IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソーラーフロンティア株式会社の特許一覧

特許7083631パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法
<>
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図1
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図2
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図3
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図4
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図5
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図6
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図7
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図8
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図9
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図10
  • 特許-パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】パネル状部材用の固定具及びパネル状部材の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20220606BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20220606BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
F16B2/12 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017235191
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019100150
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】白井 哲之
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163080(JP,A)
【文献】特開2001-193231(JP,A)
【文献】米国特許第08740163(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
E04D 13/00
H02S 20/23
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に形成された凸部を挟む第1脚部及び第2脚部と、
第1パネル状部材を積載する第1積載部と、を有し、
前記第1脚部は、前記第1積載部に積載された前記第1パネル状部材の表面に沿った方向であって、前記第1積載部に積載される前記第1パネル状部材の側辺に交差する方向に、前記第2脚部に関してスライド可能に構成されており、
前記第1脚部は、前記第1積載部と重なりかつ前記凸部を挿入可能な第1状態と、前記第1状態よりも前記第2脚部に対して近接し、前記第1積載部に積載される前記第1パネル状部材の表面に直交する方向から見て前記第1パネル状部材の外側に位置する第2状態と、の間で可動する、パネル状部材用の固定具。
【請求項2】
前記第1脚部と前記第2脚部のうちの一方は、前記第1脚部のスライド方向に沿って延びた突出部を有し、
前記第1脚部と前記第2脚部のうちの他方は、前記スライド方向に沿って延び前記突出部を受け入れる挿入口を有する、請求項1に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項3】
前記第1脚部と前記第2脚部とを互いに締結する締結部材を有し、
前記締結部材が挿入される孔部は、前記突出部に設けられている、請求項2に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項4】
前記第1脚部と前記第2脚部とを互いに締結する締結部材を有し、
前記第1脚部は、前記締結部材の操作によって前記第1状態と前記第2状態との間で可動するよう構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項5】
前記締結部材は、第1脚部に形成された孔部及び前記第2脚部に形成された孔部に挿入される芯部と、前記締結部材の締結を操作する頭部と、を有し、
前記締結部材は、前記頭部が前記第1積載部とは反対側に向くように配置されている、請求項3又は4に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項6】
前記第1積載部に積載された前記第1パネル状部材と隣接する第2パネル状部材を積載する第2積載部を有し、
前記第2積載部は、前記第2脚部の上方に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項7】
前記第2脚部、前記第1積載部及び前記第2積載部は一体に形成されている、請求項6に記載のパネル状部材用の固定具。
【請求項8】
前記第2脚部及び前記第2積載部は一体に形成されており、前記第1積載部は前記第2積載部とは別体で形成されている、請求項6に記載のパネル用の固定具。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のパネル状部材用の固定具と、第1パネル状部材と、を準備するステップと、
前記パネル状部材用の固定具の前記第1積載部に前記第1パネル状部材を取り付けた状態で、前記第1状態における前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記設置面に形成された前記凸部を挿入するステップと、
前記第1脚部と前記第2脚部との間に挿入された前記凸部を挟むように、前記第1脚部及び前記第2脚部を閉じるステップと、を有する、パネル状部材の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば太陽電池モジュールのようなパネル状部材用の固定具と、当該固定具を用いたパネル状部材の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池モジュールは、様々な種類の屋根に設置されることがある。太陽電池モジュールは、例えば立馳を有する非平坦な金属屋根(折板屋根)上に設置されることもある。そのため、例えば立馳のような凸部を掴むように構成された太陽電池モジュール用の固定具が開発されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された取付け金具は、立馳に固定した固定具と、固定具上に設けられたチャンネル材(柱状部材)と、チャンネル材上に設けられた載置具及び固定板と、を有する。チャンネル材は、立馳が延びる方向と直交する方向に延びており、固定具を介して立馳に固定されている。載置具及び固定板は、太陽電池モジュールの端部を載置固定するものであり、取付け用ボルトによってチャンネル材に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-154584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、鋭意研究の結果、以下のような課題を見出した。すなわち、特許文献1に記載されたような固定具を使用する場合、太陽電池モジュールのようなパネル状部材の施工時に、施工場所(設置面)に固定具を取り付け、それから固定具にパネル状部材を取り付ける。また、この代わりに、パネル状部材の施工時の手間を省略するため、予めパネル状部材に固定具を取り付けておくことも考えられる。この場合、施工時には、パネル状部材に取り付けられた固定具を設置面の凸部に取り付けることで、パネル状部材を設置面に設置することができる。しかしながら、この場合には、複数のパネル状部材を搬送するための輸送コストが増してしまうことがわかった。これは、パネル状部材に固定具が取り付けられているため、複数のパネル状部材を互いに重ねる際に、パネル状部材どうしの間に固定具が挟まり、一度に輸送可能なパネル状部材の数が減少するからである。
【0006】
したがって、施工時の手間を省略しつつも、パネル状部材の輸送性を向上させることが可能な固定具を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る固定具は、設置面に形成された凸部を挟む第1脚部及び第2脚部と、第1パネル状部材を積載する第1積載部と、を有する。前記第1脚部及び前記第2脚部は、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記凸部を挿入可能な第1状態と、前記第1積載部に積載される前記第1パネル状部材の表面に直交する方向から見て前記第1パネル状部材の外側に配置される第2状態 と、の間で可動するよう構成されている。
【0008】
一態様に係るパネル状部材の設置方法は、上述したパネル状部材用の固定具と、第1パネル状部材と、を準備するステップと、前記パネル状部材用の固定具の前記第1積載部に前記第1パネル状部材を取り付けた状態で、前記第1状態における前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記設置面に形成された前記凸部を挿入するステップと、前記第1脚部と前記第2脚部との間に挿入された前記凸部を挟むように、前記第1脚部及び前記第2脚部を閉じるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、施工時の手間を省略しつつも、パネル状部材の輸送性を向上させることが可能な固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具によって設置面に取り付けられたパネル状部材を示す斜視図である。
図2図1の2A-2A線に沿った断面図である。
図3】第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具の分解断面図である。
図4】第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具を構成する第1脚部の斜視図である。
図5】第1脚部及び第2脚部との間に凸部を挿入可能な第1状態における固定具の断面図である。
図6】第1脚部及び第2脚部が第1積載部に積載される第1パネル状部材に直交する方向から見て第1パネル状部材の外側に配置される第2状態における固定具の断面図である。
図7】固定具が取り付けられた複数のパネル状部材が互いに重ねられた状態を示す図である。
図8】第1実施形態に係る固定具を用いてパネル状部材を設置面に設置する方法の一ステップを説明するための図である。
図9図8に示すステップに続くステップを説明するための図である。
図10】第1脚部及び第2脚部との間に凸部を挿入可能な第1状態における第2実施形態に係る固定具の断面図である。
図11】第1脚部及び第2脚部が第1積載部に積載される第1パネル状部材に直交する方向から見て第1パネル状部材の外側に配置される第2状態における第2実施形態に係る固定具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0012】
(1)第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具によって設置面12に取り付けられたパネル状部材を示す斜視図である。図2は、図1の2A-2A線に沿った断面図である。図3は、第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具の分解断面図である。図4は、第1実施形態に係るパネル状部材用の固定具を構成する第1脚部の斜視図である。
【0013】
本実施形態において、パネル状部材20は固定具100によって屋根10に設置される。具体的には、屋根10は、固定具100が置かれる設置面12と、設置面12から突出し、一方向に延びる複数の凸部14と、を有する。本実施形態では、設置面12の凸部14は立馳により形成されているが、これに限定されるものではない。本発明のパネル状部材用の固定具は、前述した構造を有する屋根に限られず、任意の形状の凸部14を有する設置面12上に設置可能である。
【0014】
パネル状部材20は、例えば太陽電池モジュールであってよい。複数の互いに隣接するパネル状部材20が設置面12上に設けられていてよい。各々のパネル状部材20は、パネル22と、パネルの側部に取り付けられたフレーム21と、を有していてよい。固定具100は、パネル状部材20の側部、具体的にはパネル22に平行な面内における外縁部に設けられたフレーム21を支持するよう構成されていてよい。各々のパネル状部材20は、複数の固定具100によって支持されている。各々の固定具100は、一方向に延びた凸部14上の任意の位置に設置可能である。
【0015】
固定具100は、第1脚部110と第2脚部120を有する。第1脚部110及び第2脚部120は、設置面12に形成された凸部14を挟み込み可能に構成されている。
【0016】
具体的には、第1脚部110は、設置面12に対向する第1底部111と、凸部14に接する第1把持部112と、を有していてよい。第1把持部112は、第1底部111の一端に配置されていてよい。第2脚部120は、設置面12に対向する第2底部121と、凸部14に接する第2把持部122と、を有していてよい。第2把持部122は、第1把持部112に対向しており、第2底部121の一端に配置されていてよい。固定具100が設置面12に取り付けられた状態では、凸部14は、第1把持部112と第2把持部122とによって挟まれた状態になる(図2参照)。
【0017】
固定具100は、第1パネル状部材20を積載する第1積載部128aと、第1パネル状部材20と隣接する第2パネル状部材20を積載する第2積載部128bと、を有していてよい。第1積載部128aは、第1パネル状部材20を載せる部分であり、第1パネル状部材20を載せた状態で第1パネル状部材20と接する領域によって規定される。同様に、第2積載部128bは、第2パネル状部材20を載せる部分であり、第2パネル状部材20を載せた状態で第2パネル状部材20と接する領域によって規定される。
【0018】
第2積載部128bは、第2脚部120の上方に配置されている。第1積載部128aは、第2脚部120よりも第1脚部110の近くに配置されている。本実施形態では、第1積載部128a及び第2積載部128bは、第2脚部120と一体的に形成されている。
【0019】
固定具100は、第1積載部128aと第2積載部128bとの間で上方に向かって突出した壁部126を有していてよい。壁部126は、第1積載部128aに積載された第1パネル状部材20と、第2積載部128bに積載された第2パネル状部材20との間に位置する。壁部126は、第1パネル状部材20と第2パネル状部材20の側面のそれぞれに当接するよう構成されていてよい。本実施形態では、壁部126は、第2脚部120と一体的に形成されている。
【0020】
固定具100は、第1フランジ129aと第2フランジ129bを有していてよい。第1フランジ129aは、第1積載部128aに対向し、第1積載部128aに積載された第1パネル状部材20の上方を覆う。第2フランジ129bは、第2積載部128bに対向し、第2積載部128bに積載された第2パネル状部材20の上方を覆う。
【0021】
本実施形態では、第1フランジ129aと第2フランジ129bは、互いに一体的に形成されたフランジ部材129によって構成されている。フランジ部材129は、第2脚部120とは別体であり、壁部126の上部に第2締結部材150によって取り付けられていてよい。これにより、第1脚部110と第2脚部120とによって固定具100が設置面12に固定された状態であっても、第2締結部材150を取り外すことによって、フランジ部材129のみを取り外すことが可能である。フランジ部材129のみを取り外すことによって、固定具100が設置面12に固定された状態であっても、パネル状部材20を固定具100から取り外すことができる。したがって、故障や老朽化したパネル状部材の交換作業を容易に行うことができる。
【0022】
なお、パネル状部材の交換の必要がない場合、フランジ部材129は、壁部126と一体的に形成されていてもよい。また、第1フランジ129aと第2フランジ129bのいずれか一方のみが設けられていてもよく、あるいは第1フランジ129aと第2フランジ129bの両方、つまりフランジ部材129が設けられなくてもよい。
【0023】
次に、第1脚部110及び第2脚部120との間に凸部14を挿入可能な第1状態と、第1積載部128aに積載される第1パネル状部材20に直交する方向から見て第1パネル状部材20の外側に配置される第2状態とについて説明する。本実施形態では、第2状態は、第1脚部110及び第2脚部120との間に凸部14を挿入不能な閉状態であるが、必ずしも第2状態が閉状態である必要はない。図5は、第1状態における固定具100の断面図である。図6は、第2状態における固定具100の断面図である。第1脚部110は、第1状態と第2状態との間で可動するよう構成されている。
【0024】
固定具100は、第1脚部110と第2脚部120とを互いに締結する第1締結部材140を有する。第1脚部110は、第1締結部材140が挿入される孔部115を有する。第2脚部120は、第1締結部材140が挿入される孔部125を有する。
【0025】
本実施形態に係る固定具では、第1脚部110及び第2脚部120は、第1状態と第2状態との間で可動するよう構成されている。具体的には、第1脚部110及び第2脚部120は、第1締結部材140の操作によって第1状態と第2状態との間で可動するよう構成されていることが好ましい。
【0026】
第1締結部材140は、第1脚部110に形成された孔部115及び第2脚部120に形成された孔部125に挿入される芯部と、第1締結部材140の締結を操作する頭部と、を有していてよい。一例として、芯部は、ねじ切りされており、頭部の回転によって回転する。これにより、頭部の回転操作により第1締結部材140を締結したり緩めたりすることができる。また、第1締結部材140は、後述するように、頭部が第1積載部128aとは反対側に向くように配置されていることが好ましい。
【0027】
第1脚部110は、第2脚部120に関してスライド可能に構成されていてよい。具体的には、第1脚部110は、第1底部111よりも上方で、第1脚部110のスライド方向に沿って延びた突出部114を有している。一方、第2脚部120は、第2底部121よりも上方で、第1脚部110のスライド方向に沿って延び、第1脚部110の突出部114を受け入れる挿入口124を有していてよい。これにより、第1脚部110の突出部114が、第2脚部120の挿入口124に挿入された状態になっている。第1脚部110はこの状態で第2脚部120に関してスライド可能に構成されている。
【0028】
この場合、第1締結部材140が挿入される孔部115は、突出部114に形成されていてよく、孔部125は、第2脚部120の、孔部115に対向する位置に形成されていてよい。
【0029】
上述したように、第1脚部110が第2脚部120に関してスライド可能に構成されることによって、固定具100が設置面12に取り付けられる前の状態、すなわち第1締結部材140が緩められた第1状態であっても、第1脚部110と第2脚部120のがたつきを抑制することができる。これにより、固定具100を設置面12の凸部14に取り付けるための作業性を向上させることができる。
【0030】
なお、図示した態様では、第1脚部110が突出部114を有し、第2脚部120が突出部114を受け入れる挿入口124を有している。この代わりに、第2脚部120が突出部を有し、第1脚部110が当該突出部を受け入れる挿入口を有していてもよい。すなわち、第1脚部110と第2脚部120のうちの一方が、第1脚部110のスライド方向に沿って延びた突出部114を有し、第1脚部110と第2脚部120のうちの他方が突出部110を受け入れる挿入口124を有していてよい。
【0031】
図6に示すように、第1脚部110及び第2脚部120は、第2状態において、第1積載部128aに積載される第1パネル状部材20の表面に直交する方向(図2の上下方向)から見て、第1パネル状部材20の外側に配置されるよう構成されている。具体的には、第1脚部110及び第2脚部120は、第2状態において、第1積載部128aに積載される第1パネル状部材20の表面に直交する方向(図2の上下方向)から見て、第1積載部128aに積載された第1パネル状部材20と壁部126との当接面の位置RFに関して第1積載部128aとは反対側に位置する。これにより、以下に説明するように、固定具100が取り付けられた複数のパネル状部材を互いに密に重ねることができ、設置前のパネル状部材の搬送性を向上させることができる。
【0032】
図7は、固定具が取り付けられた複数のパネル状部材が互いに重ねられた状態を示す図である。図7では、4つのパネル状部材20が互いに重ねられている。なお、図7では、パネル状部材20の中央付近が省略して描かれていることに留意されたい。
【0033】
図7において、各々のパネル状部材20の一外縁部のみに固定具100が取り付けられている。言い換えると、固定具100の第1積載部128aのみにパネル状部材20が取り付けられている。ここで、パネル状部材20は、互いに隣接するパネル状部材に取り付けられた固定具100が互いに反対側に位置する向きで、互いに積層される。パネル状部材20に取り付けられた固定具100の第1脚部110及び第2脚部120は、第2状態にある。前述したように、第1脚部110は、第2状態において、第1積載部128aに積載された第1パネル状部材20と壁部126との当接面の位置RFよりも第2脚部120側に位置する。したがって、パネル状部材20どうしを互いに積み重ねると、図7に示すように、固定具100は、パネル状部材20どうしの間ではなく、パネル状部材20の外側に位置する。このように、パネル状部材20を高さ方向に密に重ねることができるため、多くのパネル状部材を積載可能となり、パネル状部材の搬送性の向上及び輸送コストの低下が実現される。
【0034】
(2)パネル状部材の設置方法
前述したパネル状部材用の固定具100を用いたパネル状部材20の設置方法について図8及び図9を参照して以下に説明する。本実施形態に係るパネル状部材20の設置方法では、パネル状部材20は、凸部14を有する設置面12に設置される。
【0035】
まず、パネル状部材20とパネル状部材用の固定具100を準備する。前述したようにパネル状部材20の一外縁部のみに固定具100が予め取り付けられていることが好ましい。次に、設置面12の凸部14に、パネル状部材20に取り付けられていない固定具100を設置する。
【0036】
次に、パネル状部材用の固定具100が取り付けられたパネル状部材の側縁部、具体的にはパネル状部材用の固定具100が取り付けられた側縁部とは反対側の側縁部を、設置面12に先に設置された固定具100の第2積載部128bに積載する。
【0037】
次に、第2積載部128bに積載されたパネル状部材20のもう一方の側縁部に取り付けられているパネル状部材用の固定具100を、設置面12の凸部14に取り付ける(図8参照)。具体的には、パネル状部材用の固定具100の第1脚部110と第2脚部120とを第1状態にした状態で、第1脚部110と第2脚部120との間の隙間に凸部14を挿入する。上述したように、第1脚部110が第2脚部120に関してスライド可能に構成されていれば、第1状態における第1脚部110及び第2脚部120が自然と第2状態に移行されないため、作業者は、パネル状部材を両手で持った状態で第1脚部110と第2脚部120との間の隙間に凸部14を容易に挿入することができる。
【0038】
次に、第1脚部110と第2脚部120との間に挿入された凸部14を挟むように、第1脚部110及び第2脚部120を閉じる。ここで、前述したように、第1締結部材140の頭部が第1積載部128aとは反対側に向くように配置されている場合、作業者は、固定具100の第1積載部128aとは反対側から工具を用いて、第1締結部材140を操作することによって第1脚部110及び第2脚部120を閉じることができる。ここで、固定具100の第1積載部128aとは反対側、すなわち第2積載部128b上には未だ第2パネル状部材20が積載されていない状態であるため、作業者は、容易に第1締結部材140の頭部にアクセスすることができる。
【0039】
次に、パネル状部材用の固定具100の第2積載部128bに第2パネル状部材20を積載する(図9参照)。ここで、第2パネル状部材20の、第2積載部128bに積載される側の側縁部とは反対側の側縁部には、パネル状部材用の固定具100が予め取り付けられていることが好ましい。次に、前述した方法と同様に、第2パネル状部材に予め取り付けられていたパネル状部材用の固定具100を、設置面12の凸部14に取り付ける。
【0040】
前述した作業を繰り返すことによって、凸部14を有する設置面12上に所定数のパネル状部材20を設置することができる。
【0041】
(3)第2実施形態
以下、図10及び図11を参照して、第2実施形態に係るパネル状部材用の固定具について説明する。なお、第1実施形態と同様な構成については、同じ符号が付されており、その説明を省略することがある。
【0042】
図10は、第1脚部及び第2脚部との間に凸部を挿入可能な第1状態における第2実施形態に係る固定具の断面図である。図11は、第1脚部及び第2脚部が第1積載部に積載される第1パネル状部材に直交する方向から見て第1パネル状部材の外側に配置される第2状態における第2実施形態に係る固定具の断面図である。
【0043】
固定具100は、第1脚部110と第2脚部120を有する。第1脚部110及び第2脚部120が第1状態と第2状態との間で可動するよう構成されていることについては、第1実施形態と同様である。
【0044】
第2実施形態では、第2積載部128b及び第2フランジ129bは、第2脚部120と一体的に形成されている。一方、第1積載部128aは、第1脚部110及び第2脚部120と別体に形成されている。
【0045】
この場合であっても、第1パネル状部材20と第2パネル状部材20のうちの一方のパネル状部材に固定具100を取り付けた状態で、固定具100を設置面12の凸部14に固定することができる。また、固定具100を設置面12に取り付けた状態でパネル状部材20を交換する際には、締結部材150を取り外すことなく、固定具100から第1パネル状部材20を取り外すことも可能である。
【0046】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0047】
上述した実施形態によれば、以下の発明も考えられる。すなわち、一態様に係るパネル状部材用の固定具は、設置面に形成された凸部を挟む第1脚部及び第2脚部と、第1パネル状部材を積載する第1積載部と、を有し、前記第1脚部及び前記第2脚部は、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記凸部を挿入可能な開状態と、前記第1脚部と前記第2脚部との間に前記凸部を挿入不能な閉状態との間で可動するよう構成されており、前記第1脚部は、前記第2脚部に関してスライド可能に構成されている。
【0048】
この態様に係るパネル状部材用の固定具によれば、第1脚部と第2脚部が水平方向に沿った回動軸、例えば締結部材のまわりに回動可能に構成された固定具よりも作業性を向上させることができる。すなわち、このように回動可能に構成された固定具では、締結部材を緩めた状態で重力の作用によって第1脚部と第2脚部が互いに閉じた状態になるため、固定具を設置面の凸部に取り付ける際に、作業員の手によって第1脚部と第2脚部が互いに開くよう操作しなければならない。その一方で、前述したように、第1脚部110が第2脚部120に関してスライド可能に構成されている場合、重力の影響で開状態から閉状態へ自然と移行し難いため、固定具100を設置面12の凸部14に取り付けるための作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0049】
12 設置面
14 凸部
20 パネル状部材
100 固定具
110 第1脚部
120 第2脚部
128a 第1積載部
128b 第2積載部
140 第1締結部材
150 第2締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11