IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小出製作所の特許一覧 ▶ 株式会社トライエム・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-電源ポール 図1
  • 特許-電源ポール 図2
  • 特許-電源ポール 図3
  • 特許-電源ポール 図4
  • 特許-電源ポール 図5
  • 特許-電源ポール 図6
  • 特許-電源ポール 図7
  • 特許-電源ポール 図8
  • 特許-電源ポール 図9
  • 特許-電源ポール 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】電源ポール
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220603BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220603BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20220603BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02G3/04 093
H02G3/04
H01R25/00 H
A47C7/72
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180171
(22)【出願日】2020-10-28
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2021045035
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519040407
【氏名又は名称】株式会社小出製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】519040902
【氏名又は名称】株式会社トライエム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】特許業務法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 恭一
【審査官】原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038545(JP,A)
【文献】特開2017-217398(JP,A)
【文献】特開2003-059594(JP,A)
【文献】特開平07-220832(JP,A)
【文献】実開昭60-117730(JP,U)
【文献】特開2015-142683(JP,A)
【文献】特開2003-135212(JP,A)
【文献】特開2000-283129(JP,A)
【文献】実開昭58-031409(JP,U)
【文献】特開2019-012690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00-77/18
83/00-87/02
A47C 7/00-7/74
F16B 5/00-7/22
H01R 25/00-25/16
H02G 3/00-3/04
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯タイプの情報機器に電源を供給する電源ポール(10)において、
電源ポール(10)は全体が同一径の円筒形状に構成され、背中合わせに配置された少なくとも2脚の椅子(11)間で当該椅子に隣接して設けられており、前記椅子(11)は隣接する椅子(11)同士を連結するアーム(13)を具備しており、
当該アーム(13)とは別体のブラケット(12)を有し、電源ポール(10)は前記ブラケット(12)を介して椅子(11)のアーム(13)に固定されており、床面に接触する部分には固定部材を設けておらず、
電源ポール(10)の同一高さ方向位置の4箇所にコンセント(2)を配置しており、電源ポール(10)の周方向で隣接するコンセント(2)は、その基盤における突出大部(2A)と突出小部(2B)が相互に上下方向が逆になる様に配置されており、
複数のブラケット(12)を備え、当該ブラケット(12)の先端には接続部材(14)が設けられ、当該接続部材(14)は椅子(11)のアーム(13)を包囲し或いはアーム(13)と締結されており、
前記複数のブラケット(12)は平面形状が概略X字状になる様に配置されており、X字の交点の位置で半割部材(23)により電源ポール(10)を支持しており、前記半割部材(23)は中空円筒を半割状にした形状であることを特徴とする電源ポール。
【請求項2】
内部に配線用遮断器(3)を備え、当該配線用遮断器(3)の最大定格電流が10A以下に設定されている請求項1の何れかの電源ポール。
【請求項3】
ケーシング(1)の上端部(1A)が透光性材料で構成されており、透光性材料の直下の位置に発光機器(4)が設けられている請求項1、2の何れかの電源ポール。
【請求項4】
前記ブラケット(12)の電源ポール(10)側の端部は保護部材(15)が設けられており、ブラケット(12)を電源ポール(10)に取り付ける固定部材(16)は保護部材(15)に埋設されている請求項1~の何れか1項の電源ポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空港等の公共施設において携帯タイプの情報機器(例えば、スマートフォン等やタブレット、その他の端末)に電源を供給するための電源ポールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報機器の普及に伴い、情報機器の充電のため、各種設備が用意されている。電源ポールもその一つである(例えば、特許文献1参照)。
従来の電源ポールは、例えば空港のラウンジ等の床面に、ボルト等で固定されている。
そのため、従来の電源ポールの設置個所の床面には、当該ポールを固定した痕跡(例えばボルト埋設の痕跡)が残存する。
【0003】
しかし、例えば空港のロビー等の公共施設ではレイアウトが頻繁に変更されるため、レイアウトの変更後には床面に電源ポールを固定した痕跡が残存する。そして当該痕跡が露出する場合がある。係る痕跡が露出することは、床面の損傷部分が旅行客の目に晒されることであり、公共施設である空港の利用者(旅行客)が不快を感じる恐れが存在する。
一方、電源ポールを床上に載置するのみであれば電源ポール固定の痕跡が床面に残存することは無いが、電源ポールが転倒してしまう恐れがあり、危険である。
【0004】
なお、上述した電源ポール(特許文献1の電源ポール)は、設置個所の床面に痕跡を残すことなく電源ポールを確実に固定するという問題の解決手段を示すものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-220832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、設置個所の床面に痕跡を残すことなく、確実に固定することが出来る電源ポールの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源ポール(10)は、
携帯タイプの情報機器に電源を供給する電源ポール(10)において、
電源ポール(10)は全体が同一径の円筒形状に構成され、背中合わせに配置された少なくとも2脚の椅子(11)間で当該椅子に隣接して設けられており、前記椅子(11)は隣接する椅子(11)同士を連結するアーム(13)を具備しており、
当該アーム(13)とは別体のブラケット(12)を有し、電源ポール(10)は前記ブラケット(12)を介して椅子(11)のアーム(13)に固定されており、床面に接触する部分には固定部材を設けておらず、
電源ポール(10)の同一高さ方向位置の4箇所にコンセント(2)を配置しており、電源ポール(10)の周方向で隣接するコンセント(2)は、その基盤における突出大部(2A)と突出小部(2B)が相互に上下方向が逆になる様に配置されており、
複数のブラケット(12)を備え、当該ブラケット(12)の先端には接続部材(14)が設けられ、当該接続部材(14)は椅子(11)のアーム(13)を包囲し或いはアーム(13)と締結されており、
前記複数のブラケット(12)は平面形状が概略X字状になる様に配置されており、X字の交点の位置で半割部材(23)により電源ポール(10)を支持しており、前記半割部材(23)は中空円筒を半割状にした形状であることを特徴としている。
【0009】
本発明において、内部に配線用遮断器(3:ブレーカー)を備え、当該配線用遮断器(3:ブレーカー)の最大定格電流が(15A未満、好ましくは)10A以下に設定されていることが好ましい。
また本発明において、ケーシング(1)の上端部(1A)が透光性材料で構成されており、透光性材料の直下の位置に発光機器(4:例えばLED電球)が設けられているのが好ましい。
【0012】
また、前記ブラケット(12)の電源ポール(10)側の端部は保護部材(15)が設けられており、ブラケット(12)を電源ポール(10)に取り付ける固定部材(16:例えば、ボルトヘッド等)は保護部材(15)に埋設されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述の構成を具備する本発明によれば、(本発明の電源ポール10は)椅子(11)に隣接して配置されており、ブラケット(12)を介して椅子(11)のアーム(13)に固定されているので、例えば空港ロビーの様に旅行客の休息用の椅子が配置されている場所であれば、何処でも本発明の電源ポール(10)を配置して、固定することが可能である。
この場合、床面に接触する部分にはボルト、ナット等の固定部材を設けておらず、床面にボルト等を埋設して固定する必要が無いので、電源ポール(10)の設置個所の床面に固定の痕跡(例えばボルト埋設の痕跡)を残してしまうことは無い。そのため、空港のロビー等の様に椅子のレイアウトを頻繁に変更する場所において、レイアウトの変更後に床面に前記痕跡、すなわち損傷部分が旅行客の目に晒されることがなく、公共施設である空港の床面が損傷することがなく、前記痕跡により旅行客が不快を感じる恐れがない。
そして、ブラケット(12)を介して隣接する椅子(11)のアーム(13)によって固定されるので、本発明の電源ポール(10)は転倒してしまうことなく、確実に直立した状態を維持することが出来る。
【0014】
ここで、情報機器、特にスマートフォンでは電池容量が少ないため、頻繁に充電を行わなければならない。特に、飛行機で移動する旅客の場合には、飛行機内では充電が出来ないため、空港に到着した時点で充電量が非常に少なくなってしまうことがある。
しかし、充電ポール(或いはそのコンセント)の数が限られているため、空港の利用者が多い場合には、旅客の保持する情報機器の電池残量が少なくなっても、直ちに充電することが出来ない、と言う問題が存在する。
本発明において、電源ポール(10)の同一高さ方向位置に(おける周方向に)複数のコンセント(2)を配置すれば、従来の電源ポールに比較して、多数(=4×口数)の情報機器(例えば、スマートフォン等やタブレット、その他の端末)の充電を同時に行うことが出来る。特に空港ロビーの様に、多数の旅行客が情報機器に充電することを希望している場所においては、多数の機器を同時に充電できることのメリットは大きい。
【0015】
本発明において、同一高さ方向位置(における周方向)で隣接するコンセント(2)の基盤が、相互に上下方向が逆になる様に配置されていれば、コンセント(2)の基盤における突出部分が同一高さ位置とはならない。そのため、コンセント(2)の基盤における突出部分により電源ポール(10)のハウジング(1)内の空間が閉鎖されてしまうことは無く、電源ポール(10)のハウジング(1)の径方向寸法を大きくする必要がない。
従って、電源ポール(10)を太くすることなく、従来よりも多数の機器を充電することが出来る。
【0016】
そして本発明において、内部に配線用遮断器(3:ブレーカー)を備え、当該配線用遮断器(3:ブレーカー)の最大定格電流を10A以下に設定すれば、10A以下という最大定格電流は家庭用の配線用遮断器の最大定格電流より低い数値であるため、本発明の電源ポール(10)が空港ロビーで使用され、充電の利用が殺到して10Aを超える電流の需要があったとしても、電源ポール(10)の配線用遮断器(2)が遮断され(いわゆる「落ちた」状態となり)、空港全体が停電する恐れがない。
そのため、空港の安全な運用が保持される。
【0017】
また本発明において、ケーシング(1)の上端部(1A)を透光性材料で構成し、透光性材料の直下の位置に発光機器(4:例えばLED電球)が設けられていれば、発光機器(4)からの光が透光性材料(ケーシング1の上端部1A)を介して電源ポール(10)の上端部(1A)から周辺部に照射され、いわゆる「間接照明」と同様な効果を発揮する。それと共に、電源ポール(10)の位置が把握し易くなり、充電を希望する旅行者が電源ポール(10)を認識し易くなる。
それに加えて、電源ポール(10)の上端部(1A)が光ることによりディスプレイとしての機能し、また、常夜灯としても機能する。
【0018】
ここで、本発明において、複数のブラケット(12)を備え、椅子(11)のアーム(13)に取り付け可能な接続部材(14)がブラケット(12)の椅子(11)のアーム(13)側端部に接続していれば、接続部材(14)を椅子(11)の種類に合わせて変更すれば、どの様な種類の椅子(11)であっても、アーム(13)を有するタイプの椅子(11)であれば、本発明の電源ポール(10)を支持することが可能である。
そのため、係る構造を具備している場合には、前記椅子(11)についてはアーム(13)を具備する以外には特に限定条件は無い。
【0019】
本発明において、電源ポール(10)は少なくとも2脚の椅子(11)間に配置され、前記複数のブラケット(12)は平面形状が概略X字状になる様に配置されていれば、どの様な方向の外力が本発明の電源ポール(10)に作用しても、当該外力はブラケット(12)を介して前記少なくとも2脚の椅子(11)の何れかが負担する。
そのため、空港ロビーの利用者が電源ポール(10)にもたれかかる等の理由により、電源ポール(10)に対して外力が作用したとしても、当該外力の作用する方向に拘らず、電源ポール(10)は椅子(11)により支持されるので、転倒することは防止される。
【0020】
ここで、例えばボルト、ナット等の固定部材(16)により、前記ブラケット(12)を電源ポール(10)に取り付けた場合には、ボルト、ナット(16)の縁部は鋭利になっているため、子供が接触すると怪我をさせてしまう恐れが存在する。
それに対して、前記ブラケット(12)の電源ポール(10)側の端部は保護部材(15)が設けられており、ブラケット(12)を電源ポール(10)に取り付ける固定部材(16:例えば、ボルトヘッド等)は保護部材(15)に埋設されていれば、当該固定部材(16:例えば、ボルトヘッド等)は保護部材(15)に埋設されるので、鋭利な縁部は保護部材(15)の外部に露出しないので、子供が触れて怪我をすることも無い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態を示す正面図である。
図2図1のA-A矢視断面図である。
図3図2で示す断面(B-O-B断面)近傍の詳細を示す拡大断面図である。
図4】実施形態の配置の概要を示す説明図である。
図5】実施形態において、ブラケットと電源ポールの相対位置を説明するための平面説明図である。
図6】接続部材を介してブラケットとアームとを接続する構造の一態様を示す部分拡大図である。
図7図6で示す接続部材とは異なるタイプの接続部材によりブラケットとアームとを接続する態様を示す部分拡大図である。
図8】電源ポールとブラケットの接続箇所を示す正面図である。
図9】電源ポールとブラケットの接続箇所の平面拡大図である。
図10】半割部材を接合する固定部材と保護部材を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る電源ポールは全体を符号10で示されており、同一高さ方向位置における周方向には、図2で示す様に4箇所のコンセント2を配置している。但し、同一高さ方向位置における周方向のコンセントの数は4個に限定される訳ではなく、複数(2口以上)設けられていれば良い。
図1図2で示す電源ポール10は、例えば空港等の公共施設に設置され、情報機器(例えば、スマートフォン等やタブレット、その他の端末等)の充電のための電源を提供する。
電源ポール10の同一高さ方向位置の周方向において、等間隔に4箇所のコンセント2を配置している。そして電源ポール10のケーシング1には、コンセント2を嵌合して取り付けるための取付部1B(開口部)が形成されている。図示の電源ポール10は同一高さ方向位置において周方向に4個のコンセントを設けているため、2個のコンセントしか配置していない従来の電源ポール(図示せず)に比較して、多数の情報機器(例えば、スマートフォン等やタブレット、その他の端末)の充電を同時に行うことが出来る。
特に空港ロビーの様に、多数の旅行客が情報機器に充電することを希望している場所においては、多数の機器を同時に充電できることのメリットは大きい。
【0023】
図3で示す様に、図示の実施形態では、周方向において隣接するコンセント2の基盤が、コンセント2の基盤の上下が相互に逆向きとなる様に配置されている。
コンセント2の基盤において、取り付け時に電源ポール10内への突出量の大きい突出大部2Aと、取り付け時に電源ポール10内への突出量の小さい突出小部2Bが設けられている。周方向について隣接するコンセント2を設けるに際して、一方のコンセント(図2の断面B-O-B及び図3において、左側に配置されたコンセント2)は、突出大部2Aが上方に位置しており、他方のコンセント(図2の断面B-O-B及び図3において右側に配置されたコンセント2であって、前記一方のコンセント2に隣接するコンセント2)は、突出小部2Bを上方にして配置している。
【0024】
そのため、周方向に隣接するコンセント2の基盤における突出部分(突出大部2A)同士が同一高さ位置とはならない。そのため、電源ポール10のハウジング1の径方向寸法を大きくしなくても、コンセント2の基盤における突出部分(突出大部2A)により電源ポール10のハウジング1内の空間が極めて狭くなってしまうことが防止される。そして、電源ケーブルを配策する空間(空間ε、図3)を確保することが出来る。その結果、電源ポール10を太くすることなく、従来よりも多数(4×コンセントの口数)の情報機器(スマートフォン等)を充電することが出来る。
また、図2図3で示す様に、コンセント2は電源ポール10の外周面から外方に出っ張っておらず(凸ではない)、むしろ、コンセント2は電源ポール10の外周面から凹んだ位置に設けられている。そのため電源ポール10には突出部分が形成されておらず、例えば空港のロビーの様な混在する空間に電源ポール10を設けたとしても、当該突出が利用者に不都合を与えてしまうことがない。
【0025】
図1において、電源ポール10のケーシング1内には、最大定格電流10Aの配線用遮断器3(ブレーカー)を設けている。図1において、ケーシング1におけるブレーカー3の収納窓部を符号1Cで示し、ブレーカー3(配線用遮断器)は破線で示されている。
ここで、「10A」という最大定格電流は、家庭用の配線用遮断器の最大定格電流を下回る低い数値である。そのため、図示の実施形態に係る電源ポール10が空港ロビーで使用され、充電の利用が殺到して個々の電源ポール10について10Aを超える電流の需要があったとしても、配線用遮断器3が作動して給電が遮断される(いわゆる「落ちた」状態となる)のは個々の電源ポール10のみであり、空港全体が停電する恐れがない。そして、空港全体の停電によって、飛行機の運航に影響を及ぼすという事態は防止され、飛行機及び空港の安全な運用が保持される。
【0026】
明確に図示はされていないが、図1図3において、電源ポール10のケーシング1の上端部1Aは透光性材料(例えば、アクリル板)で構成されており、透光性材料(上端部1A)の直下の位置に発行機器であるLED電球4(図3)が設けられている。
そのため、LED電球4の光が透光性材料製の上端部1Aを介して、電源ポール10の上端から周辺部を照らし、間接照明と同様な効果をもたらす。それと共に、電源ポール10の位置が把握し易くなり、充電を希望する旅行者が電源ポール10を認識し易くなる。
そして夜間には、電源ポール10の上端が光ることによりディスプレイとして機能する。さらに、常夜灯としても機能する。
なお、図1において、符号12、23は、図4以降で説明するブラケット、電源ポール側取付部材(半割部材)を示している。
【0027】
図4で示す様に、図示の実施形態に係る電源ポール10は、2脚(複数)の椅子11に挟まれる様に配置されており、換言すれば、2脚の椅子11の背もたれ部分の間に位置している。そして、電源ポール10はブラケット12を介して、それぞれの椅子11のアーム13に固定されている。アーム13は、それぞれ図4の紙面に垂直な方向に延在しており、連続して並んでいる椅子11同士を接続する部材であり、例えば空港ロビーの旅行客休息用の椅子には必ず設けられている。
図示の実施形態の電源ポール10はブラケット12を介して椅子11のアーム13に固定されているので、その様なアーム13を備えたタイプの椅子11が配置されている場所であれば、何処でも設置可能である。
図4では、いわゆる「背中合わせ」に配置された椅子11の間に電源ポール10が配置されている。しかし、図示はしないが、例えば単一(或いは一列)の椅子11と壁の間に電源ポール10を配置しても良い。換言すれば、アーム13を有する椅子11近傍(例えば背部)であれば、図示の実施形態に係る電源ポール10は何処でも配置することが出来る。
【0028】
図示の実施形態の電源ポール10はブラケット12を介して椅子11のアーム13に固定されて、椅子11により支持されているので、固定部材により床面に取り付ける必要がなく、床面にボルト等を埋設して床面にボルト埋設の痕跡を残してしまうことが無い。そのため、空港のロビー等の様に椅子のレイアウトを頻繁に変更する場所において、レイアウトの変更後に床面に電源ポールを床面に固定した痕跡、すなわち損傷部分が旅行客の目に晒されることがなく、旅行客が不快を感じる恐れがない。換言すれば、電源ポールを床に固定すると、床の損傷部分を旅行客に晒すことなく椅子のレイアウト変更を行うことが出来ないのである。床面が損傷していることを旅行客の目に晒すことは、公共施設である空港においては不都合だからである。
それに対して図示の実施形態では、図4で示す構造により、床面を傷つけることなく電源ポール10を支持、固定することが出来る。そして、床に損傷部分を生じることがなく、そのため旅行客に損傷部分を晒すことなく、椅子のレイアウト変更を行うことが出来るというのは、特に空港のロビー等に設けられる機器にとっては、重要な利点である。
【0029】
図5において、電源ポール10は、2本のアーム13(図5で左右2本のアーム13)で2箇所ずつ、合計4箇所で取り付けることにより、支持されている。
4本のブラケット12の平面形状は概略X状であり、ブブラケット12の一端は電源ポール10側に取り付けられ、他端を椅子11(図4)のアーム13側に取り付けられている。ブラケット12の電源ポール10への取り付け構造、ブラケット12のアーム13への取り付け構造については、図6図10を参照して後述する。
なお、ブラケット12なる文言及び符号「12」はブラケット12-1~12-4を包括的に示している。
【0030】
図示の実施形態の様に、ブラケット12の平面状の配置をX字状とし、90度ずつ(図5の図示しない水平線に対して45度)の角度をもって延在させることで、どの様な方向の外力が電源ポール10に作用しても、当該外力はブラケット12を介して少なくとも2脚の椅子11(図4参照)の何れかが負担するので、電源ポール10は確実に支持される。例えば、空港ロビーの利用者が電源ポール10にもたれかかっとしても、利用者の体重は電源ポール10、ブラケット12を介して椅子11により支持されるので、電源ポール10が転倒してしまうことは防止される。
ここで、4本のブラケット12の平面上の配置がX字状ではなく、相互に90度ずつ角度を形成して(水平線に対して45度)に延在していなければ、ブラケット12による支持力が弱い方向が出来てしまう。そのため、4本のブラケット12の平面上の配置は、相互に90度ずつ角度を形成したX字状が望ましい。ただし、ブラケット12の延在方向は、水平線に対して45度±15度(或いは相互に60度~120度の角度を形成する関係)とすることも可能である。
【0031】
ここで、異なるメーカーの椅子に対応し、異なるレイアウトに対応するため、ブラケット12は、椅子のメーカー、レイアウトと無関係に同一の構造となっている。一方、ブラケット12をアーム13に取り付ける構造は、アーム13の位置、形状、レイアウト等に対応して、適宜設定される。
図6を参照して、ブラケット12を椅子11(図4参照:図6では図示せず)のアーム13に取り付ける構造の一例を説明する。
図6において、ブラケット12におけるアーム13側端部(図6では左端部)は、椅子11のアーム13に取り付け可能な接続部材14を介して、椅子11(図4参照:図6では図示せず)のアーム13に接続されている。
接続部材14は、アーム13にブラケット12を取り付けるための部材であり、矩形断面を有するアーム13を包囲する様に構成される本体部14Aと、本体部14Aの側面からブラケット12方向に延在する中空パイプ状のブラケット側接続部14Bを有している。
【0032】
図6において、接続部材14の本体部14Aをアーム13に取り付ける(固定する)ため、本体部14Aとアーム13の間に干渉部材17(例えば、ゴム)を介在させ、締結部材18及び19で締め付けている。がたつき防止のために締結部材18、19は押しピンで構成されている。
本体部14Aとアーム13の間に干渉部材17を介在させているのは、本体部14Aを取り付けることによってアーム13が傷ついてしまうことを防止するためである。椅子の交換、レイアウト変更、椅子の表面の部材の張り替え等で、アーム13が露出した場合、アーム13が損傷していると見栄えが悪く、空港等の公共施設の利用者に不快感を与えてしまうため、アーム13が傷つかない様にすることには大きなメリットがある。
【0033】
図6において、ブラケット12を接続部材14のブラケット側接続部14Bに取り付ける(固定する)ために、中空パイプ状のブラケット側接続部14Bを、中空パイプ状のブラケット12のアーム側端部(ブラケット側接続部14Bより僅かに大径)に嵌入して、締結部材20で締め付けている。
図6の例では、接続部材14は、中空四角柱状に板状部材を加工した本体部14Aと中空パイプ状のブラケット側接続部14Bを組み合せて構成されているが、ブラケット12を接続部材14に取り付けるための構造は、メーカー毎に或いは各メーカーにおける商品ごとに、変更することが出来る。
ここで、アーム13の床面からの高さ寸法Hα(図4参照)は、概略一定である。メーカーが異なってもシート11の高さ寸法は概略一定であり、そのため寸法Hαも概略一定である。
【0034】
上述して様に、図示の実施形態において、ブラケット12は、椅子のメーカー、レイアウトと無関係に同一の構造としており、ブラケット12のアーム13側端部における接続部材14を適宜選択すれば、どの様な種類の椅子11であっても、アーム13を有するタイプの椅子11であれば、図示の実施形態に係る電源ポール10を支持することが出来る。
そのため、図示の実施形態に係る電源ポール10を支持する条件としては、椅子11(図4)がアーム13を具備することのみであり、その他の限定条件は無い。
【0035】
ここで、ブラケット12をアーム13に取り付けるための部材である接続部材14は、板状部材で構成される場合もあれば、管状部材(中空パイプ等)で構成される場合もある。上述した様に、椅子の種類に対応して接続部材14は構成される。
図6とは異なる接続部材を用いて、ブラケット12とアームとを接続する態様を、図7で示す。
図7において、中空パイプ状のアーム13-1と、アーム13-1に取り付けられたキャスト受け部材21は、接続部材14-1により、ブラケット12のアーム13-1側端部(図7では左端部)と接続している。
接続部材14-1は、板状の本体部14-1Aと、本体部14-1Aからキャスト受け部材21の方向(図7では左側)に延在する板状のアーム側接続部14-1Bと、本体部14-1Aからブラケット12の方向(図7では右側)に延在する中空パイプ状のブラケット側接続部14-1Cを有している。
【0036】
図7において、接続部材14-1のアーム側接続部14-1Bをキャスト受け部材21と重ね合わせ、締結部材22で締め付けることにより、接続部材14-1をアーム13―1に取り付ける(固定する)。
一方、接続部材14-1の中空パイプ状のブラケット側接続部14-1Cを、中空パイプ状のブラケット12のアーム側端部に嵌入して、締結部材20で締め付けることにより、ブラケット12を接続部材14-1に取り付ける(固定する)。
【0037】
次に、図8図10を参照して、ブラケット12を電源ポール10に固定する構造について説明する。
図8図9で示す様に、ブラケット12の電源ポール10側端部には、中空円筒を半割状にした形状の電源ポール側取付部材23(半割部材)が、溶接等の公知の方法によって固定されている。図9において、ブラケット12-1、12-2は半割部材23-1に固定され、ブラケット12-3、12-4は半割部材23-2に固定されている。
半割部材23-1、23-2は、それぞれ、半径方向外方に突出しているフランジ部23A、23Aを有しており、フランジ部23A、23Aには固定部材16(例えば、ボルト等)を挿通させる取付用孔(図示せず)が貫通している。ここで、「半割部材23」なる文言或いは符号「23」は、半割部材23-1、23-2を包括的に表現する場合に用いられる。
ブラケット12を固定した半割部材23を電源ポール10に固定する際には、一対の半割部材23-1、23-2により電源ポール10を包囲する様に配置し、フランジ部23A、23Aにおいて固定部材16で固定或いは締結する。なお、固定部材16で固定した箇所に設けた保護部材15については、図10を参照して後述する。
【0038】
図8に示す様に、半割部材23及びフランジ部23A、23Aは、ブラケット12の電源ポール10側の取付部分において、上下方向(電源ポール10の長手方向)に充分な長さを有している。半割部材23により電源ポール10を包囲している上下方向(電源ポール10の長手方向)の長さは、ブラケット12を電源ポール10に確実に固定するのに必要な長さ以上に設定されている。
【0039】
半割部材23のフランジ部23Aにおいて、固定部材16(ボルト等)で締結してブラケット12(半割部材23)を電源ポール10に固定する場合に、ボルトヘッドやボルト先端が露出していると、当該露出している個所は鋭利であり、子供が接触すると怪我をする恐れがある。
、ボルトヘッドやボルト先端が露出している個所に子供が接触して怪我をする事態を防止するため、図10に示す保護部材15を介在させて、固定部材16(ボルト等)を締め付ける。
【0040】
図10において、全体を符号15で示す保護部材は円柱状に構成されており、ボルトヘッド嵌入部15Aを形成したヘッド側保護部材15-1と、非貫通孔(いわゆる「盲孔」)に雌ネジ15Bを形成したナット側保護部材15-2を有している。ここで、「保護部材15」という文言及び符号「15」は、ヘッド側保護部材15-1、ナット側保護部材15-2を包括的に表現している。
ヘッド側保護部材15-1は、例えば半割部材23-1のフランジ部23Aに(溶接等の従来公知の方法により)固定されている。一方、ナット側保護部材15-2は、半割部材23-2のフランジ部23Aに(溶接等の従来公知の方法により)固定されている。ヘッド側保護部材15-1のボルトヘッド嵌入部15Aは、ボルト16(固定部材)のボルトヘッドが完全に埋没するのに十分な深さ(図10の上下方向寸法)を有する凹部として構成されている。
保護部材15を介在させてボルト16(固定部材)を締結した場合、鋭利な縁部を有するボルト16のボルトヘッドはヘッド側保護部材15-1に埋設され、ヘッド側保護部材15-1の外部に露出しない。一方、ボルト16の鋭利な先端もナット側保護部材15-2に埋設され、ナット側保護部材15-2の外部に露出しない。したがって、鋭利なボルトヘッド及びボルト16の先端は露出せず、子供が触れて怪我をすることが防止される。
【0041】
図1及び図8において、電源ポール10に取り付ける半割部材23の高さ方向位置(上下方向位置)は調整可能である。
図1において、寸法δ1は、ブレーカー3の収納窓部1Cの下端部から半割部材23の上端部までの距離であり、寸法δ1が半割部材23を上方へ移動する場合の調整代となる。
一方、図8の寸法δ2は、半割部材23の下端部から電源ポール10の電気配線の出口である通信用孔1D(例えば15φ)までの距離であり、寸法δ2が半割部材23を下方へ移動する場合の調整代となる。
そのため、半割部材23は、ブレーカー3の収納窓部1Cの下端部から電源ポール10の通信用孔1Dの間の領域における好適な位置に調整されて、電源ポール10に取り付けられる。
【0042】
図示はされていないが、電源ポール10内の電気配線について説明する。
4箇所のコンセント2の基盤からそれぞれ6本(3本+3本)ずつ合計24本の配線と、LED電球4(発光機器)からの3本の配線(合わせて27本)を、そのままブレーカーに接続することは困難である。
そのため、先ず、当該27本の配線を電源ポール10の下側で3本にまとめ、3本にまとめた配線を電源ポール10内のブレーカー3に接続する。そして、ブレーカー3からの3本の配線を1本にまとめて、通信用孔1Dから電源ポール10外に延在している。
【0043】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では電源ポール10における同一の高さ方向位置の周方向に4口のコンセントが設けられているが、2口、3口或いは5口以上のコンセントを設けることも可能である。
また、図示の実施形態では「背中合わせ」に配置された椅子11の間に電源ポール10が配置されているが、アーム13を有する椅子11近傍であれば、椅子11と壁の間に電源ポール10を配置しても良いし、その他の位置に電源ポール10を配置することが出来る。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ケーシング
1A・・・上端部(透光性材料)
2・・・コンセント
3・・・ブレーカー(配線用遮断器)
4・・・LED電球(発光機器)
10・・・電源ポール
11・・・椅子
12・・・ブラケット
13・・・アーム
14・・・接続部材
15・・・保護部材
16・・・固定部材(ボルトヘッド等)
23・・・半割部材(電源ポール側取付部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10