(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】ゼオライト吸着材料、製造方法、及び工業用ガスの非極低温分離のための使用
(51)【国際特許分類】
B01J 20/18 20060101AFI20220603BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220603BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20220603BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20220603BHJP
C01B 39/02 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
B01J20/18 D
B01J20/30
B01D53/047
B01J20/28 Z
C01B39/02
(21)【出願番号】P 2019529517
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 FR2017053335
(87)【国際公開番号】W WO2018100318
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2019-07-30
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルティス,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】リュッツ,セシル
(72)【発明者】
【氏名】スザンドロビク,シルビ
(72)【発明者】
【氏名】ペルシヨン,キトリ
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/152319(WO,A3)
【文献】仏国特許出願公開第03028429(FR,A1)
【文献】特表2016-522740(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02925478(FR,A1)
【文献】米国特許第05268023(US,A)
【文献】国際公開第2016/075280(WO,A3)
【文献】特開2008-110337(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02766476(FR,A1)
【文献】特表2016-515095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 - 20/28
B01J 20/30 - 20/34
B01D 53/02 - 53/12
C01B 33/20 - 39/54
C01B 13/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PSA、VPSAまたはVSA法における、工業用ガス中のN
2
/O
2
分離のための、並びに/或いは医療用酸素を製造するための装置におけるN
2
/O
2
分離のためのゼオライト吸着材料であって、
-
4.0μm~15.0μmの範囲に含まれる数平均径(d
50)について8.0~18.0の範囲(両限界値を含む)に含まれるピーク幅(2σ)を特徴とする粒径分布を有するLSXゼオライト結晶に基づき、ここで数平均径(d
50)は走査型電子顕微鏡(SEM)により求められ、
-1.00~1.15の範囲(両限界値を含む)に含まれるSi/Al原子比を有し、
-Li
2Oの重量で表されるリチウム含有量が、ゼオライト吸着材料の全重量に対して9重量%~12重量%の範囲に含まれ、及び
-非ゼオライト相(NZP)が、ゼオライト吸着材料の全重量に対して0<NZP≦8重量%となるような含有量で含まれる、
ゼオライト吸着材料。
【請求項2】
非ゼオライト相(NZP)の量が、ゼオライト吸着材料の全重量に対して0.5重量%≦NZP≦4重量%である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
0.05mm~5mmの間(両限界値を含む)の体積平均径を有するビーズの形態であり、ここで体積平均径はISO 13322-2及びISO 9276-2に従って求められる、
請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
0.58kg/m
-3~0.80kg/m
-3の範囲に含まれる見掛け密度を有する、請求項1~3のいずれかに記載の材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のゼオライト吸着材料の製造方法であって、以下の工程、
a)凝集バインダー及びシリカ源を用いてLSXゼオライト結晶を凝集し、続いて凝集した結晶を成形し、乾燥させ、及び焼成する工程、
b)塩基性アルカリ溶液の作用により前記バインダーをゼオライト化する工程、
c)工程b)で得られた生成物の交換可能部位のカチオンの大部分をリチウムカチオンで置換し、続いて、このように処理された生成物を洗浄し、及び乾燥させる工程、並びに、
d)任意に乾燥させ、及び得られたゼオライト吸着材料を300℃~600℃で1~6時間加熱して活性化する工程
を含む、方法。
【請求項6】
工程a)の終わりにおいて、LSXゼオライト結晶の重量が、工程a)の終わりで得られた前記生成物の総重量に対して75重量%~90重量%の範囲に含まれ、及び、ゼオライト化可能なクレーの量が、工程a)の終わりで得られた前記生成物の総重量に対して5重量%~25重量%の範囲に含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
シリカ源が存在する場合には、工程a)の終わりにおいて、シリカ源が、工程a)の終わりで得られた前記生成物の総重量に対して0.1重量%~10重量%に相当する量となるように添加される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記凝集バインダーが、少なくとも80重量%のゼオライト化可能なクレーを含み、前記ゼオライト化可能なクレーが、カオリナイト、ハロイサイト、ナクライト、ディッカイト、カオリン及びメタカオリンからなる群から選択される少なくとも一員である、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
本願発明の前記ゼオライト吸着材料のリチウム含有量(酸化リチウムLi
2Oとして表される)が、前記ゼオライト吸着材料の全重量に対して9重量%~12重量%であるように、リチウム交換が行われる、請求項5~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
PSA、VPSAまたはVSAにおける、工業用ガス中のN
2/O
2分離のための吸着方法、並びに/或いは医療用酸素を製造するための装置におけるN
2/O
2分離のための吸着方法における、請求項
1~4のいずれかに記載の
材料の使用。
【請求項11】
請求項1~4のいずれかに記載の少なくとも1つのゼオライト吸着材料を含む、ゼオライト吸着剤の消耗品カートリッジ。
【請求項12】
請求項1~4のいずれかに記載の少なくとも1つのゼオライト吸着材料を含む、可搬式、及び/または可動式の呼吸補助のための酸素濃縮器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工業用ガスの非極低温分離のための特定の吸着材料に関し、より詳細には、空気などのガス流中での吸着による窒素の分離、並びに一酸化炭素(CO)及び/または窒素(N2)の吸着による水素の精製に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス混合物からの窒素の分離はPSA(圧力スイング吸着)法またはVPSA(真空及び圧力スイング吸着)法を用いた空気からの酸素の製造を含むいくつかの非極低温工業的方法の基礎であり、PSA法は最も重要なものの1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第3140931号明細書
【文献】米国特許第3140933号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2766476号明細書
【文献】国際公開第2008/152319号
【文献】米国特許第6478854号明細書
【文献】国際公開第2013/106017号
【文献】国際公開第2014/176002号
【発明の概要】
【0004】
この用途では、空気は圧縮され、窒素分子に対して顕著な優先性を有する吸着剤のカラムに送られる。このようにして、吸着サイクルは、約94~95%の酸素及びアルゴンを生成する。一定時間後、カラムを減圧し、次いで低圧に維持し、その間、窒素を脱着する。次いで、生成された酸素の一部及び/または空気によって確実に再圧縮され、その後、周期が継続する。この方法の極低温法に対する利点は、プラントの大幅な簡素化及びメンテナンスの大幅な容易化にある。
【0005】
使用される吸着剤の量は、効果的かつ競争力のある方法への鍵である。吸着剤の性能は多くの因子に関連し、とりわけ、窒素吸着能及び窒素と酸素との間の選択性は、カラムのサイジング及び生産収率(生成された酸素と導入された酸素との比)、並びに吸着速度論の最適化における因子を決定することにより、サイクル時間の最適化及びプラント生産性の改善が可能となる。
【0006】
選択的窒素吸着剤としてのモレキュラーシーブの使用は、現在では周知の技術である。少なくとも0.4nm(4Å)の孔径を有するゼオライトのクラスは、例えば、US3140931において、酸素と窒素の混合物の分離のために提示されている。ゼオライトの種々のイオン形態の比較性能はUS3140933に記載されており、特にリチウム形態の性能は、選択性の点で最も効果的であると提示されている。
【0007】
特許出願FR2766476には、空気のガスを分離するための増強されたゼオライト吸着剤、及びそれを得る方法が記載されている。この文献はリチウム、任意にカリウムを含み、ゼオライト化バインダーを有するLSXゼオライト吸着材料を記載している。この吸着材は、26cm3/g-1以上の窒素吸着量を有する。前記材料は、リチウムと交換されたLSXゼオライト(Si/Alモル比=1)の少なくとも95%から製造される。しかし、これらの凝集体の機械的強度は、特定の用途では不十分であることが判明している。
【0008】
国際公開第2008/152319号パンフレットには、70質量%を超えるゼオライト含量、600μm未満のビーズ径(d50)、及び0.5g/cm50~0.8g/cm50の濃度を有するゼオライト凝集体の製造法が記載されている。潜在的に使用されるゼオライトはLSX-、X-及びA-型ゼオライトであり、凝集粘土はゼオライト化可能であるか、またはゼオライト化不可能である。この出願はまた、凝集体の調製中に、固体の全質量(焼成当量)に対して1~5重量%の割合でシリカを任意に添加することを記載している。
【0009】
特許US6478854は、バインダーレスのLiLSXゼオライトに基づいて凝集体を調製する方法及びガス分離におけるその使用を記載している。凝集バインダーは、0.1~0.4の範囲に含まれるNa/(Na+K)比を有する水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの溶液での浸透によって変換される。アルミニウム源を苛性溶液に添加して、バインダーを優先的にLSXゼオライトに変換することができる。バインダーのLSXへの変換は、回折面(ミラー指数)220に対応するピークと回折面311に対応するピークとの間の回折図におけるピークの強度比によって測定される。
【0010】
国際特許出願WO2013/106017は、キシレン異性体の分離のために、凝集及びバリウムとの交換の後に使用され得る、1.0~1.5の範囲に含まれるSi/Al原子比を有するバインダーレスXゼオライトを調製するための方法を記載する。Xゼオライトの結晶のサイズは2.7μmであり、ゼオライトに変換されるバインダーの結晶のサイズ(ゼオライトの全質量に対して5重量%~30重量%)は定義されていない。バインダーはまた、部分的にゼオライトAに変換される。
【0011】
国際特許出願WO2014/176002は、異なる粒径を有する2つのバインダーの間の選択、ゼオライト化、次いでリチウムとの交換から凝集吸着材料を調製するための方法を記載する。バインダーをゼオライト化してXゼオライトにするために、液体または固体シリカ源を添加することも可能であり、そのSi/Al原子比は、初期ゼオライトの原子比とは異なり得る。
【0012】
ゼオライト吸着材料(「モレキュラーシーブ」としても知られる)を用いる非極低温工業用ガス分離方法の現在の重要性は、ますます高性能の吸着剤の発見及び開発がガス製造会社及び前記モレキュラーシーブを供給する会社の両方にとって主要な目的であることを示している。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的の1つは、工業用ガス、特に窒素と酸素の分離のために、ゼオライト化バインダーを有するLiLSXなどの既存のゼオライト吸着材料と比較して高い吸着量を有するゼオライト吸着材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
現在では、(V)PSAによる工業用ガスの非極低温分離のため、特に窒素と酸素(N2/O2)の分離のため、特に大気からの医用酸素の調製のために、また(V)PSAによる酸素の工業的調製のために、リチウムを含むLSXゼオライト結晶から高容量ゼオライト吸着材料の製造が可能であることが見出されている。
【0015】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、以下のゼオライト吸着材料に関する:
-0.5μm~20.0μmの範囲に含まれる数平均径(d50)について6.0~20.0の範囲(両限界値を含む)に含まれるピーク幅(2σ)を特徴とする粒径分布を有するLSXゼオライト結晶に基づき、
-1.00~1.15の範囲(両限界値を含む)に含まれるSi/Al原子比を有し、
-Li2Oの重量で表されるリチウム含有量が、ゼオライト吸着材料の全重量に対して9重量%~12重量%の範囲に含まれ、及び
-非ゼオライト相(NZP)が、ゼオライト吸着材料の全重量に対して0<NZP≦8重量%となるような含有量で含まれる。
【0016】
本発明のゼオライト吸着材料の基礎を形成するLSXゼオライト結晶は、1.00±0.05のSi/Al原子比(限界を含む)を有する。
【0017】
本発明のゼオライト吸着材料の結晶の粒径分布は、ガスの分離に望ましい高容量を達成することを可能にするパラメータの1つであることが見出された。
【0018】
したがって、粒径分布は、典型的には6.0~20.0、好ましくは8.0~18.0、より具体的には9.0~17.0、最も好ましくは10.0~16.0の範囲(両限界値を含む)に含まれるピーク幅(2σ)を有するガウス分布である。この粒径分布は、0.5μm~20.0μm、好ましくは1.0μm~15.0μm、より好ましくは4.0μm~12.0μmに含まれるLSXゼオライト結晶の数平均径(d50)によっても特徴付けられる。
【0019】
さらに、上で示したように、ゼオライト吸着材料はNZPと呼ばれるある量の非ゼオライト相を含み、前記量は、ゼオライト吸着材料の総重量に対して、XRDによって測定して、好ましくは0<NZP≦6%、より好ましくは0.5%≦NZP≦4%である。
【0020】
ゼオライト吸着材料中に存在し得る異なるタイプのゼオライトは、XRDによって決定される。ゼオライトの総量もまた、XRDによって測定され、吸着材料の総重量に対する重量%で表される。
【0021】
したがって、本発明において、「非ゼオライト相」(または「NZP」)という用語は、「ゼオライト相」または「ZP」と呼ばれる、前記ゼオライト吸着材料中に存在するゼオライトまたはゼオライト以外の、本発明によるゼオライト吸着材料中に存在する任意の相を意味する。非ゼオライト相の量は吸着剤のゼオライト相の100%に対する残りによって、すなわち、以下の式に従って表される:
%NZP=100-%ZPであり、%NZPはゼオライト吸着材料の全重量に対する、非ゼオライト相の重量百分率を表し、%ZPはゼオライト相の重量百分率を表す。
【0022】
したがって、上述のように、本発明によるゼオライト吸着材料のNZPは、0<NZP≦8%、好ましくは0<NZP≦6%、より好ましくは0.5%≦NZP≦4%である。
【0023】
本発明の文脈において使用することができるゼオライト吸着材料はビーズ、押出物または他の形態のいずれであっても、一般に、体積平均直径、または7mm以下、好ましくは0.05mm~7mm、より好ましくは0.2mm~5mmの範囲に含まれる平均長さ(球形でない場合には最大寸法)を有する。
【0024】
本発明の文脈で使用されるゼオライト吸着材料はまた、それらが想定されている用途に特に適している、以下のいずれかの機械的性質を有する。
・規格ASTM 7084-04に従って測定されたバルク破砕強度(BCS)が、体積平均直径(d50)、または1mm未満の長さ(材料が球形ではない場合の最大寸法)の材料に対して、1.5MPa以上、好ましくは2.0MPa以上、好ましくは2.5MPa以上である。
・規格ASTM D 4179(2011)及びASTM D 6175(2013)に従って測定された粒子破砕強度が、体積平均直径(d50)または1mm以上の長さ(材料が球形ではない場合の最大寸法)の材料に対して、0.5daN以上30daN以下、好ましくは1daN以上20daN以下の範囲に含まれる。
【0025】
より具体的には本発明の好ましい実施形態によれば、ゼオライト吸着材料は0.05~5mmの範囲に含まれる体積平均直径を有するビーズの形態をとる。より好ましくは、より具体的には医療用酸素調製用途ではこの体積平均直径が0.05mm~1.0mm、さらにより好ましくは0.15mm~0.65mm、最も好ましくは0.25mm~0.55mmの範囲に含まれる。工業用ガスの分離などの用途では、この体積平均直径は、より具体的に、また、より一般的には1.0mm~5.0mmの範囲に含まれ得る。
【0026】
本発明のゼオライト吸着材料の他の好ましい特性はその見掛け密度であり、これは、一般に0.58kg/m-3~0.80kg/m-3、好ましくは0.60kg/m-3~0.75kg/m-3、より好ましくは0.62kg/m-3~0.70kg/m-3である。
【0027】
本発明はまた、以下の工程を含む、本発明によるゼオライト吸着材料の調製方法に関する:
a/凝集バインダー及びシリカ源を用いてLSXゼオライト結晶を凝集させ、その後、凝集した結晶を成形し、乾燥させ、焼成する
b/塩基性アルカリ溶液の作用によるバインダーのゼオライト化
c/工程b/で得られた生成物の交換可能な部位のカチオンの大部分をリチウムカチオンで置換し、続いて、このように処理された生成物を洗浄し、乾燥させる
及び
d/任意の乾燥、及び得られたゼオライト吸着材料の活性化。
【0028】
上述の方法の工程a/で使用されるLSXゼオライトは先に示したように、1.00±0.05(両限界値を含む)のSi/Al原子比を有するフォージャサイト型ゼオライトであり、その粒径分布は、典型的には6.0から20.0、好ましくは8.0から18.0、最も好ましくは10.0から16.0の範囲に含まれるピーク幅(2σ)を有するガウス分布であり、結晶の数平均直径(d50)は、0.5μmから20.0μm、好ましくは1.0μmから15.0μm、より好ましくは4.0μmから12.0μmの範囲に含まれる。
【0029】
これらのゼオライト結晶は当業者に知られている任意の手段によって調製することができ、例えば、結晶化が低剪断または僅かな剪断撹拌、典型的には20s-1未満、好ましくは15s-1未満、より好ましくは10s-1未満の剪断速度で行われることを除いて、FR2925478に記載されているものと同様の方法によって得ることができる。
【0030】
上記の調製方法において、示された量の全ては、導入された各成分について測定された強熱減量(LOI)を差し引いた後、焼成当量、すなわち、重量または質量パーセントで表される。この工程a/では、例えばUS5464467に記載されているように、希土類と少なくとも部分的に交換されたLSXゼオライトの結晶を使用することも可能である。
【0031】
LXSゼオライト結晶の重量は一般に、工程a/の終わりに得られた前記生成物の全重量に対して75~90重量%の範囲に含まれ、ゼオライト化可能な粘土の量は一般に、工程a/の終わりに得られた前記生成物の全重量に対して5~25重量%の範囲に含まれる。
【0032】
シリカ源は、工程a/の終わりに得られた前記生成物の全重量に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.2~6重量%の量で添加される。使用することができるシリカ源はそれ自体知られている任意のタイプのものであり、例えば、固体シリカ、コロイドシリカ、ケイ酸ナトリウム、及び当業者に周知の他の源である。
【0033】
ステップa/における成形は、当業者に周知の技術に従って行われる。同様に、乾燥及び焼成は、当業者によく知られている従来の説明に従って行われる。したがって、乾燥は、典型的には50℃~200℃の範囲に含まれる温度で行われる。焼成は当業者に知られている任意の焼成方法によって行うことができ、例えば、限定されるものではないが、焼成は特に酸素、窒素、空気、乾燥及び/または脱炭酸空気、任意選択で乾燥及び/または脱炭酸することができる酸素枯渇空気などのガスを用いて、1つまたは複数の、200℃を超える温度、典型的には250℃~700℃、好ましくは300℃~650℃の範囲に含まれる温度で、数時間、例えば2~6時間、酸化及び/または不活性ガスの流れの下で行うことができる。
【0034】
工程a/で使用される凝集バインダーは当業者に知られている任意のタイプのものであってよく、好ましくは凝集バインダーの総重量に対して少なくとも80重量%のゼオライト化可能な粘土(「ゼオライト化可能部分」と呼ばれる)を含有する。
【0035】
用語「ゼオライト化可能な粘土」は、アルカリ性塩基性溶液の作用によって、当業者に現在周知の技術によってゼオライト質に変換することができる粘土または粘土の混合物を指す。
【0036】
本発明の文脈で使用することができるゼオライト化可能な粘土は典型的にはカオリナイト、ハロイサイト、ナクリライト、ジカイト、カオリン及び/またはメタカオリンのクラスに属し、上記のように、それにシリカ源を添加することもできる。
【0037】
例えば、アタパルジャイト、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、及びその他から選択される粘土などの、これらに限定されないが、1つまたは複数の他のタイプの非ゼオライト化可能な粘土を組み込むことも可能である。しかし、この実施形態は好ましくない。
【0038】
また、凝集工程a/において、特に、成形を容易にする目的で、及び/または機械的安定性、多孔性プロファイルなどの特定の特性を凝集材料に付与する目的で、1つ以上の有機添加剤を組み込むことも可能である。これらの添加剤は当業者に周知であり、工程a/の終わりに得られる前記生成物の全重量に対して0~5重量%の範囲に含まれる量で組み込むことができる。
【0039】
ゼオライト化工程b/の手段により、バインダーに含まれるゼオライト化可能な粘土の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%がゼオライト室に変換され、ゼオライト化により、特に凝集ゼオライト吸着剤の機械的強度を高めることができることが分かる。
【0040】
ゼオライト化は凝集物をアルカリ性塩基性溶液、一般的には水溶液、例えば水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムの水溶液に、好ましくは0.5Mより高い濃度で浸漬することによって行うことができる。前記濃度は、一般に5M未満、好ましくは4M未満、有利には3M未満である。ゼオライト化は、本方法の動力学を改善し、それにより、浸漬時間を8時間未満に短縮するために、好ましくは高温(周囲温度よりも高い温度)で、典型的には80℃~100℃のオーダーの温度で行われる。しかし、より低い温度及びより長い浸漬時間での操作は、本発明の範囲外ではない。このゼオライト化工程の間に、塩基性アルカリ溶液、例えばケイ酸ナトリウムまたは溶解シリカに固体または液体シリカ源を添加することも本発明の範囲外ではない。
【0041】
この手順によれば、上記のように、バインダー中に存在するゼオライト化可能な粘土の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%のゼオライト化を得ることが容易である。次の工程は水で洗浄し、続いて乾燥させることである。
【0042】
工程b/で得られた生成物の交換可能な部位のカチオンをリチウムカチオンで置換する工程c/は同様に当業者に周知であり、例えば特許EP0893157に記載されている方法に従って実施される。
【0043】
本出願において、「交換可能な部位」とは、LSXゼオライト結晶中の交換可能な部位の全て、及びバインダーのゼオライト化の間に形成される交換可能な部位をいう。本発明の好ましい実施形態では、本発明のゼオライト吸着材料中のリチウム含有量(酸化リチウムLi2Oとして表される)がゼオライト吸着材料の全重量に対して9重量%~12重量%の範囲に含まれるように、リチウム交換が行われる。
【0044】
リチウム陽イオンとの交換に加えて、元素の周期表の第1A族、第IIA族、第IIIA族及び第IIIB族(それぞれ、第1、第2、第13及び第3列)からの1つ以上の他の陽イオンとの交換を行うことが可能であるだけでなく、ランタニドまたは希土類の列、亜鉛(II)イオン、銅(II)イオン、クロム(III)イオン、鉄(III)イオン、アンモニウムイオン及び/またはヒドロニウムイオンからの1つ以上の他の3価イオンとの交換を行うことも可能である。
【0045】
本発明によるゼオライト吸着材料を得る方法の最後の工程である活性化工程(工程d/)の目的は、吸着剤の含水量及び強熱減量を最適限界内に固定することである。一般的な手順は熱活性化であり、これは、好ましくは300℃~600℃で特定の時間、典型的には1~6時間、所望の含水量及び発火時の所望の損失に応じて、及び吸着剤の意図される使用に応じて行われる。
【0046】
本発明によるゼオライト吸着材料は、空気中のガスを分離するための窒素吸着材料として、及び水素を精製するための優れた窒素吸着剤及び/または一酸化炭素吸着剤として特に有利に使用することができる。
【0047】
本発明によるゼオライト吸着剤物質は、25℃、1バールで測定して、24Ncm3/g-1より大きく、好ましくは25Ncm3/g-1より大きく、より好ましくは26Ncm3/g-1より大きく、典型的には26.5Ncm3/g-1より大きく、さらにより好ましくは27Ncm3/g-1より大きい窒素(N2)吸着量を有することが最も多い。
【0048】
工業用ガスのN2/O2分離及び医用酸素製造装置におけるN2/O2分離のための、PSA、VSA又はVPSA法、好ましくはPSA又はVPSA法が最も多い。
【0049】
したがって、本発明によるゼオライト吸着材料は、呼吸補助のための酸素濃縮器における吸着要素として特に有利な用途を見出す。本発明の特に有利な態様によれば、本発明によるゼオライト吸着材料は呼吸補助のために酸素濃縮器に挿入することができるゼオライト吸着剤の消耗カートリッジの活性物質を構成し、この濃縮器は交互に輸送可能であり、移動可能であり、好ましくは携帯可能である。
【0050】
ゼオライト吸着剤の消耗カートリッジは、呼吸補助のための酸素濃縮器への容易な挿入及び交換に適した任意の形態を有することができる。一実施形態によれば、前記カートリッジは、少なくとも1つの樹脂、好ましくは熱可塑性ホモポリマー及び/またはコポリマー及び重縮合体から選択されるポリマー樹脂を用いて相互凝集性であるビーズの形態で、本発明によるゼオライト吸着材料から製造することができる。
【0051】
このようなポリマー樹脂の非限定的な例はポリオレフィン、特に、低密度及び/または高密度及び/または超高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリアクリル、アクリロニトリルホモ-及び/またはコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレートコポリマー及び/またはメタクリレートコポリマー、ポリスチレン及び/またはスチレンコポリマー、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ハロゲン化ポリマー及びコポリマー、例えば、ポリ(ビニリデンジフルオリド)(PVDF)ポリマー、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)ポリマー及び/またはコポリマー、ポリアミド、例えば、ポリアミド-11及びポリアミド-12、並びに他の偶数及び奇数番目のポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂など、並びにこれらの2つ以上の任意の割合の混合物。
【0052】
変形例として、消耗カートリッジはゼオライト吸着材料に加えて、またはゼオライト吸着材料の代わりに、本発明によるゼオライト吸着材料の固定床を含むことができる。
【0053】
さらに別の態様によれば、本発明は上述したように、少なくとも1つのゼオライト吸着材料、または少なくとも1つの固定吸着床、または少なくとも1つの複合材料、または少なくとも1つのカートリッジを含む、可搬式、移動式、好ましくは携帯可能で呼吸補助用酸素濃縮器に関する。
【0054】
本発明によるゼオライト吸着材料は、現在入手可能な吸着材料よりも良好な体積効率を有することが観察されている。この容積効果の増大は多くの利点を提供し、その主な利点の1つは、装置、特に呼吸補助用酸素濃縮器のサイズの縮小を可能にすることである。
【0055】
より詳細には本発明によるゼオライト吸着材料が非ゼオライト化バインダーを有する公知の市販の吸着材料より窒素(N2)吸着の体積容量が優れているだけでなく、従来技術、例えば特許EP0893157で知られているゼオライト化バインダーを有する吸着材料よりも窒素(N2)吸着の体積容量が優れている。
【0056】
本発明によるゼオライト吸着材料はまた、結晶の特定の粒径分布に起因する高い凝集体密度と組み合わされた高い吸着量の二重の利点を有し、これは、高度のコンパクトさを得ることを可能にする。さらに、本発明によるゼオライト吸着材料は、非常に良好な機械的特性、特に非常に高いバルク破砕強度(BCS)を有する。
【0057】
本発明によるゼオライト吸着材料の物理的特性は、当業者に知られている方法によって評価され、そのうちの主要なものは以下に列挙される。
【0058】
本発明のゼオライト吸着材料を作製するために用いたLSXゼオライト結晶の数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により推定した。
【0059】
試料上のゼオライト結晶のサイズを推定するために、1組の画像を少なくとも5000倍の倍率で撮影する。次いで、専用ソフトウェア、例えば、LoGraMiによって公開されたSmile Viewソフトウェアを使用して、少なくとも200個の結晶の直径を測定する。精度は3%のオーダーである。
【0060】
各結晶について記録されるサイズは、当該結晶の最大断面のサイズである。ゼオライト吸着材料中に存在する可能性のある0.5μm未満のサイズを有する粒子は、計数において考慮されない。
【0061】
得られた粒径分布は、各画像について観察された粒径分布の平均に等しい。ピーク幅及び数平均直径は、ガウス分布の統計的規則を適用して、当業者に知られている従来の方法によって計算される。
【0062】
本発明のゼオライト吸着材料の平均体積直径(または「体積平均直径」)は、サンプルがカメラレンズの前を通過することを可能にするコンベヤベルトを使用して、標準ISO 13322-2:2006に従って画像化することによって、吸着材料のサンプルの粒子サイズ分布の分析によって決定される。
【0063】
次いで、標準ISO 9276-2:2001を適用することにより、粒子サイズ分布から体積平均直径を計算する。本明細書では、用語「体積平均直径」または「サイズ」がゼオライト吸着体材料に使用される。精度は、本発明のゼオライト吸着材料のサイズ範囲に対して0.01mmのオーダーである。
【0064】
本発明によるゼオライト吸着材料の元素化学分析は、当業者に知られている様々な分析技術に従って行うことができる。これらの技術には、波長分散分光計(WDXRF)、例えばBrukerからのTiger S8での標準NF EN ISO 12677:2011に記載されているようなX線蛍光による化学分析の技術が含まれる。
【0065】
蛍光X線は、試料の元素組成を確立するためにX線の分野における原子のフォトルミネセンスを使用する非破壊スペクトル技術である。一般にX線ビームまたは電子衝撃による原子の励起は、原子の基底状態に戻った後に特定の放射を生成する。各酸化物について較正した後、従来の方法で0.4重量%未満の計測の不確実性が得られる。
【0066】
他の分析方法は、例えば、Perkin Elmer 4300DV型装置上の標準NF EN ISO 21587-3またはNF EN ISO 21079-3に記載されている、原子吸光分析(AAS)及び高周波誘導プラズマ(ICP-AES)を用いる原子発光分光分析による方法によって例示される。
【0067】
蛍光X線は、元素の化学的組合せにほとんど依存しないという利点を有し、これは、定量的及び定性的の両方の正確な決定を提供する。各SiO2及びAl2 O2酸化物、並びに種々の酸化物(例えば、交換可能なカチオンに由来するもの、例えば、ナトリウムから生じる酸化物)についての校正の後、0.4質量%未満の計測の不確実性が、従来通りに得られる。ICP-AES法は、酸化リチウム含有量を計算することを可能にするリチウム含有量の測定に特に適している。
【0068】
このように、上記の元素化学分析により、ゼオライト吸着材料に用いられるゼオライトのSi/Al比とゼオライト吸着材料のSi/Al比の両方を検証することができる。本発明の説明では、Si/Al比の計測の不確実性は±5%である。吸着材料中に存在するゼオライトのSi/Al比は、固体シリコン核磁気共鳴(NMR)分光法によっても測定することができる。
【0069】
イオン交換の質は、交換後のゼオライト吸着材料中の当該カチオンのモル数に関連する。より具体的には、所与のカチオンによる交換の程が前記カチオンのモル数と交換可能なカチオンの全てのモル数との比を評価することによって推定される。各カチオンのそれぞれの量は、対応するカチオンの化学分析によって評価される。例えば、ナトリウムイオンによる交換の程度はNa+カチオンの総数と交換可能なカチオンの総数(例えば、Ca2+、K+、Li+、Ba2+、Cs+、Na+など)との間の比率を評価することによって推定され、カチオンの各々の量は、対応する酸化物(Na2+ O、CaO、K2+ O、BaO、Li2+ O、Cs2Oなど)の化学分析によって評価される。この計算方法は、ゼオライト吸着材料の残留バインダー中に存在する可能性のある酸化物も考慮に入れる。しかし、このような酸化物の量は、本発明によるゼオライト吸着材料のゼオライトの交換可能な部位の陽イオンに由来する酸化物と比較して少ないと考えられる。
【0070】
本発明に記載されるゼオライト吸着材料のバルク破砕強度は、標準ASTM 7084-04に従って特徴付けられる。破砕に対する粒子の機械的強度は、Vinci Technologiesにより販売されている「grain crushing strength(粒子破砕強度)」装置を用いて、ASTM D 4179及びD 6175規格に従って測定される。
【0071】
本発明によるゼオライト吸着材料の見掛け密度は、標準DIN 8948/7.6に記載されているように測定される。
【0072】
本発明によるゼオライト吸着材料の強熱減量は標準NF EN 196-2(2006年4月)に記載されているように、空気中で950℃±25℃の温度で試料を焼成することによって、酸化性雰囲気中で測定される。測定標準偏差は0.1%未満である。
【0073】
本発明のゼオライト吸着材料中のゼオライトの純度は、頭字語XRDによって当業者に知られているX線回折分析によって評価される。この同定は、Bruker XRD装置で行う。
【0074】
この分析は、各ゼオライトが回折ピークの位置及びそれらの相対強度によって規定される独特の回折図形を有するので、吸着剤材料中に存在する種々のゼオライトを同定することを可能にする。
【0075】
ゼオライト吸着材料を粉砕し、次いで、単純な機械的圧縮によってサンプル担体上に広げ、平滑化する。Bruker D5000装置で作成された回折図形を取得する条件は、以下の通りである:
・ 40kV~30mAで使用されるCu管;
・ スリットサイズ(発散スリット、散乱スリット、分析スリット)=0.6mm;
・ フィルター:Ni;
・ 15rpm-1で回転する試料装置;
・ 測定範囲:3°<2θ<50°;
・ 増分:0.02°;
・ 1増分当たりの計数時間:2秒。
【0076】
得られた回折図の解釈は、EVAソフトウェアを用いて行われ、ICDD PDF-2データベース、バージョン2011を用いてゼオライトを同定する。
【0077】
FAUゼオライト画分の量は、重量で、XRD分析によって測定される;この方法はまた、FAU以外のゼオライト画分の量を測定するために使用される。この分析をBruker機で行い、次いで、BrukerからのTOPASソフトウェアを用いてゼオライト画分の重量による量を評価する。
【0078】
ゼオライト吸着材料の25℃、1バール下での吸着量は、25℃での窒素または酸素などのガスの吸着等温線の測定から決定される。
【0079】
吸着前に、ゼオライト吸着材料を300~450℃で9~16時間減圧下(6.7.10-4Pa未満)で脱気する。次いで、吸着等温線の測定を、MicromeriticsからのASAP 2020などの機械で行い、0.001と1との間の比P/P0の相対圧力で少なくとも10の圧力測定点をとる。
【0080】
ゼオライト吸着材料の吸着量は、25℃、1バールでの等温線について読み取られ、Ncm3 g-1で表される。
【0081】
ゼオライト吸着材料の25℃での1バール未満での体積吸着量は、前記吸着量に前記ゼオライト吸着材料の見掛け密度を乗じることによって、上記で定義した吸着量から計算される。見掛け密度は、標準DIN 8948/7.6に記載されているように測定される。
【0082】
次に、本発明を以下の実施例を用いて説明するが、その目的は添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することなく、本発明の特定の実施形態を例示することである。
【0083】
実施例1(比較例):FR2925478による、2σ=1.2及びd50=1.3μmのLSX結晶を有するゼオライト吸着材料の調製
【0084】
以下の実施例では、与えられた質量が焼成当量として表される。
【0085】
FR2925478に記載されているとおりに、2σ=1,2、d50=1,3μmのLSXゼオライト結晶1700g、せん断速度135s-1、300gのカレントカオリナイト、及び成形前のペーストの強熱減量が39%であるような量の水からなる均一混合物を調製する。このようにして調製されたペーストは、凝集したゼオライト吸着材料のビーズを製造するために造粒機プレート上で使用される。
【0086】
得られたビーズは0.3mm~0.8mmの範囲に含まれる直径及び0.50mmの体積平均直径を有するビーズを回収するために、ふるい分けによって選択される。
【0087】
ビーズを通気オーブン中80℃で一晩乾燥させる。次いで、これらを脱炭酸乾燥空気流下、550℃で2時間焼成する。
【0088】
冷却後、これらの(凝集した)ビーズ100gを、濃度100g/L-1の水酸化ナトリウム水溶液750mLに、98℃に設定した温度で浸漬する。系を穏やかに撹拌しながら3時間その温度に保持する。次いで、凝集物を、洗浄水の最終pHが10に近くなるまで水で洗浄する。
【0089】
次に、1M塩化リチウム溶液を固形分20ml/g-1の比率で、5回の連続交換を行う。各交換を100℃で4時間続け、中間洗浄を行い、各工程で過剰の塩を除去することができる。最終工程では、4回の洗浄を室温で20mL/g-1の比率で行う。
【0090】
ビーズを通気オーブンにおいて80℃で一晩乾燥させる。次いで、これらを脱炭酸乾燥空気のブランケット下において550℃で2時間活性化する。
【0091】
ICP-AESによって測定された酸化リチウムLi2O含有量は、ゼオライト吸着材料の全重量に対して10.6重量%である。ビーズの体積平均直径は0.50mmである。リチウム交換LSXゼオライトのビーズの機械的バルク破砕強度は1.4MPaであり、見掛け密度は0.58kg/m-3であり、ゼオライト材料のSi/Al比率は1.02であり、NZPは3%である。25℃、1バールでの吸着量は24.7Ncm3 g-1である。
【0092】
実施例2:2σ=11.6でd50=5.6μmのLSX結晶を有するゼオライト吸着材料の調製
【0093】
せん断速度を5s-1とすることを除いて、FR2925478に記載されているとおりに、2σ=11.6及びd50=5.6μmのLSXゼオライト結晶1700g、、Charentesカオリナイト300g、Klebosol5030という名称で販売されているコロイド状シリカ40g(焼成当量として)、及び成形前のペーストの強熱減量が39%となるような水分からなる均質混合物を調製する。
【0094】
ゼオライト吸着材料は、実施例1に記載されたプロトコルに従って、続いて調製される。
【0095】
ICP-AESによって測定された酸化リチウムLi2O含有量は、ゼオライト吸着材料の全重量に対して10.7重量%である。ビーズの体積平均直径は0.50mmである。リチウム交換LSXゼオライトのビーズの機械的バルク破砕強度(BCS)は2.6MPaであり、見掛け密度は0.63kg/m-3であり、ゼオライト材料のSi/Al比率は1.03であり、NZPは2.7%である。
【0096】
25℃、1バールでの吸着量は27Ncm3g-1であった。
実施例3:圧力スイング吸着(PSA)を有する吸着剤の固定床でのN2/O2分離試験
N2/O2分離試験は、EAlpay et al、Chemical Engineering Science、49(18)、3059-3075、(1994)による「急速圧力スイング吸着による空気の分離における吸着剤粒径の影響」に提示された原理に従い、単一カラムにおいて吸着させることによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】
図1は、製造されたアセンブリを示す。ゼオライト吸着材料(2)を充填した内径27.5mm、内部高さ600mmの塔(1)に、バルブ(4)を用いて乾燥空気(3)を断続的に供給する。カラム(1)に流れ(3)を供給する時間を吸着時間と呼ぶ。カラム(1)に乾燥空気が供給されない場合、流れ(3)はバルブ(5)によって大気中に放出される。ゼオライト吸着材料は酸素富化空気が逆止弁(6)を介してカラムから出て、緩衝タンク(7)に移動するように、窒素を優先的に吸着する。調節弁(8)は、1NL/min
-1に固定された一定流量で出口(9)にガスを連続的に送出する。
【
図2】
図2は、実施例1及び実施例2の材料について設定された脱着時間に従って、出口(9)で生成された流れの酸素含有量を示す。実施例2の材料は、製造されたガスの酸素含有量に関して、実施例1の固体よりもはるかに有効であることが証明されている。
【0098】
カラム(1)が供給されない場合、すなわち、バルブ(4)が閉鎖され、バルブ(5)が開放されている場合、カラム(1)は、脱着時間と呼ばれる期間に、バルブ(10)によって大気(11)に減圧される。吸着相及び脱着相は互いに続く。これらの位相の持続時間は、1つのサイクルから次のサイクルまで固定され、調整可能である。表1に、吸着相・脱着相に応じた各バルブの状態を示す。
【0099】
【0100】
カラム(1)が供給されない場合、すなわち、バルブ(4)が閉鎖され、バルブ(5)が開放されている場合、カラム(1)は、脱着時間と呼ばれる期間に、バルブ(10)によって大気(11)に減圧される。吸着相及び脱着相は互いに続く。これらの位相の持続時間は、1つのサイクルから次のサイクルまで固定され、調整可能である。表1に、吸着相・脱着相に応じた各バルブの状態を示す。
【0101】
試験は、実施例1及び実施例2のゼオライト吸着材料を用いて連続して実施される。カラムに、それぞれ219g及び228.5gの吸着剤材料を一定の容量で充填する。入口における圧力は、相対的に280kPaに設定される。
【0102】
出口における流速は、1NL/min-1に設定される。吸着時間は1sとした。吸着時間は、2sから4.5sまで変化する。
【0103】
出口(9)における酸素濃度を、Servomex 570A酸素分析器を用いて測定する。