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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】ノズル情報生成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220603BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/165
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018151599
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026077
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒平
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-050450(JP,A)
【文献】特開2007-007961(JP,A)
【文献】特開2005-193480(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/173941(JP,A1)
【文献】特開2017-177423(JP,A)
【文献】特開2007-007960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタのヘッドに設けられる複数のノズルから吐出される液滴の通過を検出することで前記ノズルの吐出状態を検出情報として取得する検出装置と、
取得した前記検出情報に基づいて前記ノズルの吐出状態を時系列順に並べた状態で表示させる表示情報を生成し、生成した前記表示情報を前記表示装置に出力する制御装置と
を備え
前記制御装置は、時系列順に並べた状態の前記検出情報と、前記ノズルの吐出状態に応じた前記インクジェットプリンタにおける対処方法に関する対処方法情報とを対応付けた情報を前記表示情報として前記表示装置に出力する
ノズル情報生成システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記検出情報と、前記対処方法情報とを対応付けて記憶する記憶部を有する
請求項1に記載のノズル情報生成システム。
【請求項3】
複数の前記ノズルは、一列に配置され、
前記表示情報は、複数の前記ノズルの検出結果を前記表示装置の第1方向に並べて表示し、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に拡張した状態で表示するための情報を含む
請求項1又は請求項に記載のノズル情報生成システム。
【請求項4】
前記制御装置は、複数の前記ノズルのうち前記液滴の吐出が検出されなかった前記ノズルについての前記検出結果を、他の前記ノズルについての前記検出結果に対して強調して表示する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のノズル情報生成システム。
【請求項5】
前記制御装置は、複数の前記ノズルのうち前記液滴の吐出が検出されなかった前記ノズルの個数についての個数情報を前記表示情報として前記表示装置に出力する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のノズル情報生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル情報生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタでは、ノズルの詰まり等の情報を検出するため、ヘッドに設けられた複数のノズルから吐出されるインクの液滴を検出する検出装置を用いている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示される検出装置は、ノズルから吐出されるインクの液滴の吐出方向に交差する検出光を射出する発光素子と、発光素子からの検出光を受光する受光素子とを備え、発光素子が射出する検出光内にインクの液滴を通過させて、各ノズルからのインクのノズル詰まりを検出する。このような検出装置により、オペレータは、検出結果に基づいて、ヘッドのクリーニング等のメンテナンス動作を選択して行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3858680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばノズルが継続的に詰まった状態である場合、クリーニングよりもノズル洗浄等を行った方がノズルの詰まりを効率的に解消可能な場合がある。上記のインクジェットプリンタでは、このような関係を考慮されておらず、きめ細かな対処が困難であった。例えば、ノズル洗浄を行うべきところをクリーニングで済ませた結果、ノズルの詰まりが改善できなかったり、逆に、クリーニングで済むところをノズル洗浄することで、無駄な作業を行ってしまったりする可能性があった。このため、適切な対処を行うことで、無駄な作業を行うことなくノズルの吐出状態を確実に改善させることが求められていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、適切な対処を行うことで、無駄な作業を行うことなくノズルの詰まりを確実に復帰させることが可能なノズル情報生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るノズル情報生成システムは、インクジェットプリンタのヘッドに設けられる複数のノズルから吐出される液滴の通過を検出することで前記ノズルの吐出状態を検出情報として取得する検出装置と、取得した前記検出情報に基づいて前記ノズルの吐出状態を時系列順に並べた表示情報を生成し、生成した前記表示情報を前記表示装置に出力する制御装置とを備える。
【0007】
本発明によれば、検出装置の検出結果である検出情報を時系列順に並べた状態で表示装置に表示させることができる。そのため、オペレータに対して、ノズルの吐出状態に関する情報を時系列で把握させることが可能となる。これにより、オペレータに適切な対処を行わせることができるため、無駄な作業を行うことなくノズルの吐出状態を確実に改善させることが可能となる。
【0008】
また、前記制御装置は、時系列順に並べた前記検出情報と、前記ノズルの吐出状態に応じた前記インクジェットプリンタにおける対処方法に関する対処方法情報とを対応付けた情報を前記表示情報として前記表示装置に出力してもよい。
【0009】
これにより、ノズルの吐出状態に応じた対処方法をオペレータに容易に把握させることができる。
【0010】
また、前記制御装置は、前記検出情報と、前記対処方法情報とを対応付けて記憶する記憶部を有してもよい。
【0011】
これにより、ノズルの吐出状態に応じた対処方法を表示装置に容易に表示させることができる。
【0012】
また、複数の前記ノズルは、一列に配置され、前記表示情報は、複数の前記ノズルの検出結果を前記表示装置の第1方向に並べて表示し、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に拡張した状態で表示するための情報を含んでもよい。
【0013】
これにより、一列に配置されたノズルについての検出結果がノズルの配列方向に対応する縦方向に並んだ状態で表示されると共に、縦方向に直交する横方向に拡張した状態で表示されるため、オペレータに把握させやすくすることができる。
【0014】
また、前記制御装置は、複数の前記ノズルのうち前記液滴の吐出が検出されなかった前記ノズルについての前記検出結果を、他の前記ノズルについての前記検出結果に対して強調して表示してもよい。
【0015】
これにより、液滴の吐出が検出されなかったノズルについての付加情報を、検出結果と併せてオペレータに把握させることができる。
【0016】
また、前記制御装置は、複数の前記ノズルのうち前記液滴の吐出が検出されなかった前記ノズルの個数についての個数情報を前記表示情報として前記表示装置に出力してもよい。
【0017】
これにより、液滴の吐出が検出されなかったノズルの個数をオペレータに容易に把握させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係によれば、適切な対処を行うことで、無駄な作業を行うことなくノズルの詰まりを確実に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係るノズル情報生成システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、ヘッドと検出装置との位置関係を模式的に示す図である。
図3図3は、制御装置の一例を示すブロック図である。
図4図4は、検出制御部で生成される検出情報の一例を示す図である。
図5図5は、表示情報生成部で生成される表示情報の一例を示す図である。
図6図6は、ノズル情報生成方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るノズル情報生成システムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
図1は、本実施形態に係るノズル情報生成システムSYSの一例を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るノズル情報生成システムSYSは、検出装置10と、表示装置20と、制御装置30とを備える。
【0022】
検出装置10は、インクジェットプリンタ100のヘッド102に設けられる複数のノズル101から吐出される液滴の通過を検出して、ノズル101の吐出状態を判定する。図2は、ヘッド102と検出装置10との位置関係を模式的に示す図である。図2では、表示装置20及び制御装置30を省略している。図2に示すように、検出装置10は、インクジェットプリンタ100において、例えばヘッド102が待機する待機位置HPに配置される。
【0023】
なお、インクジェットプリンタ100は、ヘッド102をガイドバー103に沿って主走査方向に往復移動させ、ノズル101からメディアに液滴Qを吐出することで、メディアに画像等を形成する。ノズル101は、例えばヘッド102のノズル面102aに複数設けられる。複数のノズル101は、例えば主走査方向と交差する副走査方向に一列に配置されるが、この配置に限定されない。
【0024】
図1及び図2に示すように、検出装置10は、発光素子11と、受光素子12と、インク受部13と、支持部材14とを有する。発光素子11は、ノズル面102aの長手方向の一端側に配置される。発光素子11は、複数のノズル101から吐出される液滴Qのそれぞれの吐出経路を通過するように副走査方向に検出光Lを射出する。発光素子11は、例えば、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)などで構成される。
【0025】
受光素子12は、ノズル面102aの長手方向において発光素子11とは反対側の他端側に配置される。受光素子12は、発光素子11から射出される検出光Lの光路上に配置され、当該検出光Lを受光する。受光素子12は、例えば、PD(フォトダイオード:Photodiode)などで構成される。受光素子12は、検出光Lを受光することで電気信号を生成し、生成した電気信号を出力する。
【0026】
インク受部13は、ノズル面102aに対向して配置され、複数のノズル101から吐出される液滴Qを受ける。インク受部13は、液滴Qを収容可能である。インク受部13は、例えば不図示のインク排出部が設けられてもよい。支持部材14(図2参照)は、発光素子11、受光素子12及びインク受部13を支持する。
【0027】
発光素子11から受光素子12に検出光Lを射出した状態で、複数のノズル101から液滴Qが吐出される場合、吐出された液滴Qは検出光Lの光路上を通過してインク受部13に到達する。液滴Qが検出光Lを通過する際、液滴Qにより検出光Lが遮られるため、受光素子12で受光する検出光Lの強度が低下する。検出装置10では、この検出光Lの強度の変化を検出することにより、ノズル101から吐出される液滴Qの通過を検出することで、ノズル101の詰まり等の吐出状態を検出する。
【0028】
表示装置20は、画像、文字等の情報を表示する。表示装置20としては、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等を用いたディスプレイ装置が挙げられる。また、表示装置20として、例えばインクジェットプリンタ100に搭載される表示装置が用いられてもよい。表示装置20は、タッチパネル等の入力装置を有してもよい。表示装置20は、制御装置30に接続され、制御装置30から出力される情報を表示可能である。
【0029】
なお、ノズル情報生成システムSYSは、表示装置20に代えて又は表示装置20に加えて、無線又は有線の通信回線40を介して制御装置に接続される表示装置20Aを有してもよい。表示装置20Aは、インクジェットプリンタ100から離れた場所に配置可能である。表示装置20Aは、例えばインクジェットプリンタ100のメンテナンスを行うサービス業者等に対して表示情報を表示させることができる。
【0030】
制御装置30は、検出装置10の検出結果を取得し、取得した検出結果を時系列順に並べた状態で表示装置20に表示させるための表示情報を生成し、生成した表示情報を表示装置20に出力する。制御装置30は、インクジェットプリンタ100の制御装置の一部であってもよいし、インクジェットプリンタ100の制御装置とは別個に設けられてもよい。本実施形態では、制御装置30がインクジェットプリンタ100の制御装置の一部である場合を例に挙げて説明する。この場合、インクジェットプリンタ100とノズル情報生成システムSYSとを容易に連動させることができる。
【0031】
図3は、制御装置30の一例を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置30は、処理部31及び記憶部32を有する。処理部31は、検出制御部33と、表示情報生成部34と、出力制御部35とを有する。
【0032】
検出制御部33は、検出装置10における検出動作を制御する。検出制御部33は、検出装置10による検出開始のタイミングや、発光素子11及び受光素子12の動作等を制御する。検出制御部33は、例えばインクジェットプリンタにおいて主電源のスイッチがオンになっておりヘッド102が待機位置HPで待機している場合(待機状態)や、インクジェットプリンタが電源に接続された状態で主電源のスイッチがオフになっている場合(スリープ状態)等に、検出動作を開始させることができる。また、検出制御部33は、所定の周期で検出動作を行わせることができる。例えば、検出制御部33は、1日毎に検出動作を行わせることができる。
【0033】
検出制御部33は、検出装置10における検出結果を取得する。検出制御部33は、受光素子12で生じる電気信号が入力される。検出制御部33は、入力された電気信号に基づいて、各ノズル101における液滴Qの吐出状態を判定する。例えば、検出制御部33は、ノズル101毎に液滴Qの吐出の有無を判定する。検出制御部33は、検出を行ったタイミング毎に、判定結果に基づく検出情報を生成し、生成した検出情報を表示情報記憶部37に記憶させる。例えば、1日毎に検出動作を行う場合、検出制御部33は、1日毎に判定結果を表示情報記憶部37に記憶させる。
【0034】
図4は、表示情報記憶部37に記憶される情報の一例を示す図である。図4に示すように、表示情報記憶部37には、検出制御部33で生成された検出情報D1が記憶される。検出情報D1は、複数のノズル101の吐出状態が検出を行ったタイミング毎に記憶されている。図4の検出情報D1において、「○」印は、ノズル101から液滴Qの吐出が検出された(検出結果が正常であった)ことを示す。「×」印は、ノズル101から液滴Qの吐出が検出されなかった(検出結果が不良であった)ことを示す。以下、液滴Qの吐出が検出されたノズルを正常ノズルと表記する。また、液滴Qの吐出が検出されなかったノズルを不良ノズルと表記する。図4の検出情報D1では、1日毎に検出を行った場合の例であり、当日(今日)の検出を含めて(m+1)日分の情報が時系列で記憶されている。
【0035】
表示情報生成部34は、表示装置20に表示させる表示情報を生成する。表示情報生成部34は、表示情報記憶部37に記憶された情報に基づいて、表示情報を生成する。図4に示すように、表示情報Dは、上記した検出情報D1と、検出情報D1に対応する抜け個数情報D2及び対応方法情報D3とが含まれる。
【0036】
図4に示すように、表示情報記憶部37には、検出情報D1に対応する抜け個数情報D2及び対応方法情報D3が記憶される。抜け個数情報D2は、不良ノズル101の個数を示す情報を含む。抜け個数情報D2は、検出を行ったタイミング毎に、時系列で記憶される。例えば図5に示す例では、m日前から1日前までの検出では不良ノズル101がそれぞれ1個であり、当日(今日)の検出では不良ノズル101が2個であることが記憶されている。この表示により、不良ノズル101の個数をオペレータに容易に把握させることができる。
【0037】
対応方法情報D3は、不良ノズル101の不良状態を解消するため、インクジェットプリンタ100において行うべき対処方法に関する情報である。不良状態を解消するための対処方法としては、例えば継続的ではない不良状態であればクリーニングが挙げられる。また、継続的な不良状態であれば、ノズル101の洗浄が挙げられる。また、ノズル洗浄を行っても不良状態が解消されない場合には、ノズル101のリカバリが挙げられる。また、隣り合う複数のノズル101が不良ノズル101である場合には、空気抜きが挙げられる。上記のいずれを行っても不良状態が解消されない場合、ヘッド交換が挙げられる。
【0038】
対応方法情報D3は、図5に示すように、例えば数値によって記憶される。例えば、表示情報生成部34は、上記の抜け個数情報D2に基づいて対応方法情報D3を生成する。例えば、表示情報生成部34は、ノズル101の吐出状態が継続的ではない不良状態である場合には、ノズル101のクリーニングを対応方法1として設定する。また、表示情報生成部34は、ノズル101の吐出状態が継続的な不良状態である場合には、ノズル101の洗浄を対応方法2として設定する。表示情報生成部34は、上記の対応方法1及び対応方法2について、不良状態が継続的か否かを判断する際には、例えば予め閾値となる期間を設定し、不良状態の期間が当該閾値となる期間を超えない場合には継続的ではないと判断し、閾値となる期間を超える場合には継続的であると判断することができる。また、表示情報生成部34は、ノズル101の洗浄を行っても不良状態が改善されない場合には、ノズル101のリカバリを対応方法3として設定する。また、表示情報生成部34は、不良ノズルが所定の範囲に亘って検出される場合には、空気抜きを対応方法4として設定する。また、表示情報生成部34は、上記対応方法1から対応方法4のいずれの対応方法を行っても不良状態が改善されない場合には、ヘッドの交換を対応方法5として設定する。
【0039】
図5は、表示装置20、20Aに表示される表示情報の一例を示す図である。図5に示すように、表示装置20、20Aには、検出情報D1が時系列順に並べた状態で表示される。検出情報D1は、複数のノズル101の検出結果を図5の縦方向(第1方向)に並べ、かつ、横方向(第2方向)に拡張した状態で表示されている。
【0040】
具体的には、検出情報D1は、表示情報記憶部37に記憶されたm日前から当日(今日)までの検出結果を時系列で並べた状態で示すものである。表示装置20、20Aでは、複数のノズル101の吐出状態が「○」印及び「×」印によって示される。「○」印は、ノズル101から液滴Qの吐出が検出された(正常ノズルであった)ことを示す。「×」印は、ノズル101から液滴Qの吐出が検出されなかった(不良ノズルであった)ことを示す。検出情報D1では、このような「○」印及び「×」印が、ノズル101の配列方向に対応して画面内において縦方向に並んだ状態で示される。なお、検出情報D1では、吐出状態を示すための表示として、「○」印及び「×」印の表示に限定されず、線状、十字状、ブロック状等、他の形状の印を表示してもよい。また、正常ノズル101及び不良ノズル101のうち、一方のみについて上記の印等の表示を行い、他方については何も表示しない態様であってもよい。
【0041】
また、表示装置20、20Aでは、ノズル101の配列方向と直交する横方向に、当該「○」印及び「×」印の表示が重複して示されている。このように「○」印及び「×」印の表示を横方向に拡張して示すことにより、オペレータに対してノズル101の吐出状態を把握させやすくすることができる。なお、表示装置20、20Aでは、吐出状態を示すための表示を横方向に拡張する場合、同一の表示を横方向に重複して表示する場合に限定されず、1つの表示を横方向に引き伸ばした状態で表示させてもよい。
【0042】
また、表示装置20、20Aでは、不良ノズル101についての吐出状態の表示を、正常ノズル101の表示に対して強調して表示することができる。図5では、このような強調表示として、例えば「×」印の部分を枠D1aで囲んだ状態で表示させる態様であるが、これに限定されない。他の強調表示としては、例えば「×」印の表示色を他の表示に対して異なる色として表示させる態様や、「×」印を点滅表示させる態様、「×」印と背景色とを反転させて表示させる態様等が挙げられる。また、強調表示を行う場合、液滴Qの吐出が検出されなかった期間に応じて表示色を異ならせる等、強調表示の態様を異ならせてもよい。
【0043】
このような検出情報D1を表示装置20、20Aに表示することにより、例えば不良ノズル101が継続的に不良状態であるか否かをオペレータに容易に把握させることができる。例えば、図5に示す例において、ノズル1からノズルnまでのn個のノズルに対して、当日(今日)の検出結果では、ノズル2及びノズル3の2つのノズル101が不良ノズル101となっている。一方、ノズル2については当日(今日)の検出結果で初めて不良ノズル101と判定されたのに対して、ノズル3については、m日前から不良ノズル101であると判定されていることが把握できる。
【0044】
なお、表示装置20、20Aに表示する検出情報D1の期間については、オペレータが予め設定することができる。例えば、表示させる日数等を設定してもよい。この場合、不良ノズル101が検出されない日付の検出情報も検出情報D1として含まれる。また、不良ノズル101が検出された日付のみを検出情報D1に含ませるように設定してもよい。図5の例では、当該不良ノズル101が検出されたm日前からの検査情報が検出情報D1に含まれている。また、検出情報D1が表示装置20、20Aの表示領域内に収まりきらない場合、検出情報D1を縮小したり、スクロール可能な状態で表示させたりすることができる。
【0045】
また、表示装置20、20Aにおいて、抜け個数情報D2は、検出を行ったタイミング毎に、時系列で表示される。例えば図5に示す例では、m日前から1日前までの検出では不良ノズル101がそれぞれ1個であり、当日(今日)の検出では不良ノズル101が2個であることが示されている。この表示により、不良ノズル101の個数をオペレータに容易に把握させることができる。
【0046】
また、表示装置20、20Aにおいて、対応方法情報D3は、図5に示すように、例えば数値によって示される。この数値は、表示情報記憶部37に記憶された対応方法1から対応方法5の番号と同一の数字である。対応方法情報D3を数値にて表示させることにより、ノズル101の吐出状態についての検出結果に応じた対処方法をオペレータに容易に把握させることができる。なお、対応方法情報D3を表示装置20、20Aに表示させる場合、数値に加えて、又は数値に代えて、実際の対応方法の内容を表示させてもよい。なお、インクジェットプリンタ100において、クリーニング、ノズル洗浄、ノズルリカバリ、空気抜き等のメンテナンスが実行された場合、実行されたメンテナンスについての情報を記憶部32に記憶させてもよい。
【0047】
付加情報D2は、不良ノズル101について、不良状態となっている期間についての情報を含んでもよい。例えば、不良状態となっている期間に応じて検出情報D1の表示色を異ならせる上記の態様は、当該不良状態となっている期間についての付加情報D2としての性質も有することになる。
【0048】
出力制御部35は、表示情報記憶部37に記憶される表示情報Dを所定の出力先に出力する。出力先に関する情報は、出力先情報記憶部38に記憶される。
【0049】
記憶部32は、表示情報記憶部37と、出力先情報記憶部38とを有する。表示情報記憶部37は、上記の表示情報Dが記憶される。出力先情報記憶部38は、表示情報Dの出力先に関する出力先情報が記憶される。本実施形態では、表示情報Dの出力先として、表示装置20及び表示装置20Aに関する情報が記憶される。なお、表示装置20Aに関する情報としては、通信回線40に出力するための情報を含む。出力先情報は、オペレータ等が予め設定可能であり、当該出力先情報の設定が変更可能であってもよい。
【0050】
また、記憶部32は、ノズル情報生成プログラムを記憶する。当該ノズル情報生成プログラムは、インクジェットプリンタ100のヘッド102に設けられる複数のノズル101から吐出される液滴Qの通過を検出する処理と、検出結果を時系列順に並べた状態で表示装置20、20Aに表示させるための表示情報Dを生成する処理と、生成した表示情報Dを表示装置20、20Aに出力する処理とをコンピュータに実行させる。
【0051】
次に、上記のように構成されたノズル情報生成システムSYSを用いたノズル情報生成方法の一例を説明する。図6は、ノズル情報生成方法の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、制御装置30は、検出装置10による吐出状態の検出のタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS10)。検出のタイミングが到来していない場合(ステップS10のNo)、制御装置30は、ステップS10の動作を繰り返し行わせる。
【0052】
検出のタイミングが到来した場合(ステップS10のYes)、検出制御部33は、検出装置10を用いて吐出状態の検出を行わせる(ステップS20)。ステップS20において、検出制御部33は、発光素子11から検出光Lを射出させる。検出光Lの射出後、ヘッド102を待機位置HPに配置させた状態で、複数のノズル101から液滴Qを吐出させる。
【0053】
検出制御部33には、受光素子12から出力された電気信号が入力される。検出制御部33は、入力された電気信号に基づいて、複数のノズル101の吐出状態についての検出情報D1を生成する。検出制御部33は、生成した検出情報D1を表示情報記憶部37に記憶させる(ステップS30)。ステップS30では、検出が行われる毎に、複数のノズル101の吐出状態についての検出情報D1が表示情報記憶部37に記憶される。表示情報記憶部37には、検出が行われる毎に、検出情報D1が累積的に記憶される。
【0054】
表示情報生成部34は、表示情報記憶部37に記憶された検出情報D1に基づいて、表示情報Dを生成する(ステップS40)。ステップS40において、表示情報生成部34は、検出情報D1、抜け個数情報D2及び対応方法情報D3を生成する。表示情報生成部34は、表示情報Dを生成した後、生成した表示情報Dを表示情報記憶部37に記憶させる。
【0055】
表示情報Dが生成された後、出力制御部35は、表示情報Dの出力指示の有無を検出する(ステップS50)。出力指示を検出した場合(ステップS50のYes)、出力制御部35は、出力指示があった出力先に表示情報Dを出力する(ステップS60)。ステップS60において、出力制御部35は、出力先情報に基づく出力先に対して、表示情報Dを出力する。また、出力指示を検出しなかった場合(ステップS50のNo)、処理を終了させる。なお、出力制御部35は、処理を終了させた後に出力指示を検出した場合、適宜ステップS60の動作を行わせることができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るノズル情報生成システムSYSは、インクジェットプリンタ100のヘッド102に設けられる複数のノズル101から吐出される液滴Qの通過を検出する検出装置10と、検出装置10の検出結果を時系列順に並べた状態で表示装置20に表示させるための表示情報Dを生成し、生成した表示情報Dを表示装置20に出力する制御装置30とを備える。
【0057】
本実施形態に係るノズル情報生成システムSYS、ノズル情報生成方法及びノズル情報生成プログラムによれば、検出装置10の検出結果を時系列順に並べた状態で表示装置20に表示させることができる。そのため、オペレータに対して、ノズル101の吐出状態に関する情報を時系列で把握させることが可能となる。これにより、オペレータに適切な対処を行わせることができるため、無駄な作業を行うことなくノズルの吐出状態を確実に改善させることが可能となる。
【0058】
上記のノズル情報生成システムSYSにおいて、制御装置30は、時系列順に並べた検出情報D1と、ノズル101の吐出状態に応じたインクジェットプリンタにおける対処方法に関する対処方法情報D2とを対応付けた情報を表示情報Dとして表示装置20、20Aに出力する。これにより、ノズルの吐出状態に応じた対処方法をオペレータに容易に把握させることができる。
【0059】
上記のノズル情報生成システムSYSにおいて、制御装置は、前記検出情報と、前記対処方法情報とを対応付けて記憶する記憶部を有する。これにより、ノズルの吐出状態に応じた対処方法を表示装置に容易に表示させることができる。
【0060】
上記のノズル情報生成システムSYSにおいて、複数のノズル101は、一列に配置され、表示情報Dは、複数のノズル101の検出結果を表示装置20、20Aの縦方向に並べ、かつ、表示装置20、20Aの横方向に拡張した状態で表示するための情報を含む。これにより、一列に配置されたノズル101についての検出結果が、ノズル101の配列方向に対応する縦方向に並んだ状態で表示されると共に、縦方向に直交する横方向に拡張した状態で表示されるため、オペレータに把握させやすくすることができる。
【0061】
上記のノズル情報生成システムSYSにおいて、制御装置30は、複数のノズル101のうち液滴の吐出が検出されなかった不良ノズル101を他の正常ノズル101についての検出結果に対して強調して表示する。これにより、不良ノズル101についての検出結果をオペレータに把握させやすくすることができる。
【0062】
上記のノズル情報生成システムSYSにおいて、制御装置30は、複数のノズル101のうち不良ノズル101の個数についての抜け個数情報D2を表示情報Dとして表示する。これにより、不良ノズル101の抜け個数情報D2を、検出結果と併せてオペレータに把握させることができる。
【0063】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、検出情報D1、表示情報D及び出力先情報がそれぞれ制御装置30の記憶部32に記憶される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。検出情報D1、表示情報D及び出力先情報の少なくとも1つは、外部の記憶部又は記憶媒体等に記憶されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
D…表示情報、D1…検出情報、D2…抜け個数情報、D3…対処方法情報、L…検出光、Q…液滴、HP…待機位置、SYS…ノズル情報生成システム、10…検出装置、11…発光素子、12…受光素子、13…インク受部、14…支持部材、20,20A…表示装置、30…制御装置、31…処理部、32…記憶部、33…検出制御部、34…表示情報生成部、35…出力制御部、37…表示情報記憶部、38…出力先情報記憶部、40…通信回線、D1a…枠、100…インクジェットプリンタ、101…ノズル、102…ヘッド、102a…ノズル面、103…ガイドバー
図1
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図5
図6