(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
G02F1/1333
(21)【出願番号】P 2017145663
(22)【出願日】2017-07-27
【審査請求日】2020-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066440(US,A1)
【文献】特開2017-083595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部と曲面部とを有するカバー部材と、
可撓性を有する第1基体と、
可撓性を有し、前記第1基体と対向する第2基体と、
前記第1基体と前記第2基体とを接着するシールと、
前記第2基体とは反対側において、前記第1基体に設けられた第1補強フィルムと、
前記第1基体と前記第1補強フィルムとの間に位置する第1光学素子と、
前記カバー部材と前記第2基体との間に位置する第2光学素子と、
を備え、
前記第1光学素子及び前記第2光学素子のそれぞれの端部は、
前記第1基体及び前記第2基体のそれぞれの端部と重なっており、
前記第1基体及び前記第2基体は、前記平面部及び前記曲面部と対向し、
前記第1補強フィルムは、前記平面部と対向し、前記曲面部と対向しない、表示装置。
【請求項2】
前記第1基体と前記第2基体との間に位置し、前記シールと重なる遮光層をさらに備え、
前記第1補強フィルムの端部は、前記遮光層と重なっている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1補強フィルムの端部は、前記シールの端部と前記遮光層の端部との間に位置する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記カバー部材と前記第2光学素子との間に位置する第2補強フィルムをさらに備える、請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2補強フィルムは、前記第2基体の全体と重なっている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光層の端部と前記第1補強フィルムとは、前記平面部と重なっている、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1補強フィルムの厚さは、前記第1基体の厚さより大きい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
平面部と曲面部とを有するカバー部材と、
液晶層を有し、前記平面部及び前記曲面部に接着された表示パネルと、
前記表示パネルに関して前記カバー部材と反対側に位置し、前記表示パネルに接着された第1補強フィルムと、
前記表示パネルと前記第1補強フィルムとの間に位置する光学素子と、を備え、
前記光学素子の端部は、前記表示パネルの端部と重なっており、
前記第1補強フィルムの端部は、前記平面部と重なっている、表示装置。
【請求項9】
前記第1補強フィルムは、前記曲面部と重なっていない、請求項8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(personal digital assistant)等に用いられる表示装置では、性能面や、デザイン性等の観点から、狭額縁化が要求されている。狭額縁化の一例として、近年では、可撓性を有する表示パネルを用い、曲面状の端部を有する表示装置が開発されている。
【0003】
表示パネルを曲面状に形成する際、表示パネルにシワが生じる場合がある。このようなシワは、液晶層を有する表示装置において、液晶層の厚さを不均一にし、結果として表示不良を引き起こす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-122471号公報
【文献】特開2004-126197号公報
【文献】特開2015-226204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することができる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、
可撓性を有する第1基体と、可撓性を有し、前記第1基体と対向する第2基体と、前記第1基体と前記第2基体とを接着するシールと、前記第2基体とは反対側において、前記第1基体に設けられた第1補強フィルムと、を備え、平面視において、前記第1補強フィルムの端部は、前記シールの端部よりも内側に位置している表示装置が提供される。
【0007】
一実施形態によれば、
平面部と曲面部とを有するカバー部材と、液晶層を有し、前記平面部及び前記曲面部に接着された表示パネルと、前記表示パネルに関して前記カバー部材と反対側に位置し、前記表示パネルに接着された第1補強フィルムと、を備え、前記第1補強フィルムの端部は、前記液晶層と重なっている、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す表示パネルPNLと補強フィルムRF1の構成例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す表示領域DAの構成例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、表示装置DSPの他の例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、表示装置DSPの他の例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、表示装置DSPの他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す表示装置のX-Z平面に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、表示装置DSPの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す斜視図である。
図1は、第1方向Xと、第1方向Xに垂直な第2方向Yと、第1方向X及び第2方向Yに垂直な第3方向Zによって規定される三次元空間を示している。なお、第1方向Xと第2方向Yとは、90度以外の角度で交差していてもよい。本実施形態において、図示した第3方向Zの矢印が向かう方向を上と定義し、反対側の方向を下と定義する。
【0011】
本実施形態において、表示装置DSPは、一例として、液晶層を有する液晶表示装置である。図示した例では、表示装置DSPは、略矩形状であり、第1方向Xに沿って延伸した端部EX1及びEX2と、第2方向Yに沿って延伸した端部EY1及びEY2とを有している。本実施形態において、表示装置DSPは、端部EY1及びEY2の近傍において湾曲している。なお、表示装置DSPは、端部EX1及びEX2の近傍において湾曲されていてもよく、端部EX1、EX2、EY1、及びEY2のいずれか1つの端部においてのみ湾曲されていてもよく、3つ以上の端部において湾曲されていてもよい。
【0012】
表示装置DSPは、表示パネルPNL、カバー部材CG、照明装置BL、及び補強フィルムRF1を備えている。
【0013】
カバー部材CGは、表示パネルPNLの形状を保つ程度の剛性を有し、透明な材料によって形成されている。カバー部材CGは、一例では、ガラスによって形成されているが、例えば樹脂によって形成されていてもよい。
【0014】
図示した例では、カバー部材CGは、曲面状の曲面部C1a及びC1bと、平面状の平面部F1とを有している。曲面部C1a及びC1bは、一例では、それぞれ端部EY1及びEY2に沿って設けられている。曲面部C1a及びC1bは、第2方向Yに沿った軸を中心として、照明装置BL側へ湾曲している。換言すると、曲面部C1a及びC1bの母線は、第2方向Yと平行である。平面部F1は、一例では、X-Y平面と平行である。平面部F1は、曲面部C1aと曲面部C1bとの間に位置している。図示した例では、平面部F1と曲面部C1a及びC1bとは、端部EX1から端部EX2に亘って位置している。
【0015】
表示パネルPNLは、カバー部材CGと照明装置BLとの間に位置し、カバー部材CGに接着されている。表示パネルPNLは、可撓性を有し、カバー部材CGに沿って配置されている。すなわち、表示パネルPNLは、カバー部材CGと同様の形状を有している。具体的には、表示パネルPNLは、曲面部C1a及びC1bに接着された曲面部C2a及びC2bと、平面部F1に接着された平面部F2とを有している。図示した例では、照明装置BLについても、端部EY1及びEY2の近傍において、カバー部材CG及び表示PNLPNLと同様に湾曲している。
【0016】
表示パネルPNLは、一例では、照明装置BLからの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過型の液晶表示パネルである。なお、表示パネルPNLは、外光あるいは照明装置BLからの光を選択的に反射させることで画像を表示させる反射型であってもよいし、透過型及び反射型の双方の表示機能を備えた半透過型であってもよい。
【0017】
表示パネルPNLは、表示領域DAと、非表示領域NDAを有している。表示領域DAは、画像を表示する領域である。非表示領域NDAは、表示領域DAの外側に位置し、表示領域DAを囲む額縁状の領域である。図示した例では、表示領域DAは、平面部F2に位置するとともに、一部が曲面部C2a及びC2bにも位置している。
【0018】
補強フィルムRF1は、照明装置BLと表示パネルPNLとの間に位置し、表示パネルPNLに接着されている。本実施形態において、補強フィルムRF1は、表示パネルPNLの形状を保つため支持体として機能する。補強フィルムRF1は、少なくとも表示領域DAのすべてと重なっている。図示した例では、補強フィルムRF1は、平面部F2と接するとともに、一部が曲面部C2a及びC2bとも接している。
【0019】
図2は、
図1に示す表示パネルPNLと補強フィルムRF1の構成例を示す平面図である。
図2は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面に平行な面を示している。
【0020】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2とを備えている。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、第3方向Zに対向している。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、図において右上がりの斜線で示すように、シールSEによって接着されている。図示した例では、シールSEは、第2基板SUB2の外周に沿って環状に設けられている。
【0021】
第2基板SUB2は、図において右下がりの斜線で示すように、遮光層BMを備えている。なお、図において斜線が交差する領域は、シールSEと遮光層BMとが重なる領域に相当する。遮光層BMは、シールSEと同様に、第2基板SUB2の外周に沿って環状に設けられている。図示した例では、遮光層BMは、シールSEのすべてと重なり、且つ、シールSEより内側にも延在している。すなわち、遮光層BMの内周IBは、シールSEの内周ISによって囲まれている。本実施形態において、表示領域DAは、遮光層BMによって囲まれた領域に相当し、非表示領域NDAは、遮光層BMが配置された領域に相当する。
【0022】
第1基板SUB1は、第2基板SUB2より第2方向Yに沿って延伸した実装部MTを備えている。図示した例では、実装部MTは、端部EX1に沿って設けられている。実装部MTは、表示パネルPNLを外部装置等と電気的に接続するための複数の端子TEを含んでいる。図示した例では、端子TEは、実装部MTのうち、平面部F2に位置している。
【0023】
表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、複数の画素PXを備えている。ここで、画素PXとは、画素信号に応じて個別に制御することができる最小単位に相当し、画素電極、共通電極、液晶層、及びスイッチング素子などを備えている。図示した例では、画素PXは、第1方向X及び第2方向Yに沿ってマトリクス状に配置されている。
【0024】
補強フィルムRF1は、図において太い破線で示すように、一例では矩形状である。補強フィルムRF1は、表示領域DAの全面及び非表示領域NDAの一部に位置している。図示した例では、補強フィルムRF1は、遮光層BMと重なっているが、シールSEとは重なっていない。換言すると、補強フィルムRF1の外周E1は、内周ISと内周IBとの間に位置している。図示した例では、外周E1は、内周ISよりも内周IBに近接している。
【0025】
なお、図示した例では、表示パネルPNL、表示領域DA、及び補強フィルムRF1は、矩形状であるが、他の形状であってもよい。表示パネルPNL、表示領域DA、及び補強フィルムRF1は、例えばラウンド状の角部を有する略矩形状であってもよい。また、表示パネルPNL、表示領域DA、及び補強フィルムRF1の形状は、それぞれ異なっていてもよい。
【0026】
図3は、
図2に示すA-B線に沿った表示装置DSPの断面図である。表示装置DSPは、表示パネルPNL、カバー部材CG、補強フィルムRF1、及び照明装置BLを備えている。
【0027】
表示パネルPNLは、基体10及び20、液晶層LC、シールSE、遮光層BM、及び光学素子OD1及びOD2を有している。なお、ここでは、説明に必要な構成のみを示し、絶縁層や導電層などを省略している。詳細は後述するが、基体10は、
図2に示す第1基板SUB1を構成し、基体20は、
図2に示す第2基板SUB2を構成している。基体10及び20は、例えばポリイミド等の可撓性を有する有機材料によって形成されている。
【0028】
シールSE、遮光層BM、及び液晶層LCは、基体10と基体20との間に位置している。図示した例では、遮光層BM及びシールSEは、いずれも曲面部C2a及びC2bに位置している。遮光層BMは、シールSEのすべてと重なるとともに、シールSEより内側へ延伸している。ここで、「内側」とは、表示領域DAの中央に近接する側を意味する。液晶層LCは、シールSEによって挟まれた内側の領域に位置している。液晶層LCは、平面部F2に位置するとともに、一部が曲面部C2a及びC2bに位置している。
【0029】
光学素子OD1は、基体10と照明装置BLとの間に位置し、基体10に接着されている。光学素子OD1と基体10との間には、接着層GL1が介在している。光学素子OD2は、基体20とカバー部材CGとの間に位置し、基体20に接着されている。光学素子OD2と基体20との間には、接着層GL2が介在している。
【0030】
光学素子OD1及びOD2は、一例では、偏光板である。なお、光学素子OD1及びOD2は、複数の部材から形成されていてもよい。例えば光学素子OD1は、プリズム構造を有する部材をさらに含み、照明装置BLからの光を表示パネルPNL側へ集光する集光作用を有していてもよい。
【0031】
光学素子OD1及びOD2は、一例では、
図2に示す基体20とほぼ同じ大きさである。図示した例では、光学素子OD1及びOD2は、基体10及び20の全面に設けられている。光学素子OD1の端部EO1a及びEO1bは、基体10の端部E10a及びE10bと重なっている。また、光学素子OD2の端部EO2a及びEO2bは、基体20の端部E20a及びE20bと重なっている。ここで、「重なる」とは、表示面に沿った方向と直交する方向に重なることを意味する。すなわち、「重なる」とは、平面部F2においては、第3方向Zに沿って重なることを意味し、曲面部C2a及びC2bにおいては、図において破線で示すように、曲面の法線方向に沿って重なることを意味する。なお、端部EO1a及びEO1bは、必ずしも端部E10a及びE10bと重なっている必要はなく、端部EO2a及びEO2bは、必ずしも端部E20a及びE20bと重なっている必要はない。
【0032】
カバー部材CGは、表示パネルPNLに関して照明装置BLと反対側に位置している。図示した例では、カバー部材CGは、光学素子OD2と接着されている。光学素子OD2とカバー部材CGとの間には、接着層GL3が介在している。
【0033】
補強フィルムRF1は、照明装置BLと表示パネルPNLとの間に位置している。補強フィルムRF1は、表示パネルPNLに接着されているが、照明装置BLからは離間している。図示した例では、補強フィルムRF1は、平面部F2と曲面部C2a及びC2bとに接着されている。換言すると、補強フィルムRF1は、カバー部材CGの平面部F1と曲面部C1a及びC1bとに重なっている。
【0034】
図示した例では、補強フィルムRF1は、光学素子OD1に接着されている。補強フィルムRF1と光学素子OD1との間には、全体に亘って接着層GL4が介在している。本実施形態において、補強フィルムRF1は、光学素子OD1が設けられた領域の内側に位置している。すなわち、曲面部C2a側において、補強フィルムRF1の端部E1aは、光学素子OD1の端部EO1aより内側に位置している。また、曲面部C2b側において、補強フィルムRF1の端部E1bは、光学素子OD1の端部EO1bより内側に位置している。
【0035】
さらに、補強フィルムRF1は、そのすべてが、液晶層LCが設けられた液晶領域LA内に位置している。つまり、端部E1a及びE1bは、液晶層LCと重なっている。換言すると、曲面部C2a側において、端部E1aは、シールSEの表示領域DA側の端部ISaより内側に位置している。曲面部C2b側において、端部E1bは、シールSEの表示領域DA側の端部ISbより内側に位置している。また、上述したように、端部E1a及びE1bは、遮光層BMと重なっている。曲面部C2a側において、遮光層BMの表示領域DA側の端部IBaは、端部E1aより内側に位置している。曲面部C2b側において、遮光層BMの表示領域DA側の端部IBbは、端部E1bより内側に位置している。
【0036】
ここで、端部E1aは、
図2に示す外周E1のうち、端部EY1に沿った部分に相当する。端部E1bは、
図2に示す外周E1のうち、端部EY2に沿った部分に相当する。端部ISa及びIBaは、
図2に示す内周IS及びIBのうち、端部EY1に沿った部分に相当する。端部ISb及びIBbは、
図2に示す内周IS及びIBのうち、端部EY2に沿った部分に相当する。
【0037】
補強フィルムRF1は、一例では、単一の部材からなる。補強フィルムRF1は、照明装置BLからの光をほとんど吸収せずに透過する透明な材料によって形成されている。本実施形態において、補強フィルムRF1は、透過光の光学的性質にほとんど影響を与えない。具体的には、補強フィルムRF1は、偏光軸を持たず、特定の偏光に対する吸収作用及び反射作用を発揮しない。また、補強フィルムRF1は、透過光に対して位相差を与えない。また、補強フィルムRF1は、プリズム構造等を持たず、集光作用を発揮しない。さらに、補強フィルムRF1は、微粒子等を含まず、光拡散機能を発揮しない。このような補強フィルムRF1は、一例では、ポリエチレンテレフタラート(PET)によって形成されている。
【0038】
本実施形態において、補強フィルムRF1の厚さTR1は、基体10の厚さT10及び基体20の厚さT20より大きい。また、接着層GL4の厚さTG4は、接着層GL1、GL2、及びGL3の厚さTG1、TG2、TG3より大きい。さらに、図示した例では、厚さTG4は、厚さTR1より小さいが、厚さT10及びT20と同等以上である。このような構成にすることで、補強フィルムRF1と基体10との密着性が向上する。ここで、「厚さ」とは、一例では、平面部F1と重なる領域における第3方向Zに沿った長さに相当する。
【0039】
シールSEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との位置を固定する機能を有している。また、補強フィルムRF1は、第1基板SUB1の形状変化を抑制する機能を有している。したがって、シールSEと補強フィルムRF1との間の領域AAは、表示パネルPNLをカバー部材CGに接着した際に、表示パネルPNLに生じる応力の影響を受けやすい。図示した例では、領域AAは、端部E1aと端部ISaとの間の領域、及び端部E1bと端部ISbとの間の領域に相当する。
【0040】
図4は、
図2に示す表示領域DAの構成例を示す断面図である。
図4は、表示装置DSPを第3方向Zに沿って切断した断面図を示す。図示した表示パネルPNLは、主として基板主面にほぼ平行な横電界を利用する表示モードに対応した構成を有している。ここで基板主面とは、X-Y平面と平行な面である。
【0041】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、及び液晶層LCを備えている。
【0042】
第1基板SUB1は、基体10、信号線S、共通電極CE、金属層ML、画素電極PE、第1絶縁層11、第2絶縁層12、第3絶縁層13、第1配向膜AL1などを備えている。基体10は、第2基板SUB2と対向する第1面10Aと、第1面10Aと反対側の第2面10Bとを有している。なお、ここでは、スイッチング素子や走査線、これらの間に介在する各種絶縁層等の図示を省略している。
【0043】
第1絶縁層11は、第1面10Aに形成されている。図示しない走査線やスイッチング素子の半導体層は、基体10と第1絶縁層11の間に位置している。信号線Sは、第1絶縁層11の上に位置している。第2絶縁層12は、信号線S、及び、第1絶縁層11の上に位置している。共通電極CEは、第2絶縁層12の上に位置している。金属層MLは、信号線Sの直上において共通電極CEに接触している。図示した例では、金属層MLは、共通電極CEの上に位置しているが、共通電極CEと第2絶縁層12との間に位置していてもよい。第3絶縁層13は、共通電極CE、及び、金属層MLの上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁層13の上に位置している。画素電極PEは、第3絶縁層13を介して共通電極CEと対向している。また、画素電極PEは、共通電極CEと対向する位置にスリットSTを有している。第1配向膜AL1は、画素電極PE及び第3絶縁層13を覆っている。
【0044】
走査線、信号線S、及び、金属層MLは、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウムなどの金属材料によって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。共通電極CE及び画素電極PEは、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。第1絶縁層11及び第3絶縁層13は無機絶縁層であり、第2絶縁層12は有機絶縁層である。
【0045】
なお、第1基板SUB1の構成は、図示した例に限らず、画素電極PEが第2絶縁層12と第3絶縁層13との間に位置し、共通電極CEが第3絶縁層13と第1配向膜AL1との間に位置していてもよい。このような場合、画素電極PEはスリットを有していない平板状に形成され、共通電極CEは画素電極PEと対向するスリットを有する。また、画素電極PE及び共通電極CEの双方が櫛歯状に形成され、互いに噛み合うように配置されていてもよい。
【0046】
第2基板SUB2は、基体20、遮光層BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。基体20は、第1基板SUB1と対向する第1面20Aと、第1面20Aと反対側の第2面20Bとを有している。
【0047】
遮光層BM及びカラーフィルタCFは、基体20の第1面20A側に位置している。遮光層BMは、各画素PXを区画する。図示した例では、遮光層BMは、信号線Sの直上に位置している。カラーフィルタCFは、画素電極PEと対向し、その一部が遮光層BMに重なっている。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタなどを含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。
【0048】
なお、カラーフィルタCFは、第1基板SUB1に配置されてもよい。カラーフィルタCFは、白色等を含む4色以上のカラーフィルタを含んでいてもよい。白色を表示する画素を設ける場合には、白色のカラーフィルタが配置されてもよいし、無着色の樹脂材料が配置されてもよいし、カラーフィルタを配置せずにオーバーコート層OCを配置してもよい。
【0049】
また、遮光層BMは、カラーフィルタCFよりも第1基板SUB1側に配置されてもよい。例えば、遮光層BMは、カラーフィルタCFとオーバーコート層OCとの間に位置してもよいし、オーバーコート層OCと第2配向膜AL2との間に位置してもよい。さらには、遮光層BMは、複数の層に配置されていてもよい。
【0050】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持されている。図示した例では、液晶層LCは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2と接している。光学素子OD1及びOD2の構成は、
図3に示す例と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
なお、表示パネルPNLは、基板主面に対して垂直な縦電界や、基板主面に対して斜め方向の電界、或いは、それらを組み合わせて利用する表示モードに対応した構成を有していてもよい。縦電界や斜め電界を利用する表示モードでは、例えば、第1基板SUB1に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか一方が備えられ、第2基板SUB2に画素電極PE及び共通電極CEのいずれか他方が備えられた構成が適用可能である。
【0052】
照明装置BLは、導光板30、反射層RL、及び光学素子OD3及び光学素子OD4を備えている。導光板30は、表示パネルPNLと対向する第1面30Aと、第1面30Aと反対側の第2面30Bとを有している。反射層RLは、第2面30Bに設けられている。光学素子OD3及びOD4は、第1面30Aに設けられている。光学素子OD3は、導光板30と光学素子OD4との間に位置している。光学素子OD3は、一例では、微粒子等を含み、導光板30からの光を拡散する光拡散機能を有している。光学素子OD4は、例えばプリズム構造を有し、導光板30からの光を表示パネルPNLへ向かって集光する集光機能を有している。図示した例では、表示領域DAにおいて、導光板30と光学素子OD3との間、及び光学素子OD3と光学素子OD4との間には、いずれも接着層は介在していない。
【0053】
なお、照明装置BLの構成は、図示した例に限定されない。照明装置BLは、1つの光学素子を有していてもよく、3つ以上の光学素子を有していてもよい。
【0054】
本実施形態によれば、曲面部C1a及びC1bを有するカバー部材CGと、カバー部材CGに接着され曲面部C2a及びC2bを有する表示パネルPNLとを備える表示装置DSPおいて、少なくとも表示領域DAの全面に補強フィルムRF1が設けられている。補強フィルムRF1は、十分に厚く、表示パネルPNLの基体10側に接着されている。これにより、表示パネルPNLがカバー部材CGに沿って湾曲され、応力が生じる場合であっても、表示パネルPNLが意図しない形状に変形すること抑制することができる。例えば、補強フィルムRF1が設けられた領域においては、基体10と基体20との曲率の違いに起因した基体10におけるシワの発生を抑制することができる。したがって、表示領域DAにおいて、液晶層LCの厚さが不均一になることを抑制し、表示品位の低下を抑制することができる。
【0055】
さらに、補強フィルムRF1は、遮光層BM及び液晶層LCと重なっているが、シールSEとは重なっていない。このような構成にすることで、表示パネルPNLの湾曲に起因して基体10にシワが生じる場合であっても、シワの位置を領域AA内に位置するように制御することができる。この結果、基体10にシワが生じた場合であっても表示への影響を防ぐことができる。
【0056】
図5は、表示装置DSPの他の例を示す平面図である。
図5に示す例は、補強フィルムRF1の一部がシールSEと重なっている点で、
図2に示す例と相違している。
【0057】
シールSEは、第2基板SUB2の4つの角部CN1において、第2基板SUB2の外周よりも表示領域DA側に位置している。図示した例では、シールSEは、各角部CN1において、ラウンド状に形成されている。補強フィルムRF1の外周E1は、各角部CN1において、部分的にシールSEと重なっている。すなわち、補強フィルムRF1の4つの角部CN2は、シールSEと重なっている。
【0058】
本例においても、
図2に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0059】
図6は、表示装置DSPの他の例を示す平面図である。
図6に示す例は、補強フィルムRF1の第1方向Xに沿って延伸した端部E1c及びE1dがシールSEと重なっている点で、
図2に示す例と相違している。図示した例では、第2方向Yにおいて、補強フィルムRF1の長さと第2基板SUB2の長さとは、ほぼ等しい。曲面部C2a及びC2bが第2方向Yに沿った軸を中心として湾曲される場合には、本例においても、
図2に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0060】
図7は、表示装置DSPの他の例を示す斜視図である。
図7に示す例は、表示領域DAが平面部F2にのみ位置している点で、
図1に示す例と相違している。これに伴い、補強フィルムRF1も、平面部F2のみと重なっている。
【0061】
図8は、
図7に示す表示装置DSPのX-Z平面と平行な断面図である。
【0062】
シールSEは、曲面部C2a及びC2bに位置している。遮光層BMは、曲面部C2a及びC2bに位置するとともに、平面部F2まで延伸している。これにより、表示領域DAは、平面部F2に形成される。補強フィルムRF1は、平面部F2のみと接着されている。換言すると、補強フィルムRF1は、カバー部材CGの平面部F1のみと重なっている。端部E1a及びE1bは、いずれも平面部F2及びF1に重なるとともに、遮光層BMとも重なっている。
【0063】
本例においても、
図3に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0064】
図9は、表示装置DSPの他の例を示す断面図である。
図9に示す例は、表示装置DSPが補強フィルムRF2をさらに備えている点で、
図3に示す例と相違している。
【0065】
補強フィルムRF2は、カバー部材CGと表示パネルPNLとの間に位置し、これらと接着されている。図示した例では、補強フィルムRF2は、光学素子OD2に接着されている。補強フィルムRF2と光学素子OD2との間には、接着層GL5が介在している。また、補強フィルムRF2とカバー部材CGとの間には、接着層GL3が介在している。
【0066】
補強フィルムRF2は、補強フィルムRF1と同一の構成である。補強フィルムRF2の厚さTR2は、一例では、厚さTR1とほぼ等しい。なお、厚さTR2は、厚さTR1と異なっていてもよい。接着層GL5の厚さTG5は、一例では、厚さTG4と同程度であり、厚さTG1、TG2、及びTG3より大きい。なお、厚さTG4は、厚さTG4と異なっていてもよい。
【0067】
図示した例では、補強フィルムRF2は、基体20の全体と重なっている。すなわち、一例では、補強フィルムRF2の形状及び大きさは、
図2に示す第2基板SUB2の形状及び大きさとほぼ等しい。上述したように、補強フィルムRF1がシールSEと重なっていない一方で、補強フィルムRF2は、シールSEと重なっている。端部EY1側において、補強フィルムRF2の端部E2aは、基体20の端部E20aと重なっている。また、端部EY2側において、補強フィルムRF2の端部E2bは、基体20の端部E20bと重なっている。
【0068】
本構成例においても、
図3に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0069】
本実施形態において、基体10は、第1基体に相当し、基体20は、第2基体に相当し、光学素子OD1は、第1光学素子に相当し、光学素子OD2は、第2光学素子に相当すし、補強フィルムRF1は、第1補強フィルムに相当し、補強フィルムRF2は、第2補強フィルムに相当する。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10,20…基体、PNL…表示パネル、CG…カバー部材、BL…照明装置、LC…液晶層、SE…シール、BM…遮光層、F1,F2…平面部、C1a,C1b,C2a,C2b…曲面部、E1a,E1b,ISa,ISb,IBa,IBb,E20a,E20b…端部。