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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-03
(45)【発行日】2022-06-13
(54)【発明の名称】外科手術用創傷閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20220606BHJP
【FI】
A61B17/062
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018016242
(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2018126508
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/455,077
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/863,025
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】インダラジート シン バラ
(72)【発明者】
【氏名】ニーラジ クマール
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05632752(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118757(US,A1)
【文献】米国特許第05336239(US,A)
【文献】米国特許第05374275(US,A)
【文献】特表平10-504222(JP,A)
【文献】米国特許第05972005(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0213757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされた外側部材であって、第1の長手方向通路及び第2の長手方向通路を有する、外側部材と、
前記外側部材の前記第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に配設された針駆動部と、前記針駆動部に取り付けられた縫合針とを含む針組立体であって、前記縫合針が、前記針駆動部の操作を通して非準備状態と準備状態との間で前記中央長手方向軸に対して回転運動するように適合され、前記縫合針が、前記準備状態にあるときに前記創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられ、前記縫合針が、湾曲し、かつ、針先を画定し、前記縫合針の少なくとも前記針先が、前記縫合針の前記準備状態にあるときに前記外側部材に対して径方向外方に配設され、前記縫合針の少なくとも前記針先が、前記縫合針の前記非準備状態にあるときに前記外側部材に対して径方向内方に配設される、針組立体と、
前記組織内で前記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成された縫合糸であって、前記縫合針に連結され、かつ前記外側部材の前記第2の長手方向通路を通して少なくとも部分的に延在する、縫合糸と、を備える、外科手術用閉鎖装置。
【請求項2】
前記針駆動部が、前記非準備状態と前記準備状態との間で前記縫合針の対応する回転運動を生じさせるように、前記外側部材の前記第1の長手方向通路内で回転可能である、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項3】
前記針組立体が、前記針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、前記手動アクチュエータが、前記非準備状態と前記準備状態との間で前記針駆動部及び前記縫合針の対応する回転運動を生じさせるように可動である、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項4】
前記外側部材が、ハウジングと、前記ハウジングから延在する細長い部材とを含み、前記手動アクチュエータが、前記縫合針の前記非準備状態に対応する第1の位置と、前記縫合針の前記準備状態に対応する第2の位置との間で回転運動するように前記ハウジングに取り付けられている、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記第1の位置で前記手動アクチュエータを係合させるための第1の止め具と、前記第2の位置で前記アクチュエータを係合させるための第2の止め具とを含む、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項6】
前記外側部材が、前記創傷開口の通過を容易にするように構成された先細りの端区分を含む、請求項1に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項7】
創傷開口の閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
外側部材と、
針組立体と、
縫合糸と
を備え、
前記外側部材が、創傷開口内に位置付けられるように構成され、
前記針組立体が、前記外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に延在、前記針組立体の湾曲針を非準備状態から準備状態へと移動させ、それにより前記湾曲針が前記外側部材の径方向外方に配設されるように、操作されるように構成され、前記湾曲針がそこに連結された縫合糸を有し、前記湾曲針の少なくとも針先が、前記非準備状態にあるときに前記外側部材に対して径方向内方に配設され、
前記縫合糸の第1の縫合区分及び前記縫合糸の第2の縫合区分の両方が、前記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように固定されるように構成され
前記外側部材が、前記縫合糸を収容するための第2の長手方向通路を有し、前記第1及び第2の操作の各々を通して前記外側部材を移動させる間に、前記縫合糸が前記第2の長手方向通路内でスライドするように構成される、外科手術用閉鎖装置。
【請求項8】
前記針組立体が、前記非準備状態から前記準備状態への前記湾曲針の対応する回転運動を生じさせるように、前記第1の長手方向通路内で前記針組立体の針駆動部を回転させるように操作されるように構成される、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【請求項9】
前記針組立体が、前記針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、前記針組立体が、前記湾曲針の前記非準備状態に対応する第1の位置から、前記湾曲針の前記準備状態に対応する第2の位置へと、前記手動アクチュエータを手動で回転させるように操作されるように構成される、請求項に記載の外科手術用閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年2月6日に出願された、米国仮特許出願第62/455,077号に対する利益及び優先権を主張し、その全体的な開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.技術分野
本開示は、創傷閉鎖に関し、より具体的には、腹腔鏡外科手術手技と併用して腹部内の創傷もしくはポート開口を閉鎖するための装置及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の背景
穿刺創傷は、外傷から生じ得るか、または外科手術手技中に体腔へのアクセスを提供するために意図的に生成され得る。内視鏡または腹腔鏡外科手術手技において、例えば、腹壁を通したカニューレの方法によるアクセスを提供するように腹部を穿刺するために、トロカールが使用される。一般的に、カニューレまたは他のアクセスポータルデバイスは、外科手術手技を行うのに必要とされる外科手術用器具を導入するために腹壁を通して留置される。いったん本手技が完了すると、穿刺創傷を閉鎖する必要がある。
【0004】
創傷閉鎖の現在の方法は、針を小径ポート内に前進させ、かつ針が皮下組織、筋膜、及び筋肉を含む腹部組織の異なる層を横切ることを確実にすることはかなり厄介かつ困難であるため、高度な技術に依存するものである。加えて、針が腹腔内の器官に偶発的に接触し、器官を損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本開示は、創傷閉鎖のさらなる改善を企図している。一実施形態において、創傷閉鎖を容易にする外科手術用閉鎖装置は、創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされ、第1の長手方向通路及び第2の長手方向通路を有する外側部材と、外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に配設された針組立体と、創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成され、かつ外側部材の第2の長手方向通路を少なくとも部分的に通して延在する縫合糸とを含む。針組立体は、針駆動部と、針駆動部に取り付けられ、かつ縫合糸に連結された縫合針とを含む。縫合針は、針駆動部の操作を通して非準備状態と準備状態との間で中央長手方向軸に対して回転運動するように適合される。縫合針は、準備状態にあるときに創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる。
【0006】
縫合針は、湾曲であり、針先を画定し得る。実施形態において、縫合針の少なくとも針先は、縫合針の準備状態にあるときに外側部材に対して径方向外方に配設され、縫合針の非準備状態にあるときに外側部材に対して径方向外方に配設される。いくつかの実施形態において、針駆動部は、非準備状態と準備状態との間で縫合針の対応する回転運動を生じさせるように、外側部材の第1の長手方向通路内で回転可能である。実施形態において、針組立体は、針駆動部に連結され、非準備状態と準備状態との間で針駆動部及び縫合針の対応する回転運動を生じさせるように可動である手動アクチュエータを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、外側部材は、ハウジングと、ハウジングから延在する細長い部材とを含む。手動アクチュエータは、縫合針の非準備状態に対応する第1の位置と、縫合針の準備状態に対応する第2の位置との間で回転運動するようにハウジングに取り付けられている。実施形態において、ハウジングは、第1の位置で手動アクチュエータを係合させるための第1の止め具と、第2の位置で手動アクチュエータを係合させるための第2の止め具とを含む。
【0008】
外側部材は、創傷開口の通過を容易にするように構成された先細りの端区分を含み得る。
【0009】
一実施形態において、創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置は、創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされた細長い部材と、細長い部材の壁から径方向外方に垂下する保護レッジと、細長い部材に取り付けられた針組立体とを含む。針組立体は、針駆動部と、針駆動部に取り付けられた縫合針とを含む。縫合針は、縫合針が保護レッジと整列される非準備状態と、縫合針が創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる準備状態との間で中央長手方向軸に対する針駆動部の操作を通して回転運動するように適合される。実施形態において、縫合糸は、縫合針に連結され、かつ組織内で創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成される。
【0010】
創傷開口の閉鎖を容易にするための方法がまた、開示される。本方法は、
外側部材を創傷開口内に位置付けることと、
外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に延在する針組立体を、針組立体の湾曲針を非準備状態から準備状態へと移動させ、それにより湾曲針が外側部材の径方向外方に配設されるように、操作することであって、湾曲針がそこに連結された縫合糸を有する、操作することと、
湾曲針が創傷開口を囲む第1の組織部分を貫通して、縫合糸の第1の縫合区分が第1の組織部分を通過することを生じさせるように、第1の操作を通して創傷開口内で外側部材を移動させることと、
外側部材を創傷開口内に再配置することと、
湾曲針が創傷開口を囲む第2の組織部分を貫通して、縫合糸の第2の縫合区分が第2の組織部分を通過することを生じさせるように、第2の操作を通して外側部材を創傷開口内で移動させることと、
創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように第1及び第2の縫合区分を固定することと、を含む。
【0011】
実施形態において、針組立体を操作することは、非準備状態から準備状態への湾曲針の対応する回転運動を生じさせるように、第1の長手方向通路内で針組立体の針駆動部を回転させることを含む。実施形態において、針組立体は、針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、針組立体を操作することは、湾曲針の非準備状態に対応する第1の位置から、湾曲針の準備状態に対応する第2の位置へと、手動アクチュエータを手動で回転させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、外側部材は、縫合糸を収容するための第2の長手方向通路を有し、第1及び第2の操作の各々を通して外側部材を移動させる間、縫合糸は、第2の長手方向通路内をスライドする。実施形態において、第1及び第2の操作の各々を通して創傷開口内で外側部材を移動させることは、創傷開口に対して外側部材を少なくとも部分的に引き抜くことを含む。
【0013】
実施形態において、創傷開口は、腹腔を通して延在し、第1及び第2の操作の各々を通して外側部材を移動させることは、腹腔を囲む少なくとも筋膜組織を通して第1及び第2の縫合区分を前進させることを含む。
【0014】
別の実施形態において、創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置は、長手方向軸を画定する細長い保持具部材を有する針保持具と、針保持具の保持具部材に固定された針棒及び針棒から延在する縫合針を有する針組立体と、針保護具とを含む。針保護具は、針保持具を少なくとも部分的に受容するように寸法決めされた保護具ハウジングを含む。保護具ハウジングは、縫合針の針先が保護具ハウジング内に配設される非準備状態と、縫合針の針先が保護具ハウジングから露出し、かつ創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる準備状態との間で針保持具に対して長手方向に往復運動するように構成される。
【0015】
実施形態において、針保護具の保護具ハウジングは、針保持具または針棒のうちの少なくとも1つを通過するための第1の開口と、縫合針の少なくとも針先を通過するための第2の開口とを画定する。いくつかの実施形態において、保護具ハウジングは、先細りの進入端区分を含み、第1の開口は、進入端区分の横にあり、第2の開口は、進入端区分を通して延在する。
【0016】
外科手術用閉鎖装置及び使用方法は、特に、腹腔内で、組織内の創傷開口を閉鎖するための効率的で安全なアプローチを提供する。非準備状態と準備状態との間の針組立体の運動は、いくつかの実施形態において、例えば、ハウジングの第1及び第2の止め具に対する手動アクチュエータの配向によるか、または他の実施形態において、針保持具または縫合針に対する針保護具の位置により、縫合針が提供されるそれぞれの状態を直接確認して臨床医が直接制御する。さらに、針組立体の装置内での組み込みが、高度に技能依存する外科手術手技であり、さらなる外傷及び関連する回復時間を導入し得る、周囲の創傷を縫合するためのアクセスポートを通して針を導入する必要性をなくす。
【0017】
本開示の他の利点は、下記の説明から理解されるだろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされた外側部材であって、第1の長手方向通路及び第2の長手方向通路を有する、外側部材と、
上記外側部材の上記第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に配設された針駆動部と、上記針駆動部に取り付けられた縫合針とを含む針組立体であって、上記縫合針が、上記針駆動部の操作を通して非準備状態と準備状態との間で上記中央長手方向軸に対して回転運動するように適合され、上記縫合針が、上記準備状態にあるときに上記創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる、針組立体と、
上記組織内で上記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成された縫合糸であって、上記縫合針に連結され、かつ上記外側部材の上記第2の長手方向通路を通して少なくとも部分的に延在する、縫合糸と、を備える、外科手術用閉鎖装置。
(項目2)
上記縫合針が、湾曲し、針先を画定する、上記項目に記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目3)
上記縫合針の少なくとも上記針先が、上記縫合針の上記準備状態にあるときに上記外側部材に対して径方向外方に配設される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目4)
上記縫合針の少なくとも上記針先が、上記縫合針の上記非準備状態にあるときに上記外側部材に対して径方向内方に配設される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目5)
上記針駆動部が、上記非準備状態と上記準備状態との間で上記縫合針の対応する回転運動を生じさせるように、上記外側部材の上記第1の長手方向通路内で回転可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目6)
上記針組立体が、上記針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、上記手動アクチュエータが、上記非準備状態と上記準備状態との間で上記針駆動部及び上記縫合針の対応する回転運動を生じさせるように可動である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目7)
上記外側部材が、ハウジングと、上記ハウジングから延在する細長い部材とを含み、上記手動アクチュエータが、上記縫合針の上記非準備状態に対応する第1の位置と、上記縫合針の上記準備状態に対応する第2の位置との間で回転運動するように上記ハウジングに取り付けられている、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目8)
上記ハウジングが、上記第1の位置で上記手動アクチュエータを係合させるための第1の止め具と、上記第2の位置で上記アクチュエータを係合させるための第2の止め具とを含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目9)
上記外側部材が、上記創傷開口の通過を容易にするように構成された先細りの端区分を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目10)
創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされた細長い部材と、
上記細長い部材の壁から径方向外方に垂下する保護レッジと、
上記細長い部材に取り付けられた針組立体であって、上記針組立体が、針駆動部と、上記針駆動部に取り付けられた縫合針とを含み、上記縫合針が、上記縫合針が上記保護レッジと整列される非準備状態と、上記縫合針が上記創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる準備状態との間で上記中央長手方向軸に対する上記針駆動部の操作を通して回転運動するように適合されている、針組立体と、を備える、外科手術用閉鎖装置。
(項目11)
上記組織内で上記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成された縫合糸を含み、上記縫合糸が、上記縫合針に連結される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目12)
創傷開口の閉鎖を容易にするための方法であって、
外側部材を創傷開口内に位置付けることと、
上記外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に延在する針組立体を、上記針組立体の湾曲針を非準備状態から準備状態へと移動させ、それにより上記湾曲針が上記外側部材の径方向外方に配設されるように、操作することであって、上記湾曲針がそこに連結された縫合糸を有する、操作することと、
上記湾曲針が上記創傷開口を囲む第1の組織部分を貫通して、上記縫合糸の第1の縫合区分が上記第1の組織部分を通過することを生じさせるように、第1の操作を通して上記創傷開口内で上記外側部材を移動させることと、
上記外側部材を上記創傷開口内に再配置することと、
上記湾曲針が上記創傷開口を囲む第2の組織部分を貫通して、上記縫合糸の第2の縫合区分が上記第2の組織部分を通過することを生じさせるように、第2の操作を通して上記外側部材を上記創傷開口内で移動させることと、
上記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように上記第1及び第2の縫合区分を固定することと、を含む、方法。
(項目13)
上記針組立体を操作することが、上記非準備状態から上記準備状態への上記湾曲針の対応する回転運動を生じさせるように、上記第1の長手方向通路内で上記針組立体の針駆動部を回転させることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記針組立体が、上記針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、上記針組立体を操作することが、上記湾曲針の上記非準備状態に対応する第1の位置から、上記湾曲針の上記準備状態に対応する第2の位置へと、上記手動アクチュエータを手動で回転させることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記外側部材が、上記縫合糸を収容するための第2の長手方向通路を有し、上記第1及び第2の操作の各々を通して上記外側部材を移動させる間に、上記縫合糸が上記第2の長手方向通路内でスライドする、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記第1及び第2の操作の各々を通して上記創傷開口内で上記外側部材を移動させることが、上記創傷開口に対して上記外側部材を少なくとも部分的に引き抜くことを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記創傷開口が、腹腔を通して延在し、上記第1及び第2の操作の各々を通して上記外側部材を移動させることが、上記腹腔を囲む少なくとも筋膜を通して上記第1及び第2の縫合区分を前進させることを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
長手方向軸を画定する細長い保持具部材を含む、針保持具と、
上記針保持具の上記保持具部材に固定された針棒と、上記針棒から延在する縫合針とを含む針組立体と、
上記針保持具を少なくとも部分的に受容するように寸法決めされた保護具ハウジングを含む針保護具であって、上記保護具ハウジングが、上記縫合針の針先が上記保護具ハウジング内に配設される非準備状態と、上記縫合針の上記針先が上記保護具ハウジングから露出し、かつ創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる準備状態との間で上記針保持具に対して長手方向に往復運動するように構成される、針保護具と、を備える、外科手術用閉鎖装置。
(項目19)
上記針保護具の上記保護具ハウジングが、上記針保持具または針棒のうちの少なくとも1つを通過するための第1の開口と、上記縫合針の少なくとも上記針先を通過するための第2の開口とを画定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目20)
上記保護具ハウジングが、先細りの進入端区分を含み、上記第1の開口が、上記進入端区分の横に位置付けられ、上記第2の開口が、上記進入端区分を通して延在する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目12A)
創傷開口の閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置であって、
外側部材と、
針組立体と、
縫合糸と
を備え、
上記外側部材が、創傷開口内に位置付けられるように構成され、
上記針組立体が、上記外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に延在させ、上記針組立体の湾曲針を非準備状態から準備状態へと移動させ、それにより上記湾曲針が上記外側部材の径方向外方に配設されるように、操作されるように構成され、上記湾曲針がそこに連結された縫合糸を有し、
上記外側部材が、上記湾曲針が上記創傷開口を囲む第1の組織部分を貫通して、上記縫合糸の第1の縫合区分が上記第1の組織部分を通過することを生じさせるように、第1の操作を通して上記創傷開口内で移動されるように構成され、
上記外側部材が、上記創傷開口内に再配置されるように構成され、
上記外側部材が、上記湾曲針が上記創傷開口を囲む第2の組織部分を貫通して、上記縫合糸の第2の縫合区分が上記第2の組織部分を通過することを生じさせるように、第2の操作を通して上記創傷開口内で移動されるように構成され、
上記第1及び第2の縫合区分が、上記創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように固定されるように構成される、外科手術用閉鎖装置。
(項目13A)
上記針組立体が、上記非準備状態から上記準備状態への上記湾曲針の対応する回転運動を生じさせるように、上記第1の長手方向通路内で上記針組立体の針駆動部を回転させるように操作されるように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目14A)
上記針組立体が、上記針駆動部に連結された手動アクチュエータを含み、上記針組立体が、上記湾曲針の上記非準備状態に対応する第1の位置から、上記湾曲針の上記準備状態に対応する第2の位置へと、上記手動アクチュエータを手動で回転させるように操作されるように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目15A)
上記外側部材が、上記縫合糸を収容するための第2の長手方向通路を有し、上記第1及び第2の操作の各々を通して上記外側部材を移動させる間に、上記縫合糸が上記第2の長手方向通路内でスライドするように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目16A)
上記外側部材が、上記第1及び第2の操作の各々を通して上記創傷開口内で移動され、上記創傷開口に対して上記外側部材を少なくとも部分的に引き抜くように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(項目17A)
上記創傷開口が、腹腔を通して延在し、上記外側部材が、上記第1及び第2の操作の各々を通して移動され、上記腹腔を囲む少なくとも筋膜を通して上記第1及び第2の縫合区分を前進させるように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術用閉鎖装置。
(摘要)
創傷閉鎖を容易にするための外科手術用閉鎖装置は、創傷開口内に位置付け、かつ中央長手方向軸を画定するように寸法決めされ、第1の長手方向通路及び第2の長手方向通路を有する外側部材と、外側部材の第1の長手方向通路内に少なくとも部分的に配設された針組立体と、創傷開口を少なくとも部分的に閉鎖するように構成され、かつ外側部材の第2の長手方向通路を通して少なくとも部分的に延在する縫合糸とを含む。針組立体は、針駆動部と、針駆動部に取り付けられ、かつ縫合糸に連結された縫合針とを含む。縫合針は、針駆動部の操作を通して非準備状態と準備状態との間で中央長手方向軸に対して回転運動するように適合される。縫合針は、準備状態にあるときに創傷開口に隣接する組織を通過するように位置付けられる。
【0018】
本開示の実施形態は、添付の図を参照して理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】外側部材、外側部材内に少なくとも部分的に配設された針組立体、及び針組立体に連結された縫合糸を図示する本開示の原則による外科手術用閉鎖装置の斜視図である。
図2】外科手術用閉鎖装置の分解斜視図である。
図2A】針組立体の縫合針を図示する拡大斜視図である。
図3】縫合針の非準備状態での針組立体の配置を図示する外科手術用閉鎖装置の側断面図である。
図4】縫合針の非準備状態にあるときの針組立体の手動アクチュエータの位置付けを図示する外科手術用閉鎖装置の上軸方向図である。
図5】非準備状態にあるときの針組立体の縫合針の位置付けを図示する外科手術用閉鎖装置の底軸方向図である。
図6】縫合針の準備状態にあるときの針組立体の配置を図示する外科手術用閉鎖装置の側断面図である。
図7】縫合針の準備状態にあるときの針組立体の手動アクチュエータの位置付けを図示する外科手術用閉鎖装置の上軸方向図である。
図8】準備状態にあるときの針組立体の縫合針の位置付けを図示する外科手術用閉鎖装置の底軸方向図である。
図9A】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9B】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9C】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9D】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9E】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9F】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図9G】腹部内で創傷開口を閉鎖する際の外科手術用閉鎖装置の使用の順序を図示する。
図10】保護レッジ、針組立体、及び針組立体の針の周りでループ状である縫合糸を有する外側部材を図示する外科手術用閉鎖装置の別の実施形態の斜視図である。
図11】縫合糸が除去された状態の針組立体の非準備状態での図10の外科手術用閉鎖装置の側立面図である。
図12】縫合糸が除去された状態の針組立体の準備状態での図10の外科手術用閉鎖装置の側立面図である。
図13図12で特定された詳細の領域の拡大分離図である。
図14】針保持具、針保持具に対してスライド可能に取り付けられた針保護具、及び非準備状態での針を有する針保持具内に少なくとも部分的に取り付けられた針組立体を図示する外科手術用閉鎖装置の別の実施形態の側平面図である。
図15】非準備状態での針組立体をさらに図示する図14の外科手術用閉鎖装置の側断面図である。
図16】準備状態での針組立体を図示する図14の外科手術用閉鎖装置の側平面図である。
図17】準備状態での針をさらに図示する図14の外科手術用閉鎖装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の具体的な実施形態は、添付の図を参照して下記の本明細書に記載されているが、本開示されている実施形態は、本開示の単なる例であり、種々の形態で具現化され得ることを理解すべきである。良く知られている機能または構造は、不要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために詳細には記載されていない。したがって、本明細書で開示されている特定の構造及び機能の詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲のための基礎事項として、かつ事実上、任意の適切に詳述された構造で本開示を用いるように当業者に教示するための代表的な基礎事項として、解釈されるべきである。
【0021】
次に、同様の符号がいくつかの図全体を通して同様の構成要素を示す図を参照すると、図1~3は、本開示の例示的な実施形態による外科手術用閉鎖装置10を図示する。外科手術用閉鎖装置10は、組織内の創傷開口の閉鎖を容易にするように適合され、例えば、腹腔鏡外科手術手技と関連して、腹壁を通して腹部内で生成された穿刺またはポート創傷の閉鎖における具体的な用途を有する。しかしながら、外科手術用閉鎖装置10及び関連する使用方法はまた、外科手術手技中に生成されたか、または事故または外傷から生じたかに関わらず、対象の体の他の領域内の創傷開口を閉鎖するために使用され得る。
【0022】
外科手術用閉鎖装置10は、近位及び遠位端部分14、16を画定する外側部材12と、外側部材12内に少なくとも部分的に位置付け可能な針組立体18と、針組立体18に連結された縫合糸20とを含む。外側部材12は、近位端部分14に隣接するハウジング22と、ハウジング22から遠位に延在する細長い部材24とを含む。ハウジング22及び細長い部材24は、一体的に形成され得るか、または代替的に、従来型の手段を介して互いに固定された別個の構成要素であり得る。外側部材12は、中央長手方向軸「k」を画定し、図3に最適に図示されるようなハウジング22及び細長い部材24を通して少なくとも部分的に延在する第1及び第2の長手方向通路26、28を有する。第1の長手方向通路26は、中央長手方向軸「k」に対して径方向に離間し、第2の長手方向通路28は、中央長手方向軸「k」と略長手方向に整列している。他の配置がまた、想定される。ハウジング22と、細長い部材24とを含む外側部材12は、第1及び第2の長手方向通路26、28を除いて、全体的または部分的に固体であり得、または、代替的に、中空であり得、第1及び第2の長手方向通路26、28を画定する内部管を含み得る。
【0023】
図1及び2を再び参照すると、ハウジング22は、縫合糸20を受容及び通過するために第2の長手方向通路28と連通するその近位のハウジング端面32内に張り出し進入開口30を含む。ハウジング端面32はまた、中央長手方向軸「k」とハウジング22の周辺との間に位置付けられた第1の止め具34と、第1の止め具34と略直径方向に対向する関係でハウジング22の周辺に隣接する第2の止め具36とを含む。第1及び第2の止め具34、36は、ハウジング端面32から延在する棚または突出部の形態であり得る。第1及び第2の止め具34、36のそれぞれの機能は、本明細書の下でより詳細に考察されるだろう。
【0024】
図1~3を再び参照すると、外側部材12の細長い部材24は、その長さの大部分に沿って略円筒状であり、組織の通過を容易にするように寸法決めされた遠位端部分16に隣接する先細りの端区分38を保持する。先細りの端区分38は、組織に対して外傷性でない湾曲先端または最遠位表面40を画定し、それにより外側部材12が創傷開口を通過するときに組織の根掛かりまたは所望されない穿刺を最小にする。示されているように、第2の長手方向通路28は、中央長手方向軸「k」に沿って先細りの区分38を通して延在し、第1の長手方向通路26は、先細りの区分38の近位で終端する。
【0025】
針組立体18は、手動アクチュエータ42と、手動アクチュエータ42から延在する細長い針駆動部44と、針駆動部44に接続された縫合針46とを含む。手動アクチュエータ42は、ハウジング22に対して回転運動するように取り付けられ、臨床医により手動で係合されるように寸法決めされる。針駆動部44は、従来型の手段を介して手動アクチュエータ42に接続され、外側部材12の第1の長手方向通路26内に少なくとも部分的に配設される。縫合針46は、針先48に導く、例えば、略J字形状の湾曲針である。代替例において、縫合針46は、直線状であり得、針先48が、例えば、略V字形状のハウジングに向かって延在するように、長手方向軸「k」に対してオフセットされる。縫合針46は、針駆動部44もしくは従来型の手段を通して針駆動部44に固定された別個の構成要素と一体的に形成され得る。縫合針46は、外側部材12の遠位に、またはその遠位端部分16を超えて少なくとも部分的に配設される。縫合針46は、縫合糸20を通過するように針44の本体を通して延在する穴50を含み得る(図2A)。
【0026】
図1~3を続いて参照すると、縫合糸20は、縫合針46の穴50を通して、外側部材12の第2の長手方向通路28を通して、ハウジング22の外側に延在する。一実施形態において、縫合糸20は、縫合針46に対して固定されず、穴50を通過する。代替的な実施形態において、縫合糸20は、穴50に対して固定され得る。縫合糸20は、創傷開口を閉鎖する際の装置10の使用中に、第2の長手方向通路28を通して前進するか、またはスライドすることができる。縫合糸20のための組み立てに好適な材料は、天然もしくは合成の分解性材料、非分解性材料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
針組立体18の縫合針46は、創傷開口を通した装置10の挿入及び通過を容易にするための非準備状態と、縫合針46が創傷開口を囲む組織に係合するように位置付けられる準備状態との間を移行するように適合される。図3~5は、針組立体18の縫合針46の非準備状態を図示する。非準備状態において、手動アクチュエータ42は、に第1の止め具34接触する第1の位置に、中央長手方向軸「k」に対して径方向内方に配向される。手動アクチュエータ42の第1の止め具34との接触は、縫合針46が非準備状態にある臨床医に対する視覚的な確認を提供する。実施形態において、「非準備」を表す、刷り込まれた「u」等の視覚的なしるしは、縫合針46の非準備状態のさらなる確認を提供するように、ハウジング端面32上に提供され得る。第1の止め具34はまた、反時計回りの方向(図4)での手動アクチュエータ42の任意のさらなる回転を防ぎ、それにより準備配向に向かった針駆動部44及び縫合針46の対応する回転を防ぐだろう。加えて、手動アクチュエータ42は、第2の長手方向通路28内の縫合糸20の運動を最小にし、かつ/または防ぐように、その第1の位置にあるときに張り出し進入開口30(図2)から出る縫合糸20に解放可能に係合するように寸法決めされ得、それにより、装置10自体またはその構成要素上での縫合糸のもつれの可能性を低減する。
【0028】
非準備状態において、縫合針46は、針44及び針先48が外側部材12の細長い部材24により画定された外側筐体もしくは直径「b」内に少なくとも部分的に、もしくは全体的に閉じ込められるように、中央長手方向軸「k」に対して径方向内方に配設される(図5)。縫合針46の湾曲形状はまた、先細りの端区分38の先端表面40により画定された輪郭に従い得、それにより創傷開口内への挿入中に装置10の先端の低減プロファイルを提供し、創傷開口を囲む組織との縫合針46の不注意による係合を最小にする外側部材12と近似の関係で縫合針46を維持する。
【0029】
図6~8は、準備状態での針組立体18の縫合針46を図示する。準備状態は、針駆動部44及び縫合針46の対応する回転を生じさせる方向「m」で手動アクチュエータ42を回転させることにより影響を受ける。準備状態を達成すると、手動アクチュエータ42は、縫合針46が準備されたことについて臨床医に、例えば、触覚的かつ視覚的の両方での確認を提供する第2の止め具36を係合させる。実施形態において、ハウジング端面32は、縫合針46の準備状態も特定するように、第2の止め具36の隣に印刷された「a」(「準備状態」を表す)を有し得る。縫合針46及び針先48の少なくとも主要な部分は、創傷開口を囲む組織を通して穿刺するように位置付けられた準備状態にあるときに外側部材12の細長い部材24の境界「b」を超えて径方向に配設される。
【0030】
図9A~9Gは、創傷開口を閉鎖する際の装置10の使用の方法を図示する。下記の考察は、腹腔鏡手技中に栓塞子またはトロカールにより生成された穿刺創傷を閉鎖する際の装置10の使用に焦点が当たるだろう。しかしながら、装置10は、体の任意の領域内の外傷に起因する創傷の閉鎖において用途を有し得ることが想定される。
【0031】
腹腔内の腹腔鏡手技または操作の実行に続いて、臨床医の注意は、腹腔を通して延在する穿刺またはポート創傷を閉鎖することに向けられる。臨床医は、装置10を把持し、ハウジング端面32の進入開口30を通して、第2の長手方向通路28を通して、縫合糸20を縫い進める。次に、縫合糸20は、縫合針46の穴50を通過する(図2A)。一方法において、縫合糸20は、穴50に対して固定されない。針組立体18の縫合針46は、手動アクチュエータ42が第1の止め具34に接触するように、方向矢印「j」の方向に手動アクチュエータ42を回転させることにより図9Aの非準備状態で留置される(図4)。非準備状態において、次に、装置10は、皮下組織「s」、筋膜「f」、及び腹壁の腹腔膜「l」を通して延在する創傷開口「w」内に導入または位置付けられる。装置10は、少なくとも縫合針46が下層の腹腔「c」に進入するように前進される。上で示されたように、先細りの端区分38、先細りの端区分38の円形先端表面40、ならびに縫合針46の円形先端表面40との配向及び関係により提供された低プロファイルは、周囲の組織との不注意による係合を最小にすると同時に、創傷開口「w」の通過を容易にする。
【0032】
いったん縫合針46が腹腔「c」内に配設されると、図9Bに図示されているように、縫合針46は、例えば、第2の止め具36に対する第2の位置(図7)への手動アクチュエータ42の回転を介した、手動アクチュエータ42の操作を通して準備状態へと移動される。準備状態において、針先48及び縫合針46の少なくとも一部分が、縫合糸20が縫合針46の穴50に連結され、第2の長手方向通路28を通して後ろに延在する状態で、外側部材12の細長い部材24の外方に配設される。その後、図9Cに図示されているように、装置10は、針先48及び縫合針46が、創傷開口「w」を囲む筋膜及び/または皮下組織を含む第1の組織部分「t1」を通して穿刺し、それにより第1の組織部分「t1」を通して縫合糸20の第1の縫合区分20aを通ることを生じさせる、例えば、第1の操作を通して臨床医に向かって近位方向に引っ張られる等、創傷開口「w」に対して少なくとも部分的に引き抜かれる。装置10は、縫合糸20の第1の縫合区分20aを臨床医に露出させるのに十分な距離で後退される。第1の縫合区分20aは、第1の縫合区分20aを、針46の穴50を通して、第1の組織部分「t1」を通して、腹腔「c」の外方に引っ張るように、例えば、鉗子を用いて把持され得る。第1の縫合区分20aのこの運動中に、縫合糸20は、外側部材12の第2の長手方向通路28を通して前進またはスライドする。次に、図9Dに図示されているように、装置10は、第1の縫合区分20aが腹腔「c」の外側に保持または固定されながら、創傷開口「w」内を後ろに進む。装置10が創傷開口「w」内に前進されたとき、縫合糸20は、外側部材12の第2の長手方向通路28内でスライドする。
【0033】
次に、図9Eを参照すると、全体的な装置10は、縫合針46を創傷開口「w」の他側上の対向する組織に隣接して位置付けるように、例えば、180°の円弧区分を通して創傷開口「w」内に再配置されるか、または回転される。装置10は、再び、腹腔「c」から縫合糸20の第2の縫合区分20bを露出させるように、針先48及び取り付けられた縫合糸20が、筋膜「f」及び/または皮下組織「s」を含む創傷開口「w」を囲む第2の組織部分「t2」を通過することを生じさせる、創傷開口に対して少なくとも部分的に引き抜かれるか、または図9Fに図示されるような第2の操作を通して臨床医に向かって近位に引っ張られる。この運動中、縫合糸20は、本明細書の上記で考察されたものと同様の方法で外側部材12の第2の長手方向通路28を通してスライドする。第1及び第2の縫合区分20a、20bが、腹腔「c」から露出され、創傷開口「w」を囲むそれぞれの第1及び第2の組織部分「t1」、「t2」を通過する状態で、縫合糸20は、残りの縫合糸が、第2の長手方向通路28を通して、先細りの端区分38から遠位にスライドするように、鉗子を用いて第2の縫合区分20b上で引っ張ることにより、装置10から除去される。縫合糸20が、装置10から解放された状態で、縫合針46は、第1の止め具34に対して第1の位置(図4)に、例えば、手動アクチュエータ42の回転を介して、手動アクチュエータ42の操作を通して非準備状態へと移動される。次に、装置10は、創傷開口「w」から除去される。縫合糸20の第1及び第2の縫合区分20a、20bは、図9Gに示すように創傷開口「w」を閉鎖するための従来型の方法で、創傷開口「w」に対して締められ、かつ縛られる。
【0034】
図10~13は、外科手術用閉鎖装置の代替的な実施形態を図示する。外科手術用閉鎖装置100は、図1~8の実施形態に関連して記載されている特徴のいくつかを含む。閉鎖装置100は、ハウジング104と、ハウジング104から垂下する細長い部材106を有する外側部材102とを含む。ハウジングは、内側環状凹部108を画定する。細長い部材106は、細長い部材106の近位及び遠位端112、114の中間に、細長い部材106の壁から径方向外方に延在する保護レッジ110を含む。保護レッジ110は、外側部材102の長手方向軸「p」に対して傾斜「α1」、「α2」の対向する、例えば、斜めの角度でそれぞれ先細りである先端縁表面116及び後端縁表面118を画定する(図13)。傾斜「α1」、「α2」の角度は、創傷開口内での細長い部材106の前進及び引き抜きを容易にするように選択され、約5°~約45°の間の範囲にあり得る。先端及び後端縁表面116、118は、装置100が創傷開口内で操作されるときの組織への外傷を最小にするであろう、外傷性でないかまたは湾曲した表面120により相互接続される。保護レッジ110は、細長い部材106の壁と湾曲表面120との間に画定された外側境界「r」を画定する(図11)。
【0035】
針組立体は、図1~8の実施形態と関連して記載された針組立体と実質的に同様であり、手動アクチュエータ122と、手動アクチュエータ122から延在する針駆動部124と、湾曲縫合針126とを含む。縫合針126は、ハウジング104内の環状凹部108内に存在する手動アクチュエータ122の回転を通して、図11の非準備状態と図12の準備状態との間で操作可能である。図11の非準備状態において、縫合針126は、保護レッジ110と整列され、それにより、例えば、針先128等の外側境界内に閉じ込められ、縫合針126は、保護レッジ110の外側境界「r」の径方向内方にある。準備状態において、縫合針126の針先128は、保護レッジ110から変位された細長い部材106の対向側上で、組織を通して穿刺する位置に配設される。
【0036】
図10に最適に図示されているように、縫合糸130は、縫合針126内の穴132を通して延在し、縫合針126の周りに巻かれるか、またはコイル状になっている。図11~12において、縫合糸130は、図示の目的のために取り除かれている。図1~8の実施形態に記載されているように、縫合糸130は、細長い部材106内の通路を通して後ろに延在しない。むしろ、細長い部材106は、通路が無く、創傷閉鎖手技において利用される長さの縫合糸130は、縫合針126の周りに巻かれるか、またはループ状になっている。
【0037】
装置100の使用は、図9A~9Gと関連して記載されている装置10の使用と同様である。縫合針126が図11の非準備状態にある状態で、装置100は、少なくとも縫合針126及び可能であれば保護レッジ110が腹腔内に配設されるように、創傷開口内を前進される。組織の通過中、保護レッジ110の先端縁表面116の先細りは、創傷開口内の細長い部材106の通過を容易にするだろう。加えて、針先128及び針126は、創傷開口を囲む組織の所望されない穿刺を避けるように、保護レッジ110の境界「r」内に閉じ込められる。その後、縫合針126は、図12の準備状態へと移動され、装置100は、創傷開口内で少なくとも部分的に引き抜かれ、それにより縫合針126は、創傷開口を囲む筋膜組織を含む組織に係合する。組織からの縫合針126の針先128の露出時に、縫合糸130の露出された端区分は、例えば、捕捉器具を用いて把持され、臨床医により保持される。創傷内での装置100の少なくとも部分的な引き抜き中に、その角度付き配向に起因する、保護レッジ110の後端縁表面118は、この方向での細長い部材106の通過を容易にするだろう。装置100は、創傷開口内で再導入されるか、または後方に進まれ、露出された縫合端区分は、臨床医により保持され、それにより縫合糸130の残りの区分は、縫合針126の穴132を通してスライドする。装置100は、創傷開口の他側上の対向する組織に隣接して縫合針126を位置付けるように、例えば、180°の円弧区分を通して創傷開口内で回転される。装置100は、再び、創傷開口に対して少なくとも部分的に引き抜かれ、針先128及び取り付けられた縫合糸130が、創傷開口を囲む筋膜組織を含む対向する組織部分を通過することを生じさせる。臨床医は、縫合糸130の露出された区分を把持する。2つの縫合区分が、腹腔から露出され、創傷開口を囲むそれぞれの対向する組織部分を通過する状態で、残りの縫合糸は、縫合糸130の全体的な長さを装置100から解放するように、縫合針126の穴132を通して引っ張られる。縫合糸130が装置100から解放された状態で、縫合針126は、手動アクチュエータ120の操作を通して非準備状態へと移動され、次に、装置100は、創傷開口から除去される。縫合糸130の縫合区分は、創傷開口に対して締められ、創傷開口を閉鎖するように縛られる。
【0038】
図14~15は、外科手術用閉鎖装置の代替的な実施形態を図示する。閉鎖装置200は、針保持具202と、針保持具202に取り付けられた針組立体204と、針保持具202に対してスライド可能に取り付けられた針保護具206とを含む。針保持具202は、T字形状のハンドル208と、ハンドル208から垂下し、長手方向軸「w」を画定する細長い保持具部材210とを含む。針組立体204は、針棒212と、針棒212から延在する湾曲縫合針214とを含む。針棒212は、従来型の方法論を通して針保持具202の保持具部材210内に固定される。縫合針214は、縫合糸に係合するために開口または穴(図示せず)を含む。針保持具202及び針組立体204は、各々、単一ユニットとして一体的に形成され得る。
【0039】
針保護具206は、針保持具202と、可能であれば、針棒212を受容するための長手方向通路218を画定する保護具ハウジング216とを含む。長手方向通路218は、部分的に、保護具ハウジング216を通して延在する内部管により画定され得る。保護具ハウジング216は、縫合針214に隣接して位置付けられ、創傷開口の通過を容易にするように構成される、先細り及び/または弓形の進入端区分220を有する。保護具ハウジング216は、さらに、例えば、長手方向通路218と長手方向に整列する進入端区分220の横に隣接する第1の開口222と、進入端区分220内の第2の開口224とを画定する。第1の開口222は、針保持具202の保持具部材210及び針組立体204の針棒212の往復運動を可能にするように寸法決めされる。第2の開口224は、図14~15内に図示される針組立体204の非準備状態にあるときに、縫合針214の少なくとも針先226を受容する。進入端区分220の残りの部分は、創傷開口及び/または組織を通して貫通する助けとなるように閉鎖される。保護具ハウジング216は、さらに、臨床医による把持係合を容易にするように、その外部表面上に、例えば、鋸歯状、リブ、凹凸の形態のグリップ228を含み得る。
【0040】
保護具ハウジング216を含む針保護具206は、保護具ハウジング216の長手方向通路218内での針保持具202の相対的なスライド運動を通して、図14~15の非準備状態と図16~17の準備状態との間で針保持具202及び針組立体204に対して長手方向に往復運動するように適合される。図14~15の非準備状態にあるときに、針棒212は、保護具ハウジング216の外側境界内に閉じ込められ、縫合針214の針先226は、保護具ハウジング216の第2の開口224内に受容される。具体的には、針棒212は、進入端区分220の先細りの構成により生成された開口空間230内に収容され、縫合針214は、一般的に、進入端区分220の外部表面または輪郭に従う。この配置は、閉鎖装置200のプロファイルを有意に低減し、それにより創傷開口内への進入及び通過を容易にする。図16~17の準備状態において、針先226及び縫合針214は、創傷開口を囲む組織部分に係合するように位置付けられた保護具ハウジング216から露出される。
【0041】
閉鎖装置200の使用は、本明細書で上記に記載されている装置10、100の使用と同様である。針組立体204が図14~15の非準備状態にある状態で、閉鎖装置200は、縫合針214を腹腔内に位置付けるように、創傷開口内でハンドル208の係合により前進される。針保護具206は、創傷開口を囲む組織境界を通して縫合糸(図示せず)を通る際に使用するための縫合針214及び針先226を露出させるように、図16~17の準備状態へとハンドル208に向かってスライドまたは後退される。閉鎖装置200は、創傷開口の閉鎖への影響に応じて創傷開口に対して回転され、かつ少なくとも部分的に引き抜かれ得る。針組立体204の非準備または準備状態の確認は、例えば、針保持具202のハンドル208等の針保持具202に対して針保護具の位置を見ることにより、確定され得る。
【0042】
創傷閉鎖の上に記載されている方法は、創傷を閉鎖するように創傷開口を囲む組織を通して2つの区分を通過することを含むが、2つ超の縫合区分を利用し得ることが想定される。例えば、各縫合区分の適用に続いて、創傷開口内のおよそ90°の円弧区域を通して装置10、100、200を回転させること等を必然的に伴うであろう、4つの縫合区分が、創傷開口の周りに適用されてもよい。
【0043】
上の説明及び図は、本開示の実施形態を記載する目的のために提供されるものであり、いかなる方法でも本開示の範囲を限定することを企図していない。本開示の精神または範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変形が行われ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に該当することを条件に、この開示の変更例及び変形例を包含することが企図される。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17