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特許7083394パナキサジオールサポニン誘導体、その調製方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】パナキサジオールサポニン誘導体、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07J 17/00 20060101AFI20220603BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20220603BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20220603BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220603BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220603BHJP
   C07J 41/00 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
C07J17/00 CSP
A61K31/7028
A61K31/704
A61P11/00
A61P11/06
C07J41/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020524671
(86)(22)【出願日】2019-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 CN2019095992
(87)【国際公開番号】W WO2019219098
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-01-21
(31)【優先権主張番号】201810497184.5
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520025116
【氏名又は名称】蘇州済爾生物医薬有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】劉全海
(72)【発明者】
【氏名】張軍
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/117700(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101781352(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102796159(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104586860(CN,A)
【文献】LIAO, J et al.,Synthesis of ginsenoside Rh2 and chikusetsusaponin-LT8 via gold(I)-catalyzed glycosylation with a glycosyl ortho-alkynylbenzoate as adonor,Tetrahedron Letters,2011年,Vol. 52,pp. 3075-3078
【文献】DENG, X et al.,Exploring of drug leads from diversity-oriented Michael-accceptor library derived from natural products,Natural Products and Bioprospecting,2012年,Vol. 2,pp. 210-216
【文献】ATOPKINA, LN et al.,SYNTHESIS OF 2-S-PROTOPANAXADIOL 20-O-β-D-GLUCOPYRANOSIDE, A METABOLITE OF Panax ginseng GLYCOSIDES, AND COMPOUNDS RELATED TO IT,Chemistry of Natural Compounds,2006年,Vol. 42,pp. 452-458
【文献】ZHAO, P et al.,restoring TH17/Treg balance via modulation of STAT3 and STAT5 activation contributes to the amelioration of chronic obstructive pulmonary disease by Bufei Yishen formula,Journal of Ethnopharmacology,2018年02月16日,Vol. 217,pp. 152-162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の構造に示されるパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩:
(式中、Rは、ラムノシル基、フコシル基、アラビノフラノシル基、キシロシル基、リボシル基、キノボシル基、ガラクトシル基、アミノグルコシル基、6-デオキシ-6-アミノグルコシル基、ラクトシル基、セロビオシル基または
から選ばれ、
およびRは、一緒になって=Oまたは=N-OHを示し、
またはRは、水素であり、且つRは、ヒドロキシ基であり、
およびRは、一緒になって二重結合を形成し、且つRおよびRは、独立に水素、グリコシル基から選ばれ、
またはRおよびRは、一緒になって=Oまたは=N-OHを示し、且つRおよびRは、独立に水素、C1-6アルコキシ基から選ばれ、
またはR、Rは、独立に水素、かつRおよびRは、独立に水素、C1-6アルコキシ基から選ばれ、
前記グリコシル基は、独立にデオキシグリコシル基である)。
【請求項2】
およびRは、一緒になって=N-OHを示す、請求項1に記載のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
およびRは、一緒になって二重結合を形成する、請求項1に記載のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
およびRは、一緒になって=N-OHを示す、請求項1に記載のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
パナキサジオールサポニン誘導体の構造が、以下のとおりである、パナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩:
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬品組成物。
【請求項7】
喘息およびCOPDを予防および/または治療する医薬品の調製における、請求項1~5のいずれか1項に記載のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンセノサイド誘導体に関し、特にパナキサジオールサポニン誘導体に関し、および、本発明は、前記化合物の調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は、気管支喘息としても知られており、好酸球、マスト細胞、Tリンパ球、好中球、気道上皮細胞などの各種の細胞および細胞成分が関与する慢性気道炎症を特徴とする異質性疾患であり、この慢性炎症は、気道過敏性に関連し、その臨床症状は、再発性の喘息、息切れ、胸部圧迫感および(または)咳喘息である。
【0003】
喘息は、一般的な呼吸器疾患であり、医学界において認められている4つの難病の1つであり、重症の場合は生命を脅かす可能性があり、死因のトップ10の1つとされている。調査によると、中国には2500万人、世界中で約3億人が喘息に苦しんでおり、世界的には、喘息死亡率は約1/10万であり、世界中で平均25万人が毎年喘息で亡くなっており、急速に高まっている傾向がある。
【0004】
喘息は、人々の肉体的および精神的健康を深刻に害するだけでなく、労働力を弱め、生活の質を低下させるだけでなく、治癒することも困難である。再発しやすく、WHOは、喘息関連の経済的消費が結核とエイズの総消費よりも高いと報告している。
【0005】
喘息の発症メカニズムは非常に複雑であるため、今まで完全に解明されておらず、現在認められているメカニズムは、以下のとおりである。1、気道炎症メカニズム:上記の細胞(たとえば、好酸球、マスト細胞、Tリンパ球、好中球、気道上皮細胞など)に加えて、プロスタグランジン、活性化神経ペプチドなどのメディエーター、およびIL-4、IL-5、IL-12、IL-13およびインターフェロン、顆粒球単球コロニー刺激因子などを含む。2、免疫反応およびアレルギー反応メカニズム:たとえば、血清中の総IgEおよび特異的IgEの上昇。3、気道中の神経受容体調節メカニズム:アドレナリン作動性神経、コリン作動性神経が喘息に密接に関連している。4、Th1/Th2細胞の不均衡。5、セカンドメッセンジャーcAMP/cGMPの不均衡。6、遺伝的遺伝や気道リモデリングなど、喘息の発症に関連するその他のメカニズム。
【0006】
喘息の病態生理によると、研究者は多くの抗喘息薬を開発しており、一般的には、抗炎症性抗喘息薬、抗アレルギー性抗喘息薬および気管支拡張薬に分類できる。より具体的には、次の複数の種類に分類できる。
【0007】
1、アレルギー性メディエーターの放出抑制薬
作用メカニズムは、マスト細胞の細胞膜を選択的に安定化させて、マスト細胞が脱顆粒してアレルギーメディエーターを放出することを減らし、様々な非特異的刺激に対する感受性および気道過敏性を低減させ、気管支痙攣の発症を減らすことであり、主な薬物には、クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェンおよびネドクロミルなどがある。クロモグリク酸ナトリウムは、安全性に優れているが、治療効果が理想的ではなく、ケトチフェンは、内因性、外因性およびハイブリッドの発症を防ぐことができ、一定の中枢抑制作用および抗コリン作動性作用があり、ネドクロミルは、現在アレルギー炎症を治療するための強力な抗喘息薬であり、吸入剤として使用され、副作用がほとんどない。
【0008】
2、気管支拡張薬
このような医薬品は、一般的に使用される抗喘息薬であり、重要な地位を占めている。このような医薬品は、β2受容体アゴニスト、テオフィリン類及びコリン作動性受容体遮断薬に分類できる。2.1 β2受容体アゴニスト:気管支拡張薬であり、β2受容体は、気道および肺組織のさまざまなエフェクター細胞に分布し、Gタンパク質を作動させてアデニル酸シクラーゼを活性化することにより気管支平滑筋細胞内のcAMPレベルを上昇させ、気管支平滑筋を弛緩させ、繊毛運動および粘液除去機能を高め、滲出を減少させ、気道の水腫を減少させ、炎症性細胞メディエーターを阻害し、これらは、作用の状況に応じて、4種類に分類できる。(1)効き目が早く、長時間作用できる、たとえばホルモテロール吸入剤など;(2)効き目が遅く、長時間作用できる、たとえばサルメテロール;(3)効き目が遅く、作用時間が短い、たとえば経口薬であるテルブタリン、サルブタモール、ホルモテロール;(4)効き目が早く、作用時間が短い、たとえば吸入型テルブタリンまたはサルブタモール。2.2 テオフィリン類:メチルキサンチン類の誘導体でありながら、一般的な気管支拡張薬として用されており、気道平滑筋の弛緩作用が段階的であり、徐放型テオフィリンを長期間服用している患者には短時間作用型テオフィリンが推奨されておらず、アミノフィリンと比較してドキソフィリンは、治療効果が顕著であり、副作用が低く、患者の忍容性が良好であり、テオフィリン類医薬品には一定の副作用があるため、血中濃度を監視して投与量を調整する必要がある。2.3 抗コリン薬(Mコリン受容体遮断薬):呼吸道にはMコリン受容体の3つのサブタイプがあり、現在一般的に使用されている抗コリン薬は、一般的には、非選択的Mコリン受容体遮断薬であり、M2受容体が遮断されているため、この受容体の抑制性フィードバック調節効果がなくなり、それにより気道の収縮反応が強化されるため、喘息の治療のための抗コリン薬としては、現在M3コリン作動性受容体遮断薬に取り組んでいるが、まだ突破されていない。現在使用されているのは、臭化イプラトロピウムや臭化チオトロピウムなどの吸入剤である。それらのうち、臭化イプラトロピウムは、M3受容体に対して良好な選択性を有し、臭化チオトロピウムは、長時間作用型抗コリン薬であり、それ以外、オキシトロピウムおよびチオトロピンは利用可能である。これらの薬物は、Mコリン受容体を遮断することでグアニル酸レダクターゼを阻害し、それにより細胞内のcGMPの濃度を低下させて気管支平滑筋を弛緩させるが、効き目が遅いため、二次治療薬として使用される場合が多い。
【0009】
3.免疫療法剤およびその他
近年、免疫学の発展により、免疫メディエーターや抗体などの免疫過程が明確になったため、モノクローナル抗体、受容体遮断薬およびDNAワクチンのような医薬品は、Th1/Th2のバランスを調節することにより、抗原特異的IgGで抗原特異的IgEの免疫損傷による免疫エフェクター細胞への直接阻害作用をブロックすることで機能し、主にIgEモノクローナル抗体、TNF-α、IL-5、IL-4およびIL-13などを含む。現在、それらのほとんどは、有効性と安全性に関するさらなる研究を行っている。さらに、マグネシウムイオンが天然のカルシウム拮抗剤であるため、硫酸マグネシウムは急性重症喘息の治療にも使用されている。
【0010】
4.抗炎症性抗喘息薬
4.1 ロイコトリエン類:抗ロイコトリエン薬は、単独で喘息を制御するための長時間作用型薬として使用されてもよく、軽度の喘息の代替薬および中等度から重度の喘息の併用薬として使用されてもよいが、その効果がホルモン類の代表的な医薬品よりも低く、このような医薬品には、モンテルカスト、ザフィルルカストおよびジレウトンなどが含まれる。抗ロイコトリエン薬は、肺機能を改善し、喘息の症状を軽減し、ホルモン投与量を減らすことができ、このような医薬品には一定の副作用があるため、注意すべきである。4.2 グルココルチコイド類医薬品:慢性気道炎症は喘息の主な原因であり、コルチコステロイドは、現在気道炎症の制御に最も効果的な薬物である。その作用メカニズムは、多面的であり、その抗炎症作用には血管炎症性細胞および炎症メディエーターに対する作用が含まれる。(1)グルココルチコイドは、血管を直接に収縮させ、血管拡張および液体滲出を抑制できる。(2)炎症領域での白血球の蓄積を抑制し、気道粘膜での炎症性細胞の移動と凝集を抑制する。(3)骨髄単核細胞の放出を減少させて、好中球の放出を増加し、好中球およびマクロファージからの、組織損傷を引き起こし得る有毒な酸素ラジカルの放出を抑制する。(4)線維芽細胞の機能を阻害し、それによりコラーゲンおよびアミノ多糖の生成を阻害する。(5)炎症に関連するサイトカインおよびメディエーターの生成を阻害する。例えば、プロスタグランジン類(PG)、ロイコトリエン類(LTs)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、TNFα、GM-csfなどの生成を阻害する。(6)血漿中の補体成分の濃度を下げる。(7)好塩基球によるヒスタミンの放出を阻害する。(8)IgGの生成を減らす。(9)NOAおよび接着分子の生成を阻害する。(10)、β2受容体の反応性を高め、抗アレルギー作用を果たす。長期の臨床研究により、上記医薬品は、肺機能を改善し、気道反応性を低下させ、症状を軽減し、発作の頻度と程度を減らし、生活の質を改善できることが示されている。
【0011】
これらのグルココルチコイド薬は、経口投与、吸入、静脈内投与など、さまざまな投与経路を介して投与可能であり、喘息発作の重症度および持続時間に応じて、異なる投与方法、異なる医薬品を使用できる。一般的には、吸入投与が好ましい。それは、吸入投与の場合の用量が少ないので、気道に直接作用して、局所的な抗炎症作用を発揮し、気道反応性を低下させ、発作の頻度と程度を低下させるためであり、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニドおよびシクレソニド(Ciclesonide)などが一般的に使用されている。吸入療法で制御しにくいほど重篤な患者の場合、全身投与が考えられ、ただし、全身性副作用は強く、全身性副作用に注意する必要があり、できるだけ全身投与を利用しない方が好ましい。注射投与よりも経口投与の方が好ましく、経口投与の場合は、プレドニゾン、プレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロンは、コルチコステロイドへの作用が小さく、半減期が比較的短いため、1日おきに利用可能であり、重症例では、ヒドロコルチゾンを使用でき、これらの薬物は、コルチコステロイドの副作用を引き起こし、感染を拡大させて潰瘍の疾患を悪化させ、消化管出血、高血圧、血糖値の上昇、水-ナトリウム貯留、低カリウム血症などの不良反応を引き起こす可能性があるため、疾患が制御されると、徐々に用量を減らし、また、維持のために吸入剤を投与するようにすることができる。
【0012】
グルココルチコイドは、肺や気管の炎症に広く作用しており、作用が非常に強力であるが、グルココルチコイド類医薬品は、長期間使用すると、糖尿病や骨粗鬆症などの副作用を引き起こす可能性があるため、臨床的応用では多くの制限があり、このような薬物の治療指数を高めるために、プロドラッグまたはソフトドラッグの原則を利用して薬物を設計する場合が多く、また、ステロイドの母核の周囲で構造を改変することもでき、たとえば、上記のシクレソニドは、肺に吸入された後、エステル化によって活性化され、活性代謝物を生成して局所的な抗炎症作用を発揮させ、体内での生物学的利用能が低いため(1%未満)、副作用をほとんど引き起こさない。
【0013】
選択的グルココルチコイド受容体調整剤は、現在、開発中の医薬品の1種であり、その抗炎症作用と副作用が分離されており、それは、新薬研究の重要な方向となっている。
【0014】
グルココルチコイドは、細胞膜を介して細胞質に入り、細胞質内の特異的な非活性化グルココルチコイド受容体に結合し、受容体の立体構造を変化させ、熱ショックタンパク質(HSP90)は解離してホルモン(Gc)と受容体(GR)の複合体を形成して核に移動し、GRは活性化されて、DNA非結合型からDNA結合型に変化してから、標的遺伝子上の特異的DNAに結合する。この配列は、GRの活性化に関与し、グルココルチコイド応答エレメント(GRE、giucocorticoid responsive elements)と呼ばれ、下流遺伝子に対して転写抑制または転写活性化の作用を果たし、さらに活性タンパク質またはサイトカインの合成を誘導または阻害する。ここで、転写抑制とは、リガンドにより活性化されたタンパク質間相互作用により核因子NF-Rbや活性化タンパク質-1(AP-1)などの炎症誘発性転写因子の転写調節作用を阻害することを指し、それにより抗炎症効果を発生させる。また、GCは、抗炎症性ペプチドリポコルチン(lipocortin LC)の生成を誘導でき、これは、ホスホリパーゼを阻害することにより、アラキドン酸の生成を阻害し、さらにプロスタグランジン(PGs)ロイコトリエンおよび血小板活性化因子(PAF)などの炎症性因子を阻害し、GCは、ヒスタミンおよびセロトニンによって引き起こされる炎症反応を阻害し得る抗炎症タンパク質も誘導できる。一方、転写活性化とは、リガンド活性化GRが二量体の形で標的遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域内のグルココルチコイド応答要素に結合して遺伝子転写を誘導することを指し、現在、グルココルチコイド副作用の主なメカニズムであると考えられている。そのため、医薬分野の多くの科学者は、現在、転写活性化と転写抑制を分離する、いわゆる選択的グルココルチコイド調整剤を研究しており、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として、すでに臨床に入っている化合物が報告されている。したがって、選択的グルココルチコイドに関する大量の文献は、世界中の科学者や医学研究者がこの新しい方法を非常に重視していることを示しており、多くの有名な製薬会社もこの分野に多くの人材とリソースを投資しており、ブレークスルーが期待できる。
【0015】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、持続的な気流閉塞を特徴とする予防および治療可能な一般的な疾患であり、気流閉塞は、通常、進行性であり、毒性粒子または気体に対する気道および肺の慢性炎症反応の増加に関連し、その合併症の発生は、患者の全体的な疾患の重症度に影響を与える。2017年、慢性閉塞性肺疾患のグローバルイニシアチブ(GOLPガイドライン)では、呼吸器症状を気道閉塞と同等に重要にし、この疾患の予防および治療における症状の重要性を強調し、特に気道と肺組織の異常、閉塞がこの疾患で一定の作用を果たすことを強調した。
【0016】
COPDは、世界的に一般的な疾患であり、患者の生活の質に深刻な影響を与え、罹患率および死亡率が高い。現在、世界の死因の第5位であり、2020年以降、世界の死因の第3位になると予想されており、COPDの発症率の増加は、タバコの使用と密接に関連している。
【0017】
また、COPDは、患者や患者の家族、社会に大きな経済的負担を与え、中国の一部の地域に対する調査では、40歳の人々のCOPDの有病率は8.2%と高く、世界的な調査では、4億から6億人がCOPDを患っている。
【0018】
いくつかの論争にもかかわらず、ほとんどの学者は、現在、肺機能が診断について最良の指標であると考えており、1秒間の努力呼気量/努力呼気量の比の低下(FFV0.2/FVC)は、気流の閉塞を示す。
【0019】
現在、喘息とCOPDは、症状と治療法には重複している部分があると考えられているため、特にACO(Asthma-COPDOverlap)と呼ばれており、これらの患者は、生活の質が低く、肺機能が急速に低下し、病状がしばしば悪化し、経済的負担が増大し、特に、2つの間の因果関係は非常に明確であり、治療には一部の薬物は両方ともに効果があるため、注目を集めている。
【0020】
ジンセノサイドは、幅広い作用を有する伝統的な漢方薬であり、その化学構造が四環系トリテルペン類に属し、グルココルチコイドに類似している。その薬理学の重要な特徴は、アダプトゲンを有することであり、つまり、その薬理学的作用は、生体の機能的状態によって双方向作用を示すことがよくある。たとえば、下垂体-副腎皮質系では、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)による副腎肥大を抑制できるとともに、コルチゾンによる副腎萎縮を防ぐことができ、さらに、ラットのコルチコステロイドに対するさまざまなジンセノシドの影響の研究から、ジンセノサイドRdの作用が最も強いことが確認され、且つ、ジンセノサイドは、副腎皮質を刺激し、コルチコステロイド分泌を増加させる役割を有することが確認され、さらに、アドレナリン作動性神経系または興奮性H1受容体によって引き起こされるのではないことが確認されている。したがって、異なるジンセノシドにはコルチコステロイド様作用が異なることも示されている。実際には、近年、一部のジンセノシドはコルチコステロイド受容体に対してアゴニスト作用を有することが示されており、ジンセノシドのいくつかの作用は選択的グルココルチコイド修飾剤に類似している。
【0021】
ジンセノサイドcoumpound K(CK)は、チョウセンニンジンに含まれるプロトパナキサジオール型サポニンがヒトの腸で代謝されると生じる主要代謝物であり、まれなジンセノサイドである。ジンセノサイドCKのユニークな生物学的活性は広く注目されており、それについての科学的研究が増えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、パナキサジオールサポニンから、インビトロおよび動物モデル実験において高い抗炎症作用を示し、特に喘息およびCOPDの治療に適用できる一連の化合物を実現した。
【課題を解決するための手段】
【0023】
具体的には、本発明の第1態様は、パナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩に関し、前記パナキサジオールサポニン誘導体は、下記一般式(I)の構造を有する:
(式中、Rは、ヒドロキシ基または非グルコース的ピラノシル基または
から選ばれ、
およびRは、=Oまたは=N-ORを示し、
またはRは、水素であり、且つRは、ヒドロキシ基であり、
およびRは、結合されて結合を形成し、且つRおよびRは、独立に水素、C1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、C1-6エステル基、グリコシル基から選ばれ、
またはRおよびRは、一緒になって=Oまたは=N-OHを示し、且つRおよびRは、独立に水素、C1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基から選ばれ、
またはR、R、RおよびRは、独立に水素、C1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、C1-6エステル基、グリコシル基から選ばれ、
は、水素またはC1-6アルキル基から選ばれる)。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、RおよびRは、一緒になって=N-OHを示す。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、RおよびRは、結合されて結合を形成する。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、RおよびRは、ともに=N-ORを示し、且つRは、水素またはメチル基を示す。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、RおよびRは、結合されて結合を形成し、Rは、グリコシル基から選ばれ、且つRは、ヒドロキシ基を示す。
【0028】
なお、前記C1-6アルコキシ基は、RO-基を意味し、ここでRは、C1-6アルキル基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、t-ペントキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、t-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基などを含む。前記アルキル基は、低級アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基から選ばれる置換基によって置換されてもよい。
【0029】
前記C1-6アルコキシ基は、好ましくは、非置換のメトキシ基またはエトキシ基である。
【0030】
前記C1-6エステル基は、RCOO-基を意味し、ここでRは、C1-5アルキル基であり、前記C1-6エステル基は、好ましくは、アセトキシ基である。
【0031】
前記非グルコースのピラノシル基は、ラムノシル基、フコシル基、アラビノフラノシル基、キシロシル基、リボシル基、キノボシル基、ガラクトシル基、アミノグルコシル基、6-デオキシ-6-アミノグルコシル基、ラクトシル基およびセロビオシル基である。
【0032】
前記グリコシル基は、グリコシド分子においてヘミアセタールヒドロキシル基を提供する糖部分であり、本発明によるグリコシル基は、好ましくは、デオキシグリコシル基またはペントシル基であり、具体例には、リブロシル基、ラムノシル基、フコシル基、アラビノフラノシル基、キシロシル基、リボシル基、キノボシル基、グルコシル基、ガラクトシル基、アミノグルコシル基、6-デオキシ-6-アミノグルコシル基、ラクトシル基およびセロビオシル基が含まれる。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は、下記化合物に関する:
【0034】
本発明では、前記薬学的に許容される塩は、好ましくは、本発明の化合物と薬学的に許容される酸とを反応させて得る酸付加塩、または酸性基を有する化合物と塩基性化合物を反応させて生成する塩である。前記酸は、好ましくは、無機酸(たとえば、塩酸、硫酸、リン酸または臭化水素酸など)、および有機酸(たとえば、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸または安息香酸など)から選ばれ、前記塩基性化合物は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アンモニア水または重炭酸アンモニウムなどから選ばれる。上記薬学的に許容される塩は、分離しやすく、一般的な分離方法、たとえば溶媒抽出、希釈、再結晶、カラムクロマトグラフィーおよび分取薄層クロマトグラフィーなどにより精製できる。
【0035】
本発明の別の態様は、一般式(I)化合物の合成方法に関し、具体的には、下記反応を含む。
【0036】
1)3位および12位で選択的にジアシル基が置換された20(S)-パナキサジオールサポニンの調製
前記選択的アシル化処理とは、20(S)-パナキサジオールサポニン(PPD)を有機溶媒に溶解して、触媒を加えた後、3~7当量のアシル化剤を加え、加熱して反応させることである。
前記アシル化剤は、酸無水物、活性エステルまたは塩化アシルから選ばれる1種であってもよく、好ましくは、無水酢酸、塩化ベンゾイルである。
前記触媒は、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミンから選ばれる1種またはこれらの組み合わせである。好ましくは、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンである。
【0037】
2)アシル基で置換された20(S)-パナキサジオールサポニンの選択的な脱アシル化
3,12-O-ジアシル置換20(S)-パナキサジオールサポニンを有機塩基の存在下で選択的に脱アシル化して、目標化合物を得る。
前記有機塩基は、好ましくは、一価アルカリ金属化合物であり、より好ましくは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのうちの1種またはこれらの組み合わせである。
前記反応は、好ましくは、有機溶媒の存在下で行われ、前記有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、THF、DMF、DMSO、ピリジン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルエーテルまたはこれらの混合物から選ばれる。
【0038】
3)グリコシド化反応
置換された20(S)-パナキサジオールサポニン、グリコシルドナー、ルイス酸触媒および分子篩を、不活性ガスの保護下、グリコシド処理液においてグリコシド化反応させ、反応が終了したとき、クエンチ剤を加えて反応をクエンチし、最後に、カラムクロマトグラフィーにより精製または再結晶で精製し、20-O-グリコシド化反応精製物を得る。
前記二置換20(S)-パナキサジオールサポニン、グリコシルドナーおよびルイス酸触媒のモル比は、1:(1.0~5.0):(0.01~0.5)であり、前記二置換20(S)-パナキサジオールサポニンと分子篩の質量比は、1:0.1~7:1である。
前記ルイス酸触媒は、C-Cのハロアミド、C-Cのフルオロヒドロカルビルスルホン酸、C-Cのシリルフルオロヒドロカルビルスルホネート、C-Cのフルオロヒドロカルビルスルホン酸銀、三フッ化ホウ素-エチルエーテル錯体または三フッ化ホウ素-エチルエーテル混合物のうちの1種またはこれらの組み合わせである。
前記分子篩は、3A-5A型アルミノケイ酸塩分子篩である。
前記グリコシド処理液とは、C-Cのクロロアルカン、トルエンまたはエチルエーテルのうちの1種またはこれらの組み合わせである。
前記クエンチ剤は、トリメチルアミン、トリエチルアミンまたはチオ硫酸ナトリウムのうちの1種またはこれらの組み合わせである。
前記カラムクロマトグラフィーによる精製に使用されている溶出液は、石油エーテル、ジクロロメタン、酢酸エチル、トリクロロメタン、メタノール、n-ヘキサンまたはシクロヘキサンのうちの1種またはこれらの混合物である。
前記再結晶精製に使用されている結晶化溶媒は、トリクロロメタン、C-Cのアルキルアルコール、酢酸エチル、アセトン、n-ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタンまたは水のうちの1種またはこれらの組み合わせである。
前記有機溶媒は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ピリジン、ジクロロエタンのうちの1種またはこれらの混合物である。
【0039】
4)20-O-グリコシル類化合物の調製
グリコシド化反応精製物は、ステップ2)に類似した条件下で脱保護基反応または完全脱保護基反応を選択的に発生させることにより生成される。
前記極性溶媒は、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ジクロロメタンまたは水のうちの1種またはこれらの組み合わせである。
【0040】
5)ヒドロキシ基の酸化
20(S)-パナキサジオールサポニン誘導体の3位および12位のヒドロキシ基が酸化剤の存在下で酸化反応し、対応するオキソ誘導体が得られる。
前記酸化剤は、二クロム酸ジピリジニウム、無水クロム酸ピリジン、二クロム酸カリウム、二クロム酸ナトリウム、Dess-Martin酸化剤または三酸化クロムのうちの1種またはこれらの混合物である。
前記酸化反応は、好ましくは、有機溶媒の存在下で加熱して行われる。
【0041】
6)二重結合の還元
20(S)-パナキサジオールサポニン誘導体における二重結合が水素化触媒の作用下で、水素ガスにより還元され、対応する水素化生成物が得られる。
前記水素化触媒としては、Pd/Cまたはほかの公知の水素化触媒が使用できる。
反応は、好ましくは、極性溶媒の存在下で行われ、前記極性溶媒は、好ましくは、メタノール、エタノールである。
【0042】
7)20(S)-ヒドロキシダンマラン-3,24-ジエン-12-オン系化合物の合成
20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-ヒドロキシ-24-エン-12-オンと塩化アシルを、塩基性条件下で反応させ、次に、臭化リチウム、炭酸リチウムとDMFにおいて加熱して反応させ、目標化合物を得る。
前記塩化アシルは、塩化ベンゼンスルホニル、塩化パラトルエンスルホニルから選ばれる。
【0043】
8)12-β-ヒドロキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-3-オン系化合物の調製
PPDと活性塩化アシルを、有機溶媒において、有機塩基の存在下、低温で反応させ、PPDの12位にアシル基を導入する。このアシル置換PPDを、有機溶媒において、PDCおよび無水酢酸の存在下、室温で反応させ、化合物の3位のヒドロキシ基を酸化してカルボニル基にする。次に、ナトリウムアルコキシド/アルコールの存在下、12位のアシル基を除去すると、目標化合物を得る。
【0044】
9)20(S)-ダンマラン-3,12-ヒドロキシイミノ-24-エン系化合物の合成
20(S)-ダンマラン-3,12-二オキソ-24-エン系化合物とヒドロキシルアミン塩酸塩を、塩基性条件下で反応させて、対応するヒドロキシイミン系化合物を得る。
【0045】
本発明の別の態様は、医薬品組成物に関し、この医薬品組成物は、上記本発明のパナキサジオールサポニン誘導体またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される添加剤を含む。
【0046】
治療目的に応じて、医薬品組成物は、さまざまなタイプの投与単位剤形、たとえば、錠剤、丸剤、粉剤、液体、懸濁液、エマルジョン、顆粒剤、カプセル、座剤および注射剤(溶液および懸濁液)等として製造してもよい。
【0047】
錠剤形態の医薬品組成物を成形するために、本技術において幅広く使用されている公知の任意の賦形剤を使用してもよい。たとえば、乳糖、白砂糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロースおよびケイ酸などの担体;水、エタノール、プロパノール、普通のシロップ、グルコース溶液、澱粉溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、シェラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどのバインダー;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天粉や昆布粉、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリル、澱粉や乳糖などの崩壊剤;白砂糖、トリステアリン酸グリセリル、ココナッツオイルや水素化油などの崩壊抑制剤;第四級アミン塩基やラウリル硫酸ナトリウムなどの吸着促進剤;グリセリン、澱粉などの湿潤剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイトやコロイド状ケイ酸などの吸着剤;および、純粋なタルク、ステアリン酸塩、ホウ酸粉末やポリエチレングリコールなどの潤滑剤である。必要に応じて、一般的なコーティング材料を用いて錠剤を糖衣錠剤、腸溶コーティング錠剤、コーティング錠剤(たとえば、ゼラチンコーティング錠剤)、二層錠剤および多層錠剤としてもよい。
【0048】
丸剤形態の医薬品組成物を成形するために、本分野において幅広く使用されている公知の任意の賦形剤を使用してもよく、これはたとえば、乳糖、澱粉、ココナッツオイル、硬化植物油、カオリンやタルクなどの担体;アラビアゴム粉、トラガカントガム粉、ゼラチンやエタノールなどのバインダー;寒天および昆布粉などの崩壊剤である。
【0049】
座剤形態の医薬品組成物を成形するために、本分野において幅広く使用されている公知の任意の添加剤を使用してもよく、たとえば、ポリエチレングリコール、ココナッツオイル、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチンおよび半合成グリセライドなどである。
【0050】
注射剤形態の医薬品組成物を調製するために、溶液および懸濁液を消毒し、最も好ましくは適量の塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセリンなどを加えて、血液と等張圧を有する注射剤を調製する。注射剤を調製するときに、本分野における一般的に使用されている任意の媒体を使用してもよい。たとえば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシル化イソステアリルアルコールやポリエチレンソルビタンの脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、通常の溶解剤、緩衝剤や止痛剤などを添加してもよい。
【0051】
本発明の式Iに示される化合物およびその薬学的に許容される塩は、医薬品組成物中の含有量に特に制限がなく、広い範囲で選択することができ、通常、1-70質量%、好ましくは、1-30質量%である。
【0052】
本発明では、前記医薬品組成物の投与方法に特に制限がない。患者の年齢、性別、ほかの条件および症状に応じて、適切な剤形の製剤で投与することができる。たとえば、錠剤、丸剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、顆粒剤およびカプセルの場合は、経口投与し、注射剤の場合は、単独で投与したり、注射用輸送液(たとえば、グルコース溶液およびアミノ酸溶液)と混合して静脈注射したりし、必要があれば、注射剤を単独で筋肉、皮内、皮下または腹腔内注射してもよく、座剤の場合は、直腸に投与する。
【0053】
本発明の別の態様は、上記化合物の医薬用途に関し、具体的には、、この化合物は、インビトロおよび動物モデル実験において高い抗炎症作用を示し、このため、抗炎症薬の調製、特に喘息およびCOPDの治療に適用できる。治療指数よりも遥かに大きい用量でも、血液および血糖に対して顕著な影響を与えることがなく、それは、選択的グルココルチコイドよりも優れている。このため、抗炎症性医薬品、特に喘息およびCOPDを治療する技術として、将来性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】化合物IA-1のH NMRスペクトルである。
図2】化合物IDのH NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施例1 3-O-アセチル-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IA)
1.1 3,12-ジ-O-アセチル-20(S)-パナキサジオールサポニン(I-1a)の合成
20(S)-パナキサジオールサポニン(120.0g、0.26mol)を脱水ピリジン(750.0mL)に溶解して、触媒量のDMAPを加え、氷浴条件下、AcO(99.1mL、1.04mol)を滴下し、自然に室温に戻し、6.0時間反応させた。反応液を減圧濃縮して、酢酸エチル(2.0L)で希釈し、順次に希塩酸、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄して、有機層を無水NaSOで脱水し、ろ過して、減圧濃縮し、微かに黄色い固体を得て、再結晶(酢酸エチル/石油エーテル)して白色結晶I-1a (110.3g、収率77.8%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 5.15(t, J = 6.6 Hz, 1H, H-24), 4.72(td, J = 10.8, 4.8 Hz, 1H, H-12), 4.48(dd, J = 12.0, 4.2 Hz, 1H, H-3), 2.04(s, 3H, H-COCH3), 2.03(s, 3H, H-COCH3), 1.70(s, 3H), 1.63(s, 3H), 1.12(s, 3H), 1.00(s, 3H), 0.94(s, 3H), 0.87(s, 3H), 0.85(s, 3H), 0.84(s, 3H)。
1.2 3-β-O-アセチル-20(S)-パナキサジオールサポニン(I-2a)の合成
化合物I-1a(110.0g、0.20mol)をCHCl100.0mLに溶解して、メタノール400.0mLおよびMeONa(1.1g、0.02mol)を加え、室温で3.0時間反応させた。適量のカチオン樹脂を加えてpHを7に調整し、ろ過して樹脂を除去して濃縮させ、薄い黄色の固体I-2a (91.7g、90.3%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 5.15(t, J = 6.6 Hz, 1H, H-24), 4.47(dd, J = 11.0, 5.5 Hz, 1H, H-3), 3.60(td, J = 10.5, 5.0 Hz, 1H, H-12), 2.04(s, 3H, H-COCH3), 1.69(s, 3H), 1.63(s, 3H), 1.19(s, 3H), 0.98(s, 3H), 0.90(s, 3H), 0.87(s, 3H), 0.85(s, 6H)。
1.3 3-β-O-アセチル-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-12-オン(I-3a)の合成
化合物I-2a(91.0g、0.18mol)を脱水CHCl500.0mLに溶解して、PDC(101.6g、0.27mol)および無水酢酸(34.0mL、0.36mol)を加え、室温で約5.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させて、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/10)により分離して白色結晶I-3a(63.4g、70.0%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ 5.10 (s, 1H, H-24), 4.48 (dd, J= 11.6, 4.4 Hz, 1H, H-3), 2.85 (d, J = 10.2 Hz, 1H, H-13), 2.44-2.37 (m, 1H, H-17), 2.28 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 2.23 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 2.05 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.17 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.87 (s, 6H), 0.80 (s, 3H)。
1.4 3-β-O-アセチル-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IA)の合成
I-3a(25.0g、49.92mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(36.9g、74.88mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(901.69μL、4.99mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とした。四分の一の濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(400.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IA(6.7g、二段階収率81.0%)を得た。H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.09 (t, J = 6.5 Hz, 1H, H-24), 4.47-4.43 (m, 1H), 4.44 (d, J = 7.6 Hz, 1H, H-1’), 3.80 (dd, J = 11.7, 1.8 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.8, 5.3 Hz, 1H), 3.36-3.32 (m, 2H), 3.27 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.22-3.18 (m, 1H), 3.10 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.51 (dd, J = 9.7, 4.4 Hz, 1H), 2.44 (t, J= 13.2 Hz, 1H), 2.11 (dd, J = 12.8, 3.3 Hz, 1H), 2.02 (s, 3H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.91 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.2, 172.8, 132.0, 126.0, 98.3, 82.5, 82.1, 78.8, 77.4, 75.7, 71.8, 62.9, 57.5, 57.2, 57.1, 56.1, 43.0, 41.9, 40.7, 40.7, 39.4, 39.0, 38.8, 35.5, 33.0, 28.5, 25.9, 25.0, 24.7, 24.6, 22.9, 21.2, 19.4, 17.8, 17.2, 16.9, 16.7, 16.3。MALDI-HRMS calcd for C38H62NaO9 [M+Na]+ 685.4286, found 685.4293。
【0056】
実施例2 3-β-O-アセチル-20(S)-O-β-D-グルコピラヌロン酸メチルエステルダンマラン-24-エン-12-オン(IA-1)の調製
I-3a(4.4g、8.79mmol)および2,3,4-トリス-O-アセチルグルクロン酸メチルエステルトリクロロイミデート(5.0g、10.44mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(157.21μL、0.87mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(150.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IA-1(3.3g、二段階収率54.1%)を得た。そのHNMR(400 MHz、DMSO-D6)は、図1に示される。13CNMR(150MHz, CD3OD) δ 215.1, 172.8, 171.3, 132.0, 125.9, 98.7, 83.0, 82.1, 77.9, 76.4, 75.2, 73.1, 57.4, 57.2, 57.1, 56.1, 52.8, 43.2, 41.9, 40.7, 40.4, 39.4, 38.9, 38.8, 35.4, 33.0, 28.4, 25.9, 25.0, 24.5, 24.4, 22.7, 21.1, 19.4, 17.8, 17.1, 16.9, 16.7, 16.3。
【0057】
実施例3 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IB)
実施例のステップ1.4の四分の二の濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(400.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、50℃で6.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IB(11.6g、二段階収率74.8%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ5.09 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 7.6 Hz, 1H, H-1’), 3.80 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.7, 5.3 Hz, 1H), 3.34-3.31 (m, 2H), 3.28 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 3.21-3.18 (m, 1H), 3.16-3.08 (m, 2H), 2.52-2.40 (m, 2H), 1.67 (s, 3H), 1.62 (s, 4H), 1.27 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.79 (s, 4H), 0.74 (s, 3H)。
【0058】
実施例4 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-12-オン(IB-1)
IB(7.5g、12.08mmol)をMeOH(200.0mL)に溶解して、Pd/C(750.0mg)を加え、H置換後、室温で2時間反応させて、TLC検出で調べて反応が終了した後、珪藻土でPd/Cをろ過除去し、反応液を濃縮させて、カラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=10/1)により分離し、白色固体IB-1(4.6g、61.3%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.43 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 11.6, 1.5 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.6, 5.4 Hz, 1H), 3.36-3.31 (m, 2H), 3.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.21-3.17 (m, 1H), 3.15 (t, J = 6.4, 4.8 Hz, 1H), 3.09 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 2.50-2.40 (m, 2H), 2.11 (dd, J = 12.7, 3.5 Hz, 1H), 1.9-1.91 (m, 1H), 1.84-1.78 (m, 1H), 1.27 (s, 3H), 1.08 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.89 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.79 (s, 3H), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.6, 98.3, 82.6, 79.3, 78.8, 77.4, 75.6, 71.8, 62.9, 57.5, 57.2, 57.1, 56.3, 42.9, 41.9, 41.0, 40.7, 40.0, 40.0, 38.8, 35.6, 33.0, 29.0, 28.6, 27.9, 24.9, 23.8, 23.0, 22.9, 19.5, 17.1, 16.7, 16.3, 16.0。MALDI-HRMS calcd for C36H62NaO8 [M+Na]+ 645.4337, found 645.4354。
【0059】
実施例5 3β,25-ジヒドロキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-12-オン(IB-2)
5.1 24-ブロモ-25-ヒドロキシ-3β-O-アセチル-20(S)-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)ダンマラン-12-オン(I-3A-2)の合成
I-3A(7.5g、9.02mmol)をテトラヒドロフラン150mLに溶解して、水15mLを加え、氷浴下、N-ブロモスクシンイミド(2.4g、13.53mmol)をバッチ式で加え、氷浴で1時間反応し続けた。TLC検出で調べて反応が終了した後、酢酸エチル200mLで反応液を希釈し、順次に5%チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/2)により分離し、白色固体I-3A-2(7.6g、90.5%)を得た。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 5.20(t, J = 9.4 Hz, 1H, H-3’), 5.01(t, J = 9.8 Hz, 1H, H-4’), 4.95(t-like, J = 9.0, 8.2 Hz, 1H, H-2’), 4.68(d, J = 7.8 Hz, 1H, H-1’), 4.46(dd, J = 11.4, 4.7 Hz, 1H, H-3), 4.12-4.18(m, 2H, H-6’), 3.89(d, J = 9.8 Hz, 1H, H-24), 3.70-3.68(m, 1H, H-5’), 2.97(d, J = 9.8 Hz, 1H, H-13), 2.38-2.44(m, 1H, H-17), 2.16(d, J= 8.6 Hz, 2H, H-11), 2.10(s, 3H, H-Ac), 2.04(s, 3H, H-Ac), 2.02(s, 3H, H-Ac), 1.98(s, 6H, H-Ac*2), 1.35(s, 3H, H-26, H-27), 1.19(s, 3H, H-20), 1.04(s, 3H, H-Me), 0.95(s, 3H, H-Me), 0.87(s, 3H, H-Me), 0.85(s, 3H, H-Me), 0.72(s, 3H, H-Me);13C NMR(125 MHz, CDCl3) δ 211.3 (C-12), 170.9, 170.7, 170.2, 169.5, 169.1, 94.7(C-1’), 81.8, 80.3, 73.1, 72.6, 72.1, 71.8, 71.7, 68.6, 62.4, 56.2, 55.8, 55.7, 54.3, 41.4, 40.5, 39.7, 38.6, 38.2, 37.8, 37.5, 34.2, 31.6, 29.1, 27.9, 26.5, 26.2, 23.7, 23.4, 22.8, 21.3, 20.8, 20.6, 18.2, 16.7, 16.4, 16.2, 15.6。MALDI-HRMS calcd for C46H71O14BrNa [M+Na]+ 949.3919, found 949.3919。
5.2 25-ヒドロキシ-3β-O-アセチル-20(S)-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)ダンマラン-12-オン(I-3A-3)の合成
I-3A-2(7.2g、7.76mmol)をEtOAc 150mLに溶解して、DIEA 3mL、Pd/C 720.0mgを加え、H置換後、室温で2時間反応させて、TLC検出で調べて反応が終了した後、珪藻土でPd/Cをろ過除去し、反応液を濃縮させて、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル=1/1)により分離し、白色固体I-3A-3(6.0g、90.9%)を得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.17 (t, J = 9.4 Hz, 1 H, H-3’), 5.00 (t-like, J = 9.9, 9.3 Hz, 1 H, H-4’), 4.93 (t, J = 8.8 Hz, 1 H, H-2’),4.61 (d, J = 7.7 Hz, 1 H, H-1’), 4.46 (dd,J = 11.5, 4.4 Hz, 1 H, H-3), 4.16 (dd, J = 12.1, 6.1 Hz, 1 H, H-6’-1), 4.09 (dd, J = 12.1, 2.0 Hz, 1 H, H-6’-2), 3.64 (ddd, J = 9.9, 6.1, 2.2 Hz, 1 H, H-5’), 2.98 (d, J = 9.9 Hz, 1 H, H-13), 2.45 (td, J = 10.4, 5.5 Hz, 1 H, H-17), 2.07 (s, 3 H, H-Ac), 2.03 (s, 3 H, H-Ac), 2.01 (s, 3 H, H-Ac), 1.98 (s, 6 H, H-Ac, H-Ac), 1.21 (s, 6 H, H-26, H-27), 1.19 (s, 3 H, H-21), 1.02 (s, 3 H, H-Me), 0.95 (s, 3 H, H-Me), 0.87 (s, 3 H, H-Me) , 0.85 (s, 3 H, H-Me), 0.72 (s, 3 H, H-Me); 13CNMR (125 MHz, CDCl3) δ 211.6 (C-12), 170.8 (C-Ac), 170.6 (C-Ac), 170.2 (C-Ac), 169.5 (C-Ac), 169.0 (C-Ac), 94.6 (C-1’), 82.3, 80.4, 73.2, 71.9, 71.5, 70.7, 68.8, 62.6, 56.1, 55.8, 55.6, 54.5, 44.7, 41.2, 40.5, 39.7, 39.6, 38.3, 37.9, 37.5, 34.3, 29.4, 29.3, 27.9, 23.5, 23.5, 23.2, 21.2, 20.8, 20.6, 19.6, 18,2, 16.8, 16.4, 16.2, 15.6。MALDI-HRMS calcd for C46H72O14Na [M+Na]+ 871.4820, found 871.4824。
5.3 3β,25-ジヒドロキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-12-オン(IB-2)の合成
I-3A-3(6.0g、7.07mmol)を脱水CHCl(60mL)に溶解して、CHOH 60mLを加え、MeONaを加えてpHを10に調整し、48℃で約6時間反応させた。適量のカチオン樹脂を用いてpHを中性に調整し、樹脂をろ過除去して、濃縮させ、カラムクロマトグラフィー(CHCl/CHOH=15/1)により分離し、白色固体IB-2(3.9g、86.6%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.44 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 3.81 (dd, J = 11.8, 1.8 Hz, 1H), 3.63 (dd, J = 11.8, 5.5 Hz, 1H), 3.34-3.31 (m, 2H), 3.27 (t, J= 9.0 Hz, 1H), 3.23 - 3.18 (m, 1H), 3.15 (t, J = 6.0, 4.8 Hz, 1H), 3.09 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 2.50 (dd, J = 9.5, 4.3 Hz, 1H), 2.43 (t, J = 13.2 Hz, 1H), 2.11 (dd, J = 12.7, 3.3 Hz, 1H), 1.95-1.90 (m, 1H), 1.27 (s, 3H), 1.17 (s, 6H), 1.11 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.79 (s, 3H), 0.75 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.6, 98.3, 82.7, 79.3, 78.7, 77.5, 75.6, 71.8, 71.5, 62.9, 57.5, 57.2, 57.2, 56.3, 45.5, 43.3, 41.9, 41.3, 40.7, 40.0, 39.9, 38.8, 35.6, 33.0, 29.4, 29.2, 28.6, 27.9, 25.0, 22.9, 20.6, 19.5, 17.1, 16.7, 16.3, 16.0。MALDI-HRMS calcd for C36H62O9Na [M+Na]+661.4292, found 661.4304。
以上と同じ方法によって、さまざまなグリコシル基が連結されたパナキサジオールサポニン系誘導体を調製した。
【0060】
実施例6 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-β-D-ガラクトピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IC)
白色固体5.2g、二段階収率70.3%。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.08 (t, J = 6.8 Hz, 1H, H-24), 4.39 (d, J= 6.2 Hz, 1H, H-1’), 3.82 (s, 1H), 3.71 (dd, J= 10.6, 6.6 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 10.8, 6.4 Hz, 1H), 3.46-3.42 (m, 3H), 3.35 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 10.7, 4.5 Hz, 1H), 2.52-2.40(m, 2H), 2.11 (dd, J = 12.7, 2.3 Hz, 1H), 1.66 (s, 4H), 1.62 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.80 (s, 3H), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.6, 131.9, 126.0, 98.8, 82.4, 79.3, 76.1, 75.6, 73.1, 70.1, 62.1, 57.5, 57.2, 57.1, 56.4, 43.0, 41.9, 40.7, 40.6, 40.0, 39.9, 38.8, 35.6, 33.0, 28.6, 27.9, 25.9, 24.9, 24.7, 22.9, 19.5, 17.8, 17.1, 16.7, 16.3, 16.0。
MALDI-HRMS calcd for C36H60NaO8 [M+Na]+643.4180, found 643.4190。
【0061】
実施例7 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-α-D-マンノピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(ID)
白色固体4.9g、二段階収率66.2%。そのH NMR((400 MHz,DMSO-D6))は、図2に示される。 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 214.6, 132.5, 125.4, 95.4, 81.9, 79.3, 75.0, 73.7, 72.9, 68.7, 63.0, 57.4, 57.4, 57.1, 56.2, 42.4, 41.8, 40.7, 40.0, 39.9, 39.4, 38.8, 35.4, 33.2, 28.6, 27.9, 25.9, 24.9, 24.6, 23.8, 19.5, 17.7, 17.0, 16.7, 16.6, 16.0。MALDI-HRMS calcd for C36H60NaO8 [M+Na]+643.4180, found 643.4185。
【0062】
実施例8 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-β-D-キシロピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IE)
白色固体4.5g、二段階収率63.4%。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.08 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 4.39 (d, J= 7.3 Hz, 1H, H-1’), 3.77 (dd, J = 11.2, 5.2 Hz, 1H), 3.49-3.42 (m, 1H), 3.33 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.27 (t, J= 8.8 Hz, 1H), 3.16-3.11 (m, 2H), 3.07 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 2.49 (dd, J= 10.0, 4.4 Hz, 1H), 2.43 (t, J = 13.2 Hz, 1H) 2.11 (dd, J = 12.8, 2.4 Hz, 1H), 1.67 (s, 4H), 1.61 (s, 5H), 1.26 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 0.97 (s, 6H), 0.79 (s, 3H), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.5, 132.1, 125.8, 98.9, 82.4, 79.3, 78.4, 75.5, 71.3, 66.5, 57.5, 57.2, 57.1, 56.3, 42.9, 41.9, 40.7, 40.7, 40.0, 39.9, 38.8, 35.6, 33.0, 28.6, 27.9, 25.9, 24.9, 24.7, 23.0, 19.5, 17.7, 17.1, 16.7, 16.3, 16.0。MALDI-HRMS calcd for C35H58NaO7 [M+Na]+613.4075, found 613.4078。
【0063】
実施例9 3β-ヒドロキシ-20(S)-O-α-L-ラムノピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IF)
白色固体4.8g、二段階収率66.7%。1H NMR (400 MHz, (CD3)2SO) δ 5.05 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 4.78 (s, 1H), 4.74 (s, 1H), 4.60 (s, 1H), 4.50 (s, 1H), 4.35 (s, 1H), 3.55-3.48 (m, 2H), 3.44 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.15 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 2.98 (m, 1H), 2.94 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 2.36 (t, J = 12.8 Hz, 2H), 1.64 (s, 4H), 1.57 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 1.07 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.96 (s, 3H), 0.89 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.70 (s, 3H), 0.66 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, (CD3)2SO) δ 201.4, 130.5, 124.6, 94.0, 79.9, 76.5, 72.2, 72.0, 71.0, 68.6, 55.3, 55.3, 55.1, 53.9, 40.7, 38.9, 38.6, 38.1, 37.1, 33.9, 31.7, 28.1, 27., 25.5, 23.7, 23.1, 21.0, 18.1, 17.9, 17.45, 16.4, 15.7, 15.7, 15.3。MALDI-HRMS calcd for C37H62NaO6 [M+Na]+625.4439, found 625.4444。
【0064】
実施例10 3-β-メトキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IG)
10.1 3-β-ヒドロキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-12-オン(I-4)の合成
化合物I-3a(16.0g、31.96mmol)をCHCl80.0mLに溶解して、メタノール80.0mLを加え、ナトリウムメトキシドをpH=9-10トなるまで加え、50℃で6.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより分離し、薄い黄色の固体I-4(14.1g、96.2%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.10 (s, 1H), 3.20 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 2.85 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 2.40 (q, J = 9.0 Hz, 1H), 2.28 (d, J = 13.6 Hz, 1H ), 2.21 (t, J = 14.4 Hz, 1), 1.68 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.17 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.80 (s, 6H)。
10.2 3-β-メトキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-12-オン(I-5a)の合成
I-4(7.3g、15.91mmol)を脱水DMF(200.0mL)に溶解して、ヨードメタン(1.99mL、31.96mmol)を加え、氷浴下、60%水素化ナトリウム(1.9g、47.94mmol)をバッチ式で加え、室温で反応させた。反応終了後、水を緩やかに滴下して反応をクエンチさせ、酢酸エチルで希釈して、順次1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EA/PE、1:6)により分離し、淡黄色液体I-5a(5.9g、78.4%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.61 (s, 1H), 5.06 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 3.52 (s, 3H), 3.23 (dd, J = 11.0, 4.4 Hz, 1H), 2.94-2.86 (m, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.60 (s, 3H), 1.17 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.84 (s, 3H), 0.80 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 214.3, 142.7, 125.7, 79.0, 74.5, 55.8, 55.2, 54.0, 52.4, 48.9, 39.0, 38.9, 38.5, 37.3, 36.7, 34.6, 31.6, 28.3, 28.2, 27.3, 26.8, 25.9, 25.2, 22.7, 22.2, 18.3, 17.9, 16.9, 15.8, 15.7。
10.3 3-β-メトキシ-20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-12-オン(IG)
I-5a(5.8g、12.27mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(9.1g、18.41mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(222.3μL、1.23mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(150.0mL、v: v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IG(4.0g、二段階収率52.0%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.09 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.8, 7.6 Hz, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.38 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 3.23-3.14 (m, 4H), 3.09-3.07 (m, 1H), 2.18-1.95 (m, 5H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.33 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.79 (s, 3H)。
【0065】
実施例11 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3,24-ジエン-12-オン(IH、即ちRSM-17)
11.1 3-β-O-パラトルエンスルホニル-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-12-オン(I-6)の合成
I-4(3.3g、7.19mmol)を脱水CHClおよびピリジンに溶解して、氷浴下、塩化パラトルエンスルホニル(13.7g、71.90mmol)を加え、80℃で6.0時間反応させた。反応終了後、水を緩やかに滴下して反応をクエンチさせ、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離し、白色固体I-6(3.8g、87.5%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ7.79 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 5.09 (s, 1H), 4.18 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.18 (s, 1H), 2.83 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.41-2.34 (m, 1H), 2.20 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 1.68 (s, 3H), 1.61 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 0.90 (s, 3H), 0.83 (s, 6H), 0.77 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 213.8, 144.5, 134.9, 131.7, 129.8, 127.8, 125.0, 90.3, 73.3, 56.3, 56.0, 54.8, 53.3, 46.2, 40.3, 39.3, 38.8, 38.4, 38.0, 37.3, 33.9, 30.9, 28.0, 26.5, 25.9, 24.8, 24.6, 22.6, 21.8, 18.5, 17.8, 17.6, 16.3, 16.0, 15.9。MALDI-HRMS calcd for C37H57O5S [M+H]+613.3921, found 613.3927。
11.2 20(S)-ヒドロキシダンマラン-3,24-ジエン-12-オン(I-7)の合成
I-6(3.8g、6.20mmol)をDMF(50.0mL)に溶解して、臭化リチウム(5.2g、49.60mmol)および炭酸リチウム(3.7g、49.60mmol)を加え、153℃の条件下で1.5時間反応させた。反応液を室温に冷却して、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EA/PE、1:6)により分離し、I-7(2.3g、84.2%)を得た。1H NMR (400 MHz , CDCl3)δ5.40 (s , 2H) , 5.11 (s , 1H) , 2.89 (d , J = 9.9 Hz , 1H) , 2.42 (s , 1H) , 2.32-1.96 (m , 5H) , 1.69 (s , 3H) , 1.62 (s , 3H) , 1.21 (s , 3H) , 1.13 (s , 3H) , 0.96 (s , 6H) , 0.92 (s , 3H) , 0.81 (s , 3H); 13C NMR (150 MHz , CDCl3) δ 214.4 , 138.2 , 131.6 , 125.0 , 121.1 , 73.3 , 56.3 , 55.1 , 52.5 , 52.4 , 46.2 , 40.9 , 40.4 , 39.4 , 37.9 , 36.8 , 34.8 , 33.3 , 31.8 , 30.9 , 26.5 , 25.9 , 24.8 , 22.7 , 22.6 , 19.6 , 17.8 , 17.5 , 16.2 , 15.5。MALDI-HRMS calcd for C30H48NaO2 [M+Na]+463.3547 , found 463.3543。
11.3 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3,24-ジエン-12-オン(IH)
I-7(2.3g、5.22mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイルグルコーストリクロロイミデート(4.6g、6.26mmol)を脱水CHCl(60.0mL)に溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(94.3μL、0.52mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(50.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で4.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IH(2.5g、二段階収率79.5%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ5.44-5.36 (m, 2H), 5.09 (t, J= 6.6 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 11.7, 1.5 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.7, 5.5 Hz, 1H), 3.37-3.34 (m, 2H), 3.28 (t, J= 8.8 Hz, 1H), 3.20 (dd, J = 8.3, 6.0 Hz, 1H), 3.10 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 2.54-2.45 (m, 2H), 2.08 (dd, J = 12.8, 3.2 Hz, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.5, 139.2, 131.9, 126.0, 122.2, 98.3, 82.5, 78.7, 77.4, 75.6, 71.7, 62.9, 57.8, 57.1, 55.1, 53.9, 42.9, 42.2, 41.9, 40.8, 40.7, 38.0, 35.7, 34.8, 33.0, 32.1, 25.9, 24.9, 24.7, 23.0, 22.9, 20.7, 17.8, 17.1, 16.9, 15.7。MALDI-HRMS calcd for C36H58NaO7 [M+Na]+625.4075, found 625.4080。
【0066】
実施例12 20-O-β-D-キシロピラノシル-20(S)-パナキサジオールサポニン(IJ)
白色固体。1H NMR(CD3OD): 5.09(t, J=7.1Hz, 1H, H-24), 4.52(d, J=7.7 Hz, 1H, H-1’), 3.78(dd, J=11.5, 5.5 Hz, 1H, H-5’-2), 3.68(td, J=10.4, 4.9 Hz, 1H, H-12), 3.45(ddd, J=10.4, 8.8, 5.5 Hz, 1H, H-4’), 3.29(t, J=8.8 Hz, 1H, H-3’), 3.14(dd, J=11.5, 10.4 Hz, 1H, H-5’-1), 3.13(dd, J=11.0, 4.4 Hz, 1H, H-3), 3.07(dd, J=8.8, 7.7 Hz, 1H, H-12), 1.67(s, 3H), 1.61(s, 3H), 1.32(s, 3H), 1.00(s, 3H), 0.96(s, 3H), 0.91(s, 3H), 0.90(s, 3H), 0.70(s, 3H); 13C NMR(CDCl3): 132.3(C-25), 128.2(C-24), 98.9(C-1’), 84.8(C-20), 79.6(C-3), 78.4(C-3’), 75.3(C-2’), 71.8(C-12), 71.1(C-4’), 66.8(C-5’), 57.3, 53.1, 52.4, 51.0, 40.9, 40.2, 40.0, 38.1, 36.7, 35.9, 31.5, 30.8, 28.6, 28.0, 27.2, 25.9, 23.9, 22.4, 19.4, 18.3, 17.8, 17.3, 16.7, 16.3, 16.1。
【0067】
実施例13 20-O-β-L-ラムノピラノシル-20(S)-パナキサジオールサポニン(IK)
白色固体。1H NMR(CD3OD): 5.13(d, J=1.4 Hz, 1H, H-1’), 5.13(t, J=7.1 Hz, 1H, H-24), 3.79(m, 1H, H-2’), 3.79(m, 1H, H-5’), 3.60(td, J=10.1, 5.5 Hz, 1H, H-12), 3.56(dd, J=9.6, 3.2 Hz, 1H, H-3’), 3.38(t-like, J=9.6, 9.2 Hz, 1H, H-4), 3.13(dd, J=11.5, 4.6 Hz, 1H, H-3), 1.69(s, 3H), 1.62(s, 3H), 1.36(s, 3H), 1.24(d, J=6.0 Hz, 3H, H-5’), 1.00(s, 3H), 0.96(s, 3H), 0.93(s, 3H), 0.91(s, 3H), 0.77(s, 3H); MS: 629[M+Na]+, 607[M+H]+, 589.5[M-OH]+, 443.4, 425.4, 407.4。
【0068】
実施例14 20-O-α-L-アラビノフラノシル-20(S)-パナキサジオールサポニン(IL)
白色固体。1H NMR(CD3OD): 5.10(d, J=7.3 Hz, 1H, H-24), 4.50(d, J=7.3 Hz, 1H, H-1), 3.84(dd, J=12.4,1.4 Hz, 1H, H-5’-1), 3.79(brs, 1H, H-4’), 3.71(td, J=10.6, 5.5 Hz, 1H, H-12), 3.53(dd, J=12.4, 1.4 Hz, 1H, H-5’-2), 3.51(dd, J=6.4, 3.2 Hz, 1H, H-3’), 3.45(dd, J=9.1,7.3 Hz, 1H, H-2’), 3.14(dd, J=11.5, 4.6 Hz, 1H, H-3), 1.67(s, 3H), 1.62(s, 3H), 1.34(s, 3H), 1.01(s, 3H), 0.96(s, 3H), 0.92(s, 3H), 0.91(s, 3H), 0.78(s, 3H)。
【0069】
実施例15、16 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-3,12-ジオン(IIA)および20(S)-ヒドロキシ-3-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3,24-ジエン-12-オン(IIA-1)の合成
15.1 20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-3,12-ジオン(II-1)の合成
PPD(40.0、86.82mmol)を脱水ジクロロメタン500.0mLに溶解して、PDC(98.0g、260.46mmol)および無水酢酸(32.8mL、347.28mmol)を加え、室温で約5.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させてカラムクロマトグラフィー(EA/PE、1:8)により分離し、淡黄色泡沫状固体II-1(24.3g、61.2%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.11 (t, J = 7.1 Hz, 1H, H-24), 2.90 (d, J = 9.6 Hz, 1H, H-13), 2.55-2.40 (m, 3H), 2.29 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 1.69 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.11(s, 6H) 1.07 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.81 (s, 3H)。
15.2 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-24-エン-3,12-ジオン(2A)および20(S)-ヒドロキシ-3-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3,24-ジエン-12-オン(2A-1)の合成
II-1(11.0g、24.08mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(17.8g、36.12mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(435.5μL、2.41mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(150.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IIA(5.8g、二段階収率38.9%)およびIIA-1(5.6g、二段階収率37.6%)を得た。IIA:1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ5.10 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 11.8, 1.4 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.7, 5.4 Hz, 1H), 3.40-3.33 (m, 2H), 3.28 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.21 (dd, J = 7.4, 5.1 Hz, 1H), 3.11 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.54-2.48 (m, 4H), 2.14(dd, J= 12.8, 3.2 Hz, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.31 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.07 (s, 6H), 0.77 (s, 3H);13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 220.0, 214.8, 131.9, 126.0, 98.3, 82.5, 78.8, 77.4, 75.6, 71.8, 62.9, 57.5, 57.2, 56.1, 55.4, 43.0, 41.8, 40.8, 40.7, 40.3, 38.5, 34.8, 33.0, 27.1, 25.9, 24.9, 24.7, 22.9, 21.4, 20.9, 17.8, 17.1, 16.3, 15.8。MALDI-HRMS calcd for C36H58NaO8 [M+Na]+641.4024, found 625.4041。
IIA-1: 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.09 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 4.94 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 4.59 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.83 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 3.66 (dd, J= 12.1, 4.7 Hz, 1H), 3.39-3.29 (m, 3H), 3.07 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 2.46 - 2.35 (m, 2H), 2.14 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 2.06-1.92 (m, 3H), 1.66 (s, 3H), 1.61 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 1.01 (s, 6H), 0.99 (s, 3H), 0.77 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ215.2, 160.6, 132.1, 125.8, 102.1, 97.2, 78.3, 77.9, 75.1, 75.0, 71.4, 62.5, 57.5, 57.3, 55.0, 54.6, 44.4, 42.1, 41.6, 40.7, 40.6, 38.6, 37.6, 34.7, 32.7, 28.8, 25.9, 25.7, 24.9, 23.9, 20.6, 20.0, 17.7, 17.3, 16.4, 15.7。MALDI-HRMS calcd for C36H58NaO8 [M+Na]+641.4024, found 625.4040。
【0070】
実施例17 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-1、24-ジエン-3,12-ジオン(IIB)
17.1 20(S)-ヒドロキシダンマラン-1、24-ジエン-3,12-ジオン(II-2)の合成
II-1(12.0g、26.27mmol)をDMSO(88.0mL)に溶解して、IBX(24.0g、39.41mmol)を加え、70℃の条件下で24.0時間反応させた。反応液を室温に冷却して、水を加えて反応を停止し、エチルエーテルで希釈し、順次飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(EA/PE、1:7)により分離し、II-2(8.4g、70.5%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.98 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.07 (s, 1H), 2.88 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.47 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 2.38 (t, J = 12.5 Hz, 2H), 1.65 (s, 3H), 1.59 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.13 (s, 6H), 1.09 (s, 6H), 0.78 (s, 3H)。
17.2 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-1、24-ジエン-3,12-ジオン(IIB)の合成
II-2(8.3g、18.25mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(13.5g、27.37mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(330.7μL、1.83mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(100.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体2B(5.1g、二段階収率45.3%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.21 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.10 (t, J= 6.3 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 12.0, 4.9 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.27 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 3.22-3.19 (m, 1H), 3.11 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 2.64 (t, J = 13.0 Hz, 1H), 2.54-2.49 (m, 2H), 2.39 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.35 (s, 3H), 1.21 (s, 3H), 1.14 (s, 6H), 1.11 (s, 4H), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 213.8, 207.3, 160.6 131.9, 126.1, 126.0, 98.3, 82.4, 78.7, 77.4, 75.6, 71.7, 62.8, 57.3, 55.0, 50.1, 45.9, 42.9, 42.7, 41.3, 40.7, 40.4, 34.9, 32.8, 28.1, 25.9, 24.9, 24.7, 22.9, 21.8, 20.2, 19.7, 17.8, 17.1, 16.5。MALDI-HRMS calcd for C36H56NaO8 [M+Na]+639.3867, found 639.3873。
【0071】
実施例18 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-メトキシイミノ-24-エン-12-オン(IIIA)
18.1 3-β-ヒドロキシ-12-β-O-トリメチルアセチル-20(S)-パナキサジオールサポニン(III-1)の合成
PPD(45.0g、97.68mmol)をジクロロメタン500.0mLに溶解して、トリエチルアミン(27.1mL、195.36mmol)を加え、反応系の温度を-5℃に下げて、氷浴下、塩化トリメチルアセチル(24.1mL、195.36mmol)を滴下し、-5℃で3.0時間反応させた。水を加えて反応を停止し、順次に水、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、粗産物36.6gを得て、そのまま次のステップの反応に用いた。
18.2 12-β-O-トリメチルアセチル-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-3-オン(III-2)の合成
III-1(36.6g、67.17mmol)を脱水ジクロロメタン600.0mLに溶解して、PDC(37.9g、100.76mmol)および無水酢酸(19.0mL、201.51mmol)を加え、室温で約5.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させてそのまま次のステップの反応に用いた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.15 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.82 (t, J = 10.4 Hz, 1H), 2.47-2.45 (m, 2H), 2.22 (s, 1H), 1.71 (s, 3H), 1.63 (s, 3H), 1.21 (s, 9H), 1.12 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.93 (s, 3H)。
18.3 12-β-ヒドロキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-24-エン-3-オン(III-3)の合成
前のステップの反応濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(400.0mL、v: v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、50℃で6.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体III-3(17.9g、三段階収率39.9%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.16 (s, 1H, H-24), 3.62-3.57 (m, 1H, H-3), 2.54-2.41 (m, 2H), 1.70 (s, 3H), 1.64 (s, 3H), 1.20 (s, 3H), 1.08 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 0.89 (s, 3H)。
18.4 12-β-ヒドロキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-メトキシイミノ-24-エン(III-4a)の合成
III-3(2.3g、5.01mmol)をピリジン(60.0mL)に溶解して、O-メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(628.1mg、7.52mmol)を加え、80℃の条件で4.0時間反応させた。反応液を室温に冷却して、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、そのまま次のステップに用いた。
18.5 20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-メトキシイミノ-24-エン-12-オン(III-5a)の合成
III-4aを脱水ジクロロメタン120.0mLに溶解して、PDC(2.8g、7.52mmol)および無水酢酸(1.4mL、15.03mmol)を加え、室温で約5.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させてカラムクロマトグラフィーにより分離し、淡黄色泡沫状固体III-5a(1.1g、二段階収率45.2%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.10 (s, 1H, H-24), 3.81 (s, 3H), 3.25 (s, 1H), 2.92 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 2.86 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 2.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 1.69 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.20 (s, 3H), 1.16 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.78 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 214.0, 165.2, 131.7, 125.0, 73.2, 61.2, 56.4, 56.0, 54.9, 53.1, 46.2, 40.3, 40.2, 39.3, 38.5, 37.9, 37.5, 33.7, 30.9, 27.5, 26.5, 25.9, 24.8, 23.2, 22.6, 19.2, 17.8, 17.5, 15.9, 15.6。MALDI-HRMS calcd for C31H51NNaO3 [M+Na]+508.3761, found 508.3760。
18.6 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-メトキシイミノ-24-エン-12-オン(IIIA)の合成
III-5a(1.1g、2.26mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(1.3g、2.71mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(40.8μL、0.23mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(50.0mL、v: v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをして、白色固体IIIA(860.0mg、二段階収率58.5%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.09 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 4.44 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.64 (dd, J= 11.7, 5.3 Hz, 1H), 3.36-3.31 (m, 2H), 3.27 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 3.20 (dd, J = 7.3, 5.1 Hz, 1H), 3.10 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.88 (dt, J= 8.5, 4.8 Hz, 1H), 2.52-2.43 (m, 2H), 2.31-2.22 (m, 1H), 2.10 (dd, J = 12.7, 2.9 Hz, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.29 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.1, 166.5, 131.9, 126.0, 98.3, 82.5, 78.7, 77.4, 75.6, 71.7, 62.8, 61.3, 57.5, 57.2, 57.1, 55.8, 42.9, 41.9, 41.1, 40.8, 40.7, 39.6, 38.7, 35.1, 33.0, 28.1, 25.9, 24.9, 24.7, 23.5, 22.9, 20.3, 18.4, 17.8, 17.1, 16.2, 16.1。MALDI-HRMS calcd for C37H61NNaO8 [M+Na]+670.4289, found 670.4294。
【0072】
実施例19 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-ヒドロキシイミノ-24-エン-12-オン(IIIB)
19.1 12-β-ヒドロキシ-20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-アリルオキシイミノ-24-エン(III-4b)の合成
III-3(5.0g、10.90mmol)をピリジン(120.0mL)に溶解して、O-アリルヒドロキシルアミン塩酸塩(1.8g、16.35mmol)を加え、80℃の条件で4.0時間反応させた。反応液を室温に冷却して、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、直接次のステップに用いた。
19.2 20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-アリルオキシイミノ-24-エン-12-オン(III-5b)の合成
III-4bを脱水ジクロロメタン120.0mLに溶解して、PDC(6.2g、16.35mmol)および無水酢酸(3.1mL、32.70mmol)を加え、室温で約5.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させてカラムクロマトグラフィーにより分離し、淡黄色泡沫状固体III-5b(3.6g、二段階収率64.6%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ5.99 (dd, J = 17.4, 11.4 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 17.3 Hz, 1H), 5.17 (d, J= 10.5 Hz, 1H), 5.09 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 2.6 Hz, 2H), 3.24 (s, 1H), 2.97 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 2.86 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 2.43-2.36 (m, 1H), 1.69 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.20 (s, 3H), 1.16 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.79 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 214.0, 165.3, 134.9, 131.7, 125.0, 117.0, 74.4, 73.2, 56.4, 56.0, 54.9, 53.1, 46.2, 40.3, 40.3, 39.3, 38.4, 37.9, 37.5, 33.7, 30.9, 27.6, 26.5, 25.9, 24.8, 23.2, 22.6, 19.2, 17.8, 17.8, 17.5, 15.9, 15.5。MALDI-HRMS calcd for C33H53NNaO3 [M+Na]+534.3918, found 534.3921。
19.3 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-ヒドロキシイミノ-24-エン-12-オン(IIIB)の合成
III-5b(3.6g、7.03mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-アセチルグルコーストリクロロイミデート(4.2g、8.44mmol)を脱水CHClに溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を-40℃に下げて、TMSOTf(127.0μL、0.70mmol)を滴下し、-40℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(100.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温で1.0時間反応させた後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、濃縮物をエタノールと水の混合溶媒(50.0mL、v:v=4:1)に溶解し、トリフェニルホスフィン(256.5mg、0.98mmol)、酢酸パラジウム(73.2mg、0.33mmol)、トリエチルアミン(4.1mL、29.34mmol)およびギ酸(1.1mL、29.34mmol)を加えて、加熱して1.5時間還流し、反応液を濃縮させて、カラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体IIIB(1.8g、三段階収率40.4%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ5.09 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.8, 5.3 Hz, 1H), 3.36-3.31 (m, 2H), 3.28 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.22-3.19(m, 1H), 3.10 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.96 (dt, J= 14.6, 3.9 Hz, 1H), 2.53-2.44 (m, 2H), 2.33-2.24 (m, 1H), 2.11 (dd, J = 12.2, 2.4 Hz, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.14 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 215.2, 166.5, 131.9, 126., 98.3, 82.5, 78.7, 77.4, 75.6, 71.7, 62.8, 57.5, 57.2, 57.1, 55.9, 42.9, 41.9, 41.1, 40.8, 40.7, 39.6, 38.8, 35.1, 33.0, 28.1, 25.9, 24.9, 24.7, 23.4, 22.9, 20.3, 17.8, 17.7, 17.1, 16.12, 16.1。MALDI-HRMS calcd for C36H59NNaO8 [M+Na]+656.4133, found 656.4139。
【0073】
実施例20 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-ヒドロキシ-2-シアノ-2,24-ジエン-12-オン(IIIC)
20.1 20(S)-ヒドロキシダンマラン-3-ヒドロキシ-2-シアノ-2,24-ジエン-12-オン(III-9)
III-3(10.0g、21.80mmol)を脱水ギ酸エチル(150.0mL)に溶解して、30%ナトリウムメトキシド(30mL)を加え、室温で3.0時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、濃縮物をエタノール(150.0mL)と水(26.4mL)の混合溶媒に溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(3.0g、43.60mmol)およびトリエチルアミン(3.0mL、21.80mmol)を加えて、55℃で10.0時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、粗生成物を脱水ジクロロメタン150.0mLに溶解して、PDC(12.3g、32.70mmol)および無水酢酸(4.1mL、43.60mmol)を加え、室温で6.0時間反応させ、吸引濾過して不溶物を除去し、ろ液を濃縮させて、濃縮物を脱水メタノール(130.0mL)に溶解して、30%ナトリウムメトキシド(5.4mL)を加え、55℃で3.5時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離し、白色固体III-9(3.0g、四段階収率28.6%)を得た。1H NMR (600 MHz, (CD3)2SO) δ 9.78 (s, 1H), 5.06 (brs, 1H), 3.92 (s, 1H), 2.97 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 2.40 (t, J = 13.1 Hz, 1H), 2.20 (brs, 1H), 1.63 (s, 3H), 1.57 (s, 3H), 1.17 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.01 (s, 3H), 0.90 (s, 3H), 0.87 (s, 3H), 0.66 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, (CD3)2SO) δ 210.3, 171.5, 130.1, 125.1, 119.9, 77.9, 72.3, 55.4, 55.4, 51.8, 51.7, 42.3, 41.5, 40.5, 38.1, 35.9, 32.8, 31.4, 26.9, 25.5, 25.3, 23.3, 22.6, 19.0, 17.5, 16.5, 15.2, 14.8。MALDI-HRMS calcd for C31H47NNaO3 [M+Na]+504.3448, found 504.3452。
20.2 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3-ヒドロキシ-2-シアノ-2,24-ジエン-12-オン(IIIC)
III-9(2.0g、4.15mmol)および2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイルグルコーストリクロロイミデート(3.7g、4.98mmol)を脱水CHCl(90.0mL)に溶解して、適量の4A分子篩を加え、アルゴンガス保護下、室温で30分撹拌後、反応系の温度を0℃に下げて、TMSOTf(75.0μL、0.42mmol)を滴下し、0℃で反応させた。TLC検出で調べて反応が終了した後、EtNを加えて反応を停止し、室温に戻し、吸引濾過して分子篩を除去し、反応液を濃縮させて固体とし、濃縮物をジクロロメタンとメタノールの混合溶媒(50.0mL、v:v=1:1)に溶解して、ナトリウムメトキシドをpH=9-10となるまで加え、室温下反応4.0時間後、TLC検出で調べて完全に反応したら、カチオン樹脂を加えて反応液を中和し、ろ過して濃縮させ、カラムクロマトグラフィーをした。白色固体IIIC(1.6g、二段階収率59.9%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.09 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 4.44 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 3.80 (dd, J= 11.8, 1.9 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.9, 5.3 Hz, 1H), 3.38-3.34 (m, 2H), 3.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 3.10 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.56-2.48 (m, 2H), 1.66 (s, 3H), 1.62 (s, 3H), 1.29 (s, 3H), 1.16 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.09 (s, 4H), 1.02 (s, 3H), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 214.7, 173.6, 131.9, 126.0, 120.6, 98.3, 82.5, 79.4, 78.7, 77.4, 75.6, 71.7, 62.8, 57.6, 57.1, 54.4, 53.9, 42.9, 42.4, 41.6, 40.7, 40.6, 39.7, 37.7, 34.5, 33.0, 27.9, 25.9, 24.9, 24.7, 22.9, 20.6, 19.8, 17.8, 17.0, 16.0, 15.7。MALDI-HRMS calcd for C37H57NNaO8 [M+Na]+666.3976, found 666.3973。
【0074】
実施例21 20(S)-O-β-D-グルコピラノシルダンマラン-3,12-ヒドロキシイミノ-24-エン-12-オン(IVA)
IIA(1.25g、2.02mmol)をピリジン(60.0mL)に溶解して、ヒドロキシルアミン塩酸塩(421.1mg、6.06mmol)を加え、80℃の条件下で4.0時間反応させた。反応液を室温に冷却して、水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで希釈して、順次に1mol/L塩酸、飽和重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水して、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体IVA(913.0mg、69.7%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD)δ5.09 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 4.46 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.5, 5.1 Hz, 1H), 3.37-3.33 (m, 2H),3.30-3.28 (m, 1H), 3.20 (dd, J = 14.6, 7.8 Hz, 1H), 3.11 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.94-2.88 (m, 1H), 2.85 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 2.59 (dd, J = 11.0, 6.9 Hz, 1H), 2.38-2.30 (m, 1H), 1.66 (s, 3H), 1.60 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.18 (s, 3H), 1.13 (s, 3H), 1.06 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.77 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CD3OD) δ 166.9, 161.8, 131.8, 126.2, 98.4, 83.4, 78.6, 77.3, 75.4, 71.8, 62.9, 57.0, 55.5, 53.2, 43.4, 41.9, 41.1, 40.5, 39.9, 38.8, 35.6, 32.5, 28.2, 25.9, 24.4, 23.4, 22.7, 20.2, 17.8, 17.3, 16.3, 15.8。MALDI-HRMS calcd for C36H60N2NaO8 [M+Na]+671.4242, found 671.4246。
【0075】
実施例22 オボアルブミンにより誘発されたbalb/cマウス喘息に対する化合物の作用の研究
本実験では、前述のパナキサジオールサポニン誘導体(以下、GR誘導体)およびジンセノサイドCKが選択される。
医薬品の調製:所定量の受験サンプルを乳鉢に入れて粉砕し、次に、0.5%CMCNaを用いて等量倍増法により対応する体積まで調製した。
陽性対照:
本シリーズは、経口投与するものであり、酢酸デキサメタゾン錠剤(製造元:上海信誼薬場有限公司、ロット番号、規格:015150901、0.75mg)は、陽性薬とされた。
ジンセノサイドCK(生産機関:Shanghai Standard Biotech Co.Ltd、ロット番号、規格:3690/20548、5000.0mg、純度:92%)
試薬
OVA(オボアルブミン):ロット番号SLBF4846V、規格500g/瓶、Sigma-Aldrich(米国)。
Mouse IgE ELISA Kit:Cat EK2752、Lot 227570132、有効期限2018.07、連科生物。
Mouse IgE ELISA Kit:Cat EK2752、Lot 227570341、有効期限2018.09、連科生物。
Mouse IgE ELISA Kit:Cat EK2752、Lot 227570842、有効期限2019.02、連科生物。
水酸化アルミニウム佐剤の調製:5%硫酸アルミニウム溶液250mLに、激しく撹拌しながら5%水酸化ナトリウム溶液100mLを加え、生理食塩水を用いて遠心洗浄して2回沈殿させ、次に、沈殿を生理食塩水に懸濁させて250mLとした。
機器
ネブライザー:型番:403C型家庭用空気圧縮式ネブライザー、メーカー:魚躍医療。
実験動物
動物は、上海西普爾-必凱実験動物有限公司から購入したものである。ライセンス番号:SCXK(滬)2013-0016。
試験方法
群分けおよび用量
1回目:体重18-20gの雌Balb/cマウスを、ブランク群、モデル群、デキサメタゾン0.6mg/kg群、CK群、GR誘導体群に分け、1群5匹とし、経口投与した。
2回目:体重18-20gの雌Balb/cマウスを、ブランク群、モデル群、デキサメタゾン0.6mg/kg群、CK群、GR誘導体群に分け、1群5匹とし、経口投与した。
実験方法:
ブランク群を除き、マウスに対して0、14日目にOVAを腹腔内注射してアレルギーを発症させた(20μg OVA/mice)。21-25日目にOVAを霧化して投与して誘発させた。最後に誘発させて24時間後、マウスの内眼角から採血して、血清を取り、ELISAキッドを用いて血清中のIgEレベルを測定した。
データ分析
データを平均値と標準偏差
で示し、SPSS16.0ソフトウェアを用いて一元配置分散分析(one way ANOVA)を行うことにより各群の差異を比較し、p<0.05の場合は、統計学的に有意である。
6 試験結果
表1-1 OVAにより引き起こされたマウス喘息モデルの血清中IgEの濃度に対するサンプルの影響
モデル群に比べて:*p<0.05、** p<0.01
表1-2 OVAにより引き起こされたマウス喘息モデルの血清中IgEの濃度に対するサンプルの影響
モデル群に比べて:*p<0.05、**p<0.01
結論:OVAにより引き起こされたマウス喘息モデルでは、サンプルID、IH、IK、ILは、マウス血清中のIgEの含有量を有意に低下させ、0.6mg/kgデキサメタゾンは、同様に、マウス血清中のIgEの含有量を有意に低下させた。ID、IH、IK、ILは、OVAにより引き起こされた気管支喘息に対して顕著な治療作用を有した。
【0076】
実施例23 マウス肺胞洗浄液における炎症性細胞の測定
6週齢のBALB/Cマウス(18-20g)、合計144匹を対照群、プラセボ群、デキサメタゾン群(3mg/kg)、残りの各投与群の24群に分けた。1群6匹とした。対照群に生理食塩水を投与する以外、ほかの処理を一切施されなかった。残りの群のいずれにもアレルギーを発症させ、20μgのOVAおよび水酸化アルミニウム200μlPBC(2mg、エマルジョンに調製)を腹腔内注射し、各動物を0および14日間で注射してアレルギーを発症させ、霧化した3%OVAを30分間吸入させ、21、22、23日目に治療剤を経口投与し、即ち、陽性対照群には、3mg/kgのデキサメタゾンを投与し、投与群には、17から23日目まで経口投与し、対照群およびプラセボ群のそれぞれには、PBSを投与し、対照群のマウスには、PBS(OVA無し)を0日および14日目に投与し、21、22および23日目に生理食塩水を30分間霧化し、水酸化アルミニウムを30分間除去し、表2に示した。

表2 マウス肺胞洗浄液に対する炎症性細胞の測定結果
試験結果から明らかなように、マウスの喘息モデル群のマウス肺胞洗浄液の炎症性細胞の測定結果から炎症性細胞が大量に集まっていることが示され、GR誘導体群のマウス肺胞洗浄液の炎症性細胞の測定結果から、GR誘導体群の炎症性細胞がモデル群よりも有意に減少したことが示されている。
【0077】
実施例24 煙曝露によるラットCOPDの誘導に対するGR誘導体の影響の研究
吸入用ブデソニド懸濁液(ロット番号318205、メーカー:AstraZeneca Pty Ltd.)
黄果樹タバコ、タール量11mg/本、貴州中煙工業有限責任公司製。
ネブライザー:型番:403C型家庭用空気圧縮式ネブライザー、メーカー:魚躍医療。
動物肺機能解析システム:型番:AniRes2005。メーカー:北京貝蘭博科技有限公司。
受動喫煙動物毒物暴露システム:型番:PAB-S200。メーカー:北京貝蘭博科技有限公司。
動物Wistarラット、雄、体重160g、クリーン飼育、上海斯莱克実験動物有限責任公司から購入、生産ライセンス番号:SCXK(滬)2013-0016。
実験方法:
(1)煙の発生および吸入:
ブランク群を除き、タバコを煙発生器(20本/回)に置き、ラットを60cm×60cm×80cmの霧化吸入箱に入れて、タバコを点火した後、注射器の自動吸引作用により煙を毒物暴露箱に吸引し、5分間以内に燃え尽きるようにした。毎日、4時間以上おきに朝晩2回、1回30分とし、180日間持続した。
(2)ブデソニド投与:
ブデソニド製剤を生理食塩水で希釈した後、霧化カップに入れて投与し、0.25mg/mL群は、霧化液濃度が0.25mg/mLであり、1回に4mlとした。1回あたり30分間霧化して投与した。
(3)CKおよびGR誘導体の投与:
ブランク群、モデル群、ブデソニド、CKおよびGRシリーズの誘導体:IB、IC、ID、IVA、IH、IJ、IK、IL経口投与群に分け、CKおよびGRシリーズの誘導体投与量の勾配を20mg/kg、40mg/kg、80mg/kgとした。1群5匹とし、群分けした後、180日間持続して投与した。実験終了後、肺機能を測定した。ペントバルビタールナトリウムでラットを麻酔した後、気管内挿管術を行い、AniRes2005肺機能テスターを用いて各動物について努力肺活量(FVC)に関連する指標を計測し、ソフトウェアでラットの関連肺機能指標を分析した。
実験結果:
表3 COPDラットFEV0.2/FVC%(200ms内の努力呼気指数)に対する試験物の影響
モデル群に比べて:*p<0.05、**p<0.01
結論:煙曝露によるラットCOPDの誘導に対する影響のモデルでは、ブデソニドは、吸入投与、残りの化合物は、経口投与であり、CK、IB、IC、ID、IVA、IH、IJ、IK、IL高用量群は、いずれもブデソニドより優れていた。このため、GRシリーズの誘導体は、COPDに対して良好な治療効果を有した。
【0078】
実施例25 全血球計算(CBC検査)
33匹のICRマウスを、生理食塩水群、1.8mg/kg酢酸デキサメタゾン群(Dex)、CK、IB、IC、ID、IVA、IH、IJ、IK、ILの11群にランダムに分けて、いずれも225mg/kgを投与した。それぞれマウスに、6日間持続して強制的経口投与し、最終回の投与をしてから1時間後、十分な血液を取り、全血球計算を行った。
表4 GRシリーズの化合物による血液学検査データ
注:ブランクに比べて、*P<0.05、**P<0.01
血液学データから明らかなように、ブランク対照に比べて、デキサメタゾン1.8mg/kg用量群では、リンパ球のパーセンテージがいずれも有意に低下し、好中球のパーセンテージが有意に増加し、白血球数が有意に低下し、単球のパーセンテージが有意に増加したのに対して、CKおよびGR誘導体は、いずれも血液学関連変化を引き起こさなかった。
【0079】
実施例26 尾静脈血糖
33匹のICRマウスを、生理食塩水群、1.8mg/kg酢酸デキサメタゾン群(Dex)、CK、IB、IC、ID、IVA、IH、IJ、IK、ILの11群にランダムに分け、いずれも225mg/kgを投与した。それぞれマウスに、6日間持続して強制的経口投与し、6日目に、朝の8:00頃から絶食させ、翌日の4:00頃に、尾静脈血糖を測定した。
表5 GRシリーズ化合物の血糖データ
注:ブランクに比べて、*P<0.05、**P<0.01
血糖データから明らかなように、ブランク対照に比べて、デキサメタゾンdは、マウスの血糖上昇を引き起こしたのに対して、CKおよびGR誘導体は、血糖に関する変化を引き起こさなかった。
図1
図2