(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/42 20060101AFI20220603BHJP
【FI】
B65D75/42
(21)【出願番号】P 2020504486
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2018008294
(87)【国際公開番号】W WO2019171421
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-09-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520027419
【氏名又は名称】▲鶴▼巻 京彦
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼巻 京彦
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-131939(JP,U)
【文献】実開昭56-087015(JP,U)
【文献】実開昭56-047621(JP,U)
【文献】実開平03-060917(JP,U)
【文献】特表2013-510609(JP,A)
【文献】特開2010-168082(JP,A)
【文献】実開昭61-117171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 6/04
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体であって、
前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成され、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための少なくとも1つの分離補助部と、
前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する少なくとも1つの位置表示部と、を備え、
前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含み、
前記分離補助部は、前記2つの包装部材の並び方向と交差する方向に延び、
前記位置表示部は、前記分離補助部を挟んで両側に設けられる線である、包装体。
【請求項2】
被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体であって、
前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成され、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための少なくとも1つの分離補助部と、
前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する少なくとも1つの位置表示部と、を備え、
前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含み、
前記分離補助部は、前記2つの包装部材の並び方向と交差する方向に延び、
前記位置表示部は、前記分離補助部の端部に設けられる、包装体。
【請求項3】
被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体であって、
前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成され、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための少なくとも1つの分離補助部と、
前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する少なくとも1つの位置表示部と、を備え、
前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含み、
前記分離補助部は、前記2つの包装部材の並び方向と交差する方向に延び、
前記位置表示部は、連続する前記2つの包装部材を分離するときに分離する位置の始点から終点までを案内するように設けられる、包装体。
【請求項4】
被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体であって、
前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成され、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための少なくとも1つの分離補助部と、
前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する少なくとも1つの位置表示部と、を備え、
前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含み、
前記複数の包装部材は、
気密性を有し、被収容物を収容する領域を構成する、袋状の部分である気密部と、
隣接する包装部材と隣接する部分であって、前記分離補助部が形成される部分である隣接部と、を有し、
前記位置表示部は、前記隣接部に設けられる、包装体。
【請求項5】
被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体であって、
前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成され、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための少なくとも1つの分離補助部と、
前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する少なくとも1つの位置表示部と、を備え、
前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含み、
前記複数の包装部材は、表側及び裏側を有しており、
前記位置表示部は、前記表側及び前記裏側に設けられる、包装体。
【請求項6】
請求項
1から請求項
5のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記複数の包装部材は、表側及び裏側を有しており、
前記表側に設けられる前記少なくとも1つの位置表示部と、前記裏側に設けられる前記少なくとも1つの位置表示部と、は少なくとも一部に異なる形態を有する、包装体。
【請求項7】
請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記複数の包装部材は、表側及び裏側を有しており、
前記少なくとも1つの位置表示部は,表側及び裏側のうち、いずれか一方のみに設けられている、包装体。
【請求項8】
請求項
1から請求項
7のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記少なくとも1つの分離補助部は、ミシン目である、包装体。
【請求項9】
請求項
1から請求項
8のいずれか1項に記載の包装体であって、
前記少なくとも1つの位置表示部は、前記分離補助部に重ねて設けられる線、前記分離補助部に沿って設けられる線、矢印、のうちの少なくともいずれか1つを含む、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被収容物を収容する包装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、被収容物を密閉して収容可能な複数の包装部材を備える包装体が提案されている。この包装体は、表面と裏面とを有している。また、この包装体は、1つ以上の包装部材を容易に分離するための複数のミシン目が、複数の包装部材の境界部分に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被収容物が表裏を有する場合には、使用者が被収容物を包装部材から取り出す前に被収容物の向きを使用者が認識できるようにするため、包装部材に文字等により被収容物の表裏を表示する場合がある。しかしながら暗い環境下では、包装部材の視認性が悪く、使用者による表裏の確認が難しい。その結果、取り出された被収容物の表裏を使用者が容易に確認できないおそれがある。
【0005】
また暗い環境下では、ミシン目の確認が困難である。使用者が誤ってミシン目以外の部分を破いてしまうと、包装部材が開封される。その結果、使用者が意図せずに、被収容物が包装部材から取り出されてしまうおそれがある。
【0006】
本開示は、暗い環境下において誤った取り扱いをしてしまうことを抑制する技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1局面の発明は、第1のフィルム及び第2のフィルムを備え、前記第1のフィルム及び前記第2のフィルムの間に被収容物を収容可能に構成された包装部材である。前記包装部材には、前記第1のフィルム及び前記第2のフィルムのうちの少なくともいずれか一方に、前記被収容物の当該包装部材を基準とする方向を表示する方向表示部が設けられている。前記方向表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含む。
【0008】
このような構成であれば、方向表示部が発光することにより、被収容物の包装部材を基準とした方向を使用者に認識させることができる。よって、使用者が、暗い環境下で誤った取り扱いをしてしまうことを抑制でき、それにより、被収容物を適切に使用できなくなる危険を低減できる。
【0009】
上述した包装部材において、前記方向表示部は、文字により前記方向を表示してもよい。前記方向表示部が文字により前記方向を表示することで、使用者に被収容物の方向を適切に認識させることができる。
【0010】
また上述した包装部材において、前記方向表示部は、前記第1のフィルム及び前記第2のフィルムの両方に設けられていてもよい。このような構成であれば、使用者による方向表示部の見落としを抑制できる。また、方向表示部のいずれか一方のみが発光している場合、他方の発光が弱い場合、又は他方が発光していない場合であっても、使用者に被収容物の方向を認識させることができる。
【0011】
また上述した包装部材において、当該包装部材は、被収容物としてコンドームを収容するものであってもよい。
本開示の第2局面の発明は、被収容物を収容可能な複数の包装部材を備え、該複数の包装部材が連続して一体に繋げられている包装体である。前記包装体は、少なくとも1つの分離補助部と、少なくとも1つの位置表示部と、を備える。前記少なくとも1つの分離補助部は、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするためのものであって、前記複数の包装部材のうちの連続する2つの包装部材の間に形成される。前記少なくとも1つの位置表示部は、前記包装体の外表面に設けられ、前記分離補助部の位置を表示する。前記少なくとも1つの位置表示部は、蓄光材料を含む蓄光層を含む。
【0012】
このような構成であれば、位置表示部が発光することにより、使用者に分離補助部の位置を認識させることができる。よって、使用者が暗い環境下で包装体から1つ以上の包装部材を分離させようとするときに、使用者が誤った取り扱いをしてしまうことを抑制できるので、分離補助部でない位置を破ってしまい、意図せず被収容物が露出してしまうことを抑制できる。
【0013】
上述した包装体において、前記分離補助部は、ミシン目であってもよい。
また上述した包装体において、前記複数の包装部材は、表側及び裏側を有していてもよい。また、前記表側に設けられる前記位置表示部と、前記裏側に設けられる前記位置表示部と、は少なくとも一部に異なる形態を有していてもよい。このような構成であれば、使用者は、位置表示部の形態に基づいて、包装体の表側又は裏側を認識することができる。
【0014】
また上述した包装体において、前記複数の包装部材は、表側及び裏側を有していてもよい。また、前記位置表示部は、表側及び裏側のうち、いずれか一方のみに設けられていてもよい。このような構成であれば、使用者は、位置表示部の有無に基づいて、包装体の表側又は裏側を認識することができる。
【0015】
また上述した包装体において、前記位置表示部は、前記分離補助部に重ねて設けられる線、前記分離補助部に沿って設けられる線、矢印、のうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。このような構成であれば、使用者は、位置表示部によって分離補助部の位置を明確に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2Aが第1の変形例の包装体の正面図であり、
図2Bが第2の変形例の包装体の正面図である。
【
図3】
図3Aが第3の変形例の包装体の正面図であり、
図3Bが当該変形例の包装体の背面図である。
【
図4】
図4Aが第4の変形例の包装体の正面図であり、
図4Bが第5の変形例の包装体の正面図である。
【
図5】
図5Aが第6の変形例の包装体の正面図であり、
図5Bが第7の変形例の包装体の正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1…包装体、2…被収容物、10…包装部材、11…収容部、12…分離補助部、21…第1のフィルム、22…第2のフィルム、24…接着領域、31,32…方向表示部、41,42…位置表示部、101,201,301,401,501,601,701,801…包装体、311…方向表示部、402,502,602,702,802a~802c…位置表示部
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。なお以下の実施形態は本開示の一形態に過ぎず、本開示は以下の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。また以下の図面は模式的な図を用いているため、実際のものとは大きさの比率が相違する場合がある。
【0019】
[1.実施形態]
[1-1.包装体の構成]
実施形態の包装体を
図1A~
図1Cに示す。包装体1は、複数の包装部材10が連続して一体に繋げられている。本実施形態においては、包装体1には4つの包装部材10が含まれる。包装体1は、複数の包装部材10が一列に繋がることにより、全体として帯状である。
【0020】
複数の包装部材10は、被収容物2を密封して収容可能な収容部11を備える。本実施形態では、コンドームを収容する例を説明する。なお被収容物2は特に限定されない。包装部材10には、例えば、食品や衛生品を収容することができる。包装体1は、後述するように蓄光材料を含む蓄光層によって情報を表示することができるため、暗い環境下で用いられる可能性があるものを収容してもよい。そのような被収容物2としては、例えば、非常食やコンドームが挙げられる。
【0021】
複数の包装部材10のうちの連続する2つの包装部材10の間には、使用者による前記2つの包装部材の切り離しを容易にするための分離補助部12が設けられている。本実施形態の包装体1には、3つの分離補助部12が設けられている。本実施形態においては、複数の分離補助部12は断続的に切れ込みが形成されたミシン目である。複数の分離補助部12は複数の包装部材10の境界部分に形成されている。
【0022】
収容部11は、第1のフィルム21及び第2のフィルム22により形成されている。言い換えると、第1のフィルム21及び第2のフィルム22の間の空間は、被収容物2を収容可能な収容部11である。
【0023】
第1のフィルム21と第2のフィルム22とは、その配置によって区別される。第1のフィルム21は収容部11を構成する一方の側の壁面を構成する。第2のフィルム22は上記一方とは異なる他方の側の壁面を構成する。包装部材10それぞれにおいて、第1のフィルム21と第2のフィルム22とは、略矩形の枠型の接着領域24において、接着剤により又は熱融着により接着されている。収容部11は、第1のフィルム21及び第2のフィルム22における接着領域24に囲まれる部分により形成される。
【0024】
第1のフィルム21と第2のフィルム22とは、同一の組成のフィルムであってもよいし異なる組成のフィルムであってもよい。また第1のフィルム21と第2のフィルム22は別々の2つのフィルムであってもよいし、第1のフィルム21と第2のフィルム22とは繋がった1つのフィルムであってもよい。これらのフィルムは、主に、合成樹脂製フィルム、金属蒸着フィルム、金属膜付フィルム、金属と合成樹脂の複合フィルムなどにより構成することができる。またこれらのフィルムは、紙と貼り合わせたフィルムであってもよい。
【0025】
第1のフィルム21及び第2のフィルム22の表面には印刷等による表示や装飾を施すことができる。本実施形態では後述する方向表示部及び位置表示部が設けられているが、これ以外の装飾が施されていてもよい。また第1のフィルム21及び第2のフィルム22自体は着色されていてもよいし、透明や透過性を有するものであってもよい。
【0026】
[1-2.方向表示部]
被収容物2であるコンドームは、扁平なリング状に巻き込まれて収納されている。収容部11からコンドームを取り出す際には、収納されたコンドームの方向を使用者が認識できることが望ましい。
【0027】
図1A~
図1Cに示されるように、第1のフィルム21の外表面には、複数の方向表示部31が設けられている。また第2のフィルム22の外表面には、複数の方向表示部32が設けられている。複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32は、収容部11に収容された被収容物2の当該包装部材10を基準とする方向を表示する。本実施形態では、複数の方向表示部31は、「FRONT」という文字を形成する蓄光層である。また複数の方向表示部32は、「BACK」という文字を形成する蓄光層である。即ち包装部材10は、文字により包装部材10を基準とする被収容物2の方向を表示している。言い換えると、複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32は、被収容物2が収容部11の内部においてどのような向きで配置されているかを表示している。
【0028】
蓄光層は、蓄光材料と、蓄光材料を保持する保持材料と、を少なくとも含む。
蓄光材料は、可視光やUV光などの光や電磁波を蓄え、発光する性質を有する材料である。例えばアルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4など)を主体として、これにセリウム、ユーロピウム、ネオジム、ディスプロシウムなどの発光状態等を変化させるための材料を添加した蓄光材料を用いることができる。しかし、蓄光材料はこれらに限定されない。上述した蓄光材料は、白色である。
【0029】
保持材料は、蓄光材料を保持すると共に、蓄光材料の蓄光や発光を可能とするために光の透過性を有する材料である。保持材料の例としては、光沢ワニス、艶消しワニス、耐摩ワニス、静電防止ワニス、ブロッキング防止ワニス、乾性油、塗料、及び接着剤などが挙げられる。
【0030】
なお上述した蓄光層には、染料や顔料が含まれていてもよい。明るい環境下において、上述した蓄光材料は白色であり使用者の目に付きにくい可能性がある。しかしながら、蓄光層を着色することで明るい環境下における蓄光層の視認性が向上する。
【0031】
複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32の形成方法は特に限定されない。例えば、フィルムに蓄光層を印刷することにより複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32を形成してもよい。
【0032】
[1-3.位置表示部]
図1A~
図1Cに示されるように、第1のフィルム21の外表面には、複数の位置表示部41が設けられている。また第2のフィルム22の外表面には、複数の位置表示部42が設けられている。複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42は、包装体1の複数の分離補助部12が設けられた位置を案内する。
【0033】
複数の位置表示部41は、幅を有する帯状であり、分離補助部12に重ねて設けられている。また複数の位置表示部42は、間隔を開けて並ぶ平行な2本の線の組み合わせである。複数の分離補助部12それぞれは、上記2本の平行な線の間に位置する。このように包装部材10の表側に設けられる複数の位置表示部41と、包装部材10の裏側に設けられる複数の位置表示部42と、は異なる形態を有する。
【0034】
複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42は、上述した蓄光層であり、複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32同様に染料や顔料を含んでいても良い。また複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42の形成方法は特に限定されず、例えば印刷により形成することができる。
【0035】
[1-4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、使用者が暗い環境下において包装体1に対して誤った取り扱いをしてしまうことを抑制することができる。より具体的な効果を以下に説明する。
【0036】
(1A)複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32は蓄光層であり、光や電磁波が蓄えられていれば発光する。そのため、暗い環境下であっても使用者に被収容物2の包装部材10を基準とした方向を認識させることができる。よって、使用者が、暗い環境下で取り出した被収容物2の方向が分からないことに起因して、被収容物2を適切に使用できなくなる危険を低減できる。
【0037】
(1B)第1のフィルム21及び第2のフィルム22のいずれにも、複数の方向表示部31又は複数の方向表示部32が設けられている。そのため、使用者による複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32の見落としを抑制できる。また、複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32のいずれか一方のみが発光している場合、他方の発光が弱い場合、或いは発光をしていない場合であっても、使用者は、上記一方を確認することで被収容物2の方向を認識することができる。
【0038】
(1C)複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42は蓄光層であり、光や電磁波が蓄えられていれば発光する。そのため、暗い環境下であっても使用者に複数の分離補助部12の位置を認識させることができる。よって、使用者が暗い環境下で包装体1から1つ以上の包装部材10を分離させようとするときに、複数の分離補助部12のいずれかではない誤った位置を破ってしまうことが抑制できる。その結果、意図せず被収容物2が露出したり、収容部11の気密性が失われてしまったりすることを抑制できる。
【0039】
(1D)第1のフィルム21及び第2のフィルム22のいずれにも、複数の位置表示部41又は複数の位置表示部42が設けられている。そのため、使用者による複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42の見落としを抑制できる。また、複数の位置表示部41及び複数の位置表示部42のいずれか一方のみが発光している場合、他方の発光が弱い場合、或いは発光をしていない場合であっても、使用者は、上記一方を確認することで複数の分離補助部12の位置を認識することができる。
【0040】
[2.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0041】
(2A)上述した蓄光層は、上記実施形態に示した組成に限定されず、他の材料の追加等、適宜調整を行うことができる。また、上述した複数の方向表示部31、複数の方向表示部32、複数の位置表示部41、及び複数の位置表示部42は、蓄光層のみでなく、フィルムの構造上の特徴と組み合わせて構成されていてもよい。例えば方向表示部及び位置表示部は、蓄光層と、フィルムに形成された凹凸と、の組み合わせであってもよい。
【0042】
(2B)上記実施形態では複数の方向表示部及び複数の位置表示部の両方が設けられた包装体1を例示した。しかしながら、1つ以上の方向表示部及び1つ以上の位置表示部のいずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。例えば
図2Aに示される第1の変形例の包装体101のように、複数の方向表示部31が設けられ、位置表示部41が設けられなくてもよい。また、
図2Bに示される第2の変形例の包装体201のように、複数の位置表示部41が設けられ、方向表示部31が設けられなくてもよい。
【0043】
(2C)上記実施形態では、第1のフィルム及び第2のフィルムの両方に複数の方向表示部31又は複数の方向表示部32が設けられる構成を例示した。しかしながら、複数の方向表示部は、第1のフィルム及び第2のフィルムの少なくともいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0044】
(2D)上記実施形態では、複数の方向表示部31及び複数の方向表示部32は、文字により被収容物2の包装体1を基準とした方向を表示する構成を例示した。しかしながら、方向を表示することが可能であれば、文字以外により方向を表示してもよい。
【0045】
例えば、包装部材10の表裏と被収容物2の表裏とが対応していることにより、使用者が包装部材10の表側を認識できれば被収容物2の表側を認識できる場合においては、方向表示部は包装部材10自体の表側又は裏側が分かるような態様の表示としてもよい。具体的には、
図3Aに示される第3の変形例の包装体301のように、商品名や会社名などを示す方向表示部311を包装部材10の表側となる面に表示してもよい。
【0046】
また、文字以外の形態、例えば、数字、記号、図形、マーク、及び模様などが表示されてもよい。図形の場合、例えば被収容物2の収容部11における配置、向き、使用方法などを表示してもよい。
【0047】
なお、包装部材10の裏面となる面は、表側との相違が明確であればよい。例えば
図3Bに示されるように、表側と同様の文字等を小さく表示してもよいし、何ら表示を行わなくてもよい。
【0048】
(2E)上記実施形態では、複数の位置表示部41又は複数の位置表示部42を全ての分離補助部12に対して設けた構成を例示したが、複数の位置表示部41又は複数の位置表示部42を一部の分離補助部12に対してのみ設けてもよい。
【0049】
(2F)上記実施形態では、第1のフィルム及び第2のフィルム22の両方に複数の位置表示部41又は複数の位置表示部42が設けられる構成を例示した。しかしながら、位置表示部は、第1のフィルム及び第2のフィルムの少なくともいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0050】
また上記実施形態では、複数の位置表示部41と複数の位置表示部42とが異なる形態である構成を例示した。しかしながら、複数の位置表示部41と複数の位置表示部42とは同一の形態であってもよいし、一部分の形態のみが相違しており、他の部分の形態が同一であってもよい。
【0051】
なお、複数の位置表示部41と複数の位置表示部42との形態が異なることによっても、包装部材10の表裏の違いを使用者に認識させることができる。
(2G)上記実施形態では、複数の位置表示部41として複数の分離補助部12と重なる線を例示し、複数の位置表示部42として、複数の分離補助部12に沿った被収容物2本の線の組み合わせを例示した。しかしながら、位置表示部は上述した以外の態様であってもよい。
【0052】
例えば
図4Aに示される第4の変形例の包装体401のように、位置表示部402は分離補助部12に沿った一本の線であっても良い。また、
図4Bに示される第5の変形例の包装体501のように、位置表示部502は破線により構成されていてもよい。また、図示しないが、位置表示部は波線やギザギザの線であってもよい。
【0053】
また、位置表示部は、線以外の形態であってもよい。例えば
図5Aに示される第6の変形例の包装体601のように、位置表示部602は矢印の形状であって、矢印の先端が分離補助部12を示す構成であってもよい。また、
図5Bに示される第7の変形例の包装体701のように、複数の位置表示部702は矢印の形状であって、分離補助部12の長さ方向に沿って配置されていてもよい。
【0054】
(2H)
図6に示される第8の変形例の包装体801のように、複数の分離補助部12ごとに対応する位置表示部802a~802cの形態が異なっていてもよい。包装体の全ての位置表示部の形態が異なっていてもよいし、一部の位置表示部同士は同じ形態であってもよい。
【0055】
また、複数の位置表示部の形態を異ならせることによって、対応する分離補助部12の包装体における位置、被収容物2の内容、包装体における残りの包装部材10の数などが使用者により認識可能に構成されていてもよい。例えば包装体801においては、位置表示部802a~802cの形態がそれぞれ異なるため、複数の分離補助部12のうちのいずれであるかを使用者が識別することができる。
【0056】
(2I)上記実施形態においては、複数の包装部材10が一列に繋がり、連続する2つの包装部材10の組み合わせそれぞれの間に複数の分離補助部12が形成される構成を例示した。しかしながら、複数の包装部材が二列又は三列以上に繋がっていて、平面的に拡がるように繋がっていてもよい。また、一列に並ぶ複数の包装部材10の数は特に限定されず、2つ以上であればよい。もちろん、包装部材が1つである包装体においては、分離補助部及び位置表示部が設けられていなくてもよい。
【0057】
また、複数の分離補助部12が設けられている場合において、全ての分離補助部12に位置表示部が設けられていなくてもよい。また、分離補助部12が包装体に1つ設けられている場合は、その分離補助部12に位置表示部が設けられていてもよい。
【0058】
(2J)上記実施形態においては、分離補助部12はミシン目である構成を例示した。しかしながら、使用者による連続する2つの包装部材の切り離しを容易にすることが可能であれば、具体的な構成は特に限定されない。例えば分離補助部はその周囲よりも厚さが薄く形成された部分であってもよい。また、分離補助部は、その周囲の部分を構成する材料よりも容易に切断できる材料により構成されていてもよい。