(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】セネカウイルスA免疫原性組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
C12N 7/04 20060101AFI20220603BHJP
C12N 15/41 20060101ALI20220603BHJP
A61K 39/125 20060101ALI20220603BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C12N7/04
C12N15/41 ZNA
A61K39/125
A61P31/14
(21)【出願番号】P 2019571437
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(86)【国際出願番号】 US2018041321
(87)【国際公開番号】W WO2019014144
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2019-12-24
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519064665
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム アニマル ヘルス ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】イヤー アルン ヴィー
(72)【発明者】
【氏名】パターソン アビー レイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリア ジョセフ ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン エリック マーティン
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス ルイス アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ ジェニファー エル
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-533988(JP,A)
【文献】Virology,2016年,Vol. 497,p. 111-124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 7/00 - 7/08
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲノムに、以下の(a)から(e)に記載のリボ核酸配列のいずれかを含む、殺滅/不活化された、セネカウイルスA(SVA):
(a)配列番号:1および配列番号:2からなる群から選択される配列;
(b)配列番号:
1の配列
と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の配列同一性を有する
SVAのゲノム配列
、または配列番号:2の配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の配列同一性を有するSVV抗原をコードする配列;
(c)配列番号:
3のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする配列;
(d)配列番号:3の配列
と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する
SVV抗原をコードする配列;
(e)(a)から(d)の配列のいずれかの相補鎖。
【請求項2】
セネカウイルスA(SVA)が対象動物における感染、特に臨床徴候を有する対象動物における感染を誘導することができ、前記臨床徴候は、特発性水疱性疾患、水疱性疾患であって例えば鼻、口の粘膜におよび/または皮膚と蹄壁が接触する接合部分(蹄冠帯)に存在する開放性もしくは閉鎖性疱疹または病巣、爪床出血、蹄冠帯のまたは蹄冠帯周辺の発赤および腫脹を伴う突発的/急性歩行不全、蹄冠帯の潰瘍形成および蹄の脱落;並びに繁殖雌の突発的摂食停止、無気力、食欲不振および/または約40.6℃(105°F)までの発熱からなる群から選択される、そのような感染に関連するか、または、そのような感染によって引き起こされる徴候であり、
好ましくは対象動物がブタである、請求項1に記載の殺滅/不活化された、セネカウイルスA(
SVA)。
【請求項3】
(a)請求項1又は2に記載のセネカウイルスA(SVA)を含み、場合によってさらにまた少なくとも1つのアジュバントを含むワクチン。
【請求項4】
請求項3に記載のワクチンであって、医薬として使用され、好ましくはセネカウイルスA(SVA)感染に対して対象動物を予防および/または治療する方法で使用されるか、またはセネカウイルスA(SVA)感染に対して免疫応答を対象動物で惹起する方法で使用され、前記方法が、請求項3に記載のワクチンを対象動物に投与する工程を含み、より好ましくは、対象動物がブタである、前記ワクチン。
【請求項5】
請求項3に記載のワクチンであって、セネカウイルスA(SVA)感染に関連するかまたは前記によって引き起こされる1つ以上の臨床徴候の発生もしくは重篤性を対象動物で軽減する方法で使用され、前記臨床徴候が、好ましくは特発性水疱性疾患、水疱性疾患であって例えば鼻、口の粘膜におよび/または皮膚と蹄壁が接触する接合部分(蹄冠帯)に存在する開放性もしくは閉鎖性疱疹または病巣、爪床出血、蹄冠帯のまたは蹄冠帯周辺の発赤および腫脹を伴う突発的/急性歩行不全、蹄冠帯の潰瘍形成および蹄の脱落;並びに繁殖雌の突発的摂食停止、無気力、食欲不振および/または約40.6℃(105°F)までの発熱からなる群から選択され、より好ましくは対象動物がブタである、前記ワクチン。
【請求項6】
セネカウイルスA(SVA)感染に関連する疾患に対して対象動物をワクチン接種するため、および/またはセネカウイルスA(SVA)感染に関連するかまたは前記感染によって引き起こされる1つ以上の臨床徴候の発生もしくは重篤性を対象動物で軽減するためのキットであって、
(a)ワクチンを対象動物に投与できるディスペンサー;および(b)請求項3に記載のワクチン;および(c)場合によって指示小冊子を含み、好ましくは対象動物がブタである、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)本出願は、37 C.F.R. 1.821-1.825に従い配列表を含む。本出願に付随する当該配列表は、参照によってその全体が本明細書に含まれる。
(技術分野)
本発明はセネカバレーウイルスAまたはセネカウイルスA(SVA)およびセネカウイルスA罹患動物の治療のための免疫原性組成物またはワクチンとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
SVAは、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)のエンベロープをもたない一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。口蹄疫ウイルス(FMDV)およびブタ水疱性疾患ウイルス(SVDA)もまたピコルナウイルス科のメンバーである。
本ウイルスはもともと細胞培養培地の夾雑物として発見された(Hales, L.M., et al., Complete genome sequence analysis of Seneca Valley virus-001, a novel oncolytic picornavirus. J Gen Virol, 2008. 89(Pt 5), 1265-75(前記文献は参照によってその全体が本明細書に含まれる))。しかしながら、当該ウイルスに対する中和抗体がブタ、ウシ、ネズミおよびヒトで検出された(Knowles, N.J., et al., Epidemiology of Seneca Valley Virus: Identification and Characterization of Isolates from Pigs in the United States, in The Northern Lights EUROPIC 2006 - 14th meeting of the European Study Group on the Molecular Biology of Picornaviruses. 2006: Saairselka, Inari, Finland(前記文献は参照によってその全体が本明細書に含まれる))。報告されている感染後の臨床徴候には、鼻および蹄冠帯の水疱性病巣、急性歩行不全、蹄冠帯の潰瘍形成、および蹄の脱落が含まれる(Singh, K., et al., Seneca Valley Virus and vesicular lesions in a pig with idiopathic vesicular disease. J Vet Sci Technol, 2012. 3(6) and Pasma, T., S. Davidson, and S.L. Shaw, Idiopathic vesicular disease in swine in Manitoba. CVJ, 2008. 49: p. 84-85(両文献は参照によってその全体が本明細書に含まれる))。2016年に、細胞培養で増殖させたSVA単離株が通常の動物の接種に用いられ接種後4日で水疱性病巣が観察されたとき、コッホの原則は満たされた(Montiel, N., et al., Vesicular Disease in 9-Week-Old Pigs Experimentally Infected with Senecavirus A. Emerg Infect Dis, 2016. 22(7): p. 1246-8(前記文献は参照によってその全体が本明細書に含まれる))。
US 8,039,606は腫瘍治療のためのセネカバレーウイルスの使用を記載している。しかしながら、このセネカバレーウイルスは本発明のSVAとは異なる。
米国、カナダ、オーストラリア、イタリア、ニュージーランドおよびブラジルで説明不能のSVA症例の増加が存在する。さらにまた、FMDVとの臨床徴候類似性のために、本ウイルスは養豚産業にとって重要である。獣医生物製剤センター(CBV)通知16-03は、CBVがSVAウイルスのための生物製剤および/または予防薬の許認可に関心を有することを裏付けた。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、当業界の欠陥を克服する、免疫原性組成物、ワクチンおよび関連する方法を提供する。当該組成物および方法は、SVAのエンベロープを持たない(+)一本鎖RNAウイルスの不活化/殺滅および/または組換え型を含む免疫原性組成物を提供する。特に、本出願は、セネカウイルスA関連疾患に対する防御のためにブタで免疫応答を生じさせるワクチンを提供する。本セネカウイルスA単離株NAC#20150909(配列番号:1、配列番号:2および/または配列番号:3)は、鼻および蹄冠帯に水疱性病巣を示す5ヶ月齢のブタから収集された水疱液から単離された。
本発明の免疫原性組成物およびワクチンは配列番号:1、配列番号:2および/または配列番号:3を含む。
本発明の例示的組成物は、配列番号:3のポリペプチド配列、またはSVAに対して免疫反応性である前記ポリペプチド配列のフラグメントを含む。
本発明の免疫原性組成物およびワクチンはSVA抗原を含み、さらに典型的にはアジュバントを含む。前記SVA抗原は、1つの非限定的な例として昆虫細胞で組換えバキュロウイルスを介して発現され、前記組換えバキュロウイルスは、改変SVA P1、2A、部分的2Bおよび3B、並びに3Cプロテアーゼ、例えばアミノ酸配列(配列番号:19)をコードする改変SVA核酸配列(配列番号:18)を発現する。当該ワクチンはまた、他の成分(例えば保存料、安定化剤および他のブタ病原体に対する抗原)を含むことができる。
【0004】
本発明での使用に適切な好ましいP1-2A-P3核酸配列はP1-2A-P3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドは、配列番号:18、20、22、24、32、および33と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、または89%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、または94%、もっとも好ましくは少なくとも95%、96%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.8%、97.9%、98%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%配列同一性を有する。本明細書で用いられるように、“配列番号:Xとの配列同一性”または“配列番号:Xと同一”という用語は、“配列番号:Xの端から端まで配列番号:Xの配列との配列同一性”または“配列番号:Xの端から端まで配列番号:Xの配列と同一”という用語とそれぞれ等価であり、本文脈で“X”は18、20、22、24、32、および33から選択される任意の整数である。
本発明での使用に適切な好ましいP1-2A-P3ポリペプチドは配列番号:19、21、23、25、27、および29に示される配列を有するポリペプチドであり、前記ポリペプチドは、配列番号:19、21、23、25、27、および29と少なくとも80%相同性、例えば配列番号:19、21、23、25、27、および29と少なくとも85%相同性、例えば配列番号:19、21、23、25、27、および29と少なくとも85%相同性、例えば配列番号:19、21、23、25、27、および29と少なくとも90%相同性、例えば配列番号:19、21、23、25、27、および29と少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%相同性を有する。
【0005】
別の特徴では、本発明は、1つ以上のポリペプチドをコードする核酸配列、抗体構築物、または抗体複合物を提供する。ポリペプチドをコードする遺伝子配列は、配列番号:1または配列番号:2の配列と少なくとも95%、90%、85%、または80%でさえも相同および/または同一である核酸配列、またはSVAと免疫反応するポリペプチドをコードする前記のフラグメントを含む。本発明の例示的核酸配列には、配列番号:1、配列番号:2、およびSVAと免疫反応するポリペプチドをコードする前記のフラグメントの配列のいずれか1つが含まれる。
さらにまた、本明細書で用いられる本発明のポリペプチドには以下を含むポリペプチドが含まれる(ただしそれらに限定されない):
i)配列番号:3のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
ii)i)のポリペプチドと少なくとも80%相同および/または同一であるポリペプチド;
iii)i)および/またはii)のポリペプチドのフラグメント;
iv)i)またはii)のポリペプチド;
v)配列番号:3の配列に含まれる連続する少なくとも5、好ましくは8、より好ましくは10、さらに好ましくは15アミノ酸を含むiii)またはiv)のフラグメント;
vi)配列番号:1または2の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
vii)vi)のポリヌクレオチドと少なくとも80%相同または同一であるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
viii)配列番号:1または配列番号:2の配列に含まれる連続する少なくとも15、好ましくは24、より好ましくは30、さらに好ましくは45ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質フラグメント。
【0006】
本明細書で規定する少なくとも1つ以上のSVAポリペプチドを含む本発明の免疫原性組成物はさらにまた、生理学的に許容できるベヒクル、例えば医薬的または獣医的に許容できる担体、アジュバント、または前記の組合せを含むことができる。
本明細書で提供するSVAポリペプチドのいずれもまたは本明細書で提供するこれらのSVAポリペプチドの1つ以上を含むいずれの免疫原性組成物も、医薬として、好ましくはワクチンまたは免疫原性組成物として、もっとも好ましくはSVA感染に対する対象動物の予防または治療のために用いることができる。
本明細書で用いられる組成物は公知の注射可能な生理学的に許容可能な無菌的溶液を含むことができることは当業者には理解されるであろう。非経口注射または輸液用の使用準備済み溶液の調製のために、等張水溶液(例えば食塩水または血漿タンパク質溶液)を容易に入手することができる。加えて、本発明の免疫原性およびワクチン組成物は、獣医が許容できる担体、希釈剤、等張剤、安定化剤、またはアジュバントを含むことができる。
本発明の方法には対象動物でSVAに対する免疫応答を惹起する方法が含まれる(ただし前記に限定されない)。前記方法は、本明細書で規定する1つ以上のSVAポリペプチドを含む免疫原性組成物を対象動物に投与する工程を含む。本発明の組成物を用いて、SVA感染を治療するか、また別にはSVA感染を防ぐことができる。好ましくは、そのような免疫応答は、複数のSVA血清型感染に関連する、または前記によって引き起こされる1つ以上の臨床徴候の発生または重篤性を軽減する。
【0007】
これに関して、適切な対象動物および本発明の組成物を投与する必要がある対象動物には、ウイルスに関連する感染、疾患もしくは症状の予防または治療の必要がある動物が含まれる。本発明の組成物または方法の使用によって免疫応答が刺激される動物には、家畜(例えばブタ、ウシ、ヤギ、およびヒツジ)が含まれる。好ましい動物には、ブタ類、ネズミ類、ウマ類、ウサギ類およびウシ類が含まれる。もっとも好ましくは、免疫応答はブタで刺激される。
本発明はまた、SVA感染に関連するまたは前記によって引き起こされる1つ以上の臨床徴候の発生または重篤性を軽減する方法を提供し、前記方法は、本発明の免疫原性組成物を投与する工程を含む。前記組成物は、本明細書で提供する1つ以上のSVAペプチドおよび好ましくは担体分子を含み、それによってSVA感染の臨床徴候の発生または重篤性は、本明細書で提供する免疫原性組成物を投与されていない対象動物と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、もっとも好ましくは少なくとも100%軽減する。
そのような臨床徴候は、水疱性疾患、例えば鼻、口の粘膜におよび/または皮膚と蹄壁が接触する接合部分(蹄冠帯)に存在する開放性もしくは閉鎖性疱疹または病巣、爪床出血、蹄冠帯のまたは蹄冠帯周辺の発赤および腫脹を伴う突発的歩行不全、繁殖雌の突発的摂食停止(off feed)、無気力、食欲不振および/または約40.6°C(105°F)に達する発熱を含む。
新生仔ブタ(7日未満)では短期的な(4-10日)死亡率増加が存在するようであり、前記は下痢を伴うことも伴わないこともある。罹患率および死亡率の概数は短期期間について30-70%である。繁殖齢動物の水疱性病巣が観察されるのは通常は新生仔死亡率の増加の精査時である。鼻および蹄冠帯の水疱を生じるブタのこの感染タイプはまたブタの特発性水疱性疾患と称される。
【0008】
さらに別の特徴にしたがえば、本発明はまたSVA感染の予防のための方法に関し(ここで、前記SVA感染はセネカバレーウイルスAによって引き起こされ得る)、前記方法は、本明細書で提供する1つ以上のSVAペプチドを含む本発明の免疫原性組成物を投与する工程を含む。
本発明はまた、本明細書で提供する免疫原性組成物のいずれかを調製する方法を提供する。前記方法は、本明細書で提供する1つ以上のSVAペプチドを担体分子と、好ましくは当該1つ以上のSVAペプチドと担体分子が共有結合的に連結されるか、または互いに複合物化されるように混合する工程を含む。そのような複合物は多価または一価であり得る。多価組成物またはワクチンは複数のSVAペプチドと担体分子との免疫複合物化を含む。さらに別の特徴では、本発明は1つ以上のSVAペプチドを生成する方法を提供する。前記方法は、宿主細胞(好ましくは原核細胞、例えば大腸菌(E. coli))を本明細書で提供するSVAペプチドのいずれかをコードする核酸分子で形質転換する工程を含む。また別には、宿主細胞は、真核細胞(例えば哺乳動物細胞、原生動物細胞、植物細胞または真菌細胞)であり得る。好ましくは、真核細胞は、哺乳動物細胞(例えばCHO、BHKまたはCOS)、または真菌細胞(例えばサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))、または昆虫細胞(例えばSf9)である。
【0009】
本発明の別の特徴は、SVAに対して免疫応答を誘発する1つ以上のSVAペプチドを生成する方法を提供する。前記方法は、本明細書に開示する1つ以上のSVAペプチドをコードおよび発現する形質転換発現ベクターを培養する工程を含む。発現されたタンパク質は発現生物に保持されるか、または培地に分泌される。発現は、SVAに対して免疫応答を誘発することができるSVAペプチドを生成するために十分な条件下で実施される。
改変SVA P1-2A-P3タンパク質を発現する組換えバキュロウイルスにより昆虫細胞で生成される組換え発現P1-2A-P3抗原を生産する方法もまた提供される。ある例示的実施態様では、前記方法は、SVA P1-2A-P3配列をベクターpVL 1393(BD Biosciences)のクローニングおよびSf9昆虫細胞の共同トランスフェクション工程を含む。不活化組換えSVA物質のために、SVAバキュロウイルス採集物を5mM BEIを用いて24時間不活化し、清澄化して0.45μmでろ過した。典型的には、不活化ウイルスを(例えば濃縮および他の成分とのブレンドによって)さらに処理して、市場処方物を生産する。例えば、不活化ウイルスを含む液体を濃縮し、アジュバントおよび/または1つ以上の他のブタの病原体に対する抗原とブレンドすることができる。
本発明の組成物を作製する方法はさらにまた、1つ以上のSVAペプチドまたは不活化全ウイルス調製物および担体分子の複合物を生理学的に許容できるベヒクル(例えば医薬的もしくは獣医的に許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せ)と混合する工程を含むことができる。ベヒクル、アジュバントまたは組合せの選択はデリバリー経路、個人的好みおよびとりわけ動物の種によって決定されることは、当業者には理解されるであろう。
【0010】
別の特徴では、本発明は対象動物でSVA感染を診断する方法を提供する。前記方法は以下を含む:1つ以上のSVAペプチドを提供する工程、当該1つ以上のSVAペプチドを対象動物から入手したサンプルと接触させる工程、および当該1つ以上のSVAペプチドと結合できる抗体が当該サンプルで検出されたら当該対象動物がSVA感染を有すると認定する工程。
別の項目では、本発明は、対象動物が以前にSVA感染に暴露されていること、およびSVAに対する免疫応答を発現できることを確認する方法を提供する。前記方法は以下を含む:1つ以上のSVAペプチドを提供する工程、当該1つ以上のSVAペプチドを対象動物から入手したサンプルと接触させる工程、および当該1つ以上のSVAペプチドと結合できる抗体が当該サンプルで検出されたら当該対象動物がSVA感染を有すると認定する工程。
本発明はまた免疫原性組成物を含むキットを提供し、前記キットは以下を含む:好ましくは担体分子と一緒に1つ以上のSVAペプチド、免疫原性組成物を梱包するための容器、印刷された指示一式、および免疫原性組成物を動物に投与することができるディスペンサー。場合によって、1つ以上のSVAペプチドおよび担体分子は、複合物としてまたは別々の化合物として梱包できる。別々に供給されるときは、1つ以上のSVAペプチドおよび担体分子を複合物化する手段がまた適切な印刷指示とともに供給される。
【0011】
本発明はまた動物にワクチン接種するためのキットを提供し、前記キットは、印刷された指示一式、1つ以上のSVAペプチドを含む本明細書で提供される免疫原性組成物を動物に投与することができるディスペンサーを含み、ここでSVAペプチドの少なくとも1つは、SVA感染に関連する少なくとも1つの疾患に対して動物を効果的に免疫する。好ましくは、1つ以上のSVAペプチドは本明細書で提供されるものから選択される。本発明のキットはさらにまた、獣医的に許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せを含むことができる。
本発明のキットのディスペンサーはその内容物を小滴として分配することができ、さらに、キットに含まれる本明細書提供のSVAペプチドを含む免疫原性組成物は、動物の鼻内、経口的、真皮内(intradermally)、または筋肉内に投与されるとき、SVA感染の少なくとも1つの臨床徴候の重篤性を軽減することができる。好ましくは、臨床徴候の重篤性は、未処置の感染動物と比較して少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも70%、もっとも好ましくは少なくとも100%軽減される。
SVAによって引き起こされる感染の治療または予防の方法もまた開示される。前記方法は、本発明の免疫原性組成物の有効量を対象動物に投与する工程を含み、ここで、前記治療または予防は、SVA感染の徴候の軽減、SVA感染の臨床徴候の重篤性または発生の軽減、対象動物のSVA感染の死亡率の軽減、および前記の組合せからなる群から選択される。
本発明の組成物はさらにまた、獣医的に許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せを含む。そのような組成物はワクチンとして用いることができ、前記は不活化ウイルスを含む。そのようなワクチンは、SVAに関連する少なくとも1つの疾患に対して防御性免疫学的応答を引き出す。
本明細書で用いられる組成物は、公知の注射可能な生理学的に許容できる無菌的溶液を取り込むことができることは当業者には理解されるであろう。非経口注射または輸液用の使用準備済み溶液の調製のために、等張水溶液(例えば食塩水または血漿タンパク質溶液)を容易に入手することができる。加えて、本発明の免疫原性およびワクチン組成物は、医薬的または獣医的に許容可能な担体、希釈剤、等張剤、安定化剤、またはアジュバントを含むことができる。
本発明の方法はまた、本発明の組成物を獣医的に許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せと混合する工程を含むことができる。担体、アジュバントまたは組合せの選択はデリバリー経路、個人的好みおよびとりわけ動物の種によって決定されることは、当業者には理解されるであろう。
【0012】
SVAによって引き起こされる感染の治療または予防の方法もまた開示される。前記方法は、本発明の免疫原性組成物の有効量を対象動物に投与する工程を含み、ここで、前記治療または予防は、SVA感染の徴候の軽減、SVA感染の臨床徴候の重篤性または発生の軽減、動物のSVA感染の死亡率の軽減、および前記の組合せからなる群から選択される。
好ましい投与経路には、鼻内、経口、真皮内および筋肉内が含まれる。筋肉内経路による投与(もっとも好ましくは一用量の投与)が好ましい。本発明の組成物はまた2用量以上で他の投与経路によっても同様に投与され得ることは当業者には理解されるであろう。例えば、そのような他の経路には皮下、皮内(intracutaneously)、静脈内、血管内、動脈内、腹腔内、髄腔内、気管内、皮内、心臓内、乳腺葉内(intralobally)、骨髄内、肺内または膣内が含まれる。所望される治療の持続期間および有効性にしたがって、本発明の組成物を1回または数回(間欠的にもまた)、例えば数日間、数週間または数ヶ月の間に毎日、および異なる投薬量で投与することができる。
本発明はまた動物にワクチン接種するキットを提供し、前記キットは、印刷された指示一式、動物にワクチンを投与できるディスペンサー、およびSVA培養に由来する少なくとも1つの単離株を含む。本発明のキットはさらにまた、獣医的に許容できる担体、アジュバントまたは前記の組合せを含むことができる。
本発明のキットのディスペンサーはその内容物を小滴として分配することができ、さらに、キットに含まれる単離株は、動物の鼻内、経口的、真皮内、または筋肉内に投与されるとき、SVA感染の少なくとも1つの臨床徴候の重篤性を軽減することができる。いくつかのキットでは、単離株はまたSVA感染の少なくとも1つの臨床徴候の重篤性を軽減することができる。好ましくは、臨床徴候の重篤性は未処置の感染動物と比較して少なくとも10%軽減される。
本発明の他の対象、特色および利点は以下の詳細な説明から明白となろう。しかしながら、当該詳細な説明および具体例は好ましい実施態様を提示するが、単に例示として提供されることは理解されるべきである。なぜならば、本発明の趣旨および範囲内で多様な変更及び改変が本詳細な説明から当業者には明白となるからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】バキュロウイルス発現系のSVVP13C構築物設計(A)(配列番号:18)およびSVVP 13C-CO(コドン最適化)構築物設計(B)(配列番号:20)を示す。
【
図2】バキュロウイルス発現系のSVVP1-His-sIRES-SVV3C構築物設計(A)(配列番号:32)およびSVVP1CO-His-sIRES-SVV3C(コドン最適化)構築物設計(B)(配列番号:33)を示す。
【
図3】バキュロウイルス発現系のSVVP13C VP3/VP1構築物設計(A)(配列番号:22)(VP3/VP1切断部位を変異させる)およびSVVP 13CCD構築物設計(B)(配列番号:24)を示す。
【
図4】BaculoFBU/SVVP13C(A)(配列番号:18)およびBaculoFBU/SVVP13C-CO(配列番号:20)上清サンプルをネイティブのSVV抗原と比較したウェスタンブロットを示す。前記ブロットは、抗アルファ-SVV VP1、抗アルファ-SVV VP2および抗アルファ-SVV VP3交差吸収ウサギポリクローナル抗体を用いて検出された。レーンAはタンパク質標準物であり、レーン1はSVVバキュロ採集上清であり、レーン2はSVV抗原(配列番号:3)であり、レーン3はバキュロ採集上清陰性コントロールである。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図5】ネイティブのSVVウイルスのシュクロース分画(A)およびBauloFBU/SVVP13Cのシュクロース分画(B)のウェスタンブロットを示す。前記ブロットは、アルファ-SVV VP1、アルファ-SVV VP2およびアルファ-SVV VP3ウサギポリクローナル抗体を用いて検出された。レーンAはタンパク質標準物であり、レーン1-10はシュクロース分画1-10であり、NはBaculoFBU/No Insert陰性コントロールである。Pは陽性コントロールであるネイティブの不活化SVVであり、Sはシュクロースグラディエントの出発サンプルである。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図6】BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)およびBaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)上清採集物のウェスタンブロットを示す。抗α-SVV VP1(上列)および抗α-SVV VP3(下列)ウサギポリクローナル抗体が用いられた。レーンAはタンパク質標準物であり、レーン1はSVVバキュロ採集上清であり、レーン2はSVV抗原であり、レーン3はバキュロ採集上清陰性コントロールである。
【
図7】BauloFBU/VVP13C VP3/VP1(配列番号:22)シュクロース分画のウェスタンブロットを示す。抗SVV VP1および抗SVV VP3ウサギポリクローナル抗体が用いられた。レーンAはタンパク質標準物であり、NはBaculoFBU/No Insertのネイティブのコントロールである。Pは陽性コントロールであるネイティブの不活化SVV(配列番号:3)であり、SはPBS再懸濁SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)ペレットである。レーン1-9はシュクロース分画1-9である。完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図8】抗SVV VP1、抗SVV VP2および抗SVV VP3ウサギポリクローナル抗体を用いて検出したBauloFBU/VVP13CD(配列番号:24)上清採集物のウェスタンブロットを示す。レーンAはタンパク質標準物であり、レーン1はSVVバキュロ採集上清であり、レーン2はSVV抗原(配列番号:3)であり、レーン3はバキュロ採集上清陰性コントロールである。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図9】抗SVV VP1、抗SVV VP2および抗SVV VP3ウサギポリクローナル抗体を用いたBauloFBU/SVVP13CD(配列番号:24)シュクロース分画のウェスタンブロットを示す。レーンAはタンパク質標準物であり、レーン1はSVVバキュロ採集上清であり、レーンNはBaculoFBU/No Insert陰性コントロールである。Pは陽性コントロールであるネイティブの不活化SVV(配列番号:3)であり、SはTBA再懸濁SVVP13CD(配列番号:25)ペレットである。レーン1-10はシュクロース分画1-10である。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図10】BaculoFBU/SVVP13C(A)(配列番号:18)、BaculoFBU/SVVP13CD(A)(配列番号:24)、およびBaculoFBU/SVVP13CVP3/VP1(B)(配列番号:22)のウェスタンブロットを示す。α-SVV VP1、α-SVV VP2およびα-SVV VP3ウサギポリクローナル抗体を用いた3日目の可溶性分画であり、BaculoFBU/SVVP13CおよびBaculoFBU/SVVP13CDのSDS-PAGEゲルである。レーンA:タンパク質標準物、レーンP:陽性コントロールであるネイティブのSVV抗原、レーン1:3日目の可溶性分画SVVP13C、レーン2:3日目の可溶性分画SVVP13CD、レーン3:3日目の可溶性分画SVVP13CVP3/VP1、およびレーンN:陰性コントロールBaculoFBU/No Insert可溶性分画。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図11】3日目の可溶性BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)、BaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)およびBaculoFBU/SVVP13CVP3/VP1(配列番号:22)のシュクロース分画のウェスタンブロットを示す。抗-アルファ-SVV VP1、抗-アルファ-SVV VP2および抗-アルファ-SVV VP3ウサギポリクローナル抗体が用いられた。レーンAはタンパク質標準物であり、レーンPは陽性コントロールであるネイティブのSVV抗原であり、レーン1-11はシュクロース分画1-11であり、Nは陰性コントロールBaculoFBU/No Insert可溶性分画である。予想されるバンドサイズ:完全長SVV P1=およそ95kDa(配列番号:19、アミノ酸1-859)、VP1=およそ29kDa(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2=およそ32kDa(配列番号:19、アミノ酸73-356)、VP3=および26kDa(配列番号:19、アミノ酸357-595)。
【
図12】試験日およびグループによる最小二乗平均直腸温度(°C)を示す。
【
図13】グループおよび日による、血清1mLにおけるSVA RNAのlog
10ゲノムコピー数のグループ中央値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特段に指定されなければ、本発明の実施には分子生物学、微生物学、組換えDNA技術論、タンパク質化学および免疫学の通常の技術(それらは当業者の技量範囲内である)が用いられるであろう。そのような技術は文献で完全に説明されている。例えば以下を参照されたい(Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. I, II and III, Second Edition(1989);DNA Cloning, Vols. I and II(D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis(M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984);Animal Cell Culture(R. K. Freshney ed. 1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL press, 1986);Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning, 1984;the series, Methods In Enzymology(S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Protein purification methods-a practical approach(E.L.V. Harris and S. Angal, eds., IRL Press at Oxford University Press);およびHandbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV(D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., 1986, Blackwell Scientific Publications)。
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、当然変動し得るように特定のDNA、ポリペプチド配列またはプロセスパラメーター限定されないことは理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は、単に本発明の具体的な実施態様を記載することを目的とし、制限しようとするものではないこともまた理解されるべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形の“a”、“an”および“the”は、文脈が明瞭にそうでないことを示していないかぎり対応する複数語を含むことは留意されねばならない。したがって、例えば、“an antigen(抗原)”と言えば、2つ以上の抗原の混合物を含み、“an excipient(賦形剤)”と言えば、2つ以上の賦形剤の混合物を含み、その他についても同様である。
【0015】
≪A.定義≫
特段に指定されないかぎり、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本発明が出願時点において属する業界の業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。用語の意味および範囲は明瞭でなければならないが、何らかの不明瞭さが隠れている場合には、本明細書で提供される定義が一切の辞書または外部の定義に優先する。さらにまた、文脈から特段に要求されないかぎり、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含む。本明細書では、特段に明記されなければ“or(または)”の使用は“and/or(および/または)”を意味する。さらにまた、“including(含む)”(他の形態、例えば“includes”および“included”とともに)という用語の使用は限定ではない。本明細書に引用される全ての特許および刊行物は参照によって本明細書に含まれる。
“疾患に対する防御”、“防御性免疫”、“機能的免疫”および同様な語句は、1つ以上の本発明の治療組成物またはその組合せの投与によって生じる疾患または症状に対する応答を意味し、前記応答は、疾患または感染に暴露された非免疫対象動物で出現するより少ない有害作用をもたらす。すなわち、当該感染の有害作用の重篤性はワクチン接種動物で軽減される。感染は、ワクチン接種された対象動物で軽減され、その進行速度は低下し、または可能な場合には完全に予防される。本明細書では、完全な予防を意味する場合には、それは特に明記される。完全な予防が明記されない場合、当該用語は部分的予防を含む。
本明細書で、“臨床徴候の発生および/または重篤性の軽減”または“臨床症状の軽減”は、野生型感染と比較して、グループ内の感染対象動物の数の減少、感染の臨床徴候を示す対象動物の数の減少または消滅、または1匹以上の対象動物に存在するいずれかの臨床徴候の重篤性の軽減を意味するが、ただし前記に限定されない。例えば、前記は、病原体量、病原体排出の任意の減少、病原体伝播の減少、またはマラリアの前兆となる任意の臨床徴候の軽減を指すはずである。好ましくは、これらの臨床徴候は、本発明の治療組成物を投与されず感染してしまった対象動物と比較して、当該組成物を投与された1匹以上の対象動物で少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%軽減する。
【0016】
“増強された防御”という用語は、本明細書では、対象動物のワクチン接種グループ対対象動物の非ワクチン接種コントロールグループにおける、感染性因子(好ましくはSVA)による感染に関連する1つ以上の臨床症状のそれぞれ統計的に有意な軽減を意味する(ただし前記に限定されない)。“臨床症状の統計的に有意な軽減”という用語は、対象動物のワクチン接種グループの少なくとも1つの臨床症状の発生頻度が、感染性因子のチャレンジ後の非ワクチン接種コントロールグループよりも少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%、さらに好ましくは50%、さらに好ましくは70%低いことを意味する(ただし前記に限定されない)。
“長期持続防御”は、少なくとも3週間、より好ましくは少なくとも3ヶ月、さらに好ましくは少なくとも6ヶ月持続する“改善された有効性”を指す。家畜の場合、長期持続防御は、動物が肉用に市場に出される平均齢まで持続するのがもっとも好ましい。
“免疫原性または免疫学的組成物”は、少なくとも1つのSVA免疫原性組成物またはその免疫原性部分を含む物質の組成物を指し、前記物質は、当該組成物に対する細胞性または抗体媒介免疫応答である免疫学的応答を宿主で引き出す。本発明の好ましい実施態様では、免疫原性組成物は免疫応答を引き出し、より好ましくは、SVA感染の臨床徴候の1つ以上に対して防御免疫を付与する。
【0017】
本明細書で用いられる“免疫原性”または“抗原”は、本明細書に開示する免疫学的応答を引き出すポリペプチドまたはタンパク質を指す。“免疫原性”SVAタンパク質またはポリペプチドには、本明細書で認定されるSVAのいずれかの完全長配列またはそのアナログもしくは免疫原性フラグメントが含まれる。“免疫原性フラグメント”または“免疫原性部分”という用語はSVAのフラグメントまたは切詰めおよび/または置換型を指し、前記は1つ以上のエピトープを含み、したがって本明細書に記載する免疫学的応答を引き出す。一般的には、そのような切詰めおよび/または置換型またはフラグメントは、完全長SVAタンパク質の連続する少なくとも6アミノ酸を含むであろう。より好ましくは、切詰めおよび/または置換型またはフラグメントは、完全長SVAタンパク質の連続する少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、さらに好ましくは少なくとも19アミノ酸を含むであろう。そのようなフラグメントは、当業界で周知の多くのエピトープマッピング技術を用いて認定できる。例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66(Glenn E. Morris, Ed., 1996)Humana Press, Totowa, New Jersey。例えば、線状エピトープは、固体支持体上で多数のペプチド(タンパク質分子の複数の部分に対応するペプチド)を同時に合成し、当該ペプチドが指示体となお結合している間に抗体と反応させることによって決定することができる。そのような技術は当業界で公知であり記載されている。例えば以下を参照されたい:米国特許No. 4,708,871;Geysen et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002;およびGeysen et al., 1986, Molec. Immunol. 23:709-715。同様に立体的エピトープは、アミノ酸の空間配座を例えばX-線結晶学および二次元核磁気共鳴によって決定することによって容易に認定される。上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい。合成抗原(例えば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換え型または合成により誘導される抗原)もまた本定義に含まれる。例えば以下を参照されたい:Bergmann et al., 1993, Eur. J. Immunol. 23:2777-2781;Bergmann et al., 1996, J. Immunol. 157:3242-3249;Suhrbier, A., 1997, Immunol. and Cell Biol. 75:402-408;およびGardner et al., 1998, 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3, 1998(前記文献の教示および内容はいずれも参照によって本明細書に含まれる)。
【0018】
“免疫応答”または“免疫学的応答”は、問題の組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体媒介免疫応答の発達を意味する(ただし前記に限定されない)。通常、免疫応答または免疫学的応答には以下の作用の1つ以上が含まれる:問題の組成物またはワクチンに含まれる1つの抗原または複数の抗原に対して特異的である抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の産生または活性化。好ましくは、新たな感染に対する耐性が強化され、および/または疾患の臨床的重篤性が軽減されるように、宿主は、治療的または防御的な免疫学的(メモリー)応答を提示するであろう。そのような防御は、症状数の減少、症状の重篤性の軽減、または当該病原体の感染に関連する症状の1つ以上の欠如、ウイルス血症の開始の遅延、ウイルス存続期間の短縮、全体的ウイルス量の減少および/またはウイルス排出の減少のいずれかによって明示されるであろう。
本明細書で、“特異的に免疫反応する”は、SVA感染に特徴的な抗原を認識するが、厳密なチャレンジコントロールに特徴的な抗原とは反応しない、免疫反応性タンパク質またはポリペプチドを指す。
本明細書で用いられるように、“医薬的にまたは獣医的に許容できる担体”には、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌および抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。いくつかの好ましい実施態様、特に凍結乾燥される免疫原性組成物を含む実施態様では、本発明で使用される安定化剤は、凍結乾燥またはフリーズドライ用の安定化剤を含む。
【0019】
いくつかの実施態様では、本発明の免疫原性組成物はアジュバントを含む。本明細書で用いられる“アジュバント”には、水酸化アルミニウムおよびリン酸化アルミニウム、サポニン、例えばQuilA、QS-21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、水中油中水エマルジョンが含まれ得る。エマルジョンは特に以下を基剤とすることができる:形質流動パラフィン油(欧州局方タイプ);イソプレノイド油、例えばスクアランまたはスクアレン;アルケン(特にイソブテンまたはデセン)のオリゴマーから生じる油;酸またはアルコールのエステル(直鎖アルキル基、より具体的には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ-(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ-(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエートを含む);分枝脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステル。油を乳化剤と組合わせて用い、エマルジョンを生成する。乳化剤は好ましくは以下である:非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えば無水マンニトールオレエート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸またはヒドロキシステアリン酸のエステル(前記は、場合によってエトキシル化される)、並びにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック(Pluronic)製品、特にL121。以下を参照されたい:Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants(Ed.Stewart-Tull, D. E. S.), JohnWiley and Sons, NY, pp51-94, 1995;およびTodd et al., Vaccine 15:564-570, 1997。例示的アジュバントは、SPTエマルジョン(以下の文献の147ページに記載:“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” edited by M. Powell and M. Newman, Plenum Press, 1995)およびエマルジョンMF59(同書の183ページに記載)である。
【0020】
アジュバントのさらに別の例は、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよび無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物はアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーであって、前記は、特に糖または多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋される。これらの化合物はカルボマーという名称で知られている(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者はまた米国特許No. 2,909,462を参照することができる。前記特許はポリヒドロキシル化化合物で架橋されたアクリル酸ポリマーを記載する。前記化合物は、少なくとも3つの(好ましくは8つを超えない)ヒドロキシ基を有し、少なくとも3つのヒドロキシルの水素原子は、少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置き換えられる。好ましいラジカルは、2から4つの炭素原子を含むもので、例えばビニル、アルキルおよび他のエチレン系不飽和基である。不飽和ラジカルはそれ自体他の置換基、例えばメチルを含むことができる。CARBOPOL(商標)(Lubrizol)の名称で販売されている製品が特に適切である。それらは、アリルシュクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋される。とりわけ、カルボポル974P、934Pおよび971Pを挙げることができる。カルボポル971Pがもっとも好ましい。無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーでは特にコポリマーEMA(Monsanto)がある(前記は無水マレン酸とエチレンのコポリマーである)。これらポリマーは水に溶解すると、(好ましくは生理学的pHに)中和されアジュバント溶液を生じ、前記溶液に免疫原性、免疫学的ワクチン組成物そのものが取り込まれる。
【0021】
さらに別の適切なアジュバントには多くのものの中でとりわけ以下が含まれる:RIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta GA)、SAF-M(Chiron, Emeryville CA)、モノホスホリル脂質A、アブリジン脂質-アミンアジュバント、大腸菌由来熱不安定性エンテロトキシン(組換え体または他のもの)、コレラ毒素、IMS 1314もしくはムラミルジペプチド、または天然に存在する若しくは組換えサイトカインもしくはそのアナログまたは内因性サイトカイン放出刺激物質(ただしこれらに限定されない)。
アジュバントは、1用量当たり約100μgから約10mgの量で、好ましくは1用量当たり約100μgから10mgの量で、より好ましくは1用量当たり約500μgから約5mgの量で、さらに好ましくは1用量当たり約750μgから約2.5mgの量で、もっとも好ましくは1用量当たり約1mgの量で添加できると予想される。また別には、アジュバントは、最終製品の体積で約0.01から50%の濃度で、好ましくは約2%から30%の濃度で、より好ましくは約5%から25%の濃度で、さらに好ましくは約7%から22%の濃度で、もっとも好ましくは10%から20%の濃度で存在し得る。
【0022】
“希釈剤”には水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが含まれ得る。等張剤には、とりわけ塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースが含まれ得る。安定化剤には、とりわけアルブミンおよびエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が含まれる。
“単離された”は、その天然の状態から“人間の手によって”変更を加えられること、すなわち、それが天然に存在する場合には、それが変化を受けているか、もしくはその本来の環境から移されてあるか、またはその両方であることを意味する。例えば、当該用語が本明細書で用いられているように、生きている生物に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは“単離”されていないが、その天然の状態で一緒に存在する物質から分離されてある同じポリヌクレオチドまたはポリペプチは“単離されている”。
“安全性”は、ワクチン接種後にワクチン接種動物で有害な結果が存在しないことを指す。前記には、細菌ベースワクチンの病毒性への潜在的復帰、臨床的に有意な副作用、例えば持続的全身的な病的状態またはワクチン投与部位の許容不能な炎症が含まれる(ただし前記に限定されない)。
本明細書で用いられる、“ワクチン接種”または“ワクチン接種する”またはその変化型は、本発明の免疫原性組成物の投与を含むプロセスを意味し(ただし前記に限定されない)、前記は、動物に投与されるとき、当該動物でSVAに対して免疫応答を直接的にまたは間接的に引き出しまたは引き出すことができる。
本発明の関係では、“死亡率”はSVA感染によって引き起こされる死を指し、当該感染が、動物を安楽死させて苦痛を防ぎ、その生命を人道的に終結させるほど重篤である状況を含む。
【0023】
本明細書では、“有効な用量”は、抗原が投与される動物で臨床症状の軽減をもたらす免疫応答を引き出すまたは引き出すことができる抗原の量を意味する(ただし前記に限定されない)。
本明細書で用いられるように、“有効な量”は、組成物の関係で、感染の発生を減少させる、または感染の重篤性または疾患の発生を軽減する免疫応答を動物で誘発することができる免疫原性組成物の量を意味する。特に、有効な量は1用量当たりのコロニー形成単位(CFU)を指す。また別には、治療法の関係で、“有効な量”は、疾患もしくは異常の重篤性または持続期間、またはその1つ以上の症状を軽減もしくは緩和し、疾患もしくは異常の悪化を予防し、疾患もしくは異常の退行を引き起こし、疾患もしくは異常に関連する1つ以上の症状の再発、亢進、開始もしくは進行を防ぎ、または別の治療法もしくは治療薬による予防もしくは治療を強化もしくは改善するために十分である、治療法の量を指す。
【0024】
“フラグメント”という用語は、SVAペプチドのフラグメントまたは切詰めおよび/または置換型またはそのようなSVAペプチドをコードする遺伝子を指し、前記は1つ以上のエピトープを含み、したがってSVAに対する免疫学的応答を引き出す。好ましくは、そのようなフラグメントは、本明細書で提供するSVAペプチドのいずれかまたはSVA遺伝子のいずれかのフラグメントまたは切詰めおよび/または置換型である。一般的には、そのような切詰めおよび/または置換型またはフラグメントは、完全長SVA配列の連続する少なくとも6アミノ酸を含むであろう。より好ましくは、切詰めおよび/または置換型またはフラグメントは、完全長SVA配列の連続する少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、さらに好ましくは少なくとも19アミノ酸を有するであろう。そのようなフラグメントは、当業界で周知の多くのエピトープマッピング技術を用いて認定できる。例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66(Glenn E. Morris, Ed., 1996)Humana Press, Totowa, New Jersey。例えば、線状エピトープは、固体支持体上で多数のペプチド(タンパク質分子の複数の部分に対応するペプチド)を同時に合成し、当該ペプチドが指示体となお結合している間に抗体と反応させることによって決定することができる。そのような技術は当業界で公知であり記載されている。例えば以下を参照されたい:米国特許No. 4,708,871;Geysen et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998-4002;およびGeysen et al., 1986, Molec. Immunol. 23:709-715。同様に立体的エピトープは、アミノ酸の空間配座を例えばX-線結晶学および二次元核磁気共鳴によって決定することによって容易に認定される。上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい。合成抗原(例えば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換え型または合成により誘導される抗原)もまた本定義に含まれる。例えば以下を参照されたい:Bergmann et al., 1993, Eur. J. Immunol. 23:2777-2781;Bergmann et al., 1996, J. Immunol. 157:3242-3249;Suhrbier, A., 1997, Immunol. and Cell Biol. 75:402-408;およびGardner et al., 1998, 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3, 1998(前記文献の教示および内容はいずれも参照によって本明細書に含まれる)。
【0025】
配列(例えばポリペプチドまたは核酸配列)に関して“変種”という用語は、実質的に類似する配列を意味することが意図される。オープンリーディングフレームを含むヌクレオチド配列の場合、変種は、遺伝暗号の縮退のゆえに、ネイティブのタンパク質と同一のアミノ酸配列をコードする配列を含む。変種ヌクレオチド配列はまた、合成により誘導されるヌクレオチド配列(例えば位置指定変異誘導を用いることによって生成され、オープンリーディングフレームについてはネイティブのタンパク質をコードするもの)を、コドン最適化の目的のためにネイティブのタンパク質と比較してアミノ酸置換を有するポリペプチドをコードするものとともに含む。一般的には、本発明のヌクレオチド変種は、標準的パラメーターを用い記載のアラインメントプログラムの1つにより参照配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、または89%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、または94%、もっとも好ましくは少なくとも95%、96%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.8%、97.9%、98%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%配列同一性を有する。
本明細書で用いられる“SVAに免疫反応性である”という用語は、ポリペプチドまたはフラグメントがSVAに対して免疫学的応答を引き出すことを意味する。
【0026】
本明細書で用いられる“配列相同性”は、2つの配列の関連性を決定する方法を指す。配列相同性を決定するために、2つ以上の配列が最適にアラインメントされ、必要な場合にはギャップが導入される。しかしながら、“配列同一性”とは対照的に、配列相同性を決定するときには保存的アミノ酸置換は一致と数えられる。換言すれば、参照配列と95%配列相同性を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを得るためには、参照配列のアミノ酸残基またはヌクレオチドの85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%が一致するかまたは別のアミノ酸もしくはヌクレオチドによる保存的置換を含む必要があり、或いは参照配列の全アミノ酸残基またはヌクレオチドの15%、好ましくは10%、より好ましくは5%に達するアミノ酸またはヌクレオチド数(保存的置換を含まない)が参照配列に挿入され得る。好ましくはホモログ配列は、一続きが少なくとも50、より好ましくは100、さらに好ましくは250、さらに好ましくは500ヌクレオチドを含む。
“保存的置換”は、サイズ、疎水性などの特徴または特性が類似する別のアミノ酸残基またはヌクレオチドによるアミノ酸残基またはヌクレオチドの置換を指し、したがって全体的な機能性は有意には変化しない。
【0027】
当業界で公知である“配列同一性”は、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列、すなわち参照配列と当該参照配列と比較されるべき与えられた配列間の関係を指す。配列同一性は、最高度の配列類似性を生じるように(そのような配列鎖間の一致によって決定される)配列を最適にアラインメントした後で、当該与えられた配列を当該参照配列と比較することによって決定される。そのようなアラインメントに際して、配列同一性は位置毎に確認される。例えば、個々の位置でヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同一であるならば、配列は当該個々の位置で“同一”である。続いてそのような位置同一性を有する総数を参照配列のヌクレオチドまたは残基の総数で割って、%配列同一性が得られる。配列同一性は公知の方法によって容易に計算できる。前記配列には以下の文献に記載されたものが含まれる(ただしそれらに限定されない):Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press, 1987;Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;およびCarillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073, 1988(前記文献の教示は参照によって本明細書に含まれる)。配列同一性を決定する好ましい方法は、被検配列間で最大の一致を与えるように設計される。配列同一性を決定する方法は、与えられた配列間の配列同一性を決定する公開コンピュータプログラムで体系化されている。そのようなプログラムの例には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):the GCG program package (Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research, 12(1):387, 1984;BLASTP, BLASTNおよびFASTA(Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410, 1990。BLASTXプログラムはNCBIおよび他の供給源(BLAST Manual, Altschul, S. et al., NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410, 1990(前記文献の教示は参照によって本明細書に含まれる))から公開されている。これらのプログラムは、与えられた配列と参照配列との間で最高レベルの配列同一性を生じるように規定のギャップ重を用いて配列を最適にアラインメントする。参照ヌクレオチド配列に対して例えば少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%“配列同一性”を有するヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドを例にとれば、与えられたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド毎に15まで、好ましくは10まで、さらに好ましくは5までの点変異を含み得るという点を除いて、当該与えられたポリヌクレオチド配列は参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一性を有するヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドでは、参照配列のヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までが欠失または別のヌクレオチドで置換され得るか、或いは参照配列のヌクレオチド数の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までが参照配列に挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端の位置にまたはそれら末端の位置の間の任意の位置に、参照配列のヌクレオチド中で個々にまたは参照配列内で1つ以上の連続する群として散在して出現し得る。同様に、参照アミノ酸配列に対して例えば少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%配列同一性を有する与えられたアミノ酸配列をもつポリペプチドによって、与えられたポリペプチド配列は、参照アミノ酸配列の100アミノ酸毎に15まで、好ましくは10まで、さらに好ましくは5までのアミノ酸変異を含み得るという点を除いて、当該ポリペプチドの与えられたアミノ酸配列は参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照アミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%同一性を有する与えられたポリペプチド配列を得るために、参照配列のアミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までが欠失または別のアミノ酸残基で置換され得るか、或いは参照配列のアミノ酸残基の総数の15%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までのアミノ酸数が参照配列に挿入され得る。参照配列のこれらの変異は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシ末端の位置にまたはそれら末端の位置の間の任意の位置に、参照配列の残基中で個々にまたは参照配列内で1つ以上の連続する群として散在して出現し得る。好ましくは、同一ではない残基の位置は保存的アミノ酸置換によって相違する。しかしながら、保存的置換は、配列同一性を決定するときには一致には含まれない。
【0028】
“配列同一性”または“パーセント同一性”という用語は本明細書では互換的に用いられる。本発明の目的のためには、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は最適な比較の目的のためにアラインメントされる(例えば、ギャップを第一のアミノ酸または核酸の配列に第二のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために導入することができる)。続いて、対応するアミノ酸またはヌクレオチドの位置のアミノ酸またはヌクレオチド残基が比較される。第一の配列の位置が、第二の配列の対応する位置のアミノ酸またはヌクレオチド残基と同じアミノ酸またはヌクレオチド残基によって占有されるとき、当該分子は当該位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、当該配列によって共有される同一の位置の数に対する関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置(すなわちオーバーラップする位置)の総数x100)である。好ましくは2つの配列は同じ長さである。
配列比較は、比較される2つの配列の全長にわたってまたは2つの配列のフラグメントにわたって実施できる。本発明の範囲内では典型的にはかつ好ましくは、比較される2つの配列の全長にわたって比較が実施されるであろう。しかしながら、配列同一性は、例えば20、50、100または100を超える連続するアミノ酸残基領域にわたって実施することができる。
本明細書で用いられるように、“配列番号:Yに記載の核酸/アミノ酸配列と少なくともX%の配列同一性を有する”という用語(或いは、また別には“配列番号:Yの/に示される核酸/アミノ酸配列と少なくともX%配列同一性を有する”という用語)は、それぞれ“配列番号:Yの端から端まで配列番号:Yに記載の核酸/アミノ酸配列と少なくともX%配列同一性を有する”という用語、または“配列番号:Yの全長にわたって配列番号:Yに記載の核酸/アミノ酸配列と少なくともX%配列同一性を有する”という用語と等価である。
【0029】
ベクターおよび発現用ベクター(または組換え体)の作製および/または使用方法は、以下に記載された方法によるか、または当該方法と同様であり得る:米国特許4,603,112、4,769,330、5,174,993、5,505,941、5,338,683、5,494,807、4,722,848、5,942,235、5,364,773、5,762,938、5,770,212、5,942,235、382,425、PCT公開公報WO 94/16716、WO 96/39491、WO 95/30018;Paoletti, "Applications of pox virus vectors to vaccination: An update, "PNAS USA 93: 11349-11353, October 1996;Moss, "Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expression, vaccination, and safety," PNAS USA 93: 11341-11348, October 1996;Smith et al., 米国特許4,745,051(組換えバキュロウイルス);Richardson, C. D. (Editor), Methods in Molecular Biology 39, "Baculovirus Expression Protocols" (1995 Humana Press Inc.);Smith et al., "Production of Human Beta Interferon in Insect Cells Infected with a Baculovirus Expression Vector", Molecular and Cellular Biology, December, 1983, Vol. 3, No. 12, p. 2156-2165;Pennock et al., "Strong and Regulated Expression of Escherichia coli B-Galactosidase in Infect Cells with a Baculovirus vector, "Molecular and Cellular Biology March 1984, Vol. 4, No. 3, p. 406;EPA0 370 573;米国特許出願No. 920,197(1986年10月16日出願);欧州特許公開公報No. 265785;米国特許No. 4,769,331(組換えヘルペスウイルス);Roizman, "The function of herpes simplex virus genes: A primer for genetic engineering of novel vectors," PNAS USA 93:11307-11312, October 1996;Andreansky et al., "The application of genetically engineered herpes simplex viruses to the treatment of experimental brain tumors," PNAS USA 93: 11313-11318, October 1996;Robertson et al., "Epstein-Barr virus vectors for gene delivery to B lymphocytes", PNAS USA 93: 11334-11340, October 1996;Frolov et al., "Alphavirus-based expression vectors: Strategies and applications," PNAS USA 93: 11371-11377, October 1996;Kitson et al., J. Virol. 65, 3068-3075, 1991;米国特許Nos. 5,591,439、5,552,143;WO 98/00166;仮(allowed)米国特許出願Ser. Nos. 08/675,556および08/675,566(ともに1996年7月3日出願)(組換えアデノウイルス);Grunhaus et al., 1992, "Adenovirus as cloning vectors," Seminars in Virology (Vol. 3) p. 237-52, 1993;Ballay et al. EMBO Journal, vol. 4, p. 3861-65, Graham, Tibtech 8, 85-87, April, 1990;Prevec et al., J. Gen Virol. 70, 42434;PCT WO 91/11525;Felgner et al. (1994), J. Biol. Chem. 269, 2550-2561, Science, 259: 1745-49, 1993; and McClements et al., "Immunization with DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprotein B, alone or in combination, induces protective immunity in animal models of herpes simplex virus-2 disease", PNAS USA 93: 11414-11420, October 1996;および米国特許Nos. 5,591,639、5,589,466、および5,580,859の他に、とりわけWO 90/11092、WO93/19183、WO94/21797、WO95/11307、WO95/20660;Tang et al., Nature, and Furth et al., Analytical Biochemistry, relating to DNA expression vectors。さらにまた以下を参照されたい:WO 98/33510;Ju et al., Diabetologia, 41: 736-739, 1998(レンチウイルス発現系);Sanford et al., 米国特許No. 4,945,050;Fischbachet al. (Intracel);WO 90/01543;Robinson et al., Seminars in Immunology vol. 9, pp. 271-283, 1997(DNAベクター系);Szoka et al., 米国特許No. 4,394,448(生細胞へのDNA挿入方法);McCormick et al., 米国特許No. 5,677,178(細胞変性性ウイルスの使用);および米国特許No. 5,928,913(遺伝子デリバリー用ベクター);の他に本明細書に引用する他の文書類。
好ましいウイルスベクターには、バキュロウイルス、例えばBaculoGold(BD Biosciences Pharmingen, San Diego, Calif.)が含まれが、特に産生細胞が昆虫細胞であることを条件とする。バキュロウイルス発現系が好ましいが、他の発現系も本発明の目的のために機能することは当業者には理解される。
【0030】
≪B.担体分子≫
本発明のSVAペプチドと複合物化するか、または共有結合的に連結することができる担体分子は、好ましくは上記に記載されたものである。動物で使用される好ましい担体は、ウシ血清アルブミンおよびキーホールリンペットヘモシアニンである。ヒトで使用される適切なタンパク質担体には、破傷風類毒素、ジフテリア類毒素、無細胞百日咳ワクチン(LPF類毒素)、交差反応物質(CRM)(前記は細菌毒素と抗原的に類似するが変異の手段により非毒性である)が含まれる。例えば、Pappenheimerら(Pappenheimer, et al, Immunochemistry, 9, 891-906 (1972)の記載にしたがって入手されるCRM197、および他の細菌性タンパク質、例えば髄膜炎菌外膜タンパク質を用いることができる。好ましくは、担体タンパク質それ自体が免疫原である。
本発明のSVAペプチドは、当業界で公知の任意の便利な方法によって担体と共有結合的に連結され得る。対称性リンカー(例えばアジピン酸ジヒドラジド(Schneersonら(Schneerson et al, J. Experimental Medicine, 152, 361-376, 1980)が記載)、または異種二官能性リンカー(例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(Fattomら(Fattom et al, Infection and Immunity, 56, 2292-2298, 1988)が記載))の使用は本発明の範囲内であるが、そうしないで本発明のSVAペプチドを担体分子に直接連結するいずれのリンカーの使用も回避するのが好ましい。そのような連結はLandiら(Landi et al J. Immunology, 127, 1011-1019, 1981)の記載する還元アミノ化の手段によって達成され得る。
【0031】
平均分子量で規定される、免疫原性組成物のサイズは変動可能で、選択されたSVAペプチドおよび担体とSVAペプチドの連結方法に左右される。したがって、サイズは1,000ダルトン(103)の小さいものから106ダルトンを超えることができる。還元アミノ化連結方法を用いると、SVAペプチドの分子量は通常は、5,000から500,000、例えば300,000から500,000、または例えば5,000から50,000ダルトンの範囲内である。
担体分子、すなわち本発明のSVAペプチドと特異的に結合するペプチド、その誘導体およびアナログ、並びにペプチド模倣物は当業界で公知の多様な方法によって生成することができる。前記方法には固相合成または溶液によるものが含まれるが、ただしこれらに限定されない(Nakanishi et al., 1993, Gene 137:51-56;Merrifield, 1963, J. Am. Chem. Soc. 15:2149-2154;Neurath, H. et al., Eds., The Proteins, Vol II, 3d Ed., p. 105-237, Academic Press, New York, N.Y., 1976(参照によってその全体が本明細書に含まれる))。
本発明のSVAペプチドまたは本発明の抗体もしくはその結合部分は、医薬的または獣医的な担体の溶液もしくは懸濁液によって、または当該担体を含む希釈剤の注射可能な調剤として投与され得る。
そのような分子の毒性および治療有効性は、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)を決定するための標準的な医薬的手順によって、細胞培養または実験動物で決定できる。
本発明のワクチンは多価でも一価でもよい。多価ワクチンは、複数のSVAペプチドの担体分子との免疫複合物から作製される。
【0032】
ある特徴では、SVAペプチド組成物は、有効な免疫量の免疫原性複合物を、好ましくは免疫刺激剤および生理学的に許容できるベヒクルと組み合わされて含む。本文脈で用いられるように、“免疫刺激剤”は、それが特異的抗原と組み合わされた特異的な増強作用であろうと、単に免疫応答の1つ以上の成分の活性に対する独自の作用であろうと、免疫系の活性を強化する能力を有する任意の化合物または組成物を包含することが意図される。免疫刺激化合物には、鉱物ゲル(例えば水酸化アルミニウム);表面活性物質(例えばリソレシチン、PLURONIC(商標)ポリオール);多価陰イオン;ペプチド;オイルエマルジョン;ミョウバンおよびMDPが含まれるが、ただし前記に限定されない。これらの物質を利用する方法は当業界で公知であり、与えられたワクチンについて最適な刺激剤の量を決定することは十分に当業者の能力内である。与えられた処方物で2つ以上の免疫刺激剤を用いることができる。免疫原はまた、リポソーム内に取り込むか、または多糖類および/またはワクチン処方物で使用される他のポリマーと複合物化することができる。
所望の場合は、組成物はパックまたはディスペンサーとして提供され、前記は活性成分を含む1つ以上のユニット投薬形を含むことができる。パックは、例えば金属またはプラスチックフォイル(例えばブリスターパック)を含むことができる。パックまたはディスペンサー装置は、投与のため(好ましくは哺乳動物(特にブタ)への投与のため)の指示を伴うことができる。そのような容器と一緒に、医薬または生物学的生成物の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指定された書式の通知があってもよい。前記通知は、人間への投与についての製造、使用または販売に関する当該機関による承認の反映である。
【0033】
≪C.アジュバント≫
本明細書で提供され1つ以上のSVAペプチドを含む免疫原性組成物の免疫原性をさらに高めるために、前記組成物はまた1つ以上のアジュバントを含むことができる。
アジュバントは、以前に記載のまたは当業界で公知の任意の技術によって精製することができる。好ましい精製技術は、シリカゲルクロマトグラフィー、特に“フラッシュ”(急速)クロマトグラフィー技術である(以下に記載:W. Clark Still et al, J. Organic Chemistry, 43, 2923-2925, 1978)。しかしながら他のクロマトグラフィー方法(HPLCを含む)もアジュバントの精製に用いることができる。結晶化もまたアジュバントの精製に用いることができる。いくつかの事例では、合成からそのまま分析純度の製品として入手されるので精製は要求されない。
本発明のワクチン組成物は、適切な無菌的条件下でアジュバント添加組成物の生産のための公知の技術にしたがって、アジュバントをSVAペプチドと物理的に混合することによって調製される。SVAペプチドとアジュバントの複合体形成は、複合物上に正味の陰性荷電が存在することによって促進される。陰性荷電は、長鎖アルキル化合物アジュバント上に存在する陽性荷電に電気的に引き付けられる。
アジュバントは、約100μgから約10mg/用量の量で、好ましくは約100μgから約10mg/用量の量で、より好ましくは約500μgから約5mg/用量の量で、さらに好ましくは約750μgから約2.5mg/用量の量で、もっとも好ましくは約1mg/用量の量で添加できると予測される。また別には、アジュバントは、最終製品の体積で、約0.01%から75%の濃度で、好ましくは約2%から30%の濃度で、より好ましくは約5%から25%の濃度で、さらに好ましくは約7%から22%の濃度で、もっとも好ましくは10%から20%の濃度で存在し得る。
【0034】
≪D.生理学的に許容できるベヒクル≫
本発明のワクチン組成物は、他の医薬用ポリペプチド組成物のために用いられる技術と同様なものを用いて処方することができる。したがって、アジュバントおよびSVAペプチド(好ましくは担体分子と複合物化および/またはアジュバントと混合されてある)は、凍結乾燥形で保存され、生理学的に許容できるベヒクル中で再構成されて投与前に懸濁物を形成することができる。また別には、アジュバントおよび複合物はベヒクル中で保存することができる。好ましいベヒクルは、無菌溶液、特に無菌的緩衝溶液(例えばリン酸緩衝食塩水)である。アジュバントおよびベヒクル中の複合物を一緒にするいずれの方法も、免疫学的組成物の免疫学的有効性の改善が適切であるようなものである。
本発明のワクチンの一用量の体積は変動し得るが、概ね通常のワクチンで一般的に用いられる範囲内である。一用量の体積は、上記に記載した複合物およびアジュバントの濃度で、好ましくは約0.1mLから約3mLの間、好ましくは約0.2mLから1.5mLの間、より好ましくは約0.2mLから約0.5mLの間である。
本発明のワクチン組成物は、任意の便利な手段によって投与され得る。
【0035】
≪E.処方物≫
担体分子に連結されたSVAペプチドを含む免疫原性複合物をSVA対抗免疫用ワクチンとして用いることができる。生理学的に許容できるベヒクル中に免疫原性複合物を含むワクチンは、SVA感染の治療または予防のために動物(好ましくはブタ)を免疫する方法で有用である。
免疫原性複合物による免疫によって本発明の免疫原性複合物に対して生成される抗体は、受動免疫療法およびSVA感染の治療または予防のための抗イディオタイプ抗体の作製に用いられ得る。
組成物が投与される対象動物は好ましくは動物で、前記には乳牛、ウマ、ヒツジ、ブタ、家禽(例えばニワトリ)、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、マウスおよびラットが含まれるが、ただし前記に限定されない。もっとも好ましくは、当該哺乳動物はブタである。
本発明の処方物は、有効免疫量の免疫原性組成物または前記に対する抗体および生理学的に許容できるベヒクルを含む。ワクチンは、有効免疫量の1つ以上の免疫原性組成物および生理学的に許容できるベヒクルを含む。処方物は投与態様に適するべきである。
所望の場合は、免疫原性組成物はまた、微量の湿潤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含むことができる。免疫原性組成物は流動性溶液、懸濁物、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、徐放性処方物、または散剤であり得る。経口処方物は、標準的な担体(例えば医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含むことができる。
【0036】
≪F.有効用量≫
本明細書に記載の化合物は、治療的に有効な用量で対象動物に投与されてSVA関連疾患を治療することができる。投薬量は、例えば宿主のサイズ、体重および齢のような要件と同様にワクチンを投与される宿主に左右されるであろう。
処方で用いられる本発明の免疫原性複合物または抗体の厳密な量は、投与ルートおよび対象動物の特性(例えば種、齢、サイズ、病期/レベル)に左右され、標準的な臨床技術にしたがって実施者の判断および各対象動物の環境により決定されるべきである。有効免疫量は、対象動物でSVA感染疾患を治療または予防するために十分な量である。適切な用量の例は約6から7log TCID50/mLである。或いは、有効用量はまた動物モデル試験系から誘導される用量応答曲線から推定でき、0.001mg/kgから100mg/kgで変動し得る。
化合物の毒性および治療有効性は、標準的な医薬手順によって、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%で治療的に有効な用量)について細胞培養または実験動物で決定することができる。毒性作用と治療作用との間の用量比は治療インデックスであり、LD50/ED50比として表される。大きな治療インデックスを示す化合物が好ましい。有害な副作用を示す化合物を用いるときは、そのような化合物が罹患組織部位を標的とするデリバリー系を設計して、非感染細胞の潜在的損傷を最小限にし、それによって副作用を軽減する配慮が採られるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物試験から入手したデータを、動物(特にブタ)で使用される投薬量範囲の公式化に用いることができる。そのような化合の投薬量は、好ましくはほとんどまたは全く毒性を示さないED50を含む循環濃度範囲内に存在する。投薬量は、この範囲内で用いられる剤形および利用される投与ルートにしたがって変動し得る。本発明の方法で用いられるいずれの化合物についても、治療有効用量はまず初めに細胞アッセイから概算することができる。循環血漿濃度範囲を達成する用量を動物モデルで公式化することができる。前記範囲は、細胞培養で決定されるIC50(症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む。そのような情報を用いて、対象動物で有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
【0037】
組成物の免疫原性は、当該組成物で免疫した後で試験対象動物の免疫応答を、当業界で公知の任意の免疫アッセイを用いてモニターすることによって決定することができる。液性(抗体応答)および/または細胞媒介免疫の発生は、免疫応答の指標ととらえることができる。試験対象動物には、例えばブタ、マウス、ハムスター、イヌ、ネコ、ウサギ、乳牛、ウマ、ヒツジ、家禽(例えばニワトリ、アヒル、ガチョウおよびシチメンチョウ)のような動物が含まれ得る。
試験対象動物の免疫応答は、例えば以下の多様なアプローチによって分析することができる:得られた免疫血清の反応性(前記は公知の技術、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、イムノブロット、免疫沈降などによってアッセイされる);免疫宿主の当該病原体による感染の防御および/または免疫宿主の当該病原体感染による症状の減弱(感染症因子のレベル(例えば細菌レベル)を(例えば対象動物のサンプルの培養によって)アッセイするための当業界で公知の任意の方法、または当業界で公知の他の技術によって決定される)。感染症因子のレベルはまた、当該免疫グロブリンが指向する抗原のレベルを測定することによって決定できる。感染症因子のレベルの低下または感染症の症状の緩和は、組成物が有効であることを示す。
動物または人間でin vivo使用する前に、本発明の治療薬を治療活性または予防活性についてin vitroで試験することができる。例えば、特定の治療薬の投与が指示されるか否かを決定するために用いることができるin vitroアッセイにはin vitro細胞培養アッセイが含まれ、前記アッセイでは、細胞株由来の適切な細胞または特定の疾患もしくは異常を有する対象動物から培養された細胞が治療薬に暴露されるか或いは治療薬を投与され、細胞に対する当該治療薬の効果が観察される。
【0038】
また別には、治療薬は以下の工程によってアッセイできる:当該治療薬を細胞(対象動物から培養されるかまたは培養細胞株に由来する)と接触させる工程(当該細胞は感染症因子による感染に感受性であるが当該感染症因子に感染していない)、細胞を感染症因子に暴露する工程、および当該治療薬に接触した細胞の感染速度が治療薬に接触していない細胞の感染速度より遅いか否かを決定する工程。感染症因子による細胞の感染は当業界で公知の任意の方法によってアッセイできる。
加えて、治療薬は、抗体が指向する分子のレベルを動物モデルまたはヒト対象動物で、治療前、治療中または治療後に適切な時間間隔で測定することによって査定することができる。分子の量における変化または変化の欠如はいずれも対象動物における治療の効果を認定し、さらに前記と相関性を有する。当該分子のレベルは当業界で公知の任意の方法によって決定できる。
SVA感染に対する本発明の方法および組成物を用いて動物をワクチン接種した後、当業界で公知の任意の結合アッセイを用いて、生じた抗体と特定の分子との間の結合を査定することができる。これらのアッセイはまた、特定の抗原に対してより高い親和性または特異性を示す抗体を選別するために実施することができる。
【0039】
≪G.検出および診断方法≫
本発明のSVAペプチドの使用により生じる抗体またはその結合部分は、SVAウイルスの存在をサンプルで検出するために有用である。この検出方法は、以下の工程を含む:本発明のSVAペプチドに対して生じる単離された抗体またはその結合部分を提供する工程、ある量のSVAを含むと疑われるサンプルを当該単離抗体またはその結合部分に添加する工程、およびSVAに結合した単離抗体またはその結合部分を含む複合体を検出する工程。
本発明の抗体またはその結合部分はまた、SVAペプチドの存在をサンプルで検出するために有用である。この検出方法は以下の工程を含む:SVAペプチドに対して生じる単離された抗体またはその結合部分を提供する工程、ある量のSVAを含むと疑われるサンプルを当該単離抗体またはその結合部分に添加する工程、およびSVAに結合した単離抗体またはその結合部分を含む複合体を検出する工程。
結合ペアのメンバーである特異的な分子と結合する免疫グロブリン、特に抗体(およびその機能的に活性なフラグメント)を、本明細書に記載するように診断薬および予後判定薬として用いることができる。本発明は、結合ペアのメンバーの測定および臨床応用としてそのような測定の使用を提供する。本発明の免疫グロブリンを例えば生物学的サンプルにおける抗原の検出に用いることができ、それによって対象動物を当該免疫グロブリンが結合する分子の異常レベルについて、および/またはそのような分子の正常でない形態の存在について試験することができる。“異常”レベルとは、疾患を持たない身体の一部分または対象動物に由来する同様なサンプルに存在するレベルまたはその存在を示す標準的レベルと比較して増加または減少を意味する。本発明の抗体はまた、診断または予後判定技術で使用されるキットの試薬として含まれ得る。
【0040】
ある特徴では、SVAペプチドと免疫特異的に結合する本発明の抗体は、SVA感染の診断、予後判定またはスクリーニングに用いることができる。
別の特徴では、本発明は、SVA感染またはそれに対する免疫の存在を診断またはスクリーニングする方法を提供する。前記方法、対象動物に由来するサンプルに対して抗体の免疫特異的結合レベルを測定する工程を含み、ここで当該抗体はSVAペプチドと免疫特異的に結合し、当該感染症をもたない対象動物の同様なサンプルの免疫特異的結合レベルと比較して、前記免疫特異的結合レベルの増加はSVAの存在を示す。
SVAペプチドまたはそのアンタゴニストの存在を検出する適切なアッセイの例には、ELISA、放射性免疫アッセイ、ゲル拡散沈降反応アッセイ、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、蛍光免疫アッセイ、タンパク質A免疫アッセイ、または免疫電気泳動アッセイが含まれるが、ただし前記に限定されない。
特定分子についての免疫アッセイは、典型的には、サンプル(例えば生物学的液体、組織抽出物、新鮮な採集細胞、または培養細胞の溶解物)を、検出できるように標識した抗体の存在下でインキュベートする工程、および結合抗体を当業界で周知の多数の技術のいずれかで検出する工程を含む。
与えられた抗体の結合活性は周知の方法にしたがって決定することができる。当業者は、それぞれの決定のための作動的で最適なアッセイ条件を日常的な実験を用いることによって決定することができるであろう。
【0041】
本発明の追加の特徴は、SVAの検出または測定のための診断キットに関する。診断に使用するキットが提供され、前記は、抗SVAペプチド抗体、および場合によって当該抗体に対する標識結合パートナーを1つ以上の容器に含む。また別には、抗SVAペプチド抗体を、(検出可能マーカー、例えば化学発光性、酵素性、蛍光性、または放射性部分により)標識することができる。したがって、本発明は、抗SVAペプチド抗体およびコントロール免疫グロブリンを含む診断キットを提供する。具体的な実施態様では、容器中の上述の化合物の1つを検出できるように標識できる。キットはさらにまた、場合によって、標準物またはコントロールとして使用される予め決定した量のSVAペプチド(キットの抗体によって認識される)を容器中に含む。
好ましい投与ルートには鼻内、経口、真皮内および筋肉内が含まれるが、ただし前記に限定されない。もっとも好ましくは一用量の筋肉内ルートによる投与が所望される。本発明の組成物はまた、1、2または3用量以上で他の投与ルートででも投与できることは当業者には認識されるであろう。例えば、そのような他のルートには、皮下、皮内、静脈内、血管内、動脈内、腹腔内、髄腔内、気管内、皮内、心臓内、乳腺葉内、骨髄内、肺内および膣内が含まれる。所望される治療の持続期間および有効性にしたがって、本発明の組成物を1回または数回(間欠的にもまた)、例えば数日間、数週間または数ヶ月の間に毎日、および異なる投薬量で投与することができる。
以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を示すために含まれる。以下の実施例で開示される技術は、本発明の実施で良好に機能することを本発明者らが発見した技術を示し、したがって本発明の実施のために好ましい態様を構成すると考え得ることは当業者には理解されよう。しかしながら、本開示に照らして、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく同様な類似の結果をなお得ることができる多くの変更を開示した具体的な実施態様で為し得ることは当業者には理解されよう。
【0042】
≪配列表≫
本出願は配列表を含む。本配列表は以下の配列を含む。
配列番号:1は、本発明のSVA株のほぼ完全なゲノムのRNA配列を示す。
配列番号:2は、当該ウイルスの多価タンパク質(SVV抗原:配列番号:3)をコードするゲノムRNA配列のサブセットを示す。
配列番号:3は、当該ウイルスの多価タンパク質(SVV抗原)のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4はGenBank_KX377924を示す。
配列番号:5はGenBank_KT321458を示す。
配列番号:6はGenBank_KR063107を示す。
配列番号:7はGenBank_KR063108を示す。
配列番号:8はGenBank_KR063109を示す。
配列番号:9はGenBank_HJ999048を示す。
配列番号:10はGenBank_KC667560を示す。
配列番号:11はGenBank_GY488390を示す。
配列番号:12はGenBank_GV614995を示す。
配列番号:13はGenBank_DM060849を示す。
配列番号:14はGenBank_NC_011349を示す。
配列番号:15はGenBank_GY488390_CDSを示す。
配列番号:16はGenBank_GV614995_CDSを示す。
配列番号:17はGenBank_DM060849_CDSを示す。
配列番号:18は、構築物BaculoFBU/SVVP13C中のSVVP13C挿入物のヌクレオチド配列を示す(A)。
配列番号:19は、BaculoFBU/SVVP13Cから発現されるSVVP13C多価タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号:20は、SVVP1領域が昆虫細胞での発現のためにコドン最適化されている構築物BaculoFBU/SVVP13C-CO中のSVVP13C挿入物のアミノ酸配列を示す(B)。
配列番号:21は、BaculoFBU/SVVP13C-COから発現されるSVVP13C多価タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号:22はBaculoFBU/ VVP13C VP3/VP1を示す。
配列番号:23は、構築物BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1のSVVP13C VP3/VP1挿入物の核酸配列を示す。
配列番号:24は、構築物BaculoFBU/SVVP13CDのSVVP13CD挿入物の核酸配列を示す。
配列番号:25は、BaculoFBU/SVVP13CDから発現されるSVVP13CD多価タンパク質のアミノ酸配列を示す。
配列番号:26は、SVVP1-Hisのコード配列を含むPCR生成物の核酸配列を示す。
配列番号:27は、構築物BaculoG/SVVP1-His-sIRES-SVV3Cから発現されるSVVP1-Hisのアミノ酸配列を示す。
配列番号:28は、昆虫細胞での発現のためにコドン最適化されてあるSVVP1-Hisのコード配列を含むPCR生成物の核酸配列を示す(SVVP1CO-His)。
配列番号:29は、構築物BaculoG/SVVP1CO-His-sIRES-SVV3Cから発現されるSVVP1-Hisのアミノ酸配列を示す。
配列番号:30は、SVV3Cのコード配列を含むPCR生成物の核酸配列を示す。
配列番号:31は、構築物BaculoG/SVVP1-His-sIRES-SVV3CおよびBaculoG/SVVP1CO-His-sIRES-SVV3Cから発現されるSVV3Cのアミノ酸配列を示す。
配列番号:32は、pORB-SVVP1-His-sIRES-SVV3C中のSVVP1-His-sIRES-SVV3C発現カセットの核酸配列を示す。
配列番号:33は、pORB-SVVP1CO-His-sIRES-SVV3C中のSVVP1CO-His-sIRES-SVV3C発現カセットの核酸配列を示す。
配列番号:34はPCRプライマーP3219012A (SVVP1 Fwd)を示す。
配列番号:35はPCRプライマーP3219039A (SVVP1 His Rev)を示す。
配列番号:36はPCRプライマーP3219012C (SVVP1-CO Fwd)を示す。
配列番号:37はPCRプライマーP3219039B (SVVP1-CO His Rev)を示す。
配列番号:38はPCRプライマーP3219012E (SVV3C Fwd)を示す。
配列番号:39はPCRプライマーP3219039C (SVV3C Rev)を示す。
配列番号:40はPCRプライマーP3219165A (VP3/VP1 Fwd)を示す。
配列番号:41はPCRプライマーP3219165B (VP3/VP1 Rev)を示す。
配列番号:42はPCRプライマーP3219166A (SVV3D Fwd)を示す。
配列番号:43はPCRプライマーP3219166B (SVV3C Rev)を示す。
配列番号:44はPCRプライマーP3219166C (SVV3D Rev)を示す。
配列番号:45はSVV3Dコード配列を示す。
【0043】
本発明はさらにまた以下の項目を含む。
1.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、
(a)配列番号:1もしくは配列番号:2の核酸配列、または
(b)配列番号:1と97%同一の核酸配列であって、配列番号:3のポリペプチドの免疫学的に有効な活性を有するポリペプチドをコードするもの
を含む、殺滅セネカバレーウイルスA(SVA)の免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
2.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、
(a)配列番号:3のアミノ酸配列を有する、
(b)配列番号:3と80%同一のアミノ酸配列を有し、かつ配列番号:3によってコードされるポリペプチドの生物学的にもしくは免疫学的に有効な活性を有する、または
(c)配列番号:3の連続する少なくとも15アミノ酸を含み、かつ免疫学的に有効な活性を有する配列番号:3のアミノ酸配列のフラグメントであるもの
を含む、殺滅SVAの免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
3.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、
(a)配列番号:1もしくは配列番号:2の核酸配列、または
(b)配列番号:1もしくは配列番号:2と97%同一の核酸配列であって、配列番号:3のポリペプチドの免疫学的に有効な活性を有するポリペプチドをコードするもの
を含む、殺滅SVAの免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
4.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、項目1に記載の免疫原性組成物の免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
5.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、項目2に記載の免疫原性組成物の免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
6.哺乳動物で免疫応答を発生させる方法であって、前記方法が、項目3に記載の免疫原性組成物の免疫学的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
7.当該哺乳動物がブタであり、当該免疫応答がSVA感染によって引き起こされる疾患に対して防御免疫を提供する、項目1に記載の方法。
8.当該哺乳動物がブタであり、当該免疫応答がSVA感染によって引き起こされる疾患に対して防御免疫を提供する、項目2に記載の方法。
9.当該哺乳動物がブタであり、当該免疫応答がSVA感染によって引き起こされる疾患に対して防御免疫を提供する、項目3に記載の方法。
10.セネカウイルスA(SVA)の1つ以上の抗原を含むワクチンであって、当該SVAが以下を含む任意のSVAである、前記ワクチン:
(a)配列番号:1によってコードされる、および/または配列番号:1を含むおよび/または配列番号:1のRNA等価物を含む核酸;
(b)その配列が、配列番号:1と少なくとも99%同一である、および/または配列番号:1のRNA等価物と少なくとも99%同一である核酸;
(c)配列番号:1または2の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
(d)(a)のポリヌクレオチドと少なくとも80%相同または同一であるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド;
(e)配列番号:1または配列番号:2の配列に含まれる、連続する少なくとも15、好ましくは24、より好ましくは30、さらに好ましくは45ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質フラグメント;
(f)配列番号:3のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(g)(f)のポリペプチドと少なくとも80%相同および/または同一であるポリペプチド;
(h)(f)および/または(g)のポリペプチドのフラグメント;
(i)(f)または(g)のポリペプチド;または
(j)配列番号:3の配列に含まれる、連続する少なくとも5、好ましくは8、より好ましくは10、さらに好ましくは15アミノ酸を含む(h)または(i)のフラグメント。
11.当該ワクチンが組換えワクチンまたは殺滅ワクチンである、項目10に記載のワクチン。
12.当該ワクチンが殺滅ワクチンである、項目10に記載のワクチン。
13.当該セネカウイルスA(SVA)が化学的に不活化される、項目10に記載のワクチン。
14.当該セネカウイルスA(SVA)が化学的不活化剤による処理によって不活化され、当該不活化剤が、エチレンイミン、バイナリエチレンイミン、アセチルエチレンイミン、および前記の混合物からなる群から選択される化合物を含む、項目13に記載のワクチン。
15.当該セネカウイルスA(SVA)が、バイナリエチレンイミンによる処理によって化学的に不活化される、項目14に記載のワクチン。
16.当該ワクチンがさらにまたアジュバントを含む、項目10に記載のワクチン。
17.当該アジュバントがEMULSIGEN(商標)水中油エマルジョンを基剤とするアジュバントである、項目16に記載のワクチン。
18.当該セネカウイルスA(SVA)が配列番号:1を含み、および/または配列番号:1のRNA等価物を含む、項目6に記載のワクチン。
19.当該ワクチンが組換えワクチンである、項目11に記載のワクチン。
20.そのような組換えワクチンが以下からなる群から選択される1つ以上の免疫原性成分を含む、項目11に記載のワクチン:
(a)組換えポリペプチドが配列番号:3と少なくとも90%相同性を有する、セネカウイルスA(SVA)の抗原をコードする単離核酸、
(b)(a)の単離核酸を含むベクター、
(c)(a)の核酸によってコードされる組換えタンパク質、
(d)前記の任意の組合せ。
21.そのようなワクチンが医薬的に許容できる担体および/または賦形剤を含む、項目20に記載のワクチン。
22.当該賦形剤が1つ以上のアジュバントである、項目21に記載のワクチン。
23.当該アジュバントがEMULSIGEN(商標)水中油エマルジョンを基剤とするアジュバントである、項目22に記載のワクチン。
24.当該ワクチンがさらにまた1つ以上の追加の抗原を含む、項目20に記載のワクチン。
25.免疫原性成分が単離核酸である、項目20に記載のワクチン。
26.免疫原性成分がベクターである、項目20に記載のワクチン。
27.免疫原性成分が組換えセネカウイルスA(SVA)P1タンパク質である、項目11に記載のワクチン。
28.免疫原性成分が組合せである、項目20に記載のワクチン。
【実施例1】
【0044】
本試験では通常の動物を利用して、ワクチン投与後の血清学的応答の誘発に関する予備的フィージビリティを決定した。本試験の主要な目的は、セネカウイルスA(SVA)(配列番号:1もしくは配列番号:2、および/または配列番号:1と97%同一の核酸配列(前記は配列番号:3のポリペプチドの免疫学的に有効な活性を有するポリペプチドをコードする))を用いる不活化全ウイルス調製物が、通常のブタでSVAワクチンに対して血清転換するか否かを評価することであった。
ウイルス分離のためには、水疱液の0.5mLを0.2/0.8μm注射器フィルター(Pall Acrodisc Cat 4658)でろ過し、ろ液をブタ精巣細胞(ST細胞)への接種に用いた。ST細胞を6-ウェルプレートで80-100%コンフルエントに増殖させた。培地を吸引し、0.25mLのろ液を細胞に接種した。37°Cで1時間吸着させた後、プレーンな無血清培地を細胞に添加した。プレートを37°C、5%CO2雰囲気でインキュベートし、細胞変性効果(CPE)について毎日チェックした。CPEは典型的には24-28時間で完了した。最終ウイルスを数回継代し、シリーズ作製のために用いた。
ウイルスストックは、AI-ST細胞を植付けたフラスコに5mLのウイルスストックおよび160mLの培地(最少必須培地+2.5% HEPES)を接種することによって調製した。フラスコを約48時間インキュベートした。フラスコを凍結し続いて室温で解凍した。材料を0.2μmでろ過した。ウイルス採集物は、10mMのBEIおよび0.2%ホルムアルデヒドの混合物を用い37°Cで72時間定常的に激しく攪拌しながらで不活化した。不活化物はチオ硫酸ナトリウム(BEIの体積の17%を添加)および亜硫酸水素ナトリウムで中和した。不活化は材料をAI-ST細胞で2回継代することによって確認した。最初の継代のために、不活化材料の10mLをAI-ST細胞のT75フラスコに接種した。フラスコを37°C+5%CO2で7日間インキュベートし、定期的に細胞変性効果の存在について評価した。2回目の継代のために、フラスコを凍結し続いて解凍した。材料を遠心分離し、上清の10mLをAI-ST細胞のT75フラスコに接種した。フラスコを37°C+5%CO2で7日間インキュベートし、定期的に細胞変性効果の存在について評価した。アッセイには陽性および陰性コントロールを加えた。結果は両ロットで増殖がないことを立証した。不活化ウイルス採集物を、10k、650cm2の限外ろ過ホローファイバーカートリッジを用いて12.4倍に濃縮した。濃縮シリーズにEMULSIGEN(商標)D(業者(Phibro Animal Health Corporation)から市場で入手できる)を無菌的に混合し、12.5%処方物を得た。混合物を30分間室温で攪拌し、続いて30mLワクチン瓶に無菌的に分配し、4°Cで保存した。血液寒天プレートで37°Cで48時間日常的(嫌気的および好気的)培養することによって、材料を細菌無菌性について試験した。細菌の夾雑は検出されなかった。
20匹のブタを表1に示すように2グループにランダム化した。グループの説明およびハウジング構造については下記表1を参照されたい。0日目に、SVAワクチンの2mL筋肉内用量およびプラセボをブタに投与した。21日目に、動物にSVAワクチンまたはプラセボをブースター投与した。各ワクチン接種(0日目および21日目)および35日目の処置実施前に、全てのブタから血液を収集した。血清サンプルのサブセットをSVAへの血清転換の証明のためにアッセイした。試験の全体を通して全身の健康状態の観察を記録した。ワクチン投与後に最低限3日間注射部位を反応について観察した。動物は試験終了時に人道的に安楽死させた。
【0045】
表1:試験設計
【表1】
本試験では、12.5%のEMULSIGEN(商標)でアジュバント添加したBEI不活化SVA原型の2用量を投与した後、SVAに対して100%の血清転換(ウイルス中和によって測定)が示された。重要イベントおよびサンプル採集のスケジュールについては表2を参照されたい。
【0046】
表2:重要イベントおよびサンプル収集のスケジュール
【表2】
*反応が解消するまで観察を継続したことに留意。
偏向を回避するために、0日目および21日目の処置は、動物の臨床モニタリングに関与しない職員によって実施された。0日目に、適切なサイズの無菌的な針と注射器を用いて、2mL用量のワクチンを健康なブタの首の右側の筋組織に投与した。注射を首の左側に実施したことを除いて、21日目のプロセスは同じであった。ロット番号、投薬量、動物認識番号およびワクチン物質の投与タイミングはワクチン用量確認記録に記録された。
ワクチン接種期間を通して毎日、全身の健康状態観察書式を用いて動物を評価した。具体的には、全ての動物が正常な場合、状態についてNを入力した。異常なブタを見つけた場合、状態についてAを入力し、個々の動物の認識番号および異常を記載した。各ワクチン接種の後で、注射部位領域を発赤、腫脹、熱および痛み(存在または欠如)およびサイズ(cm)について最低限3日間モニターした。病巣が明白な場合、解消するまでそれらをモニターした。
血液収集日に、本研究者または被指名者が、3から8mLの静脈全血を下大静脈から適切なサイズのVACUTAINER(商標)針、VACUTAINER(商標)針保持器(ともに業者(Becton Dickinson and Company Corporation)から市場で入手できる)および適切なサイズの血清分離チューブ(SST)を用いて収集した。
血清サンプルは試験まで2-8°Cで維持した。処理は受領してから48時間以内に完了させた。血液チューブは4°Cで10分間1960xgで遠心分離した。血清を凝血から遠心分離によって分離し、2本のねじ蓋極低温バイアルに移した。バイアルには、少なくとも試験番号、試験日および動物のIDについて標識を付した。アリコットを-70°C±10°Cで保存した。この試験の完了後、サンプルを最低限6ヵ月間保存した。
選択した血清サンプルをSVA単離株NAC#20150909を用いウイルス中和アッセイによって試験した。
試験終了時に動物を深麻酔し、各動物から250mL遠心分離瓶の1本に血液を収集した。動物を安楽死させ、注射部位を触診した。全動物をAUPおよび施設標準操作手順にしたがって取り扱った。
当該ブタを実験ユニットとみなした。雌ブタ#9、116、787および895から生まれた利用可能なブタ(n=30)並びに雌ブタ#141および145から生まれた利用可能なブタ(n=6)のリストをランダム化に用いた。具体的には、ブタに乱数を割り当てた(random. orgを利用)。ブタを雌ブタ、したがって乱数によって分類した。囲い割当に乱数を割り当てた(random. orgを利用)。続いて囲い割当てを乱数によって分類し、当該動物リストを用いて組み合わせた。
統計分析およびデータの要約は当該試験の監理者によって実施された。全データを分析のためにJMP(商標)バージョン11.1.1に取り込んだ。データリストおよび治療グループによる統計要旨を作製した。
社内開発ウイルス中和アッセイを用い、ワクチン接種後の動物の血清転換を測定した。ワクチン接種前には、いずれの動物も検出可能な血清学的応答を示さなかった。35日目までに、全てのワクチン接種動物(グループ1)は検出可能な応答を示した。アッセイを1:80希釈で実施し、動物を陽性または陰性と判断した。SVA VNの結果の要旨については下記表3を参照されたい。
【0047】
表3:グループおよび試験日によるSVA VNの結果
【表3】
本試験の主要な目的は、通常のブタがSVAワクチンによるワクチン接種の後でSVAに対して血清転換するか否かを判定することであった。SVAワクチンに関しては、不活化SVA原型ワクチンでワクチン接種されたブタの100%が中和抗体応答を生じることができた。結論すれば、本試験は、不活化SVA原型ワクチンに対する有効性の合理的な予測を示すことができた。
【実施例2】
【0048】
2つの遺伝子配列をpUCIDT-Ampベクター(Integrated DNA Technologies)で決定した。SVVP13C遺伝子(配列番号:18)は、完全長P1多価タンパク質のネイティブの配列である。前記P1多価タンパク質は、2A並びに部分的2Bおよび3B配列を有し、前記はP1多価タンパク質および3C自己切断プロテアーゼを連結する。SVVP13C-CO遺伝子(配列番号:20)はSVVP13Cの昆虫コドン最適化バージョンであり、前記はIDTコドン最適化ツールを用いてコドン最適化されたP1、2Aおよび2Bを有するが、一方、3Bおよび3Cはネイティブの配列を維持した。両遺伝子は、開始コドンの前にKozak配列を有するとともに、BamHIおよびNotI制限部位を5’および3’末端にそれぞれ有する。SVVP13C(配列番号:18)およびSVVP13C-CO(配列番号:20)挿入物は、pUCIDT-AMP-SVVP13CおよびpUCIDT-AMP-SVVP13C-COプラスミドからそれぞれBamHIおよびNotI消化によって切り出され、pVL1393ベクター(BD Biosciences)に連結された。ネイティブおよびコドン最適化pVL1393構築物の構築設計については
図1を参照されたい。
PCR増幅を実施して、SVVP1-His(配列番号:26)およびSVVP1CO-His(配列番号:27)配列をそれぞれpIDT-AMP-SVVP13CおよびpIDT-AMP-SVVP13C-COから増幅した。各遺伝子(配列番号:34、35、36および37)の3’末端に6X Hisタグのコード配列を付加するプライマーを用いた。SVV3C配列(配列番号:30)はpIDT-AMP-SVVP13Cから増幅し、5’SpeI部位および3’SacI部位を付加するためのプライマー(配列番号:38および39)を用いた(プライマーについては表4を参照)。
【0049】
表4:SVVP1-His-SVV3CおよびSVVP1CO-His-SVV3Cのためのプライマー配列
【表4】
【0050】
表5:SVVP13C VP3/VP1およびSVVP13CDのためのプライマー配列
【表5】
SpeIおよびSacI制限部位を用いて、SVV3C挿入物(配列番号:30)をpORB-MCS1-sIRES-MCS2ベクター(Allele Biotechnology)の第二のマルチクローニング部位(MCS2)に連結した。その後で、BamHIおよびNotI制限部位を利用し、SVVP1-HisまたはSVVP1CO-HisのどちらかをpORB-MCS1-sIRES-SVV3CのMCS1に連結し、それぞれpORB-SVVP1-His-sIRES-SVV3C(配列番号:32)およびpORB-SVVP1CO-His-sIRES-SVV3C(配列番号:33)を作製した。
pUCIDT-AMP-SVVP13C中のSVVP13C配列(配列番号:18)のVP3/VP1切断部位(ヌクレオチド1786-1797)をFH/STからPQ/GVに変異させるために、プライマーを設計した(プライマー(配列番号:40および41)については上記表5を参照されたい)。ライトニング迅速位置指定変異誘導キット(Lightning Quik Site Directed Mutagenesis kit(Stratagene))を用いた。変異配列、SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)をpUCIDT-AMP-SVVP13C VP3/VP1から切り出し、pVL1393ベクターに連結してpVL1393-SVVP13C VP3/VP1を生成した。オーバーラッププライマーセット(配列番号:34、42、43および44)を用いオーバーラップ伸長PCR(OE-PCR)によって、追加の構築物をSVV3Dコード配列(配列番号:45)にSVVP13C配列(配列番号:18)の3’末端で融合させた。得られたPCR生成物、SVVP13(配列番号:24)をpVL1393でBamHIおよびNotI制限部位を用いてクローニングした(SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)およびSVVP13CD構築物(配列番号:24)の模式図については
図3を参照されたい)。
pVL1393系プラスミド中の組換えSVVキャプシド構築物をFlashBAC ULTRA(FBU)バキュロウイルスDNA(Oxford Expression Technologies)とともにSf9細胞に共同トランスフェクトし、一方、pORB系プラスミドはBaculoGoldバキュロウイルスDNA(BD Biosciences)とともにSf9細胞に共同トランスフェクトした。ESCORTトランスフェクション試薬(Sigma Aldrich)を製造業者の指示にしたがって用いた。トランスフェクトしたSf9細胞の細胞培養上清を採集し、1,000xgで5分間の遠心分離によって細胞屑を沈殿させて清澄にした。清澄上清を収集し、0.2μmフィルターで処理してP1トランスフェクション採集物として保存した。Sf9昆虫細胞を用いてP2ストックを作製し、続いてP2ストックを用いてSVV構築物のP3およびP4増幅物をSF+昆虫細胞でのタンパク質発現評価のために作製した。バキュロウイルス感染SF+細胞を採集し、10,000xgで10分間(4°C)清澄にした。バキュロウイルス感染SF+細胞の培養物を毎日サンプル採取して、全細胞/mL、生存活性細胞/mL、パーセント生存活性および細胞直径(Vi-Cell分析による)をモニターした。生存活性が30%生存活性以下の時または生存活性細胞が1x10
6細胞/mL以下の時に、増幅物を採集した。感染が進行したときタンパク質発現を評価するためにさらにもう1mLのサンプルを毎日収集し、上記のように処理した。収集上清および細胞ペレットサンプルを評価まで-70°Cで保存した。
【0051】
・昆虫細胞ペレットを溶解し可溶性および不溶性分画を分離する
SF+昆虫細胞培養サンプルを遠心分離し細胞をペレットにした。その後で培地を除去しペレットを溶解まで凍結した。ペレットを溶解緩衝液に再懸濁した。当該緩衝液は以下を含む: 20mMトリス、1%トリトンX-100、His付加タンパク質のためのプロテアーゼ阻害剤カクテル(10μL/mL)、および脱イオン水(pH7.4)中のベンゾナーゼ(250単位/mL)。再懸濁させた昆虫細胞溶解物を、10秒間ボルテックス、室温で5分間インキュベート、再び10秒間ボルテックし、続いて19,090xg(4°C)で10分間遠心分離して不溶性物質をペレットにした。可溶性溶解物は不溶性分画からピペットで取り出し、チューブに-70°Cで保存した。
【0052】
・SVV組換えキャプシドタンパク質の精製
発現された組換えSVVキャプシドタンパク質を含む上清採集物を0.2μmフィルターで処理し、超遠心分離管に分配し、100,000xg(4°C)で2時間遠心分離してタンパク質およびおそらくVLPをペレットにした。清澄な上清を注意深くデカントし、ペレット物質をTBSに再懸濁して4°Cで保存した。不連続10%-60%シュクロースグラディエントを用い、組換えSVVキャプシドタンパク質を対応する構築物のためにさらに精製した。対応する再懸濁材料をグラディエントの最上部に添加し、100,000xg(4°C)で2時間遠心分離した。シュクロースグラディエントの分画をチューブに均等に収集し(分画1はグラディエント表面の最上部から開始する)、4°Cで保存した。
【0053】
・SDS-PAGEおよびウェスタンブロット
SDS-PAGEは、NuPAGE電気泳動系および4-12% Bis-Tris MESミニゲルを用いて実施した。0.05M DTTを用い還元条件下で、サンプルを175Vで適切な時間分離した。eStain 2.0タンパク質染色装置を用いて全タンパク質についてゲルを染色するか、またはウェスタンブロット用iBlot系を用いゲルをニトロセルロース膜に移した。ウェスタンブロットは以下の抗体を用いスナップIDタンパク質検出系(Snap ID Protein Detection System(EMD Millipore))によって実施した:抗SVVペプチドウサギポリクローナル抗体(抗VP1-2、抗VP2-2および抗VP3-1、希釈は変動する)および抗ウサギペルオキシダーゼ標識二次抗体(1:500)。陰性コントロールバキュロウイルス抗原を抗体希釈物中に用い、TMB膜ペルオキシダーゼ基質を用いて現像した。
【0054】
・精製SVV組換えキャプシドタンパク質の透析および濃縮
ウェスタンブロットによって決定された組換えタンパク質含有シュクロースグラディエント分画を一緒にプールし、10,000MWCOまたは50,000MWCOセルロース膜透析カセットに分配した。当該透析カセットを磁気攪拌棒を有する3.5LのTBS中に置き、蓋をし、4°Cの攪拌場所に最低限6時間置いた。続いて、透析カセットを3.5LのTBSの新しいビーカーに置き、一晩以上攪拌しながら更なる攪拌を実施した。サンプルを透析カセットから取り出し、透析サンプルの体積に応じて必要な場合には濃縮した。濃縮は、所望のサンプル体積が達成されるまでサイズ排除フィルターユニットおよび遠心分離を用いて実施し、製造業者の指示に従った。
【0055】
・電子顕微鏡(EM)画像化
シュクロースグラディエント精製透析組換えSVVキャプシドタンパク質サンプルはVLPの可視化のために、USDA NADC施設で透過型電子顕微鏡(EM)によって評価した。ネイティブのSVVの正20面体ウイルスキャプシドの予想サイズは直径が約27nmである。
【0056】
・結果および考察
ネイティブのSVV P1多価タンパク質(配列番号:19、アミノ酸1-859)は自己切断プロテアーゼによってプロセッシングされて、個々のウイルスキャプシドサブユニットタンパク質、VP1-VP4を形成する。本発明に記載のSVVバキュロウイルス構築物は、FMDVバキュロウイルス構築物のために用いられるものと類似の態様で設計されて、発現された多価タンパク質は個々のタンパク質サブユニットに自己切断し空のキャプシドまたはVLPを形成するために利用された。完全長のSVV P1多価タンパク質、2A、部分的2Bおよび3B、並びに3C(配列番号:18)をコードする構築物は、ネイティブのコード配列を用いまたは昆虫細胞のためにコドン最適化されたP1、2Aおよび2B配列(配列番号:20)を用いて調製された。類似のpVL1393系FMDVバキュロウイルス構築物を用いた以前の研究は、3C発現に起因するSF+細胞毒性を示した。潜在的なSVV 3C毒性に関する懸念は、評価のためのpORB系バキュロウイルス構築物の作製によってもまた強められた。pORB系構築物は内部リボソーム進入部位(WSSV sIRES)(配列番号:32、核酸2647-2826)、を利用し、前記はキャップ非依存mRNA翻訳を可能にするが、それは、ポリヘドリンプロモーターの3’末端の最も近くに隣接する配列の5'キャップ依存翻訳とは相違する。いくつかの研究は、sIRES(例えばWSSVに由来するもの)の使用は、しばしばsIRESの後ろに置かれた翻訳される配列のタンパク質の発現低下を招くことを示した。記載のSVVバキュロウイルス構築物(配列番号:32および33)の関係では、sIRESの利用はSVV3C自己切断プロテアーゼの発現を減少させる可能性があり、そのことは順繰りに、SVVP1の発現を減少させることなく3C毒性問題を軽減する可能性をもたらす。pORB系およびpVL1393系構築物は、それらはともにSVVP1配列を利用し、C-末端6x-Hisタグを含むという点で類似していた。しかしながら、pORB系またはpVL1393系構築物との間の重要な相違は、pORB系構築物はSVV3Cプロテアーゼ配列をsIRES部位の後ろに置くということであった。これらの初期構築物セットを評価した後で、本来のSVV DNA配列を改変しながらさらに2つの構築物を作製した。1つの構築物はVP3/VP1切断部位配列が改変され(配列番号:22)、他方の構築物はさらにSVV3D DNA配列をSVV3C配列の末端に取り込んだ(配列番号:24)。全ての構築物をキャプシドサブユニットの発現とともにVLPの生成について評価した。
【0057】
・バキュロウイルス感染昆虫細胞でのSVVキャプシドタンパク質の発現
BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)およびBaculoFBU/SVVP13C-CO(配列番号:20)を用いて、SVVキャプシドタンパク質の発現を評価するために収集したサンプルをSF+細胞に感染させた。予想されるサイズのVP1(配列番号:19、アミノ酸596-859)、VP2(配列番号:19、アミノ酸73-356)およびVP3(配列番号:19、アミノ酸357-595)キャプシドサブユニットのタンパク質バンドが、抗SVVP1サブユニット特異抗体を用いてバキュロウイルス感染昆虫細胞の上清でウェスタンブロットによって検出された。それらはネイティブのキャプシドタンパク質とサイズが類似していた(
図4)。興味深いことに、~55kDaの追加のタンパク質バンドがアルファ-SVV VP1およびアルファ-SVV VP3ウェスタンブロットで検出された。~55kDaバンドはネイティブのSVV抗原サンプルまたは陰性コントロールでは検出されなかった(
図4)。サイズが~55kDaの追加のタンパク質の存在は、それが切断されていなVP3-VP1タンパク質生成物を含む可能性を示唆する。
図4はまた、ネイティブ(A)(配列番号:18)およびコドン最適化(B)(配列番号:20)のSVV DNA配列間におけるバキュロウイルス感染SF+細胞のSVVキャプシドタンパク質発現レベルの比較を提供する。これらウェスタンブロットによれば、コドン最適化BaculoFBU/SVVP13C-CO(配列番号:20)と本来のネイティブのBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)との間でSVVキャプシドタンパク質発現レベルに明白な相違は存在せず、したがってBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)のみをさらに評価した。sIRESの後ろに置かれた3Cプロテアーゼを有する構築物の第二のセットは、SF+昆虫細胞の感染中に検出可能なSVVキャプシドサブユニットタンパク質を生成しなかった。sIRES構築物は検出可能なSVVキャプシドサブユニットタンパク質レベルを生成しなかっただけでなく、SF+細胞傷害性問題も観察されなかった。結果として、sIRESはさらに評価されなかった。これらの全体的な観察により、BaculoFBU/ SVVP13C感染SF+昆虫細胞の上清採集物が、シュクロースグラディエント精製およびVLPの存在の評価を押し進めるためにもっとも有望な構築物であった。
BaculoFBU/SVVP13C由来SVVキャプシドタンパク質のシュクロースグラディエント中での予想される移動性を決定するために、ネイティブのSVVウイルスペレットをシュクロースグラディエントで分離し、ウェスタンブロットによって分析した(
図5A)。ネイティブのSVVサブユニットタンパク質の大半が、ネイティブのSVVのシュクロースグラディエント精製の後で分画5および6で検出された。VLPがバキュロウイルス感染SF+細胞で形成される場合、それらは収集グラディエント分画の同様またはわずかに大きい範囲に存在すると予想された。
BaculoFBU/SVVP13C構築物の採集物上清もまたシュクロースグラディエント精製のために処理した。シュクロースグラディエント分画のウェスタンブロットは、シュクロース分画1に組換えSVV VP2キャプシドタンパク質の小部分を検出しただけである(
図5B)。VP1およびVP3はシュクロース分画では検出されなかった。ただし~55kDaにかすかなタンパク質バンド(切断されていないVP3-VP1と考えられる)が、α-SVV VP1ウェスタンブロットによってシュクロース分画の全体を通して検出された。ネイティブのSVVに由来する予想タンパク質の検出とは対照的に、組換えSVVキャプシドタンパク質は分画5および6で検出されなかった。これらの結果は、BaculoFBU/SVVP13C感染昆虫細胞で発現されるキャプシドサブユニットタンパク質はVLPを形成しないことを示唆する。
BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)が組換えSVVキャプシドタンパク質を生成したとしても(アルファ-SVV抗体でサブユニットとして検出される)、VLPは観察されなかった。ネイティブのSVVウイルスタンパク質と比較したとき、キャプシドサブユニットタンパク質は同様なサイズであったが、バキュロウイルス感染SF+細胞ではいくつかの他のタンパク質バンドもまた検出され(アルファ-SVV VP1およびアルファ-SVV VP3ウェスタンブロットにおける~55kDaのタンパク質バンドを含む)、切断されていないVP3-VP1タンパク質生成物はネイティブのSVVウイルスには存在しないことを示唆する。これは、VP3-VP1サブユニットの効率的切断および分離に関する問題(前記は順繰りにバキュロウイルス感染昆虫細胞におけるVLP形成を妨害する可能性がある)を提示しているかもしれない。
【0058】
・改変BaculoFBU/SVVP13C構築物の評価
完全には分離していないSVVキャプシドサブユニットタンパク質VP1およびVP3の蓋然性を究明するために、以前の刊行物に基づいて2つの新規な構築物を設計した。Halesらの2008年の発表は、SVVP1 VP3/VP1切断部位、FH/STは、ピコルナウイルス(SVVに最も近縁な属のカルディオウイルスを含む)の非定型例であることを記載した。比較すれば、PQ/GVの定型的切断部位は多くの既知のピコルナウイルスで保存されている。したがって、VP3/VP1切断部位の定型的ピコルナウイルス切断配列への変異は、VP3およびVP1キャプシドサブユニットの切断を強化するかもしれない。VP3/VP1接触面でPQ/GV配列を含むようにBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)構築物を変異させ、BaculoFBU/ SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)と称する構築物を得た。この新規な構築物を用いてSF+細胞に感染させ、BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)と類似様式のタンパク質発現査定で評価した。BaculoFBU/ SVVP13C VP3/VP1由来上清サンプルのウェスタンブロット(アルファ-SVV VP!またはアルファ-SVV VP3抗体使用)は、推定的非切断VP3-VP1タンパク質生成物および個々のサブユニットのVP3またはVP1バンド(同じ割合)を検出した(前記はBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)で観察された)(
図6)。SVVP1多価タンパク質の予想完全長タンパク質バンド(~95kDa)もまたBaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1採集物上清で検出された。
加えて、採集物上清のシュクロースグラディエント分画のウェスタンブロット(
図7)をBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)の結果と比較した。α-SVV VP2ウェスタンブロットは、組換えSVV VP2キャプシドタンパク質をシュクロース分画の全体を通して検出し、大半は分画1および9に存在した。サブユニットVP1およびVP3タンパク質はシュクロース分画では検出されなかったが、ただし~55kDaのタンパク質バンドは、α-VP1ウェスタンブロットのシュクロース分画の全体を通して、およびα-VP3ウェスタンブロットのシュクロース分画1および9で検出された(前記はおそらく切断されていないVP3-VP1タンパク質である)。3つのウェスタンブロットはいずれも、まさに最後のシュクロース分画で検出されるいくつかのタンパク質を有し、それらはシュクロースグラディエントの出発サンプルと類似するようであった。このことは、SVVキャプシドタンパク質は凝集しグラディエントの底でペレットを形成することを示唆する。キャプシドタンパク質は、BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)シュクロースグラディエントウェスタンブロット(
図5b)の最後の分画で検出されなかったが、以前の評価では観察された(NB3219-123)。これらのウェスタンブロット評価から、切断配列のFH/STからPQ/GVへの変異は非切断VP3-VP1と考えられる~55kDaバンドの存在に影響を与えないと思われる。本来の構築物と比較して、VP3およびVP1タンパク質サブユニットの量の増加は検出されず、VLP形成も観察されなかった。
ピコルナウイルスの他の属(エンテロウイルスおよびアプトウイルスを含む)は、ネイティブのウイルスに3CDプロテアーゼを有するときVP3-VP1のより有効な切断を示す。そこで第二のセネカウイルス構築物、BaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)を設計した。BaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)をSF+細胞で発現させ上清採集物をウェスタンブロットによって評価した(
図8)。以前のVLP査定に匹敵する結果が観察され、VP1、VP2およびVP3サブユニットが、切断されていないと思われる~55kDaのVP3-VP1部分とともにα-SVV VP1およびα-SVV VP3ウェスタンブロットで検出された。
他のSVVバキュロウイルス構築物によるSVVタンパク質査定と対照的に、BaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)のシュクロース分画ウェスタンブロット評価は、シュクロース分画1および2に存在するモノマーSVV VP1、VP2およびVP3を示し、VP1およびVP2はシュクロース分画全体を通して検出された。~55kDaタンパク質バンドはα-SVV VP1およびα-SVV VP3ウェスタンブロットのシュクロース分画1および2に存在したが、陰性コントロールサンプルまたはα-SVV VP2ウェスタンブロットには存在しなかった(
図9)。BaculoFBU/ SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)シュクロース分画評価と同様に、SVVキャプシドタンパク質の大半は凝集し、BaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)のシュクロースグラディエントの底でペレットを形成した。しかしながら、BaculoFBU/SVVP13CD感染SF+細胞構築物に由来する分画全体を通して検出されるSVV VP1およびVP2サブユニットは、VLP形成の可能性を示唆する。
各構築物のシュクロースグラディエント評価の明瞭ではない結果にもかかわらず、VLPを含むと予想される分画を電子顕微鏡試験(EM)によってUSDA NADCで評価した。EM画像化の準備のために、BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)、BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP(配列番号:22)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)上清採集物のシュクロース分画プールをTBSで透析し濃縮した。EMネガティブ染色では、サンプルはVPLを明瞭に表すのが困難な高いバックグラウンドを有した。いくつかの球体状形が、BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)のシュクロース分画プールで分散して認められ、前記は予想されるSVV VLPとサイズが類似したが、VLPの存在を確認するにはサンプル全体を通してそれらは十分には存在しなかった。
【0059】
・組換えSVVタンパク質はSF+昆虫細胞内で発現される
個々の組換えSVVウイルスキャプシドタンパク質が上清では検出されないが、VLPを形成しているように思われるという点に関する1つの可能性は、VLPは上清に放出されてまもなく昆虫細胞培地の低pHのために分離する可能性があるということである。この仮説を試験するために、BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)、BaculoFBU/ SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)感染の3日目(細胞の生存活性がなお比較的高いとき)の細胞ペレットサンプルを生理学的pHの緩衝液中で溶解し、ウェスタンブロットによる組換えSVVサブユニットタンパク質の評価のために可溶性タンパク質分画を入手した(
図10)。バキュロSVV構築物の上清採集物サンプルで観察されるように、検出可能レベルのサブユニットキャプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3が3日目の可溶性分画に存在した。切断されていないVP3-VP1タンパク質と思われる~55kDaバンドもまた、以前に観察されたように、α-SVV VP1およびα-SVV VP3ウェスタンブロットのバキュロSVVサンプルレーンで検出された。3日目の可溶性分画をシュクロースグラディエント精製してウェスタンブロットで評価し、VLPが溶解前の細胞内に存在していたか否かを観察した(
図11)。
3日目の可溶性分画のシュクロース分画は、BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)、BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)感染昆虫細胞の上清採集物シュクロース分画で観察されるものとそれぞれ同質の結果を示した。SVVキャプシドタンパク質であると思われるタンパク質バンドは大半が分画1および2で検出され、および/または底でペレットを形成し、昆虫細胞内部のSVVサブユニットタンパク質は細胞溶解前にVLPを形成しないことを示唆する。BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)3日目可溶性サンプルのシュクロース分画プールでEMを実施し、このサンプルではVLPは観察されなかった。BaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)3日目可溶性シュクロース分画ではEMによる評価を実施しなかった。
・結論
組換えSVVウイルスキャプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3はある程度、完全に切断されたタンパク質として発現されることが分かったが、それらは、シュクロースグラディエント精製およびEM画像化によればVLPを形成しなかった。シュクロースグラディエント分画のウェスタンブロット評価では、組換えSVVキャプシドタンパク質は、グラディエントの最初の数分画でおよび/または最後の分画で検出された。これらの結果は、当該タンパク質はVLPに組み立てられないで、むしろ非結合モノマーとして存続するか、または不正確に折り畳まれた或いは不正確に組み立てられたタンパク質を示す大きな凝集物を形成することを示唆する。電子顕微鏡試験は、SVVキャプシドサブユニットタンパク質を含むシュクロース分画プールでVLPが検出されなかったのでこれらの結果を支持する。
【実施例3】
【0060】
本試験は通常の動物を利用して、ワクチン投与後の血清学的応答の誘発に関する予備的フィージビリティを決定した。本試験の主要な目的は、原型ワクチンBaculoFBU/SVVP13C(配列番号:18)、BaculoFBU/SVVP13C VP3/VP1(配列番号:22)およびBaculoFBU/SVVP13CD(配列番号:24)の投与が通常のブタで血清添加をもたらすか否かを評価することである。
表1に示すように、40匹のブタを4グループにランダム化する。グループの説明およびハウジング構造については下記表6を参照されたい。0日目に、原型ワクチンの2mL筋肉内用量およびプラセボをブタに投与する。21日目に、動物に原型ワクチンまたはプラセボをブースター投与する。各ワクチン接種(0日目および21日目)および35日目の処置実施前に、全てのブタから血液を収集する。血清サンプルのサブセットをSVAへの血清転換の証明のためにアッセイする。全身の健康状態の観察を試験を通してずっと記録する。ワクチン投与後に最低限3日間注射部位を反応について観察する。動物は試験終了時に人道的に安楽死させる。重要なイベントおよびサンプル収集のスケジュールについて表7を参照されたい。
【0061】
【0062】
表7:重要イベントおよびサンプル収集のスケジュール
【表7】
*反応が解消するまで観察を継続したことに留意。
【0063】
偏向を回避するために、0日目および21日目の処置は、動物の臨床モニタリングに関与しない職員によって実施される。0日目に、適切なサイズの無菌的な針と注射器を用いて、2mL用量のワクチンを健康なブタの首の右側の筋組織に投与する。注射を首の左側に実施したことを除いて、21日目のプロセスは同じである。ロット番号、投薬量、動物認識番号およびワクチン物質の投与タイミングはワクチン用量確認記録に記録される。
ワクチン接種期間を通して、全身の健康状態観察書式を用いて毎日動物を評価する。具体的には、全ての動物が正常な場合、状態についてNを入力する。異常なブタを見つけた場合、状態についてAを入力し、個々の動物の認識番号および異常を記載する。各ワクチン接種の後で、注射部位領域を発赤、腫脹、熱および痛み(存在または欠如)およびサイズ(cm)について最低限3日間モニターする。病巣が明白な場合、解消するまでそれらをモニターする。
血液収集日に、本研究者または被指名者が、3から8mLの静脈全血を下大静脈から適切なサイズのVACUTAINER(商標)針、VACUTAINER(商標)針保持器(ともに業者(Becton Dickinson and Company Corporation)から市場で入手できる)および適切なサイズの血清分離チューブ(SST)を用いて収集する。
血清サンプルは試験まで2-8°Cで維持する。処理は受領してから48時間以内に完了させる。血液チューブは4°Cで10分間1960xgで遠心分離する。血清を凝血から遠心分離によって分離し、2本のねじ蓋極低温バイアルに移す。バイアルには、少なくとも試験番号、試験日および動物のIDについて標識を付す。アリコットを-70°C±10°Cで保存する。この試験の完了後、サンプルを最低限6ヵ月間保存する。
【実施例4】
【0064】
本試験は通常の動物を用いて、異種セネカウイルスA野外単離株による異種チャレンジに対して、2用量のセネカウイルスAワクチン(不活化、全ウイルス)の有効性を評価した。合計して25匹のブタを試験に用いた。動物を2つの処置グループにランダム化した。0日目に、SVA-Vxグループの13匹のブタの筋肉内(IM)にセネカウイルスAワクチン(不活化、全ウイルス)を接種し、一方、残りの12匹のブタ(にプラセボグループ)にはコントロール生成物を投与した。14日目に、適切な材料を用いて、全てのブタの筋肉内にブースターワクチンを投与した。35日目に、全てのブタを8.36log TCID50/用量の異種セネカウイルスA野外単離株(ウイルス採集物)(合計体積5mL(2mLを経口および3mLを鼻内))でチャレンジした。全てのブタを1つの部屋の中に一緒に収容した。0日目から33日目までずっと、全身の健康状態について毎日ブタをモニターした。34日目から49日目までずっと、SVA感染に関連する臨床徴候について毎日ブタをモニターした。試験を通してずっと、血液および直腸温度を定期的に採取した。49日目に(チャレンジ後4日)、全ての動物を剖検した。実験設計要旨については表8を参照されたい。
【0065】
表8:試験設計
【表8】
ワクチンおよびコントロール生成物の処方の要旨については下記の表9を参照されたい。日常培養およびマイコプラズマ(Mycoplasma sp.)PCRをワクチン材料について実施した。(血液寒天での嫌気性または好気性)増殖もマイコプラズマDNA夾雑も検出されなかった。0日目に、適切なサイズの無菌的な針と注射器を用いて、首の右側(耳の基部と肩端との間の中程)の筋肉内にワクチンを投与した。14日目に、上記記載と同じ部位であるが首の左側にワクチンを投与した。全グループに2mL用量を投与した。
【0066】
表9:ワクチンおよびコントロール
【表9】
野外症例の報告及び以前の刊行物に基づいて、歩行不全、蹄の病巣、および水疱の存在について動物をモニターした。試験全体を通して動物が何らかの臨床的異常を示したら、罹患したとみなした。表10は、グループによる罹患動物の頻度の報告である。予防率概数0.322(0.004、0.539;95%CI)は、ワクチン接種が罹患動物数を減少させたことを示す。動物が異常な臨床徴候を示した日数についてもまた緩和率分析を実施した。緩和率概数0.710(0.333、0.935;95%CI)は、ワクチン接種が動物が罹患したとみなされる日数を減少させたことを示す。
【0067】
表10:チャレンジ期におけるグループによる臨床徴候の有無の頻度分布
【表10】
*罹患=臨床徴候は試験中に少なくとも1回観察された。
+動物#648は分析から除去された。
直腸温度をチャレンジ期間中に収集した。試験日およびグループによる直腸温度最小二乗平均は
図12に示される。ワクチン接種は40日目および42日目に有意に低い直腸温度をもたらした。
0日目、14日目、35日目および49日目の血清サンプルをウイルス中和アッセイによって評価した。グループおよび試験日による幾何平均力価は表11に示される。2用量のワクチンの後で、動物の13/13(100%)が400より高い中和力価を有した。
【0068】
表11:試験日およびグループによるウイルス中和力価の統計要旨(<40の値は20として示し、>2560の値は2560と示す)。
【表11】
血清中のウイルスRNAの存在をqRT-PCRアッセイによって検出した。
図13は、グループの血清SVA RNA中央値量(log
10ゲノムコピー/mL)を示す。ワクチン接種動物では、SVA RNAは試験中のいずれの時期でも検出されなかった。対照的にプラセボグループでは、ウイルス血症は36日目から42日目まで検出された。
結論すれば、2用量のセネカウイルスAワクチン(不活化、全ウイルス)によるワクチン接種は、ウイルス血症の完全な減少、臨床徴候の統計的に有意な緩和(PF=0.322;95%CI=0.004;0.539)、およびチャレンジ前の13/13のワクチン接種動物における4倍より高いウイルス中和力価をもたらした。
本明細書に開示し特許を請求する組成物および方法はいずれも、本開示に照らせば煩雑な実験無しに達成および実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施態様で述べてきたが、本発明の概念、趣旨および範囲を逸脱することなく、これら組成物および方法並びに本明細書に記載の方法の工程または工程の順序に変更を加え得ることは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連を有するある種の薬剤を本明細書に記載の薬剤の代りに用いて、なお同じまたは同様な結果を達成し得ることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似の代替および改変は、以下の特許請求の範囲に規定する本発明の趣旨、範囲および概念内にあるとみなされる。
【配列表】