのコントローラユニット(20A、20B)を備えたコントローラシステムである。
そして、少なくとも2つのコントローラユニットのいずれか1つのコントローラユニット20Bは、外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用コントローラユニットであり、少なくとも2つのコントローラユニット(20A、20B)は、入力機器から得られる情報を、共通バスライン40を介して共有する。共通バスライン40はシリアル伝送ラインである。
また、マルチコントローラシステム10は、1つのデバイスユニット30を備える。なお、以下の説明において、2つのコントローラユニット(20A、20B)を区別する必要がない場合は、コントローラユニット20と記す。
【0016】
1-1.コントローラユニット
各コントローラユニット20は、制御回路21、RAM23、メモリ管理部24、ケース(コントローラユニットケース)27、コネクタ部(28、29)、および共通バスライン40等を含む。
すなわち、コントローラユニット20は、シリアル通信方式で他のコントローラユニット20に接続可能なコントローラユニットであって、制御回路21と、他のコントローラユニット20との間のシリアル通信方式で通信を行う共通バスライン40と、制御回路21および共通バスライン40を収容するコントローラユニットケースと、コントローラユニットケースに設けられ、接続される他のコントローラユニット20との間を連結するとともに、共通バスライン40を延設するコネクタ部(28、29)と、を備える。コントローラユニット20は、外部入力機器からの情報を入力する他のコントローラユニット20との間において、外部入力機器から得られる情報を、共通バスライン40を介して共有する。
【0017】
ここで、コントローラユニット20Aは、外部機器として、情報を出力する出力機器が繋がれる出力機器用コントローラユニットである。本実施形態において出力機器は、図3に示されるように、ディスペンサ63の上下位置を変位させるモータ62のドライバ61である。この場合、コントローラユニット20Aは、いわゆるモーションコントローラである。
【0018】
また、コントローラユニット20Bは、外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用コントローラユニットである。本実施形態において入力機器は、図3に示されるように、ディスペンサ63の位置を検出する変位センサ71である。この場合、コントローラユニット20Aは、いわゆる変位センサコントローラである。
コントローラユニット20Aおよびコントローラユニット20Bは、変位センサ71から得られる情報(ディスペンサ63の位置情報)を、共通バスライン40を介して共有する。図3に示される矢印は、共通バスライン40を介した情報(通信データ)の移動方向を示す。
【0019】
制御回路21は、例えば、PLC(Programable Logic ControllerであるFPGA(Field Programable Gate Arrey)で構成されている。なお、制御回路21は、PLCに限られない。
【0020】
制御回路21は、図4に示されるように、バス機能部22を含む。バス機能部22は図5に示されるように示されるように、送信機能部22A、受信機能部22Bを含む。送信機能部22Aは、サイクリックバッファ、コマンドバッファ、データ結合部、送信制御部、および送信PHY等を含む。また、受信機能部22Bは、受信PHY、データ解析部、サイクリックバッファ、およびコマンドバッファ等を含む。
【0021】
コネクタ部(28、29)は、図2に示されるように、ケース27に設けられ、各種の信号を入出力する第1コネクタ部28と、各種の信号を入出力する第2コネクタ部29とを含む。コネクタ部(28、29)は、隣接する2つのコントローラユニット20間、隣接するコントローラユニット20とデバイスユニット30との間を連結するとともに、それによって共通バスライン40を延設する。すなわち、本実施形態では各ユニット20間の通信ネットワークの通信ラインは、コネクタ部(28、29)を介して接続される共通バスライン40によって構成される。
【0022】
1-2.デバイスユニット
デバイスユニット30は、コントローラユニット20と同様に、制御回路31、RAM33、メモリ管理部34、ケース37、コネクタ部(38、39)、および共通バスライン40等を含む。デバイスユニット30は、いわゆる増設コントローラユニットに相当する。
【0023】
ここで、デバイスユニット30は、外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用デバイスユニットである。本実施形態において入力機器は、図3に示されるように、例えば、用紙80の位置を検出する位置センサ72である。デバイスユニット30は、位置センサ72から得られる情報(用紙80の位置情報)を、共通バスライン40を介してコントローラユニット20に提供する。すなわち、デバイスユニット30は、コントローラユニット20のみと通信を行い、デバイスユニット間の通信は行わない。
【0024】
すなわち、コントローラユニット20は、外部機器から得られる情報を、共通バスライン40を介してデバイスユニット30と個別に通信する。なお、デバイスユニット30は、外部機器として、情報を入力する入力機器が繋がれる入力機器用デバイスユニットに限られない。すなわち、デバイスユニット30は、外部機器として、情報を出力する出力機器が繋がれる出力機器用デバイスユニットであってもよい。デバイスユニット30が出力機器用デバイスユニットである場合、コントローラユニット20は、外部機器に出力する情報を、共通バスライン40を介してデバイスユニット30と個別に通信する、
制御回路31は、制御回路21と同様に、例えば、PLCであるFPGAで構成されている。なお、制御回路31は、PLCに限られない。
【0025】
制御回路31は、図4に示されるように、制御回路21と同様に、バス機能部32を含む。バス機能部32は図5に示されるように示されるように、送信機能部32A、受信機能部32Bを含む。送信機能部32Aは、サイクリックバッファ、コマンドバッファ、データ結合部、送信制御部、および送信PHY等を含む。なお、送信機能部32Aは、受信PHYも含む。また、受信機能部32Bは、受信PHY、データ解析部、サイクリックバッファ、およびコマンドバッファ等を含む。なお、受信機能部32Bは、送信PHYも含む。
【0026】
なお、共通バスライン40は、図4に示されるように、制御I/F用バスライン41、通信用バスライン42、および制御信号用バスライン43を含む。制御I/F用バスライン41を使用して、例えば、バス設定用やモニタ用のデーダが通信される。また、通信用バスライン42を使用して、後述するサイクリック通信やコマンド通信が行われる。
【0027】
コネクタ部(38、39)は、図2に示されるように、コントローラユニット20と同様に、ケース37に設けられ、各種の信号を入入力する第1コネクタ部38と、各種の信号を入出力する第2コネクタ部39とを含む。コネクタ部(38、39)は、隣接するコントローラユニット20とデバイスユニット30との間、および隣接する2つのデバイスユニット30間を連結するとともに、それによって共通バスライン40を延設する。すなわち、本実施形態では各ユニット間の通信ネットワークの通信ラインは、コネクタ部(28、29、38、39)を介して接続される共通バスライン40によって構成されている。
【0028】
2.システム内のデータ通信
システム内のデータ通信は、共通バスライン40(詳しくは、通信用バスライン42)を介して、所定周期、例えば、10μs(マイクロ秒)毎に繰り返されるサイクリック通信によって行われる。その例が図6および図7に示される。図6には、コントローラユニット20側からデバイスユニット30側へのダウンリンク方向の場合が示される。一方、図7には、デバイスユニット30側からコントローラユニット20側へのアップリンク方向の場合が示される。
【0029】
各ユニット単位のデータフレームは、図6に示されるように、同期ヘッダ部、サイクリックデータ部、およびエラー検出部(CRC)等から構成される。サイクリックデータ部の内容、データサイズはユニット毎に、定義できる。
【0030】
なお、全ユニットにおける同期は、例えば、各ユニットのコントローラは、自ユニットの接続位置によって、データフレームの先頭のデータの遅延時間を予め認識させ、データフレームの先頭のデータを受信したタイミングで、上記遅延時間によって自ユニットの内部タイマを調整することによって行うことができる。
【0031】
詳細には、サイクリック周期10μs毎に、コントローラ1(コントローラユニット20A)からコントローラ2(コントローラユニット20B)、デバイス(デバイスユニット30)へ、順番にSLOT(SLOT番号またはSLOT順位)が割り当てられ、そのSLOT単位(ユニット単位)毎[コントローラユニット単位やデバイスユニット単位]のそれぞれで、同期ヘッダとサクリックデータとCRCで構成される送信データが送信される。
【0032】
なお、最上位側に位置するコントローラは、上記送信データの構成を取っていなくても良く、所定のパケット送信用データであっても良い。このときに、各ユニットは、最上位に位置するコントローラから送信される送信データとして、同期パケット(コントローラ1の同期パルス)に対し、予め接続関係によって設定される自ユニットのSLOT番号の受信タイミングとから自ユニットの遅れ時間を算出して同期を取っている。それぞれのユニットは、自ユニットでの遅れ時間を考慮して同期を図りデータの送受信を行う。
【0033】
ダウンリンクでは、最上位コントローラユニット側を基点に下流側へ遅れが発生するため、この遅延時間分(TD1、TD2)を補正するようにして同期している(図6参照)。また、反対に、アップリンクでは、最下位デバイスユニット側を基点に、最上位のコントローラユニット側へ遅延時間が発生するので、コントローラユニットでは、この遅延時間分(TE1、TE2)を補正するようにして同期している(図7参照)。なお、ダウンリンクとアップリンクとでは、遅延時間は、説明の便宜上分けて記載しているが、システムの構成によって、この遅延時間(本実施形態の例では、TD1とTE1、TD2とTE2)は、それぞれ異なっている場合もあれば、同一に構成されている場合もある。
【0034】
3.本実施形態の効果
本実施形態では、コントローラユニット(20A、20B)およびデバイスユニット30は、ケース(27,37)に設けられた、共通バスライン40を延設するコネクタ部(27、28、37,38)によって連結される。また、各コントローラユニット(20A、20B)は、変位センサ(入力機器)71から得られる情報を、デバイスユニット30を介して共有する。それによって、システム10に含まれる各ユニット間の通信を、イーサーネットによる通信の場合と比べて、簡易な構成によって、より高速に行える。そのため、例えば、コントローラユニット20Bの入力機器がディスペンサ63の位置(情報)を感知する変位センサ71でありコントローラユニット20Aの外部機器が、ディスペンサ63の位置をモータによって制御するモータドライバ61である場合、変位センサ71のディスペンサ位置情報(詳しくは、位置変位情報)に基づいて、ディスペンサ63の位置制御を迅速に行うことができる。
【0035】
また、2つコントローラユニット(20A,20B)にデバイスユニット30が増設される場合において、コントローラユニット20は、共通バスライン40を介してデバイスユニット30と個別に通信できる。そのため、デバイスユニット30が増設される場合において、2つのコントローラユニット(20A,20B)は、パラレルに同時にデバイスユニット30とアクセスすることができる。それによって、2つのコントローラユニット(20A,20B)とデバイスユニット30とのアクセス時間を短縮することができ、システムとしての制御時間を短縮することができる。
【0036】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0037】
(1)上記実施形態では、マルチコントローラシステム10は、2つコントローラユニット(20A,20B)と、1つのデバイスユニット30によって構成される例を示したがこれに限られない。例えば、システム10は、2つコントローラユニット(20A,20B)のみによって構成されてもよい。あるいは、3つコントローラユニットのみによって構成されてもよいし、2つコントローラユニットと、3つのデバイスユニットとによって構成されてもよい。要は、少なくとも2つコントローラユニットを含むように構成されていればよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、共通バスラインを介したデータの通信は、所定周期毎に繰り返されるサイクリック通信によって行われる例を示したが、データの通信はサイクリック通信に限られない。例えば、所定回数のみ繰り返して通信をしたり、あるいは1回のみ通信するようにしてもよい。
【0039】
(3)上記実施形態おいて、サイクリックデータ部のデータは、所定のパケット数に分割して送受信されるようにしてもよい。
【0040】
(4)上記実施形態おいて、共通バスライン(シリアル伝送ライン)は、伝送ライン一本に限られない。少なくとも2つのコントローラユニットに入力される入力信号をシリアル通信方式で伝送する入力信号伝送ラインと、少なくとも2つのコントローラユニットから出力される出力信号をシリアル通信方式にて伝送する出力信号伝送ラインと、を含むようにしてもよい。
この場合、入力信号伝送ラインと出力信号伝送ラインとが個別に設けられている。そのため、入力信号と出力信号とを同時伝送することができ、コントローラユニット間の信号伝送時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0041】
10…コントローラシステム
20A…コントローラユニット(出力機器用コントローラユニット)
20B…コントローラユニット(入力機器用コントローラユニット)
21…制御回路
27…ケース(コントローラユニットケース)
28…第1コネクタ部(コネクタ部)
29…第2コネクタ部(コネクタ部)
30…デバイスユニット
31…制御回路
37…ケース(デバイスユニットケース)
38…第1コネクタ部(コネクタ部)
39…第2コネクタ部(コネクタ部)
40…共通バスライン
42…通信用バスライン(共通バスライン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7