(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉操作装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/18 20140101AFI20220606BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220606BHJP
E05B 81/64 20140101ALI20220606BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220606BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20220606BHJP
【FI】
E05B85/18 D
E05B49/00 J
E05B81/64
E05B85/18 A
B60J5/04 H
B60R25/24
(21)【出願番号】P 2017218458
(22)【出願日】2017-11-13
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】遠山 孝生
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-221960(JP,A)
【文献】実開昭62-169154(JP,U)
【文献】特開昭62-291379(JP,A)
【文献】特開2013-151800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60J 5/00- 5/14
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア内の操作スペースに配置され、ドアに開設された操作開口から操作されてドアを開閉操作するドア操作部と、
閉塞位置において前記操作開口を閉塞するカバー体をドア内方の開放位置まで駆動する電動アクチュエータと、
前記カバー体の開放位置を超えたドア内方への押動操作を検出する押し込み操作検出スイッチと、
前記電動アクチュエータを制御して、車外の利用者の認証を条件に前記カバー体を開放位置まで駆動するとともに、前記押し込み操作検出スイッチによるカバー体の押動操作の検出によりカバー体を閉塞位置側に駆動する制御部とを有する車両用ドア開閉操作装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記押し込み操作検出スイッチによるカバー体の押動操作の検出から適宜時間遅れてカバー体を閉塞位置側に駆動する請求項1記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項3】
前記カバー体には、利用者が所持する電子キーとの交信を開始して該電子キーの認証動作を開始する認証起動スイッチが配置される請求項1または2記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、カバー体の開放位置への駆動に伴ってドアの閉扉状態を維持するドアラッチ装置を解錠状態に移行させる請求項1、2または3記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記押し込み操作検出スイッチによるカバー体の押動操作が検出された際に、ドアの閉扉状態を維持するドアラッチ装置を施錠状態に移行させる
請求項1から4のいずれかに記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項6】
前記カバー体は、閉扉位置側に付勢されて手動による開放位置への移動操作可能であり、
かつ、前記操作スペースには、ドアの閉扉状態を維持するドアラッチ装置を解錠状態に移行させるシリンダ錠が配置される
請求項1から5のいずれかに記載の車両用ドア開閉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア開閉操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の車両用ドア開閉操作装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、車両のドアには開口が開設され、閉じ位置と開き位置との間を回転する意匠カバーにより閉塞される。
【0003】
開口内には第1、第2の検出スイッチが配置されており、第1戻しばねにより閉じ位置側に付勢された意匠カバーを手動により第1戻しばねの反力に抗して開口内に押し込むようにして第1の検出スイッチがON状態となるまで回転操作すると、ユーザ認証が実行され、この後、意匠カバーの開口内への押し込み操作により露出した操作部材を押し込んで第2の検出スイッチをON状態に遷移させることにより電動モータが駆動してドアラッチ装置がアンロック状態となる。
【0004】
また、バッテリ上がり等で電動モータが動かない場合には、ドアに固定されたシリンダ錠を操作して解錠状態に移行させた後、上記操作部材を押し込むことによりドアラッチ装置をアンロック状態に移行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、意匠カバーへの操作は閉じ位置側への付勢力に抗して該意匠カバーを手動で押し込む必要があり、さらに、開口内に押し込んでドアへの操作をした後、手を開口から引き抜こうとすると、意匠カバーも閉扉方向に移動するために、指等を挟む虞があり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、使い勝手の良好な車両用ドア開閉操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
車両のドア1内の操作スペース2に配置され、ドア1に開設された操作開口3から操作されてドア1を開閉操作するドア操作部4と、
閉塞位置において前記操作開口3を閉塞するカバー体5をドア1内方の開放位置まで駆動する電動アクチュエータ6と、
前記カバー体5の開放位置からさらにドア1内方への押動操作を検出する押し込み操作検出スイッチ7と、
前記電動アクチュエータ6を制御して、車外の利用者の認証を条件に前記カバー体5を開放位置まで駆動するとともに、前記押し込み操作検出スイッチ7によるカバー体5の押動操作の検出によりカバー体5を閉塞位置側に駆動する制御部8とを有する車両用ドア開閉操作装置を提供することにより達成される。
【0009】
本発明において、ドア1を開閉操作するドア操作部4は外部への突出を防ぐためにドア1内の操作スペース2に配置され、ドア操作部4への操作を可能にするためにドア1にはカバー体5により閉塞された操作開口3が開設される。
【0010】
閉塞位置において上記操作開口3を閉塞するカバー体5はドア1内方に設定された開放位置に移動可能であり、開放位置への移動により操作開口3は開放され、ドア操作部4への操作が可能になる。
【0011】
ドア操作部4は、ドア1を開放姿勢に移動させる際の手掛部としての機能に加え、ドア1内のドアラッチ装置11のラッチ解除部11a、さらには、ドアラッチ装置11の電動施解錠操作のスイッチ機能等をもたせることができる。
【0012】
カバー体5への操作は電動アクチュエータ6により行われ、これを制御する制御部8は、車外の利用者に対する認証部13における認証が成立すると、カバー体5を閉塞位置から開放位置まで駆動し、さらに、開放位置にあるカバー体5をさらにドア1内方に押し込むことにより該カバー体5を閉塞位置に駆動する。
【0013】
この結果、利用者は付勢力に抗してカバー体5を押し込んだり、あるいは閉塞方向に付勢されるカバー体5に押し付けられた状態で手を操作開口3から引き抜く必要がない上に、カバー体5が開放位置に移動していることによって自身に対する認証が成立していることを知ることができるために、使い勝手が向上する。
【0014】
また、この場合、
前記制御部8は、前記押し込み操作検出スイッチ7によるカバー体5の押動操作の検出から適宜時間遅れてカバー体5を閉塞位置側に駆動する車両用ドア開閉操作装置を構成した場合には、カバー体5の閉塞位置側への移動が遅れるために、手を操作開口3から引き抜くまで時間が確保され、カバー体5に接触することなく手を引き抜くことができる。
【0015】
さらに、
前記カバー体5には、利用者が所持する電子キー9との交信を開始して該電子キー9の認証動作を開始する認証起動スイッチ10が配置される車両用ドア開閉操作装置を構成した場合には、利用者はカバー体5の認証起動スイッチ10を作動させるだけで認証動作が開始されるために、使い勝手が向上する。
【0016】
認証起動スイッチ10には、押釦スイッチの他、静電容量センサ等を使用することができ、認証起動スイッチ10に静電容量センサを使用した場合には、利用者がカバー体5に触れるだけで認証動作を開始させることができる。
【0017】
この場合、
前記制御部8は、カバー体5の開放位置への駆動に伴ってドア1の閉扉状態を維持するドアラッチ装置11を解錠状態に移行させる車両用ドア開閉操作装置を構成した場合には、認証成立と同時にドアラッチ装置11が施錠状態から解錠状態に移行するために、その後、ドア操作部4へのラッチ解除操作、およびドア1の引き出し操作のみでドア1を開放することができる。
【0018】
また、
前記制御部8は、前記押し込み操作検出スイッチ7によるカバー体5の押動操作が検出された際に、ドア1の閉扉状態を維持するドアラッチ装置11を施錠状態に移行させる車両用ドア開閉操作装置を構成することができる。
【0019】
さらに、本発明の他の態様として、
前記カバー体5は、閉扉位置側に付勢されて手動による開放位置への移動操作可能であり、
かつ、前記操作スペース2には、ドア1の閉扉状態を維持するドアラッチ装置11を解錠状態に移行させるシリンダ錠12が配置される車両用ドア開閉操作装置を構成することができる。
【0020】
本発明において、バッテリ上がり等の非常時には、カバー体5を手動によりドア1内に押し込んだ後、シリンダ錠12を真正な解錠キーにより操作してドアラッチ装置11を解錠状態とし、ドア1を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を示す図で、(a)は車両用ドアを正面から見た図、(a)は(a)の1B-1B線断面図である。
【
図3】カバー体を示す図で、(a)は背面図、(b)は(a)の3B-3B線断面図である。
【
図5】伝達部材とカム部材とを示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の5B-5B線断面図である。
【
図6】カバー体が開放位置に移動した状態を示す断面図で、(a)はドア操作部の未操作状態を示す図、(b)はドア操作部を操作した状態を示す図である。
【
図7】カム部材の動作を示す図で、(a)は初期位置を示す図、(b)はカバー体を開放位置に駆動した状態を示す図である。
【
図8】非常時のカム部材の動作を示す
図7に対応する図である。
【
図9】車両用ドア開閉操作装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、ドア1のアウターパネル1aには操作開口3が開設され、ドア1内には操作開口3を介して車外空間に連通する操作スペース2が設定される。
【0023】
車両用ドア開閉操作装置は、ベース体15と、ベース体15に形成される軸受片15aに回転自在に連結されるカバー体5と、駆動部14とを有し、ベース体15を適宜手段で固定することによりドア1に装着される。
【0024】
ベース体15の上端縁部にはドア操作部4が配置される。本例においてドア操作部4は、前後方向に長いレバー形状に形成され、回転軸4aによりベース体15に垂直回転自在に連結される。
【0025】
なお、本明細書において、車両への取付状態を基準に車長方向、すなわち、
図1(a)における左右方向を「前後」、車幅方向における車外方向(
図1(b)における左側)を「正面」、車内方向を「裏面」とする。
【0026】
このドア操作部4は
図1(b)に示す初期回転位置から
図1(b)において反時計方向に回転した動作回転位置まで回転自在であり(
図6(b)参照)、トーションスプリング4bにより初期回転位置側に付勢される。
【0027】
また、
図1(b)に示すように、ドア操作部4は、ベース体15に連結した状態で操作スペース2の天井部に位置しており、下面には指による押し付け操作を容易にするように、長手方向に凹部4cが形成される。
【0028】
さらに、ドア操作部4の前後方向中心部には、連結突部4dが裏面側に突設され、連結突部4dの自由端部にラッチ伝達部材16を連結する連結部4eが形成される。本例においてラッチ伝達部材16にはベース体15に固定されるアウターケーブル16a内にインナーケーブル16bを移動自在に挿通させたケーブル装置が使用されており、インナーケーブル16bの一端が上記連結部4eに、他端がドア1内に固定されてドア1の閉塞状態を維持するためのドアラッチ装置11のラッチ解除部11aに連結される。
【0029】
したがって、本例において、ドア操作部4を裏面方向に押し付けることにより連結部4eは上方に移動してドアラッチ装置11のラッチ解除部11aを作動させてラッチを解除することができ、この状態でドア操作部4に手を掛けて手前側に引くことによりドア1を開放させることができる。
【0030】
なお、以上においてドア操作部4はレバー状に形成される場合を示したが、上述したレバー状部分に加えて手掛用の膨隆部とから構成することができる。この場合、レバー状部分への操作によりドアラッチ装置11のラッチを解除させた後、手掛用の膨隆部に指を掛けてドア1への開放操作力を与えることができる。
【0031】
また、本例においてラッチ伝達部材16にはケーブル装置を使用する場合を示したが、ロッド棒等を使用することもできる。
【0032】
一方、カバー体5は、
図3に示すように、プレート部5aと、プレート部5aの前後両端部裏面から突設される脚部5bとを有する。プレート部5aには、認証起動スイッチ10としての静電容量センサが長手方向ほぼ全長にわたって固定される。
【0033】
脚部5bは自由端部が裏面側に屈曲されて“く”字形状に形成されており、屈曲部に上記カバー体5に連結する回転軸5cの挿通孔5dが形成されるとともに、脚部5bの先端に連結用突部5eが形成される。本例において連結用突部5eは、対向する脚部5b間を架設する杆体として形成される。
【0034】
以上のように形成されるカバー体5は、
図1(b)に示す閉塞位置と、回転軸周りに
図1(b)における時計回りに回転した開放位置(
図6参照)との間で回転可能であり、トーションスプリング17により閉塞位置側に付勢される。
【0035】
このカバー体5は、閉塞位置において
図1(a)に示すように、操作開口3を閉塞する。カバー体5が閉塞位置にあるときにプレート部5aがドア1の表面から突出しないように、プレート部5aは閉塞位置において操作開口3周縁のパネル面と同一面とするのが望ましい。
【0036】
駆動部14は、カバー体5駆動用の電動アクチュエータ6と、この電動アクチュエータ6により駆動されるカム部材18と、カム部材18により上下方向に駆動されるカムフォロア19とを有し、ベース体15に固定されるケース14a内に収容される。本例において電動アクチュエータ6としてはモータが使用される。
【0037】
図4、5に示すように、カム部材18は一端部にギヤ部18aを備えてケース14aに回転自在に連結され、モータの回転軸に固定される図外のギヤ、あるいはギヤ列にギヤ部18aを噛合させることにより回転駆動される。またカム部材18にはギヤ部18aに対する反対端部にカム部18bが、中間部にスイッチ押圧部18cが各々設けられる。カム部18bは、カム部材18の表面側壁面から膨隆する円弧形状に形成される。
【0038】
カムフォロア19は上端にU字形状のカバー係止部19aを備えるとともに、下端にばね受け杆19bを備えており、カム部材18を裏面側から覆うように配置されてケース14a内に上下移動自在に保持される。カム部材18に対するカムフォロア19の上下移動を許容するために、カムフォロア19には上下に長い長孔状の挿通孔19cが開設され、カム部材18の回転中心突部18dが挿通される(
図4参照)。
【0039】
このカムフォロア19は、上記カバー係止部19aをカバー体5の連結用突部5eに係止させることによりカバー体5に連結され、ばね受け杆19bに巻装されて上端がばね受け杆19bの基端に、下端がケース14aのガイド孔14bに当接する圧縮スプリング20により上方に付勢される(
図1(b)参照)。
【0040】
また、カムフォロア19には、
図5に示すように、カム部材18のカム部18bに対応するカム受け部19dが形成されており、上記圧縮スプリング20によりカム受け部19dはカバー体5のカム部18bに圧接する。
【0041】
したがって本例において、電動アクチュエータ6によりカム部材18を
図4において時計回りに回転駆動すると、カム部18bがカムフォロア19のカム受け部19dに当接した後、圧縮スプリング20の反力に抗してカムフォロア19を下方に移動させる。カムフォロア19の下方への移動に伴ってカバー体5は、連結用突部5eが下方に引き下げられ、結果、回転中心周りに
図1(b)において時計回り、すなわち、開放位置方向に回転駆動され、開放位置において停止する。
【0042】
さらに、駆動部14のケース14aには、状態検出部21が形成される。状態検出部21は、各々マイクロスイッチにより形成される初期位置検出スイッチ21a、開放検出スイッチ21b、および押し込み操作検出スイッチ7とから構成され、カム部材18のスイッチ押圧部18cにより押下されてスイッチングされてカム部材18の回転位置が検出される。
【0043】
すなわち、
図7(a)に示すように、カバー体5が閉塞位置にあるときには、カム部材18は回転駆動されず、この状態で初期位置検出スイッチ21aのみがON状態で、開放検出スイッチ21b、および押し込み操作検出スイッチ7はOFF状態となる。この状態からカムによりカバー体5を開放位置まで駆動すると、
図7(b)に示すように、初期位置検出スイッチ21aはOFFに、開放検出スイッチ21bはONに移行し、押し込み操作検出スイッチ7はOFFの状態を保持する。
【0044】
図5(b)に示すように、カバー体5を駆動させるカムフォロア19へのカム部材18による力の伝達は、カム部材18のカム部18bによりカムフォロア19のカム受け部19dを押し付ける接触伝達によるために、カム部材18による押し付け方向(
図5(b)における矢印F方向)に対するカムフォロア19の独立した移動が許容される。
【0045】
この結果、
図7(b)の状態、すなわち、カバー体5を開放位置まで駆動した後、カバー体5をカム部材18による抵抗を受けることなく、さらにドア1内方に押し込むことが可能であり、開放位置を超えてさらにカバー体5を手動で押し込んで回転させると、カバー体5の連結用突部5eは下方に移動し、押し込み操作検出スイッチ7がON状態に移行する。
【0046】
さらに、上記ベース体15にはシリンダ錠12が固定される。シリンダ錠12は真正な解錠キーにより図外のプラグを回転操作可能であり、
図6に示すように、カバー体5が開放位置まで回転した状態で頭部への解錠キーの挿入が可能な位置に配置され、本例においては、操作スペース2の側壁部に頭部が位置するように配置される。
【0047】
図9に示すように、シリンダ錠12は、ロッド、ケーブル装置等の適宜の操作力伝達手段12aによりドアラッチ装置11の施解錠操作部11b、およびラッチ解除部11aを手動操作することができ、まず、シリンダ錠12のプラグを回転操作することにより解錠状態に移行させるとともに、ラッチを解除し、この後、解錠キーを挿入した状態で該解錠キーにドア1開放操作力を加えることによりドア1を開放することができる。
【0048】
さらに、車両用ドア開閉操作装置は制御部8を備える。
図9に示すように、制御部8はCPU8a、およびメモリ8bを構成要素として含み、認証部13、上述したカバー体5駆動用のアクチュエータ6、ラッチ施解錠用のアクチュエータ22を所定の手順で動作させる。また、制御部8は、上記各部の制御に際し、ドア1に対する施解錠状態等を検出する状態監視部23からの出力を参照する。
【0049】
以下、
図9を参照して車両用ドア開閉操作装置の動作を説明する。まず、利用者が車両に乗り込む際には、利用者が閉塞状態のカバー体5に触れると、認証起動スイッチ10としての静電容量センサにより接触が検出され、これを検知した制御部8は認証部13に認証開始指令を出力する。認証開始指令を受領した制御部8は認証部13を起動して該認証部13から利用者が所持する電子キー9に対して認証コード出力要求信号を出力した後、電子キー9からの認証コードの受信を待ち、電子キー9からの認証コードに対する認証が成立すると、制御部8はカバー体5駆動用のアクチュエータ6を駆動してカバー体5を開放位置まで移動させるとともに、ラッチ施解錠用のアクチュエータ22を駆動してドアラッチ装置11を解錠する。
【0050】
なお、本例において、認証部13における認証開始を認証起動スイッチ10への接触により行う場合を示したが、利用者が所持する電子キー9からのアクティブ信号、すなわち、認証部13からの認証コード出力要求を待たずに認証コードを出力するように構成することもできる。
【0051】
この状態で利用者がドア操作部4を操作すると、ドアラッチ装置11のラッチが解除され、次いで、ドア操作部4を引くようにしてドア1を回転させることによりドア1を開放することができる。
【0052】
以上のようにしてドア1を開放して車内に乗り込んだ後、シフトレバーへの操作、あるいはインサイドハンドルへの施錠操作が行われて状態監視部23により検知され、かつ、状態検出部21の開放検出スイッチ21bがONである場合、制御部8はカバー体5駆動用のアクチュエータ6を閉塞位置側に駆動する。アクチュエータ6の駆動によりトーションスプリング17により閉塞位置側に付勢されたカバー体5は支えを失って付勢力により閉塞位置に移動し、操作開口3が閉塞される。
【0053】
一方、利用者が降車する場合、上記状態監視部23がインサイドハンドルへの操作、あるいは該インサイドハンドルへの解錠操作を検出すると、制御部8は状態検出部21の初期位置検出スイッチ21aがONであることを条件にカバー体5駆動用のアクチュエータ6を駆動し、カバー体5を開放位置に移動させる。
【0054】
この後、利用者が降車してカバー体5を開放位置からさらにドア1内方に押し込むと、上述したように、押し込み操作検出スイッチ7がON状態となり、これを検出した制御部8は、ラッチ施解錠用のアクチュエータ22を駆動してドアラッチ装置11を施錠状態に遷移させる。また、制御部8は、押し込み操作検出スイッチ7のON状態への変化を検知すると、図外のタイマを起動して計時動作を開始し、所定の設定時間が経過した後、カバー体5駆動用のアクチュエータ6を作動させてカバー体5を閉塞位置に移動させる。
【0055】
このように、カバー体5の閉塞方向への移動タイミングを施錠操作から所定時間(1ないし2秒程度)遅らせることにより、操作開口3から手を抜く時間が確保されるために、手のカバー体5への衝接を確実に防ぐことができる。
【0056】
なお、施錠操作はカバー体5への操作によることなく、上述した電子キー9からのアクティブ信号により行うことが可能で、電子キー9を使用したリモコン操作のみにより施錠操作を行う場合には、室内側からのインサイドハンドルへの操作があってもカバー体5の開放操作を行うことなく、リモコン操作による施錠操作のみを待つように構成することもできる。
【0057】
さらに、例えば、アクティブ動作専用の電子キー9のバッテリが上がった場合には、上述したように、カム部材18のカム部18bの位置にかかわらず、
図8に示すように、カバー体5への内方への押し込み操作が許容され、この状態からシリンダ錠12に解錠キーを挿入して手動によりドアドアラッチ装置11の施解錠操作部11b、およびラッチ解除部11aを操作することによりドア1の開放操作を行うことができ、車内に乗り込んだ後には、通常の車内でのシフトレバー等への操作による状態監視部23の状態遷移をトリガとしてカバー体5駆動用のアクチュエータ6を作動させてカバー体5の閉塞動作が行われる。
【符号の説明】
【0058】
1 ドア
2 操作スペース
3 操作開口
4 ドア操作部
5 カバー体
6 電動アクチュエータ
7 押し込み操作検出スイッチ
8 制御部
9 電子キー
10 認証起動スイッチ
11 ドアラッチ装置
12 シリンダ錠