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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】パイロット油制御回路
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/08 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
F15B11/08 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017168762
(22)【出願日】2017-09-01
(65)【公開番号】P2019044868
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
(72)【発明者】
【氏名】西田 裕平
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-186005(JP,A)
【文献】特開2009-150413(JP,A)
【文献】特開2011-137547(JP,A)
【文献】特開2016-148446(JP,A)
【文献】特開2013-194835(JP,A)
【文献】特開2012-102801(JP,A)
【文献】特開2003-262203(JP,A)
【文献】特開2003-065451(JP,A)
【文献】特開平09-144934(JP,A)
【文献】実開昭61-057278(JP,U)
【文献】特開2019-015334(JP,A)
【文献】特開平09-287175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁を備えたパイロット油の供給通路と、
前記逆止弁より下流側の前記供給通路上に設けられた電磁弁と、
前記逆止弁より下流側の位置で前記供給通路から分岐して接続されるリモコン弁側通路と、
前記電磁弁に接続されたタンク通路と、を備え、
前記電磁弁は、非励磁状態において、前記供給通路を前記タンク通路に接続し、かつ、前記リモコン弁側通路を前記タンク通路に接続し、前記供給通路及び前記リモコン弁側通路の前記パイロット油を前記タンク通路に送る、パイロット油制御回路。
【請求項2】
前記電磁弁は、励磁状態において、予め設定した圧力に達したところで前記供給通路を前記タンク通路に接続する、請求項1に記載のパイロット油制御回路。
【請求項3】
前記リモコン弁側通路にリモコン弁が接続されている、請求項1又は2に記載のパイロット油制御回路。
【請求項4】
励磁状態において、前記リモコン弁側通路を介して前記リモコン弁にパイロット油が供給される、請求項3に記載のパイロット油制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロット油制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばミニショベル等の建設機械の油圧回路において、パイロットポンプによって生じたパイロット圧の圧油をリモコン弁に供給し、このリモコン弁が供給するパイロット圧をコントロールバルブに対して供給することが行われている(例えば特許文献1参照)。このパイロットポンプの吐出油路には、パイロットリリーフ弁が接続され、パイロットリリーフ弁は、パイロットポンプから吐出される圧油の圧力を一定に保つ。
【0003】
このようなパイロット圧油回路においては、安全性を高めるため、リモコン弁への圧油の供給を遮断してコントロールバルブの操作を無効にする油圧ロック弁が設けられている。油圧ロック弁は、パイロットポンプの吐出ラインに配置され、レバーの操作に基づいて、リモコン弁への圧油の供給を遮断したり、リモコン弁への圧油の供給を行ったりすることが可能な電磁弁である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-101068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のパイロット圧油回路においては、圧油回路にパイロットリリーフ弁が接続されているため、パイロット圧油回路のパイロットポンプから吐出される圧油を一定の圧力に保つため、エネルギーを損失するという課題がある。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであって、コンパクトな構成とし、エネルギーの損失を抑えることが可能な、パイロット油制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パイロット油の供給通路と、前記供給通路上に設けられた電磁弁と、前記電磁弁に接続されたタンク通路と、を備え、前記電磁弁は、非励磁状態において、前記供給通路を前記タンク通路に接続する、パイロット油制御回路である。
【0008】
本発明は、前記電磁弁は、励磁状態において、予め設定した圧力に達したところで前記供給通路を前記タンク通路に接続する、パイロット油制御回路である。
【0009】
本発明は、前記供給通路の途中にリモコン弁側通路が分岐して接続され、前記リモコン弁側通路にリモコン弁が接続されている、パイロット油制御回路である。
【0010】
本発明は、励磁状態において、前記リモコン弁側通路を介して前記リモコン弁にパイロット油が供給される、パイロット油制御回路である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パイロット油の供給通路上に電磁弁を設けたので、パイロット油制御回路をコンパクトな構成とし、エネルギーの損失を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るパイロット油制御回路を示す概略油圧回路図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係るパイロット油制御回路の電磁リリーフ弁を示す断面図である。
図3図3(a)は、電磁リリーフ弁が非励磁状態にある場合におけるパイロット油制御回路を示す概略油圧回路図であり、図3(b)は、電磁リリーフ弁が励磁状態にある場合におけるパイロット油制御回路を示す概略油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図3を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態によるパイロット油制御回路を示す概略油圧回路図である。
【0014】
なお、以下に説明するパイロット油制御回路は、油圧ショベルを駆動する油圧回路に用いられるものである。しかしながら、本実施の形態によるパイロット油制御回路10は油圧ショベルで用いられるものに限定されない。例えば、油圧ショベル以外の建設機械や、建設機械以外の油圧駆動機器においても、本実施の形態によるパイロット油制御回路を用いることが可能である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態によるパイロット油制御回路10は、パイロットポンプ14からリモコン弁15にパイロット圧のパイロット油を供給し、あるいは、パイロットポンプ14からのパイロット油をドレンタンクT側に排出する油圧回路である。
【0016】
このパイロット油制御回路10は、パイロット油の供給通路11と、供給通路11上に設けられた電磁リリーフ弁(電磁弁)30と、電磁リリーフ弁30に接続されたタンク通路12と、を備えている。このうち電磁リリーフ弁30は、非励磁状態と励磁状態とをとることができる。電磁リリーフ弁30が非励磁状態にある場合、供給通路11をタンク通路12に接続する。一方、電磁リリーフ弁30が励磁状態にある場合、供給通路11内のパイロット油が予め設定した圧力(パイロット圧)に達したところで、供給通路11をタンク通路12に接続し、供給通路11内の圧力を予め設定した圧力に維持する。
【0017】
供給通路11は、パイロットポンプ14からのパイロット油を供給する通路である。この供給通路11は、パイロットポンプ14から電磁リリーフ弁30まで延びている。供給通路11の途中には、リモコン弁側通路13が分岐して接続されている。このリモコン弁側通路13には、リモコン弁15が接続されている。供給通路11は、パイロットポンプ14からのパイロット油を電磁リリーフ弁30又はリモコン弁側通路13に供給するものである。またリモコン弁側通路13は、供給通路11からのパイロット油をリモコン弁15に供給するものである。このリモコン弁側通路13は、供給通路11との分岐部11aからリモコン弁15まで延びている。
【0018】
パイロットポンプ14は、例えば油圧ショベルのエンジン16に接続されており、このエンジン16によって駆動される。パイロットポンプ14は、例えば定容量型のギヤポンプによって構成されており、パイロット油を供給するために使用される。
【0019】
供給通路11には、パイロットフィルタ17と、逆止弁18と、アキュムレータ19とがそれぞれ配置されている。このうちパイロットフィルタ17は、パイロットポンプ14からのパイロット油中に存在する不純物を除去するためのものである。また、逆止弁18は、パイロット油が電磁リリーフ弁30側からパイロットポンプ14側に逆流することを防止する弁である。また、アキュムレータ19は、供給通路11内を流れるパイロット油の脈動を軽減するためのものである。
【0020】
リモコン弁15には、リモコン弁側通路13を介してパイロット油が供給され、あるいは、リモコン弁側通路13からパイロット油が供給されない。すなわち、電磁リリーフ弁30が励磁状態にある場合、リモコン弁側通路13から予め設定した圧力(パイロット圧)のパイロット油がリモコン弁15に供給される。一方、電磁リリーフ弁30が非励磁状態にある場合、リモコン弁15にはリモコン弁側通路13からのパイロット油は供給されない。
【0021】
リモコン弁15は、リモコン弁側通路13に接続されるとともに、コントロールバルブ21を操作するパイロット圧のパイロット油を生成するものである。リモコン弁15には、操作レバー22が接続されており、リモコン弁15は操作レバー22によって操作される。すなわち、操作レバー22が第1の方向に操作された際、リモコン弁15は第1のパイロット用バルブ通路23からパイロット油をコントロールバルブ21に送り込み、操作レバー22が第1の方向と異なる第2の方向に操作された際、リモコン弁15は第2のパイロット用バルブ通路24からのパイロット油をコントロールバルブ21に送り込む。
【0022】
電磁リリーフ弁30は、電気的に駆動する弁であり、上述したように、非励磁状態において供給通路11をタンク通路12に接続する。このとき、パイロットポンプ14からのパイロット油は、供給通路11から電磁リリーフ弁30を介してタンク通路12に送られ、タンク通路12に接続されたドレンタンクTに排出される。このとき、供給通路11内のパイロット油の圧力は十分に低く、パイロット油は、リモコン弁側通路13に送られない。
【0023】
一方、電磁リリーフ弁30が励磁状態にある場合、供給通路11内のパイロット油の圧力が上昇し、予め設定した圧力(パイロット圧、例えば35bar)に達したところで、電磁リリーフ弁30は、供給通路11をタンク通路12に接続する。また、供給通路11からは上記圧力のパイロット油が、リモコン弁15に供給される。上記圧力に達したとき、供給通路11がタンク通路12に接続されるので、リモコン弁15に供給されるパイロット油が上記圧力を上回るおそれがない。すなわち、電磁リリーフ弁30は、リモコン弁15に供給されるパイロット油の圧力を一定に保持し、必要以上に圧力が上昇することを防ぐ、リリーフ弁としての役割を果たす。なお、例えば図示しないセーフティーレバーを操作することにより、電磁リリーフ弁30の非励磁状態と励磁状態とを切り換えるようになっていても良い。
【0024】
図1において、電磁リリーフ弁30は、リモコン弁側通路13と供給通路11との分岐部11aよりも下流側に位置しているが、これに限られるものではない。電磁リリーフ弁30は、供給通路11のうち、(i)パイロットフィルタ17と逆止弁18との間の位置、(ii)逆止弁18とアキュムレータ19との間の位置のいずれかに設けられていても良い。
【0025】
次に、図2を参照して、電磁リリーフ弁30の構成について説明する。図2は、電磁リリーフ弁30の構成を示す断面図である。なお、図2では、同一の電磁リリーフ弁30を異なる状態にて示している。
【0026】
図2に示すように、電磁リリーフ弁30は、供給通路11のパイロット油の圧力を一定に保持する励磁状態と、供給通路11をタンク通路12に接続する非励磁状態をとることができる。このうち、図2の左半分が、非励磁状態にある電磁リリーフ弁30を示し、図2半分が、励磁状態にある電磁リリーフ弁30を示している。
【0027】
図2に示すように、電磁リリーフ弁30は、主たる構成要素として、駆動装置31及び弁32を有している。駆動装置31は、弁32を駆動して弁32を移動する。駆動装置31は、駆動ロッド33を有している。また駆動ロッド33は、その中心軸線に沿って進退可能に保持されている。なお、駆動ロッド33の軸線に沿って、駆動装置31及び弁32は並べられている。後述する弁32のスプール34の中心軸線は、駆動ロッド33の中心軸線と同一線上に位置している。
【0028】
駆動装置31は、ソレノイドアクチュエータとして構成されており、ソレノイドコイル35を含んでいる。この駆動装置31においては、ソレノイドコイル35に励磁電流を流すと、駆動ロッド33が、弁32のバネ(付勢部材)36の付勢力に抗して軸方向(駆動ロッド33の中心軸線の方向)に移動する。駆動ロッド33は、ソレノイドコイル35が励磁された励磁状態と、ソレノイドコイル35が励磁されていない非励磁状態との2つの位置をとることができる。
【0029】
次に、弁32について説明する。弁32は、スプール収容孔37が形成された弁本体38と、スプール収容孔37に保持されたスプール34と、を有している。軸部材状のスプール34は、その軸線と平行な軸方向にスプール収容孔37内で移動可能となっている。また、弁32は、弁本体38内に配置されたバネ36を有している。このバネ36は、スプール34を駆動ロッド33に向けて付勢している。この結果、駆動ロッド33の先端部は、スプール34に当接する。バネ36は、図示された例において圧縮ばねによって構成されている。このバネ36は、駆動ロッド33とスプール34との接触状態を維持するためのものであり、バネ36からの付勢力は、駆動ロッド33からスプール34への推力と比較して格段に小さく設定されていてもよい。弁本体38は、止め輪47によって固定部材39に収容及び固定されている。また、弁本体38の外周には、Oリング48が装着されている。
【0030】
励磁状態において駆動ロッド33が進出すると、スプール34は、駆動ロッド33に押圧されて、弁本体38に対して移動する。また、非励磁状態において駆動ロッド33が後退すると、スプール34は、バネ36に押圧されて、駆動ロッド33との接触状態を維持するよう弁本体38に対して移動する。
【0031】
弁本体38には、パイロット圧ポート41、第1ドレンポート42及び第2ドレンポート49が形成されている。一方、スプール34には、主流路44及び分岐流路45が形成されている。また、スプール34の駆動ロッド33側には、スプール34の他の部分よりも径が小さい小径部51が形成されている。
【0032】
スプール34が、図2の左半分に示された排出位置に位置する場合、パイロット圧ポート41が、主流路44及び分岐流路45を介して第1ドレンポート42に連通する。スプール34が、図2の右半分に示された供給位置に位置する場合、パイロット圧ポート41は第1ドレンポート42から遮断されるが、供給通路11内のパイロット油の圧力が上昇すると、パイロット圧ポート41が主流路44及び分岐流路45を介して第1ドレンポート42に連通し、供給通路11内のパイロット油の圧力を降下させる。第2ドレンポート49は、スプール34が排出位置及び供給位置のいずれにある場合にも、タンク通路12と、小径部51の外周に形成される空間とを互いに連通する。
【0033】
なお、パイロット圧ポート41は、スプール収容孔37に連通し、且つ、供給通路11に接続される。また、パイロット圧ポート41は、パイロット油を供給するリモコン弁15にも接続している。第1ドレンポート42は、スプール収容孔37に開口し、且つ、タンク通路12を介してドレンタンクTに連通する。したがって、非励磁状態、すなわちスプール34が排出位置に位置する電磁リリーフ弁30では、パイロットポンプ14からドレンタンクTへと油が排出される。励磁状態、すなわちスプール34が供給位置に位置する電磁リリーフ弁30では、供給通路11内のパイロット油の圧力が予め設定した圧力となり、このパイロット油がパイロットポンプ14からリモコン弁15へ供給される。
【0034】
次に、スプール34について説明する。スプール34は、バネ36によって押圧され、駆動ロッド33に向けて付勢されている。またスプール34は、駆動ロッド33の先端部に接触している。スプール34には、その軸線上を延びる主流路44が形成されている。この主流路44は、パイロット圧ポート41に向けて開口している。また、スプール34には、主流路44に接続する分岐流路45が形成されている。
【0035】
次に、以上の構成からなる電磁リリーフ弁30の動作について説明する。
【0036】
まず、ソレノイドコイル35が励磁されていない場合(非励磁状態の場合)、弁32のバネ36の付勢力によって、駆動ロッド33は後退する。バネ36からの付勢力によって駆動ロッド33に当接したスプール34は、図2の左半分に示された非励磁状態に位置する。このとき、スプール34の主流路44及び分岐流路45を介して、パイロット圧ポート41は第1ドレンポート42に連通する。したがって、供給通路11からのパイロット油は、パイロット圧ポート41、分岐流路45、第1ドレンポート42及びタンク通路12を順次介してドレンタンクTに回収される。
【0037】
この状態から、ソレノイドコイル35が励磁され、励磁状態となると、駆動ロッド33は、バネ36からの付勢力に抗して進み出て、スプール34を駆動する。このとき、パイロット圧ポート41は第1ドレンポート42から遮断される。したがって、パイロット圧ポート41に接続されたパイロットポンプ14からのパイロット油によって供給通路11内の圧力が上昇するとともに、パイロット圧ポート41に接続されたリモコン弁15へパイロット油が供給される。
【0038】
一方、リモコン弁15へ供給されるパイロット油の圧力(制御圧)が、駆動ロッド33からスプール34への推力とは逆向きにスプール34に直接作用する。したがって、ソレノイドコイル35が励磁されて、駆動ロッド33がソレノイドコイル35によって生成される磁界の大きさに対応した位置まで進み出たとしても、スプール34へ加えられるパイロット油の圧力によって、スプール34は駆動装置31の側へ向けて移動する。そしてスプール34へ加えられるパイロット油の圧力が、予め設定した圧力(パイロット圧)に達したとき、スプール34の分岐流路45が第1ドレンポート42に連通する。このとき、供給通路11はタンク通路12に接続され、供給通路11からのパイロット油は、第1ドレンポート42およびタンク通路12を順次介してドレンタンクTに回収される。したがって、供給通路11内のパイロット油の圧力が低下する。供給通路11内のパイロット油の圧力が低下した場合、駆動ロッド33は、再びバネ36からの付勢力に抗して進み出て、スプール34を駆動する。この場合、パイロット圧ポート41は第1ドレンポート42から遮断される。したがって、パイロット圧ポート41に接続されたパイロットポンプ14からのパイロット油によって供給通路11内の圧力が上昇する。最終的に、駆動装置31による駆動ロッド33を用いた駆動力と、パイロット油の圧力が駆動ロッド33を押圧する力と、バネ36の付勢力とのバランスにより、スプール34が軸方向に沿って往復移動し、パイロット圧ポート41からリモコン弁15に出力されるパイロット油の圧力が予め設定した圧力(パイロット圧)に維持される。
【0039】
次に、図3(a)(b)を参照して、上記構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、電磁リリーフ弁30が非励磁状態にある。このとき、パイロットポンプ14からのパイロット油は、供給通路11から電磁リリーフ弁30に送られる。この非励磁状態において、電磁リリーフ弁30は、図2の左半分の位置にあり、スプール34の主流路44及び分岐流路45を介して、パイロット圧ポート41が第1ドレンポート42に連通し、供給通路11はタンク通路12に接続される。このため、供給通路11からのパイロット油は、電磁リリーフ弁30を介してタンク通路12に送られ、ドレンタンクTに排出される。また、リモコン弁15からのパイロット油も、リモコン弁側通路13から電磁リリーフ弁30を介してタンク通路12に逃がされる。このとき、供給通路11内のパイロット油の圧力は十分に低いため、パイロットポンプ14からのパイロット油は、リモコン弁側通路13に送られることはない。したがって、仮に操作レバー22を操作しても、リモコン弁15が作動することはなく、パイロット油がコントロールバルブ21に送られることもない。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、電磁リリーフ弁30を励磁状態とする。このとき、電磁リリーフ弁30とタンク通路12とが遮断されるので、供給通路11内のパイロット油の圧力が上昇する。この励磁状態において、電磁リリーフ弁30は、図2の右半分の位置となる。そして供給通路11内のパイロット油の圧力が予め設定した圧力(パイロット圧、例えば35bar)まで上昇した場合、スプール34の分岐流路45が第1ドレンポート42に連通し、供給通路11がタンク通路12に接続される。この場合、供給通路11内のパイロット油がタンク通路12に逃がされるので、供給通路11内のパイロット油の圧力が上記圧力を上回るおそれがない。一方、供給通路11内のパイロット油の圧力が低下すると、再び駆動ロッド33が進み出てスプール34を駆動し、電磁リリーフ弁30とタンク通路12とが遮断される。このような動作を繰り返すことにより、供給通路11内のパイロット油の圧力が上記予め設定した圧力となり、この圧力のパイロット油が、リモコン弁15に安定的に供給される。この場合、操作レバー22を操作することにより、リモコン弁15が作動し、パイロット油コントロールバルブ21に送ることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電磁リリーフ弁30は、非励磁状態において、供給通路11をタンク通路12に接続し、励磁状態において、予め設定した圧力に達したところで供給通路11をタンク通路12に接続する。この場合、電磁リリーフ弁30が、非励磁状態において、リモコン弁15へのパイロット油の供給を遮断し、励磁状態において、パイロット油の圧力を一定に保つとともにこのパイロット油をリモコン弁15へ供給する。このため、パイロットポンプから吐出されるパイロット油の圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁と、リモコン弁へのパイロット油の供給を遮断する油圧ロック弁とを別体に設ける必要がない。これにより、パイロット油制御回路10を構成する部品点数を減らし、パイロット油制御回路10をコンパクトに構成することができる。また、パイロットリリーフ弁によってパイロットポンプから吐出されるパイロット油を常時一定の圧力に保持する必要がないので、エネルギーの損失を抑えることができる。この結果、パイロット油制御回路10を用いた油圧駆動機器(例えば油圧ショベル)の製造コストを低減することができる。
【0043】
また本実施の形態によれば、電磁リリーフ弁30を用いることにより、非励磁状態において、パイロットポンプ14を十分に低い圧力で駆動することが可能である。これにより、油圧駆動機器(例えば油圧ショベル)の燃費を向上させることができる。他方、比較例として、例えばパイロットリリーフ弁と油圧ロック弁とが別体に設けられている場合、パイロットポンプは、パイロットリリーフ弁のリリーフ圧で常時作動するため、油圧駆動機器の燃費が低下するおそれがある。
【0044】
また本実施の形態によれば、電磁リリーフ弁30をオンオフの2段階で制御することにより、電磁リリーフ弁30の励磁状態と非励磁状態とを切り換えることができる。これにより、電磁リリーフ弁30の構成を簡単にし、パイロット油制御回路10をコンパクトに構成することができる。
【0045】
また本実施の形態によれば、供給通路11の途中に、リモコン弁側通路13が分岐して接続され、リモコン弁側通路13にリモコン弁15が接続されている。これにより、電磁リリーフ弁30が励磁状態にあるとき、予め設定した圧力のパイロット油を供給通路11からリモコン弁側通路13を介してリモコン弁15に対して供給することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 パイロット油制御回路
11 供給通路
12 タンク通路
13 リモコン弁側通路
14 パイロットポンプ
15 リモコン弁
16 エンジン
30 電磁リリーフ弁(電磁弁)
図1
図2
図3