(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】携帯不審者判断装置及び不審者判断方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20220606BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220606BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20220606BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B25/10 B
G08B21/02
H04N7/18 D
H04N7/18 N
(21)【出願番号】P 2018140815
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-081480(JP,A)
【文献】特開2012-212967(JP,A)
【文献】特開2017-038162(JP,A)
【文献】特開2017-167800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00-25/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視者が身体または身に着けた帽子または衣服等に取り付けて携帯するものであり、前記被監視者が不安又は不審者候補の恐れを感じた場合又は必要性を感じた場合に起動させ、画像を取らせ、前記不審者候補のリスク性を判断させ、前記判断の結果で、外部の監視基地局へ不審者情報の送信を少なくとも含む行動を行わせるものであって、
前記起動により前記被監視者の周辺を撮影し前記画像を取るカメラと、前記撮影された前記画像に写った前記不審者候補を不審者としてリスクありか否かを判断する不審者判断手段と、前記リスクありの前記判断の結果を受けて、前記監視基地局へ前記画像を含む前記不審者情報を少なくとも送信する通信手段と、前記被監視者の個体を識別する識別符号(ID)と、電力を供給する電源と、を備え、前記不審者判断手段は、前記リスクありか否かを判断するリスク判断手段と、前記判断する場合に参照するリスク判断基準と、前記リスク判断基準の基準を予め定めるための条件の違いを前記画像中の前記不審者候補の特徴から判断する条件判断手段と、を有し、前記条件の前記リスクへの影響の度合いに依存して、前記基準を定め、
更に、前記不審者判断手段は介在者判断手段を有し、前記介在者判断手段は、前記不審者候補と前記被監視者間に他人が介在者としているかを判断することで、前記介在者がいない場合はリスクありの判断をし、前記介在者がいる場合は、リスクありの判断としないことを特徴とする携帯不審者判断装置。
【請求項2】
前記リスク判断基準の項目は、前記被監視者からの所定の距離以内に前記不審者候補が入った場合、前記リスクありとするための距離Lと、前記画像中での前記不審者候補の出現時間tと、前記被監視者と同じ角を曲がった角数cと、の内、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の携帯不審者判断装置。
【請求項3】
前記条件の項目は、前記画像中で前記不審者候補が前又は横から前記被監視者に近づいているか否か、及び、前記画像中の前記不審者候補が顔を隠しているか否か、の内、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯不審者判断装置。
【請求項4】
前記カメラは、可視光のカメラ以外に、前記不審者候補が顔を隠して場合の顔隠し対応としての赤外線カメラを備え、前記赤外線カメラの画像は、前記顔部分のみを前記赤外線画像とすることを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか1つに記載の携帯不審者判断装置。
【請求項5】
前記被監視者が、請求項1から請求項
4のいずれか1つに記載の携帯不審者判断装置を携帯し、監視が必要となった場合に随時、前記携帯不審者判断装置を起動させ、前記携帯不審者判断装置が備える前記カメラで前記被監視者の周辺の前記画像取りし、前記画像中に写った前記不審者候補の呈する特徴を前記条件として取得し、前記条件を考慮して前記リスク判断基準を予め定め、前記リスク判断基準により、前記不審者候補のリスク性(リスクの度合い)を判断し、前記判断の結果により、前記識別符号(ID)と前記不審者候補の画像を含む前記不審者情報を前記監視基地局に送信することを特徴とする不審者判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被監視者を後ろから追跡し又は前や横から襲う恐れのある不審者を判断し、監視基地局への画像送信、警報等の対応を行い、犯罪防止に寄与する携帯不審者判断装置と不審者判断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の不審者監視装置を示す図である。
5-Aにおいて、特許文献1に示される不審者監視装置であり、背後を見るためのカメラとそのデータにより背後を見るための携帯表示器からなっている。不審者に追従されている恐れがある場合に、振り返ることなく背後を見ることができる。不審者であるかどうかは、画像を見て所持者が判断する。表示器を見ながら歩くことになるため、細かな対応がしにくいこと、自分での判断と処理であるので、その場での判断・対応が必要で、低年齢層には使いにくいなど欠点がある。
5-Bにおいて、特許文献2に示されているが、予め設定した時間が来ると、自動的に写真撮影を開始し、設定した時間間隔で撮影し、撮影ごとに電話回線を通じて指定のサーバーに写真を送付し、予め設定した時刻に、撮影と送信を終了するための所持者の身に付ける携帯用端末である。
設定した時間の間、写真を撮り画像を送信するので、画像データがはなはだ多くなり、多人数が使用するとデータ量がオーバーフローする欠点がある。更に判断機能がないため、送付するデータも撮影された画像全てになり、その恐れが大きい。また、リスクが有っても判断することが無く、画像があっても、リスクを本人が気づかない恐れもある。また、送付された先でも判断することが無いので、リアルタイムでの対応が難しい。
5-Cにおいて、特許文献3に示されているが、銀行の金庫など重要物が保管されている所定の領域を観測するところの定まった狭い範囲の定点観測の装置であり、画像において、顔を検知した近くに顔を隠した人物の存在を検知したとき、不審者がいるという判定をし警報出力をする装置である。
銀行等では、金庫の前に銀行員以外はいないのが通常であり、顔を隠した人物が付き添った状態は、脅されながら案内している状況である。このような用途にはよいが、路上などでは、定点に設置されたカメラに相当し、移動する歩行者を随時観測するには不向きであり、顔出しの人の周りに顔を隠した状態(マスク等で)は、普通に見られるので対応できない。すなわち、この状態は、路上では未だ危険と言えない状態にある。
また、路上での移動状態の特徴に沿った、顔隠しや、くる方向の違いといった条件の違いによって、追跡時間や近づいた範囲や曲がった角数などの危険を判断する基準を変えることが重要であるが、そのような発想は先行技術では示されていず、嘱望されるところであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-236347
【文献】特開2007-207211
【文献】特開2012-50031
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、画像中の不審者候補の条件に依存して、不審者候補の危険判断をする判断基準を定め、判断基準を基に不審者候補のリスク判断をし、結果により画像の送信・警報を行うことで、リスク性が大きいときにだけ、これらの対応を行う携帯不審者判断装置及び不審者判断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、携帯不審者判断装置であって、
被監視者が身体または身に着けた帽子または衣服等に取り付けて携帯するものであり、前記被監視者が不安又は不審者候補の恐れを感じた場合又は必要性を感じた場合に起動させ、画像を取らせ、前記不審者候補のリスク性を判断させ、前記判断の結果で、外部の監視基地局へ不審者情報の送信を少なくとも含む行動を行わせるものであって、
前記起動により前記被監視者の周辺を撮影し前記画像を取るカメラと、前記撮影された前記画像に写った前記不審者候補を不審者としてリスクありか否かを判断する不審者判断手段と、前記リスクありの前記判断の結果を受けて、前記監視基地局へ前記画像を含む前記不審者情報を少なくとも送信する通信手段と、前記被監視者の個体を識別する識別符号(ID)と、電力を供給する電源と、を備え、前記不審者判断手段は、前記リスクありか否かを判断するリスク判断手段と、前記判断する場合に参照するリスク判断基準と、前記リスク判断基準の基準を予め定めるための条件の違いを前記画像中の前記不審者候補の特徴から判断する条件判断手段と、を有し、前記条件の前記リスクへの影響の度合いに依存して、前記基準を定め、更に、前記不審者判断手段は介在者判断手段を有し、前記介在者判断手段は、前記不審者候補と前記被監視者間に他人が介在者としているかを判断することで、前記介在者がいない場合はリスクありの判断をし、前記介在者がいる場合は、リスクありの判断としないことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の携帯不審者判断装置において、
前記リスク判断基準の項目は、前記被監視者からの所定の距離以内に前記不審者候補が入った場合、前記リスクありとするための距離Lと、前記画像中での前記不審者候補の出現時間tと、前記被監視者と同じ角を曲がった角数cと、の内、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の携帯不審者判断装置において、
前記条件の項目は、前記画像中で前記不審者候補が前又は横から前記被監視者に近づいているか否か、及び、前記画像中の前記不審者候補が顔を隠しているか否か、の内、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の携帯不審者判断装置において、前記カメラは、可視光のカメラ以外に、前記不審者候補が顔を隠して場合の顔隠し対応としての赤外線カメラを備え、前記赤外線カメラの画像は、前記顔部分のみを前記赤外線画像とすることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、不審者判断方法であって、
前記被監視者が、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の携帯不審者判断装置を携帯し、監視が必要となった場合に随時、前記携帯不審者判断装置を起動させ、前記携帯不審者判断装置が備える前記カメラで前記被監視者の周辺の前記画像取りし、前記画像中に写った前記不審者候補の呈する特徴を前記条件として取得し、前記条件を考慮して前記リスク判断基準を予め定め、前記リスク判断基準により、前記不審者候補のリスク性(リスクの度合い)を判断し、前記判断の結果により、前記識別符号(ID)と前記不審者候補の画像を含む前記不審者情報を前記監視基地局に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の様に構成されているので、本発明による携帯不審者判断装置及び不審者判断方法では、画像中の不審者候補の条件に依存して予め定めたリスク判断基準によりリスク判断を行い、真にリスクがある恐れがあると判断した場合のみ、警報や画像のデータ送信があるので、データ量が少なく、また、リスクの認識も明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にかかる携帯不審者判断装置の構成の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法の不審者判断におけるリスク判断基準の一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法に係る動作を示すフロー図の一実施態様を示す図である。
【
図4】本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法の不審者判断条件によるリスク判断基準の数値の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明にかかる携帯不審者判断装置の構成の一実施態様を示す図である。
1-Aにおいて、携帯不審者判断装置100は、守られるべき被監視者10が身体または身に着けた帽子または衣服等に取り付けて携帯するものであり、被監視者10が不安や不審者20の恐れを感じた場合やその他の必要性を感じた場合に、動作させ、周辺の画像をとり不審者20のリスク性を判断させ、画像を監視基地局200に送信或いはリスク表示や警報を行わせるものであり、以下の構成を有する。
携帯不審者判断装置100は、起動により被監視者10の周辺を撮影するカメラ110と、撮影された画像に写った不審者20候補を不審者としてリスクありと判断する不審者判断手段120と、判断結果を受けて外部の監視基地局200へ画像を含む不審者情報を送受信する通信手段130と、被監視者10の個体を識別する識別符号160(ID)と、これらに電力を供給する電源150と、を備え、不審者判断手段120は、不審者候補が顔隠しをしているかどうかや、近づいてくる向が、後ろからか、前か横からかといった条件の違いを画像で判断する条件判断手段121と、その判断結果により分けて定められたリスク判断基準122と、リスク判断基準122に基づいて画像中の不審者候補がリスクのある不審者と判断し、判断結果を出すリスク判断手段123を有している。
リスク判断基準122の基準の例は、
図4で記述する。
尚、判断結果を受けて、音や光で被監視者10や周辺に知らせるリスク表示手段140を備えると好都合であり、更に、gpsなどの測位手段170を備えると、ID以外に被監視者10の位置情報を監視基地局200に送信できるので好都合である。
尚、1-B、1-Cに示すように、携帯不審者判断装置100は、カメラ110を含む部分をその他の部分と一体構成又は別体構成いずれも可能である。別体構成では、カメラを含む部分を小さく、その他を大きく構成できるので、使用上の利点がある。別体の場合の相互間は電気的接続(有線、無線を問わず)がなされている。
【0013】
図2は、本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法の不審者判断におけるリスク判断基準の項目の一実施態様を示す図である。リスク判断手段123が判断するリスク判断基準122の項目例として、2-Aにおいて、被監視者10からの距離Lがある。不審者20の候補が、距離L内の範囲に入った場合リスクありと判断する。画像中の判断であるので、例えば、画像内の不審者20の候補の大きさで判断することも可能である。しかし、精度を得るには、不審者20の候補方向への投光により、路面に映る光点より距離Lの参照を与えることや、不審者からの音波やレーザ光の反射で距離を見ることの手段が取れる。
2-Bにおいて、画像中の不審者20の候補の出現時間tがリスク判断基準になる。
例えば、60分も画像中にあれば(途中いなくなっても、不審者候補を認識した前と後の画像があれば、両者間の時間)、リスクありと判断する。所定時間間隔で撮影しているので写った回数でも等価である。
2-Cにおいて、被監視者10と同じ街角を曲がった角数もリスク判断基準になる。
角は、交差点では3分岐、3差路では2分岐などどちらかに分かれ、離れていく確率が高い。にもかかわらず、例えば、2-Cのように、被監視者10が街角c1、c2、c3、c4、c5、c6と曲がっていったとき、画像中の不審者候補の像から不審者20の候補が同じように曲がってきたと思われるなら、例え、距離や時間が短くてもリスクがあると判断する。角数がリスク判断基準にするのはこの故である
。尚、C3において矢印のよう
に上に曲がる道があるのに、曲がらずにまっすぐ付いてきたことは、これもリスクと判断できる要因となる。
【0014】
図3は、本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法に係る動作を示すフロー図の一実施態様を示す図である。
1)被監視者10が携帯不審者判断装置100の電源を入れる。
2)携帯不審者判断装置100がカメラ110により被監視者10の周辺の画像を所定の時間間隔で取得する。最初は、不審者候補が特定されない場合もあり、画面に入る全員が不審者候補になる場合もある。
3)画像中で不審者候補が前又は横から近づいているかの条件判断を行う。その結果、d=0(いいえ)、d=1(ハイ)と場合分けをする。リスク判断において判断分けをするためである。4)では、画像中の不審者候補が顔を隠しているかの条件判断をする。その結果、n=0隠していない、n=1隠している。顔隠しの例としては、サングラス、マスクをしているもの、更に不審なのは目出し帽をかぶっている場合である。リスク判断において判断分けをするためである。
尚、前又は横から迫ってくる人物への対応は、後ろから追跡より、画面上に出てくる頻度も少ない状態で犯行にあう危険も多いと考えられるので以上のような条件とされるわけである。顔隠しも不審である度合いが大きいとして条件とされるわけである。
【0015】
これらの条件判断は条件判断手段121で行う。条件判断自体がリスク判断になるわけでない。すなわち、マスクをつけていても、そのことで不審者としてリスク判断し、画像を送信することをするわけではない。あくまでリスク判断がなされて画像等の送信がなされるので、扱うデータ量が膨大になる恐れを排除しているのである。
5)画像中で不審者候補が写っている延べ時間が時間基準t以上か、又は同じく曲がった曲がり角の数基準C以上かを判断する。時間tと角数cのどちらでも以上となれば次の7)に行く。どちらも下回っている場合は6)に行く。尚、時間tと角数cの基準値は、条件d、nにより違って定められ、
図4がその例である。6)画像中で不審者警戒域L内かを判断する。Lの外であれば、2)の画像取得に戻る。L内に入ると、7)に行く。
7)不審者と被監視者間に他人が介在者としているか。間に人がいる場合は、犯罪にならないケースもあるのでその場合は、2)の画像取得に戻る。撮影の時間間隔を前より小さくすることが好ましい。介在者がいない場合は、8)に行く。尚、7)の工程を省くこともできる。その場合は、介在者がいても犯罪の可能性を考えて送信等をしておこうという事である。尚、介在者がいるかの判断は、不審者判断手段120内の介在者判断手段124により行う。
8)ID(被監視者10が誰であるか(会員制や届により、IDと個人との対応は予めなされているものとする))と好ましくは位置情報を取得し、9)取得情報と不審者の写っている画像情報を通信手段130を介して監視基地局200に送信する。同時に周辺者の通信情報端末にも送ることも可能である。同時にリスク表示手段140で警報を出す。場合によっては、被監視者10本人に、歩行を変更して、人のいる方へ行く(安全)ような指示を出すことができる。
【0016】
尚、前か横からくる場合は、不審者でない場合もあるが、画像の履歴が少なくなるので、一端、画像を送信することで、犯行の抑止効果を出すことは都合がよい。但し、犯行が無い場合は、適当な時間経過後には画像を消去(順次又は一括)することが好ましい。
尚、画像の消去は、全ての画像を消去するのではなく、時間的に前の画像を消去し、最終の画像を代表にして、写っている日時やその履歴(例えば、2018.6.28/15:15-15:35、2018.7.2/15:20-15:45、又は、最終データのみでもよい。)をデータとして残すことで、データ量を小さくできる。また、何度も出てくるなど不審者の度合いが高い場合は、画像を消去するまでの期間を長くすることも可能である。
【0017】
監視基地局200では、警備関係を動かすなどの行動を行うことに繋げる。危険がない状態になれば、10)電源を切って終了となる。動作中、全くリスク判断に至らない場合は、8)9)の工程はないので、画像データ量が過大になる恐れは全くない。
むしろ、犯罪になる確率の方が極めて少ないのだから、常時、画像データを送ることは、好ましい考えではなく、本願は、リスク判断になって初めて8)9)が行われることは、現実的に好ましい。
【0018】
尚、不審者と判断されても、不審者の可能性があるという事であり、世間に露出するものでは無く、事件にならなかった場合は、画像データ等は、適当な日時を置いて、消去することになる。同様に、音での警報は、犯罪が起らない通常の場合は、付近にいるものには、嫌疑を掛けられているようで、いい気分ではない。被監視者の注意を促すことを目的する程度の音(例えば、「ピッ、ピッ、ピッ、・・・」というような優しい音)や、周辺者に過剰な負担を与えないほどほどの大きさが適当である。
不審者候補は、警報や送信が行われた段階では、犯行を諦めることだろう。無理やり犯行に及べば、送信されている画像から、逮捕されることになる。また、画像が取られているため、容疑者候補に挙がることが容易になるため、逮捕の機会も増えるため、抑止効果が大きい。
すなわち、監視カメラが被監視者と共に移動するため、随所に監視カメラがあることと同じで、リスク判断が有った時のみ対応があるので、盲点の無いきめ細かな監視ができる。
【0019】
尚、顔隠し対応として、赤外線カメラを用意し、顔隠しがされて無い場合は、可視光カメラで、顔隠しがある場合は、赤外線カメラでの画像も取得し、必要な場合は、顔部分のみを赤外線画像にする処理も好ましい。
このようにすれば、顔を隠すことも効果が薄れ、更にそれだけで不審者らしいことも考慮すると、顔隠しをすることも減少すると思われる。そして、暗い夜間対応としても好ましい。
【0020】
図4は、本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法の不審者判断条件による危険度判断基準の数値の一実施態様を示す図である。
条件:○顔を隠している n=1、いないn=0
○接近が前又は横 d=1、後 d=0
により、
リスク判断基準
◇時間t(条件値が1である場合は、小さく設定):回数Kの指定も可能
◇角数c(条件値が1である場合は、小さく設定)
◇距離L(条件値が1である場合は、大きく設定)
を定めた例である。
数値は、例であるので、自由に設定できる。
【0021】
被監視者が携帯不審者判断装置を携帯し、監視が必要となった場合に随時、携帯不審者判断装置を起動させ、携帯不審者判断装置が備えるカメラで被監視者10周辺の画像取りし、画像中に写った不審者候補の呈する特徴を条件として取得し、条件を考慮してリスク判断基準を予め定め、リスク判断基準により、不審者のリスク性(リスクの度合い)を判断し、リスク判断結果により、IDと位置情報と不審者候補を含む画像を監視基地局に送信することで、不審者による犯罪の抑止を計ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように本発明にかかる携帯不審者判断装置及び不審者判断方法では、携帯者である被監視者が、監視が必要となった場合に随時動作させ、画像中の不審者候補の呈する条件により予め定めたリスク基準を基に不審者のリスク性を判断し、画像送信等の行動を行う
ので、データ量が少なく、リスクの認識がしやすいなどの現実を捉えた監視ができ、産業上利用して極めて好都合である。
【0023】
10 被監視者
20 不審者20
100 携帯不審者判断装置
110 カメラ
120 不審者判断手段
121 条件判断手段
122 リスク判断基準
123 リスク判断手段
130 通信手段
140 リスク表示手段
150 電源
160 ID
170 測位手段
200 監視基地局