(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-02
(45)【発行日】2022-06-10
(54)【発明の名称】水抜きホース用先端具および中空柱の水抜き方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20220603BHJP
【FI】
E04G23/02 F
(21)【出願番号】P 2022032580
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000221915
【氏名又は名称】東邦電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】大漉 朋春
(72)【発明者】
【氏名】栗原 佑次
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-110530(JP,A)
【文献】特開2005-213740(JP,A)
【文献】登録実用新案第3030424(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/00-23/08
E04G 21/00-21/10
E04C 3/00- 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滞留水を吸込んで外部へ排出する水抜きホースの先端に取り付けられる水抜きホース用先端具であって、
前記水抜きホースの先端部に装着され、中心の中空部分をホース連結部用通水路としたホース連結部と、
前記ホース連結部に一体で設けられ、滞留水を吸い込み、前記ホース連結部のホース連結部用通水路を介して前記水抜きホースへ送る水抜き部本体用通水路および吸込み孔を有する水抜き部本体とを備え、
前記水抜き部本体には、複数のボールが連結線によって連結されたボールチェーンが設けられていることを特徴とする水抜きホース用先端具。
【請求項2】
請求項1に記載の水抜きホース用先端具において、
前記吸込み孔の内径は、前記ボールチェーンを構成するボールの外径よりも小さいことを特徴とする水抜きホース用先端具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水抜きホース用先端具において、
前記ホース連結部は前記水抜き部本体の後端部に設けられている一方、前記ボールチェーンは前記水抜き部本体の先端部に取付けられており、
前記吸込み孔は、前記水抜き部本体における前記ホース連結部が設けられた後端部と前記ボールチェーンが取り付けられた先端部との間の側面を貫通するようにその側面の両側に設けられていることを特徴とする水抜きホース用先端具。
【請求項4】
請求項3に記載の水抜きホース用先端具において、
前記水抜き部本体の先端部には、前記ボールチェーンを構成する複数のボールの内、1のボールが嵌るボール嵌合穴と、前記ボールチェーンの複数のボールを連結する連結線が嵌る連結線嵌合溝部とが連通して設けられ、
前記ボール嵌合穴と
前記水抜き孔と
前記ホース連結部のホース連結部用通水路との間には、前記水抜き部本体用通水路が設けられており、前記ボール嵌合穴および前記連結線嵌合溝部は、当該水抜き部本体用通水路を介して前記ホース連結部のホース連結部用通水路に連通していることを特徴とする水抜きホース用先端具。
【請求項5】
請求項4に記載の水抜きホース用先端具において、
前記水抜き部本体用通水路は、
前記ボール嵌合穴と前記吸込み孔とを連結する第1水抜き部本体用通水路と、
前記吸込み孔と連通する第2水抜き部本体用通水路と、
前記第2水抜き部本体用通水路と前記ホース連結部のホース連結部用通水路とを連結する第3水抜き部本体用通水路とを備え、
前記第3水抜き部本体用通水路の内径は、前記第2水抜き部本体用通水路の内径よりも小さく形成していることを特徴とする水抜きホース用先端具。
【請求項6】
水抜きホースの先端部に請求項1~請求項5のいずれか一の請求項に記載の水抜きホース用先端具の前記ホース連結部を連結し、中空柱側面に開口した水抜き孔に前記水抜きホース用先端具を先頭にして水抜きホースを挿入し、前記水抜きホース用先端具の前記水抜き部本体に取付けた前記ボールチェーンの重量を利用して前記水抜きホース用先端具および前記水抜きホースを中空柱の空洞部内で下ろしていき、前記水抜きホース用先端具の前記水抜き部本体から中空柱の空洞部内の滞留水を吸込んで水抜きホースを介して中空柱の外部へ排出することを特徴とする中空柱の水抜き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞留水を吸込んで外へ排出する水抜きホース先端に取り付ける水抜きホース用先端具、およびコンクリート柱や鋼管柱、鋼管コンクリート柱等の空洞部を有する中空柱の水抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道事業者が所有するコンクリート柱(CP柱)等の中空柱は、通常、頭頂部に頭頂部キャップと底部に底蓋が設けられており、侵入した雨水等が溜留する構造となっていため、経年劣化等により柱の空洞部内部に雨水等が侵入・滞留することが問題となっていた。
【0003】
何故なら特にコンクリートは、セメントや細骨材、粗骨材、水を使用し練り固めたもので、強アルカリ性となっているのが通常の状態である。しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリートの表面に接触すると水酸化カルシウムと化学反応を起こして、水酸化カルシウムは中性の炭酸カルシウムと水へと変化し、コンクリートがアルカリ性を失う中性化が発生する。中性化が進行し、アルカリ性が失われたコンクリートが鉄筋部分まで侵食すると、鉄筋には錆が発生し、錆からくる膨張、そして膨張によるコンクリートのひび割れに繋がってしまう。また、気候、荷重等の環境変化によりコンクリートに引張力が作用し、ひび割れが発生する。内部の鉄筋とコンクリートの自己収縮による体積変化との伸縮差によってもひび割れが発生する要因となっている。
【0004】
また、経年劣化等によってコンクリート柱の頭頂部キャップのひび割れ部分や本体のひび割れ部分から水が侵入し、錆の速度を加速させたり、鉄筋を腐食させたりしてしまう。ひび割れが進行すると、コンクリート柱の内部に水漏れを起こし更に水が滞留する。内部に滞留した雨水等の滞留水は、コンクリート内部に取り込まれ気温がマイナスになると凍結し膨張、そして膨張によるコンクリートの破壊につながる。凍結融解を繰り返すことにより更にコンクリートの劣化が加速してしまう。内部に水が滞留しているかどうかの判断は、コンクリート柱の空洞部内部に滞留した雨水がひび割れ箇所等からしみ出す際に、コンクリート中のカルシウムが溶解し抽出するエフロレッセンス(白華現象)が認められれば、雨水が滞留していることとなる。また、鋼管柱であれば、空洞部に溜まった滞留水によって内部から錆びる問題がある
【0005】
このような事から、コンクリート柱等の中空柱の場合、空洞部に溜まった雨水等の滞留水を抜くことが行われており、通常は、その側面に水抜き孔を開けて、その水抜き孔に水抜きホースを挿入してバキューム装置で雨水等の滞留水を除去していた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の特許文献1に記載の水抜き方法では、中空柱の側面に設けた水抜き孔に水抜きホースを挿入してバキューム装置で雨水等の滞留水を除去していたが、水抜きホースは通常、塩化ビニール等の素材で製造されており、水より比重が軽い場合があるため、中空柱の空洞部内に貯まった雨水等の滞留水の中でも浮いてしまい、中空柱の空洞部内に貯まった滞留水を確実に排出できないおそれがあるという問題があった。
【0008】
また水抜きホースの比重が水より重い場合でも、比較的軽い素材で製造されているため、中空柱の側面に設けた水抜き孔から挿入して中空柱内の空洞部で降下させた際に途中でつかえる場合もあり、円滑な水抜き作業に支障になるおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、水抜きホースを円滑かつ迅速に降下させると共に、滞留水の中で水抜きホースを浮かすことなく滞留水を確実に吸い上げて外部へ排出する水抜きホース用先端具および中空柱の水抜き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る水抜きホース用先端具は、滞留水を吸込んで外部へ排出する水抜きホースの先端に取り付けられる水抜きホース用先端具であって、前記水抜きホースの先端部に装着され、中心の中空部分をホース連結部用通水路としたホース連結部と、前記ホース連結部に一体で設けられ、滞留水を吸い込み、前記ホース連結部のホース連結部用通水路を介して前記水抜きホースへ送る水抜き部本体用通水路および吸込み孔を有する水抜き部本体とを備え、前記水抜き部本体には、複数のボールが連結線によって連結されたボールチェーンが設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る水抜きホース用先端具では、前記吸込み孔の内径は、前記ボールチェーンを構成するボールの外径よりも小さいことも特徴とする。
また、本発明に係る水抜きホース用先端具では、前記ホース連結部は前記水抜き部本体の後端部に設けられている一方、前記ボールチェーンは前記水抜き部本体の先端部に取付けられており、前記吸込み孔は、前記水抜き部本体における前記ホース連結部が設けられた後端部と前記ボールチェーンが取り付けられた先端部との間の側面を貫通するようにその側面の両側に設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る水抜きホース用先端具では、前記水抜き部本体の先端部には、前記ボールチェーンを構成する複数のボールの内、1のボールが嵌るボール嵌合穴と、前記ボールチェーンの複数のボールを連結する連結線が嵌る連結線嵌合溝部とが連通して設けられ、前記ボール嵌合穴と前記水抜き孔と前記ホース連結部のホース連結部用通水路との間には、前記水抜き部本体用通水路が設けられており、前記ボール嵌合穴および前記連結線嵌合溝部は、当該水抜き部本体用通水路を介して前記ホース連結部のホース連結部用通水路に連通していることも特徴とする。
また、本発明に係る水抜きホース用先端具では、前記水抜き部本体用通水路は、前記ボール嵌合穴と前記吸込み孔とを連結する第1水抜き部本体用通水路と、前記吸込み孔と連通する第2水抜き部本体用通水路と、前記第2水抜き部本体用通水路と前記ホース連結部のホース連結部用通水路とを連結する第3水抜き部本体用通水路とを備え、前記第3水抜き部本体用通水路の内径は、前記第2水抜き部本体用通水路の内径よりも小さく形成していることも特徴とする
また、本発明に係る中空柱の水抜き方法では、水抜きホースの先端部に上述のいずれかの水抜きホース用先端具の前記ホース連結部を連結し、中空柱側面に開口した水抜き孔に前記水抜きホース用先端具を先頭にして水抜きホースを挿入し、前記水抜きホース用先端具の前記水抜き部本体に取付けた前記ボールチェーンの重量を利用して前記水抜きホース用先端具および前記水抜きホースを中空柱の空洞部内で下ろしていき、前記水抜きホース用先端具の前記水抜き部本体から中空柱の空洞部内の滞留水を吸込んで水抜きホースを介して中空柱の外部へ排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水抜きホース用先端具は、雨水等の滞留水を排出する水抜きホース先端部に装着されるホース連結部と、ホース連結部に一体で設けられ、雨水等の滞留水を吸い込み、ホース連結部のホース連結部用通水路を介して水抜きホースへ送る通水路および吸込み孔を有する水抜き部本体とを備え、水抜き部本体には、複数のボールが連結線によって連結されたボールチェーンを取り付けている。
そのため、水抜きホース用先端具のホース連結部を水抜きホース先端部に取付けて滞留水が溜まっている空洞部内等で降ろすと、ボールチェーンを含む水抜きホース用先端具全体の重量によって円滑かつ迅速に降下させることができると共に、雨水等の滞留水の中でも水抜きホースが浮くこともなく確実に底に向かって沈んで底に着くため、雨水等の滞留水を水抜きホース用先端具から吸い上げて、水抜きホースを介し外部へ確実に排出することができ、水抜き作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホース先端に装着した状態を示す一部切欠正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホース先端に装着した状態を示す一部切欠平面図である。
【
図3】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具の平面図、底面図である。
【
図4】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具の正面図、背面図である。
【
図5】(a),(b)それぞれ
図3(a)におけるA-A線断面図、
図4(a)におけるB-B線断面図である。
【
図6】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具の右側面図、左側面図、
図3(a)におけるC-C線断面図、
図4(a)におけるD-D線断面図である。
【
図7】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を構成するボールチェーンの図である。
【
図8】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を使用して雨水等の滞留水を抜くコンクリート柱に空洞部に滞留水が溜まった状態を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を使用してコンクリート柱から雨水等の滞留水を抜くため、コンクリート柱側面に電動ドリルで水抜き孔を穿孔する作業を示す説明図である。
【
図10】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を使用してコンクリート柱から雨水等の滞留水を抜くため、コンクリート柱側面に穿孔した水抜き孔から滞留水を自然排水している状態を示す説明図である。
【
図11】電動ドリルで穿孔した水抜き孔から滞留水を自然排水した後、自然排水できなかった滞留水を排出するため、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホースに取付けてコンクリート柱の水抜き孔から挿入した状態を示す説明図である。
【
図12】電動ドリルで穿孔した水抜き孔から滞留水を自然排水した後、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホースに取付けてコンクリート柱の水抜き孔から挿入して降下させている状態を示す説明図である。
【
図13】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホースに取付けてコンクリート柱の水抜き孔から挿入して降下させて水抜きホース用先端具を底蓋に到達させた状態を示す説明図である。
【
図14】本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具を水抜きホースに取付けてコンクリート柱の水抜き孔から挿入して降下させて水抜きホース用先端具を底蓋に到達させた後、電動ドリルポンプを作動させて滞留水を排出している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る水抜きホース用先端具および中空柱の水抜き方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0014】
<実施形態の水抜きホース用先端具1の構成>
本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1は、例えば、真鍮等の金属の丸棒を加工して製作したもので、中空柱であるコンクリート柱3の側面に開けた水抜き孔34に挿入してコンクリート柱3の空洞部31内に貯まった雨水等の滞留水Wを排出するため、
図1や
図2等に示すように水抜きホース2先端に取り付けて使用するもので、例えば、ホース連結部11と、ホース連結部11と一体で形成された水抜き部本体12と、水抜き部本体12に取付けたボールチェーン13で構成される。
【0015】
(ホース連結部11)
ホース連結部11は、
図1や
図2等に示すように水抜きホース2の先端部に装着する部位で、外側には
図2~
図4等に示すように水抜きホース2先端部に装着後、抜け難くなるように先端具の外径を例えば、約5mmまで旋削加工し、所定間隔で複数(ここでは、例えば、7か所とする。)の凹溝部11aを設けている一方、中心は
図4(a),(b)等の断面図に示すように中空にしたホース連結部用通水路11bを設けている。尚、所定間隔で複数の凹溝部11aを設けることにより水抜きホース2先端部と接着剤で固定する際に、密着力を向上させることができるが、必要あれば接着剤で固着しても良い。
【0016】
(水抜き部本体12)
水抜き部本体12は、ホース連結部11に連続して切削加工により一体で設けられ、コンクリート柱3の空洞部31内に貯まった雨水等の滞留水Wを吸い込み、ホース連結部11を介して水抜きホース2へ送る部分で、
図3~
図5等に示すように後端側であるホース連結部11側の外径を8mmに旋削加工する一方、先端に向かってテーパーを付けて先端部の外径を5.2mmとしている。これにより、水抜きホース2の外径は、8mmであるため、水抜き部本体12の外径の8mmと合わせ、水抜き部本体12先端の外径を5.2mmにすることにより水抜き部本体12を先細形状にし、水抜きホース2をホース連結部11に連結後も水抜きホース2の外側面と水抜き部本体12の外側面との間が面一となって段差がなくなり、水抜き部本体12の先細形状により、コンクリート柱3の水抜き孔34や空洞部31に出し入れする際の引っ掛かりが無いように構成している。
【0017】
また、水抜き部本体12は、連結線嵌合溝部12aと、ボール嵌合穴12bと、吸込み孔12cと、第1~第3水抜き部本体用通水路12d~12fを設けている。
【0018】
(連結線嵌合溝部12a)
連結線嵌合溝部12aは、水抜き部本体12先端に水抜き部本体12先端まで縦方向1.2mm幅の切込を入れて、水抜きホース2の錘として金属製のボールチェーン13を構成する複数のボール13aを連結するワイヤー等の連結線13bが嵌るように構成しており、連結線13bを嵌めた後、カシメるように構成されている。尚、連結線嵌合溝部12aは、連結線13bを嵌めてカシメた後でも、連結線13bとの間に多少の隙間が空いた場合、その隙間から滞留水Wを吸い込むことできる。
【0019】
(ボール嵌合穴12b)
ボール嵌合穴12bは、水抜き部本体12上面に5.2mmの穴を開けてボールチェーン13の複数のボール13aの内、最初のボール13aが嵌る部分で連結線嵌合溝部12aに連続し、最初のボール13aが嵌った後、カシメて水抜き部本体12先端にボールチェーン13を取付けるように構成している。
【0020】
5.2mmのボール嵌合穴12bにボールチェーン13の5mmのボール13aを挿入すると共に、連結線嵌合溝部12aにボールチェーン13のボール13a間の連結線13bを嵌めた後に工具によってかしめる事で水抜き部本体12にボールチェーン13の脱落防止を図っている。よって、ボール嵌合穴12bも連結線嵌合溝部12aと同様にボール13aを嵌めてカシメた後でも、ボール13aとの間に多少の隙間が空いた場合、その隙間から滞留水Wを吸い込むことできる。これにより、実施形態の水抜きホース用先端具1では、市販のボールチェーン13を購入して水抜き部本体12の先端部に取付けることが可能となる。
【0021】
(吸込み孔12c)
吸込み孔12cは、コンクリート柱3の空洞部31内に貯まった雨水等の滞留水Wを吸い込む孔で、
図1~
図4等に示すようにホース連結部11とボールチェーン取付け部12aとの間の中間で水抜き部本体12の側面を貫通するように水抜き部本体12の側面の両側に設けている。吸込み孔12cを水抜き部本体12の側面の両側に設けることによって滞留水Wの吸込み速度を向上させることができると共に、片側の吸込み孔12cがコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等で詰まった場合でも、もう片方の吸込み孔12cで滞留水Wを吸い込むことができるので、滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0022】
ここで、吸込み孔12cの内径は、
図4(a)に示すように4.2mmとし、ボールチェーン13を構成するボール13aの外径の5.0mm(
図7参照。)よりも小さくして、ボールチェーン13のボール13aが吸込み孔12cに嵌って塞がないようにしている。これにより、吸込み孔12cから滞留水Wを吸込む際に、ボールチェーン13のボール13aによって吸込み孔12cに嵌ることを防止することができるため、滞留水Wを効率良く吸い込むことが可能となり、この点でも滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0023】
(第1~第3水抜き部本体用通水路12d~12f)
第1水抜き部本体用通水路12dは、
図4(a),(b)等に示すようにボール嵌合穴12bと吸込み孔12cとを連結して、連結線嵌合溝部12aやボール嵌合穴12bで吸い込んだ滞留水Wを吸込み孔12cで吸い込んだ滞留水Wと合流させる通水路で、その内径は例えば1.5mmとしている。また、第1水抜き部本体用通水路12dは、ボール嵌合穴12bに嵌めるボールチェーン13の後端部のボール13aから連結線13bの端部が突出している場合にその連結線13bの端部を収容する役目も有している。
【0024】
第2水抜き部本体用通水路12eは、吸込み孔12cとホース連結部11のホース連結部用通水路11bとの間に設けられ、吸込み孔12cや連結線嵌合溝部12a、ボール嵌合穴12bから吸い込んだ滞留水Wを、第3水抜き部本体用通水路12fを介しホース連結部11のホース連結部用通水路11bに送る通水路で、吸込み孔12cの内径の4.2mmより小さく3.5mmで、第1水抜き部本体用通水路12dの内径の1.5mmよりは大きく形成している。
【0025】
第3水抜き部本体用通水路12fは、第2水抜き部本体用通水路12eとホース連結部11のホース連結部用通水路11bとを連結する通水路で、第1水抜き部本体用通水路12dの内径と同じ1.5mmとして第2水抜き部本体用通水路12eの内径の3.5mmより小さくして、吸込み孔12c等から吸い込んだ滞留水Wの中に含まれる大きなコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等がホース連結部11のホース連結部用通水路11b側に送られないように構成している。尚、第2水抜き部本体用通水路12eと水抜き部本体12側面両側の吸込み孔12cは連通しているため、仮にあるコンクリート柱3での滞留水Wの排水作業完了後に実施形態の水抜きホース用先端具1を引き上げコンクリート柱3の水抜き孔34から外に出して確認した際、第2水抜き部本体用通水路12eにゴミが詰まっていた場合でも、第2水抜き部本体用通水路12eに連通する水抜き部本体12側面両側の吸込み孔12cから簡単にそのゴミを除去して、次のコンクリート柱3の滞留水Wの排水作業に使用することができる。
【0026】
<ボールチェーン13>
ボールチェーン13は、
図7等に示すように金属製の多数のボール13aをワイヤー等の連結線13bによって連結した周知のもので、ボール13aの直径は5mm、連結線13bの直径は1.2mmものを使用し、ボールチェーン13の長さは1200mmとしている
【0027】
ボールチェーン13の長さを1m~1.2m前後とすることにより、その重量が約50gとなるので、コンクリート柱3の空洞部31内の滞留水Wで水抜きホース2が浮力で浮くことを確実に防止することができる。尚、それでも抜きホース2が浮いてしまう場合には、ボールチェーン13の長さを1m~1.2mよりも長く、例えば、1.8mや2.0mm等というように長くすることにより、重量を重くすれば良い。
【0028】
<水抜きホース2>
水抜きホース2は、例えば、塩化ビニル製またはゴム製等の柔軟な従来からコンクリート柱3の水抜き用に使用されているホースで、滞留水Wを排出できるように中心の空洞部分を通水路2a(
図1や
図2等参照。)としており、その長さは、例えば、2.6mで、外径は8mm、内径は5mmである。
【0029】
<実施形態のコンクリート柱3の水抜きホース用先端具1を使用したコンクリート柱3の滞留水Wの排出方法>
次に、以上のように構成された実施形態のコンクリート柱3の水抜きホース用先端具1を使用したコンクリート柱3の滞留水Wの排出方法について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図8は、コンクリート柱3の空洞部31内部に水が滞留している状態を示す図である。
【0031】
図8に示すように、鉄道事業者が所有するコンクリート柱3は、通常、中心に空洞部31を有するため、頭部に頭頂部キャップ32と底部に底蓋33を設け、空洞部31に雨水等が滞留しないように構成している。しかし、経年劣化等によってコンクリート柱3自身や頭頂部キャップ32がひび割れて、そのひび割れ部分から雨水等がコンクリート柱3の空洞部31内部に侵入して溜まって滞留水Wになると、コンクリート柱3を劣化させる。
【0032】
そのため、鉄道事業者の保守作業員は、
図8に示すようにコンクリート柱3の床面(GL)から例えば高さ1m程度のコンクリート柱3側面にドリル4等で穿孔して、コンクリート柱3の空洞部31まで通ずる水抜き孔34を開口する。水抜き孔34を穿孔するサイズは、鉄筋を避けコンクリート柱3のせん断モーメントを極力抑え、また水抜きホース2の外径8mmにも合わせて8mmの開口サイズとする。
【0033】
コンクリート柱3側面に水抜き孔34を開口すると、開口した水抜き孔34より空洞部31に滞留していた滞留水Wが水抜き孔34より飛び出してくるため、
図9に示すように作業員はジョウロ5や排水ホース6を利用して、タンク7等にその滞留水Wを貯める。
【0034】
しかし、開口した水抜き孔34より排出される滞留水Wは水抜き孔34より上方に溜まっていた滞留水Wであって、GLから1mの高さに開口した水抜き孔34より下方の滞留水Wは排出されない。
【0035】
そのため、水抜き孔34より下方の空洞部31に溜まった滞留水Wを排水するため、例えば、市販の電動ドリルポンプ8(
図14参照。)を使用し、電動ドリルポンプ8の排水口には、例えば、後端部がタンク7(
図10参照。)等に挿入した排水ホース6の先端部を連結する一方、電動ドリルポンプ8の吸水口は継手等を介して水抜きホース2の後端部を接続し、水抜きホース2先端に本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1を取り付けて、
図11に示すようにコンクリート柱3に開口した水抜き孔34へ水抜きホース用先端具1を先頭にして水抜きホース2を挿入する。尚、水抜きホース2と、電動ドリルポンプ8、排水ホース6の接続は、後でも良い。
【0036】
すると、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、水抜き部本体12先端に錘として重量が約50gのボールチェーン13を設けているため、水抜きホース用先端具1を先頭に水抜きホース2をコンクリート柱3の空洞部31内に挿入すると、
図11に示すように水抜き部本体12先端に取り付けたボールチェーン13がその重力によって鉛直方向に一直線に垂れ下がり、
図12に示すように空洞部31内の滞留水Wの中をコンクリート柱3の下部に向かって円滑に降りていく。
【0037】
そして、
図12に示すように水抜きホース2先端に取り付けた水抜きホース用先端具1がコンクリート柱3の下部に向かって降下していき、水抜き部本体12先端に取り付けたボールチェーン13がコンクリート柱3の空洞部31内の下部に設けた底蓋33に到達すると、
図13に示すようにボールチェーン13は螺旋状になって水抜きホース用先端具1の水抜き部本体12がコンクリート柱3の底蓋33に到達する。
【0038】
コンクリート柱3の底蓋33に水抜きホース用先端具1が到達すると、
図13に示すように電動ドリル4を回転させて電動ドリルポンプ8を作動して排水する。
【0039】
すると、水抜きホース用先端具1は、
図13や
図14に示すようにコンクリート柱3の空洞部31内下部の底蓋33に到達しており、また、水抜きホース用先端具1の水抜き部本体12の両側面には、
図3~
図5等に示すように両側に貫通する吸込み孔12cを設けているので、コンクリート柱3の側面に開口した水抜き孔34よりも下方の滞留水Wは確実に吸い込んで、水抜きホース2や電動ドリルポンプ8、排水ホース7を介してタンク7へ排水することができる。
【0040】
その際、水抜きホース用先端具1の水抜き部本体12の側面に設けた吸込み孔12cの内径は4.2mmでボールチェーン13のボール13aの外径の5.0mmよりも小さく、ボールチェーン13のボール13aが吸込み孔12cに嵌ることを防止するため、滞留水Wを効率良く吸い込むことが可能であり、滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0041】
特に、ボールチェーン13のボール13aが吸込み孔12cに近付いで塞いだ場合でも、ボール13aが吸込み孔12cに嵌らないので、水抜きホース2を多少上下動等させれば水抜き部本体12やボールチェーン13は動いて位置を変えることが可能であり、簡単にボール13aが吸込み孔12cを塞いでいるボールチェーン13のボール13aの位置を移動させて、滞留水Wを効率良く吸い込むことができる。
【0042】
また、吸込み孔12cは、
図3~
図5に示すようにホース連結部11とボールチェーン取付け部12aとの間の中間の水抜き部本体12の側面を貫通するように水抜き部本体12の側面の両側に設けているため、片側にのみ吸込み孔12cを空けた場合と比較して滞留水Wの吸込み速度を2倍に向上させることができると共に、片側の吸込み孔12cがコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等で詰まった場合やコンクリート柱3の空洞部31内壁で塞がれた場合でも、もう片方の吸込み孔12cで滞留水Wを吸い込むことができるので、滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0043】
また、水抜き部本体12の先端部がコンクリート柱3の空洞部3a内で立った状態で滞留水Wの吸込み処理を開始した場合、吸込み孔12cは水抜き部本体12先端部より高い位置に位置するため、吸込み孔12cよりも低い位置にあるコンクリート柱3の空洞部3a内の滞留水Wは吸込み孔12cからは吸い上げることができないが、吸込み孔12cよりも低い位置にある連結線嵌合溝部12aおよびボール嵌合穴12bは第1水抜き部本体用通水路12dを介して吸込み孔12cや第2水抜き部本体用通水路12eと連通しているため、コンクリート柱3の空洞部3a内に貯まった雨水等の滞留水Wをボール嵌合穴12bおよび連結線嵌合溝部12aからも吸い込むことができるので、コンクリート柱3の空洞部3a内に貯まった滞留水Wを確実に吸込んで排水することができる。
【0044】
また、水抜き部本体12先端部に取付けられたボールチェーン13は、コンクリート柱3の空洞部3a内の滞留水W中に浸かることによりボールチェーン13の体積分だけ滞留水Wを嵩上げしてその水位を上昇させるので、この点でもコンクリート柱3の空洞部3a内に貯まった滞留水Wを確実に排水することができる。
【0045】
<本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1は、水抜きホース2の先端部が装着され、中心の中空部分をホース連結部用通水路11bとしたホース連結部11と、ホース連結部11に一体で設けられ、コンクリート柱3の空洞部31内の滞留水Wを吸い込み、ホース連結部11のホース連結部用通水路11bを介して水抜きホース2へ送る吸込み孔12cを有する水抜き部本体12とを備え、水抜き部本体12には、複数のボール13aが連結線13bによって連結されたボールチェーン13を設けている。
【0046】
そのため、実施形態の水抜きホース用先端具1のホース連結部11を水抜きホース2の先端部に取付けてコンクリート柱3の側面に開口した水抜き孔34からコンクリート柱3の空洞部31内に挿入すると、ボールチェーン13を含む水抜きホース用先端具1全体の重量によってその空洞部31内で底の底蓋33に向かって円滑かつ迅速に降下させることができると共に、コンクリート柱3の空洞部31内に貯まった雨水等の滞留水Wの中でも水抜きホースが浮くこともなく確実に沈下させて底蓋33に到達することができる。
【0047】
その結果、コンクリート柱3の空洞部31内に貯まった滞留水Wを水抜きホース用先端具1から吸い上げ、水抜きホース2を介し外部へ確実に排出することができ、コンクリート柱3における水抜き作業の作業性を向上させることができると共に、コンクリート柱3の寿命を延ばすことができる。
【0048】
また本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、水抜き部本体12先端にはボールチェーン13を設けているため、ボールチェーン13がコンクリート柱3の空洞部31の底蓋33に落下して滞留水W内に沈むことによってボールチェーン13の体積分だけ空洞部31内の滞留水Wを嵩上げするので、ボールチェーン13を設けない場合よりも滞留水Wを確実に吸込んで排水することができる。
【0049】
また、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、吸込み孔12cの内径は、ボールチェーン13を構成するボール13aの外径よりも小さくしている。
【0050】
そのため、コンクリート柱3の空洞部31内に貯まった滞留水Wを吸込み孔12cから吸い上げる際に、その吸込み力によってボールチェーン13のボール13aが吸込み孔12cに引寄せられた場合でも、ボールチェーン13のボール13aが吸込み孔12cに嵌ることを防止することができるので、滞留水Wを効率良く吸い込むことが可能となり、滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、ボールチェーン取付け部12aは水抜き部本体12の先端部に設けており、吸込み孔12cは、ホース連結部11とボールチェーン取付け部12aとの間の側面を貫通するようにその側面の両側に設けている。
【0052】
そのため、吸込み孔12cが水抜き部本体12側面の両側にあるので、滞留水Wの吸込み速度を向上させることができると共に、片側の吸込み孔12cがコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等で詰まった場合やコンクリート柱3の空洞部31内壁で塞がれた場合でも、もう片方の吸込み孔12cで滞留水Wを吸い込むことができるので、滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0053】
また、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、水抜き部本体12の先端部にボールチェーン13を構成する複数のボール13aの内、最初の1のボール13aが嵌るボール嵌合穴12bと、ボールチェーン13の複数のボール13aを連結する連結線13bが嵌る連結線嵌合溝部12aとを設け、ボール嵌合穴12bおよび連結線嵌合溝部12aは、ボール嵌合穴12bおよび連結線嵌合溝部12aは、水抜き部本体12の水抜き部本体用通水路12cを介してホース連結部11のホース連結部用通水路11bに連通させている
【0054】
そのため、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、市販のボールチェーン13を購入して水抜き部本体12の先端部に取付けることができるため、安価に製造することができる。
【0055】
また、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、水抜き部本体12の吸込み孔12cだけでなくボール嵌合穴12bおよび連結線嵌合溝部12aからも滞留水Wを吸い込むことができるので、例えば、水抜き部本体12の先端部がコンクリート柱3の空洞部3a内で立った状態で滞留水Wの吸込みおよび排水処理を開始した場合、吸込み孔12cは水抜き部本体12先端部より高い位置に位置するため、吸込み孔12cよりも低い位置にあるコンクリート柱3の空洞部3a内の滞留水Wは吸込み孔12cからは吸い上げることができないが、吸込み孔12cよりも低い位置にあるボール嵌合穴12bおよび連結線嵌合溝部12aからコンクリート柱3の空洞部3a内に貯まった雨水等の滞留水Wを吸い込むことが可能となるので、コンクリート柱3の空洞部3a内に貯まった滞留水Wを確実に排水することができ、コンクリート柱3の寿命を延ばすことができる。
【0056】
また、本発明に係る実施形態の水抜きホース用先端具1では、水抜き部本体12の通水路として、ボール嵌合穴12bと吸込み孔12とを連結する内径1.5mmの第1水抜き部本体用通水路12dと、吸込み孔12と連通する第2水抜き部本体用通水路12eと、第2水抜き部本体用通水路12eとホース連結部11のホース連結部用通水路11bとを連結する第3水抜き部本体用通水路12fとを備え、第3水抜き部本体用通水路12fの内径は1.5mmで、第2水抜き部本体用通水路の内径の3.5mmよりも小さく構成している。
【0057】
そのため、吸込み孔12c等から吸い込んだ滞留水Wの中に含まれる大きなコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等があっても、第3水抜き部本体用通水路12fを形成している隔壁12gで止まりホース連結部11のホース連結部用通水路11b側に送られないため、水抜きホース2がそのコンクリート柱3の空洞部31内の破片や小石、ゴミ等で詰まることを防止できると共に、あるコンクリート柱3での滞留水Wの排水作業完了後に実施形態の水抜きホース用先端具1を引き上げコンクリート柱3の水抜き孔34から外に出して確認した際、第2水抜き部本体用通水路12eにゴミが詰まっていた場合でも、第2水抜き部本体用通水路12eに連通する水抜き部本体12側面両側の吸込み孔12cから簡単にそのゴミを除去して、次のコンクリート柱3の滞留水Wの排水作業に使用することができるので、水抜きホース用先端具1の使用勝手を向上させることができ、結果的に滞留水Wの排出作業の作業効率を向上させることができる。
【0058】
尚、上記実施形態の説明では、市販のボールチェーン13の後端のボール13aと連結線13bをホース連結部11と一体で構成した水抜き部本体12のボール嵌合穴12bと連結線嵌合溝部12aにそれぞれ嵌合した後、カシメて取付けるように説明したが、本発明では、水抜き部本体12にボールチェーン13の後端のボール13aを溶接して取り付けたり、リングや他のボールチェーン連結金具等を使用して水抜き部本体12に取り付けるように構成しても勿論良い。
【0059】
また、上記実施形態の説明では、水抜き部本体12におけるボール嵌合穴12bと吸込み孔12cとの間に第1水抜き部本体用通水路12dを設け、連結線嵌合溝部12aやボール嵌合穴12bで吸い込んだ滞留水Wも排出できるように構成したが、本発明ではこれに限らず、第1水抜き部本体用通水路12dを省略して、連結線嵌合溝部12aやボール嵌合穴12bから滞留水Wを吸い込まないように構成しても勿論良い。また、第3水抜き部本体用通水路12fの内径を第2水抜き部本体用通水路12eの内径よりも小さく構成したが、本発明ではこれに限らず、第3水抜き部本体用通水路12fの内径を第2水抜き部本体用通水路12eの内径と同じに構成しても勿論良い。
【0060】
また、上記実施形態の説明では、空洞部を有する中空柱としてコンクリート製のコンクリート柱3の水抜きを行う水抜きホースを一例に説明したが、本発明ではこれに限らず、鋼管柱や鋼管コンクリート柱等、内部に空洞部を有する中空柱の空洞部に溜まった滞留水の水抜きを行う水抜きホースであれば本発明に係る水抜きホース用先端具の対象になると共に、さらには中空柱に限らず滞留水の水抜きを行う水抜きホースであれば本発明に係る水抜きホース用先端具の対象になる。
【符号の説明】
【0061】
1 水抜きホース用先端具
11 ホース連結部
11a 凹溝部
11b ホース連結部用通水路
12 水抜き部本体
12a 連結線嵌合溝部
12b ボール嵌合穴
12c 吸込み孔
12d 第1水抜き部本体用通水路
12e 第2水抜き部本体用通水路
12f 第3水抜き部本体用通水路
12g 隔壁
13 ボールチェーン
13a ボール
13b 連結線
2 水抜きホース
3 コンクリート柱
31 空洞部
32 頭頂部キャップ
33 底蓋
34 水抜き孔
4 電動ドリル
5 ジョウロ
6 排水ホース
7 タンク
8 電動ドリルポンプ
【要約】
【課題】水抜きホースを円滑かつ迅速に降下させると共に、滞留水の中で水抜きホースを浮かすことなく滞留水を確実に吸い上げて外部へ排出する。
【解決手段】雨水等の滞留水を排出する水抜きホース2先端に取り付けるもので、水抜きホース2の先端部が装着されるホース連結部11と、ホース連結部11に一体で設けられ、雨水などの滞留水を吸い込み、ホース連結部11を介して水抜きホース2へ送る吸込み孔12cを有する水抜き部本体12とを備え、その水抜き部本体12には、複数のボール13aが連結線13bによって連結されたボールチェーン13が設けられている。
【選択図】
図1