(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】塗膜転写具
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20220606BHJP
B43M 11/06 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
B43L19/00 H
B43M11/06
(21)【出願番号】P 2018107363
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】八代 拓也
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-037014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43M 11/06
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されたケース本体と、
相互に連動して回転する供給リールおよび巻取リールならびに前記開口部から突出した転写ヘッドを含み、前記ケース本体に収容された収容部材と、
剥離可能な塗膜面が外側になるようにして前記転写ヘッドに掛け回され、前記供給リールから繰り出されて前記転写ヘッドを経由して前記巻取リールに巻き取られる転写テープと、
相互に別体となる2つのカバー体
を有するとともに少なくとも1つの前記カバー体が前記ケース本体または前記収容部材に回動可能に取り付けられ、
2つの前記カバー体が展開して前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、
一方の前記カバー体の少なくとも一部分が他方の前記カバー体の幅方向内側に入り込んで前記開口部を開放する開放位置とに保持されるヘッドカバーと、
を備えたことを特徴とする塗膜転写具。
【請求項2】
前記ヘッドカバーは、
2つの前記カバー体が
連動して前記開口部を開閉する、
ことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記ヘッドカバーは、
2つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の塗膜転写具。
【請求項4】
前記ヘッドカバーは、
2つの前記カバー体のうちの何れか1つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられ、
2つの前記カバー体のうちの他の前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材に取り付けられた前記カバー体の所定位置に回動可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の塗膜転写具。
【請求項5】
前記ヘッドカバーは、
2つの前記カバー体のうちの何れか1つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられ、
2つの前記カバー体のうちの他の前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材に取り付けられた前記カバー体に摺動可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の塗膜転写具。
【請求項6】
前記ヘッドカバーは、
前記ケース本体または前記収容部材の所定位置を支点に回動する第1のカバー体と、
前記転写ヘッドの先端が被覆可能に設けられ、前記第1のカバー体の幅方向内側に位置して当該第1のカバー体と同一の支点で回動する第2のカバー体と
を有する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の塗膜転写具。
【請求項7】
前記ヘッドカバーは、前記2つのカバー体と相互に別体となるさらに1つまたは複数のカバー体を含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の塗膜転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写テープに塗布された塗膜を被転写体に転写する塗膜転写具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば紙面に書かれた文字などに修正用の塗膜を転写するためのツールとして、あるいは、例えば紙面に糊状の塗膜を転写するためのツールとして、塗膜転写具が知られている。
【0003】
この塗膜転写具は、相互に連動して回転する供給リールと巻取リールとがケース内に収容され、2つの端部が供給リールと巻取リールとにそれぞれ固定された転写テープがケースの先端に形成された開口部から突出して取り付けられた転写ヘッドに掛け回された構造となっている。
【0004】
そして、使用時においては、ケースを把持して転写ヘッドを用紙などの被転写体に押し付けながら当該被転写体に沿って移動させることにより、供給リールから繰り出された転写テープに塗布された塗膜が被転写体に転写され、塗膜のなくなった転写後の転写テープが巻取リールに巻き取られるようになっている。
【0005】
ここで、塗膜転写具を使用しないときに転写ヘッドに掛け回された転写テープの未使用部分の塗膜を保護するため、ヘッドカバーをケースに回動可能に取り付けることが一般的となっている。
【0006】
特許文献1(特開2005-193410号公報)には、ヘッドカバーをケースの下側(特許文献1では、カートリッジ)に回動可能に取り付ける技術が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献2(特開2016-150478号公報)には、ヘッドカバーをケースに対してスライド可能に設けて開閉する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-193410号公報
【文献】特開2016-150478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、不使用時に未転写部の塗膜は保護できるものの、ケースとヘッドカバーとの隙間が大きいために、隙間から塵埃等が入ってしまうという問題がある。
【0010】
塵埃等が入らないようにするためには、ケース開口部を十分に覆うようにヘッドカバーを延ばすことが考えられるが、このようにすると、使用時(つまり、ヘッドカバーを開けたとき)にヘッドカバーが邪魔になって使いづらくなる。
【0011】
また、塵埃等が入らないようにするためには、ヘッドカバーを延ばさずにケースを延ばすことも考えられるが、このようにすると、ケースがたとえ透明部品であったとしても、使用時に転写ヘッドの転写部の視認性が悪くなるという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載の技術でも、移動したヘッドカバーがケース上面に位置することになるので、やはりヘッドカバーのために転写ヘッドの転写部が見えにくくなる。また、スライダでヘッドカバーを移動させて開閉する構造であることから、使い方がユーザに直感的に理解できない場合が考えられる。
【0013】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、不使用時に塵埃等が入りづらく、且つ、使用時に転写ヘッドの転写部が視認しやすいヘッドカバーを備えた塗膜転写具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の塗膜転写具は、開口部が形成されたケース本体と、相互に連動して回転する供給リールおよび巻取リールならびに前記開口部から突出した転写ヘッドを含み、前記ケース本体に収容された収容部材と、剥離可能な塗膜面が外側になるようにして前記転写ヘッドに掛け回され、前記供給リールから繰り出されて前記転写ヘッドを経由して前記巻取リールに巻き取られる転写テープと、相互に別体となる2つのカバー体を有するとともに少なくとも1つの前記カバー体が前記ケース本体または前記収容部材に回動可能に取り付けられ、2つの前記カバー体が展開して前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と、一方の前記カバー体の少なくとも一部分が他方の前記カバー体の幅方向内側に入り込んで前記開口部を開放する開放位置とに保持されるヘッドカバーと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の塗膜転写具は、上記請求項1に記載の発明において、前記ヘッドカバーは、2つの前記カバー体が連動して前記開口部を開閉する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の塗膜転写具は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記ヘッドカバーは、2つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の塗膜転写具は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記ヘッドカバーは、2つの前記カバー体のうちの何れか1つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられ、2つの前記カバー体のうちの他の前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材に取り付けられた前記カバー体の所定位置に回動可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の塗膜転写具は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記ヘッドカバーは、2つの前記カバー体のうちの何れか1つの前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置に回動可能に取り付けられ、2つの前記カバー体のうちの他の前記カバー体が、前記ケース本体または前記収容部材に取り付けられた前記カバー体に摺動可能に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の塗膜転写具は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、 前記ヘッドカバーは、前記ケース本体または前記収容部材の所定位置を支点に回動する第1のカバー体と、前記転写ヘッドの先端が被覆可能に設けられ、前記第1のカバー体の幅方向内側に位置して当該第1のカバー体と同一の支点で回動する第2のカバー体とを有する、ことを特徴とする。
請求項7に記載の塗膜転写具は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記ヘッドカバーは、前記2つのカバー体と相互に別体となるさらに1つまたは複数のカバー体を含んで構成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
ヘッドカバーを閉鎖位置にした場合には、ヘッドカバーの構成要素である複数に分割されたカバー体が展開状態となってケース等との隙間を少なくできるので、塵埃が入りづらくなる。
【0021】
また、ヘッドカバーを開放位置にした使用時には、カバー体が重畳状態となるので、ケース本体からのヘッドカバーの張出寸法は、分割されていないヘッドカバーと比較して小さくなる。これにより、使用時においてヘッドカバーが邪魔にならなくなり、転写ヘッドの転写部が視認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具についてヘッドカバーを閉鎖位置にして示す斜視図である。
【
図2】
図1の塗膜転写具の先端部を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具についてヘッドカバーを開放位置にして示す斜視図である。
【
図4】
図3の塗膜転写具の先端部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具を前方から見たときの先端部の分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具を後方から見たときの先端部の分解斜視図である。
【
図8】(a)~(e)は本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具のヘッドカバーが閉鎖位置から開放位置へ回動した後に閉鎖位置へ回動を始めるまでの動きを連続的に示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが閉鎖位置にあるときの正面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが閉鎖位置にあるときの平面図である。
【
図16】本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが開放位置にあるときの平面図である。
【
図20】第1の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図21】第1の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図22】展開状態となった第1の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図23】重畳状態となった第1の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図24】第2の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図25】第2の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図26】展開状態となった第2の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図27】重畳状態となった第2の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図28】第3の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図29】第3の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図30】展開状態となった第3の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図31】重畳状態となった第3の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図32】第4の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図33】第4の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図34】展開状態となった第4の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図35】重畳状態となった第4の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図36】第5の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図37】第5の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図38】展開状態となった第5の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図39】重畳状態となった第5の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図40】第6の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図41】第6の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図42】展開状態となった第6の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図43】重畳状態となった第6の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図44】第7の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図45】第7の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図46】展開状態となった第7の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図47】重畳状態となった第7の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図48】第8の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図49】第8の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図50】展開状態となった第8の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図51】重畳状態となった第8の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図52】第9の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図である。
【
図53】第9の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図である。
【
図54】展開状態となった第9の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【
図55】重畳状態となった第9の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
図1は本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具についてヘッドカバーを閉鎖位置にして示す斜視図、
図2は
図1の塗膜転写具の先端部を示す斜視図、
図3は本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具についてヘッドカバーを開放位置にして示す斜視図、
図4は
図3の塗膜転写具の先端部を示す斜視図、
図5は本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具を前方から見たときの先端部の分解斜視図、
図6は
図5のA部の拡大図、
図7は本発明の一実施の形態に係る塗膜転写具を後方から見たときの先端部の分解斜視図である。
【0025】
本発明の一実施の形態である塗膜転写具は、修正用の塗膜や糊状の塗膜などが塗布された転写テープを紙面に転写するために用いられるものであり、
図1および
図3に示すように、長さ方向に沿って縦に2分割され、図示しない嵌合機構で相互に嵌まり合って一体化し、内部空間を有するケース本体1を形成する第1のケース部11および第2のケース部12を有している。
【0026】
図3~
図7に示すように、ケース本体1の先端には開口部2が形成されており、この開口部2から突出するようにして転写ヘッド(収容部材の一部)3が取り付けられている。
【0027】
図示は省略するが、ケース本体1内には供給リール(収容部材の一部)と巻取リール(収容部材の一部)とが収容されている。これら供給リールおよび巻取リールは、ギアやベルトなどを介して相互に結合されており、互いに連動して回転するようになっている。供給リールおよび巻取リールには転写テープ(図示せず)のそれぞれの端部が巻き付けられており、修正用や糊状の剥離可能な塗膜面が外側になるようにして供給リールから繰り出され、巻取リールに巻き取られるようになっている。また、供給リールから繰り出された転写テープは転写ヘッド3に掛け回されており、転写ヘッド3を経由して巻取リールに巻き取られる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、収容部材の図示については、煩雑化を回避するために省略されている。
【0029】
ケース本体1の先端に形成された開口部2から突出した転写ヘッド3は、転写テープが掛け回された円筒状のヘッド本体部3aと、ヘッド本体部3aの両側において相互に対向して設けられてヘッド本体部3aを支持するとともに転写テープの走行をガイドする一対のガイド片3bとを備えている。
【0030】
ヘッド本体部3aの先端はガイド片3bから僅かに突出しており、転写ヘッド3を用紙などの被転写体に押し付けて塗膜を転写する際に、転写テープの掛け回されたヘッド本体部3aが確実に被転写体に押し当てられるようになっている。ガイド片3bは、転写テープの幅方向の自由な動きを規制するものであり、このガイド片3bによって、塗膜を転写する転写テープはヘッド本体部3aから逸脱することなく走行するようになる。
【0031】
図1~
図7に示すように、ケース本体1の先端に形成された開口部2には、当該開口部2を開閉するヘッドカバー4がケース本体1に回動可能に取り付けられている。本実施の形態のヘッドカバー4は、第1のカバー体41aと、当該第1のカバー体41aの幅方向内側に位置して、転写ヘッド3の先端が被覆可能になった第2のカバー体42aとの2つのカバー体に分割されている。
【0032】
そして、これらの図面に示すように、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとが相互に展開した状態(展開状態)となってヘッドカバー4が開口部2を閉鎖する閉鎖位置(
図1、
図2)となり、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとが相互に重畳した状態(重畳状態)となってヘッドカバー4が開口部2を開放する開放位置(
図3、
図4)となる。
【0033】
なお、本願において「閉鎖位置」とは、ヘッドカバー4と開口部2との間に隙間が殆どなくなる程度にヘッドカバー4が開口部2を閉鎖する位置を意味するものではなく、塵埃等がケース本体1の内部に入りづらくなる程度にヘッドカバー4が開口部2を閉鎖する位置を意味する。
【0034】
ここで、ケース本体1の先端下部には、当該ケース本体1の幅方向に延びた略円筒状の一対のカバー軸支部1aが対向して形成されている。これらのカバー軸支部1aの外側には第1の軸穴1abが、内側には第2の軸穴1acが、それぞれ形成されている。そして、第1のカバー体41aに相互に内側を向けて形成された2箇所の軸突起41abが第1の軸穴1abに嵌め込まれて回動可能になっており、第2のカバー体42aに相互に外側を向けて形成された軸突起42abが第2の軸穴1acに嵌め込まれて回動可能になっている。したがって、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとは、相互に同一の支点で回動する。
【0035】
なお、以下に説明する場合を含めて、同一の支点とは、支点を構成する部品が同一であるという意味ではなく、回動する支点(回動軸)が同一であるという意味である。
【0036】
第1のカバー体41aの内側には、閉鎖位置のときにケース本体1の開口部2の縁部に形成されたケース側凸部1bを乗り越えるカバー側凸部41acが形成されている。また、第1のカバー体41aの軸突起41abの近傍には、開放位置のときにカバー軸支部1aの外周に形成された係止突起1adを挟み込むように弾性変形して当該係止突起1adに係止される係止部41adが形成されている。したがって、第1のカバー体41aは、カバー側凸部41acがケース側凸部1bを乗り越えて閉鎖位置で保持され(後述する
図9~
図11参照)、係止部41adが係止突起1adに係止されて開放位置で保持される(後述する
図16~
図18参照)。
【0037】
なお、第1のカバー体41aの上部には突起部41aeが形成されている。そして、第1のカバー体41aが閉鎖位置にあるときに当該突起部41aeを前方へ押すようにすれば、第1のカバー体41aを容易に開放位置へと回動させことができる。
【0038】
第2のカバー体42aにおける閉鎖位置での第1のカバー体41aと重なり合う部位には、係合片42acが外側に向けて形成されている。一方、第1のカバー体41aにおける閉鎖位置での第2のカバー体42aと重なり合う部位には、第1のカバー体41aが閉鎖位置に向かう際に係合片42acと係合することで、第2のカバー体42aを連動して閉鎖位置へと回動させる係合片41afが内側に向けて形成されている。また、第2のカバー体42aの軸突起42abの近傍には、閉鎖位置のときにケース本体1の開口部2の縁部に当接するストッパ42adが形成されている。
【0039】
したがって、第2のカバー体42aは、係合片42acとストッパ42adとによって回動が規制されて閉鎖位置で保持される(後述する
図12~
図15参照)。そして、このとき第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとは、互いに重なり合う部分が相対的に少ない状態、つまり展開状態となっている。
【0040】
さらに、前述した第1のカバー体41aのカバー側凸部41acの近傍には、当該第1のカバー体41aが開放位置に向かう際に第2のカバー体42aの縁部に当接して第2のカバー体42aを連動して開放位置へと回動させる突起41agが形成されている。また、第2のカバー体42aは、転写ヘッド3の先端を被覆する部位が開放位置においてケース本体1に当接するようになっている。
【0041】
したがって、第2のカバー体42aは、第1のカバー体41aの突起41agにより当該第1のカバー体41aとともに回動してケース本体1に当接することによって回動が規制されて開放位置で保持される(後述する
図16、
図17、
図19参照)。そして、このとき第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとは、互いに重なり合う部分が相対的に多い状態、つまり重畳状態となっている。
【0042】
なお、本実施の形態の場合には、重畳状態において、第2のカバー体42aの一部が第1のカバー体41aから外にはみ出ているが、全部が隠れるようになっていてもよい。但し、重畳状態では、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとが過不足なく重なり合うようになっていれば、ヘッドカバー4が最もコンパクトに畳まれることになるので望ましい。
【0043】
次に、以上の構成を有する本実施の形態の塗膜転写具において、ヘッドカバー4が開口部2を閉鎖する閉鎖位置から開口部2を開放する開放位置へと回動する際の動きについて、
図8~
図19を用いて説明する。
【0044】
ここで、
図8(a)~(e)は本実施の形態に係る塗膜転写具のヘッドカバーが閉鎖位置から開放位置へ回動した後に閉鎖位置へ回動を始めるまでの動きを連続的に示す説明図、
図9は本実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが閉鎖位置にあるときの正面図、
図10は
図9のB-B線に沿った断面図、
図11は
図10のC部の拡大図、
図12は本実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが閉鎖位置にあるときの平面図、
図13は
図12のD-D線に沿った断面図、
図14は
図13のE部の拡大図、
図15は
図13のF部の拡大図、
図16は本実施の形態に係る塗膜転写具においてヘッドカバーが開放位置にあるときの平面図、
図17は
図16のG-G線に沿った断面図、
図18は
図17のH部の拡大図、
図19は
図17のI部の拡大図である。
【0045】
図8(a)に示すヘッドカバー4の閉鎖位置(つまり、転写ヘッド3がヘッドカバー4で覆われている位置)では、第1のカバー体41aは、
図9~
図11に示すように、カバー側凸部41acがケース本体1に形成されたケース側凸部1bを乗り越えて閉鎖位置で保持されている。また、第2のカバー体42aは、
図12~
図14に示すように、係合片42acが第1のカバー体41aに形成された係合片41afと係合し、
図12、
図13および
図15に示すように、ストッパ42adがケース本体1の開口部2の縁部に当接することにより回動が規制され、閉鎖位置で保持されている。そして、図示するように、閉鎖位置では、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとの重なり合う部分が相対的に少ない展開状態となっている。
【0046】
そして、このようにヘッドカバー4を閉鎖位置にした場合には、ヘッドカバー4が展開状態となってケース本体1との隙間を少なくできるので、塵埃が入りづらくなっている。
【0047】
図8(a)に示す閉鎖位置において、第1のカバー体41aに形成された突起部41aeを前方へ押すと、当該第1のカバー体41aは、ケース側凸部1bによる保持が解除されて開放位置に向けて回動を開始する。
【0048】
そして、回動する第1のカバー体41aに形成された突起41agが第2のカバー体42aの縁部に当接すると、
図8(b)に示すように、第1のカバー体41aは第2のカバー体42aを伴って開放位置へと回動する。
【0049】
その後、
図8(c)に示す状態を経て、
図8(d)に示すヘッドカバー4の開放位置(つまり、転写ヘッド3がヘッドカバー4で覆われていない位置、換言すれば塗膜転写具を使用する位置)では、第1のカバー体41aは、
図16~
図18に示すように、係止部41adがケース本体1のカバー軸支部1aに形成された係止突起1adに係止されて開放位置で保持される。また、第2のカバー体42aは、第1のカバー体41aの突起41agによりケース本体1に当接して回動が規制され、開放位置で保持される。そして、図示するように、開放位置では、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aとの重なり合う部分が相対的に多い重畳状態となっている。
【0050】
そして、ヘッドカバー4が開放位置になったときに転写ヘッド3が開口部2から露出されるので、使用者は、塗膜転写具を把持して転写ヘッド3を紙面に押し付けて所定の作業を行うことができる。
【0051】
ここで、開放位置においては、ヘッドカバー4を構成している分割された2つのカバー体、つまり第1のカバー体41aおよび第2のカバー体42aは、前述のように、重なり合う部分が相対的に多い重畳状態となる。したがって、開放位置で保持されているヘッドカバー4におけるケース本体1から下方への張出寸法は、分割されていないヘッドカバーと比較して約半分になる。
【0052】
よって、不使用時におけるヘッドカバー4による開口部2のカバー性能を維持しつつ、使用時においてはヘッドカバー4が邪魔にならなくなり、ケース本体1を立て気味の不自然な姿勢にしなくてもヘッドカバー4が紙面と干渉しにくくなる。また、ケース本体1を立て気味にする必要がなくなることから、転写ヘッド3の転写部が視認しやすくなる。
【0053】
また、ヘッドカバー4を分割しただけの部品点数の増加にとどまるので、最小の部品点数の増加の下で、簡便な操作性を実現することができる。
【0054】
なお、ヘッドカバー4を開放位置から閉鎖位置に戻すときには、
図8(e)に示すように、第1のカバー体41aを回動させる。これにより、係合片41afが第2のカバー体42aの係合片42acと係合し、第1のカバー体41aは第2のカバー体42aを伴って閉鎖位置へと回動する。
【0055】
さて、以上に説明した塗膜転写具のヘッドカバー4は、第1のカバー体41aと第2のカバー体42aが同一の回動支点となってケース本体1の先端下部に取り付けられ、また、第2のカバー体42aは転写ヘッド3の先端が被覆可能になって第1のカバー体41aの幅方向内側に位置している。
【0056】
しかしながら、ヘッドカバー4はこのような構成に限定されるものではなく、展開状態となって開口部2を閉鎖する閉鎖位置と、重畳状態となって開口部2を開放する開放位置とに回動可能になっていれば、様々な態様を採用することができる。
【0057】
そこで、以下において、ヘッドカバー4における様々な態様の一例として、第1~第9の変形例について説明する。
【0058】
なお、第1~第9の変形例を示す図面においてはヘッドカバー4のみが示されており、ヘッドカバー4が取り付けられるケース本体1などについては図示が省略されている。また、ケース本体1に対するヘッドカバー4の保持機構や取付機構の詳細、およびカバー体相互の連動機構の詳細などについても図示が省略されている。
【0059】
(第1の変形例)
【0060】
図20は第1の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図21は第1の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図22は展開状態となった第1の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図23は重畳状態となった第1の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0061】
第1の変形例でのヘッドカバー4は、転写ヘッド3の先端が被覆可能になった第1のカバー体41bと、第1のカバー体41bの幅方向内側に位置する第2のカバー体42bとで構成されている。
【0062】
そして、これら第1のカバー体41bおよび第2のカバー体42bはケース本体1の先端下部に取り付けられており、当該部位を支点にして、つまり同一の支点Pで回動する。したがって、
図23に示すように、重畳状態では、転写ヘッド3の先端を被覆する第1のカバー体41bの中に第2のカバー体42bが入り込むようになる。
【0063】
このように、転写ヘッド3の先端を被覆するカバー体である第1のカバー体41bの方が、被覆しない第2のカバー体42bよりも幅方向の外側になる構成としてもよい。
【0064】
(第2の変形例)
【0065】
図24は第2の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図25は第2の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図26は展開状態となった第2の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図27は重畳状態となった第2の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0066】
第2の変形例でのヘッドカバー4は、転写ヘッド3の先端が被覆可能になってケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動する第1のカバー体41cと、第1のカバー体41cの幅方向外側に位置する第2のカバー体42cとで構成されている。
【0067】
そして、図示するように、第2のカバー体42cは第1のカバー体41cの所定位置(ここでは第1のカバー体41cの開口部の両側)を支点Pcに回動可能になっている。
【0068】
このように、一方のカバー体(ここでは、第1のカバー体41c)だけがケース本体1に回動可能に取り付けられ、他方のカバー体(ここでは、第2のカバー体42c)は一方のカバー体に回動可能に取り付けられていてもよい。つまり、全てのカバー体がケース本体1に回動可能に取り付けられていなくてもよい。
【0069】
(第3の変形例)
【0070】
図28は第3の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図29は第3の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図30は展開状態となった第3の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図31は重畳状態となった第3の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0071】
第3の変形例でのヘッドカバー4は、ケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動する第1のカバー体41dと、転写ヘッド3の先端が被覆可能になって第1のカバー体41dの幅方向内側に位置する第2のカバー体42dとで構成されている。
【0072】
そして、図示するように、第2のカバー体42dは第1のカバー体41dの所定位置(ここでは第1のカバー体41dの一方の開口部の両側)を支点Pdに回動可能になっている。
【0073】
このように、一方のカバー体(ここでは、第1のカバー体41d)がケース本体1に回動可能に取り付けられ、他方のカバー体(ここでは、第2のカバー体42d)が一方のカバー体に回動可能に取り付けられた場合において、第2の変形例とは逆に、ケース本体1に取り付けられていない方のカバー体(ここでは、第2のカバー体42d)が転写ヘッド3の先端を被覆するようになっていてもよい。
【0074】
(第4の変形例)
【0075】
図32は第4の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図33は第4の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図34は展開状態となった第4の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図35は重畳状態となった第4の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0076】
第4の変形例でのヘッドカバー4では、第2のカバー体42eが第1のカバー体41eの幅方向内側に位置している点が、前述した第2の変形例でのヘッドカバー4と異なっている。
【0077】
すなわち、本変形例のヘッドカバー4は、第1のカバー体41eが、転写ヘッド3の先端が被覆可能になってケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動するようになっている。また、第2のカバー体42eは、この第1のカバー体41eの幅方向内側に位置している。
【0078】
そして、第2のカバー体42eは第1のカバー体41eの所定位置(ここでは第1のカバー体41eの開口部の両側)を支点Peに回動可能になっている。
【0079】
このように、第2のカバー体42eの方が第1のカバー体41eの幅方向内側になっていてもよい。
【0080】
(第5の変形例)
【0081】
図36は第5の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図37は第5の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図38は展開状態となった第5の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図39は重畳状態となった第5の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0082】
第5の変形例でのヘッドカバー4では、第2のカバー体42fが第1のカバー体41fの幅方向外側に位置している点が、前述した第3の変形例でのヘッドカバー4と異なっている。
【0083】
すなわち、本変形例のヘッドカバー4は、第1のカバー体41fが、ケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動するようになっている。また、第2のカバー体42fは、転写ヘッド3の先端が被覆可能になって第1のカバー体41fの幅方向外側に位置している。
【0084】
そして、第2のカバー体42fは第1のカバー体41fの所定位置(ここでは第1のカバー体41fの一方の開口部の両側)を支点Pfに回動可能になっている。
【0085】
このように、第2のカバー体42fの方が第1のカバー体41fの幅方向外側になっていてもよい。
【0086】
(第6の変形例)
【0087】
図40は第6の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図41は第6の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図42は展開状態となった第6の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図43は重畳状態となった第6の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0088】
第2~第5の変形例において説明したヘッドカバー4では、ケース本体1に回動可能に取り付けられた一方のカバー体に取り付けられた他方のカバー体は、一方のカバー体に対して回動可能になっていた。しかしながら、他方のカバー体は一方のカバー体に対して、回動以外の態様で移動可能になっており、これにより展開状態と重畳状態とになって開口部2を開閉できるようになっていればよい。
【0089】
第6~第9の変形例では、回動以外の移動の一例として、摺動可能になっている場合が示されている。
【0090】
すなわち、第6の変形例でのヘッドカバー4では、転写ヘッド3の先端が被覆可能になってケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動する第1のカバー体41gと、第1のカバー体41gの幅方向外側に位置する第2のカバー体42gとで構成されている。
【0091】
そして、図示するように、第2のカバー体42gは第1のカバー体41gに摺動可能に取り付けられている。
【0092】
このように、摺動する第2のカバー体42gを備えた第6の変形例でのヘッドカバー4でも、展開状態(
図42)と重畳状態(
図43)とになって開口部2を開閉することができる。
【0093】
(第7の変形例)
【0094】
図44は第7の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図45は第7の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図46は展開状態となった第7の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図47は重畳状態となった第7の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0095】
第7の変形例でのヘッドカバー4では、ケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動する第1のカバー体41hと、転写ヘッド3の先端が被覆可能になって第1のカバー体41hの幅方向内側に位置する第2のカバー体42hとで構成されている。
【0096】
そして、図示するように、第2のカバー体42hは第1のカバー体41hに対して摺動可能に取り付けられている。
【0097】
一方のカバー体(ここでは、第1のカバー体41h)がケース本体1に回動可能に取り付けられ、他方のカバー体(ここでは、第2のカバー体42h)が一方のカバー体に摺動可能に取り付けられた場合において、第6の変形例とは逆に、ケース本体1に取り付けられていない方のカバー体(ここでは、第2のカバー体42h)が転写ヘッド3の先端を被覆するようになっていてもよい。
【0098】
(第8の変形例)
【0099】
図48は第8の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図49は第8の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図50は展開状態となった第8の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図51は重畳状態となった第8の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0100】
第8の変形例でのヘッドカバー4では、第2のカバー体42iが第1のカバー体41iの幅方向内側に位置している点が、前述した第6の変形例でのヘッドカバー4と異なっている。
【0101】
すなわち、本変形例のヘッドカバー4は、第1のカバー体41iが、転写ヘッド3の先端が被覆可能になってケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動するようになっている。また、第2のカバー体42iは、この第1のカバー体41iの幅方向内側に位置している。
【0102】
そして、第2のカバー体42iは第1のカバー体41iに対して摺動可能に取り付けられている。
【0103】
このように、第2のカバー体42iの方が第1のカバー体41iの幅方向内側になっていてもよい。
【0104】
(第9の変形例)
【0105】
図52は第9の変形例としてのヘッドカバーを前方から示す斜視図、
図53は第9の変形例としてのヘッドカバーを後方から示す斜視図、
図54は展開状態となった第9の変形例のヘッドカバーを示す説明図、
図55は重畳状態となった第9の変形例のヘッドカバーを示す説明図である。
【0106】
第9の変形例でのヘッドカバー4では、第2のカバー体42jが第1のカバー体41jの幅方向外側に位置している点が、前述した第7の変形例でのヘッドカバー4と異なっている。
【0107】
すなわち、本変形例のヘッドカバー4は、第1のカバー体41jが、ケース本体1の先端下部に取り付けられ、当該部位を支点Pにして回動するようになっている。また、第2のカバー体42jは、転写ヘッド3の先端が被覆可能になって第1のカバー体41jの幅方向外側に位置している。
【0108】
そして、第2のカバー体42jは第1のカバー体41jに対して摺動可能に取り付けられている。
【0109】
このように、第2のカバー体42jの方が第1のカバー体41jの幅方向外側になっていてもよい。
【0110】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0111】
たとえば、以上説明した実施の形態においては、ヘッドカバー4は2つに分割されて第1のカバー体と第2のカバー体とで構成されているが、複数に分割されていれば足り、3つ以上に分割されていてもよい。但し、3つ以上に分割されていると、機構が複雑化することに加えてヘッドカバー4の内側の幅が狭くなって転写ヘッド3との干渉のおそれが考えられることなどから、ヘッドカバー4は2つに分割されているのが望ましいと思われる。
【0112】
また、以上説明した実施の形態においては、ヘッドカバー4はケース本体1の先端下部に取り付けられているが、先端上部に取り付けられていてもよい。この場合であっても、開放位置で保持されているヘッドカバー4におけるケース本体1から上方への張出寸法は、分割されていないヘッドカバーと比較して小さくなるので、使用時において、転写ヘッド3の転写部が視認しやすくなる。また、ヘッドカバー4がケース本体1から下方へ張り出さないので、ヘッドカバー4と紙面との干渉は発生せず、結果として、転写時に邪魔にならない。
【0113】
さらに、ヘッドカバー4は、ケース本体1ではなく、例えば転写ヘッド3など、ケース本体1に収容された部材すなわち収容部材に取り付けられていてもよい。
【0114】
また、ヘッドカバー4は、複数に分割されたカバー体が展開状態となって開口部2を閉鎖して転写ヘッド3を覆い、これらのカバー体が重畳状態では開口部2を開放して転写ヘッド3を露出させるようになっている限り、一方のカバー体に他方のカバー体が連動して回動や摺動をしなくてもよい。つまり、それぞれのカバー体は個別に移動(回動、摺動など)するようになっていてもよい。
【0115】
さらに、複数のカバー体がケース本体1などに取り付けられて回動する構成において、相互に同一の支点で回動するようになっている必要はない。つまり、一つのカバー体と他のカバー体とが相互に異なる支点で回動するように取り付けられていてもよい。
【0116】
さらに、第2~第5の変形例において、
図24~
図39に示すように、支点Pと支点Pc,Pd,Pe,Pfとは相互に異なる位置になっているが、同一の位置となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の塗膜転写具は、粘着テープ、修正テープ、蛍光テープ、デコレーションテープなど様々な転写テープを装着して使用することが可能であり、特定の転写テープに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0118】
1 ケース本体
1a カバー軸支部
1ab 第1の軸穴
1ac 第2の軸穴
1ad 係止突起
1b ケース側凸部
2 開口部
3 転写ヘッド(収容部材の一部)
3a ヘッド本体部
3b ガイド片
4 ヘッドカバー
11 第1のケース部
12 第2のケース部
41a~41j 第1のカバー体
41ab 軸突起
41ac カバー側凸部
41ad 係止部
41ae 突起部
41af 係合片
41ag 突起
42a~42j 第2のカバー体
42ab 軸突起
42ac 係合片
42ad ストッパ
P,Pc,Pd,Pe,Pf 支点