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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】エアロゾル生成機器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220603BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021045073
(22)【出願日】2021-03-18
(62)【分割の表示】P 2018531665の分割
【原出願日】2016-12-12
(65)【公開番号】P2021104026
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】1522368.8
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガロバノバ,タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ,クリストファー ローリー
(72)【発明者】
【氏名】オース,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】プラットナー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハエントゲス,トーマス
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/101479(WO,A1)
【文献】特表2016-535982(JP,A)
【文献】特表2015-505475(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0020822(US,A1)
【文献】米国特許第8869792(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入アウトレットと、
加熱時に蒸気を生成することができる材料を保持するチャンバーと、
前記チャンバー内に保持された前記材料を加熱するヒーターと、
前記チャンバーと前記吸入アウトレットの間の流体接続を提供する蒸気冷却通路を有し、前記チャンバーに対して着脱可能に構成された蒸気冷却モジュールとを備え、
使用時に、前記チャンバー内の前記材料を加熱しながら前記吸入アウトレットにおいて吸引が行われることによって、記チャンバー内で生成された蒸気が前記蒸気冷却通路を通って前記吸入アウトレットへと送達され
前記蒸気冷却通路は、前記蒸気が前記蒸気冷却通路を通って輸送される間に前記蒸気の温度を低下させる長さを有し、
前記蒸気冷却モジュールは、
前記蒸気冷却通路の第1部分が内側に形成されたキャップ部材と、
前記キャップ部材と前記チャンバーとを接続するための接続部材であって、前記蒸気冷却通路の第2部分が内部に形成された接続部材と、
前記キャップ部材の内部に配置され、前記蒸気冷却通路の前記第1部分と前記第2部分との間の流体接続を提供するとともに、前記第1部分を形成する壁面を構成する、内部裏板と、
を含む、エアロゾル生成機器。
【請求項2】
前記蒸気冷却モジュールは、前記蒸気冷却モジュールの前記チャンバーに対する取り外し可能な装着を提供するための磁石を更に含み、前記磁石は、前記内部裏板と前記接続部材とによって形成された空間内に保持される、ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項3】
前記蒸気冷却通路の容積が600mm以上である請求項1または2に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項4】
エアインレット通路によって前記チャンバーに流体接続されているエアインレットを更に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項5】
記蒸気冷却通路は、記エアインレット通路よりも長い請求項4に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項6】
前記気冷却通路の一部は、線状に延びている、請求項から5のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項7】
前記蒸気冷却通路の少なくとも一部が湾曲通路となっている請求項から5のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項8】
前記湾曲通路はせん状の通路を含む、請求項7記載のエアロゾル生成機器。
【請求項9】
前記湾曲通路は、前記エアロゾル生成機器の長手方向の軸に直交する断面平面への正射影においてコイル状となっている請求項7または8に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項10】
前記エアインレットと前記吸入アウトレットのうちの片方又は両方のサイズは、調整可能である請求項4または5に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項11】
前記吸入アウトレットのサイズは、常に前記エアインレットのサイズよりも大きく、又はその逆である請求項4または5に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項12】
前記ヒーターは、前記チャンバー内に保持されている前記材料を燃焼せずに加熱するように構成されている請求項1から11のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項13】
前記チャンバーは、前記材料を含むカートリッジを受けるように構成され、
前記ヒーターは、前記カートリッジ内の前記材料を加熱するように構成されている請求項1から12のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項14】
前記蒸気冷却モジュールは、前記エアロゾル生成機器の一端に配置され、
前記吸入アウトレットは、前記蒸気冷却モジュールがマウスピースとして機能するように前記蒸気冷却モジュール上に配置されている、求項1から13のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項15】
前記蒸気冷却モジュールは、前記チャンバーを露出するように前記蒸気冷却モジュールが取り外し可能となるように、着脱可能な要素を形成する、求項1から14のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項16】
前記着脱可能な蒸気冷却モジュールのャンバー連結端は、前記チャンバーとの流体接続を提供する突起を有する求項15に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項17】
エアインレット通路によって前記チャンバーに流体接続されているエアインレットを更に備え、
前記エアインレットは、前記蒸気冷却モジュール内に設けられ、
前記エアインレット通路はまた、前記蒸気冷却通路と並んでいるが隔てられた状態で前記突起に沿って延びる、請求項16に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項18】
前記突起、前記エアロゾル生成機器の前記蒸気冷却モジュールの接続の際に前記チャンバー内に保持されたカートリッジを穿つことができるように、向けられている、請求項16又は17に記載のエアロゾル生成機器。
【請求項19】
求項1から18のいずれか1項に記載のエアロゾル生成機器と、
加熱時に蒸気を生成することができる材料を含むカートリッジと、を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引可能な蒸気を放出するために材料を加熱するエアロゾル生成機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体から蒸気を生成する電子たばこ等のエアロゾル生成機器は、比較的よく知られ、普及してきている。別のタイプのエアロゾル生成機器では、温調加熱を使用して、タバコなどの喫煙可能材料を十分に熱して、材料が燃焼するレベルまでは加熱温度を上げないようにして蒸気を放出する。よって、こうした機器は、材料を燃焼する必要なしに吸引可能な蒸気を生成するという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、従来の機器においては、吸入チャンネルを介してマウスピースに接続する温度制御加熱チャンバーを備え、加熱チャンバーは、喫煙可能材料の交換可能カートリッジを受けるように構成されている。ユーザは、チャンバー内に材料のカートリッジを配置し、チャンバー内にて生成された蒸気を吸入用マウスピースを介して吸うためにヒーターを起動し、マウスピースで吸入する。しかし、こうした従来の機器においてはいくつかの問題点がある。
【0004】
こうした機器に関する1つの問題として、生成された蒸気は、温度が上昇した状態で機器を出るため、蒸気の吸引としては最適でない可能性がある。周囲空気と混合するエアインレットを備え、生成された蒸気をその周囲空気によって冷却する従来の機器があるが、こうした構成においては、生成された蒸気が大幅に薄まるためユーザ満足度が劣る場合がある。また、周囲空気をチャンバー内に導入するという冷却効果が、吸引に最適な温度まで蒸気を冷却するのに十分でない場合がある。
【0005】
生成された蒸気を冷却するのに関連する1つの難点としては、機器の内部通路内に結露が生成しやすいということがある。結露が機器内に残った場合、継続使用後に、機器内部の要素が大きく劣化する、又は風味や衛生状態に有害な影響を及ぼす場合がある。
【0006】
従って、エアロゾル生成機器を焼損しないで、生成された蒸気の特性を大幅に改善する加熱が必要とされる。特に、生成された蒸気が、生成後で吸引する前に十分に冷却されるような機器を提供することが必要とされる。更に、機器内に生成される結露の有害な影響を避けるという関連的な要望がある。
【0007】
本発明は、結露の影響を最小限にして従来技術の問題点を克服すると共にユーザに対して冷却蒸気を提供することができ、材料を燃焼することなく加熱するように構成された調温エアロゾル生成機器を提供することを試みる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、吸入アウトレットと、加熱時に蒸気を生成することができる材料を保持するチャンバーと、前記チャンバー内に保持された材料を加熱するヒーターと、エアインレット通路によって前記チャンバーと接続するエアインレットと、前記チャンバーと吸入アウトレットの間の流体接続を提供し、そこを流れる蒸気を冷却するように構成された蒸気冷却モジュールとを備え、使用時に、吸入アウトレットにおいて吸引することによって空気が前記エアインレットを介して前記チャンバーに入り、前記吸入アウトレットを介して機器から出る蒸気の温度が、前記チャンバー内で生成された蒸気の温度より実質的に低くなるように、前記チャンバー内で生成された蒸気が前記蒸気冷却モジュールを通って前記吸入アウトレットへと送達される、エアロゾル生成機器が提供される。
【0009】
本発明のエアロゾル生成機器によれば、チャンバー内で生成された蒸気をチャンバーからマウスピースを介してユーザに送達する間に実質的に冷却できる手段を提供することができる。この機構は、蒸気を冷却する目的でエアインレットを経由する追加の周囲空気に頼っていないため、従来の機器とは異なり、蒸気の濃度とは独立して蒸気の温度を下げることができる。本発明の例においては、更に、モジュラー蒸気冷却要素が提供され、この要素は、機器内の結露の水滴をよりよく回収することができ、かつ、簡易的な方法で洗浄又は交換することができるため、結露の有害な影響を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の1つの例を添付の図面に基づいて説明する。これらの図面において
図1図1A及び図1Bは、本発明によるエアロゾル生成機器の断面を示す。
図2図2は、本発明による蒸気冷却モジュール及びエアロゾル生成機器の接続手段を示す。
図3図3は、本発明によるエアロゾル生成機器を通る空気と蒸気の流れを示す。
図4図4Aは、本発明による蒸気冷却モジュールの側面図を示す。図4Bは、本発明による蒸気冷却モジュールの断面を示す。図4Cは、本発明による蒸気冷却モジュールの端部を示す。
図5図5A及び図5Bは、本発明による蒸気冷却モジュールの分解組立図を示す。
図6図6は、本発明による更なる蒸気冷却モジュールの分解組立図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本発明によるエアロゾル生成機器100は、第1の端111と第2の端112を有する長尺体110を備える。エアロゾル生成機器100は更に、チャンバー120と、チャンバー120に保持された材料を加熱するよう構成されたヒーター130とを備える。好ましくは、ヒーター130は、蒸気を放出するのに十分な温度にチャンバー内の材料を加熱するように構成されているが、材料が燃焼する温度を超えないように制限されている。吸入アウトレット140は、機器100の第1の端111の近傍に配置され、蒸気冷却モジュール150は、チャンバー120と吸入アウトレット140の間に配置されている。蒸気冷却通路160は、チャンバー120と吸入アウトレット140の間の流体接続を提供する蒸気冷却モジュール150を貫通している。
【0012】
図1の実施形態の機器において、蒸気冷却モジュール150の冷却機能は、後ほど詳細に説明するように、蒸気が蒸気冷却通路160を通過する間に蒸気が大幅に冷却されるように、十分な長さを有する蒸気冷却通路160を活用することで提供されている。この例において、延在する蒸気冷却通路160は、2つの部分を有し、第1の部分161は、チャンバーと蒸気冷却モジュール150の端部151との間において機器の長尺軸に沿った方向に延在する。蒸気冷却通路の第2の部分162は、機器の長尺軸に実質的に垂直な面において、蒸気冷却モジュールの平面部151内でコイル状になっている。後ほど詳細に説明するように、この配列は、機器100が必要とする長さを大幅に短くし、実質的に長尺な蒸気冷却通路160を可能にするという有利な点をもたらす。
【0013】
図1は更に、この例において、蒸気冷却モジュール150上に配設され、エアインレット通路171を介してチャンバー120に接続するエアインレット170を示している。この例におけるエアインレット通路171、172は、2つの部分を有し、第1の部分171は、チャンバー内へと、蒸気通路161の第1の部分と実質的に平行に延在している。エアインレット通路の第2の部分172は、第1の部分と実質的に垂直に延在し、エアインレット170と接続している。
【0014】
この例におけるヒーター130は、蒸気冷却モジュール150の蒸気通路161と連結する側面以外の全ての側面上において実質的にチャンバーを囲んでいる加熱プレートからなる。この配列によって、チャンバー120の表面積の多くの部分を加熱することができ、均一で安定した加熱が容易になり、チャンバー120内に格納されている材料を焼損することなくこの材料をチャンバー120内において特定の温度に加熱するのに必要な温度調整維持に役立つ。または、チャンバーは、要求される均一加熱を提供するように加熱される伝導性シェルで形成されていてもよい。この例におけるヒーターは、第2の端112に向かって機器の下部に配設されたバッテリー131によって駆動する電気ヒーターである。ヒーター130は、ユーザによって操作される図1に示すような加熱ボタン132によって起動されてもよいし、吸入アウトレット140において吸入するユーザが起動するフローセンサ等のような他のトリガー手段によって起動されてもよい。
【0015】
図1に示すように、蒸気冷却モジュール150は、モジュール150の上端表面142上に吸入アウトレット140が設けられた状態で、機器100の第1の近位端111に配置されてもよい。こうした配列において、蒸気冷却モジュール150自体がマウスピースとして機能してもよく、モジュール150と連結するように構成されてユーザが吸って蒸気吸入する追加のマウスピースユニットが不要となる。しかし、他の例においては、マウスピースユニットを蒸気冷却モジュール150の上側111と接続し、この機能を提供してもよい。蒸気冷却モジュール150自体がマウスピースを提供する場合、端表面142のエッジは、ユーザが機器周辺において唇をより密着してシールし蒸気を吸入しやすくするように、より人間工学的な形状を実現するように、吸入アウトレット141が配置される場所において外方突起141へと湾曲していてもよい。
【0016】
図1Bの実施形態の機器に示すように、蒸気冷却モジュール150は、本体110の着脱可能な部分を形成してもよい。この配列によって、チャンバー120に対して開口部121を露出するために蒸気冷却モジュールが取り外し可能となる。このようにして、ユーザは、チャンバー120内に保持された材料を充填又は交換、補充することができる。この再充填は、カートリッジの形態であってもよい。図1Bには更に、本実施形態の機器のチャンバー接続突起155が示されている。この突起155は、チャンバーへの開口部とモジュールが接触することによって、この突起がチャンバー120内へと延在するように、蒸気冷却モジュールから延在している。図1Bに明確に示すように、突起155内には、蒸気冷却通路160の第1の部分161とエアインレット通路の第1の部分171の両方が設けられており、これにより、周囲空気がチャンバー内へと通り、また生成された蒸気がチャンバー外への通ることができる。
【0017】
蒸気冷却モジュール150の接続突起155はまた、二次的な目的を果たす。従来技術において、材料を格納するカートリッジを利用してチャンバー120内の喫煙可能材料を交換しやすくすることが知られている。こうしたカートリッジは、タバコなどの圧縮されたブロックの喫煙可能材料を囲む外包装を有している場合がある。従って、まず蒸気冷却モジュール150を取り外した状態でカートリッジをチャンバー120内に配置してもよく、その後、モジュール150を機器100に再接続する。モジュール150を機器の本体110内の露出した開口部121に接触させることによって、突起がカートリッジと接触し、カートリッジの包みを突き刺し、カートリッジ内への周囲空気の通路を形成すると共にカートリッジから出て蒸気冷却モジュール内への蒸気の通路を形成する。
【0018】
図2に示すように、取り外し可能な取付を「ツイスト・ロック」機構によって提供してもよい。それは更に、図6に関連して後述するように、磁石によって提供してもよい。この機構は、チャンバー120の開口部121を囲むカラー部122内の軸方向に配置された凹み部115によって提供される。これらの凹み部115を、蒸気冷却モジュールの突起155の断面形状に合わせ、これにより、突起155がチャンバー開口部121に挿入することを、機器の長尺軸周りの特定の回転方向にあるときのみ許容するようにしてもよい。蒸気冷却モジュールを正しい回転方向において機器本体上に設置したら、モジュールを(図2Bに示すように)回転し、機器本体内の内部突起113をモジュール内の対応するインターロック凹み部114と接触させ、これにより、モジュールが、図2Cに示すように機器本体に対して直線的な位置において所定の場所に固定される。
【0019】
図3に、本発明によるエアロゾル生成機器100の動作中における空気及び蒸気の流れを示す。ヒーター130を起動すると、加熱プレートの温度は、チャンバー120内の材料が燃焼することなく蒸気を放出できるレベルまで材料を加熱するのに十分な温度まで上昇する。エア吸入アウトレットにおいて吸入すると、周囲空気がエアインレット170を介して入り、そしてエアインレット通路の第2の部分172に沿って横方向に機器内へと入る。そして、周囲空気は、機器の長尺軸に沿って周囲空気を運ぶエアインレット通路の第1の部分171に沿って通過し、モジュール突起155を経て、チャンバー120内に直接入る。このようにエアインレット通路のチャンバー連結部171を配設することで、周囲空気が確実にチャンバー120の奥深くへ入り込み、蒸気の取出しが向上する。周囲空気は、チャンバー120で材料から発生した蒸気と混合し、この混合物は、吸入アウトレット140を介した吸入により、チャンバー120を出て、蒸気冷却通路160に沿って移動する。従って、機器を出たエアロゾル(以降、蒸気とも呼ぶ)は、材料を加熱することで生成した蒸気とエアインレット132を介して導入された周囲空気との混合されたものである。
【0020】
蒸気の取出しは、更に、エアインレット通路171と蒸気冷却通路160との間において通路の開口部を超えてチャンバー120内の深くまで延在する延長仕切部156を設けることで改善する。この構造を使用することで、エアインレット通路からの周囲空気は、蒸気冷却通路160を経て出る前に、チャンバーの奥深くまで進むこととなる。
【0021】
蒸気冷却通路160は、チャンバー内で生成された比較的高温の蒸気の温度が、蒸気冷却通路に沿って移動する間にアウトレットにおいて吸入するのに適したレベルまで下がることができるように、十分な長さを有する必要がある。このことを実現するための正確な長さは、要素を形成するのに使用する材料、蒸気通路の直径、加熱温度、エアインレット170のサイズなどの数多くの要因に依存する。しかし、必要な長さは、これらの要因の任意の特定値を求める通常の実験によって簡易的な方法で決定されてもよい。蒸気冷却通路の直径が約4.5mmであり、加熱温度が燃焼せずにタバコから蒸気を放出するのに適した温度である場合、蒸気を適切な温度に十分に冷却するには90mm以上の蒸気冷却通路長さが必要であった。吸入された蒸気の特性は、チャンバーと吸入アウトレットとの間の蒸気冷却通路が実質的にエアインレット通路より長い場合に改善する。
【0022】
後述するように、蒸気冷却通路150は、生成された蒸気を冷却する必須機能を提供するのに適している限り、多数の構成の中の1つを採用してもよい。図3に示すように、蒸気冷却通路160は、チャンバー120と吸入アウトレット140との間において機器の長尺軸に沿って単に直線的に延在してもよい。しかし、この場合、機器の長さがユーザにとって許容できる寸法を超えてしまう場合もあるので、モジュール内部の空間をより効率的に利用して、より許容可能な寸法に抑えられた延長蒸気冷却通路を提供できる他の多数の構成が存在する。
【0023】
図1を参照して説明したように、1つの取り得る蒸気冷却モジュール150の配列構成では、モジュールの実質的に平面な部分内における通路の長さを最長にするために、コイル状の蒸気冷却通路を採用している。こうしたコイル状の通路の配列を図4に示す。図4Aは、実施形態の蒸気冷却モジュールを示す外側の側面図であり、平面と側部が示されており、それらの対応する図がそれぞれ図4B図4Cに示されている。
【0024】
図4Bに示す蒸気冷却モジュールの上部151を通る平面部には、蒸気冷却通路160のコイル状の配列が明確に示されている。この配列において、蒸気冷却通路160の部分162はそれ自身を中心にコイル状になっており、このコイル状の通路は、機器の長尺軸に垂直な面内にあり、モジュールの上部平面部151に収められている。この配列は、利用可能なスペースを明らかに最も効率よく利用しており、上部の断面積を占め、モジュール自体の必要長さを最小限にすると共に蒸気冷却通路160の長さを最大にしている。図4Cには、空気が、モジュールの連結突起155に延在する最初の直線状の第1の部分161を通る通路162のコイル状の部分にどのように入るかが示されている。この第1の部分161は、モジュールの中心内にあるコイル状の第2の部分162と流体接続している。そして、第2の部分162はそれ自身を中心にコイル状になっており、このコイル状の通路は、モジュール150の半径方向の末端にある吸入アウトレット140に到達する前においてはモジュールの上部151の平面に収められている。
【0025】
湾曲通路部162を蒸気冷却モジュール150の平面部151の内部に設けることは、上述したような機器全体の長さを最小にするように最も効率よくスペースを活用すること以上の利点をもたらす。この上部平面部151は、交換又は洗浄できる脱着可能な要素を形成してもよい。このことは、以下に述べるような機器の性能や蒸気の風味に対して有害な影響を及ぼす可能性のある結露が溜まることを防ぐ上で特に重要である。湾曲通路部がモジュールの長さに渡って延在する例と比較して、湾曲通路が配設される蒸気冷却モジュールの部分、好ましくは、上部を設けることで、洗浄がより簡易的な方法で実行することができる。これは更に、所定量の使用後にこの部分を交換する必要がある場合、より劣化しにくく、より長寿命の蒸気冷却モジュールのいくつかの要素を留めたまま、その交換を実現できることを意味する。
【0026】
蒸気冷却通路160のコイル状部162の正確な配列については、多くの異なる構成を取ることができる。モジュールの断面形状が丸みのある長方形となっている図1及び図2図4の例の場合、まず、折り返す前は反時計回りのコイル状であり、次ぎに湾曲した時計回りの路となり、吸入アウトレット140に達する通路となっていることにより、アスペクト比が増えるに従って、より効果的にスペースを埋めることができる。しかし他の例の場合、例えば、円形の断面を有する機器やアスペクト比が1に近い機器の場合、通路のコイル状の部分が渦巻き形状で、吸入アウトレット140にぶつかるまで中心点を中心に徐々に広くなる湾曲形状で中心点の周りに巻かれていると、より効果的となる場合がある。
【0027】
図4Bに示すように、蒸気冷却通路の内面は、周期的に設けられた突起163によって畝状になっていてもよい。蒸気冷却通路のこうした断面形状のバリエーションは、モジュールを通る空気流の特性を変化するように作用し、そこを通過する蒸気の温度の低下を促進する。これらはまた、蒸気冷却通路から後ほど取り除かれることになる結露の水滴の回収を促進する。
【0028】
図5は、本発明による実施形態の蒸気冷却モジュール150の分解組立図を示す。キャップ部151は、モジュールの外殻を提供し、図5Bに示すように蒸気冷却通路160の湾曲部162を格納する平面部151を保持する。キャップ部151内の開口部は、吸入アウトレット140とエアインレット170の位置に対応するように配置されている。この例において、上記したように、キャップ部151はまたマウスピースとして機能し、キャップ部の上表面142は、吸入アウトレット140の周りにおいて突起リップへと外側に湾曲してもよい。
【0029】
この例において、接続部154は、キャップ部152と嵌合して、使用時には機器の残った本体と接続するチャンバー連結側において、モジュールを閉じる。これはまた、機器本体内の開口部121との接続機構を提供し、エアインレット通路171、172及びエア冷却通路の第1の部分161を格納する。接続部は、接続部154の外表面とキャップ部151の内表面上に設けられた共同固定手段157によってキャップ部151内に密接に嵌合するように構成されてもよい。図5Bに明確に示すように、チャンバー連結突起155は、接続部の下表面から延在している。この図にはまた、突起155内において蒸気冷却通路160の第1の部分161とエアインレットの第1の部分とを隔てる延長通路仕切部156を示す。延長通路仕切部156は、チャンバー120内においてカートリッジの包みを穿つことができる点まで延在してもよい。図5Aに最もよく示すように、蒸気冷却通路161の第1の部分は、突起内の開口部からモジュール150内部へと上方に向かって延在している。エアインレット通路は、組み付けた際にキャップ部151内の開口部に対応するエアインレット170に対して垂直の方向に延びている。
【0030】
この例において、内部裏板152は、キャップ部151内で接続部154と蒸気冷却通路160のコイル状部162との間のガスケットとして機能する。裏板の開口部153は、蒸気冷却通路160の第1の直線部161と第2のコイル状部162の開口部と対応するように配置され、不可欠な流体接続を提供する。
【0031】
図5の例は、機器本体の残りの部分に対して脱着可能な取付を容易にする別の接続機構を示す。この例において、磁石158は、蒸気冷却モジュール150に保持され、機器の残りの本体部分内におけるチャンバー120の開口部121の周辺において、対応する磁性材料と整合するように配置されている。これらの磁石158は、蒸気冷却モジュール150を所定の位置に確実に保持するのに十分な力を提供すると共に、必要に応じてユーザが力を加えてモジュール150を取り外すことを許容する。
【0032】
機器のいくつかの例において、蒸気冷却モジュール150の上部マウスピース表面142は、蒸気冷却通路を洗浄しやすくするために脱着可能となっていてもよい。
蒸気と接触する機器の要素は、冷却処理を促進するように蒸気からの熱を容易に受け止めることができる材料で形成されてもよい。
【0033】
上記したコイル状の通路及び直線的に延在する通路の例に加えて、蒸気冷却モジュール150及び蒸気冷却通路160に対して様々な変更や変形を施して、チャンバー120と吸入アウトレット140との間の経路間において蒸気を実質的に冷却するという主要な技術的効果を提供してもよい。
【0034】
1つのこのような代替え的な構成において、蒸気冷却通路150は、例えば図4Bに示すような各タイプに関して、複数の湾曲部又はコイル状部162を有していてもよい。こうした配列において、蒸気冷却通路の第2の部分162は、複数のコイル状部で形成され、各コイル状通路は、長尺軸に垂直な隣接平面に実質的に収められ、それぞれが隣接するコイル状又は湾曲する部分と流体的に接続している。こうした配列は、図4Cに151と示される厚み分だけ機器の長さを延長すると共に更なるコイル状部を追加することで、大幅に蒸気冷却通路の長さを延長することができる。
【0035】
蒸気冷却モジュール150の代替え的な構成を図6に示す。この配列において、らせん状要素159は、蒸気冷却モジュールの内部空洞内に保持され、この空洞は、一体に接続されたときにキャップ部151及び接続部154によって区画されている。らせん状要素159は、空洞内に密に嵌合、すなわち気密的な方法で嵌合し、蒸気冷却通路の第1の部分161と吸入アウトレット140との間で流体接続を提供している。らせん状要素は、機器の長手軸と軸方向に整列され、これにより、空洞と共に、蒸気冷却通路160のらせん状の第2の部分162を区画していてもよい。従って、この配列によって、実質的にモジュール自体の長さを増加させずに蒸気冷却通路を長くする代替え手段が提供され、製造及び組立が簡易化される。また、らせん状要素159は、以下に更に述べるように、結露を取り除くために、取り外して洗浄してもよい。
【0036】
更なる例において、生成された蒸気の特性は、エアインレット170及び吸入アウトレット140のサイズを適切に構成することで更に改善する。エアインレット170を大きくしてチャンバーから蒸気を取出す割合を上げることで、蒸気の風味特性を向上させると同時に、より適切な吸入体験を提供してもよい。また、吸入アウトレットの直径をエアインレットの直径より大きくすることで、冷却結果を改善してもよい。他の例において、エアインレットのサイズ(または直径)を吸入アウトレットのものよりも大きくしてもよい。また、インレットとアウトレットのサイズを適切な制御手段で調整することでユーザが好みの蒸気特性を選択できるように、エアインレットと吸入アウトレットの直径を調節する手段を設けてもよい。更なる例においては、最適な冷却効果を改善するように蒸気冷却通路の直径を選択する。実質的に円形形状の断面と4.5mmの直径(または同様の断面積を備える同等サイズの別形状)を有する通路が、通過する蒸気の冷却率を増加することを発見した。
【0037】
蒸気冷却通路の全容積はまた、冷却を最適化するように構成されていてもよい。本発明の例においては、蒸気冷却通路の全容積を、600mmより大きく、より好ましくは1000mmより大きく、更に好ましくは1800mmより大きくして、大きな冷却をもたらすようにしてもよい。蒸気冷却モジュールは取り外し可能であってもよいので、それぞれ別の寸法の蒸気冷却通路を有する別の蒸気冷却モジュールを設けてもよい。これによって、ユーザは、ユーザの好みに合った又は特定の使用材料に適した蒸気冷却モジュールの特定のバリエーションを選ぶことができる。
【0038】
チャンバー120と吸入アウトレット140との間の経路中における蒸気冷却の有害な副作用としては、蒸気冷却通路160内で発生する可能性のある液滴結露プロセスがある。この結露が機器内に残っていると、繰り返しの使用後に、機器の内部要素が劣化し始める可能性がある。本発明の例では、機器内の結露の影響を解決又は縮小することを目指した追加の機能を有していてもよい。例えば、機器上部のマウスピース表面142を脱着可能として、洗浄のために蒸気冷却通路を取り外すことができるようにしてもよい。これは、端表面のへり上にヒンジを設け、後に洗浄する内部要素が露出するようにこのヒンジを中心に上端表面が回転するようにして、実現してもよい。または、蒸気冷却通路160のコイル状部162と上部表面142は、例えば、スプリングで付勢されたプッシュ・リリース機構によってモジュール150から放出されることができる一体要素を形成してもよい。
【0039】
図4及び図5の実施形態を考慮すると、例えば、湾曲通路部162を含む平面部151は、脱着可能な要素として形成し、内部通路162の洗浄を容易にしてもよい。または、蒸気冷却通路160の湾曲通路部162は、個別に脱着可能な要素を形成してもよい。通路の内面上に周期的な畝163を設けることでも、蒸気冷却通路内の結露の水滴を回収しやすくでき、そして、内部の通路の洗浄を容易にするために平面部151を取り外すことで洗浄することができる。この結露回収効果は、本発明による任意の機器の蒸気冷却通路内面に、例えば結露の吸収を増加することができるポリマー材料などの材料層のコーティングを施すことで、強化してもよい。
【0040】
結露の影響を減少するための別の代替え例においては、蒸気冷却モジュール又は、平面部151若しくは蒸気冷却通路の湾曲部162などの蒸気冷却モジュールの要素が、結露やそれに関連して劣化が始まり機器の運用やユーザ体験に有害な影響を及ぼす場合やその時に、これらのパーツを破棄・交換できるように、交換可能となっていてもよい。
【0041】
別の例において、蒸気冷却通路は、追加の使い捨て結露捕集パーツを備えて、結露が機器の機能的な内部要素と接触して留まることを実質的に防止することができる。こうしたパーツは、繊維の配列によって形成されるブラシ状部の形態をとってもよく、または別の形態として、結露を回収するために蒸気通路内に配置されて結露の水滴を捕捉することができるポリマータイプのものであってもよい。
【0042】
別の取り得るものとして、調整可能なエアインレット170及び吸入アウトレット140の直径という追加の機能を採用してもよい。ユーザは、例えば、エアインレット170の直径を減少して機器を流れる空気又は蒸気の速度を増加させることで空気流を調整してもよい。機器を流れる空気流の速度を増加させることで、インレット又はアウトレットを介して機器内の結露を排出してもよい。
【0043】
本発明によるエアロゾル生成機器の別の例において、蒸気冷却通路に追加の風味要素を設けて、チャンバー内で生成された蒸気の風味を変化させるようにしてもよい。これは、通路のパーツ内面に風味生成層を設けて、機器内を移動する際にこの層と接触した蒸気に追加の風味を与えることで、実現してもよい。または、これは、吸入アウトレットに設けられた又は上記結露捕集パーツと組み合わせた追加のフィルター要素によって、提供されてもよい。蒸気冷却通路を含む蒸気冷却モジュールの一部が脱着可能な要素を形成する本発明の例においては、これによって、この要素を別の風味層を含む他のものと交換して、ユーザが風味を調整できるようにしてもよい。
【0044】
本発明のいくつかの例において、蒸気冷却通路は、機器の蒸気冷却モジュール又はマウスピースの少なくとも10%から40%を占める。好ましくは、蒸気冷却通路は、マウスピースの上部に位置すると共にエアアウトレットと接続していてもよく、好ましくは、蒸気冷却通路は、チューブ又は蛇行構造などの不均一又は閉構造である。これによって、生成された蒸気がマウスピースの内部容量の空のスペース及び蒸気冷却通路と接触できる。蒸気冷却構造の円筒状構造の外表面は、マウスピースの内部容量内の空気に露出していてもよいので、このことは、機器の本体内に埋め込まれている又は封入されている従来技術において知られている従来型蒸気通路を通る蒸気と比較して、観察される結露のレベルに影響を及ぼす場合がある。
【0045】
上記した本発明の例では、従来の機器が有するいくつかの課題を克服するエアロゾル生成機器を提供する。特に、加熱されたチャンバーと吸入アウトレットとの間に蒸気冷却モジュールを設けることで、生成された蒸気を、快適に吸入できるレベルにまで実質的に冷却することができ、不快な効果を緩和している。このことによって、蒸気を冷却するのに周囲空気を追加する機器とは異なり、蒸気の希薄とは切り離して蒸気を冷却することができる。発明の例では、積極的な冷却要素を使用した解決方法に比べて、低価格で容易に製造できる蒸気冷却手段を提供するものである延在する蒸気冷却通路を使用して、蒸気を冷却する。更なる例では、機器の断面積を最大にするように蒸気冷却通路に湾曲構成を採用して、機器全体の長さを大きくせずに蒸気冷却通路の長さを長くできるように活用している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6