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特許7083442有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 9/12 20060101AFI20220606BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20220606BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20220606BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20220606BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
C02F9/12
C02F1/72 101
C02F1/52 K
B01D21/24
C02F1/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022019108
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】202110219568.2
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】張勝田
(72)【発明者】
【氏名】周艶
(72)【発明者】
【氏名】李群
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107226591(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00-1/78
C02F 9/00-9/14
C02F 11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置であって、
廃水のpHを調整する調整槽(1)と、前記調整槽(1)に接続された沈殿手段(2)と
、前記沈殿手段(2)に接続されて廃水を浄化して処理する高効率処理手段(3)とを含
み、
前記高効率処理手段(3)は、一端が前記沈殿手段(2)に接続された予熱混合器(30
)と、前記予熱混合器(30)の他端に接続された超臨界光触媒反応器(31)と、前記
超臨界光触媒反応器(31)に接続された発電ユニット(32)とを含み、
前記超臨界光触媒反応器(31)は、給水口が前記予熱混合器(30)に接続された環状
密閉室(310)と、前記環状密閉室(310)の外周に套設された複数の第1の熱交換
器(311)と、前記環状密閉室(310)の内部に均等に上下に設置された複数の環状
可動仕切り板(312)と、前記環状密閉室(310)の中心に設置されて環状可動仕切
り板(312)を回動駆動する回転機構(313)と、環状密閉室(310)の内壁に設
置され、各環状可動仕切り板(312)の間に位置する紫外線殺菌ランプ(314)と、
前記環状密閉室(310)内に設置されて廃水を加熱する加熱ユニットと、前記環状密閉
室(310)内に設置された第1の増圧ユニット(33)とを含み、
前記環状可動仕切り板(312)は、中間が凸起して波状となる金属板であり、前記環状
可動仕切り板(312)の内側と外側の両方に沈殿収集タンク(315)が設けられ、
前記予熱混合器(30)は、環状密閉室(310)に接続された混合室(300)と、前
記混合室(300)外に套設され、第1の熱交換器(311)に接続された第2の熱交換
器(301)と、前記混合室(300)に設置された酸化剤供給ユニット(302)と、
前記混合室(300)内に設置されて、酸化剤と廃水を撹拌する撹拌ユニット(303)
とを含み、
前記回転機構(313)は、前記環状密閉室(310)の中心に垂直に設置される回転軸
(3130)と、前記回転軸(3130)に設置され、各環状可動仕切り板(312)に
1対1で対応して接続された複数の回動連結棒(3131)と、前記回転軸(3130)
と回動連結棒(3131)との接続箇所に対応して設置された複数の回動モータとを含み
、前記回動連結棒(3131)と環状可動仕切り板(312)とは磁石によって接続され
ている、ことを特徴とする有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置。
【請求項2】
前記発電ユニット(32)は、環状密閉室(310)の出液口に接続された第2の増圧ユ
ニット(320)と、前記第2の増圧ユニット(320)に連通するターボファン発電ユ
ニット(321)と、前記ターボファン発電ユニット(321)に接続され、廃水を仮貯
蔵する貯水槽(323)と、一端がターボファン発電ユニット(321)に電気的に接続
され、他端が加熱ユニットに電気的に接続される圧力安定化ユニット(322)とを含み
、前記第2の増圧ユニット(320)の外部には第2の熱交換器(301)に接続された
第3の熱交換器(324)が套設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記超臨界光触媒反応器(31)は、前記環状密閉室(310)の下方に設置され、環状
可動仕切り板(312)に接続された排出ユニット(317)をさらに含み、前記沈殿収
集タンク(315)内には排出ユニット(317)に連通する排出孔(316)が均等に
設けられ、
前記排出ユニット(317)は、上端が環状密閉室(310)を貫通し、排出孔(316
)に連通する配管(318)と、前記配管(318)の下端に設置される排出タンク(3
19)と、前記排出タンク(319)内に設置される排出スクリューロッド(3190)
とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記沈殿手段(2)は、前記調整槽(1)の給液口に接続された磁気凝集沈殿手段(20
)と、前記調整槽(1)の排液口に接続された二次沈殿槽(21)と、前記磁気凝集沈殿
手段(20)と調整槽(1)との接続箇所に設置された第1の水ポンプ(22)と、前記
二次沈殿槽(21)と調整槽(1)との接続箇所に設置された第2の水ポンプ(23)と
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記予熱混合器(30)は触媒供給ユニット(304)をさらに含み、前記触媒供給ユニ
ット(304)は触媒を貯蔵する触媒貯蔵箱と、前記触媒貯蔵箱に接続されて混合室(3
00)へ触媒を加える噴出ヘッドと、前記触媒貯蔵箱と噴出ヘッドとの接続箇所に設置さ
れた計量部とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤修復用廃水を
処理する方法であって、
磁気凝集沈殿手段(20)に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽(1)
に投入し、廃水のpHを5~7に調整してから二次沈殿槽(21)に投入し、二次沈殿を
した後、予熱混合器(30)に廃水を投入して70~80℃に予熱し、触媒供給ユニット
(304)によって廃水に触媒を1.6~5.2g/L加え、酸化剤供給ユニット(30
2)によって廃水に酸化剤を0.4~0.8g/L加えながら、撹拌ユニット(303)
によって500~800r/minの回転数で30~40min持続して撹拌する、前処
理のステップS1と、
環状密閉室(310)にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニット(33)
によって環状密閉室(310)内の圧力を25~27MPaに調整した後、加熱ユニット
によって廃水を450~540℃に加熱しながら、環状可動仕切り板(312)に50~
180r/minの回転数で回動させ、紫外線殺菌ランプ(314)を用いて超臨界廃水
を照射し、照射を3~5min持続した後、ターボファン発電ユニット(321)に加熱
後の廃水を投入して発電する、廃水の超臨界光触媒処理のステップS2とを含む、ことを
特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃水処理の技術分野に関し、具体的には、有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修
復用廃水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機塩素系農薬の汚染が深刻な土壌に対して、代表例としてジクロロジフェニルトリクロ
ロエタン、ヘキサクロロシクロヘキサン、クロルデン、マイレックスで汚染された場所の
土壌を例にとると、通常は効率的な溶出修復技術と装置、複合触媒酸化技術を用いて溶出
処理を行うが、この2つの技術は有機塩素系農薬汚染土壌を効率的に修復することができ
るが、汚染物質を含む廃水が大量に発生するため、廃水を排出する前に処理しなければな
らない。
【0003】
超臨界水(SCWO)とは、その臨界点よりも温度と圧力の両方が高い特殊な状態の水の
ことである。その応用範囲は、よく見られるアルコール類、フェノール類、ベンゼン類及
び有毒有害な塩化物、芳香族炭化水素誘導体などの高濃度、難分解、難処理有機物を含む
。この技術により、有機物の構造を破壊し、迅速に酸化して毒性のない小分子化合物を生
成することができ、顕著な有機成分除去効果を達成することができる。
【0004】
現在、有機廃水の超臨界処理では、通常、析出した有機塩が装置の配管を閉塞しやすく、
廃水に対する処理効率が低下し、効果が劣るという従来技術における問題があり、しかも
高温度廃水を直接排出するため、大きなエネルギー損失をもたらしている。
【発明の概要】
【0005】
有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置であって、
廃水のpHを調整する調整槽と、前記調整槽に接続された沈殿手段と、前記沈殿手段に接
続されて廃水を浄化して処理する高効率処理手段とを含み、
前記高効率処理手段は、一端が前記沈殿手段に接続された予熱混合器と、前記予熱混合器
の他端に接続された超臨界光触媒反応器と、前記超臨界光触媒反応器に接続された発電ユ
ニットとを含み、
前記超臨界光触媒反応器は、給水口が前記予熱混合器に接続された環状密閉室と、前記環
状密閉室の外周に套設された複数の第1の熱交換器と、前記環状密閉室内に均等に上下設
置された複数の環状可動仕切り板と、前記環状密閉室の中心に設置されて環状可動仕切り
板を回動駆動する回転機構と、環状密閉室の内壁に設置され、各環状可動仕切り板の間に
位置する紫外線殺菌ランプと、前記環状密閉室内に設置されて廃水を加熱する加熱ユニッ
トと、前記環状密閉室内に設置された第1の増圧ユニットとを含み、
前記環状可動仕切り板は、中間が凸起して波状となる金属板であり、前記環状可動仕切り
板の内側と外側の両方に沈殿収集タンクが設けられ、
前記予熱混合器は、環状密閉室に接続された混合室と、前記混合室外に套設され、第1の
熱交換器に接続された第2の熱交換器と、前記混合室に設置された酸化剤供給ユニットと
、前記混合室内に設置されて、酸化剤と廃水を撹拌する撹拌ユニットとを含み、
前記回転機構は、前記環状密閉室の中心に垂直に設置される回転軸と、前記回転軸に設置
され、各環状可動仕切り板に1対1で対応して接続された複数の回動連結棒と、前記回転
軸と回動連結棒との接続箇所に対応して設置された複数の回動モータとを含み、前記回動
連結棒と環状可動仕切り板は磁石によって接続されている。
【0006】
本発明の一態様によれば、前記発電ユニットは、環状密閉室の出液口に接続された第2の
増圧ユニットと、前記第2の増圧ユニットに連通するターボファン発電ユニットと、前記
ターボファン発電ユニットに接続され、廃水を仮貯蔵する貯水槽と、一端がターボファン
発電ユニットに電気的に接続され、他端が加熱ユニットに電気的に接続される圧力安定化
ユニットとを含み、前記第2の増圧ユニットの外部には第2の熱交換器に接続された第3
の熱交換器が套設されている。第3の熱交換器と第2の熱交換器が接続されることにより
、第2の増圧ユニットにおける廃水の廃熱が再利用され、超臨界になって生じた熱のリサ
イクル効率が効果的に向上する。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記超臨界光触媒反応器は、前記環状密閉室の下方に設置され
、環状可動仕切り板に接続された排出ユニットをさらに含み、前記沈殿収集タンク内には
排出ユニットに連通する排出孔が均等に設けられ、
前記排出ユニットは、上端が環状密閉室を貫通し、排出孔に連通する配管と、前記配管の
下端に設置される排出タンクと、前記排出タンク内に設置される排出スクリューロッドと
を含む。配管を介して排出孔と排出タンクとを接続することにより、環状可動仕切り板で
生じた有機塩の沈殿が排出タンクに送られ、環状可動仕切り板の回転と連携して有機塩沈
殿による配管の詰まりを効果的に回避することができ、排出スクリューロッドの回転によ
り排出タンク内の沈殿物が迅速に排出され、沈殿による排出タンクの詰まりが避けられる
【0008】
本発明の一態様によれば、前記沈殿手段は、前記調整槽の給液口に接続された磁気凝集沈
殿手段と、前記調整槽の排液口に接続された二次沈殿槽と、前記磁気凝集沈殿手段と調整
槽との接続箇所に設置された第1の水ポンプと、前記二次沈殿槽と調整槽との接続箇所に
設置された第2の水ポンプとを含む。磁気凝集沈殿手段の占有する面積が小さくなり、懸
濁物の沈降速度が速くなり、作動コストが低下し、また、TPが基準を満たす上に、SS
が安定的に基準を満たし、排水の品質が同じ場合、高効率な沈殿槽よりも薬剤が節約され
る。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記予熱混合器は触媒供給ユニットをさらに含み、前記触媒供
給ユニットは触媒を貯蔵する触媒貯蔵箱と、前記触媒貯蔵箱に接続されて混合室へ触媒を
加える噴出ヘッドと、前記触媒貯蔵箱と噴出ヘッドとの接続箇所に設置された計量部とを
含む。触媒供給ユニットは予熱混合器へ触媒を加え、紫外光触媒の効率を効果的に向上で
きる。
【0010】
上記装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤修復廃水を処理する方法は、
磁気凝集沈殿手段に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽に投入し、廃水
のpHを5~7に調整してから二次沈殿槽に投入し、二次沈殿をした後、予熱混合器に廃
水を投入して70~80℃に予熱し、触媒供給ユニットによって廃水に触媒を1.6~5
.2g/L加え、酸化剤供給ユニットによって廃水に酸化剤を0.4~0.8g/L加え
ながら、撹拌ユニットによって500~800r/minの回転数で30~40min持
続して撹拌する、前処理のステップS1と、
環状密閉室にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニットによって環状密閉室
内の圧力を25~27MPaに調整した後、加熱ユニットによって廃水を450~540
℃に加熱しながら、環状可動仕切り板に50~180r/minの回転数で回動させ、紫
外線殺菌ランプを用いて超臨界廃水を照射し、照射を3~5min持続した後、ターボフ
ァン発電ユニットに加熱後の廃水を投入して発電する、廃水の超臨界光触媒処理のステッ
プS2とを含む。
【0011】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明で提供される有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置では、
環状密閉室内で液状廃水を超臨界状態のものに変換し、紫外線殺菌ランプによる照射と組
み合わせて光触媒を行うことにより、有機塩素系農薬汚染土壤の修復廃水への処理効率が
低く、処理効果が劣るという従来の装置の問題を効果的に解決し、複数の環状可動仕切り
板を設置することにより、環状可動仕切り板の差動回転や逆回転を可能とし、波状曲面に
より超臨界流体を発振させ、超臨界流体廃水中の有機塩物の分解や有機塩沈殿の迅速な析
出に有利である。
(2)本発明では、環状可動仕切り板に排出孔が設置され、排出孔の下方に排出ユニット
が設置され、さらに環状可動仕切り板が回転することによって、有機塩沈殿による配管の
詰まりを効果的に回避し、第1の熱交換器が設置されることにより、環状密閉室内で生じ
た熱が部分的に回収され、予熱混合室の第2の熱交換器に伝達され、加熱を支援すること
ができ、ターボファン発電ユニットは、超臨界状態に入って生じた廃熱を直接利用して発
電することができ、それによって、エネルギーの利用率が効果的に高まる。
(3)本発明の装置を用いた廃水処理方法は、プロセスが簡単であり、実施されやすく、
有機塩廃水への処理効率及び処理の品質を効果的に向上させることができ、しかもコスト
が低い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1の構造模式図である。
図2】本発明の実施例1の環状密閉室の部分構造の模式的断面図である。
図3】本発明の実施例1の第1の増圧ユニットの取り付け位置の模式図である。
図4】本発明の実施例1の回転機構の構造模式図である。
図5】本発明の実施例2の排出ユニットの構造模式図である。
図6】本発明の実施例2の排出スクリューロッドの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例1
図1に示す有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置は、廃水のpHを調整
する調整槽1と、調整槽1に接続された沈殿手段2と、沈殿手段2に接続されて廃水を浄
化して処理する高効率処理手段3とを含み、
高効率処理手段3は、一端が沈殿手段2に接続された予熱混合器30と、予熱混合器30
の他端に接続された超臨界光触媒反応器31と、前記超臨界光触媒反応器31に接続され
た発電ユニット32とを含み、
図2に示すように、超臨界光触媒反応器31は、給水口が予熱混合器30に接続された環
状密閉室310と、環状密閉室310の外周に套設された3つの第1の熱交換器311と
、環状密閉室310の内部に均等に上下設置された3つの環状可動仕切り板312と、環
状密閉室310の中心に設置されて環状可動仕切り板312を回動駆動する回転機構31
3と、環状密閉室310の内壁に設置され、各環状可動仕切り板312の間に位置する紫
外線殺菌ランプ314と、環状密閉室310内に設置されて廃水を加熱する加熱ユニット
と、環状密閉室310内に設置された第1の増圧ユニット33とを含み、
環状可動仕切り板312は、中間が凸起して波状となる金属板であり、
予熱混合器30は、環状密閉室310に接続された混合室300と、混合室300外に套
設され、第1の熱交換器311に接続された第2の熱交換器301と、混合室300に設
置された酸化剤供給ユニット302と、混合室300内に設置されて、酸化剤と廃水を撹
拌する撹拌ユニット303とを含み、
図3に示すように、回転機構313は、環状密閉室310の中心に垂直に設置される回転
軸3130と、回転軸3130に設置され、各環状可動仕切り板312に1対1で対応し
て接続された3つの回動連結棒3131と、回転軸3130と回動連結棒3131との接
続箇所に対応して設置された3つの回動モータとを含む。
【0014】
回動連結棒3131と環状可動仕切り板312は磁石によって接続されている。
【0015】
発電ユニット32は、環状密閉室310の出液口に接続された第2の増圧ユニット320
と、第2の増圧ユニット320に連通するターボファン発電ユニット321と、ターボフ
ァン発電ユニット321に接続され、廃水を仮貯蔵する貯水槽323と、一端がターボフ
ァン発電ユニット321に電気的に接続され、他端が加熱ユニットに電気的に接続された
圧力安定化ユニット322とを含む。
【0016】
第2の増圧ユニット320の外部には、第2の熱交換器301に接続された第3の熱交換
器324が套設されている。
【0017】
沈殿手段2は、調整槽1の給液口に接続された磁気凝集沈殿手段20と、調整槽1の排液
口に接続された二次沈殿槽21と、磁気凝集沈殿手段20と調整槽1との接続箇所に設置
された第1の水ポンプ22と、二次沈殿槽21と調整槽1との接続箇所に設置された第2
の水ポンプ23とを含む。
【0018】
環状可動仕切り板312の外面に防食保護層が設けられ、防食保護層は具体的にはフルオ
ロカーボンコーティング層を用いる。
【0019】
予熱混合器30は触媒供給ユニット304をさらに含み、触媒供給ユニット304は、触
媒を貯蔵する触媒貯蔵箱と、前記触媒貯蔵箱に接続されて混合室300へ触媒を加える噴
出ヘッドと、触媒貯蔵箱と噴出ヘッドとの接続箇所に設置された計量部とを含む。
【0020】
触媒貯蔵箱内には濃度30質量%の四酸化ビスマス溶液が収容されている。
【0021】
ターボファン発電ユニット321、第2の増圧ユニット320、圧力安定化ユニット32
2、第1の増圧ユニット、加熱ユニット、紫外線殺菌ランプ314、回動モータ、排出ス
クリューロッド、第1の水ポンプ22、第2の水ポンプ23、磁気凝集沈殿手段20、計
量部は全て市販品を用い、製品の具体的な型番については当業者は必要に応じて選択して
使用することができ、ここでは特に限定しない。
【0022】
実施例2
実施例1との相違点としては、図4に示すように、超臨界光触媒反応器31は、環状密閉
室310の下方に設置され、環状可動仕切り板312に接続された排出ユニット317を
さらに含み、
環状可動仕切り板312の内側と外側の両方に沈殿収集タンク315が設けられ、沈殿収
集タンク315内には、排出ユニット317に連通する排出孔316が均等に設けられ、
図5に示すように、排出ユニット317は、上端が環状密閉室310を貫通し、排出孔3
16に連通する配管318と、配管318の下端に設置される排出タンク319と、排出
タンク319内に設置される排出スクリューロッド3190とを含む。
【0023】
排出スクリューロッド3190は市販品を用い、製品の具体的な型番については当業者は
必要に応じて選択して使用することができ、ここでは特に限定しない。
【0024】
実施例3
実施例1との相違点としては、環状可動仕切り板312は水平に設置された平面リングで
ある。
【0025】
実施例4
実施例1の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水を処理する方法は
、以下のステップを含む。
S1、前処理
磁気凝集沈殿手段20に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽1に投入し
、廃水のpHを7に調整してから二次沈殿槽21に投入し、二次沈殿をした後、予熱混合
器30に廃水を投入して80℃に予熱し、触媒供給ユニット304によって廃水に触媒を
4.3g/L加え、酸化剤供給ユニット302によって廃水に酸化剤を0.8g/L加え
ながら、撹拌ユニット303によって800r/minの回転数で40min持続して撹
拌する。
S2、廃水の超臨界光触媒処理
環状密閉室310にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニット33によって
環状密閉室310内の圧力を27MPaに調整した後、加熱ユニットによって廃水を45
0~540℃に加熱しながら、環状可動仕切り板312に180r/minの回転数で回
動させ、紫外線殺菌ランプ314を用いて超臨界廃水を照射し、照射を5min持続した
後、加熱後の廃水を排出する。
S3、熱交換発電処理
第2の増圧ユニット320に超臨界流体を投入し、第3の熱交換器324によって熱交換
を行って、熱を第2の熱交換器301、第1の熱交換器311に伝達し、熱交換処理後、
流体がターボファン発電ユニット321によって発電を行うようにし、圧力安定化ユニッ
ト322によって得られた電気エネルギーを加熱ユニットに供する。
【0026】
実施例5
実施例2の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水を処理する方法は
、以下のステップを含む。
S1、前処理
磁気凝集沈殿手段20に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽1に投入し
、廃水のpHを7に調整してから二次沈殿槽21に投入し、二次沈殿をした後、予熱混合
器30に廃水を投入して80℃に予熱し、触媒供給ユニット304によって廃水に触媒を
4.3g/L加え、酸化剤供給ユニット302によって廃水に酸化剤を0.8g/L加え
ながら、撹拌ユニット303によって800r/minの回転数で40min持続して撹
拌する。
S2、廃水の超臨界光触媒処理
環状密閉室310にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニット33によって
環状密閉室310内の圧力を27MPaに調整した後、加熱ユニットによって廃水を45
0~540℃に加熱しながら、環状可動仕切り板312に180r/minの回転数で回
動させ、紫外線殺菌ランプ314を用いて超臨界廃水を照射し、照射を5min持続した
後、加熱後の廃水を排出する。
超臨界光触媒処理をしながら、排出ユニット317を起動させて析出した有機塩沈殿を迅
速に排出する。
S3、熱交換発電処理
第2の増圧ユニット320に超臨界流体を投入し、第3の熱交換器324によって熱交換
を行って、熱を第2の熱交換器301、第1の熱交換器311に伝達し、熱交換処理後、
流体がターボファン発電ユニット321によって発電を行うようにし、圧力安定化ユニッ
ト322によって得られた電気エネルギーを加熱ユニットに供する。
【0027】
実施例6
実施例4との相違点は以下のとおりである。
実施例3の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水を処理する方法に
おいては、
S2では、平面リングの形状の環状可動仕切り板312に180r/minで回動させ、
紫外線殺菌ランプ314超臨界廃水を照射し、5min持続した後、超臨界流体を排出す
る。
【0028】
実施例7
実施例5との相違点としては、有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理方法は
、以下のステップを含む。
S1、前処理
磁気凝集沈殿手段20に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽1に投入し
、廃水のpHを5に調整してから二次沈殿槽21に投入し、二次沈殿をした後、予熱混合
器30に廃水を投入して70℃に予熱し、触媒供給ユニット304によって廃水に触媒を
1.6g/L加え、酸化剤供給ユニット302によって廃水に酸化剤を0.4g/L加え
ながら、撹拌ユニット303によって500r/minの回転数で30min持続して撹
拌する。
S2、廃水の超臨界光触媒処理
環状密閉室310にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニット33によって
環状密閉室310内の圧力を25MPaに調整した後、加熱ユニットによって廃水を45
0℃に加熱しながら、環状可動仕切り板312に50r/minの回転数で回動させ、紫
外線殺菌ランプ314を用いて超臨界廃水を照射し、照射を3min持続した後、ターボ
ファン発電ユニット321に加熱後の廃水を投入して発電を行う。
超臨界光触媒処理をしながら、排出ユニット317を起動させて析出した有機塩沈殿を迅
速に排出する。
S3、熱交換発電処理
第2の増圧ユニット320に超臨界流体を投入し、第3の熱交換器324によって熱交換
を行って、熱を第2の熱交換器301、第1の熱交換器311に伝達し、熱交換処理後、
流体がターボファン発電ユニット321によって発電を行うようにし、圧力安定化ユニッ
ト322によって得られた電気エネルギーを加熱ユニットに供する。
【0029】
実施例8
実施例5との相違点としては、有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理方法は
、以下のステップを含む。
S1、前処理
磁気凝集沈殿手段20に廃水を投入して磁気凝集沈殿処理を行った後、調整槽1に投入し
、廃水のpHを6に調整してから二次沈殿槽21に投入し、二次沈殿をした後、予熱混合
器30に廃水を投入して75℃に予熱し、触媒供給ユニット304によって廃水に触媒を
5.2g/L加え、酸化剤供給ユニット302によって廃水に酸化剤を0.6g/L加え
ながら、撹拌ユニット303によって650r/minの回転数で35min持続して撹
拌する。
S2、廃水の超臨界光触媒処理
環状密閉室310にS1で前処理された廃水を投入し、第1の増圧ユニット33によって
環状密閉室310内の圧力を26MPaに調整した後、加熱ユニットによって廃水を50
0℃に加熱しながら、環状可動仕切り板312に120r/minの回転数で回動させ、
紫外線殺菌ランプ314を用いて超臨界廃水を照射し、照射を4min持続した後、ター
ボファン発電ユニット321に加熱後の廃水を投入して発電を行う。
超臨界光触媒処理をしながら、排出ユニット317を起動させて析出した有機塩沈殿を迅
速に排出する。
S3、熱交換発電処理
第2の増圧ユニット320に超臨界流体を投入し、第3の熱交換器324によって熱交換
を行って、熱を第2の熱交換器301、第1の熱交換器311に伝達し、熱交換処理後、
流体がターボファン発電ユニット321によって発電を行うようにし、圧力安定化ユニッ
ト322によって得られた電気エネルギーを加熱ユニットに供する。
【0030】
適用例:上記実施例4~8の処理方法のそれぞれを用いてある有機塩素系農薬汚染土壤の
接触酸化修復により生じた廃水を処理して、データを記録し、以下の表1に示す。
表1:ある有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復により生じた廃水の処理後の汚染物含
有量

(1)上記表1に記録された実験データによれば、現在中国で実施されている下水総合排
出基準を参照して、実施例4~8の方法を用いて処理された廃水は全て、総シアン化合物
が0.5mg/L未満、リン元素が0.1mg/L未満、総残留塩素が0.5mg/L未
満であり、本方法は有機塩素系農薬土壤の修復下水の総合排出の一級排出基準を満たすこ
とを確認した。
(2)表1によれば、実施例4と実施例5の廃水の処理後の汚染物含有量の比較から、実
施例5は、処理効果をある程度で改良できることが分かり、その原因としては、実施例2
では、環状密閉室310の下方において環状可動仕切り板312との接続箇所に排出ユニ
ット317が設置され、排出ユニット317は環状密閉室310内で析出した有機塩沈殿
を素早く排出し、有機塩等の固体生成物と超臨界流体とを分離し、反応の効率的な進行を
促進し、汚染物をさらに分離することができる。
(3)実施例6のデータと、実施例4、実施例5との比較から、実施例6の処理効果が劣
ることが分かり、実施例6で使用された装置は実施例3であり、ここで、環状可動仕切り
板の形状が平面リングであり、中間が凸起して波状となる金属板に比べて、平面リングに
よる超臨界流体への振動に起因する影響が弱く、その結果、同じ処理時間では、汚染物に
対する分解効率が低くなり、つまり、波状の金属リングによる流体への影響は反応の進行
をある程度で促進できることが分かった。
(4)実施例5のデータと、実施例7、8との比較から、処理装置が同じ場合、超臨界状
態で廃水に対して紫外光触媒を行う時間は廃水処理品質の優劣を支配し、これらのうち、
実施例5は本発明で開示された実施例のうちの最適な実施例であることが分かった。
【符号の説明】
【0031】
1-調整槽
2-沈殿手段
20-磁気凝集沈殿手段
21-二次沈殿槽
22-第1の水ポンプ
23-第2の水ポンプ
3-高効率処理手段
30-予熱混合器
300-混合室
301-第2の熱交換器
302-酸化剤供給ユニット
303-撹拌ユニット
304-触媒供給ユニット
31-超臨界光触媒反応器
310-環状密閉室
311-第1の熱交換器
312-環状可動仕切り板
313-回転機構
3130-回転軸
3131-回動連結棒
314-紫外線殺菌ランプ
315-沈殿収集タンク
316-排出孔
317-排出ユニット
318-配管
319-排出タンク
3190-排出スクリューロッド
32-発電ユニット
320-第2の増圧ユニット
321-ターボファン発電ユニット
322-圧力安定化ユニット
323-貯水槽
324-第3の熱交換器
33-第1の増圧ユニット。
【要約】      (修正有)
【課題】析出した有機塩が装置の配管を閉塞して廃水に対する処理効率が低下することを防ぐ、有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置を提供する。
【解決手段】有機塩素系農薬汚染土壤の接触酸化修復用廃水処理装置を提供する。該装置は、廃水のpHを調整する調整槽1と、調整槽に接続された沈殿手段2と、沈殿手段に接続されて廃水を処理して浄化する高効率処理手段3とを含み、高効率処理手段は、一端が沈殿手段に接続された予熱混合器30と、予熱混合器の他端に接続された超臨界光触媒反応器31と、超臨界光触媒反応器に接続された発電ユニット32とを含み、環状密閉室において汚染廃水を超臨界状態とし、動的に循環させることと相まって、光触媒を行うことにより廃水を効率よく処理する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6