(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】データ送信モジュール、無線送信方法及び無線送信システム
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20220606BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20220606BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220606BHJP
G01B 3/18 20060101ALI20220606BHJP
G01B 3/20 20060101ALI20220606BHJP
【FI】
G08C19/00 G
G08C17/00 Z
G08C15/00 E
G01B3/18 102
G01B3/20 101A
(21)【出願番号】P 2017242555
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ネイハム
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-85735(JP,A)
【文献】特開2005-92555(JP,A)
【文献】米国特許第7271677(US,B2)
【文献】特開2000-76577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
G01B 3/18- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ式携帯測定機器から測定データを入力し、対応する測定データ信号をリモートデータノードに無線送信するデータ送信モジュールであって、
前記リモートデータノードは、少なくとも1つのエネルギー供給フィールドを生成するよう構成され、前記データ送信モジュールから前記測定データ信号を無線受信するよう構成され、
前記データ送信モジュールは、
前記バッテリ式携帯測定機器に物理的に接続されるよう構成された本体部と、
前記リモートデータノードから前記エネルギー供給フィールドを受信するよう構成されたフィールド受信部と、
前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する無線データ生成部と、
前記バッテリ式携帯測定機器のデータコネクタと接続するよう構成されたデータコネクタを有するデータ送信/エネルギー管理回路であって、
前記フィールド受信部が受信した前記フィールドからエネルギーを発電し、前記発電したエネルギーの少なくとも一部を前記データ送信モジュール内に蓄電し、前記発電したエネルギーを管理し、
前記リモートデータノードとの間で通信接続を確立し、
前記データコネクタを介して前記バッテリ式携帯測定機器からの前記測定データを入力し、
前記入力した測定データに対応する前記測定データ信号を、前記無線データ生成部を用いて、前記リモートデータノードに無線送信する
動作を実行する前記データ送信/エネルギー管理回路と
を具備し、
前記データ送信モジュールは、前記リモートデータノードから特定距離内に無いとき非アクティブであり、前記特定距離内に入るとアクティブになり前記リモートデータノードとの間で前記通信接続を確立して前記測定データ信号を無線送信し、
前記バッテリ式携帯測定機器は、前記データ送信モジュールとは独立のバッテリにより駆動し、前記測定データを内蔵ディスプレイに表示するよう構成され、
前記無線データ生成部は、前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する際、以下のa)、b)又はc)、即ち
a) 前記発電したエネルギー、
b) 前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドの変調反射、若しくは、前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドとの結合、又は
c) a)及びb)の組み合わせ
のみを使用するよう構成される
データ送信モジュール。
【請求項2】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記データ送信モジュールは、ケミカルバッテリを含まない
データ送信モジュール。
【請求項3】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記データ送信モジュールが、前記測定データ信号を前記リモートデータノードに送信するのに使うエネルギーの、少なくとも大部分は、
b) 前記フィールド受信部が前記リモートデータノードから受信した電磁エネルギーの変調反射、又は、前記フィールド受信部が前記リモートデータノードから受信した前記電磁エネルギーとの結合
により得られる
データ送信モジュール。
【請求項4】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記リモートデータノードが生成する前記エネルギー供給フィールドは、振動磁場であり、
前記フィールド受信部は、少なくとも1つの電気ループと、前記振動磁場と誘電結合するよう構成された共振回路とを有する
データ送信モジュール。
【請求項5】
請求項4に係るデータ送信モジュールであって、
前記データ送信モジュールが、前記測定データ信号を前記リモートデータノードに送信するのに使うエネルギーの少なくとも大部分は、
a) 前記データ送信モジュール内に蓄電した前記エネルギー
により得られる
データ送信モジュール。
【請求項6】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記リモートデータノードが生成する前記エネルギー供給フィールドの電磁エネルギーは、電磁放射であり、
前記フィールド受信部は、アンテナを有する
データ送信モジュール。
【請求項7】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記本体部は、さらに、前記バッテリ式携帯測定機器のデータ接続部に電気的に接続するよう構成される
データ送信モジュール。
【請求項8】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記バッテリ式携帯測定機器は、ノギス又はマイクロメータであり、
前記測定データは、測定対象物の物理的寸法に関する
データ送信モジュール。
【請求項9】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記フィールド受信部が受信した前記エネルギーが閾値レベルを下回ったと判断した場合、前記測定データ信号を前記リモートデータノードに無線送信する動作を、中断及び/又は中止する
データ送信モジュール。
【請求項10】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記本体部は、前記バッテリ式携帯測定機器の後部に物理的に接続されるよう構成され、
前記バッテリ式携帯測定機器の前記後部は、前記バッテリ式携帯測定機器の前部に設けられた前記内蔵ディスプレイに対して反対側である
データ送信モジュール。
【請求項11】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記バッテリ式携帯測定機器の後部は、後面を有し、
前記データ送信モジュールが前記バッテリ式携帯測定機器の前記後部に物理的に接続されたとき、前記フィールド受信部及び前記無線データ生成部の少なくとも何れか一方は、前記バッテリ式携帯測定機器の前記後面に対して略平行な面に配置される
データ送信モジュール。
【請求項12】
請求項
11に係るデータ送信モジュールであって
、
前記フィールド受信部及び前記無線データ生成部の少なくとも何れか一方は、前記後面から少なくとも4ミリメートルの離間距離をおいて配置される
データ送信モジュール。
【請求項13】
請求項1に係るデータ送信モジュールであって、
前記リモートデータノードは、物理的に分離した少なくとも2つの部位を有し、
前記少なくとも2つの部位のうち第1の部位は、フィールド生成部を有し、少なくとも1つのエネルギー供給フィールドを生成するよう構成され、
前記少なくとも2つの部位のうち第2の部位は、前記データ送信モジュールから前記測定データ信号を無線受信するよう構成される
データ送信モジュール。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に係るデータ送信モジュールであって、
前記データ送信モジュールは、前記特定距離内に入るとアクティブになると、前記リモートデータノードからの受信を受けて前記エネルギーの発電を開始する
データ送信モジュール。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に係るデータ送信モジュールであって、
前記データ送信モジュールが発電したエネルギーの所定量をリモートデータノードが受信することにより、前記通信接続の確立を開始する
データ送信モジュール。
【請求項16】
データ送信モジュールを用いて、バッテリ式携帯測定機器からリモートデータノードに測定データ信号を無線送信する無線送信方法であって、
前記リモートデータノードは、エネルギー供給フィールドを生成するよう構成され、前記データ送信モジュールから前記測定データ信号を無線受信するよう構成され、
前記データ送信モジュールは、
前記バッテリ式携帯測定機器に物理的に接続されるよう構成された本体部と、
前記リモートデータノードから前記エネルギー供給フィールドを受信するよう構成されたフィールド受信部と、
前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する無線データ生成部と、
前記バッテリ式携帯測定機器のデータコネクタと接続するよう構成されたデータコネクタを有するデータ送信/エネルギー管理回路と
を有し、
前記無線送信方法は、
前記リモートデータノードが生成して前記データ送信モジュールの前記フィールド受信部が受信した前記エネルギー供給フィールドからエネルギーを発電し、前記発電したエネルギーの少なくとも一部を前記データ送信モジュール内に蓄電し、
前記データ送信モジュールと前記リモートデータノードとの間で通信接続を確立し、
前記データ送信モジュールの前記データコネクタを介して前記バッテリ式携帯測定機器からの前記測定データを入力し、
前記入力した測定データに対応する前記測定データ信号を、前記無線データ生成部を用いて、前記リモートデータノードに無線送信し、
前記データ送信モジュールは、前記リモートデータノードから特定距離内に無いとき非アクティブであり、前記特定距離内に入るとアクティブになり前記リモートデータノードとの間で前記通信接続を確立して前記測定データ信号を無線送信し、
前記無線データ生成部は、前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する際、以下のa)、b)又はc)、即ち
a) 前記発電したエネルギー、
b) 前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドの変調反射、若しくは、前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドとの結合、又は
c) a)及びb)の組み合わせ
を使用するよう構成される
無線送信方法。
【請求項17】
請求項16に記載の無線送信方法であって、
前記バッテリ式携帯測定機器は、前記データ送信モジュールとは独立のバッテリにより駆動し、
前記バッテリ式携帯測定機器は、前記測定データ信号に対応する測定データを内蔵ディスプレイに表示するよう構成される
無線送信方法。
【請求項18】
請求項16に記載の無線送信方法であって、
前記データ送信モジュールは、ケミカルバッテリを含まない
無線送信方法。
【請求項19】
測定データ信号をリモートデータノードに無線送信する無線送信システムであって、前記無線送信システムは、
データ送信モジュールと、
エネルギー供給フィールドを生成し、測定データ信号を無線受信するよう構成されたリモートデータノードと、
前記データ送信モジュールとは独立のバッテリにより駆動し、ワークピースを測定して対応する測定データを内蔵ディスプレイに表示するよう構成されたバッテリ式携帯測定機器と
を具備し、
前記データ送信モジュールは、
前記バッテリ式携帯測定機器に物理的に接続されるよう構成された本体部と、
前記リモートデータノードから前記エネルギー供給フィールドを受信するよう構成されたフィールド受信部と、
前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する無線データ生成部と、
前記バッテリ式携帯測定機器のデータコネクタと接続するよう構成されたデータコネクタを有するデータ送信/エネルギー管理回路であって、
前記リモートデータノードが生成して前記フィールド受信部が受信した前記エネルギー供給フィールドからエネルギーを発電し、前記発電したエネルギーの少なくとも一部を前記データ送信モジュール内に蓄電し、
前記リモートデータノードとの間で通信接続を確立し、
前記データコネクタを介して前記バッテリ式携帯測定機器からの前記測定データを入力し、
前記入力した測定データに対応する前記測定データ信号を、前記無線データ生成部を用いて、前記リモートデータノードに無線送信する
動作を実行する前記データ送信/エネルギー管理回路と
を有し、
前記データ送信モジュールは、前記リモートデータノードから特定距離内に無いとき非アクティブであり、前記特定距離内に入るとアクティブになり前記リモートデータノードとの間で前記通信接続を確立して前記測定データ信号を無線送信し、
前記無線データ生成部は、前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する際、以下のa)、b)又はc)、即ち
a) 前記発電したエネルギー、
b) 前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドの変調反射、若しくは、前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドとの結合、又は
c) a)及びb)の組み合わせ
を主に使用するよう構成される
無線送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年10月22日に出願された米国特許出願第14/521,330号(発明の名称「小型測定機器の測定値送信システム」)の一部継続出願に基づくものであり、ここに本明細書の一部を構成するものとして当出願の開示を援用する。
【0002】
本発明は、計測システムに関し、特に、測定データをバッテリ式携帯測定機器からリモートデータノードに無線送信するためのバッテリ不使用データ送信モジュールアクセサリに関する。本発明は、特に、データ送信モジュールと、このデータ送信モジュールを用いた無線送信方法と、無線送信システムとに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、様々なバッテリ式携帯(例えば、小型)測定機器を利用することができる。バッテリ式携帯測定機器の一例として、小型電子ノギス等の変位量測定機器がある。これを用いれば、対象物の各寸法を正確に測定することができる(例えば、機械加工された部位を測定し、公差基準値の範囲内であるか確かめる)。同一出願人による特許文献1~特許文献3には、典型的な電子ノギスが開示される。
【0004】
一般に、このようなノギスや他のバッテリ式携帯測定機器の消費電力が減れば、必要なバッテリの数も減り、これらのバッテリの交換又は充電が必要となるまでの当該ノギスや他のバッテリ式携帯測定機器の動作期間が延びる。しかし、このような機器に必要となる電力量を「マイクロワット」以上の単位で削減するのは難しい。係る機器は、極めて正確な測定を行うことが要求される。このような機器に用いるために開発されてきた信号処理技術が複雑であるため、所望の精度を達成しながら低電圧・低電力で動作するような回路を設計することもまた、複雑になることが多い。さらに、基本的な動作及び測定に必要な電力に比べ、特定の機能(測定データの無線送信等)に必要な電力リソースは、はるかに大きい場合がある。この特定の機能に必要な電力が大きいという問題に加えて、様々な要因(例えば、測定機能の実行中にノギスのジョウを誤って動かしてしまった場合等)が測定値の信頼性又は予測可能性に影響するおそれがある、という問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国再発行特許第37490号
【文献】米国登録特許第5574381号
【文献】米国登録特許第5973494号
【文献】米国登録特許第6671976号
【文献】米国登録特許第8131896号
【文献】米国登録特許第8035255号
【文献】米国登録特許第9246358号
【文献】米国登録特許第8076801号
【文献】米国登録特許第8035255号
【文献】米国登録特許第7271677号
【文献】米国登録特許第7084605号
【文献】米国登録特許第8963781号
【文献】米国登録特許第9159017号
【非特許文献】
【0006】
【文献】"Wireless Passive Sensor Networks," Ozgur Akan, et al., IEEE Communications Magazine, August 2009
【文献】"Design of an RFID-Based Battery-Free Programmable Sensing Platform," Alanson Sample, et al., IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement, Vol. 57, No. 11, November 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、測定データの無線送信等の機能を実行する能力を向上して所望の測定データを確実に送信すると共に、携帯測定機器のバッテリの電力消費を最小化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この「課題を解決するための手段」では、以下の「発明を実施するための形態」に詳細に記載された各構想のなかから選択した構想を単純化したものを紹介する。この「課題を解決するための手段」は、「特許請求の範囲」の内容の重要な特徴を特定するためのものではなく、「特許請求の範囲」の範囲を特定するのに用いられるものでもない。
【0009】
上に概説したニーズに基づき、また、
図7~
図10の導入として概説するさらなるニーズ及び課題に基づき、さらに、当然ながら、無線データ送信モジュールは、バッテリ電力又は手動の操作の必要なく、動作して測定データを概ね絶え間なく供給し続けるのが望ましい。無線データ送信モジュールは、リモートデータノードから受信する測定データのリモート要求に対して、応答可能であることが望ましい。これと共に/これに替えて、リモートデータノードが無線データ送信モジュールの近傍にあるとき、無線データ送信モジュールは、単に(リモート要求に関係無く)、測定データを自動的に又は半自動的に送信することが望ましい。無線データ送信モジュールは、コンパクトで、軽量で、人間工学的に使いやすく、各種の小型バッテリ式携帯測定機器に取り付けた上で使いやすいことが望ましい。同時に、無線データ送信モジュールは、不便な場所に設置され、マシン自体(ボール盤又は旋盤等)に取り付けられたバッテリ式測定機器と共に動作可能であることが望ましい。無線データ送信モジュールは、リモートデータノードから都合のよい距離の範囲に亘って動作することが望ましい。上記考察及び他の考察に基づき、以下の開示を想到した。
【0010】
データ送信モジュールは、バッテリ式携帯測定機器から測定データを入力し、対応する測定データ信号をリモートデータノードに無線送信する。リモートデータノードは、少なくとも1つのエネルギー供給フィールドを(例えば、データ送信モジュールに給電するために)生成するよう構成され、前記データ送信モジュールから前記測定データ信号を無線受信するよう構成される。各実装形態では、データ送信モジュールは、本体部と、フィールド受信部と、無線データ生成部と、データ送信/エネルギー管理回路とを有する。前記本体部は、前記バッテリ式携帯測定機器に物理的に接続されるよう構成される。前記フィールド受信部は、前記リモートデータノードから前記エネルギー供給フィールドを受信するよう構成される。前記無線データ生成部は、前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する。前記データ送信/エネルギー管理回路は、前記バッテリ式携帯測定機器のデータコネクタと接続するよう構成されたデータコネクタを有する。
【0011】
各実装形態では、前記データ送信/エネルギー管理回路は、各種の動作、例えば以下な動作を実行するよう構成される。前記フィールド受信部が受信した前記フィールドからエネルギーを発電し、前記発電したエネルギーの少なくとも一部を前記データ送信モジュール内に蓄電し、前記発電したエネルギーを管理すればよい。前記リモートデータノードとの間で通信接続を確立すればよい。前記データコネクタを介して前記バッテリ式携帯測定機器からの前記測定データを入力すればよい。前記入力した測定データに対応する前記測定データ信号を、前記無線データ生成部を用いて、前記リモートデータノードに無線送信すればよい。
【0012】
各実装形態では、前記バッテリ式携帯測定機器は、前記データ送信モジュールとは独立のバッテリにより駆動すればよく、前記測定データを内蔵ディスプレイに表示するよう構成される。各実装形態では、前記無線データ生成部は、前記リモートデータノードに前記測定データ信号を無線送信する際、以下のa)、b)又はc)、即ち
a) 前記発電したエネルギー、
b) 前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドの変調反射、若しくは、前記リモートデータノードから受信した前記エネルギー供給フィールドとの結合、又は
c) a)及びb)の組み合わせ
のみを使用するよう構成されればよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定データの無線送信等の機能を実行する能力を向上して所望の測定データを確実に送信すると共に、携帯測定機器のバッテリの電力消費を最小化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】小型測定機器に接続され、測定データをリモートシステムに無線送信している状態の、第1の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示すブロック図である。
【
図2A】小型測定機器に接続され、測定データをリモートシステムに無線送信している状態の、第2の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示す図である。
【
図2B】小型測定機器に接続され、測定データをリモートシステムに無線送信している状態の、第2の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示す図である。
【
図3】小型測定機器に接続される、第3の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示す斜視図である。
【
図4】測定値送信システムを収容する凹部が形成された第4の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示す斜視図であり、当該測定値送信システムは、小型測定機器に接続される。
【
図5】測定データをリモートシステムに無線送信するための小型測定機器に格納された状態の、第5の例示的な実施形態に係る測定値送信システムを示す正面図である。
【
図6】例示的な一実施形態に係る測定値送信システム、小型測定機器、及びリモートシステムの各回路部を示すブロック図である。
【
図7】第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュールを示す図であって、データ送信モジュールは、バッテリ式携帯測定機器に接続され、リモートデータノードに測定データを無線送信する。
【
図8A】例示的な実装形態に係る、データ送信モジュールとリモートデータノードとの間のエネルギー供給フィールド結合及びデータ送信の各種形態を示すブロック図である。
【
図8B】例示的な実装形態に係る、データ送信モジュールとリモートデータノードとの間のエネルギー供給フィールド結合及びデータ送信の各種形態を示すブロック図である。
【
図8C】例示的な実装形態に係る、データ送信モジュールとリモートデータノードとの間のエネルギー供給フィールド結合及びデータ送信の各種形態を示すブロック図である。
【
図9A】第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュールを示す斜視図である。
【
図9B】第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュールを示す斜視図である。
【
図10】データ送信モジュールを利用してバッテリ式携帯測定機器からリモートデータノードに測定データ信号を無線送信するルーチンの例示的な一実装形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、第1の例示的な実施形態に係る測定値送信システム150を含む測定システム10の一例を示すブロック図である。同図では、測定値送信システム150は、小型測定機器101に接続され、小型測定機器101からリモートシステム180に測定データを無線送信する。送信される測定データTMD1は、小型測定機器101が取得した、ワークピース(測定対象物)WPの1以上の測定値(例えば、測定寸法MD1)に関するものとすればよい。リモートシステム180は、キーボード184、モニタ186、及び/又は他の入力装置/出力装置に動作可能に接続されるコンピュータシステム182を有する。小型測定機器101の測定データは、当該小型測定機器101のディスプレイ109及び/又はリモートシステム180のモニタ186に表示すればよい。
【0016】
測定値送信システム150は、測定データを無線送信するためのアンテナ161を有する。一方、リモートシステム180は、送信された測定データTMD1を受信するためのアンテナ181を有する。各実装形態では、リモートシステム180は、送信された測定データTMD1の受信に成功すると、送信成功信号STS1をアンテナ181を用いて無線送信する。測定値送信システム150は、この送信成功信号STS1をアンテナ161を用いて受信する。後でより詳細に説明するが、各実装形態では、測定値送信システム150は、送信成功信号STS1を受信する又は別の方法で送信成功を確認すると、種々の動作(例えば、無線送信を停止する送信サイクル終了動作、データ保持状態を終了するデータ保持解除動作、送信が成功した旨を示す通知のディスプレイ表示等)を実行する。
【0017】
後でまたより詳細に説明するが、各実装形態では、測定値送信システム150は、電力生成部を有する。電力生成部は、ユーザが付与した仕事量(work)(例えば、ボタン、スライド、レバー等の電力生成アクチュエータに対する操作)を、測定データをリモートシステム180に無線送信するための電力に変換する。あるいは、小型精密測定機器内の主バッテリリソースをデータの無線送信に用いてもよいし、外部の電力生成部から無線送信のための電力を供給することによって、主電源が大量に電力を消費することを回避してもよいことを理解されたい。各実装形態では、測定値送信システム180は、付加的に又は代替的に、データ保持アクチュエータを有してもよい。データ保持アクチュエータは、ユーザによって手動で操作されると、後でリモートシステム180に無線送信される測定データのセットを固定するデータ保持状態を開始する。このデータ保持状態は、様々な利点を有し得ることを理解されたい。例えば、利点の1つとして、ユーザは、測定データを一時的に保存しておき、(例えば、ユーザが電力生成アクチュエータ及び/又は送信アクチュエータや他の部品を操作する際に、ノギスのジョウを誤って動かしてしまった場合に)本来の測定値を(例えば、測定値送信システムの)ディスプレイ(及び/又はディスプレイ109)上で確認することができる。
【0018】
図2A及び
図2Bは、測定データをリモートシステム(例えば、
図1のリモートシステム180)に無線送信するための第2の例示的な実施形態に係る測定値送信システム250であって、小型測定機器201に接続された状態の測定値送信システム250を示す図である。測定値送信システム250の一部の特徴部は、
図1の測定値送信システム150の特徴部と同様であり、以下で別途記載がない限り、同様に動作するものと解釈されることを理解されたい。
図2Aの実施形態では、小型測定機器201は、ワークピースWPを測定して得られる測定データ(例えば、ワークピースWPの測定寸法MD2に対応する)を出力可能なノギスである。測定値送信システム250は、第1のアクチュエータ255(例えば、ボタン)を有する。各実装形態では、第1のアクチュエータ255は、電力生成アクチュエータ、送信アクチュエータ及び/又はデータ保持アクチュエータとして機能する。これについては、後でより詳細に説明する。
【0019】
各実装形態では、第1のアクチュエータ255は、送信アクティベーション部TAP2及び/又は電力生成部EGP2の一部をなす。例えば、
図2Bに示すように、送信アクティベーション部TAP2は、第1のアクチュエータ255(例えば、送信アクチュエータとして示す)と、回路基板アセンブリ251の回路素子(回路)253A及び253Bの各部とを含む。同図において、回路基板アセンブリ251上の出力側無線送信部WTPは、回路素子253Bの各部と、アンテナ261とを含む。回路素子253A及び253Bの一例は、
図6を参照して後でより詳細に説明する。ユーザが第1のアクチュエータ255を操作すると、送信動作サイクルを含む各動作が開始し、これにより、回路素子253Aのスイッチング機能が起動する。回路素子253Aのスイッチング機能が起動すると、送信アクティベーション部TAP2が動作する。当該送信動作サイクルは、アンテナ261に接続された状態の回路素子253Bを用いて測定データをリモートシステムに無線送信することを含む。
【0020】
図2A及び
図2Bにさらに示すように、電力生成部EGP2は、第1のアクチュエータ255(例えば、電力生成アクチュエータとして示す)と、仕事量変換素子WCEと、回路素子253Aの各部とを有する。電力生成部EGP2を動作させるため、第1のアクチュエータ255は、ユーザが手動で操作することができ、仕事量変換素子WCE(例えば、圧電フィルムセンサ又はイグナイター等の圧電素子、電磁発電機等)に対して仕事量を付与するように構成される。
図2Aでは、第1のアクチュエータ255をボタンとして示している。一方、他の実装形態では、第1のアクチュエータ255は、他の素子(例えば、スライド、レバー等)であり、これに対応する仕事量変換素子に対して仕事量を付与してもよいことを理解されたい。仕事量変換素子WCEは、この仕事量を、電力に変換する。この変換によって得られた電力は、少なくとも、測定データをリモートシステムに無線送信する出力側無線送信部WTP(例えば、回路素子253Bの各部及びアンテナ261を含む)に給電される。
【0021】
一実装形態では、送信アクティベーション部TAP2は、送信動作サイクルを1回行うとき第1の量の電力を消費し、電力生成部EGP2は、電力生成アクチュエータ255のアクチュエーションサイクルを1回行うことで、第1の量の電力より多い第2の量の電力を生成するように構成される。換言すると、
図2の実装形態では、測定値送信システム250の全体的な動作によれば、ユーザがアクチュエータボタン255を一回押下すると、測定データの無線送信が開始すると共に、当該無線送信のための十分な量の電力が生成される。
【0022】
各実装形態では、第1のアクチュエータ255は、データ保持アクチュエータとしての機能を付加的に又は代替的に有してもよい。係る実装形態では、ユーザが第1のアクチュエータ255を手動で操作すると、データ保持状態を開始する動作を実行する。ここで、データ保持状態とは、後でリモートシステムに無線送信される測定データのセットを固定している状態を意味する。一実装形態では、小型測定機器201は、測定値ディスプレイ209を具備してもよい。小型測定機器201は、測定値ディスプレイ209に表示中の測定値を固定することを含む動作の保持モードを実行してもよい。係る実装形態では、測定データのセットを固定するデータ保持状態を開始するこれらの動作は、機器側データ接続部DCP2(例えば、雌型コネクタ219を含む)を通じて、小型測定機器201に上記動作の保持モードを開始させることを含む。これについては、後でより詳細に説明する。別の実装形態では、測定データのセットを固定するデータ保持状態を開始するこれらの動作は、測定データのセットを、後でリモートシステムに無線送信するために、測定値送信システム250の回路素子253AのメモリMEMに一時的に記憶することを含んでもよい。
【0023】
一実装形態では、送信動作サイクルは、データ保持解除動作をさらに含む。このデータ保持解除動作は、測定データの送信が成功した後に実行される。データ保持解除動作を実行することで、データ保持状態が終了する。例えば、
図1を参照して上述したように、リモートシステム180は、無線送信された測定データを受信すると、「送信成功」信号STS1を測定値送信システム250に返送する。係る例では、測定値送信システム250は、送信成功信号STS1を受信すると、データ保持解除動作を実行し、データ保持状態を終了する。係る機能によって、ユーザは、測定データの送信が成功したことを知ることができ、次回の測定処理を行うことができることを理解されたい。当該次回の測定処理が完了するまで、測定値ディスプレイ209に表示される測定値を、固定したままにすればよい。
【0024】
一実装形態では、送信動作サイクルは、送信サイクル終了動作をさらに含む。この送信サイクル終了動作は、測定データの送信が成功した後に実行される。これによって、測定値送信システム250の少なくとも一部の動作が終了される。この動作終了状態は、測定値送信システム250のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ255)をユーザが再び手動で操作するまで続く。この終了動作の間中、電力消費量を減らすことができ、演算処理量を一定に保つことができる。測定値送信システム250はまた、無線送信部WTPに加えて、無線受信部WRP(例えば、アンテナ261と、回路素子253Bの各部とを含む)を含む。この場合、送信サイクル終了動作は、上述したように、リモートシステム180から送信成功信号STS1を受信した後に実行する。付加的に又は代替的に、測定値送信システムは、測定データの送信が失敗した場合(例えば、測定データの無線送信を開始してから一定時間期間以内に、リモートシステムからの送信成功信号を受信しない場合)、ユーザにエラーメッセージを提示してもよい。
【0025】
第1のアクチュエータ255が送信アクチュエータ、電力生成アクチュエータ及び/又はデータ保持アクチュエータとして複数の機能を実行する一実装形態では、状態依存動作が用いられる。例えば、一実装形態では、状態依存動作は、ユーザがアクチュエータ255を操作することにより(例えば、ボタン255を押下し)、データ保持状態を開始する動作を実行した後、再びアクチュエータ255を操作することにより、送信動作サイクルを含む一連の動作を開始し且つ/又はデータ送信に必要な電力を生成することを意味する。係る実装形態では、ボタン255を一回目に押下すると、測定データを固定する(例えば、これにより、ユーザがディスプレイで測定値が正確であるかどうかを確かめることができる。また、小型測定機器201の何らかの部品を誤って動かしてしまっても、測定値が変化しない)。その後、ボタン255を二回目に押下すると、固定/確認された測定データがリモートシステム180に無線送信される。上述したように、一実装形態では、リモートシステム180からの送信成功信号STS1を受信すると、データ保持状態の固定解除及び/又は送信が成功した旨のディスプレイ表示を開始する。その後、同様の手順で、次回の測定値を取得して、送信する。つまり、ボタン255を一回目に押下すると、新たな測定データを固定し、その後、ボタン255を二回目に押下すると、この新たな測定データの無線送信を開始する。
【0026】
代替的に、各実装形態では、送信アクチュエータ及び/又はデータ保持アクチュエータとして機能する第2のアクチュエータ257を設けてもよい。例えば、仕事量変換素子WCEを有する第1のアクチュエータ255を用いて仕事量を電力に変換している間、回路素子253Aに接続された第2のアクチュエータ257が、一実装形態では、スイッチング機能を実行するのに用いられ、送信アクチュエータ及び/又はデータ保持アクチュエータとして機能してもよい。第2のアクチュエータ257が送信アクチュエータとして機能する一実装形態では、一構成では、まず、ユーザが第1のアクチュエータ255を操作すると、無線送信に使われる電力を生成し、次いで、ユーザが第2のアクチュエータ257を操作すると、測定データの無線送信を開始してもよい。第2のアクチュエータ257がデータ保持アクチュエータとして機能する一実装形態では、一構成では、まず、ユーザが第2のアクチュエータ257を操作すると、測定データを固定し、次いで、ユーザが第1のアクチュエータ255を操作すると、送信動作サイクルを開始し且つ/又は無線データ送信に使われる電力を生成してもよい。
【0027】
後でより詳細に説明するが、各実装形態では、測定値送信システム250は、送信アクティベーション部TAP2を有し、電力生成部EGP2を用いないデータ保持機能を有してもよい。例えば、測定値送信システム250は、外部のバッテリを有するものとされ、且つ/又は小型測定機器201の電源に接続され、当該電源からの電力を利用する。係る一実装形態では、1つのアクチュエータで、データ保持アクチュエータの機能と、送信アクチュエータの機能とを実行する。例えば、一構成では、ユーザがアクチュエータの一回目の操作を行うと、測定データを固定し、次いで、ユーザが当該アクチュエータの二回目の操作を行うと、送信動作サイクルを開始してもよい。この際、これらの動作に必要な電力は、小型測定機器201又は測定値送信システム250の電源(例えば、バッテリ)から供給される。あるいは、一構成では、ユーザがアクチュエータを一回操作すると、測定データを固定すると共に、送信動作サイクルを開始してもよい(例えば、これにより、ユーザは、ディスプレイに表示されている測定データが正確かどうか確かめることができ、先の例で説明したように、測定データが固定状態であることで、送信処理がまだ成功していないことを示すことができる)。
【0028】
図2A及び
図2Bの例で示す測定値送信システム250は、本体部BP2に格納され、測定値送信モジュールMTM2を構成する。測定値送信モジュールMTM2において、少なくともアクチュエータ255(例えば、送信アクチュエータ、電力生成アクチュエータ、及び/又はデータ保持アクチュエータ)は、ユーザに視認可能である。後でより詳細に説明するが、測定値送信モジュールMTM2は、小型測定機器201の少なくとも1つの接続特徴部(例えば、データ接続部DCP2)と機械的且つ/又は電子的に接続するように構成されてもよい。場合によっては、測定値送信モジュールMTM2は、バッテリを具備せず、小型測定機器201からの電力を消費することなく(例えば、代わりに、電力生成部EGP2から、必要な電力の供給を受けて)動作するように構成されてもよい。なお、係る測定値送信モジュールMTM2を(例えば、データ接続部DCP2のデータポート等の既存のデータポートを介して)既存のノギスに接続することで、データ保持動作を伴う測定データの無線送信機能及び/又は測定データの無線送信に必要な電力の生成機能を付加することができる。別の実装形態では、測定値送信システムは、小型測定機器に格納され、係る機能を提供する。これについては、後で
図6を参照してより詳細に説明する。
【0029】
図2の例では、測定値送信システム250の接続特徴部CF2Aが、底部に機器側雄型コネクタ263を有する。オプションで設けられる接続特徴部CF2Bが、噛合部を有する。なお、当該噛合部を取り外すには、専用の噛合解除工具が必要となる。測定値送信システム250の機器側雄型コネクタ263は、データ接続部DCP2内に収容される。このデータ接続部DCP2は、小型測定機器201の雌型コネクタ219を有する。当該雌型コネクタ219は、測定データを外部機器(例えば、
図1のリモートシステム180)に供給するための、小型測定機器201の一次出力ポートの一部である。一実装形態では、雌型コネクタ219は、複数の導通部及び非導通部が交互に積層された封止型弾性インターコネクタを含む。これについては、同一出願人による特許文献4にさらに詳細に記載されている。機器側雄型コネクタ263は、相補型のコネクタとすることができる。しかし、より一般的には、任意の適した接続方法を用いることができる。また、雌型コネクタ219は、RS232ポート、シリアルポート、コネクタ(例えば、フラットコネクタ、円形6ピンコネクタ、フラット10ピンコネクタ等)に適合するデジマチックインタフェース等のインタフェース、又は測定データを外部機器に供給するための他の任意の出力ポートの一部とすることができる。いくつかのタイプの出力ポート及びコネクタが、同一出願人による特許文献5にさらに詳細に記載されている。係るコネクタは、小型測定機器と外部機器(例えば、
図1のリモートシステム180)とを有線接続するのに用いられることが多いが、代わりに本明細書に記載されるように、測定値送信システムを小型測定機器に装着するのに、係るコネクタを用いることで、測定データをリモートシステムに無線送信することができることを理解されたい。
【0030】
図2Aに示すように、小型測定機器201は、本尺を有するメインスケール202と、メインスケール202上に配置されたスライダ206とを有する。当該スライダ206は、メインスケール202の縦軸に沿って摺動可能にメインスケール202上に配置される。メインスケール202は、内側用測定ジョウ203と、外側用測定ジョウ204とを具備する。内側用測定ジョウ203及び外側用測定ジョウ204はそれぞれ、本尺の基端の上方及び下方縁部に取り付けられる。小型測定機器201は、スケール205をさらに有する。当該スケール205は、長手軸方向に沿って本尺の内側部分に取り付けられる。内側用測定ジョウ203及び外側用測定ジョウ204はそれぞれ、メインスケール202と一体とされる。
【0031】
スライダ206の外面には、内側用測定ジョウ207と、外側用測定ジョウ208とが配置される。内側用測定ジョウ207及び外側用測定ジョウ208はそれぞれ、基端の上方及び下方の縁部に取り付けられる。また、スライダ206の前面には、測定値ディスプレイ209が配置される。スライダ206には、止めねじ210が螺合される。この止めねじ210によって、スライダ206の位置が固定される。スライダ206の外面には、フィードローラ211が取り付けられる。このフィードローラ211がメインスケール202の本尺と接触して回転することで、スライダ206が移動する。
【0032】
測定動作時に、スライダ206がフィードローラ211によって移動することで、測定ジョウ207の内側又は測定ジョウ208の外側が、測定ジョウ203の内側又は測定ジョウ204の外側と共にワークピースWPの対象部分に接触する。この時、スライダ206の変位が、メインスケール202の本尺に設けられたスケール205と、スライダ206の検出ヘッドとによって検出される。この検出された測定値(ワークピースWPの測定寸法MD2として示す)の信号は、回路基板(図示せず)により、測定データとして処理される。この測定データは、スライダ206の前側に設けられた測定値ディスプレイ209に表示測定値DM2として表示され、且つ/又は、上述したように、測定値送信システム250によってリモートシステム(例えば、
図1のリモートシステム180)に無線送信される。
【0033】
図3は、小型測定機器301に接続される、第3の例示的な実施形態に係る測定値送信システム350を示す斜視図である。測定値送信システム350は、測定値送信システム150及び250と同様の特徴部を有し、以下で別途記載がない限り、測定値送信システム150及び250と同様に動作するものと解釈されることを理解されたい。
図3に示すように、測定値送信システム350は、測定値送信モジュールMTM3の一部として、アクチュエータ355と、機器側雄型コネクタ363と、複数の噛合締結具365と、本体部BP3とを有する。機器側雄型コネクタ363は、
図2の機器側雄型コネクタ263と同様に、小型測定機器301のデータ接続部DCP3に設けられた雌型コネクタ219に挿入される。小型測定機器301には複数の孔217が形成される。これらの各孔217に、測定値送信システム350の各噛合締結具365が挿入される。各実装形態では、各噛合締結具365は、固定的な締結具、半固定的な締結具、又は取り外し可能締結具とすることができる。
【0034】
各実装形態では、アクチュエータ355は、
図2のアクチュエータ255に関して上述した動作と同様に、電力生成アクチュエータ、送信アクチュエータ、及び/又はデータ保持アクチュエータとして機能する。
図3の例では、測定値送信システム350の一部として設けられるアクチュエータ355は、1つのみである。したがって、電力生成部が測定値送信システム350内に設けられる一実装形態では、ユーザがアクチュエータ355に対して1回操作(例えば、ボタン355の押下)すると、送信動作サイクルを開始すると共に、無線データ送信に必要な電力を生成する。付加的に又は代替的に、状態依存動作を利用してもよい。例えば、測定値送信システム350でデータ保持動作を行う一実装形態では、状態依存動作によって、ユーザがアクチュエータ355を操作すると、データ保持状態を開始し、その後、ユーザが再びアクチュエータ355を操作すると、送信動作サイクルを含む一連の動作を開始し且つ/又はデータ送信に必要な電力を生成することができる。係る実装形態では、ボタン355を一回目に押下すると、測定データを固定する(例えば、これにより、ユーザが小型測定機器201の測定値ディスプレイ209で固定した測定値が正確であるかどうかを確かめることができる)。その後、ボタン355を二回目に押下すると、固定/確認された測定データがリモートシステム180に無線送信される。各実装形態では、リモートシステム180からの送信成功信号を受信した場合又は別の方法で送信が成功したと判定した場合に、測定値ディスプレイ209を用いてユーザにその旨を通知する。例えば、上述したように、一実装形態では、測定値ディスプレイ209上の測定値の固定を解除することをもって、この通知としてもよい。あるいは、測定値ディスプレイ209に(例えば、「OK」という文字を表示する等)他の表示を行ってもよい。
【0035】
図4は、測定値送信システム450を収容するための凹部が形成された第4の例示的な実施形態に係る測定値送信システム450であって、小型測定機器401に接続される測定値送信システム450を示す斜視図である。測定値送信システム450は、上記測定値送信システム150、250及び350と同様の特徴部を有し、以下で別途記載がない限り、上記測定値送信システム150、250及び350と同様に動作するものと解釈されることを理解されたい。測定値送信システム450及び小型測定機器401は、
図3の測定値送信システム350及び小型測定機器301と実質的に同様のものであるが、主に、小型測定機器401の凹部410と、測定値送信システム450のディスプレイ459とが異なる。
【0036】
図4に示すように、凹部410は全体として、測定値送信モジュールMTM4の本体部BP4の外形寸法に一致する形状とされている。測定値送信モジュールMTM4は、測定値送信システム450を含む。凹部410は、その底部に、データ接続部DCP4の雌型コネクタ219を備える。この雌型コネクタ219に、測定値送信システム450の機器側雄型コネクタ463が挿入される。凹部410は、複数の孔217をさらに有する。これらの各孔217に、測定値送信システム450の各噛合締結具465が挿入される。
【0037】
一実装形態では、凹部410は、測定値送信システム450が噛合締結具465によって当該凹部410内に固定されたときに、測定値送信システム450の本体部BP4が、小型測定機器401の表面とほぼ面一で、当該表面から過度に突出しないような寸法とされる。本実施形態において小型測定機器401にこのような凹部410を形成することは、測定値送信システム450を、小型測定機器401の理想的な人間工学的設計を保ちつつ、一体的に凹部410に嵌入することができるという点で好都合である。あるいは、測定値送信システム450をコストダウンのために省き、事後的に、必要に応じて測定値送信システム450を購入して取り付けてもよい。また、凹部410が形成されていない、上述の実施形態の小型測定機器(例えば、
図3の小型測定機器301)も、同一の測定値送信システム450を用いることができる。これによって、測定値送信システム450及び/又は小型測定機器301、401のモデル(機種)の数を減らすことができ、必要となる在庫数を減らすことができることから、コスト的な利点がある。
【0038】
各実装形態では、ディスプレイ459によって、ユーザに測定値送信システム450の動作に関する様々な情報を提示する。例えば、小型測定機器201の測定値ディスプレイ209の代わりに、ディスプレイ459によって、リモートシステム180からの送信成功信号を受信した場合又は送信が成功したと別の方法で判定した場合に、ユーザにその旨を通知する。例えば、送信が成功したと判定した場合、
図4に示すように「OK」という文字をディスプレイ459に表示する。他の実装形態では、より大きなディスプレイを用いて(例えば、測定データ値の固定値等を表示して)もよい。上記測定値送信システム150、250及び350のいずれにおいても、同様のタイプのディスプレイを複数設けてもよいことを理解されたい。
【0039】
図5は、測定データをリモートシステムに無線送信するための第5の例示的な実施形態に係る測定値送信システム550であって、小型測定機器501に格納された状態の測定値送信システム550を示す正面図である。測定値送信システム550は、上記測定値送信システム150、250、350及び450と同様の特徴部を有し、以下で別途記載がない限り、上記測定値送信システム150、250、350及び450と同様に動作するものと解釈されることを理解されたい。上記測定値送信システム250、350及び450が有する本体部BPは、取外し可能且つ携帯可能な測定値送信モジュールMTMの一部である。対称的に、この測定値送信システム550は、小型測定機器501の一部として一体化されて、当該小型測定機器501内に格納されている(例えば、小型測定機器501から取り外し可能であり、他の測定機器に取り付け可能であるとは、通常の作用として想定されていない)。
【0040】
図5の例では、測定値送信システム550は、1つのアクチュエータ555(例えば、「保持/送信」ボタン555として示す)を有する。したがって、
図3を参照して上述したように、
図3と同様に、各実装形態では、1つのアクチュエータ555に対して状態依存動作を利用する。例えば、一実装形態では、状態依存動作の機能によれば、ユーザがアクチュエータ555を操作すると、データ保持状態を開始し、その後、ユーザが再びアクチュエータ555を操作すると、送信動作サイクルを含む一連の動作を開始し、且つ/又はデータ送信に必要な電力を生成する。操作時に、上述した
図2の実装形態と同様に、ワークピースWPの測定寸法MD2を測定データとして処理し、当該処理データを測定値ディスプレイ209に表示測定値DM5として表示し、且つ/又は測定値送信システム550によってリモートシステム(例えば、
図1のリモートシステム180)に無線送信する。
【0041】
測定値送信システム550が小型測定機器501と一体化されているため、一実装形態では、小型測定機器501の電源(例えば、バッテリ)によって、測定データ送信に必要な電力の一部又は全てを供給することができる。あるいは、一実装形態では、電力生成部を測定値送信システム550に設け、これによって無線送信に必要な電力を供給し、無線送信の起動時に小型測定機器501の主電源の電力が消耗しないようにしてもよい。各実装形態では、測定値送信システムが小型測定機器501と一体化されているため、一般的に、小型測定機器501の測定値ディスプレイ209及びメモリを用いて、あらゆるデータ保持動作(例えば、測定データの固定値の記憶及び表示、並びに測定データの送信が成功した場合のユーザに対する何らかの通知)を行うことができる。別の実装形態では、別個のインジケータを、別個のディスプレイ又は測定値送信システム550の外面に設けてもよい。
【0042】
図6は、測定値送信システム650、小型測定機器601、リモートシステム680の各回路部を含む、例示的な一実施形態に係る測定システム600を示すブロック図である。各実装形態では、
図6の各回路部のいずれか又は全てが、
図1~
図5の各構成要素の各回路部を示し得ることを理解されたい。
図6に示すように、リモートシステム680は、コンピュータシステム682と、信号処理部688と、送受信回路690と、アンテナ681とを有する。コンピュータシステム682は、測定データアプリケーションプログラム実行部692と、ステータス及び/又は制御動作部694と、データ確認動作ステータス/解除動作部696とを含む。各実装形態では、コンピュータシステム682は、PC、タブレット、スマートフォン等のパーソナルコンピューティングデバイスの一種とすることができる。
図1~
図5を参照して上述したように、リモートシステム680は、アンテナ681を用いて、測定値送信システム650と信号を送受信することができる。例えば、リモートシステム680は、送信された測定データを受信し、当該測定データの受信が成功すると、「送信成功」信号を測定値送信システム650に返送することができる。送受信動作を実現するため、送受信回路690は、既存の様々な技術(例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線プロトコルを利用する無線USB送信部、他のタイプの無線プロトコル送信機/受信機等)を利用することができる。
【0043】
各実装形態では、信号処理部688は、任意で設けることができる。この信号処理部688が、種々のフォーマットに変換又は他の機能を行うことで、送受信回路690で受信した信号を、未加工の状態から、測定データアプリケーションプログラム実行部692による処理に適したフォーマットに変換することができる。一例として、プロトコルを用いることで、受信した未加工の測定データを、測定データアプリケーションプログラム実行部692によって処理可能な(例えば、表計算ソフトに入力するための)測定値に変換することができる。一実装形態では、信号処理部688は、送受信回路690が受信した信号から、関係のない情報(例えば、ヘッダ情報)(例えば、特に、表計算ソフトに入力されない情報や、測定データアプリケーションプログラム実行部692に不要な関係のない情報)を除去するか又はこれを別の方法で処理する。独立した信号処理部688を設ける代わりに、測定データアプリケーションプログラム実行部692が、送受信回路690が受信した未加工の測定データやID、信号等を直接処理するように構成してもよい。
【0044】
各実装形態では、製造者、販売者等は、測定データアプリケーションプログラム実行部692を、1種以上の小型測定機器601で使用可能なように設計してもよい。一実装形態では、測定データアプリケーションプログラム実行部692は、小型測定機器601から測定データを受信するための統計処理制御プログラムと、測定データによって示される測定値が入力される表計算ソフト又は他のプログラムとを有してもよい。
【0045】
ステータス及び/又は制御動作部694は、直近に受信した測定データの処理のステータスを示す、測定データアプリケーションプログラム実行部692からの信号を判定及び/又は別の方法で受信する。データ確認動作ステータス/解除動作部696は、判定されたステータスを利用して、確認信号及び/又は解除信号をステータス及び/又は制御動作部694から信号処理部688にいつ送信して測定値送信システム650に返送させるべきかを示す。例えば、上述したように、一実装形態では、送信された測定データの受信が成功すると、リモートシステム680は、送信成功信号を測定値送信システム650に返送すればよい。
【0046】
図6にも示すように、測定値送信システム650は、電力生成/送信アクティベーション部652と、電力管理回路654と、低電力マイクロコントローラ/メモリ656と、小型測定機器データ及び/又はステータス/制御動作部657と、コントローラルーチン実行部658と、低電力送受信回路660と、アンテナ661とを有する。各実装形態では、測定値送信システム650の各回路構成部は、上記測定値送信システム150、250、350、450及び/又は550の各特定の構成要素に対応する。例えば、一実装形態では、電力生成/送信アクティベーション部652は、
図2A及び
図2Bの送信アクティベーション部TAP2及び電力生成部EGP2に対応する。さらに、回路部654~658は、回路素子253Aに対応し、低電力送受信回路660は、
図2A及び
図2Bの回路素子253Bに対応する。
【0047】
各実装形態では、電力生成/送信アクティベーション部652は、1つのアクチュエータ(例えば、アクチュエータ255)を有してもよい。あるいは、電力生成/送信アクティベーション部652は、電力生成部専用の回路部を備えるアクチュエータと、送信アクティベーション部専用の回路部を備えるアクチュエータとを有してもよい。電力管理回路654は、利用可能な電力量に応じて、測定値送信システム650の回路部の動作を調整する。各実装形態では、電力管理回路654は、種々の電圧調整回路素子、及び/又は電力の残量をモニタするための電圧検出回路素子を利用してその機能を実現する。例えば、一具体例としての実装形態では、電力管理回路654は、電力生成/送信アクティベーション部652が作動を始めると、利用可能な電力量をモニタし、利用可能な電力値が所定の閾値を下回った場合に低電力マイクロコントローラ/メモリ656に動作を停止するように命令すればよい。電力値が極めて低い状態で低電力マイクロコントローラ656が動作を継続すると、エラーが発生する可能性があるが、上記の機能により、そのような事態を回避することができる。一般的に、電力生成/送信アクティベーション部652の1回の動作サイクルによって生成される電力量の制限に基づいて、測定値送信システム650が、リモートシステム680から返送される送信成功信号を待機するためにアクティブでいられる時間(例えば、具体的且つ例示的な一実装形態では、約10秒以下)が制限される。
【0048】
各実装形態では、低電力マイクロコントローラ/メモリ656は、測定値送信システム650の中央制御部として動作する。各実装形態では、低電力マイクロコントローラ/メモリ656は、例えば、(データポート又は接続配線等を介して接続された)小型測定機器601からの測定データを処理する、測定データを送信用のフォーマットに変換する、測定データに対して任意のコマンド又は識別子を適宜付加する、測定データを低電力送受信回路660に出力してリモートシステム680に送信させる等の機能を有する。小型測定機器データ及び/又はステータス/制御動作部657は、小型測定機器601と低電力マイクロコントローラ/メモリ656との間の通信を円滑に行うのに用いられる。例えば、データ保持機能が必要とされる場合、小型測定機器データ及び/又はステータス/制御動作部657は、適切な制御信号を決定し、この信号を小型測定機器処理/制御部612に送信し、データ保持機能を開始させるのに用いることができる。
【0049】
低電力マイクロコントローラ/メモリ656はまた、コントローラルーチン実行部658と協働して種々の動作を実行する。コントローラルーチン実行部658は、アクチュエータ動作部671と、保持/キュー動作部672と、送信動作部674と、信号受信動作部676と、IDリンク動作部678とを含む。各実装形態では、アクチュエータ動作部671は、
図1~
図5を参照して上述したように、いつユーザがアクチュエータを操作したかを判定し、及び/又は各種の状態依存動作を判定するのに用いられる。例えば、例示的な一実装形態では、アクチュエータが一回目に操作されると、保持動作を開始し、その後、二回目に操作されると、送信動作を開始するが、これは、アクチュエータ動作部671によって実現される。
【0050】
保持/キュー動作部672は、種々のデータ保持機能を実現するのに用いられる。例えば、保持/キュー動作部672によって、ユーザがデータ保持アクチュエータを操作したときに低電力マイクロコントローラ/メモリ656に測定データを記憶させ、且つ/又は小型測定機器処理/制御部612に命令を送信して、小型測定機器601内の保持動作の一部として測定データを記憶させることができる。保持/キュー動作部672の別の動作例として、(例えば、送信成功信号をリモートシステム680から受信した結果として)データ保持解除動作を実行する場合、低電力マイクロコントローラ/メモリ656は、小型測定機器処理/制御部612に信号を送信して、データ保持状態を終了させてもよい。
【0051】
また、送信動作部674は、測定データにシリアル番号(通し番号)を付加したり、測定データに付加的な情報(例えば、機器ID等)を付加したり、且つ/又は測定データを各種のフォーマットに変換したり、又はリモートシステム680の測定データアプリケーションプログラム実行部692の動作を補助するためのコマンドを測定データに付加したりするのに用いられる。一具体例として、測定データアプリケーションプログラム実行部692が表計算ソフトに測定データを入力する際、送信動作部674は、送信中の測定データの終端に「enter」コマンドを付加してもよい。これにより、表計算アプリケーションソフトにおいて、上記送信中の測定データの入力が完了すると、「enter」コマンドに従って、次のセルに移動する。この移動先のセルには、次回に受信する測定データが入力されることとなる。
【0052】
また、信号受信動作部676は、各実装形態では、リモートシステム680又は他のシステムから受信した信号を処理するのに用いられる。例えば、上述したように、一実装形態では、リモートシステム680は、測定データの受信に成功すると、送信成功信号を測定値送信システム650に返送する。信号受信動作676部は、リモートシステム680から受信したこのような信号のフォーマットを復号又は別の方法で処理することができる。さらに、一実装形態によれば、測定値送信システム650が送信モードと受信モードとを切り替える必要がある場合、信号受信動作部676は、送信モードと受信モードとを起動するタイミングを判定するための調整処理を補助する。
【0053】
また、IDリンク動作部678は、リモートシステム680が、測定データの送信元である機器の機種を判定し、及び/又は複数の機器が存在する場合に測定データの送信元である機器を判定するのに必要な情報を、送信対象の測定データに付加するのに用いられる。例えば、複数の小型測定機器が、1つのリモートシステム680に対して、所定期間内に測定データを送信する場合がある。この場合、リモートシステム680が、複数の小型測定機器のうち、現在受信した測定データのセットの送信元である小型測定機器を判定可能であることが望ましい。さらに、様々な機種の小型測定機器(例えば、異なる複数の機種のノギス、測定機器(gauge)等)が、測定データを送信可能である場合がある。この場合、リモートシステム680は、機種によって異なる方法で測定データを解釈又は処理するため、これらの小型測定機器を適切に識別する必要がある。
【0054】
当業者であれば理解されるように、測定システム600の種々の例示の回路部は、典型的には、あらゆるタイプのコンピューティングシステム又はデバイスから成るか又は当該コンピューティングシステム又はデバイスにおいて実現することができる。係るコンピューティングシステム又はデバイスは、本明細書に記載される機能を実現するソフトウェアを実行する1つ又は複数のプロセッサを有することができる。これらのプロセッサは、プログラマブル汎用又は専用マイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)等又はこれらの組合せを含むことができる。ソフトウェアは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等又はこれらの組合せ等のメモリに記憶することができる。また、ソフトウェアは、磁気ディスク又は光ディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他の任意のタイプの不揮発性記憶媒体等の1つ又は複数の記憶装置に記憶することもできる。ソフトウェアは、1つ又は複数のプログラムモジュールを有し、この1つ又は複数のプログラムモジュールが、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データタイプを実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含んでもよい。分散されたコンピューティング環境において、プログラムモジュールの機能を、複数のコンピューティングシステム又はデバイスにわたって組み合わせるか又は分散して、有線又は無線のいずれかの構成のサービスコールを介してアクセスするようにしてもよい。
【0055】
図7~
図10を参照して以下に説明する課題解決及び関連する原理は、
図1~
図6を参照して以上に説明した課題解決及び関連する原理と相違する。
図1~
図6を参照して以上に説明した要素、原理及び動作の種々の組み合わせは、測定値送信モジュールの種々の実装形態で使用され得る。測定値送信モジュールは、バッテリ式携帯測定機器に接続することができる。測定値送信モジュールは、ユーザが生成した電力を使って(その大部分がユーザが生成した電力であるか、若しくは、ユーザが生成した電力のみを使って)、取得した測定データを携帯測定機器からリモートデータノードに無線送信することができる。特に、ユーザは、モジュールに設けられた小型のメカニカルなエネルギー生成部を作動させればよい(例えば、測定データを送信するトリガとしてユーザがボタンを押下するのと兼ねて)。これにより、データを無線送信するにあたり、バッテリ式携帯測定機器からのバッテリの電力を使う必要がない。
【0056】
しかしながら、上記説明した技術によれば、バッテリ式携帯測定機器のバッテリリソースを消耗せずにデータを無線送信することが可能であるものの、ユーザが手動で作動させる必要である。従って、測定値送信モジュールの実用性に限界があるという問題がある。
【0057】
高い実用性及び価値を実現するため、理想的には、無線送信モジュールは、可能な限り数多くのタイプのバッテリ式携帯測定機器に適合可能とすべきである。バッテリ式携帯測定機器によっては、小型でないものもある。上に開示した電力生成アクチュエータは、小型でないバッテリ式携帯測定機器にとっては実用的でない。例えば、次のように使用されるバッテリ式位置計測スケールも知られている。即ち、バッテリ式ノギス読取ヘッド及びスケール部材をボール盤又は旋盤等に装着し、マシン自体(ボール盤又は旋盤等)の変位を測定し、表示する。場合によっては、このような測定スケール部材をマシン自体(ボール盤又は旋盤等)の底部又は後背部に装着し、任意の場所に設置可能な「リモート」ディスプレイに、絶えず測定値を送信するのが望ましいことがある。この場合、ボタンを押下する必要のある無線送信モジュールは、実用的でない。逆に言うと、このようなスケールに接続するインターフェースとなり、不便な場所に設置される既存のバッテリ式(又は、有線で給電する)無線送信アタッチメントは、大型でかさばる上、面倒なバッテリ交換をしたり、不便な設置場所に電力配線を常設する必要がある。さらに、そのような既存のデータ送信デバイスは、人間工学的に取り扱い難いし、小型バッテリ式携帯測定機器に取り付けた上で誰にとっても使用しやすいとは言えない。
【0058】
勿論、バッテリ式携帯測定機器内のバッテリ交換等をするのに抵抗があるユーザも、一定数存在する。今日、このような機器の多くは、直径12ミリメートル未満の小型のボタン電池又はコイン電池型のバッテリ1個で、数年間動作し得る。バッテリ寿命を延ばすことが望ましい。バッテリ切れの機器は、使用されないことも多い(腕時計等と同様に)。同じく、所望の無線データ送信モジュールのバッテリ交換をするのに抵抗があるユーザも存在し得る。
【0059】
以上のような事情に鑑みれば、当然ながら、無線データ送信モジュールは、バッテリ電力又は手動の操作を必要とせずに、動作して測定データを概ね絶え間なく供給し続けるのが望ましい。無線データ送信モジュールは、リモートデータノードからの測定データのリモート要求に対して、応答可能であることが望ましい。これと共に/これに替えて、リモートデータノードが無線データ送信モジュールの近傍にあるとき、無線データ送信モジュールは、単に(リモート要求に関係無く)、測定データを自動的に又は半自動的に送信することが望ましい。無線データ送信モジュールは、コンパクトで、軽量で、人間工学的に使いやすく、各種の小型バッテリ式携帯測定機器に取り付けた上で使いやすいことが望ましい。同時に、無線データ送信モジュールは、不便な場所に設置され、マシン自体(ボール盤又は旋盤等)に取り付けられたバッテリ式測定機器と共に動作可能であることが望ましい。無線データ送信モジュールは、リモートデータノードから都合のよい距離の範囲に亘って動作することが望ましい。ユーザが測定機器の測定位置を誤って乱すおそれがあるため、手の位置を不注意に変更したりボタンを押下する労力を要することなく、起動したり測定値を送信するのが望ましい。
【0060】
図7~
図10を参照して以下に説明する、各種の実装形態に係るシステム及び関連する原理の特徴の組み合わせにより、上に概説した望ましい特徴が全て実現される。データ送信モジュールは、発電(パワーハーベスト/エナジーハーベスト。以下単に発電と称する)により(大部分を発電により、若しくは、発電のみにより)、及び/又は、リモートデータノードから無線供給された電力を使って、バッテリ式携帯測定機器からの測定データを入力し、対応する測定データ信号をリモートデータノードに無線送信する。データ送信モジュールは、測定データを入力して測定データ信号をリモートデータノードに無線送信する際、バッテリ式携帯測定機器のバッテリからの電力を使うことは無い。一般に、既存の汎用の各種無線発電及びデータ通信ソリューションは、大型及び/又は電力集約型である。このため、既存のソリューションは、既存の小型バッテリ式携帯測定機器へのオプション又は「組み込み」として使用するには、望ましくない又は許容できない。医療で用いられる既存の無線発電及びデータ通信ソリューションによっては、十分小型であるものの、発電可能範囲が不十分であり不便である。以下に開示する各実装形態に係る無線データ送信モジュールは、このような問題を解決するものである。
【0061】
図7は、第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュール750を示す図である。同図では、データ送信モジュール750は、バッテリ式携帯測定機器701に接続され、作業エリアWA(例えば、計測ステーション作業面若しくは机、又は工業的作業「作業セル」等のサイズのエリア)内の作業距離WDに亘って、バッテリ式携帯測定機器701からリモートデータノード780に測定データTMD1を無線送信する。各実装形態では、作業エリアWA内の無線機器は、「パーソナル計測ネットワーク」に含まれるといえる。送信される測定データTMD1は、バッテリ式携帯測定機器701が取得した、ワークピースWPの1以上の測定値(例えば、測定寸法MD1)に関するものとすればよい。リモートデータノード780は、フィールド生成/受信部781と、リモート機器インターフェース/回路部770とを有してもよい。フィールド生成/受信部781は、生成/受信回路790に接続される。リモート機器インターフェース/回路部770は、各種の動作回路及びルーチン782と、ユーザインターフェース795とを有してもよい。
【0062】
一実装形態では、ユーザインターフェース795は、測定値ディスプレイ795A及びタッチスクリーン795B等を有してもよい。タッチスクリーン795Bは、テキスト及び/又は制御エレメントを表示する。動作回路及びルーチン782は、プロセッサ及びメモリにより実現すればよい。これにより、
図6のコンピュータシステム682が実現する測定データアプリケーションプログラム実行部692と、ステータス及び/又は制御動作部694と、データ確認動作ステータス/解除動作部696とを参照して概説した各種の動作と同様の動作が実現される。これと共に/これに替えて、ここで説明する他の動作若しくは他の所望の動作が実現される。
【0063】
フィールド生成/受信部781及び生成/受信回路790については、
図8A~
図8Cを参照して後で詳述する。一般に、フィールド生成/受信部781及び生成/受信回路790は、少なくとも1つのエネルギー供給フィールドSTS1(例えば、データ送信モジュールに電力を与えるため)を生成し、データ送信モジュール750から測定データ信号を無線受信するよう構成される。
【0064】
バッテリ式携帯測定機器701からの測定データは、バッテリ式携帯測定機器701の内蔵ディスプレイ709及び/又はリモートデータノード780のユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ)795に、表示測定値DM1として表示すればよい。
【0065】
各実装形態では、データ送信モジュール750は、バッテリ不使用アクセサリとされ、バッテリ式携帯測定機器701に装着されるアタッチメントであればよい。各実装形態では、データ送信モジュール750は、本体部(詳細は後述)と、フィールド受信/無線データ生成部761と、データ送信/エネルギー管理回路760とを有する。フィールド受信/無線データ生成部761及びデータ送信/エネルギー管理回路760については、
図8A~
図8Cを参照して後で詳述する。本体部は、バッテリ式携帯測定機器701に物理的に接続するよう構成される。フィールド受信/無線データ生成部761は、リモートデータノード780からのエネルギー供給フィールドSTS1を受信するよう構成される。一般に、フィールド受信/無線データ生成部761は、データ送信/エネルギー管理回路760に含まれる送信回路に接続すればよい。これにより、リモートデータノード780に測定データ信号を無線送信できる(詳細は後述)。データ送信/エネルギー管理回路760は、データコネクタを有する。データ送信/エネルギー管理回路760のデータコネクタは、バッテリ式携帯測定機器701のデータコネクタに接続されるよう構成される。バッテリ式携帯測定機器701からの測定データは、データコネクタを介してデータ送信/エネルギー管理回路760に入力すればよい。データ送信/エネルギー管理回路760は、入力された測定データに対応する測定データ信号TMD1を、フィールド受信/無線データ生成部761を用いて、リモートデータノード780に無線送信すればよい。
【0066】
各実装形態では、バッテリ式携帯測定機器701には、バッテリから電力を供給すればよい。しかし、このバッテリは、データ送信モジュール750の一部ではなく、電力供給のためにデータ送信モジュール750に接続されているものでもない。つまり、バッテリ式携帯測定機器701は、データ送信モジュール750のとは独立のバッテリにより駆動する。この「独立のバッテリ」は、バッテリ式携帯測定機器701がデータ送信モジュール750に接続されるか否かに拘わらず、内蔵ディスプレイ709に測定データを表示及び作動するよう構成されている。各実装形態では、フィールド受信/無線データ生成部761は、リモートデータノード780に測定データ信号を無線送信する際、以下のa)、b)又はc)、即ち
a) 発電したエネルギー、
b) リモートデータノード780から受信したエネルギー供給フィールドSTS1の変調反射、若しくは、リモートデータノード780から受信したエネルギー供給フィールドSTS1との結合、又は
c) a)及びb)の組み合わせ
のみを使用するよう構成される。これらの詳細は後述する。
【0067】
各実装形態では、測定データを保持、送信及び受信するのに関する各種のプロトコル並びにコマンド等は、本稿で概説したように実現してもよいし、場合によっては、公知の方法に従って実現してもよい。
【0068】
各実装形態では、上で概説したシステムは、比較的小型で人間工学的に実用的なフィールド受信/無線データ生成部761を使用するよう構成すればよい。バッテリ式携帯測定機器701及びデータ送信モジュール750がリモートデータノード780の比較的近くにあれば(例えば、典型的に使用される作業エリアWA内で、約1~2メートル程度の作業距離)、データ送信モジュール750に十分な電力(例えば、約10マイクロワット等)を与えることができる。このシステムは、本稿で開示する各種の原理に従って動作すればよい。以下、エネルギー発電及びデータ送信の有効な構成要素及び技術を説明する。
【0069】
図8A~
図8Cは、例示的な実装形態に係る、各データ送信モジュール850A~850Cと各リモートデータノード880A~880Cとの間のエネルギー供給フィールド結合及びデータ送信の各種形態を示すブロック図である。
【0070】
図8Aは、リモートデータノード880Aと、データ送信モジュール850Aとを示す。勿論、
図8Aの特定の参照符号を付構成要素は、
図7の同様の参照符号を付した構成要素(例えば、7XXと8XXとのように、同じ数「XX」が接尾する構成要素)に対応し、及び/又は、同様に動作すればよく、特に断りの無い限り、一般に、類推して理解されればよい。
【0071】
リモートデータノード880Aは、フィールド生成/受信部881Aを有する。フィールド生成/受信部881Aは、生成/受信回路890Aに接続される。生成/受信回路890Aは、プロセッサ888Aに接続される。プロセッサ888Aは、リモート機器インターフェース/回路部870Aに接続される。データ送信モジュール850Aは、フィールド受信/無線データ生成部861Aを有する。フィールド受信/無線データ生成部861Aは、データ送信/エネルギー管理回路860Aに接続される。
【0072】
図8Aに示す実装形態では、フィールド生成/受信部881A及びフィールド受信/無線データ生成部861Aは、電気ループアンテナでよい。フィールド生成/受信部881Aが生成するエネルギー供給フィールド(電力送信P1で示す)は、振動磁場でよい。振動磁場は、フィールド受信/無線データ生成部861Aと誘電結合する(フィールド受信/無線データ生成部861Aが、振動磁場を受信する)。このような誘電結合は、公知の方法に従って実現されればよい。例えば、公知のRFIDシステム技術が挙げられる(例えば、以下参照。http://rfid-handbook.de/about-rfid.html.)。
【0073】
各実装形態では、整合回路891Aに接続されるフィールド生成/受信部881Aと、整合回路863Aに接続されるフィールド受信/無線データ生成部861Aとは、共振誘導結合構成の一部として形成された共振回路を有してもよい。共振誘電結合構成は、公知の原理に従って実現すればよい。例えば、各種の電気ループアンテナと、整合回路863A及び891Aに有用なインピーダンス整合及び/又は共振回路は、特許文献6~特許文献10に開示される原理に従って実施すればよい。このような共振誘電結合は、共振誘電結合が無い構成と比較して、結合及び電力伝送を大幅に増やすことができる(例えば、各実装形態では、約10~1000回)。図示の実装形態では、リモートデータノード880Aの生成/受信回路890Aは、整合回路891Aと、供給/送信回路894Aと、受信回路893Aとを有する。これらの回路は、公知の原理に従って実現すればよい。例えば、特許文献に記載されているので、本稿では単に簡潔に説明する。
【0074】
要するに、整合回路891Aは、所望のインピーダンスを与える、及び/又は、フィールド生成/受信部881Aの共振周波数を整調するように構成すればよい。供給/送信回路894A及び受信回路893Aは、整合回路891Aを介して、フィールド生成/受信部881Aに接続されればよい。供給/送信回路894Aは、(例えば、電力P1を送信するために共振周波数で)振動磁場を駆動するよう構成される。振動磁場は、フィールド受信/無線データ生成部861Aと誘電結合し得る(フィールド受信/無線データ生成部861Aが、振動磁場を受信する)。詳細は後述するが、データ送信/エネルギー管理回路860Aは、データ送信モジュール850Aがデータを送信するため(
図8AのMLOAD2参照)、フィールド受信/無線データ生成部861Aのインピーダンス(又は負荷)を変調すればよい。受信回路893Aは、フィールド生成/受信部881Aの変調インピーダンスMLOAD2を検出すればよい。簡単に説明すると、フィールド受信/無線データ生成部861Aは、振動磁場に対して、誘電的に負荷を掛ける(振動磁場からエネルギーを取り出す)。受信回路893Aは、変調負荷インピーダンスをモニタすればよい。例えば、
図8Aに模式的に示すように、フィールド生成/受信部881Aを駆動する回路の内部抵抗での電圧降下をモニタすることにより、変調負荷インピーダンスをモニタする。公知の一実装形態では、受信回路893Aは、モニタした内部抵抗でのAC電圧を復調し、送信データを構成する復調信号の変動を検出すればよい。
【0075】
図8Aに模式的に示す実装形態では、供給/送信回路894Aは、プロセッサ888Aに制御され、データを送信するために振動磁場の駆動振幅を変調するよう構成してもよい。データ送信/エネルギー管理回路860Aの受信回路867Aは、フィールド受信/無線データ生成部861Aが受信した振動磁場の変調振幅を検出してもよい(詳細は後述)。
【0076】
上述のリモート機器インターフェース/回路部770から類推されるように、リモート機器インターフェース/回路部870Aは、プロセッサ888Aと協働して実現され得る同様の構成要素を有してもよい。
【0077】
図示の実装形態では、データ送信モジュール850Aのデータ送信/エネルギー管理回路860Aは、整合回路863Aと、発電回路864Aと、受信回路867Aと、エネルギー蓄電デバイス862Aと、プロセッサ/メモリ866Aと、データコネクタ868Aと、送信回路865Aとを有する。これらの回路は、公知の原理に従って実現すればよい。例えば、特許文献に記載されているので、本稿では単に簡潔に説明する。
【0078】
要するに、整合回路863Aは、上で概説した原理に従って、所望のインピーダンスを与える、及び/又は、フィールド受信/無線データ生成部861Aの共振周波数を整調するように構成すればよい。発電回路864A及び受信回路867Aは、整合回路891Aを介して、フィールド受信/無線データ生成部861Aに接続されればよい。発電回路864Aは、振動磁場によりフィールド受信/無線データ生成部861Aの電流から得られる電圧を整流し且つブーストするよう構成される(例えば、特許文献参照)。エネルギー蓄電デバイス862A(例えば、スーパーキャパシタ等)は、発電回路864Aに接続され、発電回路864Aの出力電圧で充電され、データ送信モジュール850Aの各種の構成要素に電力を供給する。
【0079】
図8Aに模式的に示す実装形態では、送信回路865Aは、データ送信モジュール850Aがデータを送信するため(
図8AのMLOAD2参照)、フィールド受信/無線データ生成部861Aのインピーダンス(又は負荷)を変調すればよい。一実装形態では、プロセッサ/メモリは、データコネクタ868Aを介してバッテリ式携帯測定機器701から測定データを受信すればよい。プロセッサ/メモリは、送信回路865Aを作動させて、測定データを送信するために、フィールド受信/無線データ生成部861Aのインピーダンスを変調すればよい(例えば、リモートデータノード880Aの受信回路893Aを参照して概説した原理に従って)。一実施形態では、
図8Aに模式的に示すように、送信回路865Aは、内部インピーダンスを変化(例えば、ショート)させるため、プロセッサに制御されるトランジスタを使って、フィールド受信/無線データ生成部861Aのインピーダンスを変調する。
【0080】
データを送信するためリモートデータノード880Aが振動磁場の駆動振幅を変調するよう作動するとき、受信回路867Aは、例えば、受信回路867Aのテスト抵抗での電圧降下をモニタすることにより、派生する変調振幅をモニタしてもよい。公知の一実装形態では、受信回路867Aは、テスト抵抗でモニタしたAC電圧を復調し、送信データを構成する復調信号の変動を検出すればよい。
【0081】
本稿で図示又は示唆するように、プロセッサ/メモリ866Aは、各種の信号を送受信し、本稿で概説するような作動をするように、接続すればよい。プロセッサ/メモリ866Aは、関連する動作を実現するため、モジュール回路/動作部858Aを含めばよい、あるいは、モジュール回路/動作部858Aに接続されればよい。モジュール回路/動作部858Aは、
図6を参照して概説したように、コントローラルーチン実行部658が実現するアクチュエータ動作部671と、保持/キュー動作部672と、送信動作部674と、信号受信動作部676と、IDリンク動作部678とを参照して概説した各種の動作と同様の各種の動作を実現するのに有用な回路又はルーチンを有すればよい。
【0082】
図8Bは、リモートデータノード880Bと、データ送信モジュール850Bとを示す。勿論、
図8Bの特定の参照符号を付構成要素は、
図8Aの同様の参照符号を付した構成要素に対応し、及び/又は、同様に動作すればよく、特に断りの無い限り、一般に、類推して理解されればよい。従って、以下の説明では、重要な相違点のみ強調する。リモートデータノード880Bは、フィールド生成/受信部891B'を有する。フィールド生成/受信部891B'は、生成/受信回路890Bに接続される。データ送信モジュール850Bは、フィールド受信/無線データ生成部861Bを有する。フィールド受信/無線データ生成部861Bは、データ送信/エネルギー管理回路860Bに接続される。
【0083】
図8Bに示す実装形態では、フィールド生成/受信部891B'及びフィールド受信/無線データ生成部861Bは、RFアンテナでよい(例えば、RFID部材で使用される金属「タグ」アンテナ、ダイポールアンテナ、ストリップアンテナ等)。一般に、フィールド生成/受信部891B'のサイズは限定されない。一般に、フィールド生成/受信部891B'のアンテナは、フィールド受信/無線データ生成部861Bに所望のレベルの電力を送信することを目的として、如何なるデザインとしてもよい。これに対して、フィールド受信/無線データ生成部861Bは、比較的コンパクトとし、データ送信モジュール850Bの人間工学的デザインと両立しうるのが望ましい。各実装形態では、フィールド生成/受信部891B'が生成するエネルギー供給フィールド(電力送信P1で示す)は、電磁放射の所望のRF及び/又はUHF周波数を含めばよい。フィールド受信/無線データ生成部861Bは、電磁放射を受信する。このような結合は、公知の方法に従って実現されればよい。例えば、公知のRFIDシステム技術が挙げられる(例えば、以下参照。http://rfid-handbook.de/about-rfid.html.)。後述の各種の適切なアンテナ及び関連する回路は、上述の各特許文献、特許文献11~特許文献13及び例えば非特許文献1~非特許文献2に開示される原理に従って実施すればよい。
【0084】
概説したように、リモートデータノード880Bの生成/受信回路890Bが生成/受信回路890Aと異なる点は、RFアンテナを使っていることである。生成/受信回路890Bは、生成/受信回路890Aの回路と類似する回路と、指向性カプラ892Bとを有する。指向性カプラ892Bは、受信回路893B及び供給/送信回路894Bと、フィールド生成/受信部891B'とを、整合回路891Bを介して接続する(これは、実装形態によってはオプションである)。これらの回路は、公知の原理に従って実現すればよい。例えば、特許文献に記載されているので、本稿では単に簡潔に説明する。
【0085】
供給/送信回路894Bは、放射状のフィールドを生成するために、指向性カプラ892Bを介してフィールド生成/受信部891B'を駆動する(例えば、電力P1を送信するため)。フィールド受信/無線データ生成部861Bは、放射状のフィールドを受信し得る。詳細は後述するが、データ送信/エネルギー管理回路860Bは、データ送信モジュール850Bがデータを送信するため(
図8BのMP2参照)、フィールド受信/無線データ生成部861Bのインピーダンスを変調すればよい。受信回路893Bは、そのインピーダンス変調を検出すればよい。簡単に説明すると、後方散乱結合の公知の原理に従って、上記インピーダンス変調は、フィールド生成/受信部891B'により受信された反射電力MP2に影響を及ぼす(変調する)。実装形態によっては、フィールド受信/無線データ生成部861B及び整合回路863Bは、フィールド生成/受信部891B'からの放射状の波面と共振するよう構成すればよい。これにより、比較的大きな反射断面が得られる。受信回路893Aは、公知の方法に従って、指向性カプラ892Bを介して反射電力MP2をモニタすればよい。例えば、「レーダ方程式」及び公知の回路技術を使用して、フィールド生成/受信部891B'が送信する電力P1と反射電力MP2との比を推定できる。この比の変化が、送信したデータを構成する。
【0086】
一般に、
図8Bの他の構成要素は、
図8Aの対応する構成要素と類似する動作をすると解され、上述の説明に基づき理解されればよい。当業者により、及び/又は、特許文献等に基づき、適合のための改変が必要であることが認識されるだろう。
【0087】
図8Cは、リモートデータノード880Cと、データ送信モジュール850Cとを示す。勿論、
図8Cの特定の参照符号を付構成要素は、
図8A及び/又は
図8Bの同様の参照符号を付した構成要素に対応し、及び/又は、同様に動作すればよく、特に断りの無い限り、一般に、類推して理解されればよい。従って、以下の説明では、重要な相違点のみ強調する。リモートデータノード880Cは、フィールド生成部881C及びフィールド受信部881C'を有する。フィールド生成部881C及びフィールド受信部881C'は、生成/受信回路890Cに接続される。データ送信モジュール850Cは、フィールド受信部861C及び無線データ生成部861C'を有する。フィールド受信部861C及び無線データ生成部861C'は、データ送信/エネルギー管理回路860Cに接続される。
【0088】
図8Cに示す実装形態では、フィールド生成部881C及びフィールド受信部861Cは、電気ループでよい。付随する構成要素及び動作は、
図8Aより類推されてよい。ただし、本実装形態のデータ送信モジュール850Cでは、フィールド生成部881C及びフィールド受信部861Cは、エネルギー送信及び発電だけを目的として使用される。従って、受信回路はこれに含まれない。フィールド受信部881C'及び無線データ生成部861C'は、RF又はUHFアンテナとすればよい。フィールド受信部881C'及び無線データ生成部861C'間で、公知の方法を用いて、発電した電力及び/又はエネルギー蓄電デバイス852Cからの蓄電エネルギーだけを使用して、データを送信すればよい。
図8Cのシステム実装形態は、例えば、データ送信モジュール850C及び装着された測定機器からの測定値を常時表示するのに有用となり得る。
【0089】
勿論、
図8Cのシステム構成において、構成要素880Ct及び880Crは、必要により、物理的に分離してもよい(例えば、
図7のリモートデータノード780の点線DLで)。実装形態によっては、構成要素880Ct及び880Crは、個別の電源でもよい。あるいは、別の実装形態によっては、構成要素880Ct及び880Crは、電力及び信号接続により接続されてもよい。いずれの場合も、利便性のため、及び/又は、周囲に障害物が有る場合に無線接続を良好にする等のため、構成要素880Ct及び880Crは、作業エリア(例えば、
図7の作業エリアWA)の周囲に個別に配置すればよい。
【0090】
図9Aは、第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュール950を一部表象的に一部模式的に示す斜視図である。データ送信モジュール950は、測定データをリモートデータノード(例えば、
図7のリモートデータノード780)に無線送信するバッテリ式携帯測定機器901に接続される。勿論、
図9Aの特定の参照符号を付構成要素は、
図7、
図8A~
図8C及び
図4の同様の参照符号を付した構成要素に対応し、及び/又は、同様に動作すればよく、特に断りの無い限り、一般に、類推して理解されればよい。従って、以下の説明では、重要な相違点のみ強調する。データ送信モジュール950は、本体部BP9と、本体部BP9内部(概略点線で示す)に設けられた回路基板アセンブリ951と、カバーBP9'とを有する。図示のように、本体部BP9は、典型的なカップリング機構CF9(公知の各種のメカニカルなカップリング機構の何れでもよい(図示せず))を有する。カップリング機構CF9は、上で概説した原理に従って、スライダ206の噛合機構とメカニカルに接続すればよい。これにより、データ送信モジュール950がバッテリ式携帯測定機器901に固定される。本体部BP9の領域BP9cpは、コネクタ領域であればよい。本体部BP9の領域BP9cp(コネクタ領域)の寸法及び接続機構は、
図4のモジュールMTM4の本体部BP4の対応する機構と、同様又は同一でよい。以下の概説は、両者に適用可能である。本体部BP9のサイズ及び形状は、
図4の本体部BP4のサイズ及び形状と、ある程度異なる。本体部BP9は、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961を収容するために、大容量であることを主目的としているためである。しかしながら、機能はほぼ同様である。比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961の目的は、リモートデータノード(例えば、
図7のリモートデータノード780)からより大量の電力を伝送して、より大量のエネルギーを発電することであり、一般に、大型のフィールド受信/無線データ生成部961であるほど、より大量の電力を伝送し、より大量のエネルギーを発電することができる。しかしながら、非常に効率的に発電できるように構成された、及び/又は、短い作業距離WD(
図7のWD参照)に対応して動作するように設計された実装形態では、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961及び回路基板アセンブリ951は、必要に応じて、本体部BP4と同等の大きさの本体部での使用に適したものにしてもよい。
【0091】
図9A等に示す各実装形態では、
図9Aの本体部BP9と同様に、人間工学的には、本体部の形状は、本体部を接続する部位(例えば、スライダ(読取ヘッド)206)の本体の形状と同様とすることが望ましい。各実装形態では、データ送信モジュール950の本体部BP9をバッテリ式携帯測定機器901に物理的に接続したときに、データ送信モジュール950の容積の大部分がバッテリ式携帯測定機器901の後部に位置するよう構成すればよい(例えば、バッテリ式携帯測定機器901の後部は、バッテリ式携帯測定機器901の前部に設けられた内蔵ディスプレイ909等と反対側である)。加えて、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961は、データ送信モジュール950をバッテリ式携帯測定機器901に物理的に接続したときに、バッテリ式携帯測定機器901の後部の容量内に配置すればよい。各実装形態では、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961を有する回路基板アセンブリ951を本体部BP9に装着したとき、回路基板アセンブリ951とバッテリ式携帯測定機器901の後部との間に、所望の間隔Dsepが介在してもよい。これにより、一般に、とりわけバッテリ式携帯測定機器901の後部が金属製のときには、リモートデータノードからのエネルギー供給フィールドをより効率的に受信することができる。一部の特許文献にも同様の考察が言及されている。実装形態によっては、本体部BP9を人間工学的に設計するための制約のために、間隔Dsepは、少なくとも2ミリメートル又は4ミリメートル以上である。
【0092】
図9Aに示すように、実装形態によっては、データ送信モジュール950は、オプションで、低電力アクチュエータ955'及び/又は発電インジケータ959'を有してもよい。アクチュエータ455とは対照的に、低電力アクチュエータ955'は、エネルギーを生成せず、消費エネルギーが著しく小さい。しかしながら、その他の点では、低電力アクチュエータ955'の動作及びプロトコルは、本稿で上に開示したアクチュエータに関する動作及びプロトコルと同様である。同様に、発電インジケータ959'も、消費エネルギーが著しく小さい。発電インジケータ959'は、発電及び/又はエネルギー蓄電がデータ送信モジュール950の動作レベルであるかを、ユーザに示せばよい(例えば、機器がリモートデータノードに対して作業距離WD内にあるか外にあるか)。
【0093】
図示の回路基板アセンブリ951は、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961を含む。比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961は、データ送信/エネルギー管理回路960に接続される。データ送信/エネルギー管理回路960は、関連する動作(動作は全て、
図8A~
図8Cの対応する構成要素を参照して上に概説した)を実現するため、モジュール回路/動作部958を内蔵してもよい。図示のデータ送信/エネルギー管理回路960は、さらに、データコネクタ素子968'を有する。取り付け時には、データコネクタ素子968'は、公知の方法により、本体部BP9のコネクタ領域BP9cpにあるデータコネクタ968と接続及び/又は結合する。一般に、データ送信モジュール950が実現するデータ送信モジュール850A~850Cの構成は、各種の構成のうちいずれでもよい。勿論、図示した上述の実装形態に係るデータ送信モジュール950は単に例示にすぎず、限定するものではない。より一般的には、データ送信モジュールは、データ送信モジュール850A~850Cの各種の機構又は構成のいずれかの組み合わせを実現してよく、所望の動作可能な組み合わせであればよい。本稿で開示する原理に従って各種の公知の製作法及びアセンブリ方法を用いればよい。
【0094】
図9Bは、第7の例示的な実装形態に係るデータ送信モジュール950Bを一部表象的に一部模式的に示す斜視図である。勿論、
図9Bの特定の参照符号を付構成要素は、
図9Aの同様の参照符号を付した構成要素に対応し、及び/又は、同様に動作すればよく、特に断りの無い限り、一般に、類推して理解されればよい。従って、以下の説明では、重要な相違点のみ強調する。
【0095】
データ送信モジュール950Bは、本体部BP9'を有する。本体部BP9'は、公知の方法(本体部BP9とは異なり)により、回路基板アセンブリ951Bを収容すればよい。
図9Aの回路基板アセンブリ951とは異なり、回路基板アセンブリ951Bは、公知のタイプの「リジッドフレキシブル」アセンブリであればよく、1以上のタブ部951a~951dを有する。各タブ部は、対応する1以上の増設フィールド受信/無線データ生成部961a~961dを収容してもよい。タブ部は、本体部BP9'に組み付ける前に、本体部BP9'に対して約90度折り曲げてもよい。増設フィールド受信/無線データ生成部961a~961dはそれぞれ、適当な整合回路(例えば、上述の整合回路863A~863Cの何れか)を有してもよい。整合回路は、公知の方法(例えば、特許文献に開示の方法)により、データ送信/エネルギー管理回路960Bに内蔵すればよい。
【0096】
図9Bの構成は、増設フィールド受信/無線データ生成部961a~961dにより増設されたフィールド受信エリアがあることで、リモートデータノード(例えば、
図7のリモートデータノード780)からより多くの電力伝送及びエネルギー発電を実現できる点で有利となり得る。各種のフィールド受信/無線データ生成部961及び961a~961dを三次元的に配置することにより、予測せぬ動作方向の発電を増やす可能性もある。
【0097】
図9Aを参照して上に示したように、非常に効率的に発電できるように構成された、及び/又は、短い作業距離WD(
図7のWD参照)に対応して動作するように設計された実装形態では、比較的大型のフィールド受信/無線データ生成部961及び回路基板アセンブリ951は、必要に応じて、本体部BP4と同等の大きさの本体部での使用に適したものにしてもよい。
図9Bに示されている増設フィールド受信エリア及び三次元的な配置の構成を採用することにより、本体部BP4と同等の大きさの本体部での使用に適合させることに有利となる。
【0098】
図10は、データ送信モジュールを利用してバッテリ式携帯測定機器からリモートデータノードに測定データ信号を無線送信するルーチン1000の例示的な一実装形態を示すフローチャートである。ブロック1010において、データ送信モジュールのフィールド受信部は、リモートデータノードのエネルギー供給フィールドを受信する。データ送信モジュールは、エネルギー供給フィールドから、エネルギーを発電する。データ送信モジュールは、発電したエネルギーの少なくとも一部を、データ送信モジュール内に蓄電する。ブロック1020において、データ送信モジュールとリモートデータノードとの間で、通信接続を確立する。各実装形態では、データ送信モジュールが発電したエネルギーの所定量を、リモートデータノードが受信することにより、通信接続の確立を開始すればよい。例えば、データ送信モジュールは、最初、リモートデータノードから特定距離内(例えば、1メートル等)に無ければ、非アクティブであればよい。データ送信モジュールは、上記特定距離内に入ると、「ウェイクアップ」のための機能を実行し、アクティブになればよい。データ送信モジュールは、リモートデータノードからの受信を受けて、エネルギーの発電を開始する。このプロセスの中で、データ送信モジュールは、特定距離内に入ったことを検知すると、通信接続を確立すればよい。これに加えて/これに替えて、データ送信モジュールは、リモートデータノードからエネルギーを受信したことを検知すると、通信接続を確立すればよい。各実装形態では、特定のタイプの通信接続コード及び/又は測定データ等を送信することにより、通信接続を確立すればよい。
【0099】
ブロック1030において、データ送信モジュールに、データコネクタを介して、バッテリ式携帯測定機器から測定データが入力される。ブロック1040において、データ送信モジュールは、無線データ生成部を用いて、入力された測定データに対応する測定データ信号を、リモートデータノードに無線送信する。無線データ生成部は、リモートデータノードに測定データ信号を無線送信する際、以下の(a)、(b)又は(c)、即ち
(a) 発電したエネルギー、
(b) リモートデータノードから受信したエネルギー供給フィールドの変調反射、若しくは、リモートデータノードから受信したエネルギー供給フィールドの変調反射との結合、又は
(c) (a)及び(b)の組み合わせ
を使用するよう構成される。
各実装形態では、無線データ生成部は、リモートデータノードに測定データ信号を無線送信する際、(a)、(b)又は(c)のみを使用、又は、主に使用するよう構成すればよい。
【0100】
本開示の好適な実施形態を例示及び説明したが、例示及び説明した特徴の配置及び一連の動作に関して、多数の変形が本開示に基づいて当業者には明白であろう。種々の代替形状及び形態を用いて本明細書に開示される原理を実施することができる。さらに、上記各実施形態を組み合わせて、さらに別の実施形態を提供することができる。本明細書に記載した全ての特許文献の開示を参照することにより、本発明の一部を構成する。必要に応じて、各特許文献の構想を採用して本実施形態の各態様を変更することができる。これにより、さらに別の実施形態を提供することができる。
【0101】
上記説明に照らして本実施形態を多様に変更することが可能である。一般に、特許請求の範囲において使用する語句は、特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態に限定するものであると解釈されるべきでない。むしろ、考え得る全ての実施形態に加えて、特許請求の範囲の均等物の全範囲をも含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0102】
701、901…バッテリ式携帯測定機器
750、850A、850B、850C、950、950B…データ送信モジュール
780、880A、880B、880C…リモートデータノード