(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】二重偏波アンテナ及びこれを含む二重偏波アンテナアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20220603BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220603BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q13/08
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2020550576
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2018015629
(87)【国際公開番号】W WO2019124844
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2017-0175432
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516083818
【氏名又は名称】ケイエムダブリュ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】KMW INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウォン ソ
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0049439(US,A1)
【文献】特開2016-119551(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105449361(CN,A)
【文献】特表2017-506852(JP,A)
【文献】中国実用新案第204189960(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0077614(US,A1)
【文献】特表2008-526099(JP,A)
【文献】特開2002-118420(JP,A)
【文献】特開2011-055136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0012364(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0124219(KR,A)
【文献】特表2017-535201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/24
H01Q 13/08
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板上に支持される給電部と、
前記給電部上に支持される放射板とを備え、
前記給電部は、前記ベース基板上で互いに交差するように配置される第1の給電基板及び第2の給電基板を含み、
前記第1の給電基板は、前記放射板の第1の地点に第1の基準位相信号を供給し、前記放射板の第2の地点に前記第1の基準位相信号に対して逆位相を有する第1の逆位相信号を供給するように構成する第1の給電ラインを含み、
前記第2の給電基板は、前記放射板の第3の地点に第2の基準位相信号を供給し、前記放射板の第4の地点に前記第2の基準位相信号に対して逆位相を有する第2の逆位相信号を供給するように構成する第2の給電ラインを含み、
前記第1の給電ラインは、
前記第1の給電基板の一側短辺と隣接して配置され、前記第1の給電基板の一側短辺から前記第1の給電基板の他側短辺に向かって延在することで
、前記第1の地点から前記第2の地点へ向かう方向に平行して延びるように形成された一つの第1の基準位相カップリング電極と、
前記第1の給電基板の他側短辺と隣接して配置され、前記第1の給電基板の他側短辺から前記第1の給電基板の一側短辺に向かって延在することで
、前記第2の地点から前記第1の地点へ向かう方向に平行して延びるように形成された一つの第1の逆位相カップリング電極と
、
一端が前記第1の給電ラインの一側長辺上で前記ベース基板の信号ラインに電気的につながる第1の接続ラインと、
前記第1の接続ラインの他端から前記第1の基準位相カップリング電極の一端につながる第1の基準位相伝達ラインと、
前記第1の接続ラインの他端から前記第1の逆位相カップリング電極の一端につながる第1の逆位相伝達ラインとを含み、
前記第2の給電ラインは、
前記第2の給電基板の一側短辺と隣接して配置され、前記第2の給電基板の一側短辺から前記第2の給電基板の他側短辺に向かって延在することで
、前記第3の地点から前記第4の地点へ向かう方向に平行して延びるように形成された一つの第2の基準位相カップリング電極と、
前記第2の給電基板の他側短辺と隣接して配置され、前記第2の給電基板の他側短辺から前記第2の給電基板の一側短辺に向かって延在することで
、前記第4の地点から前記第3の地点へ向かう方向に平行して延びるように形成された一つの第2の逆位相カップリング電極と
、
一端が前記第2の給電ラインの一側長辺上で前記ベース基板の信号ラインに電気的につながる第2の接続ラインと、
前記第2の接続ラインの他端から前記第2の基準位相カップリング電極の一端につながる第2の基準位相伝達ラインと、
前記第2の接続ラインの他端から前記第2の逆位相カップリング電極の一端につながる第2の逆位相伝達ラインとを含
み、
前記第1の給電ラインは、前記放射板に第1の基準位相信号及び第1の逆位相信号を供給する2つのLプローブ給電構造を形成し、
前記第2の給電ラインは、前記放射板に第2の基準位相信号及び第2の逆位相信号を供給する2つのLプローブ給電構造を形成する、二重偏波アンテナ。
【請求項2】
前記第1の給電ラインは、前記第1の地点から前記第2の地点へ向かう方向に、前記放射板に前記第1の基準位相信号を供給し、前記第2の地点から前記第1の地点へ向かう方向に、前記放射板に第1の逆位相信号を供給するように構成し、
前記第2の給電ラインは、前記第3の地点から前記第4の地点へ向かう方向に、前記放射板に第2の基準位相信号を供給し、前記第4の地点から前記第3の地点へ向かう方向に、前記放射板に第2の逆位相信号を供給するように構成する、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項3】
前記第1の逆位相伝達ラインの経路の長さは、前記第1の基準位相伝達ラインの経路の長さよりも使用周波数の中心周波数の半波長だけ長く、
前記第2の逆位相伝達ラインの経路の長さは、前記第2の基準位相伝達ラインの経路の長さよりも使用周波数の中心周波数の半波長だけ長い、請求項
1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項4】
前記第1の基準位相伝達ライン及び前記第2の基準位相伝達ラインの経路の長さは同一であり、前記第1の逆位相伝達ライン及び前記第2の逆位相伝達ラインの経路の長さは同一である、請求項
1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項5】
前記第1の給電基板及び前記第2の給電基板は、前記ベース基板上で垂直に直立して配置し、
前記第1の給電基板及び前記第2の給電基板は、それぞれの中央領域で互いに垂直に交差する、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項6】
前記第1の給電基板は、前記第1の地点及び前記第2の地点をつなぐ直線に平行して配置し、
前記第2の給電基板は、前記第3の地点及び前記第4の地点をつなぐ直線に平行して配置する、請求項
5に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項7】
前記第1の給電基板は、その一側長辺に形成した1つ以上の第1の基板締結突出部及びその他側長辺に形成した1つ以上の第1の放射板締結突出部を含み、
前記第2の給電基板は、その一側長辺に形成した1つ以上の第2の基板締結突出部及びその他側長辺に形成した1つ以上の第2の放射板締結突出部を含み、
前記ベース基板は、前記第1の給電基板の前記第1の基板締結突出部が挿入される第1の基板側締結溝および前記第2の給電基板の第2の基板締結突出部が挿入される第2の基板側締結溝を含み、
前記放射板は、前記第1の放射板締結突出部が挿入される第1の放射板側締結溝及び前記第2の放射板締結突出部が挿入される第2の放射板側締結溝を含む、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項8】
前記放射板は正方形であり、
前記第1の地点、前記第2の地点、前記第3の地点、及び前記第4の地点は、前記放射板の4つの頂点に隣接し、
前記放射板の対角線の長さは、使用周波数の中心周波数の半波長の長さと同一である、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項9】
前記第1の給電ラインは、1つのはんだ付けを介して前記ベース基板の信号ラインにつながり、
前記第2の給電ラインは、他の1つのはんだ付けを介して前記ベース基板の他の信号ラインにつながる、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項10】
前記第1の給電基板は、その一側長辺の中央から延びる第1の結合スリットを含み、
前記第2の給電基板は、その他側長辺の中央から延びる第2の結合スリットを含み、
前記第1の給電基板及び前記第2の給電基板は、前記第1の結合スリット及び前記第2の結合スリットを介して互いに交差するように配置される、請求項1に記載の二重偏波アンテナ。
【請求項11】
ケーシングと、
前記ケーシング上に配置した請求項1に記載の複数の二重偏波アンテナと、
前記複数の二重偏波アンテナを覆うレドームとを含む、二重偏波アンテナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重偏波アンテナ及びこれを含む二重偏波アンテナアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
マッシブマイモ(Massive MIMO:Multiple Input Multiple Output)技術は、多数のアンテナを用いてデータ伝送容量を大幅に増やす技術として、送信機では、それぞれの送信アンテナを介して互い異なるデータを伝送し、受信機では、適切な信号処理を介して送信データを区別する空間多重化(Spatial multiplexing)技法である。したがって送受信アンテナの個数を同時に増加させることによってチャネル容量が増加し、より多くのデータを転送することができる。例えば、アンテナの数を10個に増加させると、現在の単一アンテナシステムに比べて同じ周波数帯域を用いて約10倍のチャネル容量を確保することになる。
【0003】
マッシブマイモ技術が多数のアンテナを要求するに応じて1つのアンテナモジュールが占めるスペースを減らすこと、つまり、個々のアンテナのサイズを減らすことに対する重要性がさらに増している。二重偏波アンテナは、1つのアンテナ素子で互いに垂直交差する2つの電磁気波信号を送受信する技術としてアンテナ構造の小型化に有利な技術とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アンテナの小型化に有利な二重偏波アンテナを提供することである。
【0005】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、偏波間の隔離度及び交差偏波識別度を向上させながらも、工程上の接続部位の数及び信号配線の複雑さを減らすことができる二重偏波アンテナを提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及されていないもう1つの課題は、下の記載から当業者なら明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような課題を解決するために、本発明の一態様による二重偏波アンテナは、ベース基板と、前記ベース基板上に支持される給電部、及び前記給電部上に支持される放射板を含む。
【0008】
一方、前記給電部は、前記ベース基板上で互いに交差するように配置される第1の給電基板及び第2の給電基板を含む。
【0009】
一方、前記第1の給電基板は、前記放射板の第1の地点に第1の基準位相信号を供給し、前記放射板の第2の地点に前記第1の基準位相信号に対して逆位相を有する第1の逆位相信号を供給するように構成する第1の給電ラインを含む。
【0010】
一方、前記第2の給電基板は、前記放射板の第3の地点に第2の基準位相信号を供給し、前記放射板の第4の地点に前記第2の基準位相信号に対して逆位相を有する第2の逆位相信号を供給するように構成する第2の給電ラインを含む。
【0011】
また、前記のような課題を解決するために、本発明の一態様による二重偏波アンテナアセンブリは、ケーシングと、前記ケーシング上に配置した複数の二重偏波アンテナ、及び、前記複数の二重偏波アンテナを覆うレドームを含む。
【0012】
本発明の他の具体的な事項は詳細な説明及び図面に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナのおおよその斜視図である。
【
図2】
図1のII-II′のラインに沿って切開した二重偏波アンテナの断面図である。
【
図3】
図1のII-II′のラインに沿っての二重偏波アンテナの分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第1の給電基板の一側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第2の給電基板の一側面図である。
【
図7】単一の給電方式を例示する比較例の概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る給電方式を示す概略図である。
【
図9】比較例に係る構造で現われる放射パターンのシミュレーショングラフである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る給電方式で現われる放射パターンのシミュレーショングラフである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナアセンブリの透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面を用いて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに当たり、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するに当たり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断した場合には、その詳しい説明は省く。
【0015】
以下で、添付した図面を参照し、本発明に係る実施形態を詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナのおおよその斜視図である。
【0017】
図2は
図1のII-II′のラインに沿って切開した二重偏波アンテナの断面図である。
【0018】
図3は
図1のII-II′のラインに沿っての二重偏波アンテナの分解図である。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの平面図である。
【0020】
図1ないし
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナ1は、ベース基板10、給電部20、及び放射板50を含む。
【0021】
ベース基板10は、プラスチックまたは金属からなる板状部材であってよい。ベース基板10は、接地層を含んでよい。ベース基板10の接地層は、二重偏波アンテナにアースを提供する一方、放射板50から放射された無線信号に対する反射表面として作用する。これにより放射板50でベース基板10に向かって放射された無線信号は、メイン放射方向に反射される。そこで、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの前面対背面の比率および利得が向上する。
【0022】
給電部20は、ベース基板10上で支持され、高周波電気信号を放射板50に供給するように構成する。給電部20は、ベース基板10上で互いに交差するように配置する第1の給電基板30及び第2の給電基板40を含む。
【0023】
本発明の一実施形態において、第1の給電基板30及び第2の給電基板40は、ベース基板10上に垂直に直立するように配置し、第1の給電基板30及び第2の給電基板40がそれぞれの中央領域で互いに垂直に交差する。
【0024】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の変形実施形態において、給電部20は、3つ以上の給電基板を含むことができ、3つ以上の給電基板が構造的対称性を有する様々な方式で互いに交差してベース基板10上に支持されてよい。
【0025】
第1の給電基板30は、第1の絶縁基板310及び第1の絶縁基板310上に形成した第1の給電ライン320を含むプリント回路基板であってよい。第2の給電基板40は、第2の絶縁基板410及び第2の絶縁基板410上に形成した第2の給電ライン420を含むプリント回路基板であってよい。
【0026】
第1の給電ライン320及び第2の給電ライン420は、それぞれ放射板50に高周波電気信号を供給する。図示した実施形態で、第1の給電ライン320及び第2の給電ライン420は、それぞれ放射板50と短い距離で離隔して電気的に容量性カップリングされることを例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、他の実施形態で、第1の給電ライン320及び第2の給電ライン420は、それぞれ放射板50に直接電気的に接触してもよい。
【0027】
第1の給電基板30の第1の給電ライン320及び第2の給電基板40の第2の給電ライン420の細部構成及び機能は、
図5及び
図6を参照して下で詳述する。
【0028】
第1の給電基板30は、その一側長辺に形成した1つ以上の第1の基板締結突出部314を含む。第2の給電基板40は、その一側長辺に形成した1つ以上の第2の基板締結突出部414を含む。
【0029】
これに対応し、ベース基板10は、第1の給電基板30の第1の基板締結突出部314が挿入される第1の基板側締結溝および第2の給電基板40の第2の基板締結突出部414が挿入される第2の基板側締結溝を含む。
【0030】
図示した本発明の一実施形態で、第1の基板締結突出部314及び第2の基板締結突出部414は、それぞれ2つずつ形成し、これに対応して第1の基板側締結溝および第2の基板側締結溝も2つずつ形成することを例示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の他の実施形態で、基板締結突出部及び締結溝の個数は、選択的に可変してよく、さらに、第1の給電基板30及び第2の給電基板40は、挿入締結方式ではなく、接着または別途の結合部材によってベース基板10上に締結してもよい。
【0031】
第1の給電基板30は、その一側長辺に形成した第1の結合スリット316を含む。第1の結合スリット316は、第1の給電基板30の一側長辺の中央から第1の給電基板30の内部に延びる一字状の開放部である。
【0032】
同様に、第2の給電基板40は、その他側長辺に形成した第2の結合スリット416(
図6に図示)を含む。第2の結合スリット416は、第2の給電基板40の他側長辺の中央から第2の給電基板40の内部に延びる一字状の開放部である。
【0033】
第1の結合スリット316及び第2の結合スリット416を介して第1の給電基板及び第2の給電基板は、互いに交差するように配置する。
【0034】
本発明の一実施形態で、第1の給電基板30及び第2の給電基板40は、その構造および電気的特性が実質的に同一である。例えば、第1の給電基板30及び第2の給電基板40の長さ、幅、および厚さはほとんど同じで、ただ、第1の給電基板30及び第2の給電基板40が互いに交差するためのそれぞれの構造的特徴、例えば、結合スリットの方向及び構造とそれに伴う給電ラインの一部の形状のみが互いに異なる。
【0035】
放射板50は、給電部20上において、すなわち、第1の給電基板30及び第2の給電基板40上で支持される。本発明の一実施形態で、放射板50は、一面に金属層が形成されたプリント回路基板である。放射板50は、ベース基板10に平行して第1の給電基板30及び第2の給電基板40に対して垂直に配置する。
【0036】
本発明の一実施形態で、放射板50は、長方形を有し、第1の給電基板30及び第2の給電基板40がそれぞれ放射板50の斜め方向を横切るように配置したもので例示した。しかし、本発明はこれに限定されない。放射板50の形状は、多角形、円形、または環形である。
【0037】
放射板50は、1つ以上の第1の放射板側締結溝52及び1つ以上の第2の放射板側締結溝54を含む。これに対応し、第1の給電基板30は、その他側長辺に形成した1つ以上の第1の放射板締結突出部312を含んでよく、第2の給電基板40は、その他側長辺に形成した1つ以上の第2の放射板締結突出部412を含んでよい。
【0038】
第1の放射板締結突出部312及び第2の放射板締結突出部412は、それぞれ第1の放射板側締結溝52及び第2の放射板側締結溝54に挿入して嵌合する。これにより、放射板50は、第1の給電基板30及び第2の給電基板40を介してベース基板10上で離隔し、しっかりと支持される。
【0039】
第1の給電基板30の第1の給電ライン320は、放射板50の第1の地点P1に、第1の基準位相信号を供給し、放射板50の第2の地点P2に第1の逆位相信号を供給する。
【0040】
同様に、第2の給電基板40の第2の給電ライン420は、放射板50の第3の地点P3に第2の基準位相信号を供給し、放射板50の第4の地点P4に第2の逆位相信号を供給する。
【0041】
ここで、第1の基準位相信号及び第1の逆位相信号は、互いに逆の位相を有する高周波信号であり、第2の基準位相信号及び第2の逆位相信号も互いに逆の位相を有する高周波信号である。
【0042】
本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナで、放射板50上の第1の地点P1及び第2の地点P2をつなぐ直線及び放射板50上の第3の地点P3及び第4の地点P4をつなぐ直線は、互いに直交する。すなわち、第1の地点P1及び第2の地点P2をつなぐ直線の方向で1つの偏波(45偏波)が放射され、第3の地点P3及び第4の地点P4をつなぐ直線の方向にもう1つの偏波(-45偏波)が放射される。
【0043】
第1の地点P1と第2の地点P2との間の距離L及び第3の地点P3と第4の地点P4との間の距離Lは、使用周波数帯域の中心周波数の波長λgに依存し、目標とする特性及び材料によって異なる。例えば交差偏波間の分離度、半電力ビーム幅及び放射板50の材料の誘電率に応じて異なる。
【0044】
本発明の一実施形態で、第1の地点P1と第2の地点P2、そして第3の地点P3と第4の地点P4は、正方形放射板50から最も距離が遠い2つの地点に、例えば、斜め方向に対向する2つの頂点に隣接する。すなわち、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第1の地点P1ないし第4の地点P4は、それぞれ正方形放射板50の四頂点にそれぞれ隣接する。したがって、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナは、使用周波数に相当しながら最も小型な構造を有する。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第1の給電基板30の一側面図である。
【0046】
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る第1の給電基板30は、第1の絶縁基板310及び第1の絶縁基板310上に形成した第1の給電ライン320を含む。
【0047】
第1の給電ライン320は、第1の接続ライン321、第1の基準位相伝達ライン322、第1の逆位相伝達ライン324、第1の基準位相カップリング電極323、及び第1の逆位相カップリング電極325を含む。
【0048】
第1の接続ライン321は、第1の給電基板30の中央を基準に一側短辺に隣接して配置する。第1の接続ライン321は、第1の給電基板30の一側長辺から第1の給電基板30の内部に、例えば、第1の給電基板30の他側長辺に向かって延びる回路ラインである。第1の接続ライン321の一端は、第1の給電基板30の一側長辺上からベース基板10の信号ラインに電気的につながる。本発明の一実施形態で、第1の接続ライン321は、はんだ付け60を介してベース基板10の信号ラインにつながる。すなわち、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第1の給電基板30は、表面実装装置(surface mounting device)を用いてベース基板10に挿入結合し、はんだ付けする。これは、生産コストの削減及び作業効率化を誘発する。
【0049】
第1の接続ライン321の他端は、第1の基準位相伝達ライン322の一端及び第1の逆位相伝達ライン324の一端につながる。すなわち、第1の基準位相伝達ライン322及び第1の逆位相伝達ライン324は、第1の接続ライン321の他端から枝分かれをし、第1の基準位相伝達ライン322は、第1の基準位相カップルリング電極323の一端327につながり、第1の逆位相伝達ライン324は、第1の逆位相カップリング電極325の一端328につながる。
【0050】
第1の基準位相伝達ライン322は、第1の接続ライン321の他端から第1の基準位相カップリング電極323の一端につながる基準位相経路の長さを有する。第1の逆位相伝達ライン324は、第1の接続ライン321の他端から第1の逆位相カップリング電極325の一端につながる逆位相経路の長さを有する。
【0051】
本発明の一実施形態で、第1の逆位相伝達ライン324の逆位相経路の長さは、第1の基準位相伝達ライン322の基準位相経路の長さよりも長く、例えば、0.5λgだけ長い。したがって、第1の逆位相カップリング電極325の一端に伝達される高周波電気信号は、第1の基準位相カップリング電極323の一端に伝達される高周波電気信号に比べ、第1の逆位相伝達ライン324の逆位相経路の長さと第1の基準位相伝達ライン322の基準位相経路の長さの違いだけ、例えば、0.5λgだけ遅延して到達する。これにより、第1の基準位相カップリング電極323の一端に伝達される高周波電気信号と第1の逆位相カップリング電極325の一端に伝達される高周波電気信号は、互いに逆位相、すなわち、同じ大きさの反対極性を有する。
【0052】
第1の逆位相伝達ライン324は、第1の結合スリット316を迂回するように形成した第1のバイパスライン326を含む。本発明の一実施形態で、第1の逆位相伝達ライン324の逆位相経路の長さは、第1のバイパスラインの長さを加えて設定する。
【0053】
第1の基準位相カップリング電極323は、第1の給電基板30の一側短辺から他側短辺に向かって延びる。第1の基準位相カップリング電極323は、第1の接続ライン321が隣接する第1の給電基板30の一側長辺ではなく、その他側長辺の近くに配置する。第1の基準位相カップリング電極323の一端は、第1の給電基板30の一側短辺に隣接して配置し、第1の基準位相カップリング電極323は、第1の給電基板30の一側短辺に隣接した位置から第1の給電基板30の他側長辺に並んで延びる。第1の基準位相カップリング電極323の他端は自由端構造を有する。
【0054】
第1の逆位相カップリング電極325は、第1の給電基板30の他側短辺から一側短辺に向かって延びる。第1の逆位相カップリング電極325は、第1の接続ライン321が隣接する第1の給電基板30の一側長辺ではなく、その他側長辺の近くに配置する。第1の逆位相カップリング電極325の一端は、第1の給電基板30の他側短辺に隣接して配置し、第1の逆位相カップリング電極325は、第1の給電基板30の他側短辺に隣接した位置から第1の給電基板30の他側長辺に並んで延びる。
【0055】
第1の基準位相カップリング電極323の一端に基準位相の電気信号が印加されると、印加された基準位相の電気信号は、第1の基準位相カップリング電極323の一端からその他端に向かい、すなわち、第1の給電基板30の一側短辺からその他側短辺に向かって給電され、この給電方向に正の給電電流Ifが供給される。
【0056】
一方、第1の逆位相カップリング電極325の他端に逆位相の電気信号が印加されると、印加された逆位相の電気信号は、第1の逆位相カップリング電極325の一端からその他端に向かい、すなわち、第1の給電基板30の他側短辺からその一側短辺に向かって給電され、この給電方向に負の給電電流-Ifが供給される。
【0057】
ここで正の給電電流及び負の給電電流は互いに逆極性を有する電流を指すものであるだけで、正の給電電流及び負の給電電流の実際の電流値は正の値または負の値のいずれかである。
【0058】
再度、
図1及び
図4を一緒に参照すると、第1の基準位相カップリング電極323及び第1の逆位相カップリング電極325は、放射板50の第1の地点P1及び第2の地点P2をつなぐ1つの対角線方向、例えば、45偏波方向に配置する。第1の基準位相カップリング電極323の一端は、放射板50の第1の地点P1に隣接して配置し、第1の基準位相カップリング電極323は、放射板50の第1の地点P1に隣接した位置で放射板50の第2の地点P2に向かう方向に延びる。また、第1の逆位相カップリング電極325の一端は、放射板50の第2の地点P2に隣接して配置し、第1の逆位相カップリング電極325は、放射板50の第2の地点P2に隣接した位置で放射板50の第1の地点P1に向かう方向に放射板50に平行して延びる。
【0059】
そこで、第1の給電基板30の第1の給電ライン320は、放射板50の第1の地点P1に基準位相信号を供給し、放射板50の第2の地点P2に逆位相信号を供給する。なお、基準位相信号は、放射板50の第1の地点P1から第2の地点P2に向かって給電し、逆位相信号は、放射板50の第2の地点P2から第1の地点P1に向かって給電する。
【0060】
したがって、本発明の一実施形態によると、1つの偏波を放射するために放射板50の少なくとも2点を介して給電、いわゆる、二重給電が行われる。併せて、第1の給電基板30の第1の給電ライン320は、放射板50に、互いに逆位相を有する2つの電気信号を供給する2つのLプローブ給電構造を形成する。
【0061】
図6は、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナの第2の給電基板40の一側面図である。
【0062】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る第2の給電基板40は、第2の絶縁基板410及び第2の絶縁基板410上に形成した第2の給電ライン420を含む。
【0063】
第2の給電ライン420は、第2の接続ライン421、第2の基準位相伝達ライン422、第2の逆位相伝達ライン424、第2の基準位相カップリング電極423、及び第2の逆位相カップリング電極425を含む。
【0064】
前述したように、本発明の一実施形態で、第1の給電基板30及び第2の給電基板40は、類似した構造及び機能を有する。したがって、第2の給電基板40の第2の給電ライン420の第2の接続ライン421、第2の基準位相伝達ライン422、第2の逆位相伝達ライン424、第2の基準位相カップリング電極423、及び第2の逆位相カップリング電極425は、形状及び機能は、前述した第1の給電基板30の第1の給電ライン320の第1の接続ライン321、第1の基準位相伝達ライン322、第1の逆位相伝達ライン324、第1の基準位相カップリング電極323、及び第1の逆位相カップリング電極325にそれぞれ対応する。
【0065】
以下では、重複する説明を避けるために、第2の給電基板40の構成のうち、第1の給電基板30と異なる構成を中心に説明する。
【0066】
第2の給電基板40の第2の逆位相伝達ライン424は、第2のバイパスライン426を含む。第2のバイパスライン426は、第1のバイパスライン326とは異なり、第2の結合スリット416を迂回するように構成するわけではない。ただし、第2のバイパスライン426は、第2の逆位相伝達ライン424と、第1の逆位相伝達ライン324が同じ逆位相経路の長さを有するように、第2の逆位相伝達ライン424に加えられる。
【0067】
そこで、本発明の一実施形態によると、第1の給電ライン320及び第2の給電ライン420は、可能な類似の形状を有することができ、全体の二重偏波アンテナ構造の対称性が維持される。
【0068】
再度、
図1及び
図4を一緒に参照すると、第2の基準位相カップリング電極423及び第2の逆位相カップリング電極425は、放射板50の第3の地点P3及び第4の地点P4をつなぐ他の1つの対角線方向、例えば、-45偏波方向に配置する。第2の基準位相カップリング電極423の一端427は、放射板50の第3の地点P3に隣接して配置し、第2の基準位相カップリング電極423は、放射板50の第3の地点P3に隣接した位置で放射板50の第4の地点P4に向かう方向に延びる。また、第2の逆位相カップリング電極425の一端428は、放射板50の第4の地点P4に隣接して配置し、第2の逆位相カップリング電極425は、放射板50の第4の地点P4に隣接した位置で放射板50の第3の地点P3に向かう方向に放射板50に平行して延びる。
【0069】
そこで、第2の給電基板40の第2の給電ライン420は、放射板50の第3の地点P3に基準位相信号を供給し、放射板50の第4の地点P4に逆位相信号を供給する。なお、基準位相信号は、放射板50の第3の地点P3から第4の地点P4に向かって給電され、逆位相信号は、放射板50の第4の地点P4から第3の地点P3に向かって給電される。
【0070】
したがって、本発明の一実施形態によると、他の1つの偏波を放射するために放射板50の少なくとも2点を介して給電、いわゆる、二重給電が行われる。なお、第2の給電基板40の第2の給電ライン420は、放射板50に、互いに逆位相を有する2つの電気信号を供給する2つのLプローブ給電構造を形成する。
【0071】
図7は、単一の給電方式を例示する比較例の概略図である。
【0072】
図8は、本発明の一実施形態に係る給電方式を示す概略図である。
【0073】
図9は、比較例に係る構造で現われる放射パターンのシミュレーショングラフである。
【0074】
図10は、本発明の一実施形態に係る給電方式で現われる放射パターンのシミュレーショングラフである。
【0075】
図7を参照すると、一方向にのみ延びる例示的給電ラインを有する例示的給電ライン、及びこれに支持される放射板50を比較例として例示した。
【0076】
比較例では、1つのはんだ付け60を介して例示的給電ラインに高周波の電気信号が印加し、この信号は、例示的な給電基板の一側短辺から他側短辺に向かい、または放射板50の一地点から他の地点に向かって一方向に給電される。
【0077】
信号給電に応じて放射板50上に一方向に流れる給電電流が誘導される。しかし、比較例では給電が例示的基板の一方向に偏向して行われることから、給電電流は放射板50上で非対称的な分布を有する。給電電流の非対称性は放射板50に放射される電磁気波の非対称性を生じさせ、これはアンテナ品質の阻害要因になる。
【0078】
図9の比較例に係る放射パターンの非対称性が現れる。比較例に係る構造で同じ偏波で放射パターンの中心ラインCL1は、基準線L0から非対称移動(d)して非対称性があることが分かる。
【0079】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る給電方式は、1つの偏波を放射するために放射板50の少なくとも2地点を介して給電する方式、いわゆる、二重給電方式を有する。
【0080】
第1の基準位相カップリング電極323及び第1の逆位相カップリング電極325により、互いに反対方向に正の給電電流及び負の給電電流が形成する。また、第1の逆位相カップリング電極325で形成した逆方向の負の給電電流は、電気的に正方向の正の給電電流と解釈することができる。したがって、第1の基準位相カップリング電極323及び、第1の逆位相カップリング電極325は、同じ方向の給電電流を形成するものとみられ、これは放射板50が対称性を有するダイポールアンテナで機能させることができる。
【0081】
図10に示すように、本発明の一実施形態に係る給電方式は、対称的な放射パターンを示す。本構造にて同じ偏波で放射パターンの中心ラインCL2は、基準線L0とほぼ一致する対称性を示す。
【0082】
特に、注目すべき点は、本発明の一実施形態に係る給電方式は、1つの給電基板の給電ラインがベース基板10の1つの地点、例えば、1つのはんだ付け60を介して1つの高周波信号の供給を受けるも、放射板50の2つの地点で逆位相の二重給電を実現できるという点である。これはベース基板10の信号配線を単純にすることはもちろん、2つでなく、単一のはんだ付け60または1つのコネクタのみを要求するため、工程の所要を減らし、製品の信頼性を向上させることができる。
【0083】
さらに、放射板50を二重偏波アンテナ素子で構成する場合、従来のバラン形式の二重偏波アンテナ構造は、2つの基準位相の高周波信号及び2つの逆位相の高周波信号を形成する複雑な信号配線構造をベース基板10上に設けなければならない。このような複雑な配線構造は、ベース基板10の底面に多くの面積で露出させて隔離度を劣化させる問題が生じ、これは製品の小型化を阻害する。
【0084】
一方、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナは、第1の給電基板30及び第2の給電基板40にそれぞれ逆位相の二重給電回路を形成することから、このような空間的および電気的制約を克服し、アンテナの小型化に有利である。
【0085】
図11は、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナアセンブリの透視斜視図である。
【0086】
図11を参照すると、本発明の一実施形態に係る二重偏波アンテナアセンブリは、ケーシング2、ケーシング2の一面に配置した複数の二重偏波アンテナ、および複数の二重偏波アンテナを覆うレドーム3を含む。
【0087】
本実施形態で、それぞれの二重偏波アンテナは、先に
図1ないし
図10を参照して説明した二重偏波アンテナと実質的に同じであり、複数の二重偏波アンテナは、1つのベース基板10を共有する。
【0088】
以上の説明は、本実施形態の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施形態の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施形態の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本実施形態は、本実施形態の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施形態によって本実施形態の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施形態の保護範囲は上の請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施形態の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
1:二重偏波アンテナ 10:ベース基板
20:給電 30:第1の給電基板
40:第2の給電基板 50:放射板
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATION
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2017年12月19日付にて韓国に出願した特許出願番号第10-2017-0175432号に対して優先権を主張する。