(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】2ステップのランダムアクセス手順を実行するための端末装置、基地局装置、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20220603BHJP
H04W 72/12 20090101ALI20220603BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220603BHJP
H04W 52/30 20090101ALI20220603BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W72/12 150
H04W72/04 136
H04W52/30
H04W72/04 137
(21)【出願番号】P 2019149153
(22)【出願日】2019-08-15
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】菅野 一生
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩輔
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】KDDI,Discussion on channel structure for two-step RACH[online],3GPP TSG RAN WG1 #96 R1-1902961,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96/Docs/R1-1902961.zip>,2019年02月25日
【文献】Intel Corporation,Channel structure for 2-step RACH[online],3GPP TSG RAN WG1 #96b R1-1904280,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_96b/Docs/R1-1904280.zip>,2019年04月08日
【文献】KDDI,Discussion on channel structure for two-step RACH[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1907446,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_97/Docs/R1-1907446.zip>,2019年05月13日
【文献】KDDI,Discussion on channel structure for two-step RACH[online],3GPP TSG RAN WG1 #98 R1-1909410,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98/Docs/R1-1909410.zip>,2019年08月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、基地局装置へ第1のメッセージを送信し、前記基地局装置から前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを受信することによって前記基地局装置と初期接続を確立する確立手段を有し、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記確立手段は、前記所定の情報の前記送信回数を決定し、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを送信すると共に、決定した前記送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記プリアンブルの送信に使用される無線リソースが、前記送信回数ごとに異なる無線リソースとして設定され、
前記確立手段は、1つの前記第1のメッセージにおいて、決定した前記送信回数に対して設定された無線リソースを前記所定の無線リソースとして用いて前記プリアンブルを送信し、当該送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記プリアンブルは、前記送信回数ごとに定められる複数の系列候補から選択された1つの系列を用いて送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記送信回数と前記複数の系列候補のそれぞれとの組み合わせが、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記確立手段は、1つの前記第1のメッセージにおいて、
決定した前記送信回数に対して設定された無線リソースを前記所定の無線リソースとして用いて、当該送信回数に対して定められた前記複数の系列候補の中から1つの系列を選択して用いて前記プリアンブルを送信し、
当該送信回数と前記選択された1つの系列との組み合わせに関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記送信回数ごとの前記プリアンブルの送信に使用される無線リソースの設定を前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記プリアンブルは、複数の系列候補から選択された1つの系列を用いて、前記送信回数に対して共通の前記所定の無線リソースにおいて送信されるように構成され、
前記複数の系列候補は、それぞれ、前記送信回数と関連付けられ、
前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信に使用可能な無線リソースが、前記複数の系列候補に関連付けられ、
前記確立手段は、1つの前記第1のメッセージにおいて、
前記複数の系列候補のうち、決定した前記送信回数に関連付けられた系列候補の中から1つの系列を選択して用いて、前記送信回数に対して共通の前記所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを送信し、
前記選択された1つの系列に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記複数の系列候補のそれぞれと前記送信回数とを関連付ける情報を前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記複数の系列候補のそれぞれは、前記送信回数ごとにグループ化され、
前記確立手段は、決定した前記送信回数に対応する系列候補のグループを選択し、当該グループに属する系列候補の中から1つの系列を選択して用いて前記プリアンブルを送信する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記確立手段は、前記基地局装置から送信された参照信号の受信電力に基づいて前記送信回数を決定する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記参照信号の受信電力と前記送信回数とを関連付ける情報を前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記確立手段は、前記基地局装置から送信された参照信号の受信電力に基づいて、所定の送信電力制御方式に従って計算されるパワーヘッドルームの値に基づいて、前記送信回数を決定する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項11】
前記確立手段は、前記パワーヘッドルームの値が負の値を有する場合に、前記送信回数を1回より多い回数とする、ことを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記パワーヘッドルームの値と前記送信回数とを関連付ける情報を前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の端末装置。
【請求項13】
基地局装置であって、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、端末装置から第1のメッセージを送信し、前記端末装置へ前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを送信することによって前記端末装置と初期接続を確立する確立手段を有し、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記確立手段は、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを受信して、当該プリアンブルに基づいて前記送信回数を特定し、特定した当該送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を受信する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項14】
端末装置によって実行される通信方法であって、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、基地局装置へ第1のメッセージを送信し、前記基地局装置から前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを受信することによって前記基地局装置と初期接続を確立することを含み、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記初期接続の確立において、前記所定の情報の前記送信回数を決定し、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを送信すると共に、決定した前記送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項15】
基地局装置によって実行される通信方法であって、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、端末装置から第1のメッセージを送信し、前記端末装置へ前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを送信することによって前記端末装置と初期接続を確立することを含み、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記初期接続の確立において、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを受信して、当該プリアンブルに基づいて前記送信回数を特定し、特定した当該送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を受信する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項16】
端末装置に備えられたコンピュータに、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、基地局装置へ第1のメッセージを送信し、前記基地局装置から前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを受信することによって前記基地局装置と初期接続を確立させるプログラムであって、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記初期接続の確立において、前記所定の情報の前記送信回数を決定し、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを送信すると共に、決定した前記送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項17】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、端末装置から第1のメッセージを送信し、前記端末装置へ前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを送信することによって前記端末装置と初期接続を確立させるプログラムであって、
前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、
1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、
前記初期接続の確立において、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを受信して、当該プリアンブルに基づいて前記送信回数を特定し、特定した当該送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を受信する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、基地局装置、通信方法、及びプログラムに関し、より具体的には、2ステップのランダムアクセス手順を実行する際の無線リソース利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、ロングタームエボリューション(LTE)や第5世代(5G)のNew Radio(NR)等の無線通信システムの規格が策定されている。LTEやNRでは、端末装置と基地局装置との間の初期接続のためのランダムアクセス手順が規定されている。
【0003】
従来のランダムアクセス手順は、4ステップの処理が行われる。 4ステップのランダムアクセス手順の処理例を
図1に示す。4ステップのランダムアクセス手順では、まず、端末装置(User Equipment、UE)が、第1のメッセージ(メッセージ1)としてランダムアクセス(RA)プリアンブルを基地局装置へ送信する。ここで、基地局装置は、一例において、NRの場合はgNB、LTEの場合はeNBと表記される。なお、RAプリアンブルは、所定の無線リソース(周波数-時間リソース)を用いて送信される。基地局装置は、RAプリアンブルを検出すると、第2のメッセージ(メッセージ2)として、RAレスポンスを端末装置へ送信する。メッセージ2には、端末装置が、メッセージ2を受信した後に送信すべき第3のメッセージ(メッセージ3)の送信に使用すべき無線リソースや信号送信時のパラメータの情報が含まれる。また、メッセージ2には、信号のタイミングを同期させるためのタイミングアドバンス(TA)等の各種情報が含まれる。端末装置は、その情報によって指定された無線リソースや各種情報を用いて、メッセージ3として、RRC Connection Requestメッセージを送信する。このメッセージによって、初期アクセスを確立するための所定の情報が、端末装置から基地局装置へ送信される。そして、基地局装置は、メッセージ3に応答して、第4のメッセージ(メッセージ4)として、RRC Connection Setupメッセージを端末装置へ送信する。これらの手順が行われることにより、端末装置と基地局装置との間の初期接続が確立される。
【0004】
一方、3GPPでは、初期接続手順に要する時間を短縮するために、2ステップのランダムアクセス手順の採用が検討されている(非特許文献1参照)。2ステップのランダムアクセス手順では、端末装置は、
図2に示すように、上述のメッセージ1及びメッセージ3に相当し、RAプリアンブルと初期アクセスのための所定の情報とを含んだメッセージAを送信する。そして、基地局装置は、メッセージAに応答して、上述のメッセージ2及びメッセージ4に相当するメッセージBを送信するように構成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
4ステップのランダムアクセス手順では、メッセージ2によって、メッセージ3を送信する無線リソースや信号送信時のパラメータが指定されるが、2ステップのランダムアクセス手順では、そのような無線リソースや信号送信時のパラメータの指定が行われない。このため、RAプリアンブルと所定の情報とが連結されたメッセージAを端末装置が送信する場合の適切な無線リソースの使用方法が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2ステップのランダムアクセス手順を効率的に実行可能とする技術を提供する。
【0008】
本発明の一態様による端末装置は、2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、基地局装置へ第1のメッセージを送信し、前記基地局装置から前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを受信することによって前記基地局装置と初期接続を確立する確立手段を有し、前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、前記確立手段は、前記所定の情報の前記送信回数を決定し、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを送信すると共に、決定した前記送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を送信する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様による基地局装置は、2ステップのランダムアクセス手順に基づいて、端末装置から第1のメッセージを送信し、前記端末装置へ前記第1のメッセージに対する応答である第2のメッセージを送信することによって前記端末装置と初期接続を確立する確立手段を有し、前記第1のメッセージには、プリアンブルと、初期アクセスのための所定の情報とが含まれ、1つの当該第1のメッセージにおいて前記所定の情報が1回以上送信され、1つの前記第1のメッセージにおける前記所定の情報の送信回数が、前記送信回数に対応する量の当該所定の情報の送信に使用可能な無線リソースと関連付けられ、前記確立手段は、1つの前記第1のメッセージにおいて、所定の無線リソースにおいて前記プリアンブルを受信して、当該プリアンブルに基づいて前記送信回数を特定し、特定した当該送信回数に関連付けられた無線リソースを用いて前記所定の情報を受信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2ステップのランダムアクセス手順を効率的に実行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】4ステップのランダムアクセス手順の流れを概略的に示す図である。
【
図2】2ステップのランダムアクセス手順の流れを概略的に示す図である。
【
図4】メッセージAで使用される無線リソース構成例を概略的に示す図である。
【
図5】メッセージAで使用される無線リソース構成例を概略的に示す図である。
【
図6】メッセージAで使用される無線リソース構成例を概略的に示す図である。
【
図7】基地局装置及び端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図10】端末装置が実行する処理の流れの例を示す図である。
【
図11】基地局装置が実行する処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(システム構成)
図3に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本システムは、一例において5Gのセルラ通信システムである。ただし、これに限られず、本システムは、例えば5G以降の後継のセルラ通信システムであってもよいし、セルラ以外の無線通信システムであってもよい。本システムは、基地局装置301と端末装置302及び端末装置303とを含んで構成される。なお、
図3では、説明を簡単にするために、1つの基地局装置と2つの端末装置のみを示しているが、これらの装置の数は限定されるものではなく、より多くの基地局装置及び端末装置が当然に存在してもよく、また、端末装置は1つのみであってもよい。
【0014】
本実施形態に係る端末装置302及び端末装置303は、
図2に示すような2ステップのランダムアクセス手順(以下では、この手順を「2ステップRACH」と呼ぶ。)を実行することによって、基地局装置301との接続を確立する。上述のように、2ステップRACHでは、端末装置は、プリアンブルと初期アクセスのための所定の情報とを含んだメッセージAを、基地局装置へ送信する。
【0015】
端末装置は、プリアンブルを、複数の系列候補の中から選択して送信する。なお、この複数の系列候補は、複数の端末装置がこれらの候補から異なる系列を選択して、それらの系列を用いてプリアンブルを同時に送信した場合に、基地局装置がそれらを分離可能なように、すなわち、相互に直交又は相互相関が十分に低くなるように、決定される。一例において、この複数の系列候補は、基地局装置から端末装置へ通知される。例えば、基地局装置は、自装置が形成する内において、隣接するセル内の端末装置が使用しうる系列が使用されることがないように、複数の系列候補を用意し、その複数の系列候補を自セル内の端末装置へ通知しうる。基地局装置は、このように複数の系列候補を選択することにより、隣接するセル内の端末装置からのプリアンブルによる、自装置内の端末装置からのプリアンブルへの干渉を防ぐことが可能となる。なお、基地局装置は、端末装置がプリアンブルを送信することが許容される無線リソース(周波数・時間リソース)を指定する情報を、自装置が形成しているセルの範囲内に存在する端末装置へ通知する。なお、一例において、プリアンブル送信に使用可能な複数の系列候補や、プリアンブルを送信可能な無線リソースを指定する情報は、ブロードキャスト信号によって基地局装置から1つ以上の端末装置へ一斉通知されうる。
【0016】
端末装置は、初期アクセスのための所定の情報を、例えば物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)によって基地局装置へ送信する。なお、ここでのPUSCHは、メッセージAに含まれるPUSCHであり、メッセージA PUSCHと記述されるべきものであるが、本実施形態では表記を簡素化するために、単に「PUSCH」と呼ぶ場合がある。ここで、プリアンブルと同様に、PUSCHが複数の端末装置から同じ無線リソースで送信されると、これらのPUSCHが干渉してしまう。そして、各端末装置から送信されるPUSCHは、プリアンブルのように相互相関を低くすることができないため、干渉により、基地局装置が受信失敗してしまいうる。このため、本実施形態では、複数の端末装置から同時に同じ周波数リソースでPUSCHを送信することによる干渉の発生を防ぐため、プリアンブルの送信に使用可能な複数の系列候補のそれぞれに対して、初期アクセスのための所定の情報を送信するための無線リソースとして、互いに異なる無線リソースを関連付ける。
【0017】
このPUSCHは、上述のように、4ステップのランダムアクセス手順のメッセージ3に相当する。ここで、4ステップのランダムアクセス手順のメッセージ3においてはHARQ(複合自動再送要求)を使用することにより、端末装置から送信されたメッセージ3を基地局装置が受信に成功する確率を高めることができる。これに対して、2ステップのランダムアクセス手順のメッセージAにおけるPUSCHでは、HARQを使用することができないため、基地局装置におけるPUSCHの受信成功確率をメッセージ3と同様にして高めることはできない。このため、本実施形態では、PUSCHを繰り返し送信することにより、基地局装置におけるPUSCHの受信成功確率を向上させるようにする。
【0018】
一方、PUSCHの繰り返し送信回数が増えると、その分だけ、無線リソースを多く消費することとなる。このため、RACHにおけるPUSCH送信用無線リソースは、ユーザデータ等が送信される信号との干渉を防ぐために、繰り返し送信回数を考慮した量だけ確保される必要がある。これに対して、最も単純には、PUSCHが最大送信回数だけ送信されることを想定して、その分だけ無線リソースを確保しうる。一方で、基地局装置の近傍に位置するなどの無線環境が良好な状態にある端末装置は、PUSCHを1回だけ送信するだけで、基地局装置がそのPUSCHの受信に成功する確率が十分に高い。このため、このような端末装置は、繰り返し送信のために確保された無線リソースを使用せず、又は不必要に繰り返し送信を行うことにより、無線リソースを浪費してしまいうる。
【0019】
そこで、本実施形態では、端末装置がPUSCHを繰り返し送信することを前提として、2ステップRACHにおける無線リソースの有効活用を図る。このために、本実施形態では、メッセージAにおけるPUSCHの送信回数が、その送信回数に対応する量の無線リソースであって、PUSCHの送信に使用可能な無線リソースと、事前に関連付けられるようにする。これにより、PUSCHの送信回数ごとに適切な量の無線リソースが用意されるため、PUSCHの送信回数が少なくてもよい端末装置に対して不必要に多くの無線リソースが用意されることがなくなり、無線リソースの浪費を防ぐことができる。また、PUSCHの送信回数が多く必要な端末装置に対しては、十分な量のPUSCH送信用の無線リソースを用意することができるため、メッセージAにおける利得を十分に得ることが可能となる。
【0020】
端末装置は、メッセージAを送信する際に、まず、PUSCHの送信回数を決定する。PUSCHの送信回数は、例えば、基地局装置から送信された参照信号の受信電力(RSRP、Reference Signal Received Power)に基づいて決定されうる。例えば、RSRPが低いほど、PUSCHの送信回数が増えるように、PUSCHの送信回数が決定される。一例において、RSRPが-120dBm以上である場合に、PUSCHの送信回数が1回に決定され、RSRPが-120dBm未満で-123dBm以上である場合に、PUSCHの送信回数が2回に決定され、RSRPが-123dBm未満で-126dBm以上である場合に、PUSCHの送信回数が4回に決定されうる。なお、RSRPの値の範囲と、PUSCHの送信関係とが関連付けられた設定が、端末装置において事前になされうる。例えば、端末装置の製造時にこのような設定がなされてもよいし、基地局装置から送信された報知信号によって、このような設定の情報が基地局装置から端末装置へ通知されてもよい。
【0021】
また、PUSCHの送信回数は、例えば、基地局装置から送信された参照信号の受信電力に基づいて、所定の送信電力制御方式に従って計算されるパワーヘッドルームの値に基づいて決定されてもよい。ここで、メッセージAの送信電力は、例えば、端末装置が準拠する世代のセルラ通信規格に従う所定の送信電力制御方式に基づいて決定され、基地局装置における信号の目標受信電力や伝搬損失等に基づいて算出される算出値と、端末装置の最大送信電力とのいずれか小さい方に決定される。このとき、パワーヘッドルームの値は、最大送信電力から算出値を減じた値として与えられる。このため、パワーヘッドルームの値は、算出値が最大送信電力に達していない場合には正の値を取る。一方、算出値が最大送信電力に達した時点でパワーヘッドルームの値はゼロとなり、算出値が最大送信電力を超えたことに応じて、パワーヘッドルームの値が負の値となる。パワーヘッドルームの値が負である場合、端末装置によって送信された信号が基地局装置に十分な電力で到達しないことが想定される。このため、パワーヘッドルームの値が負の値である場合に、PUSCHの送信回数が1回より多い値に設定されうる。
【0022】
一例において、パワーヘッドルームの値が0dBを超える場合に、PUSCHの送信回数が1回に設定され、パワーヘッドルームの値が0dB以下で-3dBより大きい場合に、PUSCHの送信回数が2回に設定される。また、パワーヘッドルームの値が-3dB以下で-6dBより大きい場合に、PUSCHの送信回数が4回に設定され、パワーヘッドルームの値が-6dB以下で-9dBより大きい場合に、PUSCHの送信回数が8回に設定されうる。なお、パワーヘッドルームの値が正の値であっても、その値が小さい場合には、PUSCHの送信回数が1回より多い値に設定されてもよい。これにより、基地局装置におけるPUSCHの受信成功確率を向上させることができる。なお、パワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数とを関連付ける情報が、基地局装置から端末装置へ通知されてもよい。これによれば、基地局装置は、例えばPUSCHの受信に失敗した確率やPUSCHの受信に成功した確率が所定値を超えた場合にパワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数との関係を更新し、PUSCHの送信回数が過少にも過多にもならないように調整することができる。
【0023】
なお、基地局装置から端末装置へ、PUSCHの送信に使用すべき又は使用可能な変調及び符号化方式(MCS)を指定する情報が通知されてもよい。この場合、例えば変調多値数が増えることにより、また、符号化率が高いほど、基地局装置におけるPUSCHの受信成功確率が下がるため、上述のRSRPに対するPUSCHの送信回数の関係やパワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数の関係も変動しうる。このため、基地局装置は、変調多値数や符号化率に応じた、RSRPやパワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数との関係を指定する情報を、事前に端末装置へ通知してもよい。なお、基地局装置は、変調多値数や符号化率に対する、RSRPやパワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数との関係を直接指定する情報を端末装置へ通知してもよいし、RSRPやパワーヘッドルームの値とPUSCHの送信回数との関係を導出可能な要素情報を端末装置へ通知してもよい。
【0024】
端末装置は、上述のようにして、PUSCHの送信回数を決定すると、その送信回数と関連付けられたPUSCHを送信可能な無線リソースを特定する。そして、端末装置は、所定の無線リソースでプリアンブルが送信され、特定された無線リソースで決定された送信回数だけPUSCHが送信されるようにメッセージAを構成して、そのメッセージAを基地局装置へ送信する。
【0025】
ここで、プリアンブルは、上述のように、複数の系列候補の中から選択された1つの系列を用いて送信される。また、上述のように、複数の系列候補は、それぞれ、異なるPUSCH送信用の無線リソースと関連付けられる。なお、一部の系列候補について、少なくとも一部が重複するPUSCH送信用の無線リソースが関連付けられてもよい。また、プリアンブルが送信される所定の無線リソースは、事前に設定された時間及び周波数リソースである。なお、プリアンブルが送信される所定の無線リソースの時間及び周波数リソース位置は、複数個所設定されてもよい。本実施形態の一例では、これを利用して、PUSCHの送信回数に応じて、異なる時間及び周波数リソース位置を利用してプリアンブルが送信されるようにする。この場合、PUSCHの送信回数が異なる場合には、同じ系列を用いてプリアンブルが送信されても、異なる時間及び周波数リソース位置でそのプリアンブルが送信されることとなるため、それぞれが干渉することはなくなる。また、それらのプリアンブルは、PUSCHの異なる送信回数にそれぞれ対応するため、PUSCH送信用の無線リソースも異なることとなる。この場合の、メッセージAの無線リソースの配置の例を
図4に示す。
【0026】
図4において、参照番号401で示される無線リソースは、PUSCH送信回数が1回の場合のプリアンブル送信位置を示している。また、参照番号411で示される無線リソースは、PUSCH送信回数が2回の場合のプリアンブル送信位置を示し、参照番号421で示される無線リソースは、PUSCH送信回数が4回の場合のプリアンブル送信位置を示している。
【0027】
このとき、例えばPUSCH送信回数が1回の場合のPUSCH送信用の無線リソースは、参照番号402で示した領域において与えられ、例えば、プリアンブルの送信に使用された系列のIDごとに、異なる時間及び周波数リソースが設定される。この場合は、PUSCH送信回数が1回であるため、一例として、1つの時間及び周波数リソースのブロックが、プリアンブルの系列の各IDに対して割り当てられている。基地局装置は、例えば、参照番号401の位置の無線リソースでプリアンブルを検出した場合、そのプリアンブルにおいて使用されている系列のIDを特定する。そして、そのIDに対応するPUSCH送信用の無線リソースを参照番号402の領域の中から特定して、その特定した無線リソースでPUSCHを受信する。
【0028】
また、例えばPUSCH送信回数が2回の場合のPUSCH送信用の無線リソースは、参照番号412で示した領域において与えられ、例えば、プリアンブルの送信に使用された系列のIDごとに、異なる時間及び周波数リソースが設定される。ここでは、PUSCHの送信回数が2回であるため、2つの時間及び周波数リソースのブロックが、プリアンブルの系列の各IDに対して割り当てられている。このとき、プリアンブルの送信に使用される系列として、PUSCHの送信回数が1回又は4回の場合に使用される系列と同じ系列が使用されてもよい。すなわち、1つのプリアンブル送信用の系列が、それぞれ相異なるPUSCHの送信回数に対応する複数パターンのPUSCH送信用の無線リソースと関連付けられてもよい。この場合、基地局装置は、プリアンブルを検出した無線リソースの位置が、参照番号401の位置か参照番号411の位置かによって、PUSCH用の無線リソースが参照番号402の領域の中に含まれるか、参照番号412の領域の中に含まれるかを特定することができる。そして、基地局装置は、プリアンブルの送信に使用された系列のIDによって、特定された領域の中の、どの位置の無線リソースによってPUSCHが送信されたかを特定することができる。このように、1つのプリアンブル送信用の系列が、相異なる送信回数に対して使用されることにより、基地局装置において使用する系列候補の数を低減することができる。
【0029】
同様に、例えばPUSCH送信回数が4回の場合のPUSCH送信用の無線リソースは、参照番号422で示した領域において与えられ、例えば、プリアンブルの送信に使用された系列のIDごとに、異なる時間及び周波数リソースが設定される。ここでは、PUSCHの送信回数が4回であるため、4つの時間及び周波数リソースのブロックが、プリアンブルの系列の各IDに対して割り当てられている。このように、
図4の例では、1つのメッセージAにおけるPUSCHの送信回数とプリアンブルの送信に使用可能な複数の系列候補のそれぞれとの組み合わせが、その送信回数に対応する量のPUSCH送信用の無線リソースと関連付けられる。そして、PUSCHの送信回数に対応する位置の無線リソースが、プリアンブルの送信に用いられることにより、基地局装置に、PUSCHの送信回数を特定させる。また、基地局装置は、プリアンブルの送信に使用した系列を特定することによって、特定したPUSCHの送信回数とプリアンブル送信に使用された系列との組み合わせによって、PUSCHが送信される無線リソースの位置を特定することができるようになる。
【0030】
なお、
図4の例では、送信回数分の数の時間及び周波数リソースのブロックが割り当てられる例を示したが、その送信回数だけPUSCHを送信可能な量のブロックが割り当てられる限りにおいて、
図4の例より少ない又は多い量のブロックがPUSCH送信用に割り当てられてもよい。また、
図4では、系列IDごとに対応するPUSCH送信用の無線リソースが重ならないように割り当てられる例を示したが、これらの無線リソースの少なくとも一部が重なってもよい。例えば、系列IDのグループに対してPUSCH送信用の1つ以上のブロックからなる無線リソースが割り当てられ、端末装置は、プリアンブルの送信に使用する系列のIDによって特定される無線リソースの中の少なくともいずれかを用いて、PUSCHを送信するようにしてもよい。これによれば、基地局装置に接続しようとする端末装置の数が少ない場合であっても、不必要にPUSCH送信用の無線リソースが確保されてしまうことを防ぐことができる。さらに、
図4では、無線リソースが時間及び周波数リソースとして示されているが、さらに、空間リソース(例えば、使用する復調参照信号(DMRS)ポート)が考慮されてもよい。なお、
図4のような無線リソースの配置は一例であり、図示した構成と異なる構成が用いられてもよい。また、無線リソースの配置を基地局装置や他のネットワークノードが決定して、基地局装置から端末装置へ、その配置の情報が通知されるようにしてもよい。例えば、基地局装置は、PUSCHの送信回数ごとのプリアンブルの送信に使用すべき無線リソースの位置を特定する設定情報を端末装置へ送信してもよい。これにより、高い自由度で、PUSCH送信用の無線リソースを設定することが可能となる。
【0031】
一方、
図4の例と異なり、PUSCHの送信回数に対して共通の(すなわち、PUSCHの送信回数によらずに同じ)無線リソースを用いてプリアンブルが送信されてもよい。この場合、プリアンブルの送信に使用可能な複数の系列候補が、それぞれ、PUSCHの送信回数と関連付けられる。また、プリアンブルのそれぞれが、PUSCHの送信用の無線リソースと関連付けられる。そして、端末装置は、PUSCHの送信回数を決定し、その送信回数と関連付けられた系列候補の中から1つの系列を選択して用いてプリアンブルを送信し、その選択した系列に関連付けられた無線リソースを用いてPUSCHを送信する。この場合のメッセージAの無線リソースの配置の例を
図5に示す。
【0032】
図5の例では、PUSCHの送信回数によらずに、共通のプリアンブル部分の送信用の無線リソース501が用いられる。一方、プリアンブルの送信に使用可能な系列候補が、それぞれ、PUSCHの送信回数と関連付けられている。
図5の例では、ID=1~16の系列候補のグループが1回のPUSCH送信と関連付けられ、ID=17~24の系列候補のグループが2回のPUSCH送信と関連付けられ、ID=25~28の系列候補のグループが4回のPUSCH送信と関連付けられている。そして、ID=1~16のいずれかの系列を用いてプリアンブルが送信される場合、PUSCHは、無線リソース511におけるそれぞれのIDに関連付けられた1つの時間及び周波数リソースのブロックによって送信される。また、ID=17~24のいずれかの系列を用いてプリアンブルが送信される場合、PUSCHは、無線リソース512におけるそれぞれの系列のIDに関連付けられた2つの時間及び周波数リソースのブロックによって送信される。同様に、ID=25~28のいずれかの系列を用いてプリアンブルが送信される場合、PUSCHは、無線リソース513におけるそれぞれの系列のIDに関連付けられた4つの時間及び周波数リソースのブロックによって送信される。端末装置は、まずPUSCHの送信回数を決定して、その送信回数に対応する系列候補のグループからプリアンブルの送信に使用する系列を選択し、その選択した系列に対応するPUSCH送信用無線リソースでPUSCHを送信する。
【0033】
なお、
図5は一例であり、例えば、無線リソース511、無線リソース512、及び無線リソース513は、一部が重なってもよいし、また、これらのそれぞれの無線リソース内で、同じプリアンブルIDに対して、対応する時間及び周波数リソースのブロックの少なくとも一部が重複してもよい。また、プリアンブルの系列と、PUSCHの繰り返し送信回数との関係は、固定されていてもよいし、可変であってもよい。すなわち、上述の例では、PUSCHの送信回数が1回である場合に対応する系列候補の数が16個である例を示したが、この数は、例えば時間的又は地理的に変動してもよい。例えば、第1の基地局装置においては、この数が16個に設定され、第2の基地局装置においては、この数が8個に設定されてもよい。PUSCHの送信回数と無線リソースの割り当てとを関連付ける情報については、例えば、基地局装置から端末装置へ、報知信号を用いて通知されうる。なお、PUSCH送信用の無線リソースの範囲が定義され、PUSCHの各送信回数に対応する系列候補の数に応じて、その無線リソースの範囲が、各送信回数に対応するPUSCHの送信用の無線リソースとして割り当てられてもよい。例えば、
図5の無線リソース511~無線リソース513の領域が、PUSCH送信用の無線リソースの範囲として設定される。そして、PUSCHの送信回数が1回の場合に対応する系列候補の数が1~4個の場合は、1つの周波数ブロックが1回のPUSCH送信用に割り当てられ、この系列候補の数が5~8個の場合は、2つの周波数ブロックが1回のPUSCH送信用に割り当てられる。同様に、PUSCHの送信回数が2回の場合に対応する系列候補の数が1~2個の場合は、1つの周波数ブロックが2回のPUSCH送信用に割り当てられ、この系列候補の数が3~4個の場合は、2つの周波数ブロックが2回のPUSCH送信用に割り当てられる。なお、この関係は一例であり、より多くの又はより少ない無線リソースが、PUSCHの各送信回数に対応して割り当てられてもよい。
【0034】
この割り当ては、例えば、高いリソースブロックインデックスをPUSCHの送信回数が少ない場合のPUSCH用の無線リソースとして割り当て、PUSCHの送信回数が多くなるほど低いリソースブロックインデックスを割り当てるようにするなど、所定のルールに基づいて行われうる。なお、この所定のルールでは、さらに、例えば、系列候補のIDの値が小さいほど、高いリソースブロックインデックス及び早い時間の無線リソースが割り当てられることなどが事前に定められうる。この場合、例えば、系列候補とPUSCHの送信回数との関係のみが基地局装置から端末装置へ送信されることにより、端末装置は、その所定のルールで、各系列候補に対応するPUSCH送信用の無線リソースを決定することができる。このため、各系列候補とPUSCH送信用の無線リソースは必ずしも端末装置に通知される必要はなく、系列候補のそれぞれがPUSCHの送信回数に関連付けられた情報のみが端末装置に通知されてもよい。このとき、例えば、系列候補のIDの連続する値の範囲に対して共通のPUSCHの送信回数が関連付けられるようにし、その範囲を特定可能な情報を、各系列候補とPUSCHの送信回数とを関連付ける情報として、基地局装置から端末装置へ通知することができる。例えば、PUSCHの送信回数が1回に対応する系列候補のIDの範囲、2回に対応する系列候補のIDの範囲、4回に対応する系列候補のIDの範囲の順で、情報が通知されるとすると、
図5の例では、「16、24、28」のような情報が端末装置に通知される。端末装置は、この情報により、IDが1~16の系列候補が1回の送信回数に対応し、IDが17~24の系列候補が2回の送信回数に対応し、IDが25~28の系列候補が4回の送信回数に対応することを特定することができる。このように、プリアンブルの送信に使用される系列候補のIDを適切にグループ化することで、基地局装置から端末装置へ通知すべき情報を低減することができる。なお、系列候補のIDのグループとPUSCHの送信回数が固定されており、かつ、各送信回数に対応するPUSCHリソースが固定的に割り当てられる場合は、このような情報通知が行われなくてもよい。
【0035】
基地局装置は、端末装置からメッセージAを受信した場合、まず、プリアンブルを検出する。ここで、
図4の構成が用いられる場合、基地局装置は、プリアンブルが検出された無線リソースの位置に応じて、PUSCHの送信回数を特定する。また、基地局装置は、プリアンブルの送信に使用された系列を特定することにより、PUSCHの送信回数に対応するPUSCH送信用の無線リソースのうちのいずれの無線リソースのブロックでPUSCHが送信されたかを特定する。また、
図5の構成が用いられる場合、基地局装置は、プリアンブルの送信に使用された系列を特定することにより、PUSCHの送信回数と、PUSCHの送信に使用された無線リソースを特定する。そして、基地局装置は、特定した無線リソースのブロックにおいて、特定した送信回数分のPUSCHを受信する。なお、複数回受信されたPUSCHの合成方法については、従来技術を適用すれば足りるため、ここでの説明については省略する。
【0036】
なお、上述の例では、PUSCHが複数回数送信される場合の無線リソースが、同一の周波数及び連続した時間の無線リソースのブロック群として用意される例を示したが、これに限られない。例えば、
図6のように、PUSCHが周波数ホッピングしながら送信されるように、無線リソースが用意されてもよい。また、上述の例では、PUSCHの送信時に、1つの時間ブロックにおいて、1つの周波数ブロックのみが使用される例を示しているが、1つの時間ブロックにおいて、複数の周波数ブロックが使用されてもよい。
【0037】
(装置構成)
続いて、上述のような処理を実行する端末装置及び基地局装置の構成について説明する。
図7に、端末装置及び基地局装置のハードウェア構成例を示す。端末装置及び基地局装置は、一例において、プロセッサ701、ROM702、RAM703、記憶装置704、及び通信回路705を有する。端末装置では、例えばROM702、RAM703及び記憶装置704のいずれかに記録された、上述のような端末装置の各機能を実現するプログラムがCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ701により実行される。同様に、基地局装置では、例えばROM702、RAM703及び記憶装置704のいずれかに記録された、上述のような基地局装置の各機能を実現するプログラムがプロセッサ701により実行される。なお、プロセッサ701は、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の1つ以上のプロセッサであってもよい。
【0038】
端末装置及び基地局装置は、例えばプロセッサ701により通信回路705を制御して、相手装置(例えば、端末装置にとっては基地局装置、基地局装置にとっては端末装置やネットワークノード)との間の通信を行う。なお、
図7では、端末装置及び基地局装置は、1つの通信回路705を有するような概略図を示しているが、これに限られない。例えば、端末装置は、基地局装置との通信用の通信回路と、例えば無線LAN等の通信用の通信回路とを有していてもよい。また、基地局装置は、例えば、端末装置との通信用の通信回路と、ネットワークノードとの通信用の通信回路とを有してもよい。
【0039】
なお、端末装置及び基地局装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0040】
図8に、端末装置の機能構成例を示す。
図8に示される機能は、例えば端末装置のプロセッサ701が、ROM702、RAM703、記憶装置704に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。なお、端末装置は、後述の機能の少なくともいずれかに対応するハードウェアを有してもよい。なお、
図8は、端末装置の機能のうち、本実施形態に特に関連する機能部を選択的に示したものであり、端末装置は、一般的な端末装置としての機能を当然に有する。
【0041】
端末装置は、その機能として、通信部801、PUSCH送信回数決定部802、プリアンブル設定部803、PUSCHリソース特定部804、及びメッセージ生成部805を含む。また、端末装置は、オプションとして、設定取得部806を有しうる。
【0042】
通信部801は、基地局装置との間で通信(例えば5Gの通信規格に準拠した無線通信)を行うための各種処理を実行する。通信部801は、例えば、基地局装置から送出された情報を取得し、その情報に基づいて2ステップRACHを実行して基地局装置との接続を確立して通信を行うための制御を実行する。PUSCH送信回数決定部802は、例えば、基地局装置から送信された参照信号に基づいて、RSRPやパワーヘッドルームの値を特定し、その結果に応じて、1つのメッセージAにおけるPUSCHの繰り返し送信回数を決定する。なお、PUSCH送信回数決定部802は、PUSCHの送信に使用可能なMCSが複数存在する場合は、実際のPUSCHの送信に使用するMCSを決定して、そのMCSにさらに基づいて、PUSCHの送信回数を決定しうる。
【0043】
プリアンブル設定部803は、PUSCHの送信回数に基づいて、プリアンブルの設定を行う。例えば、
図4のような構成が用いられる場合、プリアンブル設定部803は、PUSCHの送信回数に対応するプリアンブル送信用の無線リソースを特定し、その無線リソースでのプリアンブルの送信に使用可能な系列候補の中から1つの系列を選択して、特定した無線リソースで選択された系列を用いたプリアンブルが送信されるような設定を行う。一方、
図5のような構成が用いられる場合、プリアンブル設定部803は、プリアンブルの送信に使用可能な系列候補の中から、PUSCHの送信回数に対応する系列候補のグループを特定し、そのグループの中から1つの系列を選択して、プリアンブル送信用の無線リソースで、選択された系列を用いたプリアンブルが送信されるような設定を行う。
【0044】
PUSCHリソース特定部804は、PUSCH送信回数決定部802で決定されたPUSCHの送信回数に対応するPUSCH送信用の無線リソースを特定する。一例において、PUSCHリソース特定部804は、
図4や
図5のように、プリアンブル設定部803で設定されたプリアンブルの送信に使用する系列に基づいて、その系列に対応して確保された無線リソースをPUSCHの送信に使用する無線リソースとして決定しうる。また、PUSCHリソース特定部804は、PUSCHの各送信回数に対応するそれぞれ異なる無線リソースの範囲の中からランダムに、PUSCHの送信に使用する無線リソースを決定してもよい。
【0045】
メッセージ生成部805は、プリアンブル設定部803によって設定されたプリアンブル設定に従って送信されるプリアンブルと、PUSCHリソース特定部804で特定された無線リソースで、PUSCH送信回数決定部802によって決定された送信回数だけ繰り返し送信されるPUSCHとを含んだメッセージAを生成する。生成されたメッセージAは、通信部801を介して送信される。
【0046】
設定取得部806は、基地局装置から、RSRPやパワーヘッドルームの値と繰り返し送信回数との関係を示す設定や、送信回数とPUSCHリソースとの関連付けを示す設定情報など、各種設定情報を取得する。なお、設定取得部806は、
図4の方法と
図5の方法とのいずれを使用するかを示す設定情報や、
図4の方法が用いられる場合のプリアンブル送信用の無線リソース位置を示す設定情報、
図5の方法が用いられる場合のプリアンブル送信用の系列候補のグループ設定情報などの情報を取得してもよい。なお、固定的な設定が用いられる場合には、設定取得部806は省略されてもよい。
【0047】
図9に、基地局装置の機能構成例を示す。
図9に示される機能は、例えば基地局装置のプロセッサ701が、ROM702、RAM703、記憶装置704に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。なお、基地局装置は、後述の機能の少なくともいずれかに対応するハードウェアを有してもよい。なお、
図9は、基地局装置の機能のうち、本実施形態に特に関連する機能部を選択的に示したものであり、基地局装置は、一般的な基地局装置としての機能を当然に有する。
【0048】
基地局装置は、その機能として、通信部901、PUSCH送信回数特定部902、及び、PUSCHリソース特定部903を含む。また、基地局装置は、オプションとして、設定通知部904を有しうる。
【0049】
通信部901は、端末装置との間で通信(例えば5Gの通信規格に準拠した無線通信)を行うための各種処理を実行する。通信部901は、例えば、端末装置との間で2ステップRACHを実行して基地局装置との接続を確立して通信を行うための制御を実行する。PUSCH送信回数特定部902は、端末装置から受信したメッセージAに含まれるプリアンブルの部分を検出する。PUSCH送信回数特定部902は、例えば、
図4のような方法が用いられる場合には、どの無線リソースでプリアンブルが検出されたか否か、
図5のような方法が用いられる場合には、複数の系列候補のうちのどの系列が使用されているか、を特定することにより、受信したメッセージAにおいてPUSCHが繰り返し送信された回数を特定する。PUSCHリソース特定部903は、PUSCH送信回数特定部902によって特定された送信回数に基づいて、PUSCHがどのリソースで送信されたかを特定する。このとき、PUSCHリソース特定部903は、例えば、プリアンブルの送信に使用された系列の特定結果にさらに基づいて、PUSCHがどのリソースで送信されたかを特定しうる。また、PUSCHリソース特定部903は、PUSCHの送信回数に対応する無線リソースの領域の全てにおいてPUSCHの受信処理をすることによって、その領域内でランダムに送信されたPUSCHを特定するようにしてもよい。通信部901は、プリアンブル送信用の無線リソースにおいてプリアンブルを受信し、PUSCHリソース特定部903において特定された無線リソースにおいてPUSCHを受信するための処理を実行する。設定通知部904は、端末装置へ、RSRPやパワーヘッドルームの値と繰り返し送信回数との関係を示す設定や、送信回数とPUSCHリソースとの関連付けを示す設定情報など、各種設定情報を通知する。なお、設定通知部904は、
図4の方法と
図5の方法とのいずれを使用するかを示す設定情報や、
図4の方法が用いられる場合のプリアンブル送信用の無線リソース位置を示す設定情報、
図5の方法が用いられる場合のプリアンブル送信用の系列候補のグループ設定情報などの情報を通知してもよい。なお、固定的な設定が用いられる場合には、設定通知部904は省略されてもよい。
【0050】
(処理の流れ)
続いて、端末装置が実行する処理の流れの例について
図10を用いて、基地局装置が実行する処理の流れの例について
図11を用いて、それぞれ概説する。なお、詳細な処理については上述の通りであるため、ここでの説明を省略する。
【0051】
まず、基地局装置は端末装置へ設定情報を通知し(S1101)、端末装置はこの設定情報を受信する(S1001)。なお、固定的な設定が用いられる場合には、これらの処理は実行されなくてもよい。
【0052】
ここで、端末装置は、基地局装置と接続を確立するために、2ステップRACHを開始するものとする。この場合、端末装置は、まず、例えば基地局装置からの参照信号に基づいて、PUSCHの送信回数を決定する(S1002)。そして、その送信回数に基づいて、プリアンブルの設定を実行する(S1003)。例えば、端末装置は、
図4の例では、プリアンブルを送信する際に使用する無線リソースをPUSCHの送信回数に基づいて決定し、プリアンブルを送信する際に使用する系列を、使用可能な系列候補から例えばランダムに選択する。また、端末装置は、
図5の例では、PUSCHの送信回数に対応する、プリアンブルを送信する際に使用可能な系列候補のグループを特定し、そのグループの中から、プリアンブルを送信する際に使用する系列を例えばランダムに選択する。その後、端末装置は、PUSCHの送信回数に対応する無線リソースの中から、例えばプリアンブルの送信の際に使用される系列のIDに基づいて又はランダムに、実際にPUSCHを送信する際に使用する無線リソースを特定する(S1004)。そして、端末装置は、S1003の設定に基づいて送信されるプリアンブルと、S1004で特定された無線リソースを用いてS1002で決定された送信回数分だけのPUSCHとを含んだメッセージAを、基地局装置へ送信する(S1005)。
【0053】
基地局装置は、このメッセージAについて、まず、プリアンブル部分を検出する(S1102)。このとき、基地局装置は、
図4の方法が用いられる場合には、PUSCHの送信回数ごとに設定されたプリアンブル送信用の無線リソースの全てにおいてプリアンブルを待ち受け、
図5の方法が用いられる場合には、PUSCHの送信回数に対して共通に設けられた無線リソースにおいてプリアンブルを待ち受ける。基地局装置は、プリアンブルを検出する際に、そのプリアンブルの送信に複数の系列候補のうちのどの系列が使用されたかを特定する。そして、基地局装置は、受信したプリアンブルに基づいて、受信したメッセージAにおいてPUSCHが繰り返し送信された回数と、PUSCHが送信された無線リソースとを特定する(S1103)。例えば、
図4の例では、プリアンブルが検出された無線リソース位置に基づいてPUSCHの送信回数が特定され、また、
図5の例では、プリアンブルの送信に使用された系列が属するグループに基づいてPUSCHの送信回数が特定される。そして、PUSCHの送信回数に応じて、PUSCHの送信に使用された無線リソースが特定される。なお、プリアンブルの送信に使用された系列に基づいてPUSCHの送信に使用される無線リソースが詳細に決定される場合には、基地局装置は、特定した系列に基づいて、詳細な無線リソースの位置を特定する。その後、基地局装置は、特定したPUSCH送信に使用された無線リソースにおいて、PUSCHを受信し、例えば合成処理等の所定の処理をさらに実行することにより、PUSCHに含まれる情報を取得する(S1104)。
【0054】
その後、基地局装置は、メッセージAの全体の受信に成功したと判定したことに応じて、端末装置へメッセージBを送信して、端末装置が、そのメッセージBを受信することによって、基地局装置と端末装置との間の接続が確立される(S1006、S1105)。
【0055】
このように、上述の構成及び処理によれば、各端末装置がそれぞれ自装置の置かれた通信環境に適した送信回数でPUSCHを送信し、その際に、その送信回数ごとに用意された無線リソースを使用してPUSCHを送信する。このとき、全ての端末装置に対してPUSCHの繰り返し送信回数の最大値に対応する無線リソースを用意するのではなく、送信回数ごとに適した量の無線リソースを用意するため、無線リソースを必要以上に利用することを防ぎ、2ステップRACHを効率的に実行することが可能となる。