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特許7083608固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20220606BHJP
   H04N 5/343 20110101ALI20220606BHJP
【FI】
H04N5/3745 200
H04N5/343
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2017175028
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2018061242
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2016192237
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大高 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-504489(JP,A)
【文献】特開2009-268083(JP,A)
【文献】特開2016-066843(JP,A)
【文献】特開2015-095676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/3745
H04N 5/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、
前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、
少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、
出力ノードと、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、
第1の動作が行われる第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、
前記第1の動作とは異なる第2の動作が行われる第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、
前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含み、
前記画素部は、少なくとも、
複数の前記第1の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第1の画素アレイと、
複数の前記第2の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第2の画素アレイと、
複数の前記第1の画素の前記信号保持部が行列状に配置された保持部アレイと、を含み、
前記第2の画素の前記光電変換読み出し部は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、
前記第1の期間に前記ソースフォロワ素子による電圧信号の出力ラインを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含む
固体撮像装置。
【請求項2】
前記第2の画素アレイは、
少なくとも前記第1の画素アレイの前記第1の信号線の配線方向の両側のうち少なくとも一方側に配置されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第2の画素アレイは、
前記第1の画素アレイの前記第1の信号線の配線方向に直交する方向の両側のうち少なくとも一方側に配置されている
請求項1または2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記読み出し部は、
前記第1の動作時には、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記第2の画素の前記第2の画素アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行う
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記読み出し部は、
前記第2の動作時には、前記第1の画素および前記第2の画素の前記光電変換読み出し部における前記選択素子を非選択状態とした状態で、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記保持部アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行う
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し部は、
前記第1の動作時には、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記第2の画素の前記第2の画素アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行い、
前記第2の動作時には、前記第1の画素および前記第2の画素の前記光電変換読み出し部における前記選択素子を非選択状態とした状態で、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記保持部アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行う
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記読み出し部は、
前記第2の動作時には、前記第1の画素アレイにおいて形成可能な任意のアスペクト比の画像を出力可能であり、
前記第1の動作時には、前記第1の画素アレイと前記第2の画素アレイにより形成される合成画素アレイにおいて形成可能な任意のアスペクト比の画像を出力可能である
請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
第1の基板と、
第2の基板と、を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板は接続部を通して接続された積層構造を有し、
前記第1の基板には、
少なくとも、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部、および前記第1の信号線が形成され、
前記第2の基板には、
少なくとも、前記第1の画素の前記信号保持部、前記第2の信号線、および前記読み出し部の少なくとも一部が形成されている
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
第1の基板と、
第2の基板と、を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板は接続部を通して接続された積層構造を有し、
前記第1の基板には、
少なくとも、前記第1の画素アレイ、前記第2の画素アレイ、前記第1の信号線、および前記読み出し部の一部が形成され、
前記第2の基板には、
少なくとも、前記第1の画素の前記信号保持部、前記第2の信号線、および前記読み出し部の少なくとも一部が形成されている
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部から読み出される前記画素信号は、少なくとも、読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、
前記信号保持部は、
第1の保持ノードと、
第2の保持ノードと、
前記第1の保持ノードに接続され、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な第1の前記信号保持キャパシタと、
前記第2の保持ノードに接続され、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な第2の前記信号保持キャパシタと、
前記第2の期間に前記第1の信号保持キャパシタが接続された前記第1の保持ノードを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続する第1の前記スイッチ素子と、
前記第2の期間に前記第1の保持ノードと前記第2の保持ノードを選択的に接続する第2のスイッチ素子と、
前記第2の期間に、前記第1の保持ノードおよび前記第2の保持ノードのうち少なくとも前記第2の保持ノードに接続された前記第2の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含む
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記読み出し部は、
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部から前記画素信号として、前記読み出しリセット信号を読み出し、続いて前記読み出し信号を読み出し、
前記画素信号として前記読み出しリセット信号を読み出すときは、前記信号保持部の前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子を所定期間導通させて当該読み出しリセット信号を前記第2の信号保持キャパシタに保持させ、前記第2のスイッチ素子を非導通状態とし、
前記画素信号として前記読み出し信号を読み出すときは、前記信号保持部の前記第2のスイッチ素子を非導通状態に保持して、前記第1のスイッチ素子を導通させて当該読み出し信号を前記第1の信号保持キャパシタに保持させ、前記第1のスイッチ素子を非導通状態とし、
前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子が非導通状態に保持された状態で、前記第2の信号保持キャパシタに保持された読み出しリセット信号に対応する変換信号を前記第2の信号線に出力し、
前記第1のスイッチ素子が非導通状態に保持され前記第2のスイッチ素子が導通状態に保持された状態で、前記第2の信号保持キャパシタに保持された読み出しリセット信号および前記第1の信号保持キャパシタに保持された読み出し信号の合成信号に対応する変換信号を前記第2の信号線に出力する
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
複数の前記第1の画素の前記信号保持部の前記信号保持キャパシタに保持された電荷を外部キャパシタに転送し、自チップのデジタル回路の電源として再利用する電荷再利用部を含む
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記電荷再利用部は、
複数の前記第1の画素の前記信号保持部の前記信号保持キャパシタに保持された電荷を蓄積可能な前記外部キャパシタと、
前記外部キャパシタに保持された電荷を用いて生成した処理用電力を処理系回路に供給可能な電源回路部と、を含む
請求項12記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部から読み出される前記画素信号は、少なくとも、読み出しリセット信号および読み出し信号を含み、
前記信号保持部は、
第1の保持ノードと、
第2の保持ノードと、
前記第1の保持ノードに接続され、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な第1の前記信号保持キャパシタと、
前記第2の保持ノードに接続され、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な第2の前記信号保持キャパシタと、
前記第2の期間に前記第1の信号保持キャパシタが接続された前記第1の保持ノードを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続する第1の前記スイッチ素子と、
前記第2の期間に前記第1の保持ノードと前記第2の保持ノードを選択的に接続する第2のスイッチ素子と、
電荷リサイクル期間に、前記第1の保持ノードを前記外部キャパシタと接続する外部接続スイッチ素子と、
前記第2の期間に、前記第1の保持ノードおよび前記第2の保持ノードのうち少なくとも前記第2の保持ノードに接続された前記第2の信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含む
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記読み出し部は、
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部から前記画素信号として、前記読み出しリセット信号を読み出し、続いて前記読み出し信号を読み出し、
前記画素信号として前記読み出しリセット信号を読み出すときは、前記信号保持部の前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子を所定期間導通させて当該読み出しリセット信号を前記第2の信号保持キャパシタに保持させ、前記第2のスイッチ素子および前記第1のスイッチ素子を非導通状態とし、
前記外部接続スイッチ素子を所定期間導通状態として、前記第1の信号保持キャパシタの電荷を前記外部キャパシタに転送して1回目の電荷リサイクルを行い、
前記画素信号として前記読み出し信号を読み出すときは、前記信号保持部の前記第2のスイッチ素子を非導通状態に保持して、前記第1のスイッチ素子を導通させて当該読み出し信号を前記第1の信号保持キャパシタに保持させ、前記第1のスイッチ素子を非導通状態とし、
前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子が非導通状態に保持された状態で、前記第2の信号保持キャパシタに保持された読み出しリセット信号に対応する変換信号を前記第2の信号線に出力し、
前記第1のスイッチ素子が非導通状態に保持され前記第2のスイッチ素子が導通状態に保持された状態で、前記第2の信号保持キャパシタに保持された読み出しリセット信号および前記第1の信号保持キャパシタに保持された読み出し信号の合成信号に対応する変換信号を前記第2の信号線に出力し、
前記第1のスイッチ素子が非導通状態に保持され前記第2のスイッチ素子が導通状態に保持された状態で、前記外部接続スイッチ素子を所定期間導通状態として、前記第1の信号保持キャパシタおよび前記第2の信号保持キャパシタの電荷を前記外部キャパシタに転送して2回目の電荷リサイクルを行う
請求項14記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記信号保持部は、
前記第2の期間に前記第1の保持ノードと所定の基準電位を選択的に接続する第3のスイッチ素子を含み、
前記読み出し部は、
前記読み出しリセット信号を読み出す前に、前記第2のスイッチ素子および前記第3のスイッチ素子を導通状態に保持して、前記第1の信号保持キャパシタおよび前記第2の信号保持キャパシタの残差電荷を除去し、
前記1回目の電荷リサイクル処理後で前記読み出し信号を読み出す前に、前記第3のスイッチ素子を導通状態に保持して、前記第1の信号保持キャパシタの残差電荷を除去する
請求項15記載の固体撮像装置。
【請求項17】
光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、
前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、
少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、
出力ノードと、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、
第1の動作が行われる第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、
前記第1の動作とは異なる第2の動作が行われる第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、
前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含み、
前記画素部は、
複数の前記第1の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第1の画素アレイと、
複数の前記第1の画素の前記信号保持部が行列状に配置された保持部アレイと、
複数の前記第2の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第2の画素アレイと、を含む、
固体撮像装置の駆動方法であって、
前記第1の動作時には、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記第2の画素の前記第2の画素アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行い、
前記第2の動作時には、前記第1の画素および前記第2の画素の前記光電変換読み出し部における前記選択素子を非選択状態とした状態で、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記保持部アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行う
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項18】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、
前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、
少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、
出力ノードと、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、
第1の動作が行われる第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、
前記第1の動作とは異なる第2の動作が行われる第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、
前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含み、
前記画素部は、少なくとも、
複数の前記第1の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第1の画素アレイと、
複数の前記第2の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第2の画素アレイと、
複数の前記第1の画素の前記信号保持部が行列状に配置された保持部アレイと、を含み、
前記第2の画素の前記光電変換読み出し部は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換するソースフォロワ素子と、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、
前記第1の期間に前記ソースフォロワ素子による電圧信号の出力ラインを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含む
電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
ところで、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードで生成しかつ蓄積した光電荷を、画素毎あるいは行毎に順次走査して読み出す動作が行われる。
この順次走査、すなわち、電子シャッタとしてローリングシャッタを採用した場合は、光電荷を蓄積する露光の開始時間、および終了時間を全ての画素で一致させることができない。そのため、順次走査の場合、動被写体の撮像時に撮像画像に歪みが生じるという問題がある。
【0005】
そこで、画像歪みが許容できない、高速に動く被写体の撮像や、撮像画像の同時性を必要とするセンシング用途では、電子シャッタとして、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタが採用される。
【0006】
電子シャッタとしてグローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサは、画素内に、たとえば、光電変換読み出し部から読み出された信号を信号保持キャパシタに保持する信号保持部が設けられている。
グローバルシャッタを採用したCMOSイメージセンサでは、フォトダイオードによる電荷を電圧信号として一斉に信号保持部の信号保持キャパシタに蓄積し、そののち順次読み出すことにより、画像全体の同時性を確保している(たとえば、非特許文献1参照)。
また、このCMOSイメージセンサは、光電変換読み出し部の出力を、信号保持部をバイパスして信号線に転送するバイパススイッチを有しており、グローバルシャッタ機能に加えてローリングシャッタ機能を併せ持つように構成されている。
【0007】
非特許文献1に記載された積層型CMOSイメージセンサにおいては、第1の基板(Pixel die)と第2の基板(ASIC die)とがマイクロバンプ(接続部)を通して接続された積層構造を有する。そして、第1の基板には各画素の光電変換読み出し部が形成され、第2の基板には各画素の信号保持部、信号線、垂直走査回路、水平走査回路、カラム読み出し回路等が形成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】J. Aoki, et al., ”A Rolling-Shutter Distortion-Free 3D Stacked Image Sensor with -160dB Parasitic Light Sensitivity In-Pixel Storage Node” ISSCC 2013 / SESSION 27 / IMAGE SENSORS / 27.3.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のグローバルシャッタ機能を備えるCMOSイメージセンサは、グローバルシャッタ機能およびローリングシャッタ機能の両機能で信号線を共用することから、信号保持部をバイパスして信号線に転送するバイパススイッチを信号保持部に並列に設ける必要があることから、以下の不利益がある。
上述した従来のグローバルシャッタ機能を備える積層型CMOSイメージセンサは、第1の基板(Pixel die)と第2の基板(ASIC die)において、画素とグローバルシャッタ用信号保持キャパシタを対に備えるため、第2の基板(ASIC die)側の周辺回路に要する面積がオーバーヘッドとなり、面積効率が低いという問題がある。
また、上述したCMOSイメージセンサでは、信号保持部側の構成が複雑化する。
【0010】
本発明は、構成の複雑化を防止しつつ、レイアウト上の面積効率の低下を防止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素のうち、少なくとも前記第1画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、出力ノードと、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、前記信号保持部は、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含む。
【0012】
本発明の第2の観点は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、出力ノードと、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、前記信号保持部は、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含み、前記画素部は、複数の前記第1の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第1の画素アレイと、前記複数の前記第1の画素の前記信号保持部が行列状に配置された保持部アレイと、複数の前記第2の画素の前記光電変換読み出し部が行列状に配置された第2の画素アレイと、を含む、固体撮像装置の駆動方法であって、第1の動作時には、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記第2の画素の前記第2の画素アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行い、第2の動作時には、前記第1の画素および前記第2の画素の前記光電変換読み出し部における前記選択素子を非選択状態とした状態で、前記第1の画素の前記第1の画素アレイおよび前記保持部アレイをアクティブにして画素信号の読み出しを行う。
【0013】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と前記光電変換読み出し部を含む第2の画素のうち、少なくとも前記第1画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、前記光電変換読み出し部の読み出し信号が出力される第1の信号線と、前記信号保持部の保持信号が出力される第2の信号線と、を有し、少なくとも前記第1の画素の前記光電変換読み出し部は、出力ノードと、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を前記出力ノードに出力するソースフォロワ素子と、リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、第1の期間に前記出力ノードを前記第1の信号線と電気的に接続する選択素子と、を含み、前記信号保持部は、前記第1の画素の前記光電変換読み出し部の出力ノードから出力される信号を保持可能な信号保持キャパシタと、第2の期間に前記信号保持キャパシタを前記光電変換読み出し部の出力ノードと選択的に接続するスイッチ素子と、前記第2の期間に前記信号保持キャパシタに保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワ素子を含み、変換した信号を選択的に前記第2の信号線に出力する出力部と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構成の複雑化を防止しつつ、レイアウト上の面積効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の第1の画素および第2の画素の一例を示す回路図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における画素アレイについて説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系の構成例を説明するための図である。
図5】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
図6】本第1の実施形態に係る固体撮像装置のグローバルシャッタモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7】本第1の実施形態に係る固体撮像装置のローリングシャッタモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造において垂直走査回路の構成部品の配置例を示す図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係る電荷再生システムの構成例を示す図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る電荷再生システムの動作を説明するための図である。
図13】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0018】
この固体撮像装置10は、図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0019】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、画素部20において、画素として光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素と、光電変換読み出し部を含む第2の画素が混在されて、第1の動作であるローリングシャッタと第2の動作であるグローバルシャッタの両動作機能を併せ持つ、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、画素部20は、複数の第1の画素の光電変換読み出し部が行列状に配置された第1の画素アレイと、複数の第1の画素の信号保持部が行列状に配置された保持部アレイと、複数の第2の画素の光電変換読み出し部が行列状に配置された第2の画素アレイと、を含んで構成されている。
そして、第1の動作であるローリングシャッタモード時に、第1の画素および第2の画素の光電変換読み出し部の読み出し信号が第1の垂直信号線にバイパス経路をたどることなく直ちに出力される。
また、第2の動作であるグローバルシャッタモード時に、第1の画素の信号保持部の保持信号が第2の垂直信号線に出力される。
【0020】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20の構成および機能、それらに関連した読み出し処理、並びに、画素部20と読み出し部70の積層構造等について詳述する。
【0021】
(第1の画素および第2の画素並びに画素部20の構成)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の第1の画素および第2の画素の一例を示す回路図である。
【0022】
画素部20に配置される第1の画素21は、光電変換読み出し部211および信号保持部212を含んで構成されている。
画素部20に配置される第2の画素22は、光電変換読み出し部221を含んで構成されている。
【0023】
第1の画素21の光電変換読み出し部211は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部211は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPD21を有する。
このフォトダイオードPD21に対して、転送素子としての転送トランジスタTG1-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST1-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Tr、出力ノードND21、および選択素子(選択スイッチ)としての選択トランジスタSEL1-Trをそれぞれ一つずつ有する。
このように、第1の実施形態に係る第1の画素21の光電変換読み出し部211は、転送トランジスタTG1-Tr、リセットトランジスタRST1-Tr、ソースフォロワトランジスタSF1-Tr、および選択トランジスタSEL1-Trの4トランジスタ(4Tr)を含んで構成されている。
【0024】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部211は、出力ノードND21が第1の画素21の信号保持部212の入力部に接続され、選択トランジスタSEL1-Trを介して第1の垂直信号線LSGN11に接続されている。
光電変換読み出し部211は、ローリングシャッタモード時に読み出し電圧(信号電圧)(VRST1,VSIG1)を第1の垂直信号線LSGN11に出力する。
光電変換読み出し部211は、グローバルシャッタモード時に読み出し電圧(信号電圧)(VRST1,VSIG1)を信号保持部212に出力する。
【0025】
本第1の実施形態において、第1の垂直信号線LSGN11はローリングシャッタモード時に定電流源Ibias1により駆動され、第2の垂直信号線LSGN12はグローバルシャッタモード時に定電流源Ibias1により駆動される。
定電流源Ibias1は、ローリングシャッタモード時とグローバルシャッタモード時とで共用される。
定電流源Ibias1は、図2に示すように、スイッチ部410により動作モードに応じて接続先が切り替えられる。ローリングシャッタモード時には、第1の垂直信号線LSGN11が定電流源Ibias1に接続され、第2の垂直信号線LSGN12が基準電位VSS(たとえばグランド)に接続される。一方、グローバルシャッタモード時には、第2の垂直信号線LSGN12が定電流源Ibias1に接続され、第1の垂直信号線LSGN11が基準電位VSS(たとえばグランド)に接続される。
【0026】
フォトダイオードPD21は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタ間で、各トランジスタを共有している場合にも有効である。
【0027】
光電変換読み出し部211の転送トランジスタTG1-Trは、フォトダイオードPD21とフローティングディフュージョンFD21の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがハイ(H)レベルの転送期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD21に転送する。
【0028】
リセットトランジスタRST1-Trは、電源電圧VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFD21の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST1-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD21を電源電圧VDDの電源線Vddの電位にリセットする。
【0029】
ソースフォロワトランジスタSF1-Trと選択トランジスタSEL1-Trは、電源線Vddと定電流源Ibias1により駆動される第1の垂直信号線LSGN11の間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF1-Trのソースと選択トランジスタSEL1-Trのドレインとの接続点により出力ノードND21が形成されている。
この出力ノードND21と信号保持部212の入力部間の信号線LSGN13は、たとえば信号保持部212の入力部に配置された定電流源Ibias3により駆動される。
ソースフォロワトランジスタSF1-TrはフローティングディフュージョンFD21の電荷を電荷量(電位)に応じた電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(VRST1,VSIG1)を出力ノードND21に出力する。
【0030】
ソースフォロワトランジスタSF1-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD21が接続され、選択トランジスタSEL1-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SELにより制御される。
選択トランジスタSEL1-Trは、制御信号SELがHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF1-TrはフローティングディフュージョンFD21の電荷を電荷量(電位)に応じた電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(VRST1,VSIG1)を第1の垂直信号線LSGN11に出力する。
【0031】
第1の画素21の信号保持部212は、基本的に、定電流源Ibias3が接続されている入力部2121、サンプルホールド部2122、出力部2123、ノードND22~ND24を含んで構成されている。
なお、ノードND22は入力ノードに相当し、ノードND23は第1の保持ノードに相当し、ノードND24は第2の保持ノードに相当する。
【0032】
定電流源Ibias3は、ノードND22と基準電位VSSとの間に接続され、たとえばグローバルシャッタ期間中の所定の期間にオン状態に制御される。
【0033】
なお、定電流源Ibias3の代わりに、ノードND22と基準電位VSSとの間に接続され、たとえばグローバルシャッタ期間中の所定の期間にオン状態に制御されるスイッチ素子を設けてもよい。
【0034】
サンプルホールド部2122は、第2の期間であるグローバルシャッタ期間に、サンプルホールド部2122の信号保持キャパシタを光電変換読み出し部211の出力ノードND21と選択的に接続する第1のスイッチ素子SW21、第1の画素21の光電変換読み出し部211の出力ノードND21から出力される信号を保持可能な第1の信号保持キャパシタC21および第2の信号保持キャパシタC22、および第2のスイッチ素子SW22を有する。
第1のスイッチ素子SW21の端子aが第3の信号線LSGN13に接続された入力ノードND22と接続され、端子bがサンプルホールド部2122側と接続されたノードND23に接続されている。
第1のスイッチ素子SW21は、たとえば信号sw1がハイレベルの期間に端子aとbが接続されて導通状態となる。
第1の信号保持キャパシタC21は、第1の保持ノードであるノードND23と基準電位VSSとの間に接続されている。
第2の信号保持キャパシタC22は、第2の保持ノードであるノードND24と基準電位VSSとの間に接続されている。
第2のスイッチ素子SW22の端子aがノードND23と接続され、端子bがノードND24と接続されている。
第2のスイッチ素子SW22は、たとえば信号SHRTがハイレベルの期間に端子aとbが接続されて導通状態となる。
【0035】
出力部2123は、第2の期間であるグローバルシャッタ期間に信号保持キャパシタC21、C22に保持された信号を保持電圧に応じて出力するソースフォロワトランジスタSF3-Trを含み、保持した信号を選択的に選択トランジスタSEL3-Trを介して定電流源Ibias1により駆動される第2の垂直信号線LSGN12に出力する。
【0036】
ソースフォロワトランジスタSF3-Trと選択トランジスタSEL3-Trは、電源線Vddと定電流源Ibias1により駆動される第2の垂直信号線LSGN12の間に直列に接続されている。
【0037】
ソースフォロワトランジスタSF3-TrのゲートにはノードND24が接続され、選択トランジスタSEL3-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SEL3により制御される。
選択トランジスタSEL3-Trは、制御信号SEL3がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF3-Trは信号保持キャパシタC21、C22の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VRST,VSIG)を第2の垂直信号線LSGN12に出力する。
【0038】
なお、上記した信号保持部212の構成は、一例であり、第2の期間であるグローバルシャッタ期間に、光電変換読み出し部211の出力する読み出し電圧(信号電圧)(VRST1,VSIG1)を保持する機能を備える回路であればその構成を問わない。
【0039】
画素部20に配置される第2の画素22は、光電変換読み出し部221を含んで構成されている。
第2の画素22の光電変換読み出し部221は、上述した第1の画素21の光電変換読み出し部211と同様の構成を有する。
【0040】
すなわち、第2の画素22の光電変換読み出し部221は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部221は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPD22を有する。
このフォトダイオードPD22に対して、転送素子としての転送トランジスタTG2-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST2-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF2-Tr、および選択素子(選択スイッチ)としての選択トランジスタSEL2-Trをそれぞれ一つずつ有する。
このように、第1の実施形態に係る第2の画素22の光電変換読み出し部221は、転送トランジスタTG2-Tr、リセットトランジスタRST2-Tr、ソースフォロワトランジスタSF2-Tr、および選択トランジスタSEL2-Trの4トランジスタ(4Tr)を含んで構成されている。
【0041】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部221は、ローリングシャッタモード時に読み出し電圧(信号電圧)(VRST2,VSIG2)を第1の垂直信号線LSGN11に出力する。
【0042】
フォトダイオードPD22は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下においても、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオードと転送トランジスタ間で、各トランジスタを共有している場合にも有効である。
【0043】
光電変換読み出し部221の転送トランジスタTG2-Trは、フォトダイオードPD22とフローティングディフュージョンFD22の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG2-Trは、制御信号TGがHレベルの転送期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD22で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD22に転送する。
【0044】
リセットトランジスタRST2-Trは、電源電圧VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFD22の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST2-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD22を電源電圧VDDの電源線Vddの電位にリセットする。
【0045】
ソースフォロワトランジスタSF2-Trと選択トランジスタSEL2-Trは、電源線Vddと定電流源Ibias1により駆動される第1の垂直信号線LSGN11の間に直列に接続されている。
【0046】
ソースフォロワトランジスタSF2-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD22が接続され、選択トランジスタSEL2-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SELにより制御される。
選択トランジスタSEL2-Trは、制御信号SELがHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF2-TrはフローティングディフュージョンFD22の電荷を電荷量(電位)に応じた電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(VRST2,VSIG2)を第1の垂直信号線LSGN11に出力する。
【0047】
本第1の実施形態に係る画素部20は、以上のような構成を有する第1の画素21および第2の画素22が、たとえば図3に示すように、画素アレイとして配列され、複数の画素アレイが組み合わされて構成されている。
【0048】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部20における画素アレイについて説明するための図である。
【0049】
第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部20は、第1の画素アレイ230、保持部アレイ240、上側(たとえば一方側)の第2の画素アレイ250-1、および下側(他方側)の第2の画素アレイ250-2を含んで構成されている。
【0050】
第1の画素アレイ230は、複数の第1の画素21の光電変換読み出し部211がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
第1の画素アレイ230は、たとえば16:9のアスペクト比の画像が出力可能なように、複数の第1の画素21の光電変換読み出し部211がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0051】
保持部アレイ240は、複数の第1の画素21の信号保持部212が、第1の画素アレイ230に対応してN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
保持部アレイ240は、第1の画素アレイ230と同様に、たとえば16:9のアスペクト比の画像が出力可能なように、複数の第1の画素21の信号保持部212がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0052】
上側の第2の画素アレイ250-1は、複数の第2の画素22の光電変換読み出し部221がP(P<N)行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0053】
同様に、下側の第2の画素アレイ250-2は、複数の第2の画素22の光電変換読み出し部221がP(P<N)行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0054】
図3の例において、第2の画素アレイ250-1,250-2は、第1の画素アレイ230の第1の垂直信号線LSGN11の配線方向の両側(上側および下側)に配置されている。なお、第2の画素アレイ250は、第1の画素アレイ230の第1の垂直信号線LSGN11の配線方向の両側のうち少なくとも一方側に配置されていてもよい。
【0055】
第2の画素アレイ250-1,250-2は、ローリングシャッタモード時に、第1の画素アレイ230とともに、アクティブとされ、全体としてたとえば1:1のアスペクト比の画像を出力可能なように、複数の第2の画素22の光電変換読み出し部221がP(P<N)行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。上記アスペクト比は4:3など任意の比率でも良い。
【0056】
上記したように、本実施形態において、読み出し部70は、第2の動作であるグローバルシャッタモード時には、第1の画素アレイ230のアスペクト比に対応するアスペクト比の画像を出力可能である。より具体的には、読み出し部70は、第2の動作であるグローバルシャッタモード時には、第1の画素アレイ230において形成可能な任意のアスペクト比の画像を出力可能である。
また、読み出し部70は、第1の動作であるローリングシャッタモード時には、第1の画素アレイ230と第2の画素アレイ250(-1,-2)により形成される合成画素アレイにおいて形成可能な任意のアスペクト比の画像を出力可能である。
【0057】
なお、ローリングシャッタモード時には、第1の画素アレイ230を電子式手ぶれ補正用の領域として利用し、16:9のアスペクト比の画像を出力するようにしてもよい。
【0058】
また、第1の画素アレイ230と第2の画素アレイ250-1,250-2の同一列の光電変換読み出し部211は、共通の第1の垂直信号線LSGN11に接続されている。
【0059】
固体撮像装置10が、後述するように、第1の基板(上基板)と第2の基板(下基板)の積層構造を有する場合、第1の基板に第1の画素アレイ230と第2の画素アレイ250-1,250-2が形成され、第2の基板に保持部アレイ240が第1の画素アレイ230と対向するように形成される。
【0060】
画素部20は、読み出し部70の制御の下、第1の動作であるローリングシャッタモード時には、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2をアクティブにして順次画素がアクセスされて画素信号の読み出しが行単位で行われる。
【0061】
また、画素部20は、読み出し部70の制御の下、第2の動作であるグローバルシャッタモード時には、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2の光電変換読み出し部211,221における選択トランジスタSEL1-Tr.SEL2-Trを非選択状態とした状態(信号SELがローレベル)で、第1の画素アレイ230および保持部アレイ240をアクティブにして画素信号の読み出しが行われる。
【0062】
画素部20において、たとえば転送トランジスタTG-Tr、リセットトランジスタRST-Tr、および選択トランジスタSEL-Trの各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時並列的に行われる。
【0063】
画素部20には、画素が(N+2P)行×M列配置されているので、各制御線LSEL、LRST、LTGはそれぞれ(N+2P)本、第1の垂直信号線LSGN11および第2の垂直信号線LSGN12はそれぞれM本ある。
図1においては、各行制御線を1本の行走査制御線として表している。同様に、各垂直信号線LSGN11,LSGN12を1本の垂直信号線として表している。
【0064】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通して第1の画素21の光電変換読み出し部211および信号保持部212、並びに第2の画素22の光電変換読み出し部221の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0065】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0066】
本第1の実施形態に係るカラム読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0067】
このように、カラム読み出し回路40は、たとえば図4(A)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをデジタル信号に変換するADC41を含んで構成されてもよい。
あるいは、カラム読み出し回路40は、たとえば図4(B)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号を増幅するアンプ(AMP)42が配置されてもよい。
また、カラム読み出し回路40は、たとえば図4(C)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをサンプル、ホールドするサンプルホールド(S/H)回路43が配置されてもよい。
【0068】
本第1の実施形態において、カラム読み出し回路40は、たとえば各列の列信号処理回路に、第1の垂直信号線LSGN11を伝送された信号と第2の垂直信号線LSGN12を伝送された信号を動作モードに応じて選択的に入力させる回路が配置されている。
【0069】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0070】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0071】
読み出し部70は、第1の動作であるローリングシャッタモード時に、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2をアクティブにして順次画素をアクセスさせて画素信号の読み出しを行単位で行う。
【0072】
読み出し部70は、第2の動作であるグローバルシャッタモード時に、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2の光電変換読み出し部221における選択トランジスタSEL1-Tr.SEL2-Trを非選択状態とした状態(信号SELがローレベル)で、第1の画素アレイ230および保持部アレイ240をアクティブにして画素信号の読み出しを行う。
【0073】
(固体撮像装置10の積層構造)
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の積層構造について説明する。
【0074】
図5は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の積層構造について説明するための図である。
【0075】
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、第1の基板(上基板)110と第2の基板(下基板)120の積層構造を有する。
固体撮像装置10は、たとえばウェハレベルで貼り合わせた後、ダイシングで切り出した積層構造の撮像装置として形成される。
本例では、第2の基板120上に第1の基板110が積層された構造を有する。
【0076】
第1の基板110には、その中央部を中心として画素部20の各第1の画素21の光電変換読み出し部211が配列された第1の画素アレイ230が形成され、第1の画素アレイ230の第1の垂直信号線LSGN11の配線方向の両側(上側および下側)に第2の画素アレイ250-1,250-2が形成されている。
また、第1の基板110には、第1の垂直信号線LSGN11が形成されている。
【0077】
このように、本第1の実施形態においては、第1の基板110には、第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221が行列状に形成されている。
【0078】
第2の基板120には、その中央部を中心として第1の画素アレイ230の各光電変換読み出し部211の出力ノードND21と接続される各第1の画素21の信号保持部212がマトリクス状に配列された保持部アレイ240(領域121)および第2の垂直信号線LSGN12が形成されている。
そして、保持部アレイ240の周囲、図5の例では、図中の上側および下側にカラム読み出し回路40用の領域122,123が形成されている。なお、カラム読み出し回路40は、保持部アレイ240の領域121の上側および下側のいずれかに配置されるように構成してもよい。
また、保持部アレイ240の側部側に垂直走査回路30用の領域124や、デジタル系や出力系の領域125が形成されている。
また、第2の基板120には、垂直走査回路30、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60も形成されてもよい。
【0079】
このような積層構造において、第1の基板110の第1の画素アレイ230の各光電変換読み出し部211の出力ノードND21と第2の基板120の各第1の画素21の信号保持部212の入力ノードND22とが、たとえば図2に示すように、それぞれビア(Die-to-Die Via)やマイクロバンプ等を用いて電気的な接続が行われている。
また、第1の基板110の第1の垂直信号線LSGN11と第2の基板120のカラム読み出し回路40の入力部とが、たとえば図2に示すように、それぞれビア(Die-to-Die Via)やマイクロバンプ等を用いて電気的な接続が行われている。
【0080】
(固体撮像装置10の読み出し動作)
以上、固体撮像装置10の各部の特徴的な構成および機能について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10のグローバルシャッタモード時およびローリングシャッタモード時の読み出し動作等について詳述する。
【0081】
(グローバルシャッタモード時の読み出し動作)
まず、グローバルシャッタモード時の読み出し動作について説明する。
図6(A)~図6(H)は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置のグローバルシャッタモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0082】
図6(A)はグローバルシャッタモード時の読み出し動作過程を示している。図6(B)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221の選択トランジスタSEL1-Tr、SEL2-Trの制御信号SELを示している。図6(C)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221のリセットトランジスタRST1-Tr、RST2-Trの制御信号RSTを示している。図6(D)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221の転送トランジスタTG1-Tr、TG2-Trの制御信号TGを示している。
図6(E)は第1の画素21の信号保持部212のスイッチ素子SW21の制御信号sw1を示している。図6(F)は第1の画素21の信号保持部212のスイッチ素子SW22の制御信号SHRTを示している。図6(G)は第1の画素21の信号保持部212の選択トランジスタSEL3-Trの制御信号SEL3を示している。図6(H)は第1の画素21の信号保持部212に配置された定電流源Ibias3の駆動状態(オン、オフ状態)を示している。
【0083】
グローバルシャッタモード時には、図6(B)に示すように、第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221の選択トランジスタSEL1-Tr、SEL2-Trの制御信号SELがグローバルシャッタモードの全期間中ローレベル(L)に設定される。
これにより、グローバルシャッタモードの全期間中第1の画素アレイ230と第2の画素アレイ250-1,250-2から第1の垂直信号線LSGN11への電圧信号の出力が抑止(停止)される。
したがって、第2の画素アレイ250-1,250-2は非アクティブ状態に制御される。
また、第1の画素アレイ230は、アクティブ状態であり、出力ノードND21からの電圧信号の信号保持部212への出力可能状態となっている。
すなわち、グローバルシャッタモード時には、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2のうち、第1の画素アレイ230のみがアクティブ状態にあることから、たとえば16:9のアスペクト比の画像が出力可能状態となっている。
【0084】
図6(B)~図6(H)において、時刻t1~t2は、第1の画素アレイ230のすべての光電変換読み出し部211におけるフォトダイオードPD21およびフローティングディフュージョンFD21のリセット期間である。
【0085】
なお、このリセット期間においては、保持部アレイ240のすべての信号保持部212の駆動を制御する、スイッチ素子SW21の制御信号sw1、スイッチ素子SW22を制御する制御信号SHRT、選択トランジスタSEL3-Trを制御する制御信号SEL3はLレベルに設定され、スイッチ素子SW21、スイッチ素子SW22、選択トランジスタSEL3-Trが非導通状態に制御され、定電流源Ibias3はオフ状態に制御されている。
【0086】
このような状態で、リセット期間において、リセットトランジスタRST1-Trが、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となる。
そして、制御信号RSTがHレベル期間中に、転送トランジスタTG1-Trが、制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された電荷(電子)の蓄積ノードがフローティングディフュージョンFD21と導通状態となり、フォトダイオードPD21およびフローティングディフュージョンFD21が電源線Vddの電位にリセットされる。
【0087】
フォトダイオードPD21のリセット後、転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGがLレベルに切り替えられ、転送トランジスタTG1-Trが非導通状態となり、フォトダイオードPD21では光電変換された電荷の蓄積が開始される。
このとき、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTはHレベルに保持されており、フローティングディフュージョンFD21が電源線Vddの電位にリセットされたままの状態に保持される。
そして、リセット期間の終了のため、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTはLレベルに切り替えられ、リセットトランジスタRST1-Trは非導通状態となる。
【0088】
次に、時刻t2~t3においては、リセット状態時の画素信号を読み出し、および信号保持部212の信号保持キャパシタC22への読み出しリセット信号VRSTの保持期間である。
【0089】
各光電変換読み出し部211では、ソースフォロワトランジスタSF1-Trにより、フローティングディフュージョンFD21の電荷が電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換され、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして出力ノードND21から出力される。
【0090】
光電変換読み出し部211において、リセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTがLレベルに切り替えられるタイミングに並行して、保持部アレイ240のすべての信号保持部212では、次の制御が行われる。
信号保持部212において、制御信号sw1がHレベルに切り替えられてスイッチ素子SW21が導通状態となり、制御信号SHRTがHレベルに切り替えられてスイッチ素子SW22が導通状態となり、定電流源Ibias3がオン状態となるように制御される。
【0091】
これにより、時刻t2において、各光電変換読み出し部211の出力ノードND21から出力される読み出しリセット信号VRSTは、第3の信号線LSGN13を通して対応する信号保持部212に伝送され、スイッチ素子SW21およびスイッチSW22を通して信号保持キャパシタC22に保持される。
【0092】
次いで、制御信号sw1がHレベルでスイッチ素子SW21が導通状態に保持され、定電流源Ibias3がオン状態に保持された状態で、制御信号SHRTがLレベルに切り替えられ、スイッチ素子SW22が非導通状態となる。
【0093】
ここで、時刻t3を含む所定期間が転送期間となる。
転送期間には、各光電変換読み出し部211において、転送トランジスタTG1-Trが、制御信号TGがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD21に転送される。
転送期間が終了すると、転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGがLレベルに切り替えられ、転送トランジスタTG1-Trが非導通状態となる。
【0094】
この状態で時刻t4に、各光電変換読み出し部211では、ソースフォロワトランジスタSF1-Trにより、フローティングディフュージョンFD11の電荷が電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換され、列出力の読み出し信号VSIGとして出力ノードND21から出力される。
【0095】
そして、時刻t4において、各光電変換読み出し部211の出力ノードND21から出力される読み出し信号VSIGは、第3の信号線LSGN13を通して対応する信号保持部212に伝送され、スイッチ素子SW21を通して信号保持キャパシタC21に保持される。
【0096】
信号保持キャパシタC21に読み出し信号VSIGを保持した後、制御信号sw1がLレベルに切り替えられて、スイッチ素子SW21が非導通状態となり、その後、定電流源Ibias3がオフ状態に切り替えられる。
【0097】
この状態で保持した信号を読み出すため、保持部アレイ240の中のある一行を選択するために、その選択された行の各選択トランジスタSEL3-Trの制御信号SEL3がHレベルに設定されて、その選択トランジスタSEL3-Trが導通状態となる。
そして、時刻t5において、信号保持キャパシタC22に保持された読み出しリセット信号VRSTの読み出しが行われる。
このとき、各信号保持部212においては、ゲートがノードND24に接続されたソースフォロワトランジスタSF3-Trにより、ノードND24に接続された信号保持キャパシタC22の保持電圧に応じて、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして第2の垂直信号線LSGN12に出力され、カラム読み出し回路40に供給されて、たとえば保持される。
【0098】
次に、制御信号SHRTが時刻t6を含む所定期間、Hレベルに保持され、スイッチ素子SW22が導通状態に保持される。
そして、時刻t6において、信号保持キャパシタC21に保持された読み出し信号VSIGおよび信号保持キャパシタC22に保持された読み出しリセット信号VRSTの合成信号の読み出しが行われる。
合成信号CMSは、次式で表すことができる。
【0099】
[数1]
CMS
={(C1/(C1+C2))・VSIG+(C2/(C1+C2))・VRST}
ここで、C1は信号保持キャパシタC21の容量を、C2は信号保持キャパシタC22の容量を表している。
【0100】
このとき、各信号保持部212においては、ゲートがノードND23およびノードND24に接続されたソースフォロワトランジスタSF3-Trにより、ノードND23に接続された信号保持キャパシタC21およびノードND24に接続された信号保持キャパシタC22の保持電圧に応じて、列出力の読み出し合成信号CMSとして第2の垂直信号線LSGN12に出力され、カラム読み出し回路40に供給されて、たとえば保持される。
【0101】
そして、たとえば読み出し部70の一部を構成する読み出し回路40において、時刻t5に読み出された読み出しリセット信号VRSTと時刻t6に読み出された合成信号CMSとの差分(VRST-CMS)がとられてCDS処理が行われる。
【0102】
[数2]
VRST-CMS=VRST-
{(C1/(C1+C2))・VSIG+(C2/(C1+C2))・VRST}
=(C1/(C1+C2))・(VRST-VSIG)
【0103】
(ローリングシャッタモード時の読み出し動作)
次に、ローリングシャッタモード時の読み出し動作について説明する。
図7(A)~図7(D)は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置のローリングシャッタモード時の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0104】
図7(A)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221の選択トランジスタSEL1-Tr、SEL2-Trの制御信号SELを示している。図7(B)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221のリセットトランジスタRST1-Tr、RST2-Trの制御信号RSTを示している。図7(C)は第1の画素21の光電変換読み出し部211および第2の画素22の光電変換読み出し部221の転送トランジスタTG1-Tr、TG2-Trの制御信号TGを示している。
図7(D)は第1の画素21の信号保持部212のスイッチ素子SW21の制御信号sw1、スイッチ素子SW22の制御信号SHRT、選択トランジスタSEL3-Trの制御信号SEL3を示している。
【0105】
なお、このローリングシャッタモード期間においては、保持部アレイ240のすべての信号保持部212の駆動を制御する、スイッチ素子SW21の制御信号sw1、スイッチ素子SW22を制御する制御信号SHRT、選択トランジスタSEL3-Trを制御する制御信号SEL3はLレベルに設定され、スイッチ素子SW21、スイッチ素子SW22、選択トランジスタSEL3-Trが非導通状態に制御されている。
【0106】
すなわち、ローリングシャッタモード期間においては、第2の基板120に形成された保持部アレイ240の全ての信号保持部212はアクセスされない。
ローリングシャッタモード期間においては、第1の基板110に形成されただ第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2が行単位で順次にアクセスされる。
すなわち、ローリングシャッタモード時には、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2がアクティブ状態にあることから、たとえば16:9あるいは16:9とは異なる1:1や4:3等のアスペクト比の画像が出力可能状態となっている。
【0107】
ローリングシャッタモード期間においては、図7(A)に示すように、第1の画素アレイ230または第2の画素アレイ250-1,250-2の中のある一行を選択するために、その選択された行の第1の画素アレイ230の各光電変換読み出し部211または第2の画素アレイ250-1,250-2の光電変換読み出し部221を制御(駆動)する制御信号SELがHレベルに設定されて画素の選択トランジスタSEL2-Tr(またはSEL1-Tr)が導通状態となる。
【0108】
この選択状態において、リセット期間PRにリセットトランジスタRST2-Tr(またはRST1-Tr)が、制御線RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD22(またはFD21)が電源線Vddの電位にリセットされる。
このリセット期間PRが経過した後(リセットトランジスタRST2-TrまたはRST1-Trが非導通状態)、転送期間PTが開始されるまでの時刻t11を含む期間が、リセット状態時の画素信号を読み出す第1読み出し期間となる。
【0109】
時刻t11において、選択された行のソースフォロワトランジスタSF2-Tr(またはSF1-Tr)により、フローティングディフュージョンFD22(またはFD21)の電荷が電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換され、列出力の読み出しリセット信号VRSTとして第1の垂直信号線LSGN11に直ちに出力され、カラム読み出し回路40に供給されて、たとえば保持される。
【0110】
ここで、第1読み出し期間が終了し、転送期間PTとなる。
転送期間PTに転送トランジスタTG2-Tr(またはTG1-Tr)が、制御信号TGがハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD22(またはPD21)で光電変換され蓄積された電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD22(またはFD21)に転送される。
この転送期間PTが経過した後(転送トランジスタTG2-TrまたはTG1-Trが非導通状態)、フォトダイオードPD22(またはPD21)が光電変換して蓄積した電荷に応じた画素信号を読み出す時刻t12を含む第2読み出し期間となる。
【0111】
第2読み出し期間が開始された時刻t12において、選択された行のソースフォロワトランジスタSF2-Tr(またはSF1-Tr)により、フローティングディフュージョンFD22(またはFD21)の電荷が電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換され、列出力の読み出し信号VSIGとして第1の垂直信号線LSGN11に直ちに出力され、カラム読み出し回路40に供給されて、たとえば保持される。
【0112】
そして、たとえば読み出し部70の一部を構成する読み出し回路40において、読み出しリセット信号VRSTと読み出し信号VSIGとの差分{VRST-VSIG}がとられてCDS処理が行われる。
【0113】
上述したように、ローリングシャッタモード期間においては、第1の基板110に形成された第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2が行単位で順次にアクセスされ、上記した読み出し動作が順次に行われる。
【0114】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、固体撮像装置10は、画素部20において、画素として光電変換読み出し部および信号保持部を含む第1の画素21と、光電変換読み出し部を含む第2の画素22が混在されて、第1の動作であるローリングシャッタと第2の動作であるグローバルシャッタの両動作機能を併せ持つ、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、画素部20は、複数の第1の画素21の光電変換読み出し部211が行列状に配置された第1の画素アレイ230と、複数の第1の画素21の信号保持部212が行列状に配置された保持部アレイ240と、複数の第2の画素の光電変換読み出し部221が行列状に配置された第2の画素アレイ250-1,250-2と、を含んで構成されている。
そして、第1の動作であるローリングシャッタモード時に、第1の画素21および第2の画素22の光電変換読み出し部211,221の読み出し信号が第1の垂直信号線LSGN11にバイパス経路をたどることなく直ちに出力される。また、第2の動作であるグローバルシャッタモード時に、第1の画素の信号保持部212の保持信号が第2の垂直信号線LSGN12に出力される。
【0115】
したがって、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、構成の複雑化を防止しつつ、レイアウト上の面積効率の低下を防止することができる。
【0116】
また、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、動作モードに応じて所望のアスペクト比の画像信号を得ることができる。
【0117】
また、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、第1の基板(上基板)110と第2の基板(下基板)120の積層構造を有する。
第1の基板110には、その中央部を中心として画素部20の各第1の画素21の光電変換読み出し部211が配列された第1の画素アレイ230が形成され、第1の画素アレイ230の第1の垂直信号線LSGN11の配線方向の両側(上側および下側)に第2の画素アレイ250-1,250-2が形成されている。
また、第1の基板110には、第1の垂直信号線LSGN11が形成されている。
第2の基板120には、その中央部を中心として第1の画素アレイ230の各光電変換読み出し部211の出力ノードND21と接続される各第1の画素21の信号保持部212がマトリクス状に配列された保持部アレイ240(領域121)および第2の垂直信号線LSGN12が形成されている。
そして、保持部アレイ240の周囲にカラム読み出し回路40用の領域122,123等が形成されている。
【0118】
したがって、本第1の実施形態において、第1の基板110側を、基本的に、NMOS系の素子だけで形成すること、および、第1の画素アレイと第2の画素アレイの画素により有効画素領域を最大限に拡大することにより、コストあたりの価値を最大限に高めることができる。
【0119】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
【0120】
本第2の実施形態の積層構造が、第1の実施形態の積層構造と異なる点は、次の通りである。
本第2の実施形態の積層構造では、第2の基板120Aに備える垂直走査回路(Row Decoder)30の領域124およびカラム読み出し回路系(Column Signal Chain)用の領域122,123が画素ピッチより小さいピッチで配置されている。
また、第2の基板120Aの周縁部にルーティング領域126~128を確保することで第1の基板110Aの画素ピッチに配線ピッチを合わせている。
【0121】
さらに、本第2の実施形態の積層構造では、第1の基板110Aに、ローリングシャッタ用の第2の画素アレイ250-3,250-4が、第1の画素アレイ230および第2の画素アレイ250-1,250-2の両側部に形成されている。
これにより、ローリングシャッタモード動作時とグローバルシャッタモード動作時に、同じまたは任意のアスペクト比の画像信号を出力することが可能となる。
【0122】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
図10(A)および図10(B)は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造において垂直走査回路の構成部品の配置例を示す図である。
【0123】
本第3の実施形態の積層構造が、第1の実施形態の積層構造と異なる点は、次の通りである。
本第3の実施形態の積層構造では、第2の基板120Bに備える垂直走査回路(Row Decoder)の領域124の一部が第1の基板110Bに領域111として形成され、構成部品の一部が第1の基板110Bの領域111に配置されている。
【0124】
図10(A)の例では、第1の基板110Bの領域111に、垂直走査回路(Row Decoder)30の電源安定化キャパシタC30が配置されている。
これにより、基本的に画素系のみが形成される第1の基板110Bの空き領域の有効利用を図ることができ、安定化キャパシタC30を内蔵することにより、外付け部品点数を削減することができる。
【0125】
図10(B)の例では、垂直走査回路(Row Decoder)30のドライバを構成するCMOSのpチャネルMOS(PMOS)トランジスタPTとnチャネルMOS(NMOS)トランジスタNTのうち、PMOSトランジスタPTが第2の基板120Bに配置され、NMOSトランジスタNTが第1の基板110Bに配置されている。
これにより、基本的に、NMOS系の素子で形成される第1の基板110BにNMOSトランジスタNTを形成することから、設計や製造が容易となり、第1の基板110Bの空き領域の有効利用を図ることができる。
【0126】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る電荷再生システムの構成例を示す図である。
【0127】
本第4の実施形態の固体撮像装置10は、第1~第3の実施形態の構成に加えて、電荷再生(電荷リサイクル)システム80が設けられている。
【0128】
電荷再利用部としての本電荷再生システム80は、外部キャパシタCext、信号保持部212C、オーバチャージレギュレート回路810、およびレギュレータ820,830を含んで構成されている。
なお、オーバチャージレギュレート回路810、およびレギュレータ820,830により電源回路部が構成される。
【0129】
なお、図11の信号保持部212Cは、定電流源Ibias3の代わりに第3のスイッチ素子SW23が配置され、選択トランジスタがスイッチ素子SW25として設けられているが、外部接続スイッチ素子としてのスイッチ素子SW24を除いて、機能的には、図2の信号保持部212と同様である。
【0130】
本電荷再生システム80は、外部の大きな容量の外部キャパシタCextに全第1の画素21の信号保持部212Cの第1の信号保持キャパシタ(サンプリング容量)CS21および第2の信号保持キャパシタ(サンプリング容量)CS22に溜まった電荷を転送し、自チップのデジタル回路の電源として再利用する。
これにより、チップの消費電力を低減することができる。
【0131】
外部接続スイッチ素子としてのスイッチ素子SW24は、信号保持部212Cの第1の保持ノードであるノードND23と入出力端子TI/Oと接続されたノードND80との間に接続され、制御信号sw4により導通状態が制御される。
【0132】
外部キャパシタCextは、容量が10μF程度に設定される。
この外部キャパシタCextは、オンチップ化しても良い。たとえば第1の基板110Cに形成してもよい。これにより、第1の基板110Cの空き領域の有効利用を図ることができる。
【0133】
<外部キャパシタCextの容量の算出例>
CS=10fF、
N=2M pixel、
Ctot = 2*CS*N = 40nF、
とすると、
次式を満たすようにCextを決定する(リプルを1/100に抑えるため)。
Cext > 100*Ctot
【0134】
オーバチャージレギュレート回路810は、電流クランプ回路811、ヒステリシス比較器812、ローパスフィルタ(LPF)813を用いて、リプルを抑えて且つ低消費電力で電圧をレギュレートする。
別グランド(GNDCR)に電荷を流して回路に影響を与えないディスチャージ経路を作り、電荷転送時の電源ノイズを抑える。
【0135】
<ヒステリシス比較器812の参照電圧VREFの設定値>
ヒステリシス比較器812の参照電圧VREFは信号保持キャパシタCSの電荷をほぼ全て転送できるように低い電圧に設定する(たとえば~0.5V)。
低すぎると大きな容量が必要となる。
高すぎるとリサイクル可能な電荷量が減少する。
よって、再利用するときの電圧を考慮し、0.5V程度が良い。
【0136】
レギュレータ820は、低電圧から高電圧にブーストするブースト回路821とLDOレギュレータ822をオンチップ化して構成されている。
レギュレータ830は、低電圧から高電圧にブーストするブースト回路831とLDOレギュレータ832をオンチップ化して構成されている。
【0137】
レギュレータ820,830は、ブースト回路821,831で0.5V -> 1.2V (DVDD), もしくは1.8V(DVDDIO)に昇圧し、主にデジタル回路(垂直走査回路(Row Decoder)30を含む)の電源電圧を生成する。
なお、レギュレータは何個でもよい。
【0138】
電荷再生システム80においては、外部の大きな容量の外部キャパシタCextに全第1の画素21の信号保持部212Cの信号保持キャパシタ(サンプリング容量)CS21、CS22に溜まった電荷を転送し、自チップのデジタル回路の電源として再利用する。
第1の画素21の信号保持部212Cは、サンプリング回路は最終的にはきれいなグランド(GNDPIX)で残差電荷をリセットしてからいわゆるグローバルサンプリング動作を行う。
【0139】
図12(A)~図12(J)は、本発明の第4の実施形態に係る電荷再生システムの動作を説明するための図である。
【0140】
図12(A)は第1の画素21の光電変換読み出し部211のリセットトランジスタRST1-Trの制御信号RSTを示している。図12(B)は第1の画素21の光電変換読み出し部211の転送トランジスタTG1-Trの制御信号TGを示している。
図12(C)は第1の画素21の信号保持部212Cの第1のスイッチ素子SW21の制御信号sw1を示している。図12(D)は第1の画素21の信号保持部212Cの第2のスイッチ素子SW22の制御信号sw2(SHRT)を示している。図12(E)は第1の画素21の信号保持部212Cの第3のスイッチ素子SW23の制御信号sw3を示している。図12(F)は第1の画素21の信号保持部212Cの外部接続スイッチ素子としてのスイッチ素子SW24の制御信号sw4を示している。図12(G)は第1の画素21の信号保持部212Cのスイッチ素子SW25の制御信号sw5(SEL3)を示している。
図12(H)は第1の画素21の光電変換読み出し部211のフローティングディフュージョンFD21の電位Vfdを示している。図12(I)は第1の画素21の信号保持部212CのノードND23の電位Vxを示している。図12(J)は電荷再生システム80のノードND80の電位Vyを示している。
【0141】
図12(A)~図12(J)において、t21はグローバルサンプリング期間の開始時刻を示している。
時刻t21において、制御信号RSTがHレベルに設定されてリセットトランジスタRST1-Trが導通状態となる。これにより、フローティングディフュージョンFD21が電源線Vddの電位にリセットされる。
また、制御信号sw2がHレベルに設定されてスイッチ素子SW22が導通状態(オン状態)になり、第1の信号保持キャパシタCS21と第2の信号保持キャパシタCS22が短絡(接続)される。これと並行して、制御信号sw3がHレベルに設定されてスイッチ素子SW23が導通状態(オン状態)になる。これにより、第1の信号保持キャパシタCS21と第2の信号保持キャパシタCS22がグランドGNDPIXに接続されて、残差電荷が除去される。
【0142】
図12(A)~図12(J)において、t22はリセット電圧VRSTのサンプリング開始時刻を示している。
時刻t22において、制御信号sw1がHレベルに設定されてスイッチ素子SW21が導通状態(オン状態)になり、第1の画素21の第1の基板110C側の光電変換読み出し部211の出力ノードND21と、第2の基板120C側の信号保持部212Cのサンプルホールド部のノードND23が接続される。
そして、第1の信号保持キャパシタCS21と第2の信号保持キャパシタCS22が、負荷容量と動的な第1の画素アンプ駆動電流源となり、ノードND23の電位VxがVRSTまで上昇する。
その後、制御信号sw2がLレベルに設定されてスイッチ素子SW22が非導通状態(オフ状態)となり、信号保持キャパシタCS22にリセット電圧VRSTがサンプリングされる。
【0143】
図12(A)~図12(J)において、t23は1回目の電荷リサイクル開始時刻を示している。
時刻t23において、制御信号sw4がHレベルに設定されてスイッチ素子SW24が導通状態(オン状態)になり、信号保持キャパシタCS21が外部キャパシタCextに接続され、電荷転送が行われる。
その結果、信号保持部212CのノードND23の電位VxがVREFとなる。
【0144】
図12(A)~図12(J)において、t24は信号電圧VSIGのサンプリング準備期間を示している。
時刻t24において、制御信号sw3がHレベルに設定されてスイッチ素子SW23が導通状態(オン状態)になる。これにより、信号保持キャパシタCS21がグランドGNDPIXに接続されて、残差電荷が除去される。
【0145】
図12(A)~図12(J)において、t25は光信号電荷転送期間を示している。
時刻t25において、制御信号TGがHレベルに設定されて転送トランジスタTG1-Trが導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された光電荷(電子)がフローティングディフュージョンFD21に転送される。
その結果、フローティングディフュージョンFD21の電圧Vfdが電荷量に比例して低下する。
【0146】
図12(A)~図12(J)において、t26は光信号電圧VSIGサンプリング期間の開始時刻を示している。
時刻t26において、制御信号sw1がHレベルに設定されてスイッチ素子SW21が導通状態(オン状態)になり、第1の画素21の第1の基板110C側の光電変換読み出し部211の出力ノードND21と、第2の基板120C側の信号保持部212Cのサンプルホールド部のノードND23が再度接続される。
その結果、ノードND23の電位VxがVSIGまで上昇する。
【0147】
図12(A)~図12(J)において、t27は読み出し期間開始時刻を示している。
時刻t27において、制御信号sw5はHレベルに設定されてスイッチ素子SW25が導通状態(オン状態)になり、信号保持部212Cの出力部と第2の垂直信号線LSGN12が接続される。
その結果、信号保持キャパシタCS22にサンプリングされた電圧に比例した電圧が第2の垂直信号線LSGN12に現れる。
【0148】
図12(A)~図12(J)において、t28はサンプリングされた光信号読み出し開始時刻を示している。
時刻t28において、制御信号sw2がHレベルに設定されてスイッチ素子SW22が導通状態(オン状態)になり、第1の信号保持キャパシタCS21と第2の信号保持キャパシタCS22が短絡(接続)される。
その結果、前記したように信号保持キャパシタCS21とCS22における各々のサンプリング電圧と容量値(通常は両者は同じ値に設計する)に応じて、ノードND23の電位Vxが変化する。制御信号sw5はHレベルであるため、ノードND23の電位Vxに比例した電圧が第2の垂直信号線LSGN12に現れる。
【0149】
図12(A)~図12(J)において、t29は2回目の電荷リサイクル開始時刻を示している。
時刻t29において、制御信号sw2がHレベルの状態で、制御信号sw4がHレベルに設定されてスイッチ素子SW24が導通状態(オン状態)になり、信号保持キャパシタCS21とCS22が外部容量Cextと接続される。
その結果、読み出し動作のために使用され、信号保持キャパシタCS21とCS22に蓄積されていた電荷が外部容量Cextに転送され、再利用するための電荷となる。
また、ノードND23の電位VxはVREFとなる。
【0150】
以上のように、本電荷再生システム80は、外部の大きな容量の外部キャパシタCextに全第1の画素21の信号保持部212Cの信号保持キャパシタ(サンプリング容量)CS21、CS22に溜まった電荷を転送し、自チップのデジタル回路の電源として再利用する。
これにより、チップの消費電力を低減することができる。
【0151】
以上説明した固体撮像装置10は、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0152】
図13は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0153】
本電子機器300は、図13に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)320を有する。
電子機器300は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。
【0154】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0155】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10を搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0156】
10・・・固体撮像装置、20・・・画素部、PD21,PD22・・・フォトダイオード、TG1-Tr、TG2-Tr・・・転送トランジスタ、RST1-Tr,RST2-Tr・・・リセットトランジスタ、SF1-Tr,SF2-Tr,SF3-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、SEL1-Tr,SEL2-Tr,SEL3-Tr・・・選択トランジスタ、FD21,FD22・・・フローティングディフュージョン、21・・・第1の画素、211・・・光電変換読み出し部、212・・・信号保持部、22・・・第2の画素、221・・・光電変換読み出し部、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路(カラム読み出し回路)、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、80・・・電荷再生システム、Cext・・・外部キャパシタ、SW24・・・スイッチ素子、810・・・オーバチャージレギュレート回路、820,830・・・レギュレータ、300・・・電子機器、210・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13